今回は11月の電撃文庫・DREノベルス新刊感想まとめです。内訳は電撃文庫が続刊3点、新作3点、DREノベルスの続刊1点、新作1点の計8点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
春夏秋冬代行者 秋の舞 上・下 (電撃文庫)
護衛犬の花桐、侍女頭の真葛美夜日、若き側近の白萩今宵に囲まれて、ようやく春を満喫できるようになった大和国の秋の代行者・祝月撫子。しかしそれも外交問題によって突如霧散していく第六弾。海を挟み、大和から遠く離れた場所にある、異郷の地・橋国から当地の秋の代行者に会って欲しいという要請。積極的には引き受けられない状況で、四季代行者間のやりとりの末に結成された橋国訪問チーム。大和とは異なる橋国側の代行者事情や、その一つ佳州の秋の代行者リアムと護衛官ジュードを巡るままならない境遇が描かれる中で、訪問先での思ってもみなかった唐突な提案もされたりと、橋国側の不穏な状況も垣間見えてきましたけど、様々な思惑が絡んだ末での襲撃は…今後の展開が気になる結末でした。
二つの国の『秋』を波乱と混沌の渦に呑み込んだ、橋国で勃発した神を巡る大事件。大和の秋である祝月撫子。橋国佳州の秋であるリアム。幼き秋達が運命に翻弄されていく第七弾。最悪の事態こそ免れたものの、容赦なく身に降りかかる理不尽な暴力に対して座して、待つことを良しとしない者たち。そして大和からの随行陣や橋国佳州の四季の代行者も加わり、国家をも巻き込む事態へと発展していく事件の様相。一方で現人神をいいように利用する橋国の巨悪の存在も明らかになる中、自らの愛に心揺れる撫子を救うために奔走する竜胆の必死の想いには心打たれましたね。誤解も解けて深まる絆も良かったですし、大切な人のために戦ったそれぞれの結末もなかなか印象的でした。
妹はカノジョにできないのに 5 (電撃文庫)
ついに春太と別れ、“妹”になることを決めた晶穂。一方、中学卒業を区切りに、雪季が妹を卒業し、家を出ていく日も近づいてくる日々を描いた妹と“絶対に”結ばれるラブコメ第五弾。退院後、春太の家に引き取られて一緒に住むことになった晶穂の決意と、急速に注目を集めてゆく彼女の音楽活動にしっかり巻き込まれてゆく春太。雪季に意外な出会いもあったりする中で、春太と雪季が二人の関係に出した結論。登場人物たちはなかなかカオスな人間関係をきちんと受け入れていて、雪季とのことは認めつつも、虎視眈々とチャンスを伺う歳下ヒロインたちは相変わらずで苦笑いでしたけど、この物語らしいと思った結末を最後まで読めて良かったです。
君の先生でもヒロインになれますか? (電撃文庫)
人気者の美人高校教師・天条レイユ。お隣さんにおすそわけをしに行ったら、相手はなんと担任をしているクラスの教え子の錦悠凪だった!?高校教師と教え子がお隣に住む絶対にバレてはいけない二人だけの青春デイズ。教師と教え子がアパートのお隣さん同士という秘密を守るために、期間限定の「隣人協定」を結ぶことになった二人。しかし困っている人を放っておけず、忙しすぎてすっかり私生活が崩壊していたレイユの胃袋を掴んでしまい、困った時には助けて、いつの間にかなくてはならない存在になってゆく悠凪。隙も多い魅力的なヒロイン・レイユ相手にこれからもいろいろありそうですけど、同級生ヒロインの久宝院の存在もいい感じに効いていましたね。悠凪が大好き義妹もいるらしくて、二人の関係がこれからどうなるのかとても楽しみです。
さんかくのアステリズム (電撃文庫)
葉月 文/U35 KADOKAWA 2023年11月10日
うらしまシンドロームで身体の成長が止まったまま七年間眠り続けていた高校生・東雲結弦。目覚めた彼が再び通い始める高校で成長した幼馴染姉妹と再会するすれ違いトライアングル・ラブストーリー。今は同い年のクラスメイトでかつての後悔を繰り返さないよう、ぐいぐいアプローチする妹分の希空。一方教師となっても変わらぬ想いを抱きながら、様々な認識のズレに気づかずすれ違いを重ねてしまう千惺。七年前と今の星逢祭りに姉妹それぞれがお互いを出し抜いた恰好で結弦にアプローチした構図で、うらしまシンドロームによって結弦の過去と現在の想いが断絶している三角関係がこれからどう変わってゆくのか、想いを受け止めた結弦の今後の動きや千惺の覚悟がどうなるかも気になるところではあります。
勇者になりたい少女と、勇者になるべき彼女 (電撃文庫)
人と魔族の戦争終結後の世界。勇者に憧れる魔族の娘ルチカは、人類が設立した勇者学校に入学しようと訪れた都で、魔王を倒した勇者の娘レオニーと出会うガールミーツガール学園ファンタジー。レオニーを好ましく思い、試験の最中にもかかわらず結婚を申し込むルチカ。実技以外はサボりがちなルチカと実技が苦手なレオニーは、かつて勇者の仲間だったアリザ先生からまとめて目をつけられてしまう二人。物語に登場する主要キャラはほぼ女性で、邪険にされてもレオニーの苦悩に理解を示してその背中を押すルチカとの変化してゆく関係性があって、危機に陥っても仲間を救って最後まで諦めず、力を合わせて立ち向かう彼女たちの真っ直ぐな気持ちと、二人を中心とした奮闘がもたらしたその結末はなかなか良かったですね。
ド田舎の迫害令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される3 (DREノベルス )
お互い初めての恋人になった日から三日。二人とも意識しすぎるがゆえに、どこかよそよそしい日々が続き今一歩今の関係から踏み出すことが出来ない中、思いもよらぬ告白がロイドからされる第三弾。ロイドのことを意識しながらも、これまで積み重ねてきた境遇から自分に自信を持ちきれないクロエ。一方、クロエしかいないと思いながらも、これまでの過去を顧みて、自分が好かれるような人間ではない、好きになってはいけないと逡巡するロイド。そんな迷える二人を見守って励ましてくれる人がいて、お互いに思うところを伝えあって、避けては通れなかった最後の難関もありましたけど、これまでのことを思うとようやくここまで来たな…幸せそうな二人の描写にはいろいろ感慨深いものがありました。
人質姫が、消息を絶った。 ~黒狼の騎士は隣国の虐げられた姫を全力で愛します~ (DREノベルス)
人質姫が、消息を絶った。 ~黒狼の騎士は隣国の虐げられた姫を全力で愛します~
posted with ヨメレバ
鯵御膳/中條由良 ドリコム 2023年11月10日頃
第三王子に嫁ぐはずだった隣国シルヴィリオ王国の第四王女ソニア。王族や使用人たちにも虐げられていた彼女の失踪と契約結婚から始まる両片想いジレ甘ラブロマンス。彼女を捜索する騎士アークはソニアの境遇を知るうちに入れ込んでしまうものの、消息不明のまま打ち切られた捜査。しかしそこから自国で偶然見た目も変えたソニア本人に気づく運命的な再会があって、ニアと名を変えたワケありの彼女を保護して、第三王子も巻き込んだ結果政略結婚することになるアーク。ソニアは美して理知的ながらも境遇故に世慣れない部分もあって、アークが垣間見せる熱い想いを受けて、彼女もまた少しずつ抱く思いが変わってゆく甘く不器用な関係には今後への期待感しかありません。