今回は5月角川スニーカー文庫、HJ文庫、講談社ラノベ文庫、PASH! ブックス、4月ファミ通文庫の新刊感想まとめです。内訳は角川スニーカー文庫が続巻3点、新作2点、HJ文庫が新作2点、続巻1点、講談社ラノベ文庫が新作2点、角川ビーンズ文庫新作1点、PASH!ブックスが新作1点、アース・スター ルナが新作1点、Kラノベブックスfが新作1点、4月ファミ通文庫新作1点の計15点になります。気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。
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メンヘラが愛妻エプロンに着替えたら2 (角川スニーカー文庫)
花宮 拓夜/Nardack KADOKAWA 2023年04月28日
メンヘラに対する苦手意識を乗り越え、琴坂静音と改めて「通い妻契約」を結んだ愛垣晋助。しかし静音の父・愛彦に静音が男の家に通っていることがバレてしまう第二弾。大学の夏休みに入って、晋助や幼馴染・九条千登世の帰省についていって、妹・結乃の誕生会やお泊まり会、プールを満喫する静音。しかしそれをきっかけに妻の死を機に静音に対し病的な執着心を持つ父・愛彦にバレてしまう展開で、その監視体制や娘への束縛にはそこまでやるかと感じる部分もあって、いち大学生が退治するにはなかなか厳しい相手でしたけど、それでも無力感に打ちのめされながらも諦めず、静音との関係を取り戻すために、懸命に向き合った晋助の覚悟にはなかなか来るものがありましたね。
推しに熱愛疑惑出たから会社休んだ2 (角川スニーカー文庫)
カネコ 撫子/天城 しの KADOKAWA 2023年04月28日
大ファンだった清純派アイドル・桃花愛未の熱愛疑惑とその再起に関わって、恋人となった独身会社員・新木吾朗。偶然知り合った美依奈の後輩・村雨華から、核心を突く問いを投げかけられる第二弾。本名・山元美依奈で再起を目指す多忙な彼女とする、空き時間の家デートやドライブは大切な時間で、その意外と嫉妬深くて負けず嫌いな部分も知ってゆく吾朗。彼に女性が関わるとわりとヤンデレ気味な嫉妬を隠せない美依奈には苦笑いでしたけど、かつての後輩たちが吐露する複雑な想いだったり、宮さん・マスターといった人たちの背景も垣間見えて、温かく見守って支えてくれる人たちのお陰で心境も変わって、彼女らしく生きることができる今のありようがとても良かったですね。
地下鉄で美少女を守った俺、名乗らず去ったら全国で英雄扱いされました。2 (角川スニーカー文庫)
水戸前 カルヤ/ひげ猫 KADOKAWA 2023年04月28日
ひなみの危機を救った事実を伏せたまま少しずつ仲を深めてゆく涼。しかし他校と合同で行う体育祭の準備中「あの日救ったのは自分だ」と名乗る草柳が現れる第二弾。涼にグイグイアプローチする友人・友里に複雑な思いを抱く状況で現れた草柳の存在。TVにまで出演する草柳のアプローチで流石に心揺れるひなみに対して、恩人の立場で彼女にグイグイ近づく草柳の卑劣な目的を知ってしまう涼。相変わらずドSな古井さんは鍵を握るキーマンとして存在感ありましたけど、彼女を守るために負けれらないと奮闘する涼の頑張りも光っていて、そんな彼だからこそ周囲に認められるし、彼女も信じられるんだなということをしみじみ思いました。
見習い聖女の先導者 (角川スニーカー文庫)
秋原 タク/瑞色 来夏 KADOKAWA 2023年04月28日
覚えのない隣国の皇帝殺人容疑で辺境に左遷された王国最強の執行人カイル。飛ばされた村の教会でシスターの少女ロゼと運命の出会いを果たすファンタジー。日常魔術も使えないポンコツの落ちこぼれと自嘲する彼女が、密かに持っていた世界を変えうる大きな力。自分を受け入れてくれた恩返しとして、自らの野心もあって名実ともにロゼを「聖女」に仕立て上げることを決意するカイル。彼女に魔術を基礎から教え込んでその力を操れるようになったことで、皮肉にもロゼが大きな野心の道具として巻き込まれてしまう展開でしたけど、苦悩する彼女を救うため危険も顧みず、大胆な手段で解決してみせたカイルとロゼが迎える結末は、なかなか素敵で印象的でした。
なーんにもできないギャルが唯一できるコト (角川スニーカー文庫)
鈴木 大輔/ゆがー KADOKAWA 2023年04月28日
