5月もまずまずの冊数読めました。続きものとしてはもう続巻が読めないのかと諦めかけていた「叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士」(電撃文庫)、「繰り巫女あやかし夜噺」(マイナビ出版ファン文庫)、「青雲を駆ける」(ヒーロー文庫)あたりが読めたのは良かったですね。ラノベはわりといいペースで新刊読めていますが、それ以外は読みたい本が多すぎて後追いで追いかけている状況が続いています。
5月の読書メーター
読んだ本の数:98
読んだページ数:25690
ナイス数:5383
好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (角川スニーカー文庫)の感想
妹・映のラノベを理解したいという相談を受けて、文芸部に所属する兄の荒巻天太がちょっと変わった彼女・帆影歩たちと一緒にラノベを考えてゆくラブコメディ。なんだか二人の恋人らしくない雰囲気に本当に付き合っているのか疑問に思うブラコン気味の映と、ラノベの話をしているはずなのになぜか斜め上の生物学的小ネタをぶっこんでくる不思議少女・歩。噛み合っていなくても自分なりに頑張ろうとする歩はどこか可愛くて、そんな真意が見えてこなかった彼女がエピローグで淡々と語った天太への想いにはついニヤニヤしてしまいました。続巻に期待。
読了日:05月31日 著者:玩具堂
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2 (角川スニーカー文庫)の感想
家出JK・沙優との微妙な距離感の同居生活にも慣れてきた頃、彼女から切り出されたバイトをしたいという願い。そんななか片想い相手の後藤さんからなぜか2人きりの夕食に誘われる第二弾。遠慮していた沙優が自分のやりたいことを教えてくれた変化を喜ぶ吉田。そして明らかになってゆく後藤さんの本当の想いや、吉田の周囲の変化に複雑な心情を隠せない三島といった繊細な人間関係があって、けれどぶれない吉田の真っ直ぐな想いがあって。危ない場面もありましたが、周囲も暖かく見守る二人の関係がどんな結末を迎えるのかまた続巻が楽しみです。
読了日:05月31日 著者:しめさば
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 7.奇跡の盾 (HJ文庫)の感想
リューイを送り届けたトルネ村で始まった風星祭。しかしその時、過去に封じられたと言われる怪物・コクテン様の封印が解ける第七弾。第三形態に進化したネメシスとともに古代伝説級のUBM【黒天空亡モノクローム】に挑むレイと、混乱に乗じてレイを倒そうとするPKと対峙したビースリーの秘めていた真の実力。その力を見せつけたバトルに、レイの周囲にほんと実力者が多過ぎるなと苦笑いでしたが、外伝ではルークが謎解きから超級エンブリオに挑む展開。まだまだ力不足な部分もありますけど、彼もまた物語の主人公の一人になってゆくんですかね。
読了日:05月31日 著者:海道左近
戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉 8 (HJ文庫)の感想
ある日トッカーブロートにスヴェンの父親を名乗る謎の男・マイッツァーが現れ、一方王都ではソフィアがヒルダたちと新大陸国家ノアから来た正体不明の将軍を出迎え騒動に巻き込まれてゆく第八弾。反乱鎮圧後に静かに進行してゆく世界の始まりの核心に迫る秘密を巡る様々な思惑。密かに探っていたダイアンとブリッツドナーが遭遇するその真実。スヴェンの父親を名乗るマイッツァーも謎めいていましたが、様々な表情を見せた機械仕掛けの彼女たちの謎も物語の核心に繋がっていきそうで、それぞれの物語がどのように繋がってゆくのか続巻に期待ですね。
読了日:05月30日 著者:SOW
春華杏林医治伝 ~気鋭の乙女は史乗を刻む~ (コバルト文庫)の感想
実家に居づらくなり女性医官になった春霞が街で少し変わった青年・犀阮陽と出会い、その姉で原因不明の皮膚疾患に悩む皇帝の妃の一人・犀徳妃の世話をすることになるシリーズ第二弾。前巻から十八年が経過し珠理や碧翔も登場しますが、なかなか治らない犀徳妃の症状を巡る展開に、お互い辛い過去を抱える春霞と阮陽の関係を絡めて描かれる展開で、変わらないひとつの強い絆だったり、二人の不器用なロマンスが描かれる一方で、必ずしもそこだけに比重を置かないあたりにこのシリーズらしさがあったりで、続刊あるならまた読んでみたいと思いました。
読了日:05月30日 著者:小田 菜摘
青雲を駆ける 4 (ヒーロー文庫)の感想
シエナ村を恐怖に陥れる不作が襲い、新しい技術を導入したことが原因だと糾弾されるエイジ。新しい技術を歓迎する若者たちと、不作の原因を新技術に求める年寄り衆とに住民が割れてしまう第四弾。タニアまで脅かされたことで自身の無実を晴らし、騒動を収めるために立ち上がることを決めたエイジ。受け身なままではダメだと自ら交渉に赴いたり打開策を講じたりと、タニアや周囲の助けも借りながらなんとかしようとする展開は物語としてもひとつの転機でしたかね。最後はあれはあれでエイジらしいと思いましたけど、今度の続巻は早めにお願いします。
読了日:05月30日 著者:肥前 文俊
満点レシピ: 新総高校食物調理科 (新潮文庫 す 28-1)の感想
高校卒業時、調理師免許が取得できる食物調理科。和洋中スイーツ、舌がとろけるような絶品料理の調理を夢見る30名の調理師の卵たちが、奮闘し成長してゆく青春調理小説。ギロンを重ねて時にはぶつかり合って一致団結しながら、小梅先生のもとで調理師として大切なことを学んでいく30名の調理師の卵たち。最初は受け身で失敗ばかり重ねていた彼らが、いつの間にか自ら考えて先生に提案するようになって、それぞれが日々懸命に腕を磨いて試行錯誤を繰り返し、大切なものを見出してゆく先にあった彼らの成長と結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:05月29日 著者:須藤 靖貴
ウォーター&ビスケットのテーマ2 夕陽が笑顔にみせただけ (角川スニーカー文庫)の感想
