読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2019年おすすめ本40冊(ライトノベル20冊/一般文芸・文庫・ライト文芸20冊)

年末最終日になりましたが、単行本オススメを書くまでに読んでおきたい本がまだ読み終わりません(苦笑)というわけで年末企画を先に作ってしまうことにしました。今回もだいぶ選ぶのに悩みましたが、 ライトノベル部門20冊、一般文芸・文庫本部門20冊ということで作りました。ご参考になれば幸いです。

 

ライトノベル部門20選】

1.Unnamed Memory (DENGEKI

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

 

幼い頃に受けた『子孫を残せない呪い』を解呪するため、強国ファルサスの王太子・オスカーが試練を乗り越えたものに望みのものを与える魔女・ティナーシャの塔に挑むファンタジー。解呪が容易でなく呪いに負けない女であればいい、という状況で目の前に好物件がいたことに気づき求婚するオスカー(苦笑)わりとシリアスな展開ですが繰り返される二人のやりとりが微笑ましくて、感化されつつも容易には頷きそうもない孤高の魔女・ティナーシャが、どんどん強くなってゆく諦めが悪いオスカー相手にどこまで頑張れるのか今後に期待のシリーズです。20年1月に4巻目刊行予定。

 

2.プロペラオペラ (ガガガ文庫)

プロペラオペラ (ガガガ文庫)

プロペラオペラ (ガガガ文庫)

 

追い詰められた極東の島国・日之雄。悲壮な決意で駆逐艦「井吹」の艦長として戦いに挑む皇家第一王女イザヤのもとに、かつて最低の事件を起こして皇籍剥奪された幼馴染・クロトが部下として乗り込む空戦ファンタジー。敵国ガメリア合衆国で投資家として成功していたクロトが日之雄に戻ってきた理由。苦戦必至の状況の中、超傲慢で頭が切れてバカがつく努力家クロトが、アホな部下たちと共にイザヤを支えて大逆転に導く熱い展開で、異国で台頭しつつある因縁のライバルの魔の手から彼女を守りきれるのか、これは今後がとても楽しみなシリーズですね。

 

3.千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)

千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)

千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)

 

クラス委員に指名されたトップカーストの千歳朔。担任から引きこもり生徒の更生を頼まれ、自信回復の手伝いをする青春小説。仲間の協力も得ながらあの手この手で引きこもりの健太を引っ張り出してみせた朔。そんな彼が魅力的な仲間やヒロインたちに信頼されるのも、周囲の期待に真摯に向き合い、大切なもののため誰かのために奔走することを惜しまないからで、テンプレートなリア充論を論破してみせる彼が、時折垣間見せる本音や葛藤がとても印象的でした。彼の恋愛模様やワケありの過去も気になりますし、続巻が楽しみな期待の新シリーズですね。 現在2巻目まで刊行。

 

4.クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

 

異世界の魔人召喚に失敗したクラスメイトの美少女・藤原千影。不可抗力で彼女を使い魔にしてしまった落ちこぼれ魔術師・芦屋想太の主従関係を描く魔法学園ラブコメ。千影と融合した皇女で想太に執着する強力な異世界の魔人ソフィア。不本意な同居生活を始めた二人のツンデレ気味なテンポの良い掛け合いには確かな積み重ねがあって、自分を救ってくれた千影を取り戻すために想太が立ち上がり、千影が魔人相手に見事決着をつけてみせる展開にはぐっと来ました。過去の因縁を抱える主従関係がこれからどうなるのか、続巻にも期待大の新シリーズですね。現在2巻目まで刊行。

 

5.探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

  • 作者:二語十
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/25
  • メディア: 文庫
 

完全無欠に巻き込まれ体質で天使のように美しい探偵・シエスタの助手だった君塚君彦。その探偵と死に別れ高校生になり、日常というぬるま湯に浸っていた彼が一人の少女と出会う物語。ひとを探してほしいという依頼を持ってきた同級生・夏川渚、三十億のサファイアが盗まれるのを防いで欲しいというアイドル・斎川唯、そして探偵のかつての弟子・シャーロット。彼女たちと出会いが探偵の死によって止まっていた君彦の時間を動かし始めて、この一冊自体がまるごとプロローグという豪快な構成でしたけど、彼らがこれからどんな活躍を見せてくれるのか今後に期待したい作品ですね。20年1月に2巻目刊行予定。

 

6.吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

  • 作者:周藤 蓮
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/10
  • メディア: 文庫
 

大戦と禁酒法で旧来の道徳が崩れ去った時代。非合法の運び屋シーモアのもとに、運んで欲しい荷物として正真正銘の吸血鬼の少女・ルーミーが持ち込まれる歴史ファンタジー。仕事上のトラブルから始まったルーミーとの同居生活。吸血鬼らしさを見せないルーミーと共に過ごすうちにシーモアの心境が変化してゆく中で、ふと気づいてしまったひとつの事実。確かに変わってしまった何かがあって、それでも二人の間には確かに育まれていたものがあって、ぶつかりあった本音の先にあった結末がとても自分好みでした。これは続巻に期待大の新シリーズですね。現在2巻目まで刊行。

 

7.友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

 

 青春の一切を非効率とする俺・大星明照が目指す伯父の会社への就職。ウザい親友の妹・彩羽に絡まれつつ、就職の条件として提示された幼馴染従妹・真白の偽彼氏役に挑む青春ラブコメディ。学校では存在感皆無の生活を送る明照と、彼に絡み部屋に入り浸る親友の妹・彩羽、最悪の再会から険悪な雰囲気の真白。親友を含めた周囲の登場人物にはそれぞれ抱える事情があって、陰キャラに甘んじる明照が仲間のためなら頑張る姿を見ると、彼らに慕われているのも納得ですね。気になる関係に投げ込まれた波紋で物語がどう動くのか、今後に期待大の新シリーズ。現在3巻目まで刊行。

 

8.幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

 

脈アリと思っていた片思いの相手・白草に彼氏ができたと知った高校生・丸末晴。失意の彼に以前告白してきた幼馴染・黒羽が復讐を持ちかける青春ラブコメディ。美少女で芥見賞受賞の現役女子高生作家・白草と、陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系の黒羽。偽恋人として白草を挑発したり、白草の恋人という先輩と勝負したり、だいぶ拗らせたそれぞれの恋愛模様にもう素直になれよ…と思いましたけど、甘酸っぱい青春の先には斜め上の結末が待ってました(苦笑)そんな彼らだからこその新展開もあって、今後に期待大の新シリーズですね。現在2巻目まで刊行。

 

9.天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

 

大好きなフリーゲーム制作者Aに会うため、桜山学園ゲーム制作部に入った水谷湊。しかしAと思しき部長の菖蒲は不登校で、彼女が学校に来るよう部員たちから託される青春小説。仲が良さげなゲーム部員が抱える苦い過去、そして湊のもとに送られてきたひとつのノベルゲームが示唆する過去。部員それぞれの事情が明らかになってゆくたびに彼らの印象も変化して、構図が二転三転した末の決着は新たな違和感に繋がって、確執が残る母とも向き合いつつバットエンドに隠されていた真相を見出して、大切な笑顔を取り戻してみせた結末がとても印象的でした。

 

10.お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

 

藤宮周が一人暮らしするマンションの隣室に住む学校で一番の美少女・椎名真昼。特に関わり合いのなかった彼女とふとしたきっかけから交流が始まる青春小説。雨の中ずぶ濡れの彼女に貸した傘をきかっけに、自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて食事を作り部屋を掃除し、何かと世話を焼く真昼。自分だけが知るクールで毒舌な彼女と過ごす日々に少しずつ心境が変化してく周と、家の事情を抱えていそうな彼女との関係がどうなるのか。現時点ではまだまだこれからですけど、もどかしい甘酸っぱい展開を期待できそうで今後が楽しみな新シリーズですね。

