真キャラ文芸/ライト文芸は最近刊行点数も多く、何を読んでいいのかチョイスがなかなか難しかったりもします。これまでは単巻ものやシリーズ新作紹介が中心でしたが、それだけではカバーできない部分も結構多いので、自分が読んでいるシリーズの中から今年刊行があった、あるいは続巻刊行予定があるまだ比較的巻数少なめの注目シリーズを今回紹介したいと思います。
1.メイデーア転生物語 (富士見L文庫)
メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女
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友麻碧/雨壱 絵穹 KADOKAWA 2019年10月15日頃
幼馴染に片想いしていた前世を時々夢に見る辺境貴族の令嬢マキア。運命的な出会いを果たした少年トールと魔法を学ぶ楽しい日々を過ごしていた彼女が、引き離されたトールと再会するために奮闘する転生ファンタジー。トールが救世主の守護者に選ばれ引き離されてしまう二人。トールと再会するため王都で最高峰の魔法学校を目指すマキア。学校では個性的な仲間もできて、選ばれていた救世主がまた前世でいろいろと因縁のあった存在で、抗いがたい運命に翻弄されるマキアとトールが大切な絆を守っていけるのか、続巻がとても楽しみなシリーズですね。20年8月3巻目刊行。
2.わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)
顎木 あくみ/月岡 月穂 KADOKAWA 2019年01月15日頃
名家に生まれたものの実母を早くに亡くし、継母と義母妹に虐げられて育った美世。そんな彼女が名門だけれど冷酷無慈悲と噂の若き軍人・清霞への嫁入りを命じられる物語。義妹のように異能も発現せず、使用人のように扱われていた美世に訪れた転機。我儘放題のお嬢様に辟易していた清霞と、自信なさげだった美世が少しずつ心を通わせてゆく積み重ねがとても良かったですね。因縁ある彼女の実家とはとりあえず決着が付きましたけど、彼女の生い立ちにまつわる謎もまだ残っていて二人のその後に期待したいシリーズです。20年9月4巻目刊行予定。
京都府警あやかし課の事件簿
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京都府警が擁する「人外特別警戒隊」通称「あやかし課」。入隊したばかりの新人女性隊員・古賀大が仲間たちと京都の平和を守るために古都を奔走する物語。警察と神社の合同組織の仲間たちと共に、詩の創作に悩む女子大生と鬼の関係、命盛寺の鎮魂会、祇園で行方不明になった鬼の娘の捜索、斎王代の呪いといった事件に挑む展開で、ちょっと変わった名前の武闘派ヒロインが抱える秘密にビックリしましたが、ワケありのエース塔太郎や頼れる仲間たちもよく動いて、街の人々だったりあやかしとうまく共存していこうとする展開はなかなか良かったですね。20年9月4巻目刊行予定。
4.リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)
リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 - 鳥が遺した勲章 -
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瑚池 ことり/六七質 集英社 2020年04月17日
兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれる素敵な物語ですね。20年8月4巻目刊行予定。
5.蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)
蠱毒をこよなく愛し周囲から「毒の姫」とあだ名される斎帝国の第十七皇女・李玲琳。そんな彼女が最愛の姉である斎国の女帝・彩蘭の指示で魁国の王・楊鍠牙のもとへ嫁ぐ物語。華やかな衣裳や宝石より蟲が大好きな著者さんらしい強烈なキャラクターですけど、嫁ぎ先もまた鍠牙が命を狙われたりいろいろ物騒なところで、彼女の特技を活かしてその存在を認められてゆく展開はいいですね。姉に劣らず鍠牙も少しばかり執着気味なのはアレですが、結果から見れば水が合ったと言うかいい居場所を見つけられた彼女の今後に期待のシリーズ。20年8月に4巻目刊行。
大陸西方の相国で部署を渡り歩いて勤続十年の三十路手前の女官吏・陶蓮珠。新皇帝の双子の弟・郭翔央から声を掛けられて、新皇帝が娶る予定だった威国の妃の身代わりとなる中華後宮ファンタジー。威妃を迎えに行くと新皇帝が姿をくらませ、双子の弟・翔央と共に威国語を話せる蓮珠がその身代わりを務める展開。官吏としては有能で、自ら抱えてきた想いや翔央から聞いた志から、新皇帝即位を巡る陰謀を何とかしようとして空回りする蓮珠がやや危なっかしかったですが、そんな中でお互い惹かれつつある翔央との今後がなかなか楽しみなシリーズですね。20年7月4巻目刊行。
