年明け1月は前年からの積み残しにやや苦戦した感もありますが、全体的に見れば無難なスタートでしたかね。新作もわりと豊作な感じで、これで少し積読を減らせていれば何も言うことはなかったんですが、読んでる冊数と積んでる冊数が同じくらいという状況なのでこのへんは仕方ないですね(苦笑)
1月の読書メーター
読んだ本の数:75
読んだページ数:22189
ナイス数:4668
マッサゲタイの戦女王の感想
紀元前600年前後の古代オリエントを舞台に、四大帝国時代の終焉と戦乱の時代を生きたマッサゲタイ女王・タハーミラィの数奇な運命を描く歴史小説。マッサゲタイ族に生まれて、初恋の相手によって部族の王カーリアフの側妃とされたタハーミラィ。希望を見出だせなかった境遇から、ファールース王クルシュとの運命的な出会い、そこから過酷な状況を夫と共に生き抜いて立場を自覚するようになってゆく彼女の覚悟、そして意外な半生を送った従兄のその後も印象的で、ロマン溢れる筆致で描いてみせた壮大な物語の結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月01日 著者:篠原 悠希
朝焼けにファンファーレの感想
それぞれの想いを胸に秘めて、法律のプロを目指す司法修習生たち。理想と現実に悩みながら進む彼らを描いたリーガル青春小説。法律事務所での仕事をそつなくこなす藤掛、真っ直ぐだけれど不器用な松枝、予備試験経由で司法試験に合格した異例の19歳・柳、戸惑いながらも懸命に取り組む長野。藤掛の周囲をフォローできる洞察力や、柳のポテンシャルはインパクトがありましたけど、そうでない不器用な修習生たちもそれぞれ頑張っていて、法律家の卵として真摯に向き合おうとする彼らの姿勢、それを見守る先輩たちの想いがとても心に響く物語でした。
読了日:01月02日 著者:織守 きょうや
白き女神の肖像の感想
妻ディアーナをモデルに描いた『東方ノ女神』で一躍時代の寵児となった画家ショーン。しかし奇妙なことを訴えるようになっていた妻が亡くなってしまう描くことに取り憑かれた画家をめぐる美と狂気幻想譚。まるで絵に存在を吸い取られるかのように次第に衰えていったディアーナ。その後モデルとなったローズマリーもまた異常なほど憔悴していく理由の推測は提示されましたけど、取り憑かれたように絵を描き続けるショーンは、一方で愛する人への配慮がどこか欠落していて、だからこそミシェルの決断やヨハネスとマデラインの関係が印象に残りました。
読了日:01月02日 著者:鴇澤 亜妃子
ストーリーテラーのいる洋菓子店 月と私と甘い寓話の感想
様々な悩みを抱えて店を訪れた人たちを、ストーリーテラー語部の語る物語と美しいシェフ・糖子の作る極上のお菓子で心解きほぐしてゆく心に甘く優しく沁みわたる連作短編集。ぱっとしないフリーター、突如休暇を宣言した専業主婦、素直になれなかった少年の呪い、ケーキを買いに行けないシャイな中年男性、糖子の妹・麦の片思い、語部の過去、そして店が生まれ変わるきっかけとなった二人の出会い。ひとつひとつのエピソードも良かったですけど、何より語部の真摯な想いと彼に感化され変わってゆく糖子の不器用で甘い関係がとても素敵な物語でした。
読了日:01月02日 著者:野村 美月
遺跡発掘師は笑わない あの時代に続く空 (角川文庫)の感想
東京・山の手で民家の庭の発掘を依頼された無量と柳生が掘り出した美しい茶器の由来、元総理のインタビューの条件として提示された奇妙な泥人形の持ち主探し、西原無量と亀石の出会い、奥多摩へBBQに出掛けた先で出会った「森の縄文博物館」の危機を描いた短編集第二弾。短編になるとちょっと読みやすくなるような気がしないでもないですが、話が連鎖反応的に広がってゆく佐々木家の話や持ち主探しも面白かったですし、無量と亀石の出会い、忍らしさが垣間見えたエピソードも興味深かったです。五段昇段審査とか萌絵は何を目指してるんだ(苦笑)
読了日:01月03日 著者:桑原 水菜
レッドスワンの死闘 赤羽高校サッカー部 (メディアワークス文庫)の感想
研ぎ澄まされた新戦術で、鮮烈な軌跡を描く舞原世怜奈率いる赤羽高等学校サッカー部。優雅はうっかり告白をしてしまい、父・涼雅率いる市条高校との準決勝を迎えるシリーズ第六弾。市条高校との激闘は相手を研究し尽くした上での読み合い、駆け引きの応酬みたいな感じもあったものの、終わってみれば貴希一人が異次元な感じで、あれは世怜奈が愚痴りたくなるのも分かる(苦笑)彼女が指導者に目覚めるエピソードは興味深かったですが、それにしても彼らの恋の行方は何というか斜め上な展開で、最後に伊織はずっと待ってたのが報われて良かったです。
読了日:01月04日 著者:綾崎 隼
はじめてのNISA&iDeCoの感想
NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)について、これから資産運用を始める人にも理解できるよう、制度のしくみから、自分に合った商品選びまで、オールカラーでやさしく解説した一冊。前から少し検討したいと考えていて、まずは全体の概要を知りたいと思い手にとった一冊でしたが、マンガなども交えつつNISAとiDeCoのそれぞれの概要や違い、特徴やメリット・デメリットなどはざっくりと掴めました。あとは実際にどう始めるかなんですが、ここから具体的に行動起こすまでが一番ハードル高いんですよね(苦笑)
読了日:01月04日 著者:頼藤 太希,高山 一恵
マージナル・オペレーション改 10 (星海社FICTIONS)の感想
世論におされる形でタイ王国にまで人民解放軍を大量投入した中国。しかし、軍事的合理性を無視した戦線拡大は、あちこちで綻びを見せはじめ、アラタはその隙をつき大規模な奇襲攻撃を企図する第十弾。タイ王国の動向も信用しきれない状況で、いまいち動きの読めない人民解放軍相手に補給線を断つ作戦に出るアラタ。こういう状況はどこか疑心暗鬼になってしまうんでしょうけど、こういう状況だからこそまめたんみたいな存在は大きいんでしょうね。それにしてもアラタランドですか(苦笑)女性陣との関係性もどうなるのか気になるところではあります。
読了日:01月05日 著者:芝村 裕吏,しずま よしのり
アルバート家の令嬢は没落をご所望です 8 (角川ビーンズ文庫)の感想
あるパーティーの招待状を配るため、メアリとアディの娘・ロクサーヌはメアリの友人たちを訪ねることになり、彼女の行く手にかつてメアリが対峙した人々が次々と現れる第二弾。いや確かにロクサーヌ可愛いけど、何というか溺愛というか親バカな二人だなあと思いながら読んでいたら、パトリック夫妻も似たような感じで、兄二人にロベルトまでロクサーヌを溺愛していて苦笑いでした。彼女たちの訪問でこれまで出てきた人たちのその後が伺える最終巻らしい展開でしたが、まさかの三人に求愛されるエレーヌさんの選択がちょっと気になる結末でしたね…。
読了日:01月05日 著者:さき
国道16号線: 「日本」を創った道の感想