 

11.処刑少女の生きる道 (GA文庫)

過去に起きた人災で異世界からの召喚者は見つけ次第処刑される世界。躊躇なく冷徹に任務を遂行する処刑人の少女・メノウが、迷い人の少女アカリと運命の出会いを果たすファンタジー。不可避に思えた運命をあっさり乗り越えるアカリと、そんな彼女に調子が狂わせながらも決着をつけるべく二人で旅するメノウの距離感がなかなかいい感じで、それに処刑人補佐のモモや王の娘アーシュナといった魅力的なキャラを絡めて展開する物語の安定感には驚かされました。ワケありな二人の旅がこれからどのようなものになるのか、続巻が楽しみな新シリーズですね。20年2月3巻目刊行予定。

 

12.夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

  • 作者:八目 迷
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア: 文庫
 

海に面する田舎町・香崎。家族崩壊させた過去を悔やむ高校生・塔野カオルが、クラスで浮いた存在になっていた転校生・花城あんずと互いの欲しいものを手に入れるため協力関係を結ぶ青春小説。夏の日のある朝、塔野カオルが偶然耳にした、中に入れば年を取る代わりに欲しいものが何でも手に入る『ウラシマトンネル』の都市伝説。周囲との関係を拒絶していたあんずの言動はなかなかぶっ飛んでいましたが、彼女との協力関係から始まった二人の不器用なやりとりはとても甘酸っぱくて、大切なものに向き合った二人の結末にはぐっと来るものがありました。

 

13.塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

 

高嶺の花で誰に対しても塩対応な佐藤こはると、誰に対しても優しい押尾颯太。初々しくてもどかしい高校生二人の初恋物語。告白されても話しかけられても実はコミュ障で塩対応のこはる。そんな不器用な彼女が想い人に近づきたい一心で頑張って颯太だけに見せる様々な可愛い表情があって、彼女をフォローしようと頑張る颯太もいちいちカッコ良くて、そんなじれじれ初恋両片想いな二人の破壊力がスゴイですね。勘違いからすれ違いかけたり大きな壁が立ちはだかったりしても、勇気を出して前に一歩踏み出した二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

14.あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

 

一年に一度、願いが叶う宿星市に住む風祭叶羽が、十七歳の誕生日に出会った先輩・逢見燈華。願いを叶えるために星の幸魂の試練を課された燈華と、姉を喪い傷心を抱える叶羽の優しくて少し痛い奇跡の青春小説。病床にあった姉との悔いの残る別れから、写真を撮ることを止めてしまった叶羽が、人知れず試練を抱えていた燈華と出会い、振り回されながらも惹かれていく展開で、登場人物たちの不器用で甘酸っぱい想い、そして絶望を救おうと奔走する真摯で一途な想いがもたらした奇跡はとても素晴らしかったです。現在2巻目まで刊行。

 

15.リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

 

塵禍で文明が一度滅び、砂塵を異能力に変換できる「砂塵能力者」が力を持つ近未来。因縁の復讐相手・スマイリーを追うチューミーが、利害の一致から一時的に粛清官に協力し、ワケありの粛清官・シルヴィとコンビを組む近未来SF復讐譚。特殊な事情を抱えていたシルヴィと出会い、最初は反発しながらも徐々に育まれていく相棒としての信頼感。テンポよく進む中でスマイリーと追う二人を巡る因縁も明らかになって、何度も葛藤と絶望に直面する異端のバディが待ち望んだ宿敵との対峙と決着、確かな絆が垣間見えた結末にはぐっと来るものがありました。

 

16.子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

 

両親が共働きで5歳の妹・蕾のために日々を過ごす子守リ男子・新垣日向。そんな彼が偶然クラスメイトの芹沢悠里とスーパーで出会ったことをきっかけに、その高校生活が変わってゆく青春小説。蕾の可愛らしさに魅せられ、日向を意識するようになってゆく悠里。そんな二人を面白がる悠里の親友・唯やヒロインたちに振り回される日向の親友・雅も関わるようになって、疎遠になっていた後輩・日和との再会もあって。物語としてはまだまだこれからな感もありますが、変わり始めた日向の高校生活がどうなってゆくのか、今後に期待大の新シリーズ。現在2巻まで刊行。 

 

17.つるぎのかなた (電撃文庫)

つるぎのかなた (電撃文庫)

つるぎのかなた (電撃文庫)

 

高二の春に藤宮高校に転校してきた水上悠。そんな彼が負けず嫌いな新入生・深瀬史織と出会い、一緒に剣道部に入部する青春小説。昔、剣道で最強と呼ばれながら一度はその座を降りた悠を少しずつ変えていった剣道部の仲間たちとの出会い、剣姫と呼ばれる吹雪との運命的な邂逅と、かつての約束に妄執する吹雪の兄で高校剣道界最強の男・快晴。複雑に絡み合う因縁と剣道に賭ける想いをぶつけ合う熱い戦いがあって、不器用なヒロインたちも自分の想いにまっすぐで、荒削りなところも散見されましたが、それでも十分に魅力的な物語に仕上がっていました。20年1月に3巻目刊行予定。

 

18.友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:世界一
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: 文庫
 

目つきの悪さから不良のレッテルを貼られた友木優児。『主人公キャラ』池春馬以外に誰も近寄らない彼が、春馬の妹で美少女の池冬華に突然告白されるラブコメディ。腑に落ちない告白の真意を問いただす優児と、思うところあって彼とニセの恋人関係を結んだ新入生の冬華。外見がアレで不器用だから誤解されがちだけれど、困った人を助けることを厭わず、相手にきちんと真摯に向き合える優児の良さを知ってゆく人が増えていって、そんなエピソードを積み重ねて冬華の想いも変化してゆく展開がとても良かったです。これは続巻に期待の新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

 

19.お隣さんと始める節約生活。 (ファンタジア文庫)

一人暮らしの高校生の間宮哲郎が、高校の先輩でもある同じ境遇の隣人山野さんが似たような境遇であることを知り、一緒に節約生活を始めてみる青春ラブコメディ。高校がバイト禁止という状況で、もう少し遊ぶお金を確保するには節約しか選択肢がない似たような境遇にいる二人。最初は自作の弁当を比べたり巨大なパンをシェアしたり、電気代を減らすために夏休みを一緒に過ごすようになったり、ベタながらも日常にあるドキドキの積み重ねから、お互いのことを少しずつ意識してゆく展開がいいですね。そんな二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

20.カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています (角川スニーカー文庫)

クリスマス直前に彼女に浮気されて別れた大学二年生の羽瀬川悠太。そんな傷心の彼がサンタのバイトをしていた後輩・志乃原真由と出会う青春小説。いつの間にか懐いて勝手に家にまで上がり込んでくるようになった後輩・志乃原と、付き合いが長い友人ヒロイン・彩華、そして悠太を気にかける元カノの存在。三者三様のヒロインたちはそれぞれに事情があるようで、その妙に狭い人間関係の繋がりも地味に効いていますが、単純な恋愛模様にはならなさそうな彼女たちとの繊細な距離感や関係がこれからどう変わってゆくのか、続巻に期待の新シリーズですね。

 

【一般文芸・文庫・ライト文芸20選】

1.medium 霊媒探偵城塚翡翠

medium 霊媒探偵城塚翡翠

medium 霊媒探偵城塚翡翠

  • 作者:相沢 沙呼
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/09/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎が出会った、霊媒として死者の言葉を伝える城塚翡翠。そんな彼女の霊視と論理の力を組み合わせて殺人事件に立ち向かうミステリ。殺された香月の後輩、招待された別荘で殺された先輩作家、女子高生連続の犯人を警察に協力する二人が翡翠の霊視と香月の論理で何とか解決してゆく展開で、けれど最後の連続殺人犯との対峙は、これまで積み重ねて来たものの何が虚で実だったのか分からなくなる急展開に繋がって、その何とも鮮烈で皮肉に満ちていた決着をいろいろと想起させるエピローグが際立たせていました。