8月をループする街架見崎で最大手チームの2つ「平穏な国」と「PORT」の交戦を予見した香屋歩とトーマが、戦いを引き分けに持ち込むためにもうひとつの大手チーム「架見崎駅南改札前」へ向かう第二弾。それぞれが内に課題を抱える「平穏な国」と「PORT」の思惑と、できるだけ平穏に終わらせるべく手を打ってゆく香屋とトーマ。なかなか真意が見えてこない駆け引きの応酬にはもどかしいながらも緊張感があって、地歩を固めるトーマと各国の首脳陣に確実に名前を覚えられてゆく香屋、そして秋穂がどんなことをしでかすのか続巻が楽しみです。
読了日:05月29日 著者:河野 裕,河端 ジュン一
薬草令嬢ともふもふの旦那様 (コバルト文庫 え 3-1)の感想
月夜に狼に変身してしまう秘密を抱え、極度の恥ずかしがり屋で一見無愛想な田舎領主のレナルド。なかなか結婚相手が見つからない彼が、一縷の望みをかけて顔を出した王都の夜会でちょっと変わった貴族令嬢のメレディスと出会う物語。不器用で最初は狼の姿でしかメレディスと言葉を交わせないレナルドと、薬草に精通し田舎暮らしにも前向きなメレディス。ぎこちない二人のやりとりはもどかしくもなりましたが、彼女の危機に颯爽と立ち向かうレナルドと助けられる側に甘んじないメレディスはお似合いで、お幸せにと素直に祝える素敵なカップルでした。
読了日:05月28日 著者:江本 マシメサ
居酒屋ぼったくり〈2〉 (アルファポリス文庫)の感想
少し変わったおいしい餃子の焼き方に、馨の代わりに哲のお弁当作り、哲の両親の昔ながらの喫茶店の立て直し策など、第二弾になっても美音たちの試行錯誤しながらもきめ細かな工夫と真摯に向き合おうとする姿勢や、ときにはお互いの相談にも乗ったりお客さんとの距離感も相変わらずいいですね。親の仕事を継ぐかどうかの難しさだったり、チェーン店が進出する現状でのお店のあり方だったり、これが正解ということはないんでしょうが、いろいろ考えさせてくれることの多い物語です。要さんとの関係もこれから変わってゆくのかちょっと気になりますね。
読了日:05月28日 著者:秋川 滝美
放課後ひとり同盟の感想
不幸だらけの状況に空から降ってくる不幸を蹴り続ける少女、気になる人を意識する高校生のままならない思い、再婚して違和感だらけになった家族と新たに加わった飼い犬、ストーカー気味な片想いの真実、少年が気づいた救ってくれた友人の真相。ままならない少年少女の不雑な心情を描いた青春連作短編集。登場人物たちはそれぞれゆるく繋がっている関係で、自分の努力では容易に解決しない問題を抱えていて、それゆえに辛い出来事にも遭遇しますが、ふとした転機からだいぶ救われた心境になってゆく、少しほろ苦いけれど悪くない読後感の物語でした。
読了日:05月27日 著者:小嶋 陽太郎
次回作にご期待下さい (角川文庫)の感想
仕事に追われる月刊漫画誌の若き編集長で苦労人の眞坂崇とトンデモ天才漫画編集者・蒔田が、漫画バカの編集者たちや漫画に命をかける漫画家たちとともに日常のお仕事に潜む謎を解き明かしてゆくお仕事小説。落とし物をきっかけに出会ったビルの夜間警備員・夏目の謎、打ち切りに悩む漫画家とのやりとりやヘッドハンティング、そして盗作疑惑の真相など、漫画雑誌はほんと大変な仕事なんだなと実感させる一方で、それでも登場人物たちが面白い漫画を作りたいという想いからぶつかり合うなかなか熱い作品でした。これは次回作も期待できますね(苦笑)
読了日:05月27日 著者:問乃 みさき
星降プラネタリウム (角川文庫)の感想
観光地化された星空が素敵な島を捨てた渡久地昴が就職先で配属されたのはプラネタリウム事業課。複雑な思いを抱える彼が魔法使いのようにプラネタリウムの解説をする望月と出会う物語。観客を魅了する望月の手腕や、変わり者の同僚たちにも触発されて仕事に前向きになってゆく昴と、幼き日に約束を交わした天音の再会。いくつもの人間関係と星空への思いのバランスをうまく取りつつ描かれてゆくエピソードでしたが、様々な出会いから心境も少しずつ変わってゆく中、昴が担当することになった故郷の島での星空解説にはぐっと来るものがありました。
読了日:05月26日 著者:美奈川 護
おなじ世界のどこかで (角川文庫)の感想
どこにいても、すぐ人や情報とつながれる気軽さと便利さがあるメールにSNS、インターネット検索。ネットとリアルの中で自分の居場所を探す人々の姿やつながりを描く連作短編集。思いがけず目にした戦地の動画に動揺する中学生とその友人、環境の変化に自分がどうすべきか悩む父親、顔が見えないファンの反応に一喜一憂するネットアイドル、娘の成長を逐一ブログにつづる母親、シリコンバレーの大富豪など、登場人物たちはそれぞれ何かで繋がっていて、目の前のことに惑わされ見失いかけていた大切なものを思い出す展開はなかなか良かったですね。
読了日:05月26日 著者:藤野 恵美
おとなりの晴明さん 第二集 ~陰陽師は初夏に縁を導く~ (メディアワークス文庫)の感想
お隣に住む晴明さんに現世の暮らしを教えるかわりに、陰陽道を教えてもらおうとする女子高生・桃花の二人が京都で紡ぐあやかしファンタジー第二弾。人知れず起こる逢坂の関の危機、動物の魂を導く冥官との出会い、とうふを愛するとうふ小僧の物語、七夕の神社で結ばれる人々の思い。飄々とした晴明さんと家族ぐるみの付き合いになっている素直な桃花を中心に、茜さんや山根家の双子なども登場したりで、篁のうちの時子様っぷりもあれでしたけど、晴明さんの桃花への構いっぷりも負けてない感じに(苦笑)また続巻で彼らのお話が読めるといいですね。
読了日:05月25日 著者:仲町 六絵
銀塩写真探偵 一九八五年の光 (角川文庫)の感想
写真部の部室整理で偶然見つけた銀塩写真に魅せられ、撮影した写真家の弘一に師事することになった陽太郎。そんな彼が偶然師の銀塩写真探偵という秘密を知ってしまう物語。ネガに写る過去に入りこんで弘一が探していた亡き友の大切な思い。弘一の姪・杏奈とともに彼を助けて過去を探る過程で明らかになってゆく意外な繋がりと、ようやく見つけ出した真実。苦い過去は変えられなくても踏み込んだことで気づけたこともたくさんあって、弘一から銀塩写真探偵を引き継ぐ二人がこれからどんな物語を紡いでいくのか、是非続きが読んでみたいと思いました。
読了日:05月25日 著者:ほしお さなえ