須賀-横浜-町田-八王子-川越-大宮-春日部-柏-木更津と、東京の郊外をぐるりと巡る全長330キロの環状道路・国道16号線。全国一混雑する道でもある国道16号線の沿道を道と地形で読み解いた一冊。貝塚の点在地とも一致し、明治以降の富国強兵や殖産興業も支え、後に軍用航空基地も置かれた要衝だったのは間違いなさそうで、ベッドタウンとして一時代を築いたこの地域をいくつもの視点からアプローチする構成で、テーマによってはやや強引な考察もありましたが、人やものの流れが集まりやすそうな地域の特殊性のようなものを感じました。
読了日:01月06日 著者:柳瀬 博一
君は彼方 (ファンタジア文庫)の感想
努力や面倒なことが苦手で自信がない澪。幼馴染の新と些細なことで喧嘩してしまい、仲直りしようと焦って交通事故に遭った彼女が、不思議な世界で目覚める池袋近郊を舞台とした映画ノベライズ。苦い過去から努力することを止めてしまい、親友の円佳が新に想いを寄せていることを感じて、身動きが取れなくなっていた澪。話の筋はあくまで澪と新の関係性を軸に展開されていて、円佳や占い師は物語の本質的な部分にはあまり絡んでこないため、話としては良くも悪くもあっさりでシンプルだった印象。映画で見るとどんな感じになるのかは気になりました。
読了日:01月06日 著者:瀬名 快伸
スーパーカブ reserve (角川スニーカー文庫)の感想
引っ越してきた新しい住居で愛車のカブの傷をなぞりながら小熊が思い出す高校生活の出来事。大学生活を前に、本編では描かれなかった隙間の時間が描かれる高校生だった小熊たちの軌跡を描く短編集。礼子との富士山登頂、椎の家でのクリスマスや、カブを巡るあれこれ、周囲の人たちとの交流だったり助け合ったり、自らが乗るカブに愛着を持つようになっていく小熊が、カブによってどんどん世界が広がっていく中で積み重ねてきたものがあって、それによって彼女自身も変わっていって、彼女なりに充実していた高校時代であったことが伺える一冊でした。
読了日:01月07日 著者:トネ・コーケン
文章の問題地図 ~「で、どこから変える?」伝わらない、時間ばかりかかる書き方の感想
つらい、苦手な書くことにまつわるアレコレ、どうやって変えていけばいいのか?「書くことが好きじゃなくてもうまくいく文章との向き合い方を考える一冊。どうして自分の各文章が分かりづらいのか。何を書いたらいいのかわからない、構成がうまくできない、必要とする分量を書けない、相手が求めるものを分かってない、文章の読みづらさや、なぜ伝わらないのか刺さらないのか、適切な言葉づいかいなど、文章を書けない人々のなぜを分解して解き明かしてゆく展開はロジカルで良かったですし、最後「自分にふさわしい文章を書く」が印象に残りました。
読了日:01月07日 著者:上阪 徹
ラストは初めから決まっていたの感想
失恋で辛い思いを抱える堂島ことりが、大学の創作ゼミで出された「自分の体験した恋愛」をテーマとした小説を書き上げる課題。そこで失恋相手の親友・涼介と小説交換相手となる恋愛小説。突然授業に参加することになった涼介に複雑な想いを隠せないことり。けれど涼介の書く小説に魅せられ、自らの失恋を小説にして少しずつ変わってゆく心境、そして小説を通して明らかになる過去の真相。涼介の真摯で真っ直ぐな想いにことりも感化されて、小説のやりとりから少しずつ思いも育まれていって、そんな二人が迎えた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月07日 著者:小手鞠 るい
Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか? (光文社新書)の感想
概ね1990年代中盤(または2000年代序盤)以降に生まれたZ世代。世代人口が少ないにもかかわらず、なぜ発信力・拡散力があるのか。若者消費を研究する著者が分析した一冊。「スマホ第一世代」でほぼ全てのSNSで利用率が中高年に比べて高く、マスマーケティングよりもデジタルマーケティングでターゲットになりやすいという特徴があり、まったりを意識して自己承認欲求、発信欲求がある。老人世代の次を意識し広告やメディアのあり方もシフトが始まる中で、世代間の感性のギャップも大きそうですが、実際のところはどうなんでしょうね…。
読了日:01月08日 著者:原田 曜平
新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち (電撃文庫)の感想
「とある」事情で二年前から十文字家に預けられたアリサ。彼女と幼少から本当の姉妹のように育てられてきた遠上茉莉花が第一高校に入学し久しぶりの再会を果たす学園ファンタジー。司波達也と深雪が卒業して一年後の魔法科第一高校が舞台で、再会して盛り上がるアリサ&茉莉花の関係に、周囲の友人たちや部活の先輩、そして前作から成長した下級生たちや、世代が代わって登場人物たちの弟や妹も登場する新展開、こういうのもなかなかいいですよね。十文字家の複雑な事情、不審な動き、三高に行った竜樹など、これからまた期待したい新シリーズです。
読了日:01月09日 著者:佐島 勤
男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 1. じゃあ、30になっても独身だったらアタシにしときなよ? (電撃文庫)の感想
中学校時代、夢を叶えるため永遠の友情を誓い合った植物男子・夏目悠宇と陽キャ女子・犬塚日葵。高校に入学しても変わらなかった親友関係が、悠宇の初恋相手と再会したことで突如歯車が狂い出す青春ラブコメディ。どんだけイチャついてもあくまで親友のスタンスを崩さなかった二人の関係。そこに大きな波紋を投げかけた悠宇の初恋相手との再会。どうにかしようとすればするほどドツボにハマっていく日葵がいて、ものの見事にすれ違いかけてドタバタした挙げ句に想いを自覚した、不器用で両片想いな二人のこれからがとても楽しみな新シリーズですね。
読了日:01月09日 著者:七菜 なな
絶対にデレてはいけないツンデレ (電撃文庫)の感想
一昔前に流行ったツンデレヒロインみたいなセリフから始まった夜船史吹と蒼月水悠の関係。自分を偽る少年少女が、好きな人に「デレる」までの物語。女王が支配する教室で、常にツンツンしてクラスでも浮いた存在だった蒼月。けれどその裏には隠れている温かさがあって、お互い他には言えない秘密を抱えていて、意外とファンタジーな理由だった蒼月の抱える呪いはなかなか難儀でしたけど、それでも積み重ねていった先に乗り越えた文化祭をきっかけとした様々な変化と、本来のらしさを取り戻してゆく二人が迎える結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月10日 著者:神田 夏生
わたし以外とのラブコメは許さないんだからね(2) (電撃文庫)の感想