2.線は、僕を描く

線は、僕を描く

線は、僕を描く

  • 作者:砥上 裕將
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生・青山霜介。アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会い、初めての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく青春小説。湖山に気に入られてその場で内弟子にされた霜介と、反発して翌年の「湖山賞」での勝負を宣言する湖山の孫・千瑛。初心者ながらも水墨画にのめり込んでいく霜介に、彼と関わるうちに千瑛もお互いに刺激を受けて変わっていって、才能だけでも技術だけでもない水墨画の世界で、その本質に向き合い続けた二人が迎える結末には新たな未来が垣間見えました。面白かったです。


3.電気じかけのクジラは歌う

電気じかけのクジラは歌う

電気じかけのクジラは歌う

  • 作者:逸木 裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: 単行本
 

人工知能が作曲をするアプリ「Jing」が普及し、作曲家の仕事が激減した近未来。「Jing」専属検査員になった元作曲家・岡部の元に、自殺した現役作曲家で親友の名塚から未完の新曲と指紋が送られてくる近未来ミステリ。名塚から託されたものの意味と、事故で右手が不自由になった名塚の従妹・梨紗の苦悩、そして「Jing」を作り出した霜野の野望。「Jing」で気軽に音楽を作れてしまう中、あえて自分の手で音楽を作り出す意味に葛藤しながらも、秘められた名塚の想いに気づいてゆく展開は著者さんらしさがよく出ていて面白かったです。

 

4.夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

 

片田舎の劣悪な家庭環境に育ち将来に希望を抱けずにいた少年・日向が、身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子と運命の出会いを果たす壮絶で切ない最後の夏の物語。死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛けた弥子と、相続の条件として提示された古い盤上ゲーム・チェッカーを通じて心を通わせてゆく日向。絶望を抱えた二人が惹かれていけばいくほど、彼女の死に三億円の価値があることの意味が重くのしかかってきて、明かされてゆくそれぞれの秘密と葛藤の末に二人が選択した「正解」がとても印象的な物語でした。

 

5.愛を知らない

愛を知らない

愛を知らない

 

ヤマオの推薦で合唱コンクールのソロパートを任された高校二年生の橙子。親戚でクラスメイトの涼の視点から彼女の苦悩と決意が描かれる青春小説。気難しくて周囲から浮いていた橙子に期待するヤマオ、一緒に練習することになった伴奏役の涼と委員長で指揮者の青木、共に過ごす中で意外な一面を見せてゆく橙子が抱える苦悩。これまで見えていたものがガラリと反転した世界で、どうにもならないところまで拗れてしまった関係があって、やりきって勝ち取った結果にはぐっと来ましたが、だからこそその先にあったこの物語の結末が胸に突き刺さりました。

 

6.高校事変 (角川文庫)

高校事変 (角川文庫)

高校事変 (角川文庫)

 

平成最大のテロ事件を起こし死刑になった男の次女・優莉結衣。彼女が転入した武蔵小杉高校を総理大臣が極秘訪問することになり、学校が突如武装勢力に占拠に巻き込まれてしまうエンタメ小説。こういう状況に遭遇するのは偶然でも、なにかあるたびにその関与を疑われてしまう境遇というのはなかなか厳しい…とはいえ武装勢力を相手に先生や他の生徒たちがパニックに陥る中、冷静に状況を見極めて判断し活路を見出してゆく結衣の行動力は際立っていました。そんな結衣がこれからも普通の女子高生でいられるのか、続巻が気になるシリーズ。20年1月に5巻目刊行予定。

 

7.君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫nex)

君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫)

君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫)

 

両親の離婚で引っ越してきた高校一年生の舞奈。地元の川でカヌーを操る少女・恵梨香に出会った彼女が、一緒にながとろ高校カヌー部に入部する青春部活小説。長年コンビを組むも少しずつ想いがすれ違ってきた先輩の希衣と千帆。実力者恵梨香の出現による希衣の決意。初心者の舞奈は今後に期待ですけど、過去に執着していたり今の自分を見て欲しいと願う、それぞれの繊細で複雑な心情を巧みに描きつつ、ずっともやもやしていた思いをぶつけ合って、前に進む力に昇華させてゆく展開にはぐっと来るものがありますね。これは続巻に期待の新シリーズです。現在2巻まで刊行。

 

8.どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

 

地下アイドル時代に心身に深い傷を負い、鎌倉の祖母のもとでひっそりと生活を送っていた小松奈々子20歳。そこに突然現れたラジオ局ディレクター黒木から番組アシスタントにスカウトされる物語。母親に認められるために頑張っていたアイドル活動に挫折して、希望を失いかけていた奈々子が挑戦するラジオの世界。戸惑いながら始めた彼女が多くの人に支えられて成長し、切実な日々を生きるリスナーたちと交流を深めていって、何度か危機に直面しながらも、これまでの放送で積み重ねてきたみんなの力を合わせて乗り越えていくとても素敵な物語でした。

 

9.太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

  • 作者:三田 千恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/10/27
  • メディア: 文庫
 

死に至る「宝石病」を患い海の見える高校に転校してきた理奈。親友や彼氏を作って最高の学園生活を送ろうと決意する理奈と、彼女のために受験を頑張る翔太が過ごした最高の12ヶ月の物語。運命の恋人と出会い、印象的な出会いを果たした美里と様々な出来事を経て大切な親友となってゆく理奈。彼女と自分の夢のために受験勉強する翔太が予備校で出会った仲間たち。違う時を過ごす中で不安やすれ違いもあって、それでも二人で育んできた確かな絆があって。そんな二人のかけがえのない日々を必ず読み返したくなる、とても鮮烈で印象に残る物語でした。

 

10.流浪の月

流浪の月

流浪の月

 

奔放に育ててくれた両親を失い、引き取られた伯母の家で追い詰められてゆく更紗。そんな行き場のなかった彼女を受け入れた文が抱えていた苦悩。真実を知られることがないまま否定された二人の関係。確かに難しいテーマで、どんなに真摯な想いがあろうと世間一般の常識では容認し難いものがあるのは分からなくもないんですけどね。けれど辛い過去からうまく生きられない不器用な登場人物たちがいて、たくさん傷つきながらも育んできた揺るぎない真っすぐな想いがあって、ただともにありたいというささやかな願いくらいは叶う未来であって欲しいです。

 

11.教室が、ひとりになるまで

教室が、ひとりになるまで

教室が、ひとりになるまで

 

北楓高校で起きた三人の生徒連続自殺事件。クラス内でも地味な存在の垣内友弘が、最高のクラスで起きた一連の不審死の謎を追う青春ミステリ。生徒に代々引き継がれてきた4つの特殊能力。不登校の白瀬美月から三人を殺した死神の存在を知らされた垣内が、突如引き継いだ特殊能力で他の能力者や犯人の正体を探ってゆく展開で、スクールカーストの力関係や伏線を巧妙に絡めながら、地味な特殊能力を駆使した殺人の結末へと導いていく展開はお見事。突きつけられた現実への失望があるからこそ、そんな彼にもたらされる一筋の光にぐっと来る物語でした。

 

12.エンド オブ スカイ

エンド オブ スカイ

エンド オブ スカイ

 

ゲノム編集技術によって老いや病から緩やかに遠ざかりつつある23世紀。謎の突然死「霧の病」を研究する遺伝子工学の権威ヒナコ・神崎博士が海から現れた少年・ハルと出会う近未来SF。ゲノム編集が推奨された香港に現れたオリジナルゲノムを持つハルと、どこか不安定なヒナコの交流の日々。「霧の病」が急速に拡大してゆく中でその原因が見えてきて、何が正常で異常なのかわからなくなる皮肉な展開でしたけど、周囲の人たちに支えられながらハルと向き合ったかけがえのない日々と、いくつもの伏線が回収された先にある結末が印象的な物語でした。

