7月に読んだ新作おススメ本です。
ライトノベルではガガガ文庫の「現実でラブコメできないとだれが決めた?」、電撃文庫の「ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい」はインパクトある作品で、近未来を舞台とした「このぬくもりを君と呼ぶんだ」のほか、「やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく」「ネクラとヒリアが出会う時」「とってもカワイイ私と付き合ってよ!」などもなかなか良かったです。
ライト文芸では二カ月連続での刊行となるはるおかりのさん「廃妃は再び玉座に昇る」、野村美月さんの「記憶書店うたかた堂の淡々」、一般文庫では一色さゆりさんの「コンサバター 大英博物館の天才修復士」、望月麻衣さんの「満月珈琲店の星詠み」、才羽 楽さんの「あなたが心置きなく死ぬための簡単なお仕事。」はなかなか印象的でした。
単行本もわりと読めた一カ月でしたが、中でも青羽悠さんの「凪に溺れる」、五十嵐律人さんの「法廷遊戯」、一木けいさんの「全部ゆるせたらいいのに」、水沢秋生さん「ミライヲウム」などは注目です。
現実でラブコメできないとだれが決めた?
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初鹿野 創/椎名 くろ 小学館 2020年07月17日
義理の妹も、幼馴染も、現役アイドルなクラスメイトもミステリアスな先輩も、親友キャラもいない高校生・長坂耕平が、知り合った上野原彩乃を共犯者に巻き込んでラブコメすべく挑戦する青春小説。膨大なデータ収集と分析、綿密なシミュレーションと反復練習でラブコメしようとする耕平と、呆れながらもそれに協力する付き合いのいい彩乃。時折非常識で不器用な面も見せる耕平をフォローする彩乃のツッコミが効いていて、そんな彼女の窮地に奔走する耕平が熱かったですね。それぞれひと癖ありそうなヒロインたちとの今後にも期待大の新シリーズです。
ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい (電撃文庫)
ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい(1)
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五十嵐 雄策/はねこと KADOKAWA 2020年07月10日
放送部長を務める小動物のようなかわいらしい花梨先輩と、唯一の放送部員である後輩・市村龍之介。とある目的から先輩を一日三回褒めることをノルマに掲げる龍之介と先輩の攻防を描く青春ラブコメディ。かわいい先輩を尊敬し臆面もなくストレートにガンガン褒めていく龍之介と、彼の前では余裕ある大人な先輩でいたくて必死に耐える花梨。赤面して照れる先輩が可愛くて、二人の仲良さげな距離感に周囲も生温かく見守る状況で、危機的状況も乗り越え本気を出してきそうな龍之介に花梨がどこまで耐えられるのか、続巻がとても楽しみな新シリーズです。
このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)
このぬくもりを君と呼ぶんだ
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悠木 りん/仲谷 鳰 小学館 2020年07月17日
オゾン層が破壊され人々が地下に住むようになった世界。地下都市に住む十六歳の少女・レニーが、サボリ魔の不良少女・トーカと出会う近未来青春小説。周りに溢れるフェイクを嫌ってリアルを探しているレニーと、他の友人とは違うトーカと過ごすようになる日々、空から降ってきた謎の球体「太陽の欠片」。閉鎖的な空間に生きる人々の意識と、不器用ゆえにすれ違ってゆく二人、そして不安を抱えるレニーと太陽の欠片の行方がどこに行き着くのかドキドキしながら読みましたが、しっかりと向き合い希望ある未来に繋がってゆく優しくて素敵な物語でした。
やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく (GA文庫)
やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく(1)
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ふか田 さめたろう/ふーみ SBクリエイティブ 2020年07月15日頃
美少女だが毒舌家で「猛毒の白雪姫」と呼ばれる白金小雪。彼女をナンパから救った笹原直哉に一目惚れした小雪と、そのいじらしい態度に一目惚れした直哉の甘々ラブコメディ。彼女が評判とは裏腹に強がりと嘘で武装したか弱い少女に過ぎないことを見抜いたやたら察しのいい直哉。チョロイン気味な彼女を心配する実妹の審査付き初デートだったり、直哉のバイト先を訪問したり、白金家を訪問することになったりと、直哉が察しの良さで周囲を次々と攻略して外堀がどんどん埋まっていく、不器用で恋愛初心者な二人のこれからが楽しみな新シリーズですね。