父親の再婚によって高校生・嵐山新太に突然できた義妹・一ノ瀬涼風。しかも二人の両親は直後に新婚旅行へと旅立ってしまい、いきなりの二人きりの同居生活が始まってしまう青春ラブコメ。転校してきて早々にトップカーストに属する隣の席のギャルで、新太が激推しする神絵師でもある涼風。しかし実は絵の才能はあっても、料理、掃除、着替え、メイク、お風呂、一人寝に至るまでびっくりするくらい何もできなくて、ご褒美と釣り合いが取れるか微妙な新太のお世話生活には苦笑いでしたけど、それでもしっかり向き合ってくれる彼を涼風は慕ってるんですよね。仕込まれた様々な伏線も垣間見えて、これからいろいろと話も広がりそうな期待のシリーズですね。
決して色褪せることのない夏の日々にボクは諦めきれない恋をした (HJ文庫)
ののあ/ぷらこ ホビージャパン 2023年05月01日
幼い頃から知っていて、一回り近く年上の今は一緒に暮らしているお姉さん・白鐘海華と、彼女への気持ちをずっと秘密にしていた高校生・蒼井ナツシの夏を舞台にした青春小説。事故で亡くなった兄の婚約者で、忘れられない三人の思い出を抱えている二人。だからこそ打ち明けられない想いを抱えるナツと、天涯孤独な彼を成人するまで育てようとする海華が、友人ゴローやその姉・円と一緒に行く思い出の詰まった夏の海。かつての約束を果たして懸命に告げる想いは、いろいろな複雑すぎる想いが絡み合っていてそう簡単にはいかないでしょうけど、そんな二人のこれからを温かく見守りたくなる物語でした。
箱入りお嬢様と庶民な俺のやりたい100のこと その1.恋人になりたい (HJ文庫)
太陽ひかる/雪丸ぬん ホビージャパン 2023年05月01日
人より行動力のある中学生・真田勇輝が、自由のない生活が嫌で家出したお嬢様・天光院純奈と出会い、二人でやりたいことを叶えてゆく庶民とお嬢様の身分差ラブコメ。これまで一人でお出かけすることもなく、自由のない生活が嫌で家出した純奈。彼女と出会って1冊のノートを渡し、やりたいことを一緒に叶えようとアドバイスする勇輝。自転車屋の息子がお嬢様との境遇の違いを乗り越えるべく、二人の交際を認めてもらうため、まずは名門高校入学を目指す展開で、想いだけに流されるのではなく、今すべきことに真摯に向き合える主人公は好感ですね。謎も多い勇輝の母や天光院の事情も気になるところですけど、これから二人がどうなるのか今後が楽しみな新シリーズです。
凶乱令嬢ニア・リストン 2 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録 (HJ文庫)
南野海風/磁石 ホビージャパン 2023年05月01日頃
6歳となってアルトワール学院に入学したニア。そこで魔法映像の仕事仲間兼友人として第三王女ヒルデと貴族令嬢レリアと出会って意気投合する第二弾。魔法映像をさらに普及させるために王都で撮影と勉学とで忙しい学院生活を送る中で、たまたま闇闘技場の噂を耳にしてしまい、嬉々として何とかしてそこに乗り込む算段を立て始めるニア。一応魔法映像の普及やリストン家のことは気にかけてはいても、戦いの血が刺激されるともうダメですね（苦笑）魔法映像に出演するたびに残念なことになるお兄さんもなかなか不憫でしたけど、彼女に振り回されるリノキスたちはほんと大変だなとしみじみ思いました。
ギャルに優しいオタク君 (ファミ通文庫)
138ネコ/成海 七海 KADOKAWA 2023年04月28日頃
ひょんなことから仲良くなった金髪ギャル・鳴海優愛に声をかけられるようになった隠れオタクの小田倉浩一。意外な特技でギャルの趣味を理解するオタク君の学園青春ラブコメディ。優愛からオタク君と呼ばれることに喜びを感じ、ネイルアート、ヘアセット、メイクとオタク趣味を生かして次々と優愛の願いを叶えて、一緒に買物にも出かけるようになってゆく展開で、そんな彼を意識するようになってゆく優愛だけでなく、その友人でオタク趣味にも染まりつつあるギャルのリコや、隠れオタク趣味のギャル委員長も絡めるカオスな状況がこれからどうなるのか、今後の展開に期待のシリーズですね。
異世界で生き抜くためのブラッドスキル (講談社ラノベ文庫)
火狩 けい/上埜 講談社 2023年05月02日頃
修学旅行中に飛行機事故に遭い、気がつくと見知らぬ世界にいた高校生アキラ。クラスメイトとさまよい歩き見つけた街で、この世界の仕組みを知るサバイバルファンタジー。吸血鬼の血統に連なるものが人を庇護し守る世界。血を受け入れて吸血鬼となるべきか迷うアキラが出会う、かつて亡くなったはずの少女・阿夜。仮に吸血鬼になってスキルを得ても、窮地に陥った彼女を救うため仲間と力を合わせて共に戦う殺伐とした世界はなかなか容赦がなくて、何度も心が折れそうになりながらも、それでも諦めずに戦い抜いた彼らの生きるという強い意思が感じられる物語でした。
