今回は2月富士見ファンタジア文庫・オーバーラップ文庫の新刊感想まとめです。内訳は富士見ファンタジア文庫が新作3点、続刊4点、オーバーラップ文庫が新作1点、続刊4点の計12点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
夏目漱石ファンタジア (富士見ファンタジア文庫)
【第36回ファンタジア大賞<大賞>】
政府との闘争の中で瀕死の重傷を負い、森鴎外による禁忌の医術を受けて、元婚約者・樋口一葉の身体で蘇った夏目漱石。樋口夏子として従者の禰子を連れて神田高等女学校に赴任する文豪バトルファンタジー。女学生たちを教えて、時には生徒に慕われながら、元婚約者の姿で漱石と知られぬまま出会う知己の文豪たち。誰が自分を殺したのか。どうして鴎外は漱石を蘇らせたのか。そして作家をつけ狙う殺人鬼『ブレインイーター』の目的は一体何か。ストーリーとしては最初から最後まで斜め上の展開で、それぞれの特徴やリアルネタを効果的に使いながら、虚実入り交じるかつての文豪たちのキャラも効いていて、イロモノだろうと思って読み始めて、実際にはちゃめちゃな展開なのにそれでも面白いと思ってしまった自分に敗北感を覚えました(苦笑)
クラスの優等生を『妹』にする約束をした。どうやらいっぱい甘えたいらしい。 (富士見ファンタジア文庫)
クラスの優等生を『妹』にする約束をした。どうやらいっぱい甘えたいらしい。(1)
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氷高 悠/たん旦 KADOKAWA 2024年02月20日
父との不仲で家出した鷹戸流稀を助けてくれた同級生の加古川青緒。行く場所もない流稀が加古川家美少女三姉妹と家族契約を結んで同居生活を始める家族小説。学校では優等生なのに家では兄役の流稀にめちゃくちゃ甘えてくる青緒や、彼女の従姉で学校でも人気の先生・ゆかりとの同居生活が始まり、一方で突然同居することになった彼のことを認められず反発する青緒の妹・絆菜。歳上なのになぜか双子設定を主張するゆかりや、年下なのに姉になりたい絆菜など、なかなかカオスな家族契約でしたけど、実は以前から流稀を意識していた青緒、そして最初警戒されていた絆菜にも認められていって、彼女たちとの関わりが深まってゆく中で、流稀の心境や契約生活がこれからどう変わるのか今後が楽しみですね。
聖女先生の魔法は進んでる!1 落ちこぼれの教室 (富士見ファンタジア文庫)
聖女先生の魔法は進んでる!1 落ちこぼれの教室
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鴉 ぴえろ/きさらぎ ゆり KADOKAWA 2024年02月20日
最強の聖女だったにもかかわらず、とある事情により異端として王都から追放されていた聖女ティア。彼女が教会の落ちこぼれ聖女候補たちを引き取り、導いてゆくガールズファンタジー。孤児として拾ったトルテとともに、落ちこぼれ皇女エミーと王女アンジェを引き取ったティア。彼女が編み出した聖女魔法を組み合わせる技で作物の超速育成や、竜の飼育から一騎当千の戦闘に至るまで、規格外の指導に突っ込まずにはいられない弟子たちとのやりとりがとても楽しかったですけど、一方で彼女たちそれぞれの事情や教える側にも聖女ティナもにまた苦い過去があって、過去の事件の黒幕の存在も示唆される中、教え子たちと力を合わせて乗り越えて絆を深めてゆくこれからの展開が楽しみです。
双子まとめて『カノジョ』にしない?2 (富士見ファンタジア文庫)
勘違いから始まった高屋敷咲人と双子の美少女同級生・千影と光莉との同時恋人関係。そんな彼らの仲を怪しむ廃部危機の新聞部の女子たちにスキャンダルを狙われる第2弾。3人だけの秘密のはずが、学校でも隙あらば争うようにぐいぐいと迫ってくる双子の距離感に落ち着かない咲人。廃部危機にある新聞部には光莉も籍を置いていて、監査を千影が担当することになり、それを咲人がフォローする展開で、お互い負けず嫌いな双子はいろいろ張り合うものの、それでも大本の部分で3人の信頼関係がしっかり構築されてきたこともあって、これからもいろいろ巻き込まれるんだろうなあ…と感じつつ、双子とフォローする咲人のドキドキする距離感やシチュエーションを安心して楽しめるようになってきました。
