2月上旬は純粋に仕事が忙しくて、中旬からは体調不良がずっと続いて結果的にいつもよりは読書量が減りました。とはいえ特に新刊を積み残したわけでもなく、その割にはわりと読めたのかもしれないですね。「階段島シリーズ」や「千早あやかし派遣會社」シリーズなどの待望の続刊もあり、何となく気になっていた「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」も新刊まで追いつけて良かったです。
2月の読書メーター
読んだ本の数:83
読んだページ数:21385
ナイス数:4819
如月さんカミングアウト (角川スニーカー文庫)の感想
「絶対零度の女帝」として君臨する生徒会長・如月キサキ。偶然彼女が隠れオタクだったことを知った日向和也が副会長として生徒会に引き込まれ、秘密のオタ友として一緒にオタク生活を満喫する青春小説。厳しい家の事情で放課後をオタクライフに費やす意外と積極的なキサキとの楽しい日々。訳あって集まった曲者揃いな生徒会メンバーの思惑は、なぜか(?)ことごとくキサキとの甘いハプニングに繋がっていて、つまるところ何もかもがキサキと和也のラブコメへ集約されてゆく展開にあまり意外性はなかったですが、これはこれで楽しめた一冊でした。
読了日:02月28日 著者:語部 マサユキ
裏方キャラの青木くんがラブコメを制すまで。 (角川スニーカー文庫)の感想
担当がついたもののなかなかデビューできない高校生作家の青木。そんな彼を恋愛マスターと勘違いした演劇部所属の憧れの綾瀬マイから、劇の脚本執筆を依頼される青春ラブコメディ。魅力的な彼女にどんどん惹かれてゆくのに、自信がなくて一歩を踏み出せずドツボにハマってゆくジレンマ。理解者の親友や彼女にお似合いのイケメン主人公キャラ、二人を振り回す女友達を配する王道な展開でしたけど、行き詰まっていた状況を打破する疾走感には勢いがあって、なのに何となく締まらない残念な結末に主人公らしさを感じてしまうなかなか面白い一冊でした。
読了日:02月28日 著者:うさぎやすぽん
あんたなんかと付き合えるわけないじゃん! ムリ! ムリ! 大好き! 2 (HJ文庫)の感想
幼馴染の小春がひた隠しにしていた『告白を受け入れられない理由』を知り、彼女との恋を貫き通すと心に決めた悟郎。小春の提案で秘密を共有できる仲間を作るべく動き出す第二弾。全てを捨て去ってでも恋を貫こうとする悟郎の決意に焦燥を募らせる彼女の現実的な提案。協力者を得るために動いた結果、ふとしたきっかけから偏った事情が拡散されてしまい、容赦のない悪意に晒される悟郎たち。大切なものを守るために耐えるなかなかキツイ展開でしたけど、一方で理解者も現れ始めた状況で、ここからどう話をまとめ上げるのか最終巻に期待したいですね。
読了日:02月28日 著者:内堀優一
夜空の呪いに色はない (新潮文庫 こ 60-5 nex)の感想
大地を現実に戻そうと動き始めた七草と真辺。現実の七草は否定するために一度捨てた自分を取り戻し、これまで積極的に島の問題には関わってこなかった時任が動き出す第五弾。今回物語の核心に触れる部分がだいぶ掘り下げられて、それぞれの視点から複雑な胸中も明らかになってゆく中、時任によって語られる過去と大地が抱える問題の根本的な原因。あれでも未だ自らの想いに自覚がなさそうな真辺にはビックリでしたが、大人と子供の議論の末に導き出される開き直りめいた提案には、この物語らしさがとてもよく出ていたと思いました。続巻に期待です。
読了日:02月27日 著者:河野 裕
薬屋のひとりごと 7 (ヒーロー文庫)の感想
高順が持ち込んだ厄介事で半ば強制的に試験を受ける羽目に陥った猫猫が、医官専属の女官として隣国の巫女絡みの事件に巻き込まれてゆく第七弾。猫猫にいちいち突っかかってくる同僚の姚と付き従う燕燕、巫女と因縁がありそうな入内した同郷の愛凛の思惑。仲良くなりかけた同僚ごと何とも面倒でほろ苦い事件に巻き込まれてゆくのは相変わらずですが、思わず本音が漏れた猫猫に対し、うっかり真っ向から宣言してしまった壬氏には正直びっくりしました。まだまだいろいろ起こりそうな雰囲気もあり、これは早く続きが読みたいですね。次巻が楽しみです。
読了日:02月27日 著者:日向 夏
覇剣の皇姫アルティーナXIII (ファミ通文庫)の感想
帝国元帥に任命されたアルティーナと共に南方戦線へと派兵されたレジス。旧知の南方貴族ティラソラヴェルデ家のエレアノールたちとの関係も確認しつつ、旧態然とした第六軍・第八軍と合流して外敵と向き合う第十三弾。周囲ももはや諦め気味な珍しい本には目がない相変わらずなレジスの姿には苦笑いでしたけど、一方で戦い方が大きな変革期を迎えている中、旧態然とした地方軍とのギャップを埋めつつ、先を見据えて的確な手を打っていく手腕は流石ですね。レジスたちが変わらない理想と目の前の現実の折り合いをどうつけてゆくのか、続巻に期待です。