希墨とヨルカの秘密の関係は、クラスメイトに向けての恋人宣言により晴れて公認に。しかしそんな希墨の前に中学時代親しかった小生意気な後輩・幸波紗夕が現れる第二弾。再会してからぐいぐい距離を詰めてくる紗夕。さらに親友・七村発案によるひなか、朝姫にヨルカまで参戦するカラオケ。いや瀬名会のメンツには流石に苦笑いでしたけど、周囲の苦悩に真摯に向き合う希墨だったり、そんな希墨が大好きでライバルには正妻感溢れる姿を見せるのに、彼の前ではポンコツになってしまうヨルカとか、そんな甘々で揺るぎない二人のこれからが楽しみですね。
読了日:01月10日 著者:羽場 楽人
娘じゃなくて私が好きなの!?(4) (電撃文庫)の感想
保留にしていた告白へのようやくの返事。しかし自覚したタッくんへの想いが爆発してキスまでしたのに、そこからまさかのグダグダ展開が始まる第四弾。いや、キスすれば恋人とかまともに好きな人の顔見れなくて逃げるとか、どんだけ綾子さんピュアなんですか…と苦笑いの展開。いいように振り回されるタッくんもそりゃ悶々とするよなと思いましたけど、何ともあれな過去エピも明かされつつ、どうにかこうにかいい感じにまとまって良かったです。とはいえ直後の急展開、さらに思っても見なかった斜め上の展開まで待っていてこれは次巻が楽しみですね。
読了日:01月11日 著者:望 公太
スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 心をつなぐスープカレー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)の感想
リモート会議中に同僚がつぶやいた「人参がワープした……」という言葉の謎、小学校で起きたアレルギー事件の真相、デリバリーのひったくり疑惑、在宅勤務の苦い朝、閉店を決めた洋食店「えんとつ軒」店主の真意と、スープ屋しずくの店主・麻野が事件を解き明かす第六弾。相変わらず実際に現場も見ていないのに、話を聞いただけで問題を解決する麻野の洞察力が凄まじいことになっていますが、「えんとつ軒」のエピソードは意外なところに繋がっていましたね。全然気づかなったですが、今ならでは状況を見事に再現してみせた結末には驚かされました。
読了日:01月11日 著者:友井 羊
約束のネバーランド ~想い出のフィルムたち~ (JUMP j BOOKS)の感想
記憶をなくしていたエマとようやく再会を果たしたノーマンやレイたち。過去を思い出せないエマに、みんなでこれまでの思い出を語ってゆく小説版第4弾。ノーマンの誕生日、嵐の夜を楽しい思い出に、コニーが眠れなかった理由、ママと三人で対戦したチェスの思い出、レイたちが不在時のドンとギルタの活躍、屋根裏部屋の窓と北極星の思い出など、GFハウス時代や逃亡時のエピソードが描かれる構成で、過去を思い出せない状況は変わらなくても、仲間たちとまた家族になって、幸せな未来をきっと掴み取ってくれると思わせてくれるエピソード集でした。
読了日:01月12日 著者:白井 カイウ,出水 ぽすか,七緒
准教授・高槻彰良の推察5 生者は語り死者は踊る (角川文庫)の感想
大学2年の夏。尚哉は「嘘が歪んで聞こえる」自らの耳と、その原因となった「死者の祭」の真実を探るべく、高槻・佐々倉と長野の旧小山村へ向かう第五弾。今回は大学内で行われた百物語のエピソードと、尚哉の「嘘が歪んで聞こえる」耳の原因を探るために三人で長野の旧小山村へ向かう中編二本の構成。例の真夜中にある不思議な「祭」へと招かれてしまって危ない橋は渡ったものの、尚哉が抱える問題の事情はわりと明らかになりましたかね。それにしても先生は一体どうしてしまったのか...最後の瑠衣子のエピソードは結構いい感じに効いてました。
読了日:01月12日 著者:澤村 御影
ひとり旅日和 縁結び!の感想
社長からのアドバイスをきっかけに、初めて一人で行った熱海でひとり旅の魅力に取りつかれた日和。好奇心旺盛にどんどんと行動範囲を広げてゆく第二弾。気になる人の情報から行ってみた函館や房総の久留里城、たこ焼きが食べたくて行った大阪や、レンタカーに初挑戦の出雲、そして先輩の結婚式で行った姫路と、気になる相手・蓮斗との縁だったり、旅でいろいろチャレンジしてみたり、仕事に頑張ってみたりと少しずつ変わってゆく日和の姿が印象的でしたね。著者さん得意の美味しそうな食べ物やお酒も満載で、読んでていて食べたくなりました(苦笑)
読了日:01月13日 著者:秋川 滝美
忘れじのK 半吸血鬼は闇を食む (集英社オレンジ文庫)の感想
恩人パオロが倒れたという知らせで故郷フィレンツェに戻ったガブリエーレ。彼が倒れた原因を探るため、秘密にしていた闇の世界にかかわる仕事を追いかけ始める物語。幼い頃から見えていた黒いもやに追いかけられる過程で出会ったパオロの相棒だったダンピール・かっぱ。ともに過ごす中で彼らの関係も明らかになっていって、だいぶ様相も変わっていきましたけど、突きつけられるダンピールの宿命と悲哀がまた切なくて、それを知ったガブリエーレがかっぱとこれからどう向き合っていくのか、とても気になる結末だったのでシリーズ化に期待したいです。
読了日:01月13日 著者:辻村 七子,高嶋 上総
旅する練習の感想
コロナ禍の情勢で、中学入学を前にしたサッカー少女・亜美と小説家の叔父による徒歩でカシマスタジアムを目指すふたり旅。コロナが少しずつ広がり始めた頃の影響を感じさせる状況で、生粋のサッカー少女・亜美が合宿中に持ってきてしまった本を返すための旅。旅の途中に二人で見かけた様々なこと、出会って一緒に旅することになったみどりさんとのやりとりや複雑な思い、育まれてゆく絆にはじーんとくるものがありましたけど、そんな彼女たちのやりとりに明るい希望を見出したからこそ、淡々と綴られたその結末には何とも切ない気持ちになりました。
読了日:01月13日 著者:乗代 雄介
貴サークルは"救世主"に配置されました (GA文庫)の感想
自分の同人誌で魔王の復活が防がれる。突如現れた女子高生ヒメにそう諭された大学生のナイトが、彼女の協力のもと新刊制作に取り組む青春ファンタジー。即売会で同人誌を百部完売しないと世界が滅ぶことを知り、どうにかそれを回避するためヒメと一緒に取り組む同人誌制作。直面する現実、解釈違いに書くスピード、宣伝不足など問題は山積でしたが、ぶつかり合いすれ違いながらも仲間と協力して、目標達成に奮闘する王道で分かりやすい熱い展開にはグッと来るものがありましたね。それにしても次の目標はなかなかハードルが高そうです・・・(苦笑)
読了日:01月13日 著者:小田一文
忘れえぬ魔女の物語 (GA文庫)の感想
壊れたレコードみたいに何度も繰り返す日々を生きる女子高生・綾香。そんな彼女が次の日も友達でいてくれた未散と出会う、恋も友情も知らなかった二人の少しフシギな物語。事情を知る従姉の優花以外は誰にも理解されない綾香。繰り返される同じ日から無作為に選ばれる一日と、彼女だけが覚えているたくさんの思い出。けれど未散の存在は波紋を投げかけるように彼女に変化をもたらして、かけがえのない存在だからこそ簡単には諦めきれなくて、不器用でひたむきな想いで挑み続けた末に見事乗り越えてみせた彼女たちの結末がとても印象的な物語でした。
