今回は9月の富士見ファンタジア文庫・MF文庫J・オーバーラップ文庫・MF単行本の新刊感想まとめです。内訳は富士見ファンタジア文庫のシリーズ続巻が2点、新作が2点、MF文庫Jの新作2点、オーバーラップ文庫の続刊2点、MF単行本の続刊1点の計9点になります。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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王様のプロポーズ5 真赭の賢者 (富士見ファンタジア文庫)
彩禍として滅亡因子討伐していて、〈空隙の庭園〉の魔術師適性試験を欠席してしまい、落第を通告された玖珂無色。落第回避のためエルルカ引率のもと丹礼島で一週間の補習授業を受ける第5弾。様々な事情から補習を受けるために集合した不知火浅葱、紫苑寺竜胆たち。滅亡因子が生息する地で課される素材集めや、一緒に海で遊んだりご飯を作る中で、いろいろ巻き込まれがちな無色の主人公補正が際立つ展開でしたが、一方で今回のキーマンだったエルルカの過去エピもなかなか効いていて、登場人物たち個々の掘り下げも進む一方で、暗躍していた人々もにいろいろ動きも出てきそうで改めてさらに楽しみになりましたけど、最後にさりげなく告げられたひとつの重い事実も今後に向けて気になるところではあります…。
経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その7 (富士見ファンタジア文庫)
長岡 マキ子/magako KADOKAWA 2023年09月20日
互いを思う気持ちは確かながら、すれ違いタイミングを逃してしまったリュートと月愛。それぞれの日常を右往左往しながら2人の気持ちは一つになり、夏へと向かう第七弾。高校三年生時代の彼らのエピソードをいくつか挟みながら描かれる、恋に憧れて行動を起こし始めた海愛、友人関係からなかなか進まないニッシーとニコルの関係、久しぶりに会ってその真意が気になる関家先輩。二人はもう四年も付き合ってるんだな…と積み重ねてきた関係をしみじみ思いましたけど、お互い覚悟を決めて一緒に行った沖縄旅行も何だかとても二人らしい結末でしたね（苦笑）とりあえず最後にもたらされた急展開の今後が気になるところではあります。
クラスのプライド高めなお嬢様。家では俺のメイド (富士見ファンタジア文庫)
波瀾 紡/うなさか KADOKAWA 2023年09月20日
一人暮らしの高校生・吾妻新之助が家事手伝いを依頼したら、学園の高嶺の花として有名なお嬢様・姫乃がメイド服を着てやってきた!?同級生にご奉仕される甘々青春ラブコメ。学園では高嶺の花のお嬢様で、絶対周りに言わないでと懇願されながら、週に一回彼女に料理や掃除の世話をしてもらえる生活。最初は秘密を同級生に知られて態度が硬かった姫乃も、新之助の口の堅さやお互いの事情を知ることで徐々に慣れて、垣間見える彼女の意外と不器用な一面をフォローするうちに少しずつ変わる距離感があって、距離の近い同級生にやきもきしたりもありましたけど、そんな彼女の存在に影響されて、それまでどこか無気力だった新之助もだんだんと変わってゆく二人の関係性が良かったですね。
英雄女騎士に有能とバレた俺の美人ハーレム騎士団 ガイカク・ヒクメの奇術騎士団 (富士見ファンタジア文庫)
明石 六郎/氷室 しゅんすけ KADOKAWA 2023年09月20日
たくさんの種族の少女を従えて貴族の私兵となっていた天才魔導士ガイカクが、最強の女総騎士団長に見出されていきなり騎士団長に抜擢されるファンタジー。ひっそりと違法魔導研究に没頭しつつ、売れ残り奴隷異種族少女たちの力をかき集めて力とする魔導技術を用いて、逃亡した実力者の騎士団員エルフや、脱走兵崩れの山賊を討伐したことで注目を集めるガイカク。その存在に気づいた総騎士団長から騎士団とするか試すため底辺集団に課されるいくつかの試練。悪役じみていても彼女たちを大切にして見捨てないガイカクと、上手く運用される最底辺奴隷たちの関係性がおそらくこの物語のキモで、タイトルや表紙の印象ほどハーレム感はなかったですが、一蓮托生になってしまった彼らの今後の活躍に期待。
カルネアデス 1.天使警察エルと気弱な悪魔 (MF文庫J)
綾里 けいし/rurudo KADOKAWA 2023年09月25日
