今回は11月電撃文庫・カドカワBOOKS・DREノベルスの感想まとめです。内訳は電撃文庫の新作3点、続巻2点、カドカワBOOKSの続巻1点、DREノベルスの新作2点の計8点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート1- (電撃文庫)
よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート1-(1)
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逆井 卓馬/遠坂 あさぎ KADOKAWA 2024年11月08日
科学に好奇心旺盛な岩間理桜と印象的な出会いを果たしたデルタこと出田樟。科学をこよなく愛する高校生たちが日常で直面する数々の謎に挑む青春ミステリ。鮮烈な出会いを果たしながら、なかなか距離が縮まらない2人の関係も絡めながら、その周囲で起こる失われた恋愛成就の桜の謎、部活勧誘の小さな違和感、巨木の樹齢に秘められた物語、密室で消えたハムスター。全てが繋がってゆく因果から見えてきた切実な決断。受け入れがたい事実を知っても、それでもかけがえのない出会いであったことには変わりなくて、周囲もつい応援したくなる、不器用でもお互いのあり方や意志をきちんと尊重しあえて、無理せずらしくいられる2人の関係はとても素敵でしたし、続巻が今から楽しみです。
新しくできたお姉さんは、百合というのが好きみたい (電撃文庫)
新しくできたお姉さんは、百合というのが好きみたい(1)
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アサクラ ネル/かがちさく KADOKAWA 2024年11月08日
急な親の再婚で、突然姉妹になった春夏と沙織。父親から家を出ることを提案され複雑な心境の春夏に、義理の姉となった沙織が同居を提案するガールズラブコメ。ただでさえ仕事を辞めて実家暮らしの春夏にとって、仕事一筋でクールな住む世界が違う人だと思っていた沙織。けれど実はおっとりした春夏に一目惚れして、せっかく手にした家族の絆を失ってしまうかもと思いながら、上手くハマっていい感じに思えていた共同生活に待っていた衝撃的な落とし穴…。これまで積み重ねてきたものをぶち壊した所業は何ともあれだったものの、それを友人の助けも借りながら何とか乗り越えて、改めてお互いの存在に向き合うようになっていった2人のこれからを応援したくなる優しい物語でした。
ヒロイン100人好きにして? (電撃文庫)
ヒロイン100人好きにして?(1)
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渋谷 瑞也/Bcoca KADOKAWA 2024年11月08日
天才だけれど女心だけは分からず、恋愛に対して深いトラウマを抱える高校生・空木夜光。そんな彼が実家の両親から無理矢理結婚させられそうになっていた魔女ベルカと契約して百姫夜行に挑むラブコメファンタジー。彼女と契約して100人の女の子を恋に落とし、彼女たちを影から救うことを目指すことになった夜光。さっそく純真無垢なアスリート娘や、無口な小動物系ゲーマーの抱える悩みにしっかりと向き合って一人ひとり救っていく一方、ストーカー気味に監視して意外と嫉妬深いベルカには苦笑いでしたけど、お互いかけがえのない存在になってきているのも間違いなくて、夜光のトラウマの原因だった元カノとも再会して過去に決着は付けたものの、その何やら訳がありそうな彼女の背景は気になるところですね…ヒロインたちはみんな幸せになってほしいと思いたくなる物語です。
蒼剣の歪み絶ちII 色無き自由の鉄線歌 (電撃文庫)
蒼剣の歪み絶ちII 色無き自由の鉄線歌(2)
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那西 崇那/NOCO KADOKAWA 2024年11月08日
死闘の果てに悲願の一つを叶え、高校生という日常へと戻った伽羅森。どこか燃え尽きたような日々を過ごす彼が、日継との新たな任務で独部由良と出会う第2弾。普通の人間には視認できない歪みを抱える孤独な独部。彼女のバンドをやりたい切なる願いを叶えるために、協力を始める伽羅森やアーカイブたち。伽羅森のためにと行動するアーカイブの斜め上の決断には笑いましたけど、新キャラの彩月や射水の過去など、歪みにまつわるエピソードや過去を描くことで、歪みを修正することの意味や恐ろしさを浮き彫りにしていきましたけど、一方で歪みを管理するノアリー内部も様々な思惑が絡む中、それでも覚悟を決めた独部の願いを叶えるために奔走する伽羅森たちがもたらした結末がなかなか印象的でした。