読了日:01月13日 著者:宇佐楢春
転生魔王の大誤算2~有能魔王軍の世界征服最短ルート (GA文庫)の感想
ベクター王国を一瞬で攻め落とすと、統治体制を確立するため民心獲得政策を打ち出す魔王・ケンゴー。金と物をバラ撒き魔王の体面を保ちながら、ヘタレチキン魔王の政治《たたかい》が始まる第二弾。有能な臣下たちも協力的で一見順風満帆に見える状況下で暗躍する、魔族と人族の融和を望まぬ者達。むしろ媚びるくらいの勢いで統治を始めたのに、施策が空回りする展開でしたけど、窮地に陥った部下や民を見捨てないケンゴーの奮闘にみんなメロメロですね(苦笑)相変わらずテンション高いですが、1巻目よりこなれて面白くなってきたので続巻に期待。
読了日:01月14日 著者:あわむら赤光
俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ (GA文庫)の感想
あぶれてあまりモノ扱いされ幼馴染になり損なったぼっち三人。そのうちの一人、星夜アゲハが電脳アイドル『∞ギンガちゃん』として活動を始め、アズマとロコが激推しフォロワーとして密かに応援する青春小説。いがみあいながらも、ギンガちゃんを応援する同志として絆を深めてゆくアズマとロコ、二人との交流がメインだったギンガちゃんがチャレンジするコラボ企画。フォロワーが増えればアンチもいて、楽しい事ばかりではないけれど、交流の積み重ねで育まれてゆく彼らの固い絆と、挫折を乗り越えて成長してゆく姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月14日 著者:りんごかげき
ヨンケイ!!の感想
離島・大島の渚台高校に転校してきた春尾。慢性的な人数不足に悩む陸上部にようやく男子4人のスプリンターが揃ったのに人間関係は最悪で、そんな彼らが100×4リレー(四継)に挑む青春小説。ヒーローだった兄との差を痛感する星哉、親友との複雑な過去を抱える雨夜、強豪陸上部を逃げ出した春尾、ヨンケイ出場に憧れていた朝月。相手を理解しようともせずことあるごとに衝突し、なかなか力を出しきれなかった彼らが、ふとしたきっかけからピタッとハマる瞬間を知り、手応えを感じて一丸となって勝利を目指す姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月15日 著者:天沢 夏月
神楽坂つきみ茶屋 禁断の盃と絶品江戸レシピ (講談社文庫)の感想
突然、事故死した両親に代わって、神楽坂の割烹「つきみ茶屋」を継ごうと決意する剣士。幼馴染の翔太とワインバーへ改装しようと夢見るが、翔太が代々伝わる禁断の盃で酒を飲んでしまい、江戸時代の料理人・玄の魂が憑いてしまう物語。武士に毒味をさせられて無念の死を遂げた玄が披露する素朴ながらも美味しそうな料理の数々。翔太のことを心配しながらも、一方で職人気質な玄のありようにも好感を抱いていて、どうなることかと思いマシアが、翔太を交えながら一緒に本当に目指すべき姿を考えていく展開はなかなか良かったですね。続巻に期待です。
読了日:01月15日 著者:斎藤 千輪
メイド・イン京都の感想
婚約したばかりで彼の父の急死に直面し、彼の実家・京都に移住することになった美咲。実家での扱いに困惑し、豹変する彼に幻滅し、美咲がTシャツ作りにのめり込んでいく物語。作中で語られる京都の今も興味深かったですが、まだ二人の関係も確立しない中で見知らぬ土地への移住、周囲からのフォローもない孤独感はなかなかしんどい状況で、そこから受け身だった彼女が新しい縁を得て、自分らしさを思い出してゆくまさに山あり谷ありの激動の展開でした。けれど大切なものを見失わなかったからこそ切り開けた未来にはぐっと来るものがありましたね。
読了日:01月16日 著者:藤岡 陽子
「やりたいこと」が見つかる時間編集術 「4つの資産」と「2つの時間」を使って人生を変えるの感想
数々のベストセラーを手がけた編集者である著者が「編集」のスキルを「時間の使い方」や「生き方」に活かす方法をまとめた1冊。ポイントとしては人生における資産は「時間」「能力」「お金」「人脈」の4つ。うまくコントロールできるのは時間だけで、だから何に時間を使うのかを考え抜くこと、タスクをスリム化するためにどうすればいいのかを考える、非生産的な時間をうまく使う、ルーティン化あたりですかね。とりあえず自分がどうやって生きたいのかを明確にして、そのために必要なプロセス、時間の使い方を突き詰めていくというところですか。
読了日:01月16日 著者:長倉顕太
この一冊で全部わかる ビジネスモデル 基本・成功パターン・作り方が一気に学べるの感想
ビジネスの本質や企業の成り立ちを1つずつ解説して、その収益の仕組みや、他の企業に勝ち続けている「強さの秘密」を理解しようと試みた1冊。ビジネスモデルから戦略モデル、オペレーションモデルや収益モデル、ビジネスが成立するかを決める前提のコンテキストなど、63パターンのビジネスモデルを前提から実例、成立条件から落とし穴まで解説。面白い発想から生まれた先行事例を読むと、これから同じことの後追いではなかなか厳しいですし、どうすればこれまでと違った新しいビジネスを作り出せるのか、大胆な着想が大事なんだなと感じました。
読了日:01月17日 著者:根来龍之,富樫佳織,足代訓史
同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか (講談社現代新書)の感想
長年、「世間」の問題と格闘をしてきた二人の著者が、自粛、自己責任、忖度などの背後に潜む日本社会の「闇」を明らかにする緊急対談。禁止でなく自粛に向かう日本独自の世間的な慣習に着目し、「世間=同調圧力」を生み出す日本独特のルールと西欧の社会を比較したり、日本独自の謝罪や身分を定義する人間関係だったり、比較の前提となる根拠に関してはわりとアバウトな印象はありましたけど、今の窮屈なこうあるべき論に支配される空気感に疑問を感じている人が、そのあたりを考えてみる際に参考として読んでみてもよい一冊なのかなと思いました。
読了日:01月17日 著者:鴻上 尚史,佐藤 直樹
涼宮ハルヒの直観 (角川スニーカー文庫)の感想
SOS団のみんなで初詣をしたり、ありもしない北高の七不思議を作り出したり。そんな彼らのもとに鶴屋さんから突如謎のメールが送られてくる第十二弾。なんかハルヒを満足させるためにあれこれ考えるのは大変そうだなと改めて感じつつ、まさかそこからやってきた文芸部員の留学生Tとともに、鶴屋さんから送られてきたメールによる挑戦の謎解きをここまで引っ張るとは思いませんでした(苦笑)各々らしいポジションというか立ち位置は相変わらずで、これまでの過去巻はこんな感じだったかなと思いながら読みましたけど、また続巻あったら読みます。
