というわけで思いつきで始めた 連休中に読みたい!オススメ企画(ぇ
第二弾ということでライトノベル編です。最近企画を作りすぎてライトノベルの方は正直なところわりと弾切れ気味な気もしますが、既刊中心に今までとあまり被らないものを選びました。1~2巻で読めるものから3~5巻で読めるものまで、いろんなパターンを想定してセレクトしたので参考になれば幸いです。
1.ブックマートの金狼 (NOVEL0)
新宿『くじら堂書店』店長・宮内の元にアイドルの桃坂琴美が現れ、元トラブルシューターだった彼にストーカー解決の依頼を持ちかける物語。バイトにも舐められ仕事に対して思うことはあっても、自らが書店人であることに生き甲斐を感じている宮内ですが、一方で困った人のために奔走する姿もまた彼らしさなんですよね。宮内も頭が上がらない店員吉村さんや意外な一面も見せた琴美、そしてかつての仲間たちも魅力的な存在で、著者さんらしさがよく出ていた作品でした。
かつて滅びた死者の街。3人のアンデッドに育てられる子供として転生したウィルが、彼ら三人に教えを受け愛を注がれながら育てられ聖騎士への道を歩みだす物語。骸骨の剣士・ブラッド、神官ミイラ・マリー、偏屈な魔法使いの幽霊・ガスという訳ありだけれど力のある存在に英才教育を受けて育ったウィル。特殊な環境でしたけど彼らに愛されて成長した過程があるからこそ、三人のために立ち上がるウィルの奮闘と、家族のような存在であった彼らとの別れと旅立ちにほろりとなってしまいますね。ここからどんな旅になるのか次巻が楽しみです。現在5巻まで刊行。
現代日本で死の苦痛を味わった主人公が異世界の伯爵家次男トゥリウスとして転生し、不老不死を目指して錬金術に没頭する物語。主人公が死にたくないがために不老不死を求めて試行錯誤を繰り返しつつ邁進するため、目的のために最低限ギリギリ法に触れない配慮はありながらも、周囲との関係性はさして頓着しない割り切ったものだったりで、ここまで来るとちょっと新鮮ですね(苦笑)でもぐいぐい読ませる文章力はあって、この奇妙な絆で結ばれた主従がこれからどうなっていくのかとても気になりました。現在3巻まで刊行。
4.僕は何度も生まれ変わる (角川スニーカー文庫)
僕は何度も生まれ変わる
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十文字 青/だーくろ(gumi/gg2) KADOKAWA 2018年06月30日頃
29歳で死んだ社畜が生まれ変わるたびに、18歳で漆黒の髪・赤い眼の帝国皇女に殺される運命。5回目の人生で傭兵暮らしをしていたロワが魔王の隠し子とされ、急転する運命に巻き込まれてゆく物語。容赦なく蹂躙し続ける帝国への対抗で送り込まれた先での王女との結婚と母国滅亡。またもや対峙することになるあの女に、醒めていたロワが大切の人たちを守るため泥臭く奔走するようになり、キーマンとなっていったロワと負けられない皇女・リンゼンカが再び対峙する濃厚な展開とその結末は著者さんらしさに溢れていて、ぐっと来るものがありました。現在2巻まで刊行。
5.ピンポンラバー (ガガガ文庫)
日本全国から集まった卓球エリートがひしめく私立卓越学園。そこにかつて天才卓球少年と呼ばれた飛鳥翔星が入学し、完敗した一年生最強の女子・白鳳院瑠璃と組んで、その姉で自らの因縁の相手でもある学園最強の女子・紅亜に挑む青春小説。膝の重症を乗り越えかつて対戦した少女を探していた翔星と、紅亜を負かすことに執念を燃やす瑠璃の共闘関係。衝突しつつも勝ちたい一心でのめり込んでいく、身を焦がすほどに卓球を愛する二人が挑む熱い勝負はこれまで積み重ねてきた想いもカタルシスに繋がっていて、そんな物語の結末もまた効いていました。現在3巻まで刊行。
6.空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)
人造豊穣神の大崩壊で跋扈するようになった異形の怪物により人類が地上から追放された世界。小型ヘリ<静かなる女王号>を操り樹竜を狩るモズと相棒ヤブサメが、その腕を買われ旧都市新宿での大規模探索作戦に参加する近未来ファンタジー。豪快なモズと彼女に振り回されながちなヤブサメのコンビを中心に、立場の違う空団の面々と時にはいがみ合いながらも、強大な敵を相手にギリギリの戦いを繰り広げてゆく中で認め合うようになってゆく熱い展開に、その物語を締めくくる意外なオチもまた効いていました。現在3巻まで刊行。