7.准教授・高槻彰良の推察 (角川文庫)
准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき
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澤村 御影 KADOKAWA 2018年11月22日頃
幼い頃に遭遇した怪異によって人の嘘がわかる耳を持ち、それゆえに孤独になってしまった大学生・深町尚哉。そんな彼が怪異に目がないイケメン准教授・高槻と出会い、常識担当の助手として様々な事件に遭遇するミステリ。いないはずの隣の空き部屋から聞こえる奇妙な音の正体、ふと気がつくと周囲にいつも針が落ちている呪い、肝試しに出かけて神隠しに遭った少女。高槻を理解する周囲の人々もなかなか印象的で、孤独な尚哉を分け隔てなく受け入れてくれる彼らの優しさが染みますね。幼い頃に奇妙な体験をした二人に期待のシリーズです。20年5月4巻目刊行。
後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、続きが楽しみなシリーズです。20年4月4巻目刊行。
華人移民を母に持つフランス生まれのマリー・趙が、革命後の混乱から救ってくれた清王朝・乾隆帝の第十七皇子・永璘お抱えの糕點厨師見習いとして北京で働くことにばる中華ロマン小説。マリーがフランスの菓子職人見習いから清の御膳房に立場を変えて戸惑い苦労する様子はなかなか興味深いものがありましたけど、永璘不在の不安な状況でも試行錯誤しながらの頑張り認められ、自分で居場所を得てゆくマリーの前向きな姿勢がなかなか良かったですね。何かとマリーを気にかけてくれる永璘との関係性が、これからどう変わってゆくのか続巻に期待のシリーズ。20年4月2巻目刊行。
10.谷中びんづめカフェ竹善 (集英社オレンジ文庫)
谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話
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竹岡 葉月/勝田 文 集英社 2019年05月17日頃
大学デビューし損ねた「猫の町」谷中に住む女子大生・紬。故郷から送られてくる大量の野菜を持て余し、こっそり捨てようとして謎の英国人セドリックと出会う物語。コミュ障で趣味の手芸に生きがいを見出していた紬にとって転機となった。「びんづめカフェ」を営むセドリックとの出会い。彼の血の繋がらない息子・武流の家庭教師として関わる過程でいろいろ交流も増えていきましたけど、過去の複雑な事情が明らかになっていったあの親子との関係や距離感がここからどのように変わってゆくのか、これからの展開がちょっと気になるシリーズですね。20年6月に3巻目刊行。
11.君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫nex)
両親の離婚で引っ越してきた高校一年生の舞奈。地元の川でカヌーを操る少女・恵梨香に出会った彼女が、一緒にながとろ高校カヌー部に入部する青春部活小説。長年コンビを組むも少しずつ想いがすれ違ってきた先輩の希衣と千帆。実力者恵梨香の出現による希衣の決意。初心者の舞奈は今後に期待ですけど、過去に執着していたり今の自分を見て欲しいと願う、それぞれの繊細で複雑な心情を巧みに描きつつ、ずっともやもやしていた思いをぶつけ合って、前に進む力に昇華させてゆく展開にはぐっと来るものがあります。20年8月3巻目刊行。
12.平安あや解き草紙 (集英社オレンジ文庫)
平安あや解き草紙 〜その姫、後宮にて天職を知る〜
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東宮への入内話が立ち消えになり、婚期を逃したまま実家に居座っている左大臣の娘・藤原伊子。そんな彼女に今は亡き東宮の息子である今上帝が入内を希望してくる平安お仕事ミステリー。十年前に別れた恋人・嵩那との間にあった誤解、そして伊子が初恋の人だったという今上帝という何とも複雑な距離感の関係も交えつつ、帝の熱烈な要請によって尚侍として入った年相応にこなれた感のある伊予が好みで、嵩那とも協力しながら後宮で起こる事件を解決してゆく展開は面白かったです。恋の行方も気になるその後のお話がまた読めたらいいなと思いました。20年6月4巻目刊行。
13.威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)
その出自から瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛。皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われ命を失った彼女が、謀反を起こして虐げられる原因となった皇帝の愛妾・柳雪媛として目覚める中華幻想復讐譚。未来を変えるため柳雪媛として過去をやり直すことになった玉瑛と、その護衛役に任命された生真面目な若き武人・王青嘉の因縁の出会い。お互いの真意を知らずに反発し合っていたはずの二人がいつの間にか奇妙な縁で紡がれていって、二人だけにしか分からない何とも複雑な感情を育んでゆくこの主従の絆に期待したいシリーズですね。20年7月4巻目刊行。
