読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2020年7月に読んだ本 #読書メーターより

7月はいろいろ忙しくなってややペースは落ちましたが、読みたいものを読めたという意味では悪くない一カ月でした。「ヒーローズ(株)」「宮廷神官物語」などの完結もありましたが、「ビブリア古書堂の事件手帖」は扉子ちゃんを主人公にして新たにシリーズ化するのか、ちょっと気になりました。

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:66
読んだページ数:20575
ナイス数:4486

PSYCHO-PASS サイコパス 3 B (集英社文庫)PSYCHO-PASS サイコパス 3 B (集英社文庫)感想
東京都知事選挙が始まり、候補のアイドル政治家・小宮カリナとトップ格闘アスリート・薬師寺が激しい選挙戦を繰り広げる中、捜査を続ける刑事課一係と薬師寺陣営も襲撃を受ける第二弾。薬師寺陣営への襲撃だったり、小宮カリナもまた襲撃を受ける中でのそれぞれの熱い戦闘。若きコングレスマン法斑静火や暗躍する榎宮たち、あるいは入江や大石といった登場人物の心情も描かれたりで、その分分厚くはなりましたが、だいぶ物語の細部まで掘り下げられていると思いました。事件後に密かに会っていた灼と小宮カリナの関係も気になるところではあります。
読了日:07月01日 著者:吉上 亮,サイコパス製作委員会
推理小説のようにはいかない ミュージック・クルーズの殺人 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)推理小説のようにはいかない ミュージック・クルーズの殺人 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
大学の室内楽サークルに所属するピアノ担当の三澤利佳と、バイオリン担当の葛原卯月は、横浜港から船で名古屋港での記念式典に演奏ボランティアとして参加し、船内で起きた連続殺人事件に巻き込まれてゆくミステリ。航行をともにする市の職員とボランティア市民たち。なぜ次々と殺人が起きたのか。意外と狭い範囲で起こった殺人事件を、ロジカルな思考で解決してゆく卯月のアプローチはなかなか興味深くて、そんな中で明らかになってゆく利佳と卯月の関係性の真相や、それにしっかりと向き合い乗り越えようとする結末もまたなかなか良かったですね。
読了日:07月02日 著者:宮ヶ瀬 水
全部ゆるせたらいいのに全部ゆるせたらいいのに感想
生まれたばかりの娘・恵と一日中向き合い、仕事の苦しみから酒に逃げる夫に苦悩する千映。安心が欲しいだけなのに、あきらめて生きる癖がついた、明日何が起きるか予測がつかない日常とその過去を描く物語。言葉が通じない小さな子供と一日中向き合うだけでも大変なのに、酒に溺れたびたび何かやらかすようになった夫に振り回される日々も突き刺さりましたが、それ以上にアルコール依存症だった父と家族の歪んだ関係、それでも希望を見出したくなる気持ちが切なくて、上手くいくようになるといいなと思わずにはいられない結末がとても印象的でした。
読了日:07月02日 著者:一木 けい
代表取締役アイドル代表取締役アイドル感想
握手会での凄惨な事件のトラウマでアイドル活動が続けられなくなっていた河野ささら。降って湧いたとある大企業からのオファーでまさかの社外取締役に就任する企業小説。運よく格安の量子ゲートを生み出しただけで、パワハラが横行し、社長の一声で何事も決まる前近代的な企業体質。それが崩壊するきっかけとなったあり得ない目標設定から、坂道を転げ落ちるような急展開は意外とそんなもんだよな…とも感じつつ、周囲に振り回されるささらが皮肉にも一番の常識人で、助力を得ながら会社を守ろうと奔走した彼女が迎えた結末はなかなか印象的でした。
読了日:07月03日 著者:小林 泰三
僕の涙がいつか桜の雨になる僕の涙がいつか桜の雨になる感想
転校をきっかけに久しぶりに故郷に戻ってきた栞。幼馴染で初恋の相手との再会を楽しみにしていた彼女が、まるで別人のように冷たくなっていた彼・葉桜と再会する青春小説。運命的な再会を果たしたのに、どこか距離を感じてしまう葉桜との関係。けれど葉桜が泣いているところを見つけて、彼の涙の秘密を知ってからは少しずつ変わっていって、ともに過ごす中で取り戻してゆく二人のかけがえのない日々がとても楽しそうで、だからこそその急展開には胸が痛くなりましたけど、彼女のために桜を咲かせ続けた彼が迎えた結末には少しだけ救いを感じました。
読了日:07月03日 著者:犀川 みい
SNSで売る!: 「いいね」を「買います」に変えるテクニックSNSで売る!: 「いいね」を「買います」に変えるテクニック感想
これからSNSをどう活用するかその考え方を知りたくて手に取った一冊。考え方の部分を中心に読みましたが、価格訴求で集めた客はリピートしてくれないので、リピートしてくれるお客様を超えたファンの存在が大事。いいね獲得は見込み客の名簿作りで、日記とコンテンツ(顧客が知りたい情報)の違いを認識しつつ、信用できる筋やファンを大事する戦略で自分を理解している人を巻き込みながら運用、HP・SNS・インターネット広告の組み合わせ、インターネットにない情報にはない情報を提供してゆくという考えた方は参考になる部分もありました。
読了日:07月04日 著者:鈴木 宏佳
できる 仕事がはかどる文字入力高速化 全部入り。 (できる全部入り。)できる 仕事がはかどる文字入力高速化 全部入り。 (できる全部入り。)感想
文字入力の時短&ミス撲滅の実効性を上げるための実務に役立つ94の時短ワザが紹介された一冊。複数の単語をまとめてユーザー辞書登録とか、メールのメッセージの定型文化などは定番だなと思う部分も多かったですが、不要なキーを無効化とか、スペースを極力押さない長文入力、変換間違いの取り消し再変換とか、細かいところではなかなか興味深いテクニックがありました。スマホも何となく使っていたので、スキャンアプリとか音声入力は効果的に使えると思いましたし、officeのアシスト機能も取捨選択をうまくやれば効率上がりそうですね。
読了日:07月04日 著者:リブロワークス
スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい ~8割の社会人が見落とす資料作成のキホンスペースキーで見た目を整えるのはやめなさい ~8割の社会人が見落とす資料作成のキホン感想
体裁が整っておらず「読みにくい」といわれる文章。「美しさ」「スピード」「共有性」、この3つを高めて効率よく仕事を進めるWord/Excelの実践テクニックを紹介する一冊。Wordの「段落」「横と縦」「行間」「範囲選択」、Excelの「セルの仕組み」「データの表示形式」「参照」「名前の定義」といったポイントで整理しつつ、ExcelとWordのどちらで作るべきか、作成速度を飛躍的に向上させるテクニックなど、だいぶ実践的な内容でした。段落ごとのメリハリをつけるインデント機能はうまく使っていきたいなと感じました。