7.滅びの季節に《花》と《獣》は (電撃文庫)
滅びの季節に《花》と《獣》は 〈上〉
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滅びの危機に瀕する花の街スラガヤ。奇蹟の操り手「大獣」に仕えることが定められた奴隷の一人・クロアと、郊外の廃墟に居を構える美しき大獣「貪食の君」が一つ屋根の下でぎこちない愛を育んでいく物語。奴隷市場で売れ残ったクロアと、彼女の成長を人の姿で見守ってきた「貪食の君」。慕われていた人の姿を隠したまま同居を始めた二人の何とも不器用な距離感や大切な人たちとの関係がもどかしくもぐっと来る感じで、今に幸せを感じながらも街を守るため立ち上がるクロアたちの奮闘の結末がどんな展開に繋がるのか、下巻が早く読みたくなりました。
滅びの季節に《花》と《獣》は 〈下〉
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天子の襲来からスラガヤを護り抜いた末、力を使い果たした二人。貪食の君は深き眠りに就き、取り残されたクロアは朽ち滅びた地下街エルラムで謎の集団に囚われてしまう下巻。貪欲の君の代わりに目覚めたガファルによって明かされる過去の記憶と、人と大獣を巡る負の連鎖。それを断ち切ろうと立ち上がるクロアといくつもの想いが交錯する展開は、著者の思い描く異質な世界を表現する難しさも感じましたが、一方で弱さを乗り越えたそれぞれの想いの積み重ねがもたらした力と、それが幸せな結末へと繋がってゆく丁寧な描写は心に響くものがありました。
8.ハル遠カラジ (ガガガ文庫)
人がほとんどいなくなってしまった近未来。人工知能の機能障害を発症した軍事用ロボットのテスタと、彼女の障害を治すために共に旅する少女・ハルの旅先での様々な出会いを描く機械と人と命の物語。医工師を探し求める旅で出会ったイリアたち、少しずつ変わってゆくハルとの関係をどうすべきか葛藤し続けるテスタと、目的地で明かされる障害の真実。ハルを拾って試行錯誤しながら育ててきた二人の関係と、彼女たちを支えたロボットたちの存在があって、二人がこれまで育んできた絆に向き合い危機を乗り越える展開にはぐっと来るものがありました。現在3巻まで刊行。
9.常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)
大国ザルツボルクの侵攻を受けたヘイミナル王国が存亡の危機を救う切り札として起用された傭兵・『常敗将軍』のドゥ・ダーカス。王弟や王の娘など様々な思惑が入り乱れる中、圧倒的不利な状況に立ち向かうファンタジー戦記。全幅の信頼を得られず思うように動けない中、要所要所の危機で最悪の状況を回避すべく動くダーカスの奮闘ぶりと、彼が見出そうとした決着の落とし所とその結末。テンポ良い展開に彼を見極めようとするティナや姫将軍・シャルナといった魅力的なキャラクターたちもよく動いて続きが楽しみなシリーズです。現在3巻まで刊行。
10.わたしの知らない、先輩の100コのこと (MF文庫J)
わたしの知らない、先輩の100コのこと1
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兎谷 あおい/ふーみ KADOKAWA 2019年08月24日頃
最寄り駅が同じ以外接点がなく、毎朝顔を合わせるだけだった先輩と後輩。そんな二人がある日『1日1問だけ、どんな質問にも絶対正直に答える』という約束を交わす青春ラブコメディ。大部分の生徒と違う二人だけが通う通学電車で、話すことはなくても存在を意識していた二人。ふとしたきっかけから一つずつ質問を積み重ねていって、話すことや会うことが増えいくことで少しずつ二人の距離感も変わっていって、ミステリアスな小悪魔・後輩ちゃんの言動に先輩が振り回される二人の関係がこれからどうなってゆくのか続巻に期待したいシリーズですね。現在2巻まで刊行。
由比ガ浜機械修理相談所
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斉藤 すず/ryuga. KADOKAWA 2019年08月17日頃