後宮妃の管理人 〜寵臣夫婦は試される〜
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しきみ 彰/Izumi KADOKAWA 2019年05月15日頃
右丞相の珀皓月と結婚し、妃嬪の健康管理と美容を維持して後宮を管理することを帝より命ぜられた大手商家の娘・優蘭。女装して後宮にたびたび出入りする夫とともに夫婦で後宮の闇に挑む物語。背景に政治的対立もあったりで、妨害工作の末に身の危険を感じたりしながらも、損得勘定を計算しつつも、要所を抑えて妃嬪たちに向き合っていく優蘭がいいですね。高級貴族で美丈夫の皓月もワケありでいろいろ大変なんだなあと思いつつも、不器用なりに妻となった優蘭を大切にしようという思いが感じられてよかったです。20年6月3巻目刊行。
お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課
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竹林 七草 集英社 2017年08月22日頃
入社式当日に会社が倒産し路頭に迷った朝霧夕霞。失意の中で公園の掲示板にあった国交省臨時職員募集の貼紙を見つけ、特殊能力を買われて採用されるあやかしお仕事小説。夕霞が不可思議な採用試験を乗り越え採用された、国土開発の妨げになる地縛霊などを立ち退かせるのが仕事で実質的に「人」が夕霞しかいない謎の部署「幽冥推進課」。自殺したアイドルや事故死で家に帰れなくなった会社員、百五十年も橋を守り続けてきた少女など、真っ向から向き合い体当たりでその心残りを解消してゆく夕霞の奮闘ぶりはなかなか良かったです。20年8月5巻目刊行予定。
16.薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫)
医者から処方された薬で足の痒みが治まらず悩んでいたホテルマン水尾爽太。再診後の薬局で薬オタクの女性薬剤師・毒島と出会う薬剤ミステリ。ホテル客室の塗り薬紛失事件に、薬の数が足りないと訴える老人、痩身剤を安く売る病院など、他のことには興味が薄いのに薬が関わると俄然行動力を発揮する毒島の存在感と、そんな彼女が気になる爽太が事件を解決していく展開はなかなか面白かったです。病院や薬剤師、薬の豆知識もあったりで、わりと踏み込んだのに進展しない二人の関係はなかなか遠い道のりですけど、続巻に期待のシリーズです。20年5月2巻目刊行。
17.さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)
臆病であることを誇る高校生・香屋歩と幼馴染秋穂が迷い込んだのは、8月がループする街「架見崎」だった。戦闘の役に立たない能力を希望した二人が、乏しい物資を巡る戦争に巻き込まれてゆく物語。設定されたルールの中で戦うゲームのような世界に飛ばされ弱小「キネマ倶楽部」に所属することになった二人が、いきなり戦闘に巻き込まれてゆく展開でしたけど、ゲームの本質を見極めつつ強者との駆け引きの読み合いで一歩先を行く二人は存在感がありましたね。もう一人の幼馴染がちょっと意外でビックリでしたが、続巻でどうなるか期待のシリーズです。20年9月4巻目刊行予定。
18.地獄くらやみ花もなき (角川文庫)
わけあって借金を抱えネットカフェを泊まり歩く放浪生活を送る青年・遠野青児。罪人が化け物に見える彼が迷い込んだ洋館で、白牡丹の着物をまとった謎の美少年・西條皓に住みこみの助手として屋敷で働くよう誘われる物語。鬼の代わりに罪人を地獄に届ける「地獄代行業」を営む皓を訪れる顧客たちが抱える事情とおぞましい真実、そして彼らにふさわしい結末。騙されて何度も怖い目に遭わされるのに、皓に確実に手なづけられてゆく青児の小市民っぷりが物語のいいアクセントになっていて、ライバル探偵・凜堂棘も登場したりな今後の展開が楽しみなシリーズです。20年9月に5巻目刊行予定。
19.昨日の僕が僕を殺す (角川文庫)
両親を失い支えてくれた叔母も亡くして小樽で孤独な一人暮らしをする高校生・淡井ルカ。そんな彼の窮地をベーカリーで働く訳ありイケメン店長汐見と人懐っこい青年・榊に救われるホラーミステリ。助けてくれた汐見と榊たちの意外な正体を知り、それと周囲で起こる事件の関連に疑心暗鬼を募らせてゆく展開で、生い立ち故にいろいろ考え過ぎてしまう性格が事態を拗らせていくわけですが、それでも真実を知ろうと目をそらさず向き合うことで、自分を支えてくれている人たちの温かさを知る結末はなかなか良かったです。20年3月3巻目刊行。
20.太陽と月の眠るところ 紫微国妖夜話 (小学館文庫キャラブン!)