読了日:07月04日 著者:四禮 静子
作家逃亡飯 (星海社FICTIONS)作家逃亡飯 (星海社FICTIONS)感想
カルロ・ゼン蝉川夏哉、津田彷徨ら作家軽飯が創作者へ捧ぐ〆切からの逃避行。同人誌で発行していたものを単行本化した一冊。思ったより分厚かったですが、締め切りから逃亡するための隠れ家的なお店紹介から、ジャガトマ警察に関わるエピソード、異世界もの、魚、肉などテーマを決めて、前述の作家に暁なつめ長月達平日向夏柴田勝家理不尽な孫の手円居挽、みかみてれんの各氏が共演するお話はそれぞれの個性が出ていてなかなか楽しかったです。それにしても肉のテーマで百合を語るみかみてれんさんにはブレないなと笑ってしまいました。
読了日:07月05日 著者:カルロ・ゼン,蝉川 夏哉,津田 彷徨,暁 なつめ,長月 達平,日向 夏,柴田 勝家,理不尽な孫の手,円居 挽,みかみてれん
猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)感想
猫のミクジから神社でもらうタラヨウの葉っぱに書かれたお告げ。それをきっかけに人生が変わってゆく七つの連作短編集。美容師の初めての失恋と叔母の関係、父と娘の確執とスマホでのチケット抽選、就職活動で見つけた大切なもの、妻に逃げられた義父と息子の嫁の意外な縁、転校生が感じたクラスでのもやもや、漫画家の夢を諦めかけた育児中の母の複雑な想い、占い師の抱えていた迷いなど、ふとしたきっかけから気づくこれまで見えていなかったこと、そして変わってゆくそれぞれの関係から感じられる未来への希望がとても印象的な優しい物語でした。
読了日:07月06日 著者:青山 美智子
完・ヒーローズ(株)!!! (メディアワークス文庫)完・ヒーローズ(株)!!! (メディアワークス文庫)感想
ヒーロー制作のお手伝いをする会社で働く青年・修司。仲間や依頼人たちの勇気や夢、出会いと別れ、様々な人生に関わり見つめてきた彼が、自分の進むべき道を模索する第四弾。進路に悩む高校生の従弟の相談や、機械化や百貨店進出に頑固な和菓子職人の息子からの依頼をこなしていくうちに、自分に何もないことに悩む修司。たくさんの人たちと出会い、本当にわくわくすること、好きなこととは何なのか自分に問いかけ、突き詰めた先にあった彼の決意を応援したくなる結末で、行き詰まった人や疲れた人たちにそっと寄り添う優しさが印象的な作品でした。
読了日:07月07日 著者:北川 恵海
廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史 (小学館文庫キャラブン!)廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史 (小学館文庫キャラブン!)感想
残虐非道な凶后の姪として政変で断罪され、天下万民の怨敵として刑場に引っ立てられた先帝の廃妃・劉美凰。死ねずに幽閉された血染めの廃妃が、十年ぶりに後宮に帰還する中華風ファンタジー。彼女の身に宿る奇しき力を必要とし、皇太后とした現皇帝・天凱。表向きは白き喪服をまとった皇太后として、裏では天凱と一緒に都で猛威をふるう鬼病の原因を突き止めるため、未だ怨憎が煮えたつ禁城に舞い戻った美凰の苦悩がまた壮絶で、二人の愛憎が入り交じる複雑な因縁があまりにも切なくて、そんな二人の行く末がとても気になる注目の新シリーズですね。
読了日:07月07日 著者:はるおか りの
満月珈琲店の星詠み (文春文庫)満月珈琲店の星詠み (文春文庫)感想
満月の夜にだけ開く不思議な珈琲店。優しい猫店主が招いた悩める人々を、極上のコーヒーとスイーツ、そして占星術で運命を読む「星詠み」で癒し導いてゆく連作短編集。時代の変化に取り残されたシナリオライター、心に傷を抱えたプロデューサーとスキャンダルに直面した女優、エンジニアが遭遇した初恋の人。どこかうまく行かない状況で巡り合う珈琲店との出会いでは、猫店主の美味しいおもてなしと占星術による導きが転機に繋がっていて、苦境に向き合って充実した日々を送るようになってゆく登場人物たちのその後がなかなか印象的な物語でしたね。
読了日:07月08日 著者:望月 麻衣
終電前のちょいごはん 薬院文月のみちくさレシピ (ポプラ文庫ピュアフル)終電前のちょいごはん 薬院文月のみちくさレシピ (ポプラ文庫ピュアフル)感想
福岡薬院裏通り三日月から満月の夜の間だけ営業している「文月」。三日月から満月の夜の間だけ営業している、店主の文がつくる季節折々のこつまみに心癒される第二弾。成果の出ない研究者、年上のお姉さんを演じてしまう彼女、先輩に気付かれない想い、保健室登校の少女の想い、夫婦にとって大切なこと、キャリア中心に生きてきた女性の複雑な想いなど、どこかしっくりこない状況を抱えているお客さんたちが、訪れた「文月」で文さんや他のお客さんとの時間を通じて大切なことを思い出してゆく、今回もそんなやりとりがとても印象に残る物語でした。
読了日:07月08日 著者:標野 凪
宮廷神官物語 十一 (角川文庫)宮廷神官物語 十一 (角川文庫)感想
幼い頃に生き別れた弟・葉寧の恋人を救い出したものの、落馬して記憶喪失となってしまう鶏冠。天青は重要な証拠を手にし宮中へ戻り、混乱の中、大神官選定の日は刻々と近づく第十四弾。記憶喪失の鶏冠と対面し過去の真実を知る葉寧。鶏冠の記憶を取り戻すためには苑遊の協力が必須と知り苦悩する天青。苑遊の複雑な心中には何か微笑ましい気持ちにもなりましたけど、紆余曲折の末に何だかんだでいい感じに収まって良かったです。それにしても櫻嵐のお相手は誰なのかものすごく気になるので、書き下ろしの続編にはそのあたりもよろしくお願いします。
読了日:07月09日 著者:榎田 ユウリ
寿退社の有川さん 天才記者はまた犯罪者に恋しています (宝島社文庫)寿退社の有川さん 天才記者はまた犯罪者に恋しています (宝島社文庫)感想
某有名週刊誌の最年少副編集長記録を持つのに、なぜか現在は契約社員の有川さん。結婚願望が強く寿退社が夢の彼女とコンビを組むことになった新入社員の真柴によるスクープミステリ。いきなり結婚式当日に結婚相手の犯罪を暴くスタートで、有能なのに恋に落ちた相手が必ず犯罪者だと発覚してしまう彼女は、もしかして男を見る目がない?とか思いましたけど、文豪作家と軽小説家の真意、いわくあるIT社長とサンタクロースなど、結婚相手候補の調査を兼ねた謎解きはなかなか面白かったです。彼女も結婚への道程は大変そうですけどシリーズ化に期待。
読了日:07月09日 著者:桜町 はる
七つの魔剣が支配するVI (電撃文庫)七つの魔剣が支配するVI (電撃文庫)感想
