今回は11月のGA文庫・GAノベル・サーガフォレスト・富士見L文庫・集英社オレンジ文庫新刊感想まとめです。内訳はGA文庫が続刊3点、新作1点、GAノベルの続刊1点、サーガフォレストの新作1点、富士見L文庫の新作1点、集英社オレンジ文庫の続刊1点、新作3点の計11点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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不死探偵・冷堂紅葉 02.君に遺す『希望』 (GA文庫)
不死探偵・冷堂紅葉 02.君に遺す『希望』
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零 雫/美和野らぐ SBクリエイティブ 2023年11月15日頃
悪夢のような事件も過ぎて、ようやく平和な日常に戻った冷堂紅葉と天内晴麻。しかしある日、今度は冷堂の旧友たちが殺されてしまい、不死探偵と普通の相棒が再現不可能な殺人事件に再び挑む第二弾。二人が訪れた喫茶店で起きた密室殺人事件、転校してきた双子の旧友たちが巻き込まれた同時刻連続殺人事件。ショッピングモール爆破と冷堂父の不可解な死。椿姉妹や湯ノ宮刑事、双子のテイリー姉妹といった魅力的なヒロインたちをストーリーに絡めながら、冷堂の魅力も上手く引き立てていて、著者さんのディテールへのこだわりが随所に感じられる描写も印象的だったミステリは、異能を絡めてはいるものの推理に必要な材料はきちんと提示されていてフェアだったと思いました。
有名VTuberの兄だけど、何故か俺が有名になっていた #1 妹が配信を切り忘れた (GA文庫)
有名VTuberの兄だけど、何故か俺が有名になっていた #1 妹が配信を切り忘れた
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茨木野/pon SBクリエイティブ 2023年11月15日頃
引きこもりの義妹いすずが大人気VTuberとして活動している塩尻聡太。ある日、いすずが配信を切り忘れ、聡太との素の会話を世界中に流してしまうVTuber小説。配信では生意気なメスガキを装ういすずが兄に甘える姿を晒してしまい、切り抜き動画が拡散されバズる配信事故の様子。そこから妹思いの優しい兄として高評価を得たことで、なぜかVデビューすることになってしまった聡太。そんなつもりはなくても毎回放送事故をやらかす聡太には苦笑いでしたけど、個性的でキャラの立った他のヒロインVTuberたちも絡めながら、相乗効果で加速度的に注目を集めて登録者数を増やしてゆくゆるい展開には独特の味わいがありました。
クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話6 (GA文庫)
クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話6
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柚本悠斗/magako SBクリエイティブ 2023年11月15日頃
ひとときの別れがお互いを成長させ、晴れて恋人として結ばれた葵と晃。修学旅行の行き先と日程が同じことが判明して、自由行動を共に回ろうと約束する第二弾。葵の同じ班の瑛士や泉、晃と同じ班の梨華と悠希に協力してもらいながら、清水寺や観光名所、和菓子巡り、着物姿で街歩きなど二人の時間を満喫する二人。友人たちの恋模様も応援しながら普通なら一緒に過ごせなかったはずの修学旅行で、共に過ごす機会を得た二人の嬉しそうな様子が丁寧に描かれていて、忘れられない修学旅行感がありましたね。終わってからはサプライズなエピソードがあったりもして、高校卒業後を見据えた二人がこれからどうなるのか、次回最終巻が楽しみです。
ハズレ属性【音属性】で追放されたけど、実は唯一無詠唱で発動できる最強魔法でした2 (GA文庫)
ハズレ属性【音属性】で追放されたけど、実は唯一無詠唱で発動できる最強魔法でした2