 

13.彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

  • 作者:大澤 めぐみ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: 文庫
 

いつも殺されがちな最高に可愛い幼馴染の沙紀。普通じゃないレベルで彼女のことが好きな女子高生・神野羊子が得意の推理を巡らせるハイテンションコージーミステリ。沙紀を殺した犯人を羊子が見つけ出すと、犯人を身代わりになぜか彼女が生き返る歪な関係、そんな羊子と一緒にいてサポートする昇の存在。のんびり屋なのに核心を突く乃亜や、正義感あふれる拝み屋女子高生・楓との出会いは羊子たちの関係に変化をもたらして、あの斜め上のカオスな展開から始まったこの物語を、伏線や真相を絡めつつすっきりとまとめ上げてみせた結末はお見事でした。

 

14.君の想い出をください、と天使は言った (角川文庫)

君の想い出をください、と天使は言った (角川文庫)

君の想い出をください、と天使は言った (角川文庫)

 

急性脳腫瘍で入院し、医師の態度から最悪の結果を察してしまい絶望する河野夕夏。その夜悪魔を名乗る不思議な青年と出会い、大切なものと引き換えに命を助ける取引を交わす恋愛ミステリ。二年間の記憶を失って様々な違いに戸惑いながらも再び職場の銀行で働き始める夕夏と、そんな彼女の前にアフターフォローとして再び現れた青年・水上。記憶が戻らなくても確実に前に進めている実感があって、そんな彼女を気にかけてくれる人たちがいて、そんな中で本当に大切なものを再び見出して、これまでの全てが繋がってゆく結末がとても素敵な物語でした。

 

15.不純文学 (宝島社文庫)

不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語 (宝島社文庫)

不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語 (宝島社文庫)

  • 作者:斜線堂 有紀
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 文庫
 

本を読むのが好きな「先輩」と一緒にいる「私」。私と先輩の二人が織り成す奇妙で不思議で切ない掌編集。本作は右ページに章題、左ページに1ページ完結の私と先輩の話が全120話ひたすら続くシンプルな構成。様々なシチェーションで私と先輩の関係が綴られて、時には不純に、時には愛しく、時には複雑な気持ちで先輩を想う私がいて、一見淡々としているように見える不器用な先輩の私への優しさがあって、そんな二人のエピソードの積み重ねがクセになってゆく、どんな状況でもお互いを大切に思う気持ちは変わらない姿がとても印象的な物語でした。

 

 

16.メイデーア転生物語 (富士見L文庫)

メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女 (富士見L文庫)

メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女 (富士見L文庫)

  • 作者:友麻碧
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/10/15
  • メディア: 文庫
 

幼馴染に片想いしていた前世を時々夢に見る辺境貴族の令嬢マキア。運命的な出会いを果たした少年トールと魔法を学ぶ楽しい日々を過ごしていた彼女が、引き離されたトールと再会するために奮闘する転生ファンタジー。トールが救世主の守護者に選ばれ引き離されてしまう二人。トールと再会するため王都で最高峰の魔法学校を目指すマキア。学校では個性的な仲間もできて、選ばれていた救世主がまた前世でいろいろと因縁のあった存在で、抗いがたい運命に翻弄されるマキアとトールが大切な絆を守っていけるのか、続巻がとても楽しみな新シリーズですね。

 

17.リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

 

兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれた素敵な物語でした。現在2巻まで刊行。

 

 

18.ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

 

19世紀末、ロンドンの画廊で展示されたルーベンス未発表の真作。その絵に目を奪われたエディスが「贋作」と断言する美貌の青年・サミュエルと運命の出会いを果たすファンタジー。訳ありな貴族の娘・エディスと、絵より現れた異形の怪物から彼女を救ったサミュエル。ジョン・ラスキンヴィクトリア女王など実在の人物も絡めつつ、サミュエルと宿敵・ブラウンの贋作に宿る怪物を巡る戦いを描く展開でしたけど、虚構も織り交ぜながら展開されるストーリーはなかなか面白かったですね。未だ謎多きサミュエルとエディスの今後が楽しみです。現在2巻まで刊行。

 

 

19.ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

 

仮面を被った仕事ぶりに限界が来て退職し、譲り受けた古民家で趣味のアクセサリーづくりをして暮らす涼子。そんな家に店子として宝飾職人「希美」さん住むことになるあたたかな再生の物語。趣味も合い配慮が行き届いていて、欲しい時に欲しい言葉をくれる希美に惹かれていく涼子。一方で未だに引きずる複雑な過去の想いや、容易に解けない呪いから素直に心を開けない状況にもどかしくもなりましたが、そんな彼女を尊重しつつ粘り強く向き合って、様々な過去のわだかまりを解きほぐすのを手伝ってくれた彼に出会えてほんとに良かったなと思えました。

 

 

 

20.ことのはロジック (講談社タイガ)

ことのはロジック (講談社タイガ)

ことのはロジック (講談社タイガ)

 

書くべき言葉を見失った元天才書道少年の墨森肇。金髪碧眼の転校生・アキに一目惚れした彼が、彼女とともに校内で発生する言葉にまつわる事件を解決してゆくミステリ。好奇心旺盛なアキや仲間たちと一緒に挑む回し手紙の伝言ゲーム、存在しない幽霊文字、同人誌の不可解な改変、そしてアキに対する違和感。探し続ける「月が綺麗ですね」を超える告白の言葉。彼らの心境の変化に繋がってゆくひとつひとつのエピソードがまた絶妙で、明らかになった真実にしっかりと向き合い、想いを込めた回答を提示してみせた結末にはぐっと来るものがありました。

 

以上です。一般部門の方は選んでみたら思ったより単行本が多くなってしまいましたが、どれもオススメの一冊です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。

 

 

 

2019年下半期注目のオススメ新作ライト文芸20選

2019年下半期注目のオススメ新作企画、「ライトノベルファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」「一般文庫」に続く第四弾は「ライト文芸」レーベル編です。どうしても後追い気味になっているために仕方ないのですが、この時期までずれ込むともうどこまで入れるのか諦めるのかなかなか難しいところではあります(苦笑)

 

とりあえず今回も自分が下半期に読んだものの中からオススメしたい20作品を紹介しています。

上半期企画でもライト文芸のおススメを紹介していますので、こちらも合わせて参考にしていただければと思います。

 

1.太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

  • 作者:三田 千恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/10/27
  • メディア: 文庫
 

死に至る「宝石病」を患い海の見える高校に転校してきた理奈。親友や彼氏を作って最高の学園生活を送ろうと決意する理奈と、彼女のために受験を頑張る翔太が過ごした最高の12ヶ月の物語。運命の恋人と出会い、印象的な出会いを果たした美里と様々な出来事を経て大切な親友となってゆく理奈。彼女と自分の夢のために受験勉強する翔太が予備校で出会った仲間たち。違う時を過ごす中で不安やすれ違いもあって、それでも二人で育んできた確かな絆があって。そんな二人のかけがえのない日々を必ず読み返したくなる、とても鮮烈で印象に残る物語でした。

 

2.夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

 

片田舎の劣悪な家庭環境に育ち将来に希望を抱けずにいた少年・日向が、身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子と運命の出会いを果たす壮絶で切ない最後の夏の物語。死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛けた弥子と、相続の条件として提示された古い盤上ゲーム・チェッカーを通じて心を通わせてゆく日向。絶望を抱えた二人が惹かれていけばいくほど、彼女の死に三億円の価値があることの意味が重くのしかかってきて、明かされてゆくそれぞれの秘密と葛藤の末に二人が選択した「正解」がとても印象的な物語でした。

