今回は8月MF文庫J・オーバーラップ文庫新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jが続刊3点、新作1点、オーバーラップ文庫が続刊5点の計9点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※下記紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
義妹生活9 (MF文庫J)
学校では『恋人』、家では『兄妹』。すりあわせによって適切な距離を見つけた悠太と沙季が、直後、両親のいない『完全に二人きりの二日間』を過ごすことになる第九弾。両親が一周年記念旅行で不在の中、ルーティンを意識して悠太との適度な距離感を維持しようとする沙季と、変わってゆく周囲との関係性。球技大会でのそれぞれが見せた頑張り、丸の最後の高校野球の夏を真綾の誘いで一緒に観戦したりと、悠太自身も少しずつ変わりつつあると思うんですけど、それ以上に彼に見守られているという安心感を得て、変わっていくことを許容して前向きに自身の世界を広げるようになった沙季の変化がいいですね。ほんとにいい関係になってきたなと感じますし、そんな二人をこれからも見守りたいです。
シャーロック+アカデミー Logic.2 マクベス・ジャック・ジャック (MF文庫J)
シャーロック+アカデミー Logic.2 マクベス・ジャック・ジャック
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紙城 境介/しらび KADOKAWA 2023年08月25日
寮の先輩フィオナの誘われ助手となった不実崎未咲。一人の大富豪が犯罪王の計画書〈マクベス〉を手に入れ、そのお披露目をする島に二人で向かう第二弾。名のある探偵を招待し、推理イベントを全世界に配信するはずが、集められた名探偵たちの前で本当に起こってしまう殺人。さらにホログラムがハックされ、島は、目に見える物全てが信じられない絶海の孤島へと変わってしまう展開で、意外な一面も垣間見せる印象的なヒロインたちの魅力を絡めながら名探偵が推理を繰り広げる中、先輩に背中を押された不実崎が様々な過去の因縁を断ち切るべく立ち上がる熱い展開とその結末は、この巻の始まりからすると全く予想できなかったですけど、これはこれでとても良かったです。
午後4時。透明、ときどき声優2 (MF文庫J)
超人気声優・香家佐紫苑の「替え玉」としてオーディションでアニメ映画の主演を勝ち取った山田良菜。しかし替え玉を知った監督から二人の入れ替わりをやめることを提案される第二弾。二人が入れ替わっていた事実を公表したらどうなるのか。良菜と紫苑がこれからどう在りたいのか。向き合えば向き合うほど答えはひとつしかなくて、決断に関係者たちは意外と冷静だったり好意的で、とはいえ真摯に仕事に向き合ってきた人たちからの問いかけは全くもってその通りでしかなくて、1巻目では当然賛否もあった入れ替わりでしたけど、結局は仕事で結果で応えていくしかないんですよね。向き合って自覚してスランプも乗り越えて、お互いにないものを持った刺激しあえるいいライバル関係になった二人のこれからに期待です。
ブラックガンズ・マフィアガール (MF文庫J)
極限のリアリティを実現した仮想世界『VRSNS』で他者と交流を深める近未来。次世代マフィア・電賊が蠢めくその闇社会で普通の高校生・日野ナオトがマフィアの一員マーリアに遭遇するボーイミーツガール。彼女に関係者と誤解されただけでなく、彼女の仮想兵器L・O・S・Tをインストールしてしまうナオト。組織内の様々な思惑が絡み合う中で、二週間以内に事態を解決しなければ組織から処刑されることになったマーリアと、命の保証を受けたいナオトが結ぶ契約関係。彼のことを知るために学校に編入したマーリアとの思わぬ日々もありましたが、状況的にはナオトが否応なしに巻き込まれるのは必然で、複雑な境遇の彼女を知り救いたいと思うようになってゆくナオトの成長と、彼女のために奔走する熱い展開の末に二人が迎える結末はなかなか良かったです。
10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 3 (オーバーラップ文庫)
10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 3
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館西夕木/ひげ猫 オーバーラップ 2023年08月24日