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路紬/つなかわ SBクリエイティブ 2023年11月15日頃
王女ルルアリアの声を取り戻して弟アイザックを退けたアルバス。一年に一度開催される英雄祭に彼女の護衛として参加した彼が、行事の決闘祭に参加する第二弾。彼を対戦相手に指名した王国の最高位の魔法使いと名高い第一王子ザイール。その背後で蠢くハズレ属性を蔑視し四大属性魔法至上とする宰相たち、そして決闘までの間にさらに強くなるため第二王子ブレイデンたちと修行に励むアルバス。ザイールと繰り広げる熱い激闘は様々な思惑も絡んでいて、ルルアリアに呪いをかけた黒幕の登場や、成長してくれた姿を見せてくれた存在もありましたけど、自らが示した力で逆風の流れを変えてみせたアルバスたちが、これからどこに向かうのか続刊が楽しみですね。
石投げ令嬢2~婚約破棄してる王子を気絶させたら、王弟殿下が婿入りすることになった~ (GAノベル)
石投げ令嬢2〜婚約破棄してる王子を気絶させたら、王弟殿下が婿入りすることになった〜
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みねバイヤーン SBクリエイティブ 2023年11月15日頃
王弟アルフレッドと夢のような結婚式を挙げ、晴れて夫婦となった『石の民』の娘ミュリエルが、アルフレッドと共に新天地へむかう第二弾。領地経営のために不遇な状況に陥っている人材に声を掛けたり、祖父母に会ったことで浮かび上がった課題に、周囲の協力を得ながら取り組むミリー。周囲もどんどん彼女に感化されて支持者となっていったり、婚約式や蛮族の結婚式を経て夫婦になった二人が祝福される様子も良かったですが、女辺境伯の地位を賜って向かった新天地ヴェルニュスの過去の事情を踏まえながら、新領主としてしっかりと民に向き合い、自ら率先して精力的に働いて状況を少しずつ変えてゆくミリーの姿がなかなか良かったですね。
ど底辺令嬢に憑依した800年前の悪女はひっそり青春を楽しんでいる。1 (サーガフォレスト)
ど底辺令嬢に憑依した800年前の悪女はひっそり青春を楽しんでいる。(1)
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ゆいレギナ/とよた瑣織 一二三書房 2023年11月15日頃
稀代の悪女としてその罪により800年間封印されていたノーラ。学校を覗いていた彼女がいじめられているシシリーに気づき、1年限定で彼女に憑依する青春ファンタジー。自分の寿命が尽きる一年後までに完璧で幸せな状態でシシリーに返すため、いじめている令嬢を懲らしめて、次期賢者と噂されるアルヴィンに口説かれるようになったり、シシリーの状況をみるみる改善させていくノーラ。ツンデレ令嬢のアニータとも仲良くなってめいいっぱい青春を満喫するノーラに、影響を受けたシシリー自身も少しずつ変わっていって、なかなか複雑で重い因縁にそれぞれが向き合うようになって、ひとつひとつ解決して進む物語がこれからどのような結末を迎えるのか、今後の展開がとても楽しみです。
トーアの魔法使い 魔法学校と呪いの少女 (富士見L文庫)
トーアの魔法使い 魔法学校と呪いの少女
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淡雪 みさ/駒木 日々 KADOKAWA 2023年11月15日頃
国内最高峰のフィンゼル魔法学校に落ちてきた少女ミア。記憶を全て失った彼女を保護して事情を察した養護教諭のアブサロンから、学内に潜り込むことを提案される学園ファンタジー。もし首席集団の【オペラ】になれば調べて記憶喪失の謎も解けるはずだと聞かされ、魔法学校で学ぶことを決めるミオ。彼女を魔法で魅了したブルーノやテオたちに見守られて魔法を練習しながら、魔獣ロッティや彼女をライバル視するカトリナたちと出会うミオ。彼女を巡る複雑な背景がたびたび示唆されて、一方で魔法の靴を巡る事件にも巻き込まれる彼女が見せてくれた様々な可能性があって、今の状況に前向きに向き合うようになってゆく彼女のこれからの物語が楽しみです。