読了日:01月18日 著者:谷川 流
弱キャラ友崎くん Lv.9の感想
冬。彼女である菊池さんとすれ違ってしまい、向き合って言葉を重ねてもう一度心の距離を近づけようとする友崎。その過程で自らの業とも呼ぶべきものに向き合うことになる第九弾。付き合って初めてわかること、自分にとって大切なもの。真摯に向き合おうとする中で、明かされてゆく今まで気付かなかった菊池さんの一面。そして友崎にとっても菊池さんにとっても特別な日南葵という存在。曖昧にしないでぐいぐいと踏み込んできた菊地さんには驚かされましたが、いやでも自覚させられた友崎と葵、そしてぐっと核心に迫ったこれからの展開が楽しみです。
読了日:01月18日 著者:屋久 ユウキ
育ちざかりの教え子がやけにエモい (3)の感想
夏。長年のすれ違いを経て、明日香との関係にひとつの結論を出そうとする達也。一方、池袋でのスカウトをきっかけに、ひなたと彩夏は映画のエキストラに参加する第三弾。風邪を引いて休む明日香から達也への提案。一見掴みどころがなく、芸能界にもまるで興味がなかったひなたが突如変心した理由。非情な現実を突きつける芸能界の裏側を垣間見るような展開でしたけど、それでも目をそらせないひなたの圧倒的存在感なら遅かれ早かれそうなりますよね。けれどその子供らしからぬ覚悟は吉が出るか凶と出るか…明日香と達也の関係も気になるところです。
読了日:01月18日 著者:鈴木 大輔
剣と魔法の税金対策の感想
税制度が世界の根幹を司る世界。税天使から突如告げられた世界の半分という莫大な資産にかかる贈与税に焦り、税金逃れのために魔王と偽装結婚を図る銭ケバ勇者。追い詰められた二人を伝説のゼイリシの少女が救う異世界税制コメディ。偽装結婚したものの杜撰だった経理を突かれ、莫大な税金を課される魔王と勇者。そんな崖っぷちの彼らを助けて経費を計上しながら、先を見据えた施策で問題を解決してゆくゼイリシの少女の活躍が痛快で、なんだかんだで仲良くなってゆく勇者&魔王らしさも絡めながら、上手くまとめあげてみせた展開は面白かったです。
読了日:01月19日 著者:SOW
威風堂々惡女 5 (集英社オレンジ文庫)の感想
雪媛の立后式で芙蓉の父親・護堅が皇帝の子を殺したと直訴。碧成もショックで倒れる中追い詰められた雪媛が皇后位を剥奪され僻地に流罪とされてしまう第五弾。拷問を受ける芳明を救うため、あえて罪を認めて流罪を受け入れる雪媛。碧成からも音沙汰なく復帰の見込みもない生活でしたけど、たびたび危機に陥る一方で、里に迫る危機を懸命に知らせようとしたり、優しい雪媛の本質が垣間見える展開でした。それにしても流罪の報にいてもたってもいられなくなった青嘉、狂気じみた雰囲気を漂わせる碧成と、これからの展開が気になって仕方ありませんね。
読了日:01月19日 著者:白洲 梓,蔀 シャロン
廃墟の片隅で春の詩を歌え 王女の帰還 (集英社オレンジ文庫)の感想
革命により王政が倒れた国・イルバス。最北の辺境に建つ『廃墟の塔』に幽閉されていた前国王三姉妹の末王女アデールが、姉王女ジルダの命を受けたエタンに手引され脱出を図るファンタジー。アデールを救い出したジルダの打算。そんな彼女と関係があり指導役となったエタンと、女王として凱旋したジルダと共に国に戻ったアデールにもたらされるグレンとの結婚。ジルダと戻ってきた次王女ミリアムが対立する不穏な構図の中で、不器用なグレンとの関係に向き合い、本来の姿を少しずつ取り戻してゆくアデールのこれからがとても楽しみなシリーズですね。
読了日:01月20日 著者:仲村 つばき,藤ヶ咲
魔王2099 1.電子荒廃都市・新宿 (ファンタジア文庫)の感想
統合暦2099年・新宿市。究極の発展を遂げた未来都市に、伝説の魔王・ベルトールが再臨。輝かしい繁栄とその裏に隠された凄惨な闇。新たな世界を再び支配すべく魔王が動き出すサイバーパンクファンタジー。500年ぶりに復活してみれば、力も衰え驚異的な技術の進化にも取り残され、かつての部下マルキュスに叩きのめされる屈辱。そこから独特なキャラの動画配信で信仰を集め、大切な部下マキナを取り戻すために再び挑む王道の華々しい展開は面白過ぎました。今回は共闘したかつての勇者の動向も気になりますし、続巻も期待大のシリーズですね。
読了日:01月20日 著者:紫 大悟
魔女と始める神への逆襲 道化の魔女と裏切られた少年 (ファンタジア文庫)の感想
定められた《試煉》の達成で《魔技》が手に入る世界。禁忌の魔技「神匣」を心臓に宿すために世界中から狙われ続ける少年ティクスと、かつて世界中で暴虐の限りを尽くした「道化の大魔女」オヨチが出会うウィッチ・ダーク・ファンタジー。「神匣」の持ち主として追われるティクスを救った常闇の魔女の弟子・オヨチ。「神匣」を消すために協力することになった二人が因縁に立ち向かう展開で、華々しい魔術と駆け引きを駆使したバトルに、孤独だった魔女・オヨチとティスクの不器用な絆も効いていて、二人のこれからが楽しみな期待の新シリーズですね。
読了日:01月20日 著者:水原 みずき
シェアハウスで再会した元カノが迫ってくる (ファンタジア文庫)の感想
喧嘩や浮気が原因で同棲していた彼女と別れて心機一転、シェアハウスへの入居を決めた大学生・悠士。しかし引っ越した先でその彼女の真冬と再会してしまう青春ラブコメディ。最初は他人のふりをしていたものの、お互い浮気だと思っていたことがあっさり誤解だと判明し、共同生活の中で以前はいろいろ相手への配慮が足りていなかったことに気づいていく二人。悠士と幼馴染の距離感が気になる真冬は面倒だけれどわかりやすいチョロインで、悠士自身も彼女を意識してはいるものの、別れた経緯が経緯だけに、二人にはもう少し時間が必要ですかね(苦笑)
読了日:01月20日 著者:くろい
転生王女と天才令嬢の魔法革命3 (ファンタジア文庫)の感想
姉弟喧嘩からのアルガルド廃嫡で狂い出した歯車。王位継承権一位となってしまい、疲弊していく王女を隣で見続けたユフィリアは、彼女のため一つの決意をする第三弾。アニスの置かれる立場が変わったことで停滞してしまう魔学研究、そして宙ぶらりんになってしまった助手・ユフィリアのポジション。らしさを失ってゆくアニスを救うためのユフィリアの決意と示される選択肢、明かされる精霊契約の真実。気がついたら二人の立ち位置もだいぶ攻守が入れ替わった感もありましたけど、紆余曲折あったものの二人の関係もいい感じにまとまって良かったです。
読了日:01月21日 著者:鴉 ぴえろ
異世界迷宮の最深部を目指そう 15 (オーバーラップ文庫)の感想
立ち上る火柱を視認し、ラスティアラたちの安否を確認するべく地下街に向かったカナミ。そこでノスフィーによって『素直』にさせられ、仲間内で争うラスティアラたちを目の当たりにする第十五弾。素直にさせられたらまあそうなるよな...という展開でしたけど、可燃物のカナミを止めて彼女たちとしっかり向き合ってみせたラスティアラは流石でした。それにしても過去視によって知ったノスフィーの壮絶な過去と、その贖罪ともいうべき総力戦の先にあった、思ってもみなかった斜め上の展開には正直絶句しました。ここからどうするんですかね…これ。