わが家は祇園の拝み屋さん8 祭りの夜と青い春の秘めごと (角川文庫)の感想
澪人が作った対策チームの頑張りによって京都に平和が戻り、ミステリー研究会としての活動を再開した小春たち。交際宣言後した二人とそれぞれのその後が描かれる第八弾。みんなの前で交際宣言したのになぜかそっけない澪人と、彼の態度に不安を募らせてゆく小春。そんな二人に周囲もやきもきする展開でしたが、澪人も難しく考え過ぎというか、ただ明かされた思わぬ真相には確かに複雑な面持ちにもなりますか(苦笑)今後に向けていろいろと気になる変化の兆しも感じましたが、何よりもこれは宗次郎さんの動向に要注目ですね。続刊も期待しています。
読了日:05月24日 著者:望月 麻衣
神話伝説の英雄の異世界譚 10 (オーバーラップ文庫)の感想
激化する六ツ国との戦争の中、敵支配下にあるフェルゼンの新王都サンディナルに迫るリズ達。一方アングイスの女王ルシアと密かに接触した黒辰王が彼女と約定を交わす第十弾。グランツが主力を西に向けたことで動き出す諸国の動向。明らかになってゆく千年前の因縁と、新たな動きを見せてゆく具体的に動き始めた黒死郷。それぞれの思惑が絡む決着に向けて動き出した展開の中で、悲壮な決意をする黒辰王とリズが再び邂逅したわけですが、そろそろリズは黒辰王のことぶん殴って強引に振り向かせてもいいんじゃないですかね(苦笑)その辺も続刊に期待。
読了日:05月24日 著者:奉
俺もおまえもちょろすぎないか2 (MF文庫J)の感想
恋人として瞬く間に関係を深め、お互いの両親も公認の二年後の結婚を約束した功成とつぶら。そんな二人の前に功成が以前告白してフラれたギャルの先輩・青原稀が現れる第二弾。当面のイチャイチャを封印した二人の前に現れ、衝撃的な告白が忘れられず想いを伝えてきた稀先輩。その積極的な姿勢につい納得する二人のちょろさには苦笑いでしたけど、功成を信じていたつぶらも急展開の連続に冷静でいられなくなって、ドタバタしていく感じはなかなか良かったです。きちんと向き合った功成とつぶらでしたけど、まだまだ二人を巡る騒動は続きそうですね。
読了日:05月23日 著者:保住 圭
14歳とイラストレーター5 (MF文庫J)の感想
白砂の提案を受け、気分転換で八丈島へ旅行に行くことになったユウトと女性陣。都心にはない自然やグルメを堪能する2泊3日の旅に向かう第五弾。二色脱落でユウト+女性陣のみになるのはお約束ですが、今回地元で張り切る白砂はもとより、二人きりで深夜に作品の打ち合わせをするマリィだったり、相変わらず難儀な状況に置かれているナスさんとの関係だったり、無防備で元気いっぱいの乃ノ香だったり、それぞれに見せ場があって良かったですね。そんな中でやや立ち位置が難しかった感もあった乃ノ香の新たな決意とこれからを応援したくなりました。
読了日:05月23日 著者:むらさき ゆきや
君死にたもう流星群 (MF文庫J)の感想
ほぼ全ての人工衛星が落下した大流星群から三年。たった一人の犠牲者・天野河星乃を救うため、全てを諦めかけていた平野大地が希望を見出し運命に抗う物語。宇宙飛行士だった両親の夢を追いかけていた星乃。コスパ重視だった人生も彼女を失いやる気をなくしていた大地。希望を見出すものの思うようにうまく行かなくて、それでも大切なものを取り戻すという熱い決意を胸に、危機になりふり構わず奔走して、醒めていた大地自身もまた変わってゆく展開はテンポも良くて、変化したことがこれからどう影響していくのか、非常に楽しみな新シリーズですね。
読了日:05月23日 著者:松山 剛
明治あやかし新聞 三 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)の感想
久馬・艶煙と三人で酉の市に出かけて、彼らの昔馴染の藤治郎に遭遇した香澄。それをきっかけに艶煙の過去の因縁が明らかになってゆく第三弾。妻の死を乗り越えられない店主、消えた姉と鬼火事件、そして縁談を断る女中の真意。昔馴染みとの出会いから明らかにされてゆく艶煙の過去と因縁。それぞれの事件は実は繋がっていて、現在にまで繋がっていた艶煙が今も探す男との因縁を決着させる展開でしたけど、久馬と香澄の縮まっているような、そうでもないような何ともいえない距離感がらしいというべきか、その辺の変化も含めて続巻に期待しています。
読了日:05月23日 著者:さとみ桜
落第騎士の英雄譚14 (GA文庫)の感想
一輝やステラがそれぞれの戦いを優位に進める中、夜叉姫・西京寧音と砂漠の死神・ナジームという二人の魔人による戦い、傀儡王とその姉・黒騎士の戦いが描かれる第十四弾。人外めいた戦いになった寧音とナジームの戦いは、文字通りこれまでの積み重ねが勝敗を分けるなかなか良い決着でしたけど、傀儡王と黒騎士の戦いの意外な結末は一輝の見せ場作りな側面もありましたかね。そろそろ終りが見えてきたようにも思えるヴァーミリオン編がどんな決着を迎えるのかも気になりますが、彼らの強さの次元をこれからどう表現していくのかも気になりました。
読了日:05月23日 著者:海空 りく
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?5 (ファンタジア文庫)の感想
ゲーム世界の母親1位を決める天下一母道会に出場することになった真々子。優勝候補として真々子が注目を集める中、愛する息子のため色んな姿に変身しながら様々な種目で色んな種族の母親たちと戦う第五弾。お母さんたちからモテモテのお母さんキラー・真人に真々子がやきもちを焼くとかいう展開もありましたが、いろんな種族のお母さんたちがこれだけ集まると壮観ですね(苦笑)今回もやはり真々子の息子愛が炸裂してましたが、これからHAHAKOさんの再登場はあるのか、アンチ母親な秘密組織もまだまだ諦めていないようで、今後の展開に期待。
読了日:05月22日 著者:井中 だちま
繰り巫女あやかし夜噺 ~かごめかごめかごのとり~ (マイナビ出版ファン文庫)の感想
