今回は7月の電撃文庫とPASH!文庫の新刊感想まとめです。内訳は電撃文庫のシリーズ続刊が7点、新作が4点、PASH!文庫の新作1点の計12点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない (電撃文庫)
青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない(13)
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鴨志田 一/溝口 ケージ KADOKAWA 2023年07月07日
多くの人がリアルな未来の夢を見てSNSで「#夢見る」のハッシュタグを付けて大量に拡散される事態が発生。咲太の周囲でも夢を見た人が続出し、鍵を握る「霧島透子」の正体に迫る第十三弾。その場を共有するという形で多くの人が見た麻衣に関する夢。周囲の人たちが見た夢を聞き取ってゆく中でそのリアル度合いを感じる一方、それが必ずしも現実になるとは限らないことを実感する咲太。鍵を握る咲太にしか見えないミニスカサンタを追ううちに、思わぬ人物と繋がってゆく展開でしたけど、あれが一堂に会する状況は軽くホラーだな…と思いつつ、一筋縄ではいかない状況でも最後まで諦めずに、かけがえのない繋がりを取り戻して、大切なものを守り通してみせたその結末はなかなか良かったですね。
七つの魔剣が支配するXII (電撃文庫)
七つの魔剣が支配するXII(12)
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宇野 朴人/ミユキ ルリア KADOKAWA 2023年07月07日
長期旅行で仲間と過ごして成長したオリバーたち。哲人デメトリオの「失踪」に学園内の動揺がいまだ収まらない状況で、穴埋めとして曲者ぞろいの新任教師たちが着任する第十二弾。その存在が新たな波乱を予感させる〈大賢者〉ロッド=ファーカー。一方、友と並び立つためにさらなる絆や力を求めて葛藤するピートやガイ。そんな状況で魔に飲まれてしまった先輩が引き起こした災害にガイたちが巻き込まれる展開で、それぞれの葛藤を抱えながらも主従や仲間を大切に思う確かな気持ちがあって、その覚悟と成長が仲間を救う結末はなかなか良かったですけど、現段階で頭一つ抜けた力を見せつけた〈大賢者〉の存在は何とも不気味ではあります。
わたし、二番目の彼女でいいから。6 (電撃文庫)
わたし、二番目の彼女でいいから。6
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西 条陽/Re岳 KADOKAWA 2023年07月07日
成長したところと変わらないところが同居する橘との三年ぶりの再会。桐山は彼女である遠野の存在を意識しつつ、誰もが傷つかず幸せになる落としどころを模索する第六弾。かけがえのない想い出を握りしめたまま声を失っていた橘。そして水面下で感傷的な気分を密かに共有する早坂の存在感が密かに増してゆく一方で、桐島への依存具合が進んでいるようにしか見えない宮前に不安を覚える遠野。誰もが行くつくところまで行った想いを抱えてそのまま終わるわけもなくて、むしろ浜波のツッコミが冴え渡りまくる期待通りの展開でしたけど、なるべくしてなったカオスな状況を、常識人の遠野が果たして受け止めることができるのか、彼女たちとの関係性がどう変わるのか、続刊が今から楽しみで仕方ありません。
あした、裸足でこい。3 (電撃文庫)
あした、裸足でこい。3
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岬 鷺宮/Hiten KADOKAWA 2023年07月07日
アーティストとしてさらに大きな舞台に進むため、文化祭ライブに向けた準備を始める二斗。苦悩する彼女を救うため、才能の化け物nitoに立ち向かうことを決意する第三弾。かつてのループで二斗が変わるきっかけとなっていた文化祭ライブ。一方で二斗が関わるメインと有志ステージの対決の勝敗が、結果として六曜先輩の未来を壊してしまうことに苦悩する彼女のために、自分が奔走してその未来を変えることを決意する巡。有志ステージを率いる六曜先輩の葛藤も描きながら、萌音ととも彼を助けて時には本音でぶつかり合い、真っ向勝負を挑む熱い展開で、また殻を一つ破って成長した巡の決意が、これからの未来をどう変えてゆくのか続刊に期待です。