ネクラとヒリアが出会う時 (ファンタジア文庫)
ネクラとヒリアが出会う時(1)
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村田 天/サコ KADOKAWA 2020年07月17日
学校イチのイケメンと評判の佐倉と天使の生まれ変わりと名高い美少女・西園寺。見た目とは裏腹に人見知りな性格の二人が、息抜きに行った図書室で、お互いの顔を知らないまま交流を始める青春小説。イケメンだけど中身はコミュ障の佐倉と、家柄良い美少女ゆえ噂先行で遠巻きにされ友達がいない実は庶民派の西園寺ゆりえ。そんな二人が第二図書室でネクラくん・ヒリアちゃんを名乗ってのかけがえのない交流と密かに募らせる想い、うっかり正体を知ってしまった戸惑いと葛藤を乗り越えて自分たちらしい関係を築いてゆく展開はなかなか良かったですね。
とってもカワイイ私と付き合ってよ! (角川スニーカー文庫)
とってもカワイイ私と付き合ってよ!(1)
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三上 こた/さいね KADOKAWA 2020年07月31日
無類のRPG好きでクラスではぼっちの陰キャラ大和に、突然告白してきたクラスの人気者・結朱。リア充グループの三角関係解決のため、恋人のふりを依頼された大和が結朱と偽装恋人となる青春ラブコメディ。クラスでは猫を被りながら大和の前でだけはナルシストな一面を見せる結朱、そんな彼女に振り回されながらも、一緒にゲームやデートをして過ごすうちに気の置けない関係になってゆく大和。周囲を気遣う優しい彼女のために密かにフォローに動く大和は素直じゃないなと苦笑いでしたけど、不器用な彼らが向き合った結末はなかなか良かったですね。
廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史
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はるおか りの 小学館 2020年07月07日
残虐非道な凶后の姪として政変で断罪され、天下万民の怨敵として刑場に引っ立てられた先帝の廃妃・劉美凰。死ねずに幽閉された血染めの廃妃が、十年ぶりに後宮に帰還する中華風ファンタジー。彼女の身に宿る奇しき力を必要とし、皇太后とした現皇帝・天凱。表向きは白き喪服をまとった皇太后として、裏では天凱と一緒に都で猛威をふるう鬼病の原因を突き止めるため、未だ怨憎が煮えたつ禁城に舞い戻った美凰の苦悩がまた壮絶で、二人の愛憎が入り交じる複雑な因縁があまりにも切なくて、そんな二人の行く末がとても気になる注目の新シリーズですね。
記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)
突如失踪した静乃の優しすぎる恋人・誠。職場に連絡すると意外な事実が判明し、冷めた目をした美貌の青年・うたかた堂との出会いによって、心に秘めた過去や秘密、願いが解き明かされてゆく物語。姿を消した恋人の正体、うたかた堂が婚活で出会った一組のカップル、女優・乃木坂カレナとの関係、友人あけるの初恋の結末、おじいちゃんと孫の約束。記憶を代償に人々の大切な願いを叶える謎の青年・現野一夜は、最初は掴みどころのない人物に思えましたけど、不器用な彼が導いてゆくほろ苦くも優しい結末、そして現野自身の変化が印象的な物語でした。
海辺のカフェで謎解きを (ことのは文庫)
海辺のカフェで謎解きを ~マーフィーの幸せの法則~
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大学の夏休みで福岡・愛島にある兄・水城海人のカフェを手伝っていた成留が、店に棲み着く黒猫を追いかけてきた黒い服を着た邑崎紫と出会い謎を解き明かすカフェ&ミステリ。猫を助けてくれた男、彼の想い人がプロレス愛好会を立ち上げた理由、一人の女子高生を巡って勝負した先輩後輩の顛末、中学生が突然髪を切った理由、プロポーズを断った理由、お店に本を送り続けた人の正体など、人間関係の繋がりでもたらされる謎を兄弟と紫で解き明かした物語は切なかったですけど、ほろ苦いけれど希望もまた感じられるそれぞれの優しい結末が印象的でした。
コンサバター 大英博物館の天才修復士
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一色 さゆり 幻冬舎 2020年06月11日