玉繭神社で機織りの巫女として働きつつ、大学で非常勤講師として機織も教える絹子。お馴染みの仲間たちに加え、大家の血縁である少女・ハジメなど新たな人物も登場する第二弾。女性の肩の不気味な腫物、長い髪の女性の髪を切る通り魔、突然神隠しに遭った男の子の行方。気持ちのいい食いっぷりを見せる絹子に大学生の友人が増えたり、彼女や大家たちの事情も明らかになったり、物語としてだいぶこなれてきましたね。人のおぞましさを思い知らされる各エピソードでしたけど、その先にある意外な結末に少し救われる思いでした。続刊も期待しています。
読了日:05月22日 著者:日向夏
完璧主義男に迫られています (富士見L文庫)の感想
イベント会社でバリバリ働く卯月陽菜に告白したのは、営業の堅物なイケメン完璧主義男・長谷川薫。キッパリ断った陽菜が、諦めない長谷川の誠実かつ隙のないアプローチに迫られてゆくラブコメディ。好きになったものの、理想からかけ離れている陽菜を自分好みの女性にしようとする長谷川。小言は多いけれどぞっこんで誠実な長谷川の積極性に、いろいろトラブルもフォローしてくて、きちんと向き合うようになってゆく陽菜の関係がいいですね。長谷川の独占欲も可愛くて、いつの間にか甘々なカップルになっていてごちそうさまという感じでした(苦笑)
読了日:05月21日 著者:桜川 ヒロ
幻宮は漠野に誘う 金椛国春秋 (角川文庫)の感想
「外戚族滅法」廃止に成功し、晴れて男子として生きることになった星遊圭。しかし政略結婚のため遠国へ輿入れする公主・麗華の近侍女官として、ともに旅立つ新章第一弾。公主を支えながら同時に密かに金椛帝室を救うために、失われた日蝕の周期表を探すことを命じられた遊圭。また女官姿に逆戻りかと思いましたが、立場も変わって玄月との関係も少し変化して、国のために女官だけでなく文官として、時には軍師や伝令として冷静に判断し、危険を顧みずに乗り越えようとする姿に遊圭の成長を感じましたね。元服してからどうなるのか続巻も楽しみです。
読了日:05月21日 著者:篠原 悠希
豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい5 (ファンタジア文庫)の感想
スロウは帝国の侵攻を受ける迷宮都市へと辿りつき、そこで冒険者とともに戦うシューヤと再会。アニメで迷宮都市の悲劇を知るスロウがその回避のために奔走する第四弾。力不足を自覚しつつも足掻こうとするシューヤを認めつつ、それでも退避しない彼を救うために自ら裏方で奔走するスロウでしたけど、主人公だから当然裏方だけで終わるわけはないですよね(苦笑)アニメとは変わってしまった物語でこれからシューヤの立ち位置がどう変わってゆくのか、今回わりと大人しかったヒロインたちとの動向も気になるところですけど、新展開もまた楽しみです。
読了日:05月20日 著者:合田拍子
お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか2 (ファンタジア文庫)の感想
もうひとりの魔光少女・街田好乃が転校生としてやって来て、またもやうっかりその正体を知ってしまった平地。窮地に陥った彼女のフォローにも奔走する第二弾。美人で無自覚モテ体質な新キャラ・好乃に存在感があって、彼女と急接近の平地にやきもきする真帆。相変わらずな平地の超人的フォローぶりと、真帆妹も加わって絶望的な勘違いから混迷が深まるカオスな展開でしたが、なぜか外堀だけはしっかり埋まってゆく真帆と平地の関係に諦めず宣戦布告した好乃がどう絡んでいくかですか。続巻では平地にもそろそろ自覚が少し欲しいところですね(苦笑)
読了日:05月20日 著者:はむばね
青春失格男と、ビタースイートキャット。 (ファンタジア文庫)の感想
桜の木から落ちてきた宮村花恋と運命的な出会いを果たした野田進。なのにそんな幸せを実感できない彼の前に、エキセントリックな孤高の天才児・西條理々が現れる青春小説。進を青春不感症と指摘し、楽園追放計画に誘う西條との恋心とは呼べない背徳的な関係。一方で真っ直ぐないい子だとは思うものの、なぜか心動かない花恋との関係。不器用にしか生きられない彼らの最低の選択が皮肉にもその心境に変化をもたらしたりで、これから三人の関係がどのように変わってゆくのか、読む人を選びそうな作品ですが自分はその結末を読んでみたいと思いました。
読了日:05月19日 著者:長友 一馬
ゲーマーズ!10 天道花憐と不意打ちアップデート (ファンタジア文庫)の感想
真音とのボスバトルをクリアし、自分に足りない恋愛観を自覚した雨野。そんな彼がバレンタインを迎え「去年とはチョコ『ゼロ』の重みが段違いすぎる!」と慄く第十弾。真音の知られざる一面も描きつつ、雨野の周囲のヒロインたちのバレンタインに向けた動きが描かれた今回。相変わらずポンコツぶり全開な花憐さんを始め、それぞれがらしさを出していたバレンタイン模様でしたけど、報われることが少ない心春には少しサービスがありましたかね。雨野がようやく覚悟を決めて動き出したかと思ったら急展開。そう簡単には終わりに向かいませんね(苦笑)
読了日:05月19日 著者:葵 せきな
《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)の感想
大手ラノベ系まとめサイト管理人の高校生・姫宮新。高校では浮いた存在の彼が、とある記事作りから《このラブコメがすごい!!》三位の作者が意中のクラスメイト・京月陽文だと知ってしまう青春ラブコメディ。マーケティングに精通し面白いことは重要ではないとすら考える新と、彼にラブコメの書き方を教わろうとする陽文。陽文への想いを自覚する不器用な新の困惑と迷走には頭を抱えましたが、そんな閉塞しかけた状況を見事ぶち壊してみせた陽文の真っ直ぐな想いが眩しくて、二人が取り戻した彼ららしいかけがえのない日常が印象に残る物語でした。
読了日:05月18日 著者:飛田 雲之
弱キャラ友崎くん Lv.6 (ガガガ文庫)の感想
たまちゃんの問題が解決し、文化祭を目前に控え葵との会議を再開した文也。文化祭に積極的に関わりながら集団での立ち位置を確立していく第六弾。新たな課題とともに葵から問われたひとつの質問。葵の課題を消化しつつ文化祭に積極的に関わってゆき、そんな自身の行動が周囲にも変化をもたらしていく中で浮き彫りになる文也の本質的な問題。今回水沢の存在が要所で効いていて、自ら一歩を踏み出す勇気を見せた魅力溢れるヒロインたちとの関係の変化もまた印象的でしたが、きちんと向き合って前に進もうとする文也のこれからがとても楽しみですね。