キンバリーに衝撃をもたらしたエンリコの失踪。二年連続の異常事態に教師陣も犯人捜しへと動き始め、オリバーたちの前には転校生の少年・ユーリィが現れる第六弾。無理をした反動に苦しむオリバー、不穏な情勢下で近付く統括選挙、箒競技タイム更新に人生を懸けて挑みながら苦しむアシュベリー。苦しむオリバーを支える仲間たちの熱い想いには強く心揺さぶられて、やはりナナオは別格な存在なんだなと改めて感じましたけど、悩めるアシュベリーの背中を押した元相棒・モーガンの揺るぎない絆と、その壮絶な結末にはまた泣かされてしまいましたよ…。
読了日:07月10日 著者:宇野 朴人
魔王学院の不適合者7 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ (電撃文庫)魔王学院の不適合者7 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ (電撃文庫)感想
地底世界を覆う天蓋が、やがて震雨となって地底世界全土の生命を圧し潰す惨劇。それを食い止める手がかりを得るためにアノスたちは預言者が治める騎士の国アガハへと向かう第八弾。危機的状況を打破するため、一人で戦う相手が憤死しそうなレイたちカップルの愛の戦いやディードリッヒとの戦い、そして覇竜の国ガデイシオラでの因縁の相手・セリスとの決着など、今回は熱いバトルの連続でしたけど、地味にファンユニオンの存在感が効いてましたね(苦笑)それにしても次から次へと因縁が明らかになっていきますが、またここからの新展開に期待です。
読了日:07月10日 著者:
ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい (電撃文庫)ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい (電撃文庫)感想
放送部長を務める小動物のようなかわいらしい花梨先輩と、唯一の放送部員である後輩・市村龍之介。とある目的から先輩を一日三回褒めることをノルマに掲げる龍之介と先輩の攻防を描く青春ラブコメディ。かわいい先輩を尊敬し臆面もなくストレートにガンガン褒めていく龍之介と、彼の前では余裕ある大人な先輩でいたくて必死に耐える花梨。赤面して照れる先輩が可愛くて、二人の仲良さげな距離感に周囲も生温かく見守る状況で、危機的状況も乗り越え本気を出してきそうな龍之介に花梨がどこまで耐えられるのか、続巻がとても楽しみな新シリーズです。
読了日:07月10日 著者:五十嵐 雄策
凪に溺れる凪に溺れる感想
一人の天才音楽青年が作った「凪に溺れる」。その曲と運命的な出会いを果たし、夢と理想、そして現実とのはざまで藻掻いた6人の人生を描く連作短編集。出会った人の心を揺さぶらずにはいられない十太の音楽。霧野十太と水泳少女の出会い、燻る高校時代に出会った少女、大学時代のバンド仲間、夢を思い出したフリーライター、彼の父を巡る過去。第三者視点ゆえに音楽に邁進し続けた十太の複雑な想いは想像することしかできないですけど、それでも彼が生み出した音楽は生き続けて、受け継がれてゆくことを予感させる結末がとても印象的な物語でした。
読了日:07月11日 著者:青羽 悠
星の鏡は輝かない 紫微国後宮秘話 (小学館文庫キャラブン!)星の鏡は輝かない 紫微国後宮秘話 (小学館文庫キャラブン!)感想
理想の伴侶を夢見て女ばかりの宮観を抜けだして婚活の旅に出た南天宮の道姑・成君。そこへ南天宮から「六星鏡」盗難の報が入る紫微国を舞台としたもうひとつの物語。「六星鏡」盗難で責を問わる恩人の観主を救うため幼馴染の喬賀とともに都で神鏡を捜索しようとする成君。都で宇遠と巡り合ったことで宮城の陰謀にも巻き込まれてゆく展開でしたけど、乙女思考の成君と呆れながらもついてくる喬賀の関係に、宇遠やその周囲もまた複雑な過去を抱えていて、それらを絡めて繰り広げられる愛憎劇がまた印象的でした。この続きも妖夜秘話も期待しています。
読了日:07月11日 著者:宮池 貴巳
錆喰いビスコ6 奇跡のファイナルカット (電撃文庫)錆喰いビスコ6 奇跡のファイナルカット (電撃文庫)感想
復活した邪悪の県知事・黒革。錆花技術で日本全域を占領、国民を苦しめ悪政の限りを尽くす彼女の野望を打ち砕くため、最強キノコ守りコンビが再び立ち上がる第六弾。今回はビスコを主演にした映画制作のためにそこまでするのかよってツッコミを入れたくなる黒革の斜め上の野望でしたけど、それでもこれまでの登場人物たちも姿を見せつつ、操られた仲間達との再会、そして迎えた師弟対決、さらには夫婦対決もあったりと、どんどん物語のテンポも上がってゆく熱い展開の末に真正面からぶつかってもらえた黒革も幸せだったのかな…続巻も期待してます。
読了日:07月12日 著者:瘤久保 慎司
ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫)ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫)感想
谷山麻衣が通う高校の取り壊そうとすると祟りがあるという旧校舎。ひょんなことから、校長から旧校舎の調査依頼を受けた渋谷サイキックリサーチの仕事を手伝うことになるホラーミステリ。以前のX文庫版を読んだのはかなり昔だったので内容もあやふやでしたけど、自信家のナルやぼーさん、巫女さん、真砂子たちと出会ってぶつかり合ったり、ああだこうだ試行錯誤しながらみんなで事件解決に挑んでゆく展開を読んでいくうちに、そういえばこんな感じだったなと思い出しました(苦笑)これから順次文庫化されてゆくのならまた読んでいこうと思います。
読了日:07月13日 著者:小野 不由美
ゴーストハント2 人形の檻 (角川文庫)ゴーストハント2 人形の檻 (角川文庫)感想
父親不在の女性ばかりの瀟洒な古い洋館で起こる不可解な出来事。またもや合流することになった霊能者軍団とともに、ナルと麻衣たちがさっそく調査を開始する第二弾。今回もみんなそろい踏みの中で負傷で離脱していたリンも登場。有能なんだか無能なんだかよく分からない面々をあざ笑うかのように、怪しい物音、ポルターガイストはじめ、超常現象が頻繁にかつ規模が大きくなってゆく展開でしたけど、このテンポの良さでどんどん読み進められるリーダビリティは異常ですね(苦笑)文中で時折顔をのぞかせる昔を思わせるがとても懐かしいと思いました。
読了日:07月13日 著者:小野 不由美
やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく (GA文庫)やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく (GA文庫)感想