読了日:01月21日 著者:割内タリサ
友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 4 (オーバーラップ文庫)の感想
真桐先生の問題が一件落着した後もまだまだ続く夏休み。去年までなら冷房のきいた家に籠もっていた優児が、今年は『様々なイベントに参加する夏休み後半戦の第四弾。ソロキャンプで出会った意外な人物だったり、朝倉や春馬たちと行った海水浴の水着回、お見舞いだったり、夏奈とのデートや夏祭りイベントなど。偶然にしてはやたら優児との遭遇率が高い真桐先生や、ぐいぐい攻める夏奈も存在感ありましたけど、やはり軸になるのは冬華との関係なんですよね。正直なところもう少し進展あっても良さげですが…最後の約束もポイントになってきますかね。
読了日:01月21日 著者:世界一
星詠みの魔法使い 1.魔導書作家になれますか? (オーバーラップ文庫)の感想
世界最高峰の魔法使い教育機関ソラナカルタ魔法学校。その五年生として在籍する少年・ヨヨが、魔法学校の地下空間に広がる工房迷宮で魔導書作家になる夢を抱く新入生の少女・ルナと出会う学園ファンタジー。確かな実力を見せるヨヨにフォローされながら、同級生のエヴァと工房迷宮に挑戦するルナ。彼を主人公に物語を書きたいと思うようになってゆくルナとの交流と、ヨヨが密かに抱える悔恨。彼女たちが危機的状況に陥る中で、葛藤するヨヨの背中を押す遺されていた大切な思い、そして彼らが迎えるとても優しい結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月21日 著者:六海刻羽
転生佳人伝 寵姫は二度皇帝と出会う (角川文庫)の感想
暗殺され非業の死を遂げた尤皇帝・陶淵紫。来世で再び巡り会い、護る力を得るため神仙に自らの命を供物として捧げた寵姫・劉昭儀が、二百年後に白花珠として生まれ変わる中華風ファンタジー。淵紫と同じ瞳を持つ若き皇帝・陶紫英の危機を救い、身の回りで不穏な事件が続く彼の警護係として仕える花珠。今回は意外にも脳筋の武官ヒロインが主人公でしたけど、淵紫とはまるで違う紫英に振り回され、事件が続いて真犯人が誰か疑心悪鬼に陥りがちな状況の中、劉昭儀でなく花珠として紫英と向き合うようになってゆく結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月22日 著者:三川 みり
彼女は僕の「顔」を知らない。 (メディアワークス文庫)の感想
死者複数名を出した凄惨なキャンプ場放火事件から10年。その生き残りの高校生・新塚良の前に、同じ事件の生存者・静葉が転校生として現れる青春ライトミステリ。久しぶりに再会した静葉から協力を依頼される、10年前の放火事件の犯人探し。失貌症の彼女が遭遇していた黒服の男、差出人不明の脅迫状、不審火の記録。最初、物語の構図自体はシンプルなものに思えましたが、そこから徐々に新たな真相が見えてくるたびにその形を大きく変えていって、読み終わってから改めてタイトルを見返すと、それの持つ意味がじわじわと来る印象的な物語でした。
読了日:01月22日 著者:古宮 九時
義妹生活 (MF文庫J)の感想
親同士の再婚をきっかけに、同級生の美少女・綾瀬沙季と兄妹として同居することになった高校生の浅村悠太。男女関係に慎重な価値観を持つ二人が、適度な距離感を試行錯誤する家族小説。不器用で孤独に努力を重ねて他人に甘える術を知らない沙季と、その言動に戸惑いながらも真摯に向き合おうとする悠太。甘い展開というよりは、バイト先の読売先輩にからかわれつつ、わりと独特な考え方をする沙季の良き理解者的立ち位置になっていくのかな…と思いながら読みましたけど、最後にある沙季の日記がじわじわ来る感じで、これは今後の展開が楽しみです。
読了日:01月22日 著者:三河 ごーすと
神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦 (MF文庫J)の感想
暇を持て余した神々が作った究極の頭脳ゲーム「神々の遊び」。永き眠りより目覚めた元神様の少女レーシェと近年最高のルーキーと注目される少年フェイが運命の出会いを果たす頭脳戦ファンタジー。ゲームが好き過ぎて周囲に持て余されていた元神様と、見初められた天才ゲーム少年。そんな二人が神様が作る気まぐれで理不尽で理解不能なゲームに挑む展開で、天然気味な少女パールもチームに加えて、たとえルールさえ分からないゲームでも、ハマった時には誰も気づかないアプローチから活路を見出す痛快な展開を今後も期待したくなる新シリーズですね。
読了日:01月23日 著者:細音 啓
聖剣学院の魔剣使い6 (MF文庫J)の感想
桜蘭出身の武装傭兵団が〈第〇七戦術都市〉を巻き込む恐ろしい計画を進めていることを知らされる咲耶。かつての同胞を止めるためひとり奔走する咲耶は、力を借りるため魔王に接近する第六弾。今回は〈桜蘭〉の元王女でもある咲耶メインの回で、彼女や桜蘭の過去の因縁も明らかになってゆく展開でしたけど、やや不穏な気配もあった彼女やレニオスは今後に向けたターニングポイントだったかなと。気になる謎も多いリーセリアや、意外と食いしん坊だった勇者・アルーレの動向も気になるところですが、次は竜王・ヴィエラメインの回になりそうですかね。
読了日:01月23日 著者:志瑞祐
Re:RE-リ:アールイー- 1 転生者を殺す者 (オーバーラップ文庫)の感想
五年前、レッドガルド大陸に突如現れ侵攻を始めた不死の者達「転生者」。人々の遺体を乗っ取り蘇る彼らから殺された娘の遺体を取り戻すため、転生者を狩り続けるディルたちのバトルファンタジー。旅の最中で少年シドを転生者の手から救い連れて帰ったティド。身体を替えて何度でも蘇る転生者相手に分の悪い戦いを続ける彼らの、自ら身体を張り、民衆を鼓舞して繰り広げる熱い戦いぶりは、転生者の謎も明かされ、周囲も感化されていって盛り上がりましたけど、終わらない戦いというのは何ともしんどそうですね...ここからどうなるのか続巻に期待。
読了日:01月23日 著者:中島リュウ
おすすめ文庫王国2021の感想
毎年読んでいる本の雑誌が選ぶ文庫ガイド。選者の「年間マイベスト3」や「読者アンケート私の文庫ベスト1」「サッカー好き書店員匿名座談会」など。個人的には文庫担当を離れて久しいので、どちらかというと読みたい本を探すというよりは、追いかけきれていないこんな本が出ていたのか的な視点で読んでいます。最近はもう自分の読みたいが本出るかどうかでレーベル認識してしまっているので、違う目線で書かれていると新鮮な気分になりますね。挙がってるタイトルを見てる感触では、メディアミックスしないとなかなか厳しいのかなとも感じまずが。
読了日:01月23日 著者:
錬金術師の消失 (ハヤカワ文庫JA)の感想