これは経費で落ちません! 11 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)
これは経費で落ちません! 11 〜経理部の森若さん〜
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青木 祐子/uki 集英社 2023年11月16日頃
結婚に向けて、いよいよ本格的に動き始めた沙名子と太陽。沙名子は結婚へと向けてタスク表を作ってひとつずつ処理していこうとしてその大変さに改めて直面する第十一弾。沙名子と太陽が東京と大阪で別々に暮らす状況に、お互いの両親への挨拶、沙名子は仕事を続けるのか、家事の分担、婚約指輪や結婚指輪はどうするのか、結婚式は挙げるのか、どちらが名字を変えるのかなどなど、しっかり決めていきたい沙名子とアバウトな太陽だとそうなるよなという展開でしたけど、とりあえず沙名子を巡って様々な想いを抱いていた周囲の悲喜こもごもの反応もしっかりと堪能できたので、あとは結婚スタートにあたって同居でスタートできるかですね。交渉した結果としてどうなるのか気になるところではあります。
ハイランドの花嫁 偽りの令嬢は荒野で愛を抱く (集英社オレンジ文庫)
ハイランドの花嫁 偽りの令嬢は荒野で愛を抱く
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森 りん/亀井 高秀 集英社 2023年11月16日頃
15世紀末イングランド。庶子の伯爵令嬢で、姉の世間体の悪い死で修道院に押し込められていたシャーロットが、異母妹エリザベスの代わりにハイランドへ嫁ぐことを命じられるファンタジー。父親の命に背く術はなく、仕方なくエリザベスになりきって結婚式に参列したシャーロット。そこで出会った夫となるアレクサンダーとはお互い不器用ながらも惹かれ合う関係で、これからしっかりと関係を気づいていければ…と思える二人が直面する、思ってもみなかった急展開には愕然としましたけど、実家を始めとする様々な思惑に振り回されながらも、それでも僅かな可能性を諦めずに信じ続けて、自らの運命にもしっかりと向き合ったシャーロットたちがしっかり引き寄せたその結末にはぐっと来るものがありました。
龍の身代わり 偽りの皇帝は煌めく星を恋う (集英社オレンジ文庫)
龍の身代わり 偽りの皇帝は煌めく星を恋う
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我鳥 彩子/笠井 あゆみ 集英社 2023年11月16日頃
陽夏国の芝居一座で育った龍意が、突然やって来た宮城からの使者より、自分が皇帝の双子の弟だと知らされ、目が覚めない皇帝の替え玉を依頼される中華風ファンタジー。将来帝室騒乱の原因になると占われ殺されそうになったところを、母親の皇后が裏で手を回し一座に預けたことを知らされ、一座が負っていた借金を肩代わりしてもらうことを条件に依頼を受けた龍意。そんな彼が姉の死の謎を追う後宮の歌劇団「煌星歌劇」の星羅と出会ったことで運命が動き出して、奸計を巡らせる宰相の娘・薛貴妃が感情のままにたびたび事態を動かして、計画を破綻させていく様子には苦笑いでしたが、思わぬ真相に直面しながらもそれを乗り越えた二人の結末がなかなか良かったですね。
招きねこのフルーツサンド (集英社オレンジ文庫)
弟を溺愛するあまりに父から離婚された母。そんな母に幼い頃からずっと否定されて育ち自己肯定感がすこぶる低い実音子が、思い出の街で出会ったサビ猫に導かれ、フルーツサンド屋に辿り着く物語。人生の節目のたびに極度の緊張から失敗を続けて、今は非正規で働くなど、生きづらさを抱えて日常を送る実音子が出会った、浮世離れした雰囲気を持つ店主の美青年・瞬と彼の親友たち。全然売れていないフルーツサンドは思いの外美味しくて、温かな瞬たちの優しさに触れて、売れるために協力する実音子。自分の頑張りを肯定してくれる居場所を得た彼女が瞬の思わぬ危機に奔走したり、今まで見えていなかったことに気づいたりといろいろ変わっていって、新たな一歩を踏み出す勇気を持つようになってゆく様子がなかなか良かったですね。