美少女だが毒舌家で「猛毒の白雪姫」と呼ばれる白金小雪。彼女をナンパから救った笹原直哉に一目惚れした小雪と、そのいじらしい態度に一目惚れした直哉の甘々ラブコメディ。彼女が評判とは裏腹に強がりと嘘で武装したか弱い少女に過ぎないことを見抜いたやたら察しのいい直哉。チョロイン気味な彼女を心配する実妹の審査付き初デートだったり、直哉のバイト先を訪問したり、白金家を訪問することになったりと、直哉が察しの良さで周囲を次々と攻略して外堀がどんどん埋まっていく、不器用で恋愛初心者な二人のこれからが楽しみな新シリーズですね。
読了日:07月13日 著者:ふか田さめたろう
凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない! 2 (GA文庫)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない! 2 (GA文庫)感想
先輩の母親にも認められて、相も変わらずガンガン迫りまくる二菜。塩対応オンリーだった一雪と二人で初めてのお出かけをする第二弾。映画館デート、お料理教室やお散歩デートなど、着実に二人でイベントをこなしながら、もはや入り浸り状態でぐいぐい攻めるのに、先輩の相変わらずの塩対応に「もーっ! なんでですかー!!」が響き渡るお約束展開がだんだんクセになりそうです…。ここまで関係を積み重ねて、傍から見るとえ?付き合ってないの?状態でも一雪が頑なに認めないのって、二菜がベタぼれな理由が分からないからなんでしょうね…たぶん。
読了日:07月13日 著者:yuki
ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六 (富士見L文庫)ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六 (富士見L文庫)感想
“北御門”を狙う呪詛により、廃遊園地へ閉じ込められた芹たち一行。その現象の主と目されるミステリ作家・鷹雄光弦と対峙する一方、彼女たちを救うべく皇臥は急いで芹の元へと向かう第六弾。容易には抜け出せない廃遊園地の状況、北御門への呪詛の存在をほのめかす光弦、そして明らかになってゆく光弦と皇臥たち北御門との因縁。これは恨み節が出るのも仕方ない意外な事情でしたけど、大切な嫁を救うために爆走する皇臥が微笑ましかったです(苦笑)それにしても芹は自覚ないまま抱えているものがまだありそうで、ここは夫の頑張りどころですよね。
読了日:07月14日 著者:秋田 みやび
あなたが心置きなく死ぬための簡単なお仕事。 (角川文庫)あなたが心置きなく死ぬための簡単なお仕事。 (角川文庫)感想
不況によりなんでも屋から「やり残し請け合い屋」に転身した日賀テルが、押しかけWEBコンサル女子・木崎すずを助手に、もたらされた依頼を解決してゆく物語。かつての想い人が育てていた花、余命僅かのためうまく別れたいと願う夫婦、記憶喪失状態な友人の持っていた日記の真実、そして幽霊からの電話の招待、そしてテルに届く差出人不明の依頼。テルとすずの二人で時には衝突し、助け合いながら依頼を解決してゆくコンビっぷりがなかなかいい感じで、だからこそ最後の急展開は切なかったですけど、とても優しくて素敵な物語だったと思いました。
読了日:07月14日 著者:才羽 楽
法廷遊戯法廷遊戯感想
法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不穏な出来事が続き、意外な形で事件に巻き込まれてゆくリーガル・サスペンス。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。思いもしなかった形で起訴された美鈴と、それを弁護することになった清義。人生を諦めたくなかった久我清義と織本美鈴の苦い過去と、明らかになってゆく意外な事件の真相、そして突きつけられる司法界の問題と、それぞれの良心が問われる中で導かれてゆく結末がとても印象的な物語でした。
読了日:07月15日 著者:五十嵐 律人
捨て猫のプリンアラモード 下町洋食バー高野捨て猫のプリンアラモード 下町洋食バー高野感想
オリンピックまで2年、昭和37年の東京。集団就職で上京したものの劣悪な労働環境から工場を逃亡した17歳の郷子が、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に拾われ、そこで働くことになる上京物語。最初の工場でのトラウマからずっと食べられなかったカレーの初体験。頼み込んで働くようになった高野の美味しく温もりあふれる絶品料理、高野で働く勝の淡い想いやお客さんたちとのやりとりがとてもいい感じで、心優しい人たちに支えられながら、自分の居場所を見つけてたくましく生きてゆく郷子のこれからをまた読んでみたいと思いました。
読了日:07月15日 著者:麻宮ゆり子
平安あや解き草紙 ~その女人達、ひとかたならず~ (集英社オレンジ文庫)平安あや解き草紙 ~その女人達、ひとかたならず~ (集英社オレンジ文庫)感想
十六歳年下の帝から想われながらも嵩那への想いを自覚してしまい、受け入れることはできないでいる伊子。近く迫った大嘗祭で思わぬひと騒動が起こる第四弾。五節舞舞姫と尚鳴を巡るエピソード、できる部下・小督の結婚話、そして久しぶりに動き出した入道の女宮。宮廷内の権力闘争も相まって相変わらず伊子の周辺では様々な騒動が起こる中で、要所要所での彼女の的確な判断が光っていましたけど、帝の複雑な想いが痛いほど分かってしまうからこそ、ほんと伊子の立ち回りが難しいですね…そんな状況で登場した入道の女宮の存在がほんと不気味です。
読了日:07月15日 著者:小田 菜摘,シライシ ユウコ
ホーンテッド・キャンパス 最後の七不思議 (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス 最後の七不思議 (角川ホラー文庫)感想
近づくクリスマス。こよみちゃんとのイヴデートを夢見る森司をよそに、オカ研に緊急の相談が持ち込まれる第十七弾。壁の美人画に込められた怨念、涙壺に込められた憎悪、そして夜の学校に現れ、怒らせると家を訪ねてくる七不思議「ササラ先生」。いや今回もまた付き合っているんだからとか、長男だからとか、男らしさとか、押し付けられた一方的な想いに歪められてゆく登場人物たちの複雑な人間模様に戦慄しましたけど、相変わらず健気なこよみと、ヘタレななりにようやく一歩一歩前に進むようになった森司の頑張りがそろそろ報われるといいですね。
読了日:07月16日 著者:櫛木 理宇
万能鑑定士Qの事件簿 0 (角川文庫)万能鑑定士Qの事件簿 0 (角川文庫)感想