 

3.僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)

僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)

僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)

 

困窮し生きることに絶望した立井潤貴。そんな彼を救った高木健介の代わりに大学に通うようになった二年後、高木が突如失踪するミステリ。作家でもある高木との充実した共同生活、そして失踪から始まる突然の暗転。残された数少ない手掛かりと作品をもとに高木の過去を知る人に会い、その行方を追う立井が知ってゆく意外な繋がりと高木の壮絶な過去。彼らが置かれた環境の過酷さと、何度も絶望感を突き付けられる彼らの生々しい感情描写はインパクトがあって、繋がってゆく複雑な因縁とその結末に至るまでを描く著者の熱い想いで読ませる物語でした。

 

4.メイデーア転生物語 (富士見L文庫)

メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女 (富士見L文庫)

メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女 (富士見L文庫)

  • 作者:友麻碧
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/10/15
  • メディア: 文庫
 

幼馴染に片想いしていた前世を時々夢に見る辺境貴族の令嬢マキア。運命的な出会いを果たした少年トールと魔法を学ぶ楽しい日々を過ごしていた彼女が、引き離されたトールと再会するために奮闘する転生ファンタジー。トールが救世主の守護者に選ばれ引き離されてしまう二人。トールと再会するため王都で最高峰の魔法学校を目指すマキア。学校では個性的な仲間もできて、選ばれていた救世主がまた前世でいろいろと因縁のあった存在で、抗いがたい運命に翻弄されるマキアとトールが大切な絆を守っていけるのか、続巻がとても楽しみな新シリーズですね。

 

5.初恋ロスタイム -Advanced Time- (メディアワークス文庫)

初恋ロスタイム -First Time- (メディアワークス文庫)

初恋ロスタイム -First Time- (メディアワークス文庫)

 

高校入学と共に幼馴染・比良坂未緒に告白をし、見事玉砕した桐原綾人。気まずさで互いに言葉を交わす事もなくなったある日、突然「自分以外の時が止まる」という不思議な現象を彼女と共有するもうひとつの物語。日常では相変わらずな二人の関係と、昔のように接することが出来る時が止まった世界。「ロスタイム」で未緒と綾人が時間を共有することになった理由。思ってもみなかった急展開を打破してみせたのは二人がこれまで地道に積み重ねてきた成果で、最後の最後で明かされる破壊力抜群な結末には自分もものの見事にやられたと思いました(苦笑)
関連作品:「初恋ロスタイム -First Time-」 (メディアワークス文庫)

 

6.終わった恋、はじめました (講談社タイガ)

終わった恋、はじめました (講談社タイガ)

終わった恋、はじめました (講談社タイガ)

 

意地を通して退職した拓斗にかかってきた妹・莉音からの一年ぶりの電話。妹と一緒に心残りだった高校時代の恋人・小夜の足跡を辿る旅に出る物語。妹に指摘されて未練が残る過去の恋に決着をつけることを決意した拓斗。遭遇する謎を気が利く賢い妹にフォローされつつ解きながら、小夜に繋がる手がかりを追ってゆく展開でしたけど、それは一方で妹もまた思い悩む自身の過去に向き合う過程に繋がっていて、これまで積み重ねてきた状況からつい小夜のその後を想像してしまいましたが、そんな結末をいい意味で見事裏切ってくれたとても素敵な物語でした。

 

6.本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)

本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)

本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)

  • 作者:上野 遊
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 文庫
 

生まれた時から意識があった文庫本『ホテル・カロン』。なかなか売れなかった文庫本と、ある一人の少女が出会い、ともに過ごしたかけがえのない日々の物語。病弱な女の子・銀河に勇気をもたらした『ホテル・カロン』との出会い。そんな密かに彼が見守る銀河の成長と、親友・睦月との邂逅、運命の相手・輝星とのと出会い。見守ることしかできない本の視点というのがもどかしくて、けれどそんな想いはかけがえのない彼女にもしっかり伝わってたんでしょうね...最後まで寄り添い続けた姿がとても印象的で、受け継がれてゆく想いを感じた物語でした。

 

8.昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)

昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)

昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)

 

平凡なサラリーマン・藤堂光弘。夫を愛する専業主婦・藤堂咲奈。誰もが羨む幸せな夫婦の二人が、妻の不貞と夫の裏の顔にそれぞれ気づき、互いの殺害計画を練りはじめる物語。夫パートを藤石波矢さんが、妻パートを辻堂ゆめさんが担当し競作する愛と笑いとトリックに満ちた「殺し愛」のストーリーで、勘違いがものの見事にハマってお互い疑心暗鬼になってゆく中、仲良かった相手を殺そうと巧妙な殺人計画を練るようになってゆく二人。そこに至る前に前に気づけなかったのか…とも思いましたけど、そのコメディめいた展開はなかなか楽しかったですね。

 

9.三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)

三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)

三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)

 

父が亡くなったことで、大名庭園を敷地内に持つ三日月邸を相続し、探偵事務所を開業した八重樫光一。そんな事務所を訪れた不思議な少女・咲に出会い三日月邸を巡る謎に迫る和風ファンタジー。「庭には誰にも立ち入らないこと」という亡父の謎の遺言。咲と踏み入った庭で出会った人々の悔恨と、彼らのためにそれを解消してゆくお人好し探偵・光一。八重樫家とは険悪の仲と聞いていた牧家の兄妹たちとの出会いがあって、明かされる過去や庭園の真相には切ない気持ちになりましたが、光一と不器用な牧兄妹たちのやりとりが妙にツボにハマる物語でした。

 

10.透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)

透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)

透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)

 

子供の頃から人助けが趣味だという柔らかな雰囲気の大学生・開登。そんな彼が出会った人々の手助けをして後悔を解消してゆく恋愛ミステリ。不登校の生徒を気にかける教師、ダンス仲間と仲違いしてしまった女の子、自らの後悔がわからない女子大生と、仕事に明け暮れるうちに大切なものを見失ってしまったネイリスト。出会った人々に寄り添いその後悔に一緒に向き合ってゆく開登という構図から、これまでのエピソードが次々と繋がってゆく中で見えてくるもう一つの真実があって、人のために奔走する優しい開登にもたらされた結末が素敵な物語でした。

 

11.蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)

蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)

蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)

 

蠱毒をこよなく愛し周囲から「毒の姫」とあだ名される斎帝国の第十七皇女・李玲琳。そんな彼女が最愛の姉である斎国の女帝・彩蘭の指示で魁国の王・楊鍠牙のもとへ嫁ぐ物語。華やかな衣裳や宝石より蟲が大好きな著者さんらしい強烈なキャラクターですけど、嫁ぎ先もまた鍠牙が命を狙われたりいろいろ物騒なところで、彼女の特技を活かしてその存在を認められてゆく展開はいいですね。姉に劣らず鍠牙も少しばかり執着気味なのはアレですが、結果から見れば水が合ったと言うかいい居場所を見つけられたのかな。そんな二人の今後が気になるシリーズです。現在2巻まで刊行。

 

12.執筆中につき後宮ではお静かに (ポプラ文庫ピュアフル)

自室に引きこもれるという理由で後宮入りし、日々執筆にいそしむ娘・青楓。謎の襲撃者たちに襲われたところを皇帝に救われ、愛憎渦巻く後宮の陰謀に巻き込まれてゆく中華風ファンタジー。皇帝から後宮の不審死事件の真相を掴むべく協力を命じられた青楓は意外と才色兼備なのに価値観がズレていて、自分を雑に扱う彼女を新鮮に感じる皇帝との距離感はこれからな感じでしたけど、個性的な上級妃嬪たちにも振り回され、複雑な想いを抱えながら事件を解決に導く青楓のありようがなかなか印象的で面白かったです。これは続巻を読んでみたいと思いました。

 

13.かくしごと承ります。  (メディアワークス文庫)