読了日:05月17日 著者:屋久 ユウキ
ヤキトリ2 Broken Toy Soldier (ハヤカワ文庫JA)の感想
訓練を終えた新米ヤキトリであるアキラたちが配属されたのは属州惑星バルカにおける儀仗任務。安心安全だったはずの任務で反乱勢力の一斉蜂起に直面する第二弾。行ってみたら聞いていた話とだいぶ違う現地の状況。四面楚歌の中、たまたま持たされていた装備を駆使しつつ生き残るために戦うアキラらたちK321ユニットと、戦後に召喚された軍事裁判という窮地。追い込まれてばかりのアキラの心の叫びが今回も炸裂していましたが、おおごとになったわりには解決方法が何ともアレな感じで、次巻は次巻でまたトラブルに巻き込まれそうですね(苦笑)
読了日:05月17日 著者:カルロ・ゼン
ドルフィン・デイズ! (角川文庫)の感想
大学卒業後もダイビング以外は興味を持てず、就職も決まらない蒼衣。そんな彼がドルフィントレーナー採用試験でイルカやトレーナーの凪たちと出会いのめり込んでゆくお仕事小説。そこそこ器用だけれどプライドが高い蒼衣が魅せられ、仲良くなった相棒イルカ・ビビと共に目指すショーデビュー。熱くなるとつい周りが見えなくなって失敗するその性格は、一方でまっすぐでひたむきな一面もあって、イルカには致命的な異変が見つかったビビやイルカを愛する仲間とともに、その危機を乗り越えるべく奮闘し成長してゆく姿にはぐっとくるものがありました。
読了日:05月16日 著者:旭 晴人
カカノムモノ2: 思い出を奪った男 (新潮文庫nex)の感想
濁り人の死という予期せぬ事態に立ち会ってしまい、心のバランスを崩した浪崎碧。穢れを呑むのに必要な銅鏡もひび割れたまま荒んだ生活を送る碧の前に、一番信頼を置く従兄・涼が現れる第二弾。碧をサポートする涼の言動にどこか違和感を抱き、鏡を直すべく碧を連れて鏡師の日名暁溪を訪ねる桐島。明らかになってゆく涼と碧が嫌でも意識せざるをえない浪崎家の因縁と、そんな彼らと関わる桐島を巡る複雑な想いも絡めながら今後どのような展開になってゆくのか気になるところで、不穏な物語を明るくしてくれる水琴の存在には今後も期待したいですね。
読了日:05月16日 著者:浅葉 なつ
プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)の感想
有機素子コンピュータによる会話プログラムの共同研究者を失い何も手につかなくなった南雲助教と、列車に轢かれて亡くなった元恋人の会話を再現しようとする学部生の佐伯衣理奈。そんな前に進めない二人が巡り合う連作短編集。会話プログラムとのやりとりを交えつつ繰り広げられる、共同研究者、契約社員、元恋人、そして南雲と衣理奈のエピソード。概念自体はやや難解でしたが、理系らしい合理思考と割り切れない情念のせめぎ合いの中で変化してゆく不器用な人間模様はとても優しくて、そんな彼らが迎えた結末はなかなか心に響くものがありました。
読了日:05月16日 著者:早瀬 耕
スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)の感想
同級生の八坂幸喜真に触発された女装男子の天野翔が、彼のプロデュースで女装に目覚めたメアリーと共に女装アイドルを目指す青春小説。病院にいる「あの子」のために女装アイドルを目指すことになった天野翔視点と、丸井宴花との出会いから人生が変わってゆく広瀬怜視点の二つの物語が交錯する展開はぐいぐい読ませるだけの勢いがあって、物語を牽引する目をそらせない八坂の圧倒的な存在感と、「あの子」への献身的で不器用な熱い思いがその心を揺さぶって、伏線を回収して収束してゆく物語が見せてくれたその結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:05月15日 著者:宮入 裕昂
司書と王女の世界大戦 アイリス王国再興記 (Novel 0)の感想
かつて神器を操る七人の英雄が、大陸全土を支配せんとした巨大帝国征伐に多大な貢献をした「英雄戦争」。その裏で存在を消され全てを失った八人目の英雄・セナが、その智謀で歴史を塗り替えるファンタジー。小国の王女メアが拾ってきたぐうたら司書セナに振り回され、なぜか異例の出世を果たしてゆくメアの護衛女騎士クローネ。隣国・グイネットの侵攻から始まった全てを取り戻すための逆襲劇にはスピード感があって、ようやくスタートラインに立ったここからどう展開していくのか、ヒロインたちとの今後を含めて続巻に期待したい新シリーズですね。
読了日:05月14日 著者:津田 彷徨
玉依姫 八咫烏シリーズ5 (文春文庫)の感想
かつて祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪れた高校生の志帆。村の事情に無理矢理巻き込まれた志帆が、生贄を必要とする山神と邂逅する第五弾。いきなり現代を舞台にした物語が始まって面食らいましたが、連れてこられて荒ぶる山神を育てる母の役割を期待される志帆と、彼女と関わるようになって少しずつ変わってゆく山神、そしてすれ違いが生んだ悲劇からの結末が、八咫烏シリーズの「山内」の今に繋がるんですね…これまでの物語との細かい整合性はちょっとだけ気になりましたが、ここから次にどう繋げていくのか続巻に期待ということで。
読了日:05月14日 著者:阿部 智里
最弱無敗の神装機竜《バハムート》15 (GA文庫)の感想
世界連合とともに『大聖域』を巡る最終決戦に勝利したルクスが新王国へ戻り早二週間。少女たちの「協定」が終わりを迎え新たな闘争が幕を開ける第十五弾。催された王都の戦勝パレードの最中に封じ込めていた恋心を自覚し、ついに告白するルクス。どこか首を傾げながら読んでいった展開の先にあった告白に正直驚かされましたけど、やはり感じていた違和感には理由があったりで、今回はバトル描写がやや冗長だった感は否めませんでしたが、思ってもみなかった急展開に恋の決着も自分のありようにもルクスは難しい選択を迫られることになりそうですね。
読了日:05月13日 著者:明月 千里
可愛い女の子に攻略されるのは好きですか?2 (GA文庫)の感想