09年に都内でバンクシー作とおぼしきステンシル画が見つかり真贋判定を依頼された「万能鑑定士」の凜田莉子。そこからゴッホの真作、漢委奴国王印を巡る謎に次ぐ謎に巻き込まれグアムの探偵と邂逅を果たすシリーズ前日譚。エメラルド密輸を巡る事件解決に貢献したものの、未だ自分の仕事に自信を持ち切れずにいた小笠原とも出会う前の莉子。次々と持ち込まれる鑑定や事件に振り回される彼女が、グアムで偶然出会った探偵・レイにも助けられながら成長し、これでいいのかと迷っていた自分の進むべき道を見出してゆく展開はなかなか良かったですね。
読了日:07月16日 著者:松岡 圭祐
このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)感想
オゾン層が破壊され人々が地下に住むようになった世界。地下都市に住む十六歳の少女・レニーが、サボリ魔の不良少女・トーカと出会う近未来青春小説。周りに溢れるフェイクを嫌ってリアルを探しているレニーと、他の友人とは違うトーカと過ごすようになる日々、空から降ってきた謎の球体「太陽の欠片」。閉鎖的な空間に生きる人々の意識と、不器用ゆえにすれ違ってゆく二人、そして不安を抱えるレニーと太陽の欠片の行方がどこに行き着くのかドキドキしながら読みましたが、しっかりと向き合い希望ある未来に繋がってゆく優しくて素敵な物語でした。
読了日:07月17日 著者:悠木 りん
現実でラブコメできないとだれが決めた? (ガガガ文庫)現実でラブコメできないとだれが決めた? (ガガガ文庫)感想
義理の妹も、幼馴染も、現役アイドルなクラスメイトもミステリアスな先輩も、親友キャラもいない高校生・長坂耕平が、知り合った上野原彩乃を共犯者に巻き込んでラブコメすべく挑戦する青春小説。膨大なデータ収集と分析、綿密なシミュレーションと反復練習でラブコメしようとする耕平と、呆れながらもそれに協力する付き合いのいい彩乃。時折非常識で不器用な面も見せる耕平をフォローする彩乃のツッコミが効いていて、そんな彼女の窮地に奔走する耕平が熱かったですね。それぞれひと癖ありそうなヒロインたちとの今後にも期待大の新シリーズです。
読了日:07月17日 著者:初鹿野 創
ロクでなし魔術講師と禁忌教典17 (ファンタジア文庫)ロクでなし魔術講師と禁忌教典17 (ファンタジア文庫)感想
魔術祭典決勝を襲った最大級の悲劇と天の智慧研究会の最高指導者、大導師フェロード・ベリフの登場。歴史の大いなる転換点で、アルザーノ帝国女王府国軍大臣・イグナイト卿もついに動き出す第十七弾。ジャスティスによって動き出した転換点。思わぬ事態に焦燥を募らせたイグナイト卿による突発的な造反に追い詰められるグレンたちでしたけど、父や家の呪縛に心揺さぶられるイヴが、グレンに支えられながらそれを乗り越えてみせてカッコ良かったです。因果応報な彼の末路はまああれでしたけど、次から次へと物語も大きく動き出して次巻も楽しみです。
読了日:07月17日 著者:羊太郎
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 Secret File (ファンタジア文庫)キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 Secret File (ファンタジア文庫)感想
中立都市で発生した魔女・魔人による盗難事件を追うイスカ・ミスミスコンビvsアリス・燐コンビの競争、ミスミスと同僚女隊長の軍事教練対決、女子寮改築でイスカの部屋に転がり込んできた音々・ミスミス・璃洒、母・女王のお見合い攻勢に音を上げたアリスの見栄がもたらした騒動、幼き日のイスカとアリスの出会い、そしてイスカの師匠&天帝のエピローグと、短編集らしいコメディ感溢れる展開で、騒々しいヒロインたちに巻き込まれるイスカという構図、イスカが絡むと冷静でいられないアリスを醒めた目で見る燐の様子がなかなか楽しかったですね。
読了日:07月17日 著者:細音 啓
ネクラとヒリアが出会う時 (ファンタジア文庫)ネクラとヒリアが出会う時 (ファンタジア文庫)感想
学校イチのイケメンと評判の佐倉と天使の生まれ変わりと名高い美少女・西園寺。見た目とは裏腹に人見知りな性格の二人が、息抜きに行った図書室で、お互いの顔を知らないまま交流を始める青春小説。イケメンだけど中身はコミュ障の佐倉と、家柄良い美少女ゆえ噂先行で遠巻きにされ友達がいない実は庶民派の西園寺ゆりえ。そんな二人が第二図書室でネクラくん・ヒリアちゃんを名乗ってのかけがえのない交流と密かに募らせる想い、うっかり正体を知ってしまった戸惑いと葛藤を乗り越えて自分たちらしい関係を築いてゆく展開はなかなか良かったですね。
読了日:07月17日 著者:村田 天
公女殿下の家庭教師6 慟哭の剣姫と南方戦役 (ファンタジア文庫)公女殿下の家庭教師6 慟哭の剣姫と南方戦役 (ファンタジア文庫)感想
アレン、生死不明。凶報を受けた彼の教え子たちは、それぞれ王国を巡る陰謀が動いていることに気づき、リディヤがいる南都でも侯国との開戦が近づく第六弾。侵攻される東部を救うため自ら身体を張って奮闘するアレンの苦境。時を同じくして王都が陥落して行方不明の王族、北部はハワードの帝国、南部のリンスターは侯国の圧力を受けるという絶体絶命の展開の中で、最後まで諦めないアレンと両公爵家の決断、再びアレンの隣に立つため剣を握ったリディアの覚悟はなかなか壮絶でしたけど、ここからどう活路を見出し希望へと繋げてゆくのか続巻に期待。
読了日:07月18日 著者:七野りく
ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~ (メディアワークス文庫)感想
ビブリア古書堂への新たな相談事。迷宮入りした事件のほどけなかった糸が長い時を超え、やがて事の真相を紡ぎ始める新章第二弾。いつの間にか高校生に成長していた扉子の小学三年生時代のマイペースな読書遍歴や友達エピが、またいかにも栞子さんの娘っぽい感じで微笑ましかったです(苦笑)今回は丸々横溝正史で、幻の作品が何者かに盗まれた九年前の事件と今回の事件は金田一ものを想起させる展開でしたけど、最後に明かされた半世紀以上絡み合う一家の因縁を巡る背景にはやっぱりというか妙に納得しました。いや篠川家三代もなかなか業が深い…。
読了日:07月18日 著者:三上 延
ゆきうさぎのお品書き あらたな季節の店開き (集英社オレンジ文庫)ゆきうさぎのお品書き あらたな季節の店開き (集英社オレンジ文庫)感想
碧が「ゆきうさぎ」で働く最後の日。看板娘の“卒業”を知った常連客がぞくそくと暖簾をくぐるなか、都築もまたそこに現れる第十弾。大樹の祖母・雪枝と夫の純平さん、碧の巣立ちの日にやってきた都築、蓮の洋菓子店で心乱される人物に遭遇した菜穂、星花と比べて焦りを感じる慎二、別居中だった夫から思いがけない提案をされた百合、妻とともに大樹の家を出ようとした矢先にある話が舞い込んだ零一、そして、浩介から食事に誘われ存分に語らう大樹など、今回は登場人物たちの後日談的にまとめられたエピソードでしたけど、本当に素敵な物語でした。