《始まりの錬金術師》が遺した神秘が眠るとされるセフィラ教会の聖地の塔。そこへ調査に赴いたアスタルト王国の錬金術師テレサとエミリアが、連続首無殺人事件に遭遇する第二弾。神隠しの噂も囁かれる水銀製の奇妙な塔に集まった隣国バアル帝国の錬金術師ニコラ、教会聖騎士団や巡礼者たち。エミリアが冷遇される原因となったシャルロッテも登場し、ニコラとの事件解決を巡る対決もあって、でもそこから二転三転した先で思ってもみなかった結末に繋がりましたね…。結果的に二人の絆は深まった感もありましたけど、シャルロッテはまた再登場に期待。
読了日:01月24日 著者:紺野 天龍
彼女のスマホがつながらないの感想
恐ろしくもきらびやかな「パパ活」の世界で起きる不穏な事件。コロナウィルスの影響を感じさせるリアルタイムパパ活ミステリー。生活苦に悩み、パパ活女子・里香に誘われてパパ活に足を踏み入れる大学生の咲希と、女性週刊誌の編集者・友映の二人視点で展開される、パパ活女子を巡る殺人死体遺棄事件。当時はそんなことあったなと思いながら、一方で貧困化する大学生の苦しい現状や二極化するパパ活女子のシビアな現実、トラブルに巻き込まれてゆく咲希たちの状況をハラハラしながら読みましたが、こういう問題の根の深さを改めて痛感しましたね…。
読了日:01月25日 著者:志駕 晃
小説 ここは今から倫理です。 (集英社文庫)の感想
何となく高校生活を流されて送っていたいち子。そんな彼女と倫理教師・高柳との出会いが生活を変えゆく、倫理の諸問題を問い続けるコミックのノベライズ版。このままでいいのか、これでいいのか、どうすればいいのか、倫理の選択授業を取っている生徒たちが直面した課題や感じた疑問に、何とか助けようとしたり真摯に向き合おうとしていく倫理教師・高柳。これだというわかりやすい解答が提示されるわけではなかったですけど、それが生徒たちが変わるきっかけとなっていく展開はなかなか良かったですね。未読のコミック版も読んでみたくなりました。
読了日:01月25日 著者:ひずき 優,雨瀬 シオリ
グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む (電撃文庫)の感想
国内有数の蔵書数を誇る、宇伊豆学園図書館の地下にある広大な地下迷宮。高等部の図書委員・守砂尊が立入禁止の閉架書庫に足を踏み入れ、図書委員たちの迷宮探索を知る学園ファンタジー。かつて断念した冒険家の夢。秘密を知った尊がチームを組んで始めた、妖魔が跋扈する迷宮で未知の蔵書を探す地下レファレンスの冒険。苦い過去を踏まえた尊の発想や、他の図書委員たちとの駆け引きがなかなか面白かったですけど、ここからどう展開を広げていくかに期待ですかね。尊を好き過ぎて怖い三火や他のヒロインたちとのこれからも楽しみにしてます(苦笑)
読了日:01月26日 著者:佐伯 庸介
呪禁師(じゅごんし)は陰陽師が嫌い 平安の都・妖異呪詛事件考 (宝島社文庫)の感想
平安の世。愛宕山に捨てられ呪禁師の末裔に育てられた京の外れに暮らす竜胆が、陰陽寮の学生で若き日の賀茂忠行と出会う平安ファンタジー。呪い返しに失敗して依頼主の貴族を死なせた罪に問われ、外法師である竜胆に助けを求めにきた忠行との邂逅。中納言を襲った物の怪の病、五条大路の鬼女、帝の寵妃のもがりの儀など、忠行が竜胆の力を借りながら依頼を解決してゆく展開に、竜胆の過去の因縁も絡めながら進むストーリーはなかなか面白かったです。意外としたたかな忠行と、何だかんだで絆も育まれて仲間も増えてきた竜胆のこれからに期待ですね。
読了日:01月26日 著者:黒崎 リク
不可逆少年の感想
どんな少年も見捨てない若き家庭裁判所調査官・瀬良真昼。そんな彼が狐面の少女の凄惨な殺人事件に遭遇し、信念を大きく揺さぶられる青春リーガルミステリ。十三歳の少女が犯した連続殺人事件が抱える不可解な共通点。被害者遺族の男子高校生を担当していたことから、思わぬ形で真相に迫ってゆく真昼。明らかになるたびに事件を巡る構図も大きく変わっていって、追い詰められてゆく少年少女の悲壮な決意には胸を締め付けられましたけど、意外な形で示唆されたもうひとつの可能性に、つい複雑な想いを抱いてしまう結末がとても印象に残る物語でした。
読了日:01月26日 著者:五十嵐 律人
料理なんて愛なんての感想
ずっと好きだった真島に高級バレンタインチョコを渡すも、料理が下手でフラれた優花。彼が憧れていた相手は料理教室の先生だったことから、料理を好きになろうと奮闘する物語。一念発起自炊に挑戦して、料理男子と合コンしたりする一方、自炊しなくてもいい充実した街に引っ越したり、自炊をしない後輩に共感し、料理を作ってくれる男にアプローチされたりで、どうあるべきかで心揺れる彼女の葛藤は切実でしたけど、そんな「料理は愛情」という呪いに囚われながら、上手く行かない自分にしっかり向き合った彼女のありようがとても愛しくなりました。
読了日:01月27日 著者:佐々木 愛
ダンシング・プリズナー (集英社オレンジ文庫)の感想
実の父親を殺したという無実の罪で少年院に入った神連唯。全てに絶望してケンカや脱走、反抗を繰り返す唯の前に、 切れ者で圧倒的なカリスマ性を持った曼珠沙華煌という新入りが現れる青春ミステリ。演劇を通じて少年たちに更生を促す特殊な少年院の雰囲気を変えた曼珠沙華。そんな中で劇に真剣に取り組むようになってゆく少年たちが、唯が捕まった理由を知って、無実の罪を晴らすために真犯人を探し始める展開で、少年院という舞台設定はゆるめでリアリティはやや乏しかったですが、ミステリより彼らの友情と成長をメインに描いた物語でしたかね。
読了日:01月27日 著者:遊川 ユウ,スカイエマ
青矢先輩と私の探偵部活動 (集英社文庫)の感想
かつて母が在籍した「探偵部」に入部するために東京へ引っ越してきた美玖。しかしすでに廃部になっていた探偵部復活を目指して活動する中で、美玖は天才高校生・青矢と出会う青春ミステリ。女子禁制の超進学校に通う青矢の命令で、会う時はいつも男装でミクオを名乗る日々。それでも青矢の探偵としての才能に惹かれていく美玖が、夜の未確認飛行物体の正体、教師が食べた毒草、不可解な試験順位の理由、謎の記号が書かれた手紙など、彼と一緒に謎解きしてゆく展開や二人の関係がなかなかいい感じで、新シリーズとしてまた続巻を読んでみたいですね。
読了日:01月28日 著者:喜多 喜久
薬屋のひとりごと 10 (ヒーロー文庫)の感想
無事西都に到着した猫猫。環境は変化しても相変わらず薬屋として、また医官手伝いとして働く彼女が、羅半兄とともに農村へ向かい、かつて起こった大蝗害の生き残りの老人と出会う第十弾。ひたすら羅半兄と呼ばれ続け、ひたすらこき使われる彼の境遇には苦笑いでしたけど、彼とともに赴いた猫猫の農村での出会い、戌の一族や風読みの民、祭祀のことなどを知ったり、蝗害で窮地に陥る状況の中、西都での壬氏の立ち位置がとても難しいというか、その扱いは何ともあれですね…ここからどう展開が動くんでしょうか。馬閃には成就目指して頑張ってほしい。