この△ラブコメは幸せになる義務がある。4 (電撃文庫)
この△ラブコメは幸せになる義務がある。4
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榛名 千紘/てつぶた KADOKAWA 2023年07月07日
母校で行われるコンサート・星プロのピアノコンクールに出ることを決意した凛華。覚悟を決めた彼女のコンサートを成功させるべく天馬たちが奔走する第四弾。コンクールの音楽担当の大須賀先生やバイト先の店長にも託されて、再びピアノに向き合うことを決めた凛華のため、生活の面倒を見たり、ずっとすれ違っていた凛華と父親の関係をサポートしたり、麗良ととともに彼女のために奔走する天馬。彼らとのかけがえのない関係を積み重ねてきたからこその結末で、三人の関係をどうするのかという凛華の選択にも納得感がありました。いつまでも見守っていたくなるとても素敵な△関係の物語を読めて良かったです。
レプリカだって、恋をする。2 (電撃文庫)
レプリカだって、恋をする。2
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榛名丼/raemz KADOKAWA 2023年07月07日
素直の提案でしばらく学校に通うことになったナオ。しかし文芸部は廃部危機に陥り、回避するために秋の文化祭に向けて演劇部と合同でかぐや姫の劇に参加する第二弾。屋上からばらまかれた「この学校にはドッペルゲンガーがいる」という不穏なチラシ。元生徒会長の森先輩から提案された文化祭で部誌百冊販売という実績作り。彼女も所属する演劇部での合同演劇開催。普通に学校生活を送ってアキとデートしたり文化祭を満喫する一方で、思わぬ新たな出会いもあったりで、その背景を知ってしまったからこそ、思っていた以上に衝撃的な幕切れになってしまいましたけど、いろいろと今後が気になる結末でしたね…。
少年、私の弟子になってよ。2 ~最弱無能な俺、聖剣学園で最強を目指す~ (電撃文庫)
少年、私の弟子になってよ。2 ~最弱無能な俺、聖剣学園で最強を目指す~
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七菜 なな/さいね KADOKAWA 2023年07月07日
波乱の1学期を乗り越えて修練を重ね、成長を遂げた識。師弟の絆は盤石かと思われたが、そこへ北海道校のトップに君臨する「世界の歌姫」聖剣士・春風瑠々音が現れる第二弾。ラディアータを伴った一週間の帰省から帰ってきた識が臨む、若手聖剣士がしのぎを削る年一度の聖剣学園対抗戦・三校交流会。五年前の約束を今も忘れられず、識を守るために溺愛するラディアータに宣戦布告し、お姉ちゃん戦争を勃発させる瑠々音。そこからのまさかの展開には驚かされましたけど、それ以上に仲間たちも含めた識たちの成長っぷりは際立っていましたね。物語としてはひとつの転換点だったと思いますが、相変わらず信奉者が多いラディアータの愛されっぷりも半端ないですし、これから日本に有象無象がいろいろと集まってきてカオスな展開になりそうですね(苦笑)
やがてラブコメに至る暗殺者 (電撃文庫)
やがてラブコメに至る暗殺者(1)
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駱駝/塩かずのこ KADOKAWA 2023年07月07日
美少女転校生・鳳エマと恋人になった、こうしてごく平凡な男子高校生・久溜間道シノ。実はそれぞれ裏の顔を持つ二人が駆け引きを繰り広げる騙し合いラブコメ。世界的大企業の莫大な遺産を相続すると噂されるシノ。イギリスからやってきたユーモアと愛嬌に溢れる完璧美少女が、一見平凡な彼と恋人になった理由。エージェントとしてはポンコツなエマと有能なのに恋愛面は残念なシノの噛み合わない駆け引きは、どちらもあれでなかなか微笑ましい感じでしたけど、彼らを支えるエージェント疑似家族との関係もなかなかいい感じで、巻き込まれてゆくグループ内闘争でのギリギリの駆け引きや、その中で明らかになってゆく構図から物語がこれからどう動くのか今後に期待のシリーズですね。