読了日:07月19日 著者:小湊 悠貴,イシヤマ アズサ
谷中びんづめカフェ竹善 3 降っても晴れても梅仕事 (集英社オレンジ文庫)谷中びんづめカフェ竹善 3 降っても晴れても梅仕事 (集英社オレンジ文庫)感想
梅の仕込みに忙しい日々を送る竹善。新しくできた高級食パン店の女性店主・千川が竹善のジャムを気に入ってコラボを持ち掛けてくる第三弾。ジャムだけでなくセドリック本人にも積極的にぐいぐい来る千川、紬が大学の友人の喧嘩に巻き込まれたりフリマ初体験、武流と祖父の釣交流へ同行したり。思わぬ伏兵に突然ぐいぐい来られて一体どうなることかとドキドキして、紬は紬でいろいろ成長を感じさせるエピソードを積み重ねつつ、地味に周囲にモテてたりする様子が微笑ましかったですけど、最後のあれでどうなるのか続巻が気になるところではあります。
読了日:07月19日 著者:竹岡 葉月,勝田 文
コンサバター 大英博物館の天才修復士 (幻冬舎文庫)コンサバター 大英博物館の天才修復士 (幻冬舎文庫)感想
世界最古で最大の大英博物館。その膨大なコレクションを管理する天才修復士ケント・スギモトと、その助手を務めることになった日本人修復士・晴香が、美術品にまつわる謎を解いてゆくアート・ミステリー。すり替えられたパルテノン神殿の石板、なぜか動かない和時計の修理、札束が詰めこまれたミイラの木棺、そしてケントの父親の失踪。大英博物館の立ち位置などはなかなか興味深かったですけど、誰もがひとくせある大英博物館で働く人々やケントの関係者も絡めつつ、晴香を振り回すケントと二人で事件を解決していく展開はなかなか面白かったです。
読了日:07月20日 著者:一色 さゆり
海辺のカフェで謎解きを 〜マーフィーの幸せの法則〜 (ことのは文庫)海辺のカフェで謎解きを 〜マーフィーの幸せの法則〜 (ことのは文庫)感想
大学の夏休みで福岡・愛島にある兄・水城海人のカフェを手伝っていた成留が、店に棲み着く黒猫を追いかけてきた黒い服を着た邑崎紫と出会い謎を解き明かすカフェ&ミステリ。猫を助けてくれた男、彼の想い人がプロレス愛好会を立ち上げた理由、一人の女子高生を巡って勝負した先輩後輩の顛末、中学生が突然髪を切った理由、プロポーズを断った理由、お店に本を送り続けた人の正体など、人間関係の繋がりでもたらされる謎を兄弟と紫で解き明かした物語は切なかったですけど、ほろ苦いけれど希望もまた感じられるそれぞれの優しい結末が印象的でした。
読了日:07月20日 著者:悠木シュン
記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)感想
突如失踪した静乃の優しすぎる恋人・誠。職場に連絡すると意外な事実が判明し、冷めた目をした美貌の青年・うたかた堂との出会いによって、心に秘めた過去や秘密、願いが解き明かされてゆく物語。姿を消した恋人の正体、うたかた堂が婚活で出会った一組のカップル、女優・乃木坂カレナとの関係、友人あけるの初恋の結末、おじいちゃんと孫の約束。記憶を代償に人々の大切な願いを叶える謎の青年・現野一夜は、最初は掴みどころのない人物に思えましたけど、不器用な彼が導いてゆくほろ苦くも優しい結末、そして現野自身の変化が印象的な物語でした。
読了日:07月20日 著者:野村 美月
魔弾の王と凍漣の雪姫 6 (ダッシュエックス文庫)魔弾の王と凍漣の雪姫 6 (ダッシュエックス文庫)感想
黒騎士ロランの守るナヴァール城砦から火の手があがったという知らせを聞いて急ぎ駆けつけたティグルとミラたち。ガヌロンの支援を得た現王の落胤・バシュラル王子が突如ロランとレグナス王子のいるナヴァール城砦を攻める第六弾。ティグルの窮地を救ったレグナス王子の腹心で、わりとぐいぐいくるお姉さんヒロイン・リュディの存在が二人の関係に波紋を投げかけてましたけど、後継者争いは現段階だとバシュラルの方が一枚上手でしたか。苦境をここからどう盛り返してゆくのか、若い世代も多い今回はそれぞれの成長や活躍にも期待したいところです。
読了日:07月21日 著者:川口 士,美弥月 いつか
十三歳の誕生日、皇后になりました。3 (ビーズログ文庫)十三歳の誕生日、皇后になりました。3 (ビーズログ文庫)感想
暁月の理想の皇后になるべく日々出来ることをがんばる莉杏。白楼国からやってきた聡明な女性文官・茉莉花と出会った彼女が、交流を重ねるうち皇后としての役割を学んでいく第三弾。相変わらず内乱が続く人手不足の状況で、真っすぐで微笑ましい莉杏は今自分のできることを頑張っているなと感じましたけど、苦境にあったとしても自ら誘拐狂言に立候補はないですよね…(苦笑)とはいえそんな彼女の頑張る姿が周囲にいい影響を及ぼしていったり、何だかんだ言いながらも将来いい夫婦になりそうな暁月と莉杏のやりとりが読んでいて微笑ましかったです。
読了日:07月21日 著者:石田 リンネ
Re:ゼロから始める異世界生活23 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活23 (MF文庫J)感想
突然異世界に来てからの記憶を失ってしまったスバル。原因不明のままそこからの試行錯誤を強いられることになり、徐々に疑心暗鬼になってゆく第二十三弾。一緒に塔の攻略に挑んだ仲間たちとの思い出も、これまでの記憶も失ってしまったスバル。訳も分からないまま試行錯誤を強いられ、キツイ死に戻りを突き付けられる展開は厳しいだろうな…と思いましたけど、余裕をなくして疑心暗鬼に陥り誰も信じられなくなってゆくのはもっと辛いですね。エミリアたちの信頼が救いですけど、それでも依然として厳しい状況の中、記憶を取り戻せるのか続巻に期待。
読了日:07月22日 著者:長月 達平
終末なにしてますか?異伝 リーリァ・アスプレイ#02 (角川スニーカー文庫)終末なにしてますか?異伝 リーリァ・アスプレイ#02 (角川スニーカー文庫)感想
聖剣セニオリスの調整に訪れた幽霊船都市国バゼルフィドルで、正規勇者リーリァにできたはじめての友人・エマ。不器用な友情を育む二人が陰謀に巻き込まれてゆく外伝第二弾。素直になるわけにはいかないリーリァとヴィレムの距離感が何ともいい感じで、標的にされたエマにヴィレムも巻き込まれる中、突出した存在ゆえのリーリァの葛藤と、年相応の不器用な女の子としての彼女がなかなか印象的で、それと対比するかのようなかつての勇者のエピソードもありましたけど、彼女の物語の結末がどのように描かれるのか、続巻を楽しみに待ちたいと思います。
読了日:07月22日 著者:枯野 瑛
ガラッパの謎 引きこもり作家のミステリ取材ファイル (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)ガラッパの謎 引きこもり作家のミステリ取材ファイル (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