お腹を満たすために、人間の恐怖心を得ようとしていた気弱な悪魔イヴ。捕まっても脱獄を繰り返すイヴを捕らえるべく派遣された天使警察のエリート・エルが運命の出会いを果たすファンタジー。追い詰めるエルと逃げるイヴが、襲撃を発端とする一連の怪事件を解決するため上司命令でバディを組まされる展開で、生真面目で天使の中でも孤立しがちなエルと、懐に入り込むのが上手いイヴの変化してゆく関係性がなかなか良かったですけど、この世界を形作る構図を巡って各種族の思惑が垣間見えてくる中、なぜ狙われていたのかが明らかになっていっても、そんなこと関係ないとばかりに揺るぎない絆をしっかりと見せてくれた、二人のこれからがとても楽しみなシリーズです。
エヴァーラスティング・ノア この残酷な世界で一人の死体人形を愛する少年の危険性について (MF文庫J)
高橋 びすい/なえなえ KADOKAWA 2023年09月25日
人口減少に直面して、法的には物と扱われる「死体人形」を巡り戦争が続く世界。亡国の皇子でとある特殊な能力を得た少年サクトと、戦う死体人形の少女がノアが繰り返す再会と別離のファンタジー。かつて逃げるところを助けられ、破壊されて初期化された死体人形の少女ノア。死体人形として彼女と同じ部隊に配属され、以前の記憶を持たない彼女と共に戦うことになったサクト。劣勢のアライアンスがユニオンに対抗するため、再利用される消耗品として戦線に投入される死体人形の際立つ特異性や、亡国を巡る様々な執着が描かれる中、ノアを何とか守り抜こうと奔走する彼の姿が印象的でしたが、過酷な状況を切り抜けた先に待っていたその結末にはなかなか来るものがありましたね…。いつか彼女を救う未来はあるのか、これからの展開に期待。
現役JKアイドルさんは暇人の俺に興味があるらしい。 2 (オーバーラップ文庫)
星野星野/千種みのり オーバーラップ 2023年09月22日
ゲーセンや食べ歩き、文化祭、さらには夏祭りを一緒に過ごしたことで距離が縮まった閑原航と桜咲菜子。そんなある日、航が何者かに屋上に呼び出される第二弾。呼び出したご当地アイドルの同級生・恋川美優はなぜか菜子と航の関係を認識していて、取引として彼女とデートすることになった航。彼を意識する美優相手の航のデート場所チョイスはなかなかあれだったり、自宅訪問ですっかり気に入られた菜子のご両親は実はなかなかヤバい感じで笑ってしまいましたが、菜子とも仲良くなった美優と航が急接近する様子を見て、負けられないと菜子が想いを自覚してゆく熱い展開はなかなか盛り上がりました。ここからまた物語も動きそうな今後の展開にさらなる期待が高まりますね。
灰の世界は神の眼で彩づく 2 俺だけ見えるステータスで、最弱から最強へ駆け上がる (オーバーラップ文庫)
KAZU/まるまい オーバーラップ 2023年09月22日
ステータスを閲覧できる『神の眼』を手に入れ、世界で唯一成長手段が見えるようになった天地灰。彼がかつての命の恩人である銀野レイナと再会する第二弾。数多のダンジョンを完全攻略し急速なレベルアップを遂げる一方、危機を助けた彩とも一緒にデートしたりと仲を深めてゆく灰。能力を使って不治の病だった妹も完治させてからのはしゃぐ二人が微笑ましかったですけど、再会した恩人レイナの存在は彼にとってあまりにもいろいろな意味で別格で強烈すぎて、ここまで地道に積み重ねてきて、なかなかいい感じになっていたはずの彩がちょっと可哀想になりました（苦笑）どこまで強くなっていくのかと思ってしまう灰の急成長っぷりですが、急展開でどうなるのか続刊に期待です。
柳内 たくみ/叶世 べんち KADOKAWA 2023年09月25日
カーリェ鉱山を巡る戦いで商売に精通するレオナを仲間に加えた一行。ただ目の前の依頼を受けるだけの状況から脱すべく、カンパニーの規模拡大を目指す異世界マネー×ミリタリーバトル第2弾。抜け目なく賞金首の盗賊団首領を捕らえたことをきっかけに、4つの大勢力がひしめくオアシス都市リトマンで駆け引きを繰り広げながら、出資を募るべく動き出すレオナたち。彼女たちがぶち上げた計画に賛同する投資家がいる一方で、後追いで手法をそっくり真似てくる対抗勢力も出てきましたけど、人脈作りと商売に長けたレオナと、いろんな意味で嗅覚に優れたフォクシーの両輪が噛み合って上手く回り始めましたね。新生カンパニーがこれからどんな活躍を見せてくれるのか期待感がありますし、今回もめちゃくちゃ面白かったです。