リアルなヒューマノイド「TOWA」を助けたい想いが空回りして挫折した若宮氷雨。世間から逃げるように鎌倉に機械修理相談所を開いた彼の元に、TOWAの結を伴った戸川が訪れる物語。十五億で結を売ってほしいという戸川の依頼から買ってくれる人を探すことになった氷雨。束の間の彼女と共に過ごす日々で少しずつ変わってゆく心境。けれどそれに素直に向き合えない苦い過去があって、不器用過ぎる氷雨の葛藤もありましたけど、様々なことが繋がって明らかになってゆく過去や、今の大切な想いにきちんと向き合えた結末がとても素敵な物語でした。
モノクローム・サイダー あの日の君とレトロゲームへ
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鯨武 長之介 KADOKAWA 2017年02月23日頃
13.セブンキャストのひきこもり魔術王 (ファンタジア文庫)
セブンキャストのひきこもり魔術王
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魔術が概念化した新生魔法世界。聖遺物奪取の任を受けてアルテナに潜入したデュセルが、魔術で造った分身に出席を代行させているひきこもり少年ブランと出会い友人になる物語。七つの分身とともに聖遺物を守る結社を率いるブランと、複雑な家庭事情から友人がいなかったデュセルの友情とも好意ともつかない不器用な関係、お嬢様口調ながら実はお人好しなステラのギャップに分身たちを絡めたベタなドタバタコメディっぷりと、強敵や危機にも最後まで諦めないバトルはいい感じにメリハリがあって楽しかったです。全5巻。
科学とファンタジーが混じり合う世界。テルミア空軍第一航空隊の結城文洋が交戦中に邂逅した少女・レオナ。策謀に巻き込まれた異国の少女を若き飛行士たちが救う航空戦記。母国に残されたレオナの弟を救出するため密かに協力を惜しまないフミや男たちはカッコよくて、機を逃さずしっかり妻の座に収まったエルフで大家のローラを軸に、養女となったレオナやダークエルフで戦場では相棒のラディアといったヒロインたちもまた魅力的で、絶妙な世界観を舞台に繰り広げられる躍動感のある展開もとても良かったです。全2巻。
15.滅びゆく世界と、間違えた彼女の救いかた/死にゆく騎士と、ただしい世界の壊しかた (Novel 0)
滅びゆく世界と、間違えた彼女の救いかた
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涼暮 皐/雫綺一生 KADOKAWA 2019年02月15日頃
歴代の神子にのみ完遂することが出来ると言われる救星のための試練「十の天命」。幼馴染みの騎士ラミと神子エイネが滅びゆく世界を救うための旅に出る物語。神子として選ばれたエイネと彼女に並び立つために十三騎士まで登りつめたラミ。数百年かけて未だ六つしか達成されていない十の天命を残り全て二人で成し遂げるため、二人はお互いさえいれば何もいらなくて、一緒にいれば運命に抗えると信じていて。けれどそれは神子の命を犠牲にすることでしかなくて、突きつけられる残酷な事実に精一杯立ち向かった二人の結末には切ない気持ちになりました。
死にゆく騎士と、ただしい世界の壊しかた
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涼暮 皐/雫綺一生 KADOKAWA 2019年02月15日頃
最愛の女性を目の前で喪い、彼女の命と引き替えに生き延びて「しまった」救世の騎士ラミ。エイネと同じ「神子」の資格を持つキトリーと出会った彼が、師匠として再び彼女と旅に出るもうひとつの物語。常に明るく世界を救うことを信じて疑わない天真爛漫なキトリーと、時には優しく厳しく先輩として導くラミ。短い間にも育まれてゆく彼らの絆があって、救星の真実を知ってしまったがゆえにどうするべきか葛藤し続けるラミがいて。だからこそ希望を信じ続けるキトリーや彼らに向き合ってくれる存在と、彼らが迎えた結末には救いがあったと思いました。
16.鏡のむこうの最果て図書館 (電撃文庫)
鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王(1)
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冬月いろり/Namie KADOKAWA 2019年02月09日頃