世界最古で最大の大英博物館。その膨大なコレクションを管理する天才修復士ケント・スギモトと、その助手を務めることになった日本人修復士・晴香が、美術品にまつわる謎を解いてゆくアート・ミステリー。すり替えられたパルテノン神殿の石板、なぜか動かない和時計の修理、札束が詰めこまれたミイラの木棺、そしてケントの父親の失踪。大英博物館の立ち位置などはなかなか興味深かったですけど、誰もがひとくせある大英博物館で働く人々やケントの関係者も絡めつつ、晴香を振り回すケントと二人で事件を解決していく展開はなかなか面白かったです。
満月珈琲店の星詠み (文春文庫)
あなたが心置きなく死ぬための簡単なお仕事。 (角川文庫)
あなたが心置きなく死ぬための簡単なお仕事。(1)
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才羽 楽 KADOKAWA 2020年06月12日
不況によりなんでも屋から「やり残し請け合い屋」に転身した日賀テルが、押しかけWEBコンサル女子・木崎すずを助手に、もたらされた依頼を解決してゆく物語。かつての想い人が育てていた花、余命僅かのためうまく別れたいと願う夫婦、記憶喪失状態な友人の持っていた日記の真実、そして幽霊からの電話の招待、そしてテルに届く差出人不明の依頼。テルとすずの二人で時には衝突し、助け合いながら依頼を解決してゆくコンビっぷりがなかなかいい感じで、だからこそ最後の急展開は切なかったですけど、とても優しくて素敵な物語だったと思いました。
猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)
猫のミクジから神社でもらうタラヨウの葉っぱに書かれたお告げ。それをきっかけに人生が変わってゆく七つの連作短編集。美容師の初めての失恋と叔母の関係、父と娘の確執とスマホでのチケット抽選、就職活動で見つけた大切なもの、妻に逃げられた義父と息子の嫁の意外な縁、転校生が感じたクラスでのもやもや、漫画家の夢を諦めかけた育児中の母の複雑な想い、占い師の抱えていた迷いなど、ふとしたきっかけから気づくこれまで見えていなかったこと、そして変わってゆくそれぞれの関係から感じられる未来への希望がとても印象的な優しい物語でした。
寿退社の有川さん 天才記者はまた犯罪者に恋しています (宝島社文庫)
寿退社の有川さん 天才記者はまた犯罪者に恋しています
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桜町 はる 宝島社 2020年05月09日
某有名週刊誌の最年少副編集長記録を持つのに、なぜか現在は契約社員の有川さん。結婚願望が強く寿退社が夢の彼女とコンビを組むことになった新入社員の真柴によるスクープミステリ。いきなり結婚式当日に結婚相手の犯罪を暴くスタートで、有能なのに恋に落ちた相手が必ず犯罪者だと発覚してしまう彼女は、もしかして男を見る目がない?とか思いましたけど、文豪作家と軽小説家の真意、いわくあるIT社長とサンタクロースなど、結婚相手候補の調査を兼ねた謎解きはなかなか面白かったです。彼女も結婚への道程は大変そうですけどシリーズ化に期待。
ガラッパの謎 引きこもり作家のミステリ取材ファイル (宝島社文庫)
ガラッパの謎 引きこもり作家のミステリ取材ファイル
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久真瀬 敏也 宝島社 2020年06月04日
大学の准教授によって否定されてしまった後輩の祖父の信仰。史学科の大学生・徳川大樹と幼馴染の引きこもり作家・石田水瀬が「隠れキリシタン」の新説に挑むため九州へ取材旅行に向かう歴史ミステリ。過去の因縁から歴史にこだわりがある幼馴染コンビが、大樹の後輩と一緒に九州の各地を取材して、ヨッカブイや河童、宣教師や当時の大名や事件、同じように禁止された一向宗、ユダヤ教まで絡めて推論を重ねてゆく展開はなかなか面白かったですけど、これだけやったら何らかの成果があると良かったかも。確かに歴史はロマンではあるんですけど(苦笑)
クスノキの番人
不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯し逮捕された玲斗。送検・起訴を待つ状況を救ってくれた伯母・千舟から不思議なクスノキの番人を任された玲斗と、祈念に訪れる人々が織りなす物語。母の異母姉・千舟と出会ったことによる転機。詳細を知らされぬまま番人として過ごす日々と様々な出会いの中で、徐々に明らかになってゆく不思議なクスノキの秘密もなかなか興味深かったですが、依頼人や千舟とのやり取りの中で人として少しずつ成長していった玲斗が、向き合って導き出したひとつの想いはなかなか印象的でぐっと来るものがありました。
凪に溺れる
一人の天才音楽青年が作った「凪に溺れる」。その曲と運命的な出会いを果たし、夢と理想、そして現実とのはざまで藻掻いた6人の人生を描く連作短編集。出会った人の心を揺さぶらずにはいられない十太の音楽。霧野十太と水泳少女の出会い、燻る高校時代に出会った少女、大学時代のバンド仲間、夢を思い出したフリーライター、彼の父を巡る過去。第三者視点ゆえに音楽に邁進し続けた十太の複雑な想いは想像することしかできないですけど、それでも彼が生み出した音楽は生き続けて、受け継がれてゆくことを予感させる結末がとても印象的な物語でした。