実は両想いなのに人生を賭けて恋愛ゲームをしている帝と姫沙。ゲームを通じて距離を縮める二人の関係を危ぶみ、許嫁・凜花が同じ学校に転校してきて、姫沙の妹・美月も本格的に参戦する第二弾。したたかな妹キャラの美月と健気な許婚・凜花まで本格参戦して、帝がさらに振り回される展開でしたけど、頭脳明晰なのに帝相手だと恋するポンコツ乙女になってしまう姫沙は破壊力あって、帝がたびたびハートを撃ち抜かれるのも仕方ないというか、追い詰められてあんな行動に出るとは思いませんでした(苦笑)最後の急展開で事態がどう動くのか続巻に期待。
読了日:05月12日 著者:天乃 聖樹
天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)の感想
病床の国王に代わり摂政として弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。文武に秀で臣下からの信頼も厚い彼が、絶望的な状況から密かに売国を志す弱小国家運営譚。状況を正しく認識して先を見通せるからこそ絶望を感じるウェイン。上手く終わらせるための手を打つのに、それがなぜか効果的な一手に繋がる皮肉な状況の変化や展開の連続でしたけど、ウェインが彼なりに最善へ真摯に取り組んだ結果だからこそ納得感がありました。補佐官のニニムに対する想いも気になる彼にいつか心境の変化はあるのか、どこまでやれるのか続巻が楽しみですね。
読了日:05月12日 著者:鳥羽 徹
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10 (GA文庫)の感想
人造迷宮の鍵を探し求めるロキ・ファミリアが直面した武装モンスターの出現と、ベルのありえない行動による波紋が彼らを揺さぶる外伝第十弾。これまで英雄たらんとして行動してきたフィンが直面する葛藤、本来のベルを知るロキ・ファミリアの面々が抱く複雑な想い、そんなベルを認められない剣姫との対決。認められていたベルの神意をも乗り越える復活と、ベルに触発され変わってゆく彼らの熱いエピソードでしたが、一方で葛藤の末に自らの生々しい想いを自覚したアイズがこれからどう変わってゆくのか、変わってしまうのかとても気になりますね…。
読了日:05月11日 著者:大森 藤ノ
叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士2 (電撃文庫)の感想
敗戦国となった邪神王国・ランドールの荒廃ぶりを見かねてつい手助けをしてしまったギュネイ。そんな中、邪神降臨を目論んだ大司教の娘・ロゥラを旗頭とする一団が決起する第二弾。かつての敵国に味方してしまって、さらにはコンラット率いる邪神教団、第三国まで介入してくる混沌とした状況で、それぞれの正義がぶつかり合い、その心境も変化してゆく熱い展開は面白かったですが、最後にそういう形で伏線を回収してくるとは思わなくてビックリしました。想いを託されたギュネイがこれからどうするのか、続きがあるならまた是非読んでみたいですね。
読了日:05月11日 著者:杉原 智則
悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)の感想
黒い海を越え呪われた悪魔の島にやってきた死霊術師の孫・シュガーリア。そんな彼女が大罪人の男・ヨクサルと出会う愛など知らない男と愛しか知らない少女の物語。可愛がってくれた大切な人たちを失い復讐を志すシュガーリアと、無数の罪をその身に刻み『孤独を力にかえる』悪魔を背負うヨクサル。最初は滅びの運命に囚われ絶望しかなかった二人が、不器用なやり取りを積み重ねていくうちに育んでいった想い、そして相手の危機に命を賭けて飛び込んでいく勇気がもたらした結末には確かな救いがあって、著者さんらしい世界観を存分に堪能できました。
読了日:05月11日 著者:紅玉 いづき
三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)の感想
過去の苦い経験から「偽りの自分」を演じてしまう高校生・矢野四季が、印象的な出会いを果たした物静かな転校生・水瀬秋玻に惹かれ、彼女ともうひとりの人格・春珂を支えるようになってゆく不思議な恋物語。しっかりものの秋玻と対照的な危なっかしい印象の春珂。状況的に春珂をフォローすることが多い四季と二人を見つめる秋玻の繊細な距離感がまた絶妙で、大切な存在なのにすれ違ってしまうやるせなさだったり、ごまかさずにきちんと想いをぶつけてゆく彼らの青春がとても良かったですね。終盤は挿絵の使い方も効いていて続巻が今から楽しみです。
読了日:05月10日 著者:岬 鷺宮
86―エイティシックス―Ep.4 ―アンダー・プレッシャー― (電撃文庫)の感想
ついに運命の再会を果たしたシンとレーナ。レーナを作戦司令とする第八六独立機動打撃軍の初任務として共和国85区内北部、旧地下鉄ターミナルの拠点攻略を命じられる第四弾。どちらも自覚の薄いシンとレーナの周囲の方がやきもきするようなやりとりとか、シンとの過去にわだかまりを抱える幼馴染とか前半はなかなか萌える展開続きでしたけど、後半は共和国国民の闇の深さだったり、レギオンの新兵器投入でやはりギリギリの激闘でしたね。物語の核心に迫りそうな存在も登場しそうですが、何より不器用過ぎる二人の今後が気になって仕方ありません。
読了日:05月10日 著者:安里 アサト
ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 (講談社タイガ)の感想
19世紀英国。父母を亡くし一族から疎まれ異母兄に北イングランドの神学校へ送られたオーランドが、この世の怪を蒐集する若き日のラフカディオ・ハーンと出会い様々な怪異と出会う奇譚集。生者を道連れに誘う幽霊列車、夜の寄宿舎を彷徨う砂男、哀切に歌う人魚の木乃伊の正体、そして墓場で見つけた人形を巡る物語と、著者さんらしい世界観の中で怪異好きなパトリックに振り回されがちなオーランドというコンビが、その真相を解き明かしながらお互いの信頼関係を積み重ねてゆく展開はなかなか良かったですね。続巻あるならまた読んでみたいです。
読了日:05月10日 著者:久賀 理世
雪の王 光の剣 (講談社X文庫)の感想
