今回は23年1月の電撃文庫新刊感想まとめです。 内訳は電撃文庫の新作3点、続巻4点の計7点になります。どれもおすすめできる作品なので、気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。
※下記紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
不可逆怪異をあなたと 床辻奇譚 (電撃文庫)
怪異に満ちた地方都市・床辻市で起きた全校生徒が消失する『血汐事件』。遅刻して偶然難を逃れた青己蒼汰が、事件に巻き込まれた妹・花乃の身体を取り戻すため呪刀を振るう都市伝説怪異譚。数少ない手がかりをもとに、借り受けた呪刀を携えて市内のオカルトを追う蒼汰の前に現れた謎の少女・一妃の存在。花乃の身体はどこに隠されたのか。そして凄惨な事件は何故起きたのか。伏線も回収しながら真相に迫る中で見えている構図も二転三転して、いくつもの激闘と難しい判断の末に神経が太い主人公でなければおそらくたどり着けなかった結末と、その裏に隠されたもうひとつの真相の持つ意味がなかなか深くて唸らされました…。
春夏秋冬代行者 暁の射手 (電撃文庫)
島国『大和』北端の大地エニシで空に矢を放ち、夜の天蓋を切り裂く暁の射手の少女・巫覡花矢。密かに高校にも通う彼女と傍らに寄り添う守り人・巫覡弓弦の物語。花矢に守り人の後継者として指名され、守り人として彼女のために心を砕いてきた父の後を継いだ弓弦。守り人となることを運命とすら感じていた弓弦に対し、彼を縛り付けているのではと憂慮する花矢のすれ違い。そして心が通じあえた思いかけた矢先の暗転。現人神である花矢もまた一人の少女で、葛藤する彼女の窮地を助けようとするそれぞれの主従のあり方も印象的で、慧剣の変貌ぶりにも驚かされましたけど、かけがえのない大切なもののために奔走したその結末は本当に良かったです。
わたし、二番目の彼女でいいから。5 (電撃文庫)
あれから二年。逃げるように京都の大学へ進学し、鬱屈した生活を送る桐島。しかしまた新たな出会いから、過去への悔恨と新しい恋の狭間で揺れ動く大学生編の第四弾。新ヒロイン遠野や宮前、彼を受け入れてくれた友人の存在もいて、新しい居場所で友人の恋を応援する桐島。けれど前半のキラキラするような大学生活も、蓋を開けてみれば相変わらずの欺瞞に満ちていて、思ってもみなかった再会もあって、周囲がいい人たちで良かった…としみじみ思ったその結末もまた、選択を間違えれば全てを失いかねない、新たな波乱の始まりでしかなかったんですかね…知らないってほんと怖い。この混沌とした物語に必要不可欠な見届け役として、大学生になっても巻き込まれる不憫な浜波のツッコミは今回も健在で、いろんな意味でキレてましたね(苦笑)
ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います6 (電撃文庫)
ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います6
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香坂 マト/がおう KADOKAWA 2023年01月07日
社会人にとって癒しのひと時である長期休暇を目前に控えてうきうきなアリナが直面する新ダンジョン発見ラッシュ。アリナの前に偽の処刑人が現れる第六弾。ひとつ発見されただけでさえ莫大な残業と休日出勤をもたらす新ダンジョンが、五つ同時に見つかってしまう絶望、そしてダンジョンの処分を進めるアリナが出会う自分とそっくりな偽者の存在。総力戦で残業を終わらせて向かった実家ではわりと物語の核心に迫るような展開が待っていましたけど、これ現時点の力の差を考えるとなかなか前途多難ですね…そんな中で実家の家族のほのぼの感だったり、ハイスペック物件扱いをされるジェイドに対する態度の変化だったりは今回の癒やしでした。
Mother D.O.G (電撃文庫)
猟奇殺人事件が世間を騒がす大都市。不釣り合いな大きな傘を携えた少女・夜子と顔に傷がある青年サトルが、人を装って群衆に紛れ込む怪物を狩るダーク・アクションファンタジー。D.O.Gと呼ばれる遺伝子を操作された生体兵器たちを殲滅するため、手がかりすらない事件の話を聞きつけはるばるやってきた二人。彼女たちが対峙した人狼、悪魔、巨人といった怪物たち、そして夜子とサトルが背負う何とも業の深い背景があって、二人の出会いや関係がまた来るものがありますけど、タイトルの意味をつい考えてしまう展開の中で、目をそらさずにしっかり向き合う夜子、そして彼女に寄り添うサトルのこれからをまた読んでみたくなりました。
少年、私の弟子になってよ。~最弱無能な俺、聖剣学園で最強を目指す (電撃文庫)
少年、私の弟子になってよ。 ~最弱無能な俺、聖剣学園で最強を目指す~(1)
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七菜 なな/さいね KADOKAWA 2023年01月07日
全人類に聖剣が宿る世界。聖聖剣が宿らなかった少年・阿頼耶識が、憧れの世界最強の天才聖剣士ラディアータの弟子として世界の頂点を目指す学園ファンタジー。聖剣演武で絶大な人気を誇りながら、若くして事故で引退したラディアータと、昔交わした約束で師弟関係を結び、聖剣・無明を託されて三年で世界の頂を穫ることを誓った識。天才だけれど浮世離れしていて、どこかポンコツな彼女に振り回されながら切磋琢磨し、学園に何とか入学を果たした識が、推薦組のピノや練習嫌いの比燐といった学園で出会った魅力的なライバルたちと戦う中で加速度的に成長してゆく展開はなかなか熱かったです。まだまだ未熟な師弟がどこまで駆け上がることができるのか、続巻に期待の新シリーズですね。
男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 6. じゃあ、今のままのアタシじゃダメなの? (電撃文庫)
七菜 なな/Parum KADOKAWA 2023年01月07日
かつて永遠の友情を誓い合った悠宇と日葵が運命共同体となって早一ヶ月。黒字化を賭けた日葵プロデュースの販売会を実施する第六弾。恋と夢は両立できないと言う雲雀、恋人は親友にはなれないと言う咲良。兄姉たちの声に対抗心を燃やした日葵プロデュースの販売会。しかし果たして今回のコンセプトがそれでいいのか、どこか違和感を拭えない悠宇の前に現れた、日葵をyouと勘違いする自称の一番弟子の中学生・城山の突き刺さる指摘。関係が変わったことで目指すものが迷走しかけている二人がぶち当たった壁、それを自覚しつつある日葵はどうするのか、いずれ避けられない展開だとは思っていましたけど、どこまでも真摯な榎本の言葉がなかなか重いですね…。
このあたりは近いうちに読みます。
声優ラジオのウラオモテ #08 夕陽とやすみは負けられない? (電撃文庫)
狼と香辛料XXIV Spring LogVII (電撃文庫)