読了日:02月27日 著者:むらさき ゆきや
佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 4 (ファミ通文庫)の感想
すれ違いを経て改めてお互いの気持ちを確かめ合った弓月くんと佐伯さん。イベント続きの時期が近づく中、少しずついつもの生活に戻ってゆく二人が描かれる第四弾。おっかなびっくりな二人の距離感と、ことあるごとに改めて自覚してゆく相手への想い。佐伯さんの積極的なアプローチも彼女を大切に思う弓月くん相手だからで、ハプニングにあたふたする姿が可愛いですね。どこか醒めた弓月くんの態度の由来も明らかになり、周囲ともなかなかいい距離感になって、お互い理解を深めてゆく二人の関係がどうなってゆくのか、また読んでみたいと思いました。
読了日:02月26日 著者:九曜
廻る学園と、先輩と僕 Simple Life (ファミ通文庫)の感想
学園一の美少女と噂される片瀬先輩。そんな彼女をとある事件から救った歳下の千秋那智が急接近してゆく学園ラブコメディ。真っ直ぐで可愛くて女の子たちから人気があるのに自覚がない年下の那智と、そんな彼の言動が気になって何とも複雑な気持ちになってゆく人気者・片瀬先輩の繊細でもどかしい距離感。彼らを取り巻くキャラたちもよく動いて二人にちょっかいを出したり応援しながら、少しずつ二人が自分の気持ちを自覚して向き合うようになってゆく展開で、先輩はちょっと気が早いかなとも感じましたけど(苦笑)、とても素敵な結末に思えました。
読了日:02月26日 著者:九曜
死香探偵 - 尊き死たちは気高く香る (中公文庫)の感想
特殊清掃員として働くうちに死者の放つ香りを他の匂いに変換する特殊体質になってしまった桜庭潤平。そんな彼が分析フェチの准教授・風間の助手にスカウトされ、死の香りで殺人事件を解決するミステリ。美少女と見紛うような主人公の風貌とイケメン准教授という組み合わせや特異体質をうまく利用される関係と、わりとキャラクターを前面に押し出した雰囲気もあって、匂いで事件解決に繋げてゆく展開はミステリとして見るとやや弱い感もありましたけど、読みやすくなかなか面白かったとは思いました。シリーズ化したら大変そうな体質ですね(苦笑)
読了日:02月26日 著者:喜多 喜久
君にささやかな奇蹟を (角川文庫)の感想
子供の頃からの絵本作家の夢を諦めて百貨店のおもちゃ売り場で働く阿部伊吹。突然上司からサンタクロースの嫁になることを提案され、最悪の出会いからお互い変わってゆく恋の物語。実在したサンタクロース家にまつわる事情と、伊吹に一目惚れした引きこもりで世間知らずなサンタクロース・聖也。彼女が探していた大切なものを見つけようとする聖也が迎えた転機と、再び夢に向き合うことを決意した伊吹。人生をこじらせていた者同士の出会いというベタな展開でしたけど、新たな一歩を踏み出した二人が再び出会う結末はなかなか良かったと思いました。
読了日:02月26日 著者:宇山 佳佑
後宮麗華伝 毒殺しの花嫁の謎咲き初める箱庭 (コバルト文庫)の感想
凱の軍兵に襲われそうになった折に異国の皇子・高透雅に助けられ、紆余曲折の末、透雅の妻となった戻露珠。助けてくれた高透雅のことを片時も忘れることがなかった露珠と透雅のもどかしい恋が描かれる第八弾。露珠の優しさに徐々に惹かれてゆく透雅と健気に想い続ける不器用な露珠のやりとりは、もどかしくてもいつかうまく行きそうな感があってあまり心配はしてなかったですけど、それにしてもこの一族は何というか不幸な報われない恋というか、ちょっと悲劇が多過ぎますね…後味悪い話も多くて、そろそろ流れが変わって欲しいところではあります。
読了日:02月25日 著者:はるおか りの
この空の上で、いつまでも君を待っている (メディアワークス文庫)の感想
現実を生きる女子高生・美鈴がある夏の日に出会った、叶うはずのない夢を追い続ける少年・東屋智弘。自分とは正反対に夢へ向かって一心不乱な彼に、呆れながらも惹かれていく青春小説。ゴミ山から部品を探し一人宇宙船を作る東屋の行動に呆れつつも、徐々に変わってゆくその心境。思わぬ形での終焉に心を痛め、みんなを巻き込んで東屋の夢を叶えようと動き出す美鈴。力を合わせて生み出されたひとつの成果があって、美鈴と喜ぶ東屋には抱える秘密とひとつの約束があって、強い想いが奇跡に繋がってゆく結末はなかなか爽やかで良かったと思いました。
読了日:02月24日 著者:こがらし 輪音