荷物持ちの脳筋無双 (講談社ラノベ文庫)
ちると/こるり 講談社 2023年05月02日頃
ユニークスキル【荷物持ち】を持つ青年リュックが、ある日便利な収納アイテムが手に入ったことで、危険なダンジョン最下層でパーティーから追放されてしまうファンタジー。失意に沈むリュックが偶然出会った巫女少女ミオとダンジョン脱出のため協力する展開で、誰もが役立たずと笑う二人のスキルが掛け合わせることで思わぬ真価を発揮できるようになる展開がポイントでしたかね。その力を使って誰かのために戦えるリュックや、女騎士アリシアやそのメイド・キューン、アリシアの妹クロエといった彼を取り巻くヒロインたちもまたしっかりとした存在感がありました。
生贄として捨てられたので、辺境伯家に自分を売ります (角川ビーンズ文庫)
shiryu/RAHWIA KADOKAWA 2023年04月28日
婚外子として伯爵家に引き取られたものの家族に虐げられ、身代わりとして辺境へ送られたルアーナ。辺境伯に光魔法の使い手として自分を売り込み、生き延びようと奮闘する下剋上ファンタジー。家族に隠していた自らの光魔法が魔物に有効であることが分かり、聖女と呼ばれて同い年の辺境伯家子息ジークと切磋琢磨しながら成長するルアーナ。過去を語ると無意識のうちに不幸自慢になってしまう不憫な彼女は、治癒魔法を身に着けて彼の母を救ったりと、相変わらず自己肯定感は低いけれど努力家で、ルアーナを認めて家族のように思う辺境伯家の優しさが心に染みますが、だからこそかつての家族の酷さが際立ちますね…。現時点ではそこまで意識されていなくて前途多難ですが（苦笑）、周囲も応援するジークは是非頑張って欲しいです。
スープの森~動物と会話するオリビアと元傭兵アーサーの物語~（PASH! ブックス）
守雨/むに 主婦と生活社 2023年05月02日頃
誰にも言えない秘密を抱えるオリビアが営む街から離れた森のほとりのスープ店。ある時は動物、ある時は人間。彼女の店に心に何かを抱えた誰かがやってくるファンタジー。家族から疎まれて修道院に送られるところを逃げ出し、養祖父母に育てられたオリビアと、ある雨の朝にびしょ濡れでやってきた元傭兵アーサーの出会い。そして相手の大切にしていることや想いに配慮するような、優しさを少しずつ積み重ねてゆく二人の関係。たびたび難しい状況にも直面しましたけど、これまで見守ってくれた人たちにも助けられて、ようやく自分らしくいられる、大切にしたいと思える関係を見出した二人のこれからの物語をまた読んでみたいと思いました。
余命わずかだからと追放された聖女ですが、巡礼の旅に出たら超健康になりました1 (アース・スター ルナ)
マチバリ/マトリ アース・スターエンターテイメント 2023年05月01日頃
神殿に押し込められ聖女として祈る日々を過ごしていた王女プラティナ。過酷な生活で余命わずかと宣告され、聖地巡礼という名目で国を追放されるファンタジー。聖女の地位と婚約者を奪われ聖地を巡礼することになり、同じく厄介払いされた黒騎士アイゼンの不条理な呪いも解除して、むしろ日々健康になってゆくプラティナ。旅先で新たな仲間も増えて、行く先々で聖女の力を使って問題もさくっと解決して、いつの間にか『奇跡の聖女』と噂になってしまう世間知らずで天然なプラティナと、振り回されながらサポートするアイゼンの旅路、そしてともに過ごすうちに少しずつ変わってゆく二人の関係がこれからどうなってゆくのか、今後が楽しみなシリーズですね。
脇役転生した乙女は死にたくない ~死亡フラグを折る度に恋愛フラグが立つ世界で頑張っています!~ (Kラノベブックスf)
水仙 あきら/マトリ 講談社 2023年05月02日頃
突如自分が大好きな乙女ゲームの世界に転生したことを知ったネージュ。ヒロインの侯爵令嬢の親友ポジションの女騎士の立場で、死亡フラグを折りまくるファンタジー。全てのエンディングがデッドエンドというトンデモ仕様で物議を醸した問題作。このままだと全員が死んでしまう結末を回避すべく、ゲームで得た知識や神様に貰ったチート魔力も活かしながら、先回りして死亡フラグを叩き折りまくるネージュ。神様にさらに面倒なルールも課されたりしながら、どうすれば無事ハッピーエンドに辿り着けるのか。ゲームでは知り得ない裏事情があったり、思わぬフラグも立ったりして今後が楽しみなシリーズですね。