教え子とキスをする。バレたら終わる。 (電撃文庫)
教え子とキスをする。バレたら終わる。(1)
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扇風気 周/こむぴ KADOKAWA 2023年07月07日
会社員に馴染めず教師となった羽島銀。赴任した先の森瓦高校で、ゲーム仲間で辛い時期を支えてくれた女子高生・桐原灯佳と運命の再会を果たす青春小説。学校では真面目で先生からの信頼も厚い生徒会長で、一方で銀の秘密を握り、週末はゲームをしたり一緒に過ごして彼に甘えてくる桐原。そんな彼女相手に先生と生徒だからと懸命に自制して、良くないとは思いながらも毎日少しずつ秘密を重ねてゆくうちに、明らかになってゆく彼女が一人暮らしする背景。バレたのが暮井先生で良かったとつくづく思いつつ、彼女のためならそこまでするのかと驚きもありましたが、生真面目ゆえに苦悩しつつ、放っておけない彼女のために覚悟を決める銀が良かったです。でもこのラストは波乱の予感待ったなしですね(苦笑)
青春2周目の俺がやり直す、ぼっちな彼女との陽キャな夏 (電撃文庫)
青春2周目の俺がやり直す、ぼっちな彼女との陽キャな夏(1)
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五十嵐 雄策/はねこと KADOKAWA 2023年07月07日
仕事もうまく行かず夢も諦めて、十年前の初恋の安芸宮羽純とのことを悔やむ日々。藤ヶ谷は交通事故をきっかけに中学時代にタイムリープしてやり直す青春小説。当時は冴えないモブ男子だった藤ヶ谷が、見た目を整えて中身は大人のコミュ力を発揮して変わり始めた日常。通学途中でギャルの茅ヶ崎を助けたり、クラスの人間関係も改善する中で、何よりやり直したいと願っていた安芸宮羽純との日々。その中で彼女の抱える事情も明らかになっていって、今できることをやり切ったことで確かに変わった未来をどう受け止めるのか。これから物語はどう動くのか、今後の展開が気になるところではあります。
かつてゲームクリエイターを目指してた俺、会社を辞めてギャルJKの社畜になる。 (電撃文庫)
かつてゲームクリエイターを目指してた俺、会社を辞めてギャルJKの社畜になる。(1)
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水沢 あきと/トモゼロ KADOKAWA 2023年07月07日
かつての夢破れて、IT企業で連日アプリの不具合や取引先のクレーム対応に追われる日々を送る天海蒼真。彼がギャルJK羽白光莉にゲーム作りに誘われるエンタメ小説。トラブル処理をしていたファミレスで、フォロワー35万人を誇る超人気のイラストレーターの光莉からゲーム製作に誘われた蒼真。一度は断ったもののその矢先に勤め先が買収されてしまい、なし崩し的に協力することを決意する展開で、同年代のラノベ作家の美月や3Dモデラー凜たちも交えたゲーム製作は、元社畜で交渉力ある蒼真なしには厳しい困難の連続でしたけど、彼女たちのゲーム製作に賭ける熱い想いに応えるべく、覚悟を決めてゆく展開はなかなか良かったですね。
本嫌いの俺が、図書室の魔女に恋をした 1 (PASH!文庫)
本嫌いの俺が、図書室の魔女に恋をした 1
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青季 ふゆ/sune 主婦と生活社 2023年07月07日
高校デビューを果たし、上手く陽キャグループに潜り込んだ清水奏太。「本」を通じて図書室の魔女と言われる文月葵と心の距離を縮めていく青春小説。コスパが圧倒的に悪い読書を好む人たちの気持ちが全く理解できなかった奏太。そんな彼が友人の勧めてくれた本を探しに行った書店でバイトをしている文月さんに遭遇し、彼女が勧めてくれる作品を通じて本を読む楽しみを知り、意外な一面を垣間見せる彼女のことも気に掛けてゆく展開で、不器用だけれどかけがえのない日々を積み重ねてきて、難しい状況に陥った文月さんのためにどうすればいいのか一生懸命考えた奏太の決断、そして絶妙な落とし所を作り上げてなかなかいい感じに着地させてみせたその結末はお見事でした。