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 7 (HJ NOVELS)の感想
ラティナがクロイツへと帰りたくなった魔人族の国の切実な食生活の実態。ヴァスィリオとラーバンドとの国交樹立に向けて、フリソスがお忍びでクロイツへやってくる後日談的短編集第七弾。世間知らずのフリソスがラティナと双子的可愛らしさを発揮しつつ周囲を振り回したり、気がつくと無意識のうちにイチャついている二人に周囲が生温かい目を向けたり、にゃんこから始まるデイルの祖父母に関するエピソードだったり、双子以外の魔王はデイルが滅ぼしていることもあって、相変わらず甘々な何とものんびりとしたエピソードの数々に癒やされました。
読了日:02月23日 著者:CHIROLU
絶対彼女作らせるガール!2 (MF文庫J)の感想
絵馬の練習彼女宣言で注目され、ミス・ミスターコンのクラス代表にみりあと選ばれた大地。 男女ペア部門に向けてみりあから特訓を言い渡される第二弾。みりあが敵視するモデル仲間・杏南の転入から始まったコンテスト勝負。一年生出場者・鶴姫も交えコンテストに向けて合宿を開始する大地と、焦って余裕をなくしていくみりあ、合宿に参加するものの心配なみりあと逆に仲をこじらせてしまう絵馬。成長した大地の奮闘でいい感じに収まった結末でしたけど、状況としてはより複雑になってきていて、ここからさらにこじれそうですね(苦笑)続巻に期待。
読了日:02月22日 著者:まほろ勇太
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?4 (ファンタジア文庫)の感想
真々子に内緒でカジノで一儲けしようとするワイズたちの計画で見捨てられ、母親とデートをすることになった真人。カジノで大負けしたワイズたちは景品として働かされる第四弾。今回は四天王の一人・ソレラによって運を下げられ、ワイズとメディに入れ知恵されたポータも巻き添えで借金を抱えてしまい、真人と真々子さんが救出に向かう展開。喜々としてバニーガールになったりな真々子さんの姿に真人がダメージを食らうのは相変わらずで、全く見せ場がないわけじゃないけれど、もう少し活躍したいという真人の気持ちも分からなくはないですね(苦笑)
読了日:02月22日 著者:井中 だちま
現実主義勇者の王国再建記VI (オーバーラップ文庫)の感想
星竜連峰を統べる神獣マザードラゴンから竜と騎乗契約を結ぶ「契約の儀」への招待を受けたソーマが、その導きで飛べない龍のナデンと出会う第六弾。周囲と姿形も違い同じように飛べないと虐げられてきたナデンとソーマの出会い。マザードラゴンからの「星竜連峰に嵐が迫っている」という宣託。最初のきっかけは仕組まれた出会いでも、二人の邂逅は孤独だったナデンにとっても物語としても大きな転機で、これからもこんな感じでソーマがどこかに行くたびに毎回妃が増えていくんでしょうか?(苦笑)巻末の短編も良かったですね。続巻に期待してます。
読了日:02月21日 著者:どぜう丸
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?3 (ファンタジア文庫)の感想
母親の上を行く強さを手に入れて物語の主人公になることを諦めきれない真人は、どんな願いも一つ叶えられる新築タワーダンジョン攻略を目指し、攻略を邪魔する反抗組織リベーレが現れる第三弾。パーティーに新たに加わって一緒に旅をすることになったメディと、初めて現れた反抗組織リベーレという明確な敵の存在。メディの黒さにワイズがたびたび脅かされかけてて苦笑いでしたけど、四天王の一人アマンテもまた残念な自爆タイプで、お母さんパワーの相手としてはやや力不足でしたかね。お母さんだらけの圧倒的存在感にもうお腹いっぱいです(苦笑)
読了日:02月21日 著者:井中 だちま
妹さえいればいい。 9 (ガガガ文庫)の感想
那由多に憧れどうにかデビューを果たしたる笠松青葉に待っていた酷評の嵐。いよいよ放送が近づいてきた『妹のすべて』のアニメ制作ではさらなるトラブルが相次ぐ第九弾。根拠のない自信がもたらした悲劇から始まった疑似妹キャラが増えていく展開とか、思わぬところでストレスを溜め続け、人知れず着実に追い詰められていった千尋とか、ひとつひとつの積み重ねでもたらされた結末は突然だし、これはさすがにその場の誰も想像できないですよね(苦笑)いやあこれは何がどうなるのか、伊月がどんな変化を見せるか次巻が俄然楽しみになってきました。
読了日:02月21日 著者:平坂 読
アサシンズプライドSecret Garden (ファンタジア文庫)の感想