空間が意思と魔力を持ち、様々な魔物が息づく世界・パライナ。その北端に誰も訪れない「最果て図書館」の記憶のない館長ウォレスが、鏡越しに《はじまりの町》の少女・ルチアと出会うファンタジー。勇者様の魔王討伐を手伝いたいというルチアと、魔王討伐はどこか他人事のウォレス。けれどそんなウォルスも積み重ねてゆくルチアとのかげがえのないやりとりやメイド・リィリの変化、勇者一行らとの出会いを通じて少しずつ心境の変化があって、封じられていた過去の因縁にも向き合いつつ、しっかりと決着をつけてみせた結末はなかなか良かったです。全3巻。
17.そして黄昏の終末世界 (オーバーラップ文庫)
そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1
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樋辻臥命/夕薙 オーバーラップ 2017年02月25日頃
予言された終末に抗うため人知れず「刻の黄昏」と魔人「ペイガン」と戦ってきた世界。密かに復讐のために生きる高校生・東雲冬夜が、終末と戦う同級生の少女・如月御姫と出会う物語。厨二全開な世界観でしたけど、主人公に突出した力があってもそれを発揮しきれるわけでもないバトルは緊張感があって、一方で基本的にキリッとした人を寄せ付けないイメージなのに、冬夜の前ではなぜかポンコツな一面も見せてしまう御姫とのやりとりはなかなか楽しかったです。深刻な秘密を抱えることになった彼女と密かな共犯関係になった二人の今後が楽しみですね。現在2巻まで刊行。
18.今日からかけもち四天王! (電撃文庫)
ネトゲを通じて勇者役のクラスメイトの美少女といい感じになるきっかけを掴んだ頃に、親の転勤でずっと離れ離れになっていたゲームの中で魔王な幼馴染が登場。ゲームにそれなりの思い入れがある二人で、そのどちらのことも大切に思う主人公も、どっちつかずな優柔不断というよりは、ゲームの中でお互いの陣営にいる四天王のひとりとして2つのアカウントを併用し、何とかどちらも助けたいと奔走する感じが好印象でした。現状は主人公の中でやや幼馴染の方が存在として大きそうですが、揺れる三角関係に注目です。全3巻。
19.オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)
オミサワさんは次元がちがう
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桐山 なると/ヤマウチ シズ KADOKAWA 2018年03月30日頃
無表情・無感情で人と関わろうとせず、そこかしこに絵を書き散らす芸術科の天才・小海澤有紗。変人扱いの彼女を気にかける雪斗が関わってゆくうちに、彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆく青春小説。コミュ障なオミサワさんと些細なやり取りを重ね交流を深めてゆく地道な努力が微笑ましくて、文字通り次元が違う秘密を知っても彼女を理解し共にあろうとする雪斗。大切だからこそ苦悩するオミサワさんでしたけど、彼女の想いを垣間見た雪斗と相変わらず難しい境遇でも確実に変わりつつある彼女が迎えた素敵な結末には、ついニヤニヤしてしまいました。
20.ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)
ヤンキーやめろ。メイドにしてやる
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秀章/紅林 のえ 講談社 2020年02月03日頃
代々執事の家系で日本有数の名家・鶴ヶ島家の次女麻白に仕える久世太一郎。麻白お嬢様から新たな専属メイドを探すよう申しつけを受けた彼が、買い出しに出かけた先で出会ったヤンキー少女ハナをメイドとして勧誘する物語。仕事をスマホで動画を撮って覚えるあたりがハナらしいですが、事あるごとに衝突するヤンキー気質のハナとお嬢様麻白の相性は最悪でも、テンポよく進むドタバタ展開の中でお互いいろいろ見えてくるものがあって、そんな二人が育んでゆく不器用な主従関係の結末はなかなか良かったですね。
以上です。気になる本があったらぜひ手にとって見て下さい。