裏雲を追い最北の駕国へ足を踏み入れた飛牙。鎖国状態を貫き宰相・汀柳簡が権勢を誇る駕で、宰相に目をつけられた寿白も国難に巻き込まれてゆく第四弾。国王夫妻を傀儡とし天令を捕らえた宰相の正体とその野望。生き延びる方法を模索する裏雲と、国王や天令を救い出そうとする寿白、そして駕国に訪れる危機。最後はこの物語の諸悪の権現ともいうべき強敵で、それこそあれこれ奔走して総力戦?で乗り切った結末はやや駆け足な感もありましたけど、なかなかいい感じにまとまってくれたと思いました。外伝などをもし読めるならまた読んでみたいですね。
読了日:05月09日 著者:中村 ふみ,六七質
キングレオの冒険 (文春文庫 ま 41-1)の感想
京都の街で相次いで起きるシャーロック・ホームズ譚を模した殺人事件。日本探偵公社の若きスター・天親獅子丸と、助手の大河がそれらの事件解決に挑むミステリ。探偵に存在感がある世界の京都を舞台に、唯我独尊な性格で騒動を引き起こす名探偵・獅子丸と、そんな彼の助手で探偵公社でスクリプトライターも務めながら密かに作家デビューを志す大河の複雑な関係。そして解決してゆく中で繋がってゆく事件と、裏で糸を引く存在との対決。テンポ良い展開の中で彼らの名コンビっぷりと周囲の人間模様、そして何より著者さんらしい謎解きを楽しめました。
読了日:05月08日 著者:円居 挽
水上博物館アケローンの夜の感想
将来を見失っていた大学生の出流が、立ち寄った閉館間際の東京国立博物館で湧き上がった大量の水に飲み込まれ、美青年の渡し守・朧と出会う物語。自分の悲しみが作り出す冥界の狭間にある「嘆きの川」で溺れた出流と助けてくれた朧との交流。そしてその流れの中で関わってゆく広報の二階堂や犬の埴輪・ケルベロス、そして自らの記憶を失っていた朧自身のエピソード。著者さんらしい幻想的な世界観に、その出会いを通じて心境が変化してゆく登場人物たちが繊細に描かれていて、読みやすく一冊にすっきりとまった結末はなかなか良かったと思いました。
読了日:05月08日 著者:蒼月 海里
魔女の魔法雑貨店 黒猫屋 猫が導く迷い客の一週間 (集英社オレンジ文庫)の感想
困りごと、迷い客の目の前にふと現れる「魔女の魔法雑貨店 黒猫屋」街で噂の魔女で黒猫屋の店主でもある淑子さんが迷い込んできたお客にささやかな奇跡を起こす連作短編集。おばあちゃんが庭で育てていた命の花の正体、コスメカウンターの新米魔女が悩んでいた勘違い、花屋の後輩に贈られた花の本当の意味、亡くなった兄から家族へのメッセージ。常連たちと不定期に魔女のお茶会を開く淑子さんが、最初は魔女の魔法に懐疑的だった彼女たちの誤解を解きほぐしつつ、肩の荷をそっと下ろしてあげる優しさがじんわり温かく感じられた素敵な物語でした。
読了日:05月07日 著者:せひら あやみ
Re:ゼロから始める異世界生活16 (MF文庫J)の感想
『聖域』での戦いから一年。陣営も一致団結して充実した日々を送るスバルたちのもとに、王選候補者の一人・アナスタシアから水門都市プリステラへの招待状が届く第十六弾。一年でだいぶ変わった周囲との関係性と、水の都におけるアナスタシアを始めとした懐かしい顔ぶれたちとの再会。スバルも周囲にだいぶ認められるレベルまで成長したんだなと改めて実感した今回でしたけど、明らかになってゆくラインハルトの複雑なお家事情と突如登場したプリシラ、そしてまた最後に強烈なインパクトもあったりで、次巻からまた物語も大きく動き出しそうですね。
読了日:05月07日 著者:長月 達平
天才詐欺師・夏目恭輔の善行日和 (宝島社文庫)の感想
かつて天才詐欺師として名を馳せた夏目。突然目の前に現れた自分の娘だという小春から依頼を受け、仲間とともに依頼者たちを救う父と娘の連作短編ミステリ。小春が生まれ育った修道院の危機、YouTuberと大人気ゲーム機の不正抽選の謎、結婚詐欺師へ仕掛けるペテンや老人を狙った霊感詐欺と、辛い思いをした依頼人たちのため仲間と仕掛ける夏目の用意周到な解決策は、相手を心理的に追い詰めていく過程が秀逸でその結末も効いていました。小春との親子関係の今後や因縁の橋爪との決着も残っていますし、続巻あったらまた読んでみたいですね。
読了日:05月06日 著者:里見 蘭
語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)の感想
少女ノゾムが難病の治療法を見つけるために参加したデスゲーム。そこで出会った奇妙な青年カタリから「Who」「Where」「How」など、事件を推理するためのレクチャーを受けて成長していく物語。ゲームクリアの条件は謎を解いて生き残ること。そこでクリアを目的としていないかのように見えるカタリの助けを得ながら、広大な半球密室、水に満たされた直方体、ひしめく監視カメラ、燃え上がる死体といった謎に挑んでいく展開は、淡々と綴られながらもおっと思うような仕掛けもあったりで、そんな物語が迎えた結末はなかなか良かったですね。
読了日:05月05日 著者:円居 挽
ウォルテニア戦記 IX (HJ NOVELS)の感想
オルトメア帝国軍と三王国軍の争いが熾烈を極める中、じりじりと劣勢に陥っていく局面を打開するため、御子柴亮真はオルトメア領内にある最重要拠点であるノティス砦の攻略を提案する第九弾。亮真以外の誰もが不可能と考えた敵国内に深くもぐり込む作戦。作戦自体は何とか成功させて個人的に名は挙げたものの、最後はうまく外交で丸め込まれて詰めきれなかったのは仕方ないところですかね。一方で浩一郎の方も以前所属していた組織に接触したりでいろいろなことが明らかになって、厄介な場所に保護されたままの飛鳥はいつか再会できるんでしょうか。
読了日:05月04日 著者:保利亮太
年下のセンセイ (幻冬舎文庫)の感想
予備校に勤める28歳の本山みのり。後輩に誘われ生け花教室に通い始め、助手を務める8歳下の透と出会う彼女が、元カレの結婚式の帰りにバーでバイトをする透に再会する恋愛小説。変化のない日々をこれでいいのかという思いと、変化を恐れる気持ちで揺れるみのりが出会った年下の透。惹かれるけれど臆病になってしまうみのりと、進学で地元を離れるのに真っ直ぐに思いをぶつけてくる透のやりとりがドキドキして、もやもやしたりどうしようもなく恋しくなったり、二人を繋いだ生け花を効果的に使いながら綴ってゆく、可愛くて甘い素敵な物語でした。