交流会の裏であったパジャマパーティーや学校の怪談、女学園に匿まわれた王爵の影武者・クーファ、学園一のカップル投票、賑やかな秘密の花園の日常や、ロゼッティの胸に秘めた甘くほろ苦いエピソードが描かれる短編集。女学園におけるちょっとした謎や日常のほか、クーファと令嬢たち、そしてロゼッティも絡めたエピソードが中心でしたが、本編のようにギリギリの戦いで命を脅かされることもないため、ヒロインたちもより乙女な感じでラブコメ的要素も強く、モテモテのクーファ先生にヤキモキしたり振り回されるメリダがなかなか可愛かったですね。
読了日:02月20日 著者:天城ケイ
月とライカと吸血姫 3 (ガガガ文庫)の感想
有人宇宙飛行計画で共和国に惨敗した連合王国。劣勢を覆すべく初の宇宙飛行士の弟で新人技術者のバート、新血種族の才媛カイエを担ぎ上げる第三弾。コンピュータ黎明期において、地道な計算作業で宇宙船開発を陰から支える新血種族の少女たち。そこに放り込まれたバートとカイエの運命の出会いと転機。今回は形こそ違えど新血種族に対する差別が根強く残る連合王国側のエピソードで、兄やカイエへの劣等感を乗り越え少女たちと共に立ち上がるバートの奮闘もまた心に響くものがありました。彼らと出会う展開あるんですよね?続巻に期待しています。
読了日:02月20日 著者:牧野 圭祐
ふたり姉妹 (祥伝社文庫)の感想
突然田舎に帰ってきた東京で働く姉の聡美。実家暮らしで血痕を間近に控えた妹の愛美はこの機会に都会暮らしをしようと、しばらく聡美の部屋を借りて過ごすことになる物語。昔から負けず嫌いの成績優秀で東京でバリバリ働いていたはずなのになぜかうまくいかなくなった姉の聡美と、田舎でのんびりと生活し幼馴染との結婚を視野にいれていた妹の愛美。ないものねだりで相手に複雑な想いを抱くのは分かるなあと共感しつつ、二人には意外と似たもの同士な部分もあるんだなと思える前向きな結末は、二人の恋人もそれぞれお似合いでとても良かったですね。
読了日:02月19日 著者:
夜と会う。II: 喫茶店の僕と孤独の森の魔獣 (新潮文庫nex)の感想
喫茶カグヤのマスター・小野寺と、不思議な少年イザヨイと共に夜刈りを行う澪音が、変人プロフェッサー・長門ヒカリの依頼で謎の組織「ノクターン」の代表者・氷室頼人と対峙する第二弾。小野寺の友人のエピソードから始まって、謎めいたツルバミとの遭遇、暗躍し続ける頼人と明らかになってゆくその過去や目的。これまでキャラが立った登場人物たちのふわっとした雰囲気の物語だと感じていましたけど、頼人の知られざる部分が明らかになったことで、物語の根幹部分の印象も少し変わりました。これからそれぞれの関係が変わってゆくのか続巻に期待。
読了日:02月18日 著者:蒼月 海里
魔女 (創元推理文庫)の感想
なりたいものもなく大学卒業後、知人の手伝いをする日々を送る広也。報道記者の姉の依頼で元カノの焼死事件を探ることになり、事件や周辺を調べることになるミステリ。職場の友人、大学時代の友人、不倫相手、祖母、そして異父妹と取材を進める度に変わってゆく元カノ・千秋の印象。破滅した不倫相手の溺死と、気づいてしまった千秋の悲しい過去、一度は決着したかに見えた事件の真相。淡々としていて気持ちが見えなかった広也が事件を解決して、大切に思えるものがあることが示唆される結末までぐいぐい読ませてくれる、なかなか面白い作品でした。
読了日:02月17日 著者:樋口 有介
最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)の感想
会いに来る新世代のアイドルを描いた「最後にして最初のアイドル」ガチャに取り憑かれたフレンズたちが宇宙創世の真理へ驀進する「エヴォリューションがーるず」異能の声優たちが銀河を大暴れする「暗黒声優」の三編が収録された作品集。何か凄いらしい…とは聞いてましたが、オタクの心を掴むキーワードのはずが全く別の何かに成り果てていて、一方でSFとしては壮大なスケールの物語だったりで、そんなギャップがこの本を読む前提としてあるために、その強烈なインパクトをどう評価すればいいのかちょっとよく分からなくなった一冊でした(苦笑)
読了日:02月16日 著者:草野 原々
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?2 (ファンタジア文庫)の感想
母親の真々子が強すぎて自分たちの存在意義を見失いそうになった真人たちが、強化アイテムが手に入るという学園の試験運用クエストを受けることになる第二弾。学園で出会った癒術師のメディと、何でも一番でないと済まないその母親の存在。当然のように付いてきて参観する真々子さんのお約束的大活躍(苦笑)敵視するメディママとの対立構図と見え隠れするメディの本音。やっつけ仕事感ありありの学園生活には苦笑いでしたけど、メディがパーティに加わったことでますますワイズの存在感が危うくなった気も。裏で暗躍している存在も気になりますね。