太陽と月の眠るところ 紫微国妖夜話
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宮池 貴巳/由羅 カイリ 小学館 2019年01月04日頃
幼少時から驚くほど不運なのに奇跡的に科挙に登第して進士となった青年・梁脩徳。しかし赴任先の侶州は鬼怪が跋扈する妖しい西方の僻地で、日々勃発する怪異事件に巻き込まれてゆく中華風怪異譚。基本的にいろいろな意味で残念な脩徳は怪異の引き寄せ体質で、それを辛辣な部下たちに利用される日々。様々な怪異に脅かされて、辛過ぎる料理に辟易し、素敵な女性との出会いがあったら中身はあれで、災難続きでしたけど転任願いを出そうにも採用された理由が理由と、選択肢を考えるとこれはもう諦めるしかないですね(苦笑)20年7月3巻目刊行。
福岡の古いビル2階にある小さなお店「文月」。三日月から満月の間だけ営業する店主の文が作る季節のちょいご飯が訪れる人たちの心を癒やす物語。思うような仕事ができないインテリアデザイナー、結婚を焦るアラサー女子、地方出版社の編集、実家の和菓子屋を手伝う男の憂鬱、突然亡くなった友人、人事部の古株女子社員、受付社員の片思い、仕事に生きる百貨店員といった登場人物同士を絡めつつエピソードを構成する中で、のんびりとマイペースな文がまたいい感じに効いていました。巻末レシピも良かったですし続編が楽しみなシリーズ。20年6月2巻目刊行。
22.暁花薬殿物語 (富士見L文庫)
佐々木 禎子/サカノ 景子 KADOKAWA 2018年07月14日頃
薬師を目指していたはずが代役で急遽入内することになってしまった暁下姫こと千古。大貴族出身4人の后候補が揃う宮廷でうまく抜け出すことばかり考えていた彼女が、帝と出会い少しずつ変わってゆく平安宮廷風ファンタジー。幼馴染や乳母たちと共に後宮入りすることになったお転婆で快活な千古が巻き起こす数々の騒動。宮廷内で味方もなく孤立する案外似た者同士だった帝との意外な出会い。そんな彼女が周囲に支えられつつらしさを発揮し、帝とも前向きに向き合うようになってゆく展開はなかなか良かったです。20年8月4巻目刊行。
23.王妃ベルタの肖像 (富士見L文庫)
西野 向日葵/今井 喬裕 KADOKAWA 2020年03月14日頃
王妃と仲睦まじいと評判の国王のもとに、巡り合わせで第二妃として嫁いだ南部領主の娘ベルタ。王宮で無難に過ごそうと思っていたベルタが予想外の妊娠をしたことで、状況が変わってゆくファンタジー。数年したら実家に帰るつもりで後宮入りしたのに、まさかの懐妊がもたらしたベルタを巡る心境の変化。最初からボタンの掛け違えで始まった国王との関係はお互い掴み切れずにおっかなびっくりで、もっとお互いを知ろうと努力する必要を感じましたけど、ほろ苦い事件を乗り越えた二人が何だかんだでいい夫婦になりそうだなと思えた結末が印象的でした。20年9月に2巻目刊行予定。
陰陽師と無慈悲なあやかし
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いつか一人前の陰陽師になることが夢の陰陽寮の童顔な新米役人・大江春実。うっかり召喚した美形のあやかし・雪羽に取り憑かれながら左大臣家で起きた怪事件に挑む物語。先輩の頼尚ととともに左大臣の邸・万華院へと向かい、雪羽に振り回されながらも幼い七姫に出会った春実が、頓死した使用人の男の事件の謎を追う展開で、万華院に住む人々が抱える複雑な想いが垣間見えましたけど、事件の真相はちょっと意外な結末でした。今回親交を深めた七姫との今後や謎も多い雪羽との関係が気になる続巻に期待のシリーズです。20年2月に2巻目刊行。
25.破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S (メディアワークス文庫)
破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S(1)
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ある怪事件と同時に消えた国家機密ファイル。事件当夜現場で目撃された大学生・戻橋トウヤと「特務捜査」部門CIRO-Sに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子が二人で協力して事件とファイルの捜査にあたるサスペンスミステリ。示唆される特殊能力の存在と、自らを賭けることを厭わない危ういトウヤの狂気、彼を放っておけず一緒に捜査する珠子。特殊能力を持つ相手に大胆な駆け引きで勝負を挑み続けるトウヤと、正義感の強い珠子がなかなかいい感じのコンビで、彼らが挑むヒリヒリするような勝負の先にあった意外な結末がまた印象的な物語でした。20年9月4巻目刊行。
以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。今回反応が良さそうなら単巻もの、シリーズ新作もの編も考えたいと思います。