組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い3 (電撃文庫)
元宿敵同士で、今はラブラブ夫婦の狼士と律花。互いの秘密を打ち明け、悲願の同衾が叶った2人。関係を進めようとした彼らが思わぬ問題に直面する第3弾。悩める2人が周囲に相談して解決方法を模索する中で、律花が新たに出会い友人となった産業カウンセラーの璃。健剛が働くコンビニでの事件や、愛猫にゃん吉の通院、相変わらず妹溺愛な律花兄との再会など、狼士がいろいろ振り回される中、彼の後輩・生駒が密かに抱えていた想いには驚かされましたね…。因縁がひとつに繋がっていった聖夜での決着が、上手い落とし所を見出せたことには救われましたけど、周囲との関わりから2人の揺るぎない絆が改めて浮き彫りになって、それをより深めた狼士と律花のこれからをまた読んでみたくなりました。
図書館の天才少女 2 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~ (カドカワBOOKS)
図書館の天才少女 2 〜本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!〜
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蒼井 美紗/緋原ヨウ KADOKAWA 2024年11月09日頃
特殊な記憶力を発揮して活躍し、ついには世界を救うために聖女召喚を成功させたマルティナ。召喚してしまった聖女のために奔走する第2弾。理由もわからないまま聖女として召喚された女子高生ハルカの思いを知って、聖女送還の方法を探し出して必ず元の世界に帰そうと決意するマルティナ。聖女として協力してくれるハルカと仲良くなって、本好き同士で意気投合したり、日本食や日本語にチャレンジしてみたりする姿は微笑ましかったですけど、一方で聖女を自国に取り込もうとしたり、聖女を排除しようとする動きもあったりと、様々な思惑が絡んで召喚側も一枚岩ではなくなかなか難しい状況に直面しながら、前向きに問題を解決していこうとする彼女たちのことを応援したくなりました。
勇者の旅の裏側で (DREノベルス)
【第2回ドリコムメディア大賞「銀賞」受賞作】
勇者を助ける重要任務を神殿総本山から極秘裏に託された神官リュイス。護衛を依頼するため冒険者の宿を訪れた彼女が女剣士アレニエと出会うガールズファンタジー。剣帝さながらの強さで暴漢を圧倒してみせた、どこか謎めいたアレニエとともに始まるたった2人だけの勇者を救う旅。旅を通じて少しずつ距離を縮めてゆく2人は、それぞれが人に言えない秘密を抱えていて、リュイスの苦い過去に繋がるかつての故郷を訪れたり、彼女の複雑な立ち位置が描かれてゆく一方で、魔将イフを相手に繰り広げる激闘はなかなか読み応えがありましたけど、強敵に立ち向かうアレニエが過去や自身の秘密にも向き合う中、様々な葛藤を乗り越えて絆を深めていった2人のこれからがとても楽しみです。
私が帰りたい場所は ~居場所をなくした令嬢が『溶けない氷像』と噂される領主様のもとで幸せになるまで~ (DREノベルス)
【第2回ドリコムメディア大賞「銀賞」受賞作】
もーりんもも/whimhalooo ドリコム 2024年11月07日頃
父公爵の亡き後、義母たちに虐げられていたクラウディア。領地の仕事も取り上げられた彼女は濡れ衣で平民に落とされ、南の果てのグラーツ領へ追放され、『溶けない氷像』と噂される領主ユリウスと出会うファンタジー。義母と義妹に権限を奪われ、使用人同然の生活を送らされていたのに、ろくな証拠もないまま横領で贅沢な生活を送っていたと断罪されたクラウディア。そんな彼女がグラーツ領で領主ユリウスと出会い、健康な生活環境を用意されたり、グラーツ領の人々の温かさに触れて尊厳を取り戻していく展開で、不器用ながらも彼女のために憤り、大切なものを取り戻すために立ち上がった彼女を支えるユリウスも微笑ましかったですけど、父を失い孤独だった彼女にも、大切な自分の居場所ができていたことが伺えるその結末には救われる思いでした。