読了日:02月16日 著者:井中 だちま
榮国物語 春華とりかえ抄 二 (富士見L文庫)の感想
枢密使・海宝と皇女・莉珠の同盟が無事締結。海宝を狙う白水の動きを探るため、白水の部下・李子君を調べていくうちに、子君と大臣の会談が行われると耳にした春蘭が妓女に扮して潜入捜査を試みる第二弾。男の春蘭に懸想しているのか?と拗らせている海宝と、距離を置かれた春蘭が出会った男、春雷と莉珠の関係もぎくしゃくしつつある中で起こった事件。海宝との信頼関係を育みつつ、上手く繋がった縁を活かして事態をひっくり返した春蘭でしたけど、相手もまた侮れないですね。二人の入れ替わりが今後どういう展開をもたらすのか、続巻に期待です。
読了日:02月15日 著者:一石月下
紅霞後宮物語 第七幕 (富士見L文庫)の感想
寛と康の二国と戦いを強いられることになった小玉。困難な状況に追い込まれた小玉の元に、康の密使がやってくる第八弾。密使の言い様に夫婦のありようを侮辱されたと感じ激高する小玉。それぞれの国の考え方の違い。檄文で熱い想いを語る一方、それでもどこか冷静な部分がある小玉と文林の夫婦の育まれてきた絆、勝利の目前にしてつまらない悪あがきがもたらした悲劇。こじれにこじれた二人がようやくここまで来たのに、こんな終わり方はないですよね…。娘子ファンの面々が怒り狂ってますけど、この苦境を乗り越えて向き合う二人がまた見たいです。
読了日:02月15日 著者:雪村花菜
魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。2 (GA文庫)の感想
アスマの誘いを受けたカズキは、これを機にアストリッドと新婚旅行に出発。到着した王都で厄介事に巻き込まれたアスマの手助けすることになる第二弾。先代勇者の仲間でアスマの師匠でもある剣聖との邂逅。天使と女神の遺産を巡る陰謀に巻き込まれてゆくカズキ。破壊力あるアストリッドも奮闘する甘い雰囲気にドギマギする(でも監視つきw)二人がとても初々しかったですけど、カズキ自身の生い立ちも少し掘り下げられましたね。今回新たな因縁も生まて、キーマンの一人に昇格したレミィも交えたラブコメ展開がどうなってゆくのか続巻が楽しみです。
読了日:02月14日 著者:手島 史詞
可愛い女の子に攻略されるのは好きですか? (GA文庫)の感想
日本の裏社会を牛耳る南条家の娘・姫沙の罠に嵌り、弱みを握られた日本の将来を担う政治家の卵・北御門帝が、姫沙から相手を好きになったと認めたら負けの「惚れさせゲーム」を提案される恋愛ゲームラブコメ。お互いの将来を賭けたゲームで、ポンコツでツンデレな姫沙の策略に振り回され続ける帝。内心デレデレな姫沙の無茶なアプローチに理性崩壊寸前の帝という分かりやすい構図には苦笑いでしたけど、帝が気になる姫沙妹や親が決めた帝の婚約者も絡めた展開は安心して読めました。諦めの悪いライバルたちがどんな手を打ってくるのか、続巻に期待。
読了日:02月14日 著者:天乃 聖樹
29とJK4 ~夢のあとさき~ (GA文庫)の感想
大銀行の審査役としてリストラを突きつける旧友・剣野。そんな状況で槍羽がまさかのコールセンター長に任命され、さらにはJKの彼女・花恋から親友を紹介される第四弾。部下との関係まで揺さぶられ、剣野の介入でこじれてゆく沙樹との関係。意外なところから明らかになる高屋敷社長と夏川社長、CEOを巡る複雑な因縁。人材を揃えて足場を固めてゆく一方で、思わぬヒントと人の繋がりから広がってゆく、なるほどと思った状況打開の奇策でしたけど、思っても見なかった急展開から大逆転なるか、直接対決も友情の行方も気になる続巻に期待ですね。
読了日:02月13日 著者:裕時 悠示
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか13 (GA文庫)の感想
18階層の宿場街にもたらされた殺人事件の犯人は「疾風」。リューの容疑を晴らすべくベル達が彼女の行方を追い始める中、カサンドラが最悪な予知夢を見てしまう第十三弾。疾風討伐が提案される状況で自らが夢に見た破滅を懸命に回避しようとするカサンドラ、彼女を信じて追うベルたちによって明かされてゆく今回の事件を巡る悪意、そして五年前の事件の真相と悪夢をもたらした災厄の再来。かつてないほどの凄惨な殺戮劇と絶望しか見えない戦いでしたけど、そこからさらにどうしようもないところまで突き落とされるとかどれだけですか。続刊早く!