公女殿下の家庭教師16 世界欺きの偽神 (ファンタジア文庫)
聖霊教に首府を占領されたララノア。偽聖女の策謀により全てが工都に集束していって、アレンは隠された世界の秘密を知る第16弾。氷龍復活が迫る中決戦に備えるアレンたちリィネやフェリシアなど教え子たちも各地で奮闘し、一方王都では彼の窮地を察して封鎖された工都への路を探すリディヤとシェリル。各キャラがそれぞれに存在感を見せる中、今回はこれまでの鬱憤を晴らすかのようにシェリルが大暴れしてましたけど、けれどなんだかんだで最後はリディヤが一枚上手な感じでしたかね(苦笑)対峙したかつての親友ゼルの存在もなかなか効いていて、何より全てを見通している感もある聖女の存在がなかなか不気味ですね…。
転生王女と天才令嬢の魔法革命8 (富士見ファンタジア文庫)
魔学都市の責任者として過ごすアニスのもとに届いたユフィが療養中との知らせ。二人の革命に西部貴族が真っ向から対立する第8弾。アニスの功績を真っ向から否定する西部貴族に激昂したユフィの不調。王になる意味を問われたユフィと、彼女に王を背負わせたアニスが出した未来に繋がる答え。民まで含めた皆でより良い未来を目指そうとする二人と賛同者たち、その意味を理解できない旧弊の貴族との対立という構図でしたけど、なかなか根が深い問題とはいえ、後継者ができたら二人で引退すら視野に入れていて、ユフィに幸せになってほしいアニスがブチ切れるのも当然の展開でしたね(苦笑)そんな状況だからこそ二人の甘いやり取りが癒やしになっていました。
【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。8 (富士見ファンタジア文庫)
【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。8
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氷高 悠/たん旦 KADOKAWA 2024年02月20日
暴露系MeTuberの動画でゆうなと恋する死神、そしてらんむの関係が語られてしまいピンチに陥った結花。さらに佐方家を揺るがす母とまさかの再会を果たす第8弾。窮地に陥っても揺るぎない結花の決意に、彼女を支えていく覚悟を新たにする遊一。そんな二人を応援してくれる那由多や勇海の妹たちや、マサや桃乃といった学校の友人、そしてらんむやでるたち声優の仲間たちがいて、そんな状況から思わぬ形で彼が再会を果たすことになった母の存在は意外でしたけど、いくつもの問題に直面しながら、協力してしっかりと向き合って乗り越えてみせた二人の幸せな結末を最後まで読めて良かったです。
昔の男友達と同居をはじめたら、実は美少女だった 1 (オーバーラップ文庫)
昔の男友達と同居をはじめたら、実は美少女だった 1 〜距離感があの頃のままで近すぎる〜
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遠藤 遼/かふか オーバーラップ 2024年02月21日
突然いなくなった幼き日の霧島圭介にとってかけがえのない唯一の親友だったまーちゃん。10年後、親の再婚で可憐な陽キャ美少女に成長していたまーちゃんこと真咲と再会する青春ラブコメ。突然の再会で家族になって、同じ高校に転校してきたことで、家でも高校でも一緒という状況。ずっと男と勘違いしていた圭介が急展開についていけず戸惑う一方で、兄妹として昔よりも近い距離で接してくる真咲。そんな二人がちょっとしたことの積み重ねからお互いを意識するようになっていったり、真咲がまさかのぽんこつっぷりを炸裂させたり、思わぬ危機にも直面しましたけど、彼の前では最高の自分でいたいと頑張る彼女と、かけがえのない存在になりつつあるのに、どこか致命的に鈍い圭介のこれからをまた読んでみたいと思いました。
