今回は9月の電撃文庫・TOブックス・アマゾナイトノベルズ新刊感想まとめです。内訳は電撃文庫がシリーズ続刊2点、新作2点、TOブックスの続刊1点、アマゾナイトノベルズの新作1・2巻の計7点になります。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
姫騎士様のヒモ5 (電撃文庫)
スタンピード危機を解決して一躍、街の英雄となった姫騎士アルウィン。一方、ヒモのマシューは以前にも増して周囲から疎まれるようになる中、二人の前にマシューの死んだはずの仲間ナタリーが現れる第五弾。責任を取らされ突然逮捕されたしまったギルドマスターと、隠し財産を残した死んだやくざ者との関係。加熱した争いに巻き込まれてゆく孫娘エイプリル。自分たちも難しい状況を抱えながら、それでも寄る辺ない彼女を守ると決意したマシューとアルウィンに、太陽神の伝道師たちも迫る展開でしたけど、とりあえずナタリーはヤバい方向に突き抜けてましたね（苦笑）当面の事態は収束させたものの、人間関係や状況はかなり複雑で、今後に向けた火種もいろいろ出てきて、カオスが深まる展開は先が読めませんね…。
怪物中毒3 (電撃文庫)
史上最悪の混乱をもたらした闇サプリ。しかし楢崎社長から捜査打ち切りを宣言され、怪物サプリの基剤製法を唯一知るBT本社・CEO危篤の報が届く第三弾。仮面舞踏街で横行する原液を使ったヤバいサプリの使用。そこで出会った獣化が常態化している二人が抱えている事情、そして次期CEOとして白羽の矢が立った調薬の魔女・蛍。闇サプリをキメた合成人獣が跋扈して、西洋と東洋の魔法使いが激突する状況で、悪夢のような逃避行を繰り広げる展開でしたけど、カオスな展開の末に覚悟を決めていろいろ状況が変わっても、大切なものは揺るぎない彼女たちらしい決断、これからもこんな感じにやっていくんだろうな…と思えた結末はなかなか良かったですね。
飯楽園―メシトピア― 崩食ソサイエティ (電撃文庫)
不健康な食事を取り締まる政策《メシトピア》のもと、厚労省《食防隊》が摂取するアディクターを取り締まる近未来。生真面目なエリート隊員・矢坂弥登が、アディクターのニッシンに助けられるメシ×ディストピア。戦いの最中に負傷して孤立してしまい、空腹に耐えられず助けてくれたニッシンからもらった禁制品のカップ麺を口にしてしまう弥登。その味が忘れられない彼女が戦いの最中で再会したニッシンに請い、押しかけて横須賀で始めた居候生活。そこで食防隊員の弥登に突きつけられる政策がもたらした現実。何が正しくて間違っているのか、悩める弥登の決断が横須賀の危機を救いましたけどその代償は避けられなくて、なかなか厳しい状況ですがここからどう盛り返すのか、今後の展開がとても楽しみな新シリーズですね。
ツンデレ魔女を殺せ、と女神は言った。 (電撃文庫)
ツンデレと思っていた幼馴染にフラレて、異世界の聖女学園に通う銀髪ツリ目のツンデレ美少女ステラの杖に転生。彼女との出会いが異世界の命運を左右する学園ファンタジー。気がつけば異世界の暗い森に埋まったステラの杖に魂が宿っていたことに気づく主人公。分かりやすい不器用なツンデレっぷりを炸裂させて、聖法は使えない不器用なステラを推す決意を固める一方、彼を呼び寄せ現実世界に帰る条件として、力を与える代わりに禁忌の魔女であるステラを殺せと命じる女神。けれど推しの銀髪ツンデレにオタクと呼ばれる彼の答えは考えるまでもなくて、ステラを巡る事情や様々な思惑も明らかにされてゆく中、友人もできた二人のこれからが楽しみです。とてもいいツンデレでした。
寄り道だらけの旅路の末にたどり着いたレッドフォード王国。隣国からの客人とされた薬師の少女ミーシャが王国で新生活を始める第二弾。きさくな態度を見せてくれたラライア国王への謁見。お城の図書室に目を輝かせるミーシャが出会った病弱な王妹ラライア。そして問題のある植物園。居場所を構築しながら病弱ラライアを診て状況改善に取り組んだり、周囲の人々に見守られながらあちこちで様々なことを見聞してゆくミーシャが、新天地でもとてもいきいきとしていて、夜会の様子はなかなか微笑ましかったです。とはいえいろいろ不穏な気配もあって、いろいろと事態が動きそうな今後の展開が気になります。
【電子限定配信】
愛されることを知らなかった食いしん坊姫【完全版】1 (アマゾナイトノベルズ)
守雨/仲野 小春 アマゾナイトノベルズ 2023年09月05日頃
孤独に育ち、結婚後も常に愛に飢え孤独に生きていた花井ゆき。誕生日を一人で祝った翌日、山奥の領地に住む男爵令嬢モニカ・タウストとして転生するファンタジー。偶然男爵家を訪れたベルトーナ伯爵に美味しい食事を提供したことをきっかけとして王都の屋敷でお世話になり、伯爵夫人に連れられて夜会に参加して王宮の食事を楽しんでいたら、ジルベルト殿下に興味を持たれてしまうモニカ。王子として生まれながら密かに特殊な事情を抱えるジルベルトが、気にかけている彼女への想いを自覚してゆく一方で、転生の秘密から避けようとするモニカとのすれ違いもありましたけど、どこにいても自然と人のために頑張ろうとする彼女が、周囲からも慕われる存在になってゆくのも分かるような気がしました。
【電子限定配信】
愛されることを知らなかった食いしん坊姫【完全版】2 (アマゾナイトノベルズ)
守雨/仲野 小春 アマゾナイトノベルズ 2023年09月05日頃
ジルベルトに抱いていた誤解も解け、婚約を受け入れて王宮で過ごすようになったモニカ。そんな彼女が居場所を得て、いきいきと輝きだす第二弾。将来を見据えてお妃教育を受ける一方で、ジルベルトの計らいで王宮内に売店を得たモニカ。そこから周囲の人たちのために考案した新商品が人々を虜にしていって、ジルベルトも心配するほど頑張り過ぎる彼女でしたけど、一方で教育係も驚くほど博識で冷静で、苦い前世の記憶から意外としたたかで、ただひとり彼女の秘密を共有するジルベルトとの関係も良かったですけど、彼女がいきいきと生きていける居場所を得て、多くの人に愛されて幸せになることを祝福されるモニカになってゆく様子がとても素敵でした。