読了日:02月13日 著者:大森 藤ノ
ぱらっぱフーガ (双葉文庫)の感想
中学の吹奏楽部でアルトサックスを吹く恋人同士だった有人と風香。名門・旺華高校を揃って受験も有人がまさかの不合格、吹奏楽部がない羽修館学園に進学する羽目に陥る青春小説。名門の洗礼を入学早々に浴びながらもメキメキと力をつけていく風香と、ゼロから吹奏楽同好会を立ち上げるべく奮闘する有人。何が大切なことなのか、環境の違いから立ち位置も向き合い方も変わってゆくそれぞれの奮闘とやりとりには、時折葛藤や意識のズレも生まれましたけど、それでもきちんと相手に向き合い、乗り越えてゆく二人の姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:02月13日 著者:竹内 真
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.16 (電撃文庫)の感想
修学旅行中の頑張りもあって、夢の飛行船を手に入れられたネトゲ部一同。しかし新生徒会長・高石さんからついに新入部員獲得を厳命され、勧誘する双葉みかんと妹がなぜか空賊になって挑んでくる第十六弾。飛空船が実装され大型船やPKの空賊も横行するようになる中、小型船で無双するルシアンたち。負けず嫌いなみかんを入部させるため、勝負することになった艦隊決戦。リアルで海に行ったりゲームの空戦に勤しんだり、今回も彼ららしい形でいろいろと満喫してるのは相変わらずでしたけど、アコとルシアンの関係にはもう苦笑いですね。続巻も期待。
読了日:02月12日 著者:聴猫 芝居
狼と香辛料XX Spring LogIII (電撃文庫)の感想
ルワードが持ち込んできた狼に関する依頼、繁盛する湯屋を探りに来た異端審問官、ホロとロレンスのとある日常、硬貨不足に悩む温泉街に、湯屋に珍客が訪れる旅の続きの物語の第三弾。すっかり温泉宿の主人として落ち着いた感もあるロレンスとホロですけど、相変わらず飽きさせない甘さがあったり、繁盛こそしていても意外と安定していない『狼と香辛料亭』の現状も明らかになったり、この作品らしさをじっくりと堪能できました。それにしても珍客の訪問からの思わぬ展開でしたけど、ここからまた新たな二人の旅の始まりを期待してもいいんですかね?
読了日:02月11日 著者:支倉 凍砂
優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)の感想
怪我でサッカーを辞めて灰色の高校生活を送る隼人と、歌姫として学校で注目される瑠子。近寄り難い存在だったはずなのに、ふとした繋がりからお互い意識するようになってゆくボーイミーツガール。周囲に上手く溶け込めない瑠子をさりげなくフォローする隼人と、そんな彼への評価が変わってゆく瑠子。お互い消化しきれない葛藤を抱えていて、強気なのに不器用で繊細な瑠子との出会いから隼人も少しずつ変化して、もがきながらも一緒に乗り越えようとする二人の関係と、強く心に訴えかけてくる熱い想いはとても真っ直ぐでぐっと来るものがありました。
読了日:02月10日 著者:樹戸 英斗
滅びの季節に《花》と《獣》は 〈上〉 (電撃文庫)の感想
滅びの危機に瀕する花の街スラガヤ。奇蹟の操り手「大獣」に仕えることが定められた奴隷の一人・クロアと、郊外の廃墟に居を構える美しき大獣「貪食の君」が一つ屋根の下でぎこちない愛を育んでいく物語。奴隷市場で売れ残ったクロアと、彼女の成長を人の姿で見守ってきた「貪食の君」。慕われていた人の姿を隠したまま同居を始めた二人の何とも不器用な距離感や大切な人たちとの関係がもどかしくもぐっと来る感じで、今に幸せを感じながらも街を守るため立ち上がるクロアたちの奮闘の結末がどんな展開に繋がるのか、下巻が早く読みたくなりました。
読了日:02月10日 著者:新 八角
京洛の森のアリス (文春文庫)の感想
幼い頃に両親を亡くし、引き取られた叔母の家でも身の置きどころのなかった少女・ありすが、遠く離れた京都で舞妓修業を決意し、老紳士に連れられて不思議な京洛の森に迷い込む物語。彼女に寄り添うカエルのハチスやウサギのナツメと共に京洛の森で生きていくことを決意したありすと、彼女が幼い頃に交わした少年・蓮との約束。物語の構図としてはとても分かりやすくて、それでいて散りばめられていた伏線が後々効いてくる展開で、おとぎ話風の雰囲気の中にも著者さんらしさがよく出ていた素敵な物語でした。その後のお話にも是非期待したいですね。
読了日:02月09日 著者:望月 麻衣
今夜、君に殺されたとしても (講談社タイガ)の感想
連続殺人の現場には謎の紐と鏡。逃亡中の容疑者は橘終の双子の妹・乙黒アザミ。大切な彼女を密かに匿いつつ、常識では測れない彼女の想いを理解するため、他の異常犯罪を調べ始めるミステリ。近くで立て続けに起こる連続殺人・吸血事件・児童誘拐といった異常犯罪に巻き込まれてゆく終と、信じたいと思いながらも拭えないアザミへの疑惑。ホラーテイストのぞわりと来るような雰囲気の物語で、「向こう側」の人たちを引き寄せずにはいられない二人を取り巻く特異性と、最初は対極に思えた終とアザミに共通するどこか歪んだ愛情がとても印象的でした。