卒業証書や招待状の宛名などを毛筆で書く筆耕士・相原文緒。憧れの都築先生から請け負った数々の仕事を丁寧にこなしていく中で、文字にまつわる不思議な謎にしばしば遭遇する物語。お品書きに込められた故人の思い、命名書を依頼された家にあったノートに書かれた名前、秘密の暗号に込められた意味、五度目の招待状の理由、誰かのための嘆願書、そしてラブレター。文字に込められた思いを読み解いていく展開も良かったですけど、慎重でなかなか関係が変わらないけれど意識しているのは感じられる、もどかしい二人のその後をまた読んでみたいですね。

 

14.それってパクリじゃないですか? (集英社オレンジ文庫)

群馬の中堅飲料メーカー「月夜野ドリンク」の知的財産部に異動になった亜季が、親会社から出向してきた弁理士資格持ちの上司の北脇とともに、商標乗っ取り、パロディ商品、特許侵害といった知的財産のトラブルを解決するお仕事小説。悪徳企業に訴訟を起こされそうになった服飾ブランドを営む親友、自社製品のロゴを改変したパロディ商品の発覚、イラストレーターとのトラブルや、社運をかけて開発してきたお茶の発売中止の危機と、みんなが努力して開発した汗と涙の結晶の技術を守るために奔走する知的財産の様々な仕事をとても興味深く読めました。

関連作品:「上毛化学工業メロン課」 (集英社オレンジ文庫)

 

15.派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫キャラブン!)

派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫)

派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫)

 

自称飲食店社長の恋人に騙され、正社員として勤めていた会社を寿退社してしまった藤本あすみ、28歳。彼が姿を消し高額なカードの支払いだけが残ったあすみが、親友に説教され、ルーズな生活を立て直すべく奮闘する物語。正社員の当たり前はかけがえのないものだった…買いたいものも買えず、派遣社員としてすらなかなか次が決まらず、日雇いで稼ぐ日々はしんどいものがありますよね。すっかり生き方が変わったように見えた彼女の相変わらずな一面も垣間見えましたけど、そんな憎めないあすみがいつか幸せになれればいいなと応援したくなりました。

 

16.陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)

陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)

陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)

 

いつか一人前の陰陽師になることが夢の陰陽寮の童顔な新米役人・大江春実。うっかり召喚した美形のあやかし・雪羽に取り憑かれながら左大臣家で起きた怪事件に挑む物語。先輩の頼尚ととともに左大臣の邸・万華院へと向かい、雪羽に振り回されながらも幼い七姫に出会った春実が、頓死した使用人の男の事件の謎を追う展開で、万華院に住む人々が抱える複雑な想いが垣間見えましたけど、事件の真相はちょっと意外な結末でした。今回親交を深めた七姫との今後や謎も多い雪羽との関係が気になるところですけど…もし続巻あるならまた読んでみたいですね。

 

17.雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

 

花の郷の王・異花王の妹の身代わりとして黒金の大王のもとへ輿入れ命じられた少女・日奈。輿入れのため身を清めていた川で川彦と名乗る男と運命的な出会いを果たす和風ファンタジー。異花王のために生きてきた日奈と、自分の意思のない結婚に納得いかない川彦が彼女を攫って始めた彼女の見聞を広めるための旅。多くのものを見聞きした日奈は何が正しいのか分からなくなって、川彦にも向き合うべき役割があって、異花王にも彼なりの正義があって。運命に翻弄されつつもそれに向き合う彼女が今後どのように成長してゆくのか期待の新シリーズですね。

 

18.もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[あ]8-6)もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[あ]8-6)もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)

 

高校最後の夏休み。元競泳部で市民プールで監視員のバイトをすることになった島津満。そんなある日競泳選手用の水着を付けながら無表情で淡々と水中でもがく少女「ひぐらし」と出会う青春小説。「ひぐらし」と名乗る彼女につい声を掛けてしまい泳ぎや自転車、逆上がりを教える日々と、なかなか打ち解けない彼女が抱えていた秘密。もしそうなったらどうするのか、「ひぐらし」の絶望も浅野の決意も、諦めたくない満の想いも理解できるから複雑な気持ちになりましたけど、それでもかすかに残った淡い繋がりとこれからの未来を信じてみたくなりました。

 

19.藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

  • 作者:村田天
  • 出版社/メーカー: 一二三書房
  • 発売日: 2019/10/05
  • メディア: 文庫
 

学校一モテる藤倉君に自称・六八番目に恋をした尚。遠くから眺めるだけだった彼女が、ふとしたきっかけからモテすぎて女嫌いを発症した藤倉君の女除け役として「ニセ彼女」に立候補する青春小説。少女マンガのようにモテまくる藤倉を好きにならないという宣言から始まったニセ彼女生活。普通の男子生徒として扱ってくれる尚への安心感があって、一緒にいても苦にならない関係だからこそ少しずつ確実に変化してゆく二人の心境があって、ここまで拗らせるとどうなることか心配でしたけど、いつの間にか育まれていた大切なものに気づけて良かったです。

 

20.すべては装丁内 (LINE文庫)

すべては装丁内 (LINE文庫)

すべては装丁内 (LINE文庫)

  • 作者:木緒なち
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 文庫
 

著者から念願の詩集刊行ゴーサインをもらった新人編集者・甲府可能子。刊行条件でイラストの制約を受け、装丁デザイナー選びに苦戦する可能子が、編集長の紹介で腕利きだけれど偏屈な烏口曲に仕事を依頼するお仕事小説。情熱が空回りしがちな可能子と、理路整然と上から目線で仕事を選ぶ曲。一見、掴みどころのない曲にも、妥協をせずに最高のものを作り上げようとする熱い想いやこだわりがあって、彼に感化され多くの人に支えられながら、最高の一冊を作るために邁進する姿にはぐっと来るものがありました。続きが出るならまた読んでみたいですね。

 

以上です。下半期企画としてはあと「単行本」編が残っていますが、こちらもまだ読んでいない本が数冊あるので終わるかどうか若干不安もありますが、それを読んだら更新の予定です。よろしくお願いします。

2019年下半期注目のオススメ新作一般文庫20選

 2019年下半期注目のオススメ新作企画、「ラノベファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」に続く第三弾ということで「一般文庫」レーベル編です。ラノベの新刊以外は後追いがもはや常態化していて、ライト文芸レーベルや単行本もどこまで入れるのかという状況になりつつありますが、現在の積読の状況を鑑みてとりあえず一般文庫レーベルのおすすめ作品を先にリリースします。

 

一般文庫レーベルもライト文芸レーベルとの境界線が曖昧になってきていて久しいですが、刊行点数に比例して読みたい本も増えていく中、気になる本はできるだけカバーしたいと思っていますが、なかなかそれを全ては難しいですね(苦笑)取捨選択やりくりしながら読んだ本の中から今回20作品をセレクトしています。

上半期分と合わせて2019年一般文庫レーベルのおススメということでお願いします。 

 

1.どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

 

地下アイドル時代に心身に深い傷を負い、鎌倉の祖母のもとでひっそりと生活を送っていた小松奈々子20歳。そこに突然現れたラジオ局ディレクター黒木から番組アシスタントにスカウトされる物語。母親に認められるために頑張っていたアイドル活動に挫折して、希望を失いかけていた奈々子が挑戦するラジオの世界。戸惑いながら始めた彼女が多くの人に支えられて成長し、切実な日々を生きるリスナーたちと交流を深めていって、何度か危機に直面しながらも、これまでの放送で積み重ねてきたみんなの力を合わせて乗り越えていくとても素敵な物語でした。

 

2.屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

 