クソガキ³人組の最後の1人源道寺朝華とも無事に再会できた有月勇。妙に甘えてくる朝華に戸惑いつつも、10年ぶりに4人で過ごす夏が始まる第三弾。彼女たちの過去エピや新世代クソガキたちのエピソードも絡めながら、祭りやプールにキャンプと勇にぃと一緒に夏を満喫する美少女JK3人を描く展開で、分かりやすく慕っていて共通点を持つ未夜や、隙あらば抜け目なくアプローチする朝華は分かりやすかったですけど、一見そんな風に見えない真昼もまた、ずっと抱えてきた強い想いがあったんですね…。勇にぃに対するそれぞれの想いがどう関係を変えてゆくのか、楽しみであると同時に四人の関係性もいい感じなだけに今後が気になるところではあります。
ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた 2 (オーバーラップ文庫)
ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた 2
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遥 透子/秋乃える オーバーラップ 2023年08月24日
『推し』たちと隣人になった上に幼馴染の真冬まで同じマンションに引っ越してきた大学生・蒼馬。カオスな日常が続く中、『推し』声優であるひよりのライブ開催が決定する第二弾。ライブ決定を喜ぶ蒼馬はひよりのサポートをしたり、大学ではミスコンの出場を断る真冬を説得するよう頼まれたりする中、蒼馬のためならと真冬が承諾したミスコンの日程が、実はひよりのライブと被っていることに気づく蒼馬。いい感じにまとまったなと思う時こそまさかの落とし穴が待つ展開でしたけど、しっかりとその想いを理解してもらえているからこその優しさがとても心に染みました。蒼馬を意識しつつあるヒロインたちと行く旅行がどうなるか今から楽しみですね。
反逆者として王国で処刑された隠れ最強騎士2 (オーバーラップ文庫)
反逆者として王国で処刑された隠れ最強騎士 2 蘇った真の実力者は帝国ルートで英雄となる
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相模優斗/GreeN オーバーラップ 2023年08月24日
帝国で特設新鋭軍の騎士となり、反皇女派貴族との内戦を勝利に導いたアルディア。一ヶ月後、過去に王国から攻め入られたディルスト地方の防衛をするため調査を命じられる第二弾。前世の記憶を共有するヴァルトルーネと王国の侵攻を予期して戦の準備をしていたところに、別部隊が敵から襲撃されたとの報せを受けて救援へ駆け付けるアルディア。そこで目にした仲間の死を引き金に彼の中に眠っていた本性が覚醒してゆく展開で、そこで思わぬ強敵と遭遇することもありましたが、物語としても今後に向けた大きなターニングポイントだったのかなと感じる一方で、酔ったリツィアレイテがアルティアに絡んだのを知って、つい彼に詰め寄って対抗しまう可愛い一面を見せてくれたヴァルトルーネとの今後も気になりますね。
凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ 2 (オーバーラップ文庫)
味山只人を含む各国の探索者が受けた、行方不明となったトオヤマナルヒト捜索の指名依頼。訪れた第二階層大草原地帯で接触禁止指定怪物種参號“耳の怪物”に遭遇してしまう第二弾。只人に執着するアレタや貴崎とのそれぞれのやりとり、彼を巡る緊張感ある関係性がなかなか微笑ましかったですけど、だからこそ遭遇した耳の怪物相手に【攻略のヒントを聞く異能】が提示する選択肢が、どれを採用してもいずれも仲間の死が不可避という絶望感が半端なくて、突きつけられた選択肢にそれでも只人が選んだ覚悟、そして信じた仲間たちの見せ場もいろいろありましたけど、只人が自らの持てる力を駆使して諦めずに抗う熱い想いが引き寄せてみせたその結末はなかなか良かったですね。
黒鳶の聖者 6 ~追放された回復術士は、有り余る魔力で闇魔法を極める~ (オーバーラップ文庫)
黒鳶の聖者 6 〜追放された回復術士は、有り余る魔力で闇魔法を極める〜
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まさみティー/イコモチ オーバーラップ 2023年08月24日
天界からセントゴダートに戻ってきたラセル達。魔物が溢れ出る魔峡谷へ対応する仕組みが整った頃、エマの依頼で谷を挟んだ隣国バート帝国の調査に向かう第六弾。ケイティや共にいるはずのヴァンズ、行方を絶った密偵セカンドをを探すため帝国へ向かうことになったラセル一行。そのためには居住実績のある人物の同行が必要で、彼らと一緒に同行してくれることになった故郷アドリアに住むヴィクトリア。シャーロットという規律が存在しない力に支配された帝国で、ヴィクトリアに刻まれた傷と痛ましい過去の因縁が明らかになってゆく展開でしたが、彼女の因縁に決着をつけると同時に不当に搾取されていた姉弟も救われる展開はなかなか良かったです。若干遠回りしましたが、これからが依頼の本番ですね。