大学の准教授によって否定されてしまった後輩の祖父の信仰。史学科の大学生・徳川大樹と幼馴染の引きこもり作家・石田水瀬が「隠れキリシタン」の新説に挑むため九州へ取材旅行に向かう歴史ミステリ。過去の因縁から歴史にこだわりがある幼馴染コンビが、大樹の後輩と一緒に九州の各地を取材して、ヨッカブイや河童、宣教師や当時の大名や事件、同じように禁止された一向宗ユダヤ教まで絡めて推論を重ねてゆく展開はなかなか面白かったですけど、これだけやったら何らかの成果があると良かったかも。確かに歴史はロマンではあるんですけど(苦笑)
読了日:07月23日 著者:久真瀬 敏也
サキの忘れ物サキの忘れ物感想
人生を変えたアルバイト先に忘れられた一冊の本、幼稚園児に見えていた世界、ペチュニアフォールの名所案内、閉店する喫茶店への最後の訪問、学生時代の友人Sさんとの再会、十二時間待ち行列の果てに出会った光景、河川敷に現れたガゼルとの日々、真夜中にさまようゲームブック、隣のビルの存在と、一人一人の印象的な出来事が綴られてゆく短編集でしたが、個人的には冒頭の「サキの忘れ物」「行列」あたりがわりといい感じでしたね。ゲームブックは久しぶりというか新鮮で何度か試しましたが、どうしてもゴールにたどり着けずに諦めました(苦笑)
読了日:07月24日 著者:津村 記久子
三体Ⅱ 黒暗森林 上三体Ⅱ 黒暗森林 上感想
人類に絶望した天体物理学者・葉文潔が発信したメッセージ。それを新天地を求める異星文明・三体文明が受信、千隻を超える侵略艦隊を組織して太陽系到達が四百数十年後と判明する第二弾上巻。未曾有の危機に直面した人類による国連惑星防衛理事会の設立、三体文明から送り込まれた智子に監視された人類が状況を打開すべく発案した「面壁計画」と四人の面壁者。それらしい経歴の三人に比べて一見平凡な羅輯でしたけど、宇宙社会学が今後のカギなんですかね…知恵比べ的な駆け引きもなかなかですが、冬眠後の世界や破壁人の動きも気になるところです。
読了日:07月25日 著者:劉 慈欣
三体II 黒暗森林 下三体II 黒暗森林 下感想
二百年後、人工冬眠から蘇生した羅輯は、かつて自分の警護を担当していた史強と再会し、激変した未来社会に驚嘆する。二千隻余から成る太陽系艦隊に、いよいよ出撃の時が近づく第二弾下巻。次々と亡くなってゆく黄金世代の人々、激変した未来社会と人類が作り上げた太陽系艦隊、地球に接近する三体世界の探索機・水滴。冬眠後の悲惨な時代を乗り越え、自信を取り戻した人類の希望が木端微塵に打ち砕かれる展開、そして猜疑連鎖や宇宙文明の公理、黒暗森林理論に気づいた羅輯によって導かれてゆく結末はなかなか壮絶でしたね。第三部も期待してます。
読了日:07月26日 著者:劉 慈欣
クスノキの番人クスノキの番人感想
不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯し逮捕された玲斗。送検・起訴を待つ状況を救ってくれた伯母・千舟から不思議なクスノキの番人を任された玲斗と、祈念に訪れる人々が織りなす物語。母の異母姉・千舟と出会ったことによる転機。詳細を知らされぬまま番人として過ごす日々と様々な出会いの中で、徐々に明らかになってゆく不思議なクスノキの秘密もなかなか興味深かったですが、依頼人や千舟とのやり取りの中で人として少しずつ成長していった玲斗が、向き合って導き出したひとつの想いはなかなか印象的でぐっと来るものがありました。
読了日:07月27日 著者:東野 圭吾
ミライヲウムミライヲウム感想
付き合っていた女性に触れた瞬間に未来が見えてしまう体質と苦い過去から、恋愛と無縁の大学生活を貫いていた凜太郎。そんな彼が同級生・立花に突然告白され、キスした瞬間にとんでもない未来が見えてしまう青春小説。見えてしまった未来を回避するには彼女の想いにどう応えるべきか。なかなか素直になれない立花の想いは真摯で、そんな彼女に惹かれてゆく自覚があるからこその葛藤があって、両親の過去もまた印象的なエピソードでしたが、不器用でもどかしい二人が向き合って乗り越えた未来と、その先にあった結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:07月27日 著者:水沢 秋生
お父さんはユーチューバーお父さんはユーチューバー感想
絵を描くことが大好きな宮古島のゲストハウス「ゆいまーる」に暮らす小学五年生・海香。東京の美術大学で学ぶことを夢見る彼女の父親・勇吾が突然ユーチューバーになることを宣言する物語。破天荒な勇吾の思い付きで徐々に変わってゆく海香の日常。十二年前に東京で芸人としてあがいていた勇吾が見た夢。有名ユーチューバーの仲間入りを果たしても、さらに過激化してゆく勇吾の顛末はあれでしたけど、理解に苦しむその行動にもちゃんと理由があったんですね…たびたび衝突しながらも、揺るぎない親子の絆が見せてくれた結末はなかなか良かったです。
読了日:07月27日 著者:浜口 倫太郎
居酒屋ぼったくり (10) (アルファポリス文庫)居酒屋ぼったくり (10) (アルファポリス文庫)感想
ようやく要のプロポーズを受けたものの、一向に進展しない美音の結婚話。そんな状況にむしろ周囲がやきもきする中、馨の相談を受けた要が再び動き出す第十弾。結婚話の進展を阻んでいた、二人が新しく住む場所、馨のことや要の母といった美音を取り巻く容易ならざる課題。それに皆が納得する解答を提示してみせる要の判断や香料力は凄えなと思いましたけど、美音が気になることにひとつひとつ寄り添った配慮を見せるあたりも流石ですね。結婚式を巡るのあれこれや一時閉店時のエピソードも良かったですけど、いよいよ結婚式かと思うと…感無量です。
読了日:07月28日 著者:秋川 滝美
落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)18 (GA文庫)落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)18 (GA文庫)感想
日本側の主戦力・新宮寺黒乃をもってしても対処しきれない米軍の圧倒的物量。一方、かつて月影らが解放軍本拠地で遭遇した「超人」エイブラハムが、「大教授」アイランズと共に不気味な策動を始める第十八弾。囚われた月影たちを救った王馬の奮闘、過酷な運命を打ち破る契機となった黒乃の決意と選択。何というか米国の強引な論理によってもたらされた危機的状況は、戻ってきた一輝たちの活躍で鎧袖一触という感じで終わりましたけど、ストーリー的にはむしろここからが本番ということですかね。王子様が救ってハッピーエンドとなるのか続巻に期待。
読了日:07月28日 著者:海空りく
京都祇園もも吉庵のあまから帖 2 (PHP文芸文庫)京都祇園もも吉庵のあまから帖 2 (PHP文芸文庫)感想