読了日:05月04日 著者:中村 航
たとえば君が虚像の世界 (集英社オレンジ文庫)の感想
幼馴染の杉崎颯河に密かに想いを寄せる星莉が自分の机の上で発見したノート。そこに書かれた未来の自分の予告が実現するのを目の当たりにした星莉は、颯河と距離を置くようにとの警告を信じて離れる決心をする物語。予告どおりに離れようと努力しているのに、なぜか逆に近づいていく颯河との距離。ところどころおかしい部分が散見される世界に気づいた星莉と、明らかになる二人がすれ違った悲劇の真相。テンポ良く進む展開の先に用意された結末にはやや唐突な感もありましたけど、一緒に乗り越えた二人がもう一度やり直す未来を信じたくなりました。
読了日:05月03日 著者:くらゆい あゆ
こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 2 (講談社ラノベ文庫)の感想
バレンタインデーで親友のメイと明人をくっつけようと企むお節介な唯に巻き込まれる悠馬。しかしそこからなぜか悠馬以外には興味がないはずの幼馴染・明日香と明人が急接近する第二弾。明日香に対しての複雑な想いを自覚する悠馬が密かに抱えていた過去の悔恨と、好きな人に想いが通じるわけないと諦めている唯に対するもどかしい思い。登場人物の誰もがそうそう上手くいかない、報われない想いを抱える複雑な人間模様で、けれど彼らは周囲に助けられながら真摯に向き合おうとしていて、そんな彼らのほろ苦い青春がとても良かったです。続巻に期待。
読了日:05月02日 著者:清水 苺
→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫)の感想
他人との関わりを避け、ぼっち高校生活を送っていた軒嶺緋色のネット恋愛の恋人スモモ。引きこもりだったはずの彼女が突如緋色の高校に入学してきて、リアルの彼女になってしまう青春小説。緋色の高校生活を一変させたスモモの存在と思い描くほど上手くいかないリアルな日常、そしてふとしたきっかけから対応を誤り炎上してしまう二人の関係。不用意な面もあったとはいえコミュ障には厳しい展開でしたが、ここで黒歴史だったはずの元カノの存在がなかなか効いてましたね。わりといい感じにまとまっていただけに、続巻をどう進めるのか気になります。
読了日:05月02日 著者:悠寐 ナギ
海辺の病院で彼女と話した幾つかのことの感想
とある地方都市に蔓延した大人が死に至り子供に力が宿る病と侵略者たちとの戦い。海辺の病院を訪れる上原蒼が当時起こった出来事を思い出し語ってゆく物語。突然突きつけられた両親や町での多くの死と失われた平凡な日常、それをもたらした元凶・魔骸の存在。戦う手段を自覚し復讐しようとする蒼と、その過酷な戦いの過程で出会ったハルカたちとの間で育まれてゆく想い。徐々に明らかになってゆく大人の事情にも振り回されて、唐突にもたらされた終焉の結果はあまりにも理不尽で、だからこそ彼らの真摯な思いや心の叫びがとても印象的な物語でした。
読了日:05月02日 著者:石川 博品
ぼくときみの半径にだけ届く魔法の感想
売れない若手カメラマンの仁が偶然撮影した窓辺に立つ美しい少女・陽。難病で家から出られない彼女との出会いが二人の人生を奇跡のように変えてゆく物語。同級生の活躍に屈折した想いを抱いてしまっていた仁が、偶然出会った陽の依頼で様々な景色を撮って届けることになる運命の転機。それをきっかけに仁が活躍の場を広げてゆく一方で、難しい病に絶望を感じていた陽の逡巡にきちんと向き合おうとする育んできた二人の想いがあって。大変だった彼女の家族を思うとやや複雑な心情も残りますが、二人の出会いがもたらした奇跡には救われる思いでした。
読了日:05月02日 著者:七月 隆文
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下) (TO文庫)の感想
少年時代に入退院を繰り返して、ただ生きるだけの日々を過ごしていた桐子を変えた一人の末期癌患者との出会い。 複雑な因縁が絡み合う桐子と福原が「ある医者」との闘病に挑み涙の真実が明らかになる下巻。福原が複雑な想いを抱え認知症で倒れたとされる院長である父の主治医に任命された桐子。真摯に寄り添ううちに明らかになってゆく過去の誤解と、諦めなかった桐子が見出した可能性。葛藤を乗り越えた福原が桐子と一緒に望んだ手術の結果は残念でしたけど、そんな二人がこれからいい関係になっていけるといいなと願わずにいられませんでした。
読了日:05月01日 著者:二宮敦人
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上) (TO文庫)の感想
大病院を辞め小さな診療所を始めた医者・桐子と神宮寺。一方、大病院で閑職に追いやられても患者の「延命」を諦めないかつての同僚・福原。別々の道を歩む二人が、ある難病の恋人同士を前に再会を果たす「最後の医者は桜を見上げて君を想う」の続編。先の見えない小さな診療所生活の中で出会った一人の青年の結末。同じ病を患いながらその決断によって対照的な結末を辿った元恋人の2人という構図が印象的でしたが、桐子の子供の頃に病室で出会った病に前向きに向き合う絵莉さんの母親としての複雑な心情が伺えるエピソードがどう繋がるのか下巻へ。
読了日:05月01日 著者:二宮敦人
蕃東国年代記 (創元推理文庫)の感想
唐と倭国の間に浮かぶ麗しき小国・蕃東。その知識や儀礼を司る貴族の家に生まれた青年・宇内と彼の従者・藍佐が出会った驚異や神秘を描く空想世界の御伽草子。中華と和風が入り混じったような世界観のどこかの怪異や不思議な話をまとめたような連作短編の構成で、雨竜を見物する話や舟に乗り合わせた4人を幻惑するあやかし、酒を酌み交わしながら不思議な物語を披露する話、美しい中将を愛した二人の物語など、淡々と綴られていくその雰囲気が良かったですね。個人的には一番最後の成り行きで求婚し幻の珠を探しに行く話の切ない結末が好きでした。
読了日:05月01日 著者:西崎 憲
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