読了日:02月08日 著者:瀬川 コウ
春待ち雑貨店 ぷらんたんの感想
京都のハンドメイドアクセサリーショップ『ぷらんたん』。悩みを抱えたお店を訪れる客の悩みに店主の北川巴瑠が一つ一つ寄り添い、優しく解きほぐしていく連作ミステリ。自身も密かに生まれながらの深刻な悩みを抱えつつも、恋人との関係の変化やお店を訪れるお客が抱える悩み、立て続けに起きるトラブルを一緒に解決していく展開で、簡単ではない問いに迷いながらも真摯に向き合う誠実で一本芯が通っている巴瑠のありようや、そんな彼女の影響を受けて大切な人といい関係を築こうと努力するようになっていく登場人物たちの姿がとても印象的でした。
読了日:02月08日 著者:岡崎 琢磨
あやしバイオリン工房へようこそ (集英社オレンジ文庫)の感想
バイオリニストの夢破れ、楽器販売店での仕事もクビになった惠理が、衝動のまま夜行バスで向かった先の仙台で「あやしバイオリン工房」の店主・大地と伝説のバイオリンの精・弦城に出会う物語。自信を喪失したまま店で働き始めた惠理と、誰が弾いても音が出ないぶっきらぼうなバイオリンの精・弦城。最初はぎこちない距離感だった二人でお店を訪れる客からもたらされるバイオリンを巡る不思議な謎を解いていく展開でしたが、迷える惠理の想いと複雑な弦城の過去がひとつに繋がっていって、一緒に乗り越えてゆく結末はなかなか良かったと思いました。
読了日:02月07日 著者:奥乃 桜子
僕と彼女の左手 (単行本)の感想
幼い頃遭遇した事故のトラウマで、医者になる夢を前に壁にぶつかった医学生の習。そんな彼が左手一本でピアノを引く不思議な女性・さやこに出会い、共に時間を過ごすようになってゆくミステリ。教師を目指すさやこのために家庭教師として共に過ごすようになる二人。彼女にどんどん惹かれてゆき付き合うことになった習が、勉強よりもピアノに意識が向きがちな彼女のありように少しずつ感じるようになってゆく違和感。積み重ねられてゆく不安の先にあった真実は真摯な想いと共にあって、二人が出会えて本当に良かったと思えるとても素敵な物語でした。
読了日:02月07日 著者:辻堂 ゆめ
遺跡発掘師は笑わない 君の街の宝物 (角川文庫)の感想
東京郊外の住宅地で行われる発掘調査、無量たちの幼き日の採石場での化石発掘会。八王子城の発掘現場に幽霊騒ぎ、萌絵と忍のコーディネーター勝負も行われる短編集。短編のせいかいつもの長編よりはテンポよく読めて、無量と忍の幼き日々や何とも困ったお人な父親と、それを支える母親の描写もあってなかなか興味深かったですね。さりげなく萌絵に甘い無量や、忍と萌絵の違いを浮き彫りにしたエピソードを読んで改めて三人の関係がいいなあと思えた分、意味深な忍のつぶやきに切なくなりそうです。いつまでもこのままでいれたらいいんですけどね。
読了日:02月06日 著者:桑原 水菜
映画化決定の感想
過去に描いたマンガ『春に君を想う』を超えられず苦悩していた高二男子のナオトに、学生向けの映画で受賞している天才監督・ハルからの『春に君を想う』映画化オファー。最初は乗り気でなかった彼が少しずつ映画製作にのめり込んでいく青春小説。映画製作の過程でぶつかりあいながらも絆を深めてゆく二人。病をひた隠しにするハルと、映画制作を通じて『春に君を想う』の本質に向き合うことになってゆくナオト。葛藤と情熱が入り交じる形で進行していく物語の構図はわかりやすくて、だからこそ意外に思えたその結末には上手いなあと思わされました。
読了日:02月06日 著者:友井 羊
君を描けば嘘になるの感想
寝食も忘れてアトリエで感情の赴くまま創作に打ち込む毎日だった瀧本灯子が出会った、自分にはない技術を持つ南條遥都という少年の存在。お互いに認め合う二人の若き天才の喜びと絶望の物語。絵を描くこと以外の才能が壊滅的だった灯子と、そんな彼女の指針となったもう一人の天才・遥都。そんな二人のありようを影響を受けた周囲の視点からも浮き彫りにしつつ、良くも悪くも直情的な灯子に対して、断片的にしか描かれない不器用な遥都の積み重ねてきた想いが垣間見える結末は、ほんと素直じゃないなあと苦笑いしつつもとても良かったと思いました。
読了日:02月05日 著者:綾崎 隼
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? (ファンタジア文庫)の感想