一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 5 (オーバーラップ文庫)
岸本和葉/みわべさくら オーバーラップ 2024年02月21日
晴れて父親との確執が解けた凛太郎。武道館ライブが決まったミルスタを全力でサポートするため、凛太郎の実家で同棲生活を始める第5弾。いつもより距離の近い彼女たちに困惑しながらも、彼女たちを支えるためにストイックな生活を送る凛太郎が、お弁当を届けるため訪れたスタジオで出会った二人組アイドル・チョコレート・ツインズ。ミルスタと張り合う彼女たちになぜか気に入られてしまった凛太郎も巻き込まれていく展開で、ミルスタの三人と凛太郎が積み重ねてきた揺るぎない信頼関係もなかなか良かったですけど、近しい境遇ゆえにツインズの本質を見抜いた凛太郎も成長しているんだなと感じられて、これからどうなるのか続刊が今から楽しみです。
現実主義勇者の王国再建記ⅩⅨ (オーバーラップ文庫)
ついに勃発した世界大戦。忠臣オーエン等の犠牲で生まれた準備時間によってソーマの用意できた切り札が、フウガ率いるハーン大虎帝国を失速させ状況は一変する第19弾。持てる人材を総動員して臨み、英雄の時代を終わらせようとするフリードニア王国及び海洋同盟に対して、時代の英雄たる意地を見せてソーマたちをギリギリまで追い込んだフウガとそれぞれの戦いの決着。ソーマたちの策もあって思っていたよりも穏やかな終戦でしたけど、帝国は成長過程を考えればどうしてもそのまま安定へとはならない難しさを感じる結末になったのも仕方なかったんですかね…。とりあえず大陸を再編して安定に向かいつつある中で、ソーマたちがこれからどうするのかも気になるところではあります。
反逆者として王国で処刑された隠れ最強騎士 3 蘇った真の実力者は帝国ルートで英雄となる (オーバーラップ文庫)
反逆者として王国で処刑された隠れ最強騎士 3 蘇った真の実力者は帝国ルートで英雄となる
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相模優斗/GreeN オーバーラップ 2024年02月21日
帝国の皇女ヴァルトルーネの下、新たな仲間を配下に入れてさらに影響力を増す特設新鋭軍。遂に王国軍がディルスト地方に進軍を開始して迎撃態勢をとる第3弾。王国の侵攻に連動するスヴェル教団の動きにいち早く気づいて、それでに対応すべく最前線へと駆け付けたアルディアとヴァルトルーネ。二人の秘密を知る教団を指揮していた聖女は、彼らとはまた別の使命感で動いていて、その動向が物語の今後に大きな影響を与えそうな新キャラでしたけど、王国との戦いではギリギリの状況で流れを引き寄せたペトラと彼女に従った仲間たちの奮闘が光りましたね。この激闘がルーネにとっても大きなターニングポイントになりましたけど、聖女側の動きも気になるところではあります。
異世界魔法は遅れてる!10 (オーバーラップ文庫)
神格の顕現を謀る神秘犯罪者を捕縛し任務を終えた八鍵水明。一方、未だ異世界にいる遮那黎二はアステル国の王都メテール付近に突然現れた魔族軍と戦う第10弾。サクラメントの能力を使い魔族の進軍をなんとか食い止めていた黎二の前に現れたおぞましい異形の怪物。異世界に戻ってきた水明を意識する魔族の軍を統べる将ムーラ。19年以来の続刊ということもあって、読み始めたあたりでは正直かなり記憶が曖昧でしたけど(苦笑)、水明と一緒に現代世界に行っていろいろ感銘を受けたヒロインたちの様子や、そこから派生する様々なコメディ展開は微笑ましくて、強敵相手でもつい茶化してしまう水明の様子を読んでいるうちに、そういえばこんな感じの物語だったなといろいろ思い出しました。