元芸妓・もも吉が営む一見さんお断りの甘味処「もも吉庵」。彼女の人生の機微に通じた言葉が、悩みを抱えた人々の心を癒す第二弾。和菓子屋で働く娘の接客を見た華道家元の決意、病気のおじいちゃんが心配で失踪した舞妓見習い、縁起を担ぐ観光客、老舗に生まれた幼馴染二人の葛藤、入院中の子供に贈り物を届ける祇園祭のサンタの正体。前巻は主人公のクセの強さがやや気になりましたが、もも吉・美都子の元芸妓母娘もいい感じにこなれてきて、粋な二人が関わる登場人物たちの何が大切なのか、悩みながらも見出してゆく展開はなかなか良かったです。
読了日:07月29日 著者:志賀内 泰弘
菓子屋横丁月光荘 文鳥の宿 (ハルキ文庫 ほ 5-3)菓子屋横丁月光荘 文鳥の宿 (ハルキ文庫 ほ 5-3)感想
資料館として改修される「二軒家」。その片付けボランティアに参加した守人が、家の声の導きで天袋に収められていた七段飾りのお雛さまを見つける第三弾。三人官女のひとつが欠けていた理由、大学時代の友人・田辺のおばあちゃんとの邂逅、思わぬところで繋がった曽祖父の存在、そして新しくできる宿のリーフレットづくり。今回は川越から川島まで舞台も広がりましたけど、相変わらず優しいエピソードの中で守人も意外なところで家の声のことや繋がりを感じ、おぼろげながらに見えてきた彼の将来のこともあったりで、今後の展開がまた楽しみですね。
読了日:07月30日 著者:ほしおさなえ
最強魔法師の隠遁計画 11 (HJ文庫)最強魔法師の隠遁計画 11 (HJ文庫)感想
バナリスからの帰途でアルスがロキに語る秘められた過去。第2魔法学院ではどうにも馬が合わないフィアとリリシャが衝突し、「三大貴族」の不穏な影がアルスらの運命に巨大な波乱を巻き起こす第十一弾。かつて特殊魔攻部隊でアルスが過ごした日々と唐突な終わりのエピソード、険悪なフィアとリリシャの関係、三貴族の一角との出会いがもたらした不穏な予感。ロキやフィアたちともまたタイプが違うリリシャがいい感じに存在感ありましたけど、ティスフィアの抱える因縁に首を突っ込む形となったアルスは、また面倒ごとに巻き込まれそうですね(苦笑)
読了日:07月30日 著者:イズシロ
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 11 (HJ文庫)魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 11 (HJ文庫)感想
夢魔リリスは恩返しにザガンとネフィのデートを夢の中で行えばいいと提案。そんな状況で訪ねてきた魔王ナベリウスが消息不明の魔王の捜索依頼をする第十一弾。なぜか夢の中で学生服を着て、なぜかほのぼの学園ラブコメみたいな展開になってしまうサガンとネフィには苦笑いでしたけど、キメリエスやアルシエラの過去も徐々に明らかになって、黒花たちやバルバロスたちの恋模様もなかなか微笑ましい感じで、夢の中でアルシエラの窮地をしっかりと救ってみせるサガンは流石ですね。仕込みもあったしそろそろネフィとの関係も進展が欲しいところです。
読了日:07月30日 著者:手島史詞
百錬の覇王と聖約の戦乙女21百錬の覇王と聖約の戦乙女21感想
激戦を繰り広げるグラズヘイム攻防戦も佳境に突入。無二の家臣ランを失い怒りに燃える《炎》の信長の猛攻から、勇斗が勝利を呼ぶために秘策を繰り出す第二十一弾。持てる力の組み合わせて激戦の中で駆け引きを繰り広げる勇斗と信長の知恵比べ。お互いギリギリの激闘だからこそ、単騎で強者を次々と葬ってその力を取り込み、戦況を一変させてしまうホムラの異質っぷりが際立ってましたね…。最後らしい華々しくて厳しい、何ともほろ苦いそれぞれの戦いでしたけど、次巻で完結のようなのでこの物語の行く末をどのように描くのか、楽しみにしています。
読了日:07月31日 著者:鷹山 誠一
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い4 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する (角川スニーカー文庫)最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い4 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する (角川スニーカー文庫)感想
帝国南部の災禍を瀬戸際で食い止めることに成功した双子の皇子アルとレオ。 しかし依然としてその火種は燻ぶり続け、今度は南部混乱の原因が記された手紙を巡って後継者たちの争奪戦が始まる第四弾。ゴードン・サンドラ・レオ陣営が三つ巴で争奪戦を繰り広げるシッターハイム伯爵の手紙、その鍵を握るハーフエルフの軍師・ソニアの存在、後手に回ったレオたちの起死回生の一手。別行動でも要所で存在感を見せるアルですけど、レオやフィーネにも見せ場があって、今回の活躍は転機に繋がりそうですね…ソニアのその後も気になるところではあります。
読了日:07月31日 著者:タンバ
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4 (角川スニーカー文庫)ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4 (角川スニーカー文庫)感想
沙優と吉田の同居生活を訪ねてきた沙優の兄・一颯。その終わりのタイムリミットを前にして、それぞれが想いを巡らす第四弾。明らかにされてゆく沙優の学校、友達や家族のこと。何故家出をして遠く離れた街までやってきたのか。現状のままではいられないということは誰もが感じていて、残り少ない猶予の中で三島の存在が効いてましたけど、途中まで存在感皆無だった後藤さんにもちゃんと見せ場があって、二人が同居生活をどのように決着させるのか、そしてこの物語の結末をどのように描くのか、とても難しいですがこれは著者さんの腕の見せ所ですね。
読了日:07月31日 著者:しめさば
とってもカワイイ私と付き合ってよ! (角川スニーカー文庫)とってもカワイイ私と付き合ってよ! (角川スニーカー文庫)感想
無類のRPG好きでクラスではぼっちの陰キャラ大和に、突然告白してきたクラスの人気者・結朱。リア充グループの三角関係解決のため、恋人のふりを依頼された大和が結朱と偽装恋人となる青春ラブコメディ。クラスでは猫を被りながら大和の前でだけはナルシストな一面を見せる結朱、そんな彼女に振り回されながらも、一緒にゲームやデートをして過ごすうちに気の置けない関係になってゆく大和。周囲を気遣う優しい彼女のために密かにフォローに動く大和は素直じゃないなと苦笑いでしたけど、不器用な彼らが向き合った結末はなかなか良かったですね。
読了日:07月31日 著者:三上 こた

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