読了日:01月28日 著者:日向夏
幼馴染で婚約者なふたりが恋人をめざす話 1 (HJ文庫)の感想
やや苦労性な御曹司の鳥羽悠也と、外面は完璧お嬢様だが中身はノリの良い令嬢・伏見美月。幼馴染で婚約関係な高校入学から半同棲している二人が、恋人っぽい体験を積み重ねていく青春ラブコメ。周囲からはよく熟年夫婦と言われるほど仲が良いものの、互いを知り過ぎて恋愛を意識すると恥ずかしくて手も繋げない二人。幼馴染のカップルなんかもなかなか面白い関係でしたけど、それ以上に自覚もないまま阿吽の呼吸を見せる二人の甘いイチャイチャぶりは圧倒的で、でもそんな二人が時折垣間見せてくれるは普段とのギャップがなかなか効いていましたね。
読了日:01月28日 著者:緋月 薙
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-15. <GAME OVER> (HJ文庫)の感想
講和会議の裏で起こっていた、盗賊王たちによる王都襲撃。 世界の謎を暴くため、譲れないものを貫くため、己の力を刻み込むため、かけがえのない日々を守るため。未曾有の混乱の中で、様々な思惑と信念がぶつかり合う第十五弾。王国主力が講和会議で不在の中、蜂王や炎王、そして盗賊王といった襲撃者たちを相手に奮闘するライザーや騎士団、そして迅羽たち。そして明らかになってゆく大賢者、管理AI、そして邪神といった存在や、物語の核心に迫っていくような内容も多かったですね。ここから物語をどう動かしてゆくのか、続巻に期待しています。
読了日:01月29日 著者:海道左近
いっつも塩対応な幼なじみだけど、俺に片想いしているのがバレバレでかわいい。1 (HJ文庫)の感想
ある日猫を助けたことで、猫の神様から異性の心の声が聞こえる能力を得た高校生の二武幸太。そんな彼の前にかつて喧嘩別れしていた幼馴染・夢見ヶ崎綾乃と再会する青春ラブコメディ。異性の心の声がだだ漏れというアドバンテージと、一方で異性から告白されると死んでしまうやっかいな呪いを抱えて、呪いのせいで幸太にベタ惚れな綾乃や、親友・みずきの事情が幸太にはバレバレだったのは苦笑いでしたけど、素直になれない不器用な綾乃を救うために幸太が奔走する展開はなかなか良かったですね。続巻あるならみずきが抱える秘密の解明にも期待です。
読了日:01月29日 著者:六升六郎太
継母の連れ子が元カノだった6 あのとき言えなかった六つのこと (角川スニーカー文庫)の感想
水斗といさなが付き合っているという噂で校内が色めく一方、水斗との距離を縮められないままの結女。そんな初秋、きょうだい揃って文化祭の実行委員に選ばれる第六弾。衣装選びに放課後の準備作業と二人の時間が増えてゆく中、夏祭りのキスの真意を確かめようとする水斗と自分の好意を気付かせたい結女。ほんと不器用で(あまり報われていないけど)結女とはまた違った意味でのいさなの特別感がたびたび彼女を刺激するわけなんですが、それでも水斗の心を開かせるのは結女なんだろうな…とも思わせる展開でしたかね。幼馴染コンビのその後にも期待。
読了日:01月29日 著者:紙城 境介
とってもカワイイ私と付き合ってよ!2 (角川スニーカー文庫)の感想
再び偽物カップル関係を継続することになった結朱と大和。文化祭の準備を進める中で、高校に入ってから距離をおいていた中学時代の大和の友人・日菜乃と再会する第二弾。中が良かったはずなのに突如終わってしまった日菜乃との関係。気がつくとイチャついていてほんと偽物カップルなの?と突っ込みたくなる距離感の結朱と大和でしたが、けれど日菜乃の存在に結朱も心穏やかではいられなくて、緊張感のあるこのじりじりするような展開とその結末には、乗り越えた過去と彼らが積み重ねてきたこれまでの想いが垣間見えてぐっと来るものがありましたね。
読了日:01月29日 著者:三上 こた
遥かなる月と僕たち人類のダイアログ (講談社ラノベ文庫)の感想
援助交際をしているという噂の炭風凌香にクラスで自分にその真偽を尋ねるよう依頼された涼間鈴樹。不可解な言動の凌香に疑問を覚えた後を追った涼間が彼女の秘密知ってしまう青春小説。凌香によって明かされる彼女に性欲を抱いた人間は死んでしまう『月』の呪い。月の呪いを掛けられた凌香の背景はシリアスですが、表情に乏しそうな凌香なのに涼間に対する態度や言動はどこかじわじわくる感じで、呪いの原因である月もなかなかお茶目で、そんな彼女たちの素顔を引き出してみせた涼間の真摯に向き合おうとする姿勢が何かとてもいいなと思えましたね。
読了日:01月30日 著者:深雪 深雪
最強魔法師の隠遁計画 12 (HJ文庫)の感想
テスフィアの婚約話をめぐり、アルスの前に立ちはだかる王の血に連なる大貴族の異端児・アイル。一応テスフィアの代理として、リリシャを立会人にした会談に臨む第十二弾。お互い一触即発の雰囲気が漂う中、こじれにこじれた問題解決の糸口。その報告も兼ねて訪れたフィアの実家フェーヴェル家での出来事、そして立会人としての言動から追い詰められてゆくリリシャ。当事者はとんでもなく深刻な事態なのに、俯瞰する立場から計画通りとかほくそ笑みながら見ている人の壊れた言動はなかなかドン引きですね…アルスにはこの盤面ひっくり返してほしい。
読了日:01月30日 著者:イズシロ
お金と資産の羅針盤 豊かな人生を手に入れる一番わかりやすい教科書の感想
お金と資産に対する考え方の参考に読んだ一冊。お金を稼ぐことが目的ではなく、豊かな人生を送るのが目的。お金と資産があれば解決できることが多い。自分の立ち位置を自覚して、収入と支出、資産と負債を明確にする。ライフプランを作る、お金に対する考え方を変える、自分へのご褒美を止める、自分の強みを知って目標を定める、お金を得るための手段をできるだけ増やす、好きなことを突き詰めてお金を得る手段とする、PDCAのサイクルで改善していくなど、わりとオーソドックな内容で、確かに曖昧になっている部分を明確にするのは大事ですね。
読了日:01月31日 著者:ジョン・シュウギョウ
トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口の感想
言葉が難しく体系化されていない行動経済学をマーケティング領域で実践的に活用するための一冊。文中で出てくる理論はいずれもどこかで聞いたことがある内容で、目的別に分類して26の切り口で具体的な事例として紹介する形式。どういう切り口で紹介して知ってもらうべきか、それをどう購入に結びつけるのか、顧客の心理を分析しながらの施策は興味深く読みましたけど、そこから実践に移そうと思うとやはりそのまま使えるわけでもなくて、着想をどう落とし込むのか一工夫が必要ですね…でも読みやすくはあるので知っておいて損はないと思いました。
読了日:01月31日 著者:楠本 和矢
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