神紅大学ミステリ愛好会会長の探偵・明智恭介と助手・葉村譲が、もう一人の探偵・剣崎比留子と共に紫湛荘を訪れ、予想もしなかった事態で荘内に籠城を余儀される中、次々と連続殺人事件が起きるミステリ。過去に因縁あるペンションでの夏合宿で、思わぬ形で閉じ込められた参加者たち。外部からの脅威による惨劇と、次々と起きる因縁じみた殺人事件の組み合わせが奇抜で事態をより難しいものにしていましたけど、その特殊な状況下で起きた事件の真相は切なくて、そんな事件を見事解決に導いてみせた探偵たちのその後をまた読んでみたいと思いました。

関連作品:「魔眼の匣の殺人

 

3.彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

  • 作者:大澤 めぐみ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: 文庫
 

いつも殺されがちな最高に可愛い幼馴染の沙紀。普通じゃないレベルで彼女のことが好きな女子高生・神野羊子が得意の推理を巡らせるハイテンションコージーミステリ。沙紀を殺した犯人を羊子が見つけ出すと、犯人を身代わりになぜか彼女が生き返る歪な関係、そんな羊子と一緒にいてサポートする昇の存在。のんびり屋なのに核心を突く乃亜や、正義感あふれる拝み屋女子高生・楓との出会いは羊子たちの関係に変化をもたらして、あの斜め上のカオスな展開から始まったこの物語を、伏線や真相を絡めつつすっきりとまとめ上げてみせた結末はお見事でした。

 

4.君の想い出をください、と天使は言った (角川文庫)

君の想い出をください、と天使は言った (角川文庫)

君の想い出をください、と天使は言った (角川文庫)

 

急性脳腫瘍で入院し、医師の態度から最悪の結果を察してしまい絶望する河野夕夏。その夜悪魔を名乗る不思議な青年と出会い、大切なものと引き換えに命を助ける取引を交わす恋愛ミステリ。二年間の記憶を失って様々な違いに戸惑いながらも再び職場の銀行で働き始める夕夏と、そんな彼女の前にアフターフォローとして再び現れた青年・水上。記憶が戻らなくても確実に前に進めている実感があって、そんな彼女を気にかけてくれる人たちがいて、そんな中で本当に大切なものを再び見出して、これまでの全てが繋がってゆく結末がとても素敵な物語でした。

 

5.不純文学 (宝島社文庫)

不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語 (宝島社文庫)

不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語 (宝島社文庫)

  • 作者:斜線堂 有紀
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 文庫
 

本を読むのが好きな「先輩」と一緒にいる「私」。私と先輩の二人が織り成す奇妙で不思議で切ない掌編集。本作は右ページに章題、左ページに1ページ完結の私と先輩の話が全120話ひたすら続くシンプルな構成。様々なシチェーションで私と先輩の関係が綴られて、時には不純に、時には愛しく、時には複雑な気持ちで先輩を想う私がいて、一見淡々としているように見える不器用な先輩の私への優しさがあって、そんな二人のエピソードの積み重ねがクセになってゆく、どんな状況でもお互いを大切に思う気持ちは変わらない姿がとても印象的な物語でした。

 

6.自殺予定日 (創元推理文庫)

自殺予定日 (創元推理文庫)

自殺予定日 (創元推理文庫)

 

再婚してわずか二年。父の死後、遺産とビジネスを継ぎ様々なものを変えてゆく継母の姿に父を殺したと確信する女子高生瑠璃は、自らの死で罪を告発するため山奥で首を吊ろうと決意するミステリ。自殺の名所で出会った幽霊の裕章と交わした、一週間以内に証拠が見つからなければ自殺するという約束。探っていくうちに継母への疑惑が膨らんでいく瑠璃。そこからの急展開と明らかになってゆく真相は、見えていたものの印象をガラリと変えていって、瑠璃が改めて実感した大切なものへと思いと、新たな人生を予感させる結末はぐっと来るものがありました。

 

7.偽りの私達 (宝島社文庫)

偽りの私達 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

偽りの私達 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者:日部 星花
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: 文庫
 

都市伝説として囁かれる【まほうつかい】。七月十七日から八日に時間が巻き戻った高校生・土井修治が、十七日に階段から落ちて死ぬ美少女・渡辺百香を救うため、彼女の死の原因を探り始めるミステリ。修治の大切な幼馴染・七瀬の彼氏と浮気したのが渡辺百香?そんな噂を聞いて調べ始めた修治が気づくスクールカーストを巡る不穏で狡猾な罠。読んでいくうちに浮かぶ先入観がたびたび裏切られ、新たな事実が明らかになるたびにガラリと構図を変えていって、荒削りではあるものの伏線を巧みに使いつつ、思わぬところに着地してみせた結末は見事でした。

 

8.薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫)

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
 

医者から処方された薬で足の痒みが治まらず悩んでいたホテルマン水尾爽太。再診後の薬局で薬オタクの女性薬剤師・毒島と出会う薬剤ミステリ。ホテル客室の塗り薬紛失事件に、薬の数が足りないと訴える老人、痩身剤を安く売る病院など、他のことには興味が薄いのに薬が関わると俄然行動力を発揮する毒島の存在感と、そんな彼女が気になる爽太が事件を解決していく展開はなかなか面白かったです。病院や薬剤師、薬の豆知識もあったりで、わりと踏み込んだのに進展しない二人の関係はなかなか遠い道のりですけど、続巻あるならまた読んでみたいですね。

 

9.トラットリア代官山 (ハルキ文庫)

トラットリア代官山 (ハルキ文庫)

トラットリア代官山 (ハルキ文庫)

 

亡き父から受け継いだ店を気丈に守り続ける男装の女支配人・大須薫と天涯孤独の年下敏腕シェフ・安東怜が、訪れたお客の問題を解決に導くグルメ小説。結婚して代官山で暮らす友人に抱く独身アラサー女子の複雑な思い、転落事故で記憶を失った父親と愛犬の失踪の真相、若きネイリストが抱いた彼への疑念の顛末といった事件をお客様と一緒に解決する展開で、そんな積み重ねが最後に繋がりましたね。美味しそうな料理との描写も合わせて著者さんらしい物語でした。薫と怜の関係も気になるところですけど、そのあたりも続刊で読めることを期待してます。

 

10.後宮の花は偽りをまとう (双葉文庫)

後宮の花は偽りをまとう (双葉文庫)

後宮の花は偽りをまとう (双葉文庫)

 

大陸西方の相国で部署を渡り歩いて勤続十年の三十路手前の女官吏・陶蓮珠。新皇帝の双子の弟・郭翔央から声を掛けられて、新皇帝が娶る予定だった威国の妃の身代わりとなる中華後宮ファンタジー。威妃を迎えに行くと新皇帝が姿をくらませ、双子の弟・翔央と共に威国語を話せる蓮珠がその身代わりを務める展開。官吏としては有能で、自ら抱えてきた想いや翔央から聞いた志から、新皇帝即位を巡る陰謀を何とかしようとして空回りする蓮珠がやや危なっかしかったですが、そんな中でお互い惹かれつつある翔央との今後がなかなか楽しみなシリーズですね。20年1月に3巻目刊行予定。

 

11.木曜日にはココアを (宝島社文庫)

木曜日にはココアを (宝島社文庫)

木曜日にはココアを (宝島社文庫)

  • 作者:青山 美智子
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/08/06
  • メディア: 文庫
 

川沿いを散歩する、卵焼きを作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる...小さな喫茶店「マーブル・カフェ」の一杯のココアから始まる些細な出来事の積み重ねが、最後に繋がってゆく連作短編集。登場人物たちがどこかでさり気なく繋がっている連作短編集で、行き詰まっていた登場人物たちが新たな出会いや今まで気づかなかった優しさに触れて、見える世界を少しだけ変えていって、連鎖反応的に繋がってゆく物語がもたらした勇気と、それがもたらした結末がとても素敵な物語でした。最初のエピソードが最後にこういう形で結実するのもいいですね。

