今回は3月電撃文庫新刊感想まとめです。
内訳は電撃文庫のシリーズ続巻が5点、新作2点の計7点になります。気になる本があったらぜひこの機会に読んでみてください。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。3 (電撃文庫)
友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。3
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真代屋 秀晃/みすみ KADOKAWA 2023年03月10日
今と変わらない五人組のままでいたいと願っていた。それぞれが濁った感情を内に秘めたまま。しかしそれぞれの想いが恋愛も友情も、全てを壊してゆく秘密の恋の物語第三弾。関係を秘めたままでいようとする純也と夜瑠。何も知らず夜瑠に恋を伝えようとする新太郎。彼に協力するふりをしながら恋の成就を企む火乃子。不穏な空気に孤独感を深める青嵐。そこからの行き着くところまで止まらない激動の展開、それでも何とか取り戻そうとする彼女の奔走もありましたけど、もう一度思いの丈をぶつかりあえた彼らだからこそ、いつかまた普通にみんなで笑い合える日を迎えて欲しい。そう思える結末でしたし、本当に大切なものにも最後でしっかりと向き合えて良かったです。
七つの魔剣が支配するXI (電撃文庫)
七つの魔剣が支配するXI(11)
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宇野 朴人/ミユキ ルリア KADOKAWA 2023年03月10日
四年生への進級を控えたオリバーたち。恒例の長期休暇に、彼らは仲間の故郷への帰省旅行を計画した。剣花団のメンバーにテレサとマルコを加え、連合各国を巡る船旅が始まる第十一弾。カティの故郷、連合北方の湖水国で両親が語る過去。英魔法国南部のシェラの実家で出会った何とも豪快なシェラの母、そしてケンタウロスの英雄たちと共に戦ったエピソード。たびたびはっちゃけてこの旅をめいいっぱい満喫する仲間たちの様子や、オリバーに対する二家の評価も興味深かったですけど、各キャラの思いや掘り下げもさらに進んで、マルコとテレサそれぞれのエピソードもなかなか良かったですね。今回の話が楽しかったからこそ、むしろここから先の展開は不穏な予感しかないです(苦笑)
七つの魔剣が支配する Side of Fire 煉獄の記 (電撃文庫)
七つの魔剣が支配する Side of Fire 煉獄の記(1)
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宇野 朴人/ミユキ ルリア KADOKAWA 2023年03月10日
オリバーたちが入学する五年前。魔法使いの家に生まれながら落ちこぼれと蔑まれた少年・ゴッドフレイが「魔法使いの地獄」と称される名門キンバリー魔法学校の合格通知を得て人生が一変する外伝。失敗だらけの受験行脚で得たひとつきりの合格通知。初歩の呪文ひとつ満足にこなせない状態で入学し、他の生徒たちからは笑いものにされる日々。そこからカルロスの危機を救った転機があって、志を持つゴッドフレイのバカ正直に向き合う姿勢に心揺さぶられ、慕うようになってゆく仲間たちがいて、彼の今があるんですね。ゴッドフレイの掘り下げも進んで、ティムとオフィーリアの一年生コンビの変わってゆく様子もなかなか良かったですけど、このタイミングでこれが出たのはこれからいろいろ効いてくるんでしょうね…。
恋は双子で割り切れない5 (電撃文庫)
恋は双子で割り切れない5
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高村 資本/あるみっく KADOKAWA 2023年03月10日
純の誕生日に琉実と那織から誘われて一緒に向かった横浜でのデート。かつて付き合っていた琉実にとっても思い出の場所で、純が二人に自分の想いを告げる第五弾。双子と純の関係を一度は変えることになった琉実の告白から純と二人で過ごした甘酸っぱい日々。同時に不可避だった葛藤と罪悪感、そして関係性が変わっても些細な部分が目についてしまう三人の距離感。幼少時から彼に与えていた影響の大きさや、これまで積み重ねられてきた関係性を思えば個人的には必然とも思える結末でしたけど、彼女の複雑な思いは面倒くさいなと苦笑いしつつ、でもそれは三人の関係性が彼らにとってはやはり不可欠だからで、これはこれでやはり必要なプロセスだったんだろうなと納得感がありました。
怪物中毒2 (電撃文庫)
三河 ごーすと/美和野 らぐ KADOKAWA 2023年03月10日
仮面舞踏街をを陰で支配するBT社から流出し、街の在り方すらも変えた規格外の《怪物サプリ》。欲望渦巻き騒がしくなる夜に、幻想清掃の面々が害獣駆除に駆り出される第二弾。亡き後輩のためサプリ流出事件捜査の依頼主を買って出た命。そして誘われる死人形の廃ビル、SNSで伝染・増殖する最悪の都市伝説に挑む零士・月・蛍の三人。普通の暮らしに憧れる二人の足元を見て酷使する楢崎のゲスさがますます極まってましたけど、彼らと同じ貧乏仲間で異能の持ち主でもあるちょっと変わった蛍だったり、命やネリたちのキャラも掘り下げながら、あまりにも自己本位で歪んだ欲望を発露させて引き起こされた今回の惨劇に対して、それでも何とか収束させるべく奔走するギリギリの熱い展開があって、彼らの思いとその絆がもたらした結末はなかなか良かったですね。
わたしの百合も、営業だと思った? (電撃文庫)
わたしの百合も、営業だと思った?(1)
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アサクラ ネル/千種 みのり KADOKAWA 2023年03月10日
最推しアイドル・鐘月かりんの「卒業」を半年も引きずる若手女性声優・仙宮すずね。そんな彼女の事務所に新人声優として鐘月かりんが現れるガールズラブコメ。突然の推しの再供給に内心完全に浮かれつつ表向きでは平静を装い、一定の距離を保とうとするすずね。あえて先輩と後輩としての関係でいようと決めたはずが、ぐいぐい距離を詰めてきて意外な一面を見せる彼女を意識せずにはいられなくて、必死に隠していたのについに暴かれてしまうお互いの想い。そしてシビアな声優業界の現実も描きながら、巻き込まれてゆくトラブルの中でお互いを気にかけて、絆を深めてゆく二人の関係とその結末はなかなか良かったですね。
ミリは猫の瞳のなかに住んでいる (電撃文庫)
【第29回電撃小説大賞《金賞》受賞作】
ミリは猫の瞳のなかに住んでいる(1)
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四季 大雅/一色 KADOKAWA 2023年03月10日
瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する大学生・紙透窈一。退屈な大学生活の最中、野良猫の瞳を通じて未来視の少女・柚葉美里と出会うボーイ・ミーツ・ガール。猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立する中でミリが依頼する、これから周囲で起きる連続殺人事件が起きる運命を変えて欲しいという願い。演劇部に入部して探る中で浮かび上がる人間関係、容易には変えられない運命、そして彼女の言葉を巡る真相。彼女とのことだけでなく、演劇や連続殺人もあってページ数のわりには詰め込まれた要素がやや多かった感もありましたけど、何が真実で嘘なのか、積み重ねられたヒントから気づいてたどり着いて見せたその結末は悪くなかったですね。