法廷遊戯
法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不穏な出来事が続き、意外な形で事件に巻き込まれてゆくリーガル・サスペンス。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。思いもしなかった形で起訴された美鈴と、それを弁護することになった清義。人生を諦めたくなかった久我清義と織本美鈴の苦い過去と、明らかになってゆく意外な事件の真相、そして突きつけられる司法界の問題と、それぞれの良心が問われる中で導かれてゆく結末がとても印象的な物語でした。
全部ゆるせたらいいのに
生まれたばかりの娘・恵と一日中向き合い、仕事の苦しみから酒に逃げる夫に苦悩する千映。安心が欲しいだけなのに、あきらめて生きる癖がついた、明日何が起きるか予測がつかない日常とその過去を描く物語。言葉が通じない小さな子供と一日中向き合うだけでも大変なのに、酒に溺れたびたび何かやらかすようになった夫に振り回される日々も突き刺さりましたが、それ以上にアルコール依存症だった父と家族の歪んだ関係、それでも希望を見出したくなる気持ちが切なくて、上手くいくようになるといいなと思わずにはいられない結末がとても印象的でした。
ミライヲウム
付き合っていた女性に触れた瞬間に未来が見えてしまう体質と苦い過去から、恋愛と無縁の大学生活を貫いていた凜太郎。そんな彼が同級生・立花に突然告白され、キスした瞬間にとんでもない未来が見えてしまう青春小説。見えてしまった未来を回避するには彼女の想いにどう応えるべきか。なかなか素直になれない立花の想いは真摯で、そんな彼女に惹かれてゆく自覚があるからこその葛藤があって、両親の過去もまた印象的なエピソードでしたが、不器用でもどかしい二人が向き合って乗り越えた未来と、その先にあった結末にはぐっと来るものがありました。
お父さんはユーチューバー
絵を描くことが大好きな宮古島のゲストハウス「ゆいまーる」に暮らす小学五年生・海香。東京の美術大学で学ぶことを夢見る彼女の父親・勇吾が突然ユーチューバーになることを宣言する物語。破天荒な勇吾の思い付きで徐々に変わってゆく海香の日常。十二年前に東京で芸人としてあがいていた勇吾が見た夢。有名ユーチューバーの仲間入りを果たしても、さらに過激化してゆく勇吾の顛末はあれでしたけど、理解に苦しむその行動にもちゃんと理由があったんですね…たびたび衝突しながらも、揺るぎない親子の絆が見せてくれた結末はなかなか良かったです。
サキの忘れ物
人生を変えたアルバイト先に忘れられた一冊の本、幼稚園児に見えていた世界、ペチュニアフォールの名所案内、閉店する喫茶店への最後の訪問、学生時代の友人Sさんとの再会、十二時間待ち行列の果てに出会った光景、河川敷に現れたガゼルとの日々、真夜中にさまようゲームブック、隣のビルの存在と、一人一人の印象的な出来事が綴られてゆく短編集でしたが、個人的には冒頭の「サキの忘れ物」「行列」あたりがわりといい感じでしたね。ゲームブックは久しぶりというか新鮮で何度か試しましたが、どうしてもゴールにたどり着けずに諦めました(苦笑)
代表取締役アイドル
握手会での凄惨な事件のトラウマでアイドル活動が続けられなくなっていた河野ささら。降って湧いたとある大企業からのオファーでまさかの社外取締役に就任する企業小説。運よく格安の量子ゲートを生み出しただけで、パワハラが横行し、社長の一声で何事も決まる前近代的な企業体質。それが崩壊するきっかけとなったあり得ない目標設定から、坂道を転げ落ちるような急展開は意外とそんなもんだよな…とも感じつつ、周囲に振り回されるささらが皮肉にも一番の常識人で、助力を得ながら会社を守ろうと奔走した彼女が迎えた結末はなかなか印象的でした。
捨て猫のプリンアラモード 下町洋食バー高野
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麻宮ゆり子 角川春樹事務所 2020年07月15日頃
オリンピックまで2年、昭和37年の東京。集団就職で上京したものの劣悪な労働環境から工場を逃亡した17歳の郷子が、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に拾われ、そこで働くことになる上京物語。最初の工場でのトラウマからずっと食べられなかったカレーの初体験。頼み込んで働くようになった高野の美味しく温もりあふれる絶品料理、高野で働く勝の淡い想いやお客さんたちとのやりとりがとてもいい感じで、心優しい人たちに支えられながら、自分の居場所を見つけてたくましく生きてゆく郷子のこれからをまた読んでみたいと思いました。