念願のゲーム世界に転送された高校生・大好真人が、なぜか真人を溺愛する母親の真々子と一緒に冒険することになる母親同伴冒険コメディ。いやこれは…無双っぽい力持ってるわ、仲間をお母さん面接したり、暗い洞窟で光ったり、膝枕でモンスターを眠らせたり、見た目は若くても感覚は確実にお母さんな真々子がいろいろな意味で強烈なインパクトあり過ぎですね、これ(苦笑)真々子さんは可愛くていい人なんだけど、思春期の高校生だと流石にこれは辛いかな…でもなんか暗躍してる人いそうだし、逆にこれからどうなるのか気になるので続巻もそのうち。
読了日:02月05日 著者:井中 だちま
雪には雪のなりたい白さがある (創元推理文庫)の感想
公園を舞台にした五つの転機が綴られる連作短編集。港が見える丘公園でのおじいさんとの出会い、ムーミンをきっかけに出会った二人の別離とそれぞれの再出発、石神井公園を舞台にした憧れの人との再会、航空公園を舞台とした中学三年生の冬に別れた同級生の恋人を忘れられずにいた瑞希の決意と、文庫収録の彼の視点短編。いずれも自分が行ったことがある公園で、うまくいかない状況を抱えた登場人物たちが、そこでの出会いをきっかけに新たな一歩を踏み出す展開には心に響くものがある素敵な物語でした。最後の話の後どうなったのか気になりますね。
読了日:02月05日 著者:瀬那 和章
マージナル・オペレーション改 03 (星海社FICTIONS)の感想
中国とシベリアとの意見が相違し、やむなく人質を取りジブリールを伴って日本大使館に駆け込んだアラタ。日本の諜報機関に属する“イトウさん”と再会するも大使館が厳重に包囲されてしまう第三弾。情報を遮断され大使館を襲撃してくる敵部隊。わりと刻一刻を争う状況の中での脱出劇となりましたけど、やむを得なかったとはいえメールで密林の子どもたちにオペレーションできてしまう想像力は見事というか。イトウさんも謎のお人ですけど、作中のような状況は近未来において実際に起こりうるんですかね。そういう意味でもなかなか興味深い内容です。
読了日:02月04日 著者:芝村 裕吏,しずま よしのり
ポスドク! (新潮文庫)の感想
指導教官の不祥事で出世の道を閉ざされ、姉が育児放棄した甥・誉を養ってもいる月収10万円の私大非常勤講師・瓶子貴宣。正規雇用を諦めない貴宣の前に千載一遇のチャンスが現れる物語。他人の出世を羨み、極貧にあえぐ貴宣に権力者から提示されたリスクの高い尻拭い。負け戦を必死に戦い抜くその奮闘ぶりや、周囲との何とも複雑な心情が入り交じるやりとりは尻上がりに面白くなっていって、誉を取り戻すために乗り込んでいく貴宣はカッコ良かったですね。ただ愚直なだけでなく、したたかに逆襲の方法を考えるその性格の悪さも良かったです(苦笑)
読了日:02月03日 著者:高殿 円
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術9 (講談社ラノベ文庫)の感想
剣聖を訪ね、戦士としても人族の限界を突破したディアヴロが城塞都市ファルトラに侵攻してきた魔王軍に対峙する第九弾。予想を超える強さの大魔王ディナラームの前に、冒険者エミールや領主ガルフォードらが奮闘するも絶望的な展開。お約束な展開ではありましたけど、彼らの意地と最初の頃からすると隔世の感があるチームディアブロの連携、諦めの悪いディナラーム相手に最後まで諦めそうになる彼女のことを守りつつ戦い抜いた先は…まあそうなりますよね(苦笑)これまで未遂が続いてましたけど、そろそろ年貢の納め時なんでしょうか。続刊も期待。
読了日:02月02日 著者:むらさき ゆきや
室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 (集英社文庫)の感想
南北朝時代。南朝帝の妹宮・透子が北朝に帰順した楠木正儀を連れ戻すべく、乳母と二人きり吉野から京へと乗り込む過程で、若き日の宿敵・足利義満や観阿弥・世阿弥親子と出会う時代小説。跳ねっ返りだった世間知らずな透子の無謀な行動の顛末と意外な出会い。周囲の言うことを鵜呑みにしていた透子が様々な人と出会い、真摯に語らうことで知ってゆく複雑な世界のありよう。自らの無力を痛感しつつも、無用な争いを回避するために奔走する彼女の成長があって、魅力的に描かれた実在の登場人物たちを絡めたテンポの良い展開はなかなか良かったですね。
読了日:02月02日 著者:阿部 暁子
千早あやかし派遣會? 仏の顔も三度まで (集英社オレンジ文庫)の感想
相変わらず妖怪派遣會社でのアルバイトに精を出す貧乏女子大生の由莉と、有能だがちょっと変な千早社長の変化。一方、吉祥寺の街では妖怪たちの連続失踪事件が起きる第三弾。どこかズレてるけど由莉への想いを隠さなくなってきた千早と、鈍くて自覚はないなりに千早を意識するようになってきた由莉の距離感はむしろイチャチャな感じで、櫻居と元座敷童の白菊のエピソードもなかなか良かったですけど、文化祭や由莉のお見合い騒動などを通じて、少しずつ向き合うようになっていった二人の関係も転機を迎えそうですね。これは続きを早く読みたいです。
読了日:02月01日 著者:長尾 彩子