 

12.タスキメシ (小学館文庫)

タスキメシ (小学館文庫)

タスキメシ (小学館文庫)

  • 作者:額賀 澪
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/11/06
  • メディア: 文庫
 

長距離選手として将来を期待されながら大怪我を負った高校三年生の眞家早馬。そんな彼が料理研究部に入り浸るようになる中、それぞれの熱い思いが交錯する駅伝大会が始まる青春小説。料理研究部の井坂都との出会いと、複雑な想いを抱える早馬が新たに見出した夢。そんな彼を諦められない同級生の助川や弟・春馬。都への想いも絡めた早馬の真意はどこにあるのか、彼に抱く周囲の複雑な想いが何とももどかしかったですが、仲間たちが突きつける熱い想いが早馬の心を強く揺さぶる結末はなかなか良かったですね。都との関係はどうなったのか気になる…。

続巻:「タスキメシ 箱根

 

13.君はレフティ (小学館文庫)

君はレフティ (小学館文庫)

君はレフティ (小学館文庫)

  • 作者:額賀 澪
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/08/06
  • メディア: 文庫
 

夏休み中、交通事故に遭った高校生・古谷野真樹。後遺症で過去の記憶を失いつつも夏休み明けの日常を取り戻しつつあった古谷野が謎の落書き「7.6」にあちこちで遭遇する青春ミステリ。自分へのメッセージと直感で感じて、同じクラスで写真部の生駒桂佑や春日まどかと一緒にその謎に挑む古谷野。謎を追ううちに明らかになってゆく親友の秘密と事件の真相。事実を知るたびに過去にあった情景が変化して、正直な心境は時に残酷で、失われたものの大きさを痛感しましたが、それでもまっすぐに向き合った彼らの真摯な想いがとても印象的な物語でした。

 

14.少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫)

少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫)

少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫)

 

法律事務所に務める新米弁護士木村と有能な先輩・高塚のコンビが挑む連作リーガル・ミステリ。15歳の少女に手を出したとして逮捕された元家庭教師、中退した元同期の覚悟、浮気され離婚を望む男が親権を望んだ理由、そして高名な芸術家と娘の関係の4話からなる構成で、最初は一見よくあるありふれた事件に思えますが、それが性格の違う弁護士コンビによる別視点からのアプローチによって、もうひとつの構図を浮かび上がらせてゆく構成となっていて、事件決着後に木村が垣間見るほろ苦くもなかなか味わいのある結末がとても印象的な物語でした。 

 

15.真壁家の相続 (双葉文庫)

真壁家の相続 (双葉文庫)

真壁家の相続 (双葉文庫)

 

大学生の真壁りんに届いた祖父の死の知らせ。急いで葬儀会場へ向かうと一人の青年が現れ、彼が祖父の「隠し子」と名乗ったことを皮切りに、相続の話し合いは揉めに揉めてゆく物語。祖父が遺した小さな家と預金のみの相続を巡る、寄り付かなった長男夫婦、独り身でデザイナーの長女、事実婚の次女たちの醜い争い。こういう時末っ子だった夫が失踪した後も同居して介護していた妻とか立場弱いんですね…話としては妥当なところに落ち着いた感もありましたけど、終わってみれば弱い立場だったりんの母が一番したたかだった…とても勉強になりました。

 

16.金継ぎの家 あたたかなしずくたち (幻冬舎文庫)

金継ぎの家 あたたかなしずくたち (幻冬舎文庫)

金継ぎの家 あたたかなしずくたち (幻冬舎文庫)

 

割れた器を修復する「金継ぎ」を仕事とする千絵。進路に悩みながらその手伝いを始めた孫の真緒が漆のかんざしを見つけ、それをきっかけに二人で千絵の故郷・飛驒高山へと千絵の記憶をたどる旅に出る物語。二人が思い切って出かけた旅の中で千絵が思い出してゆく、複雑な想いも絡む過去の記憶。真緒に助けられながら向かった過去の気がかりに向き合う旅では、様々な出会いがあったり漆に関わる現状もあって、それに単身赴任中だった真緒の母・結子との関係も絡めながら、母から娘そして孫へと確かに受け継がれてゆく温かな想いが印象的な物語でした。

 

17.科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました (文春文庫)

科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました (文春文庫)

科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました (文春文庫)

 

自社の非科学的な商品にダメ出しをしたばかりに、最も行きたくなかった商品企画部に島流しになった大手電器メーカーに勤める科学マニア羽嶋賢児。その真っすぐすぎる科学愛が騒動を巻き起こすお仕事小説。苦い経験をさせられたり振り回された過去から、似非科学を否定し空気を読まずに正論を言って衝突する賢児。正しければいいというものでもないという現実と、科学好きを拗らせてしまう要因となった複雑な事情…こんな人が周囲にいたら疲れそうですが、科学研究を巡る厳しい事情も語られていたりで、理想と現実のバランスを取るのは難しいですね。

 

18.オタクと家電はつかいよう ミヤタ電器店の事件簿 (宝島社文庫)

オタクと家電はつかいよう ミヤタ電器店の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
 

前職を辞めて求職中の美優が、「なんでも対応」ありのミヤタ電器店の求人を知って、変わり者の宮田社長と一緒に家電を巡る謎を解き明かすミステリ。新品のルータを欲しがる理由、空気清浄機についたカビの謎、同じような使い方なのにスマホの充電の減りが早い理由、異音を発する食器洗い機、そして美優をストーカーする人物の正体。無表情な宮田の過去に、美優のトラウマやストーカー騒ぎもあって若干詰め込みすぎだった感もありますが、家電知識の宮田と推理力の美優のコンビで家電と人間関係を絡めた謎を解き明かしてゆく展開は興味深かったです。

 

19.絵に隠された記憶 熊沢アート心療所の謎解きカルテ (宝島社文庫)

絵画療法の第一人者・熊沢が営む心療所にインターンとしてやってきたスクールカウンセラーを目指す大学院生・日向聡子。様々な悩みを持つ人々の本心や過去を、絵を通して解決していく物語。飛行機に強い恐怖心があるサラリーマンや、スマホ依存に悩む学生、ユニコーンの絵ばかり描く少女、認知症で自宅に帰れなくなった老女、そして幼少期の記憶がない聡子自身の過去。描かれた絵をヒントに症状を解決してゆくミステリーで、繊細な心理を抱える人に寄り添う優しさから導かれ、明らかになってゆく謎とそれぞれの結末はなかなか良かったと思いました。

 

20.ウタカイ 異能短歌遊戯 (ハヤカワ文庫JA)

ウタカイ  異能短歌遊戯 (ハヤカワ文庫JA)

ウタカイ 異能短歌遊戯 (ハヤカワ文庫JA)

 

短歌を歌い異能「歌垣」を互いにぶつけあう「歌会」。歌聖高校に通う一年生の登尾伊勢が、最大のライバルであり先輩の朝良木鏡霞への燃える恋心をウタに乗せて、歌会の全国高校選抜トーナメントに挑む物語。先輩に対する想いに葛藤しながら、個性派揃いの他校の少女たちとの試合を勝ち抜いていくひたむきな伊勢の想いが熱くて、つまるところ先輩への愛なんだよなあというか、先輩も何だかんだいいながら真摯に向き合っていて、対戦相手の名前やエピソードはややアバウトな印象もありましたけど、そのシンプルで真っ直ぐな展開が心地よかったです。 

 

 以上です。

ライト文芸編」と「単行本編」もまだ読み終わってない本がありますが、何とか年内更新目指して頑張りたいと思います。

2019年下半期注目のオススメ新作ライトノベル恋愛・青春小説20選

 というわけで19年下半期注目のオススメ新作企画第二弾「ライトノベル恋愛・青春小説」編です。12月刊行分ギリギリの新作までカバーした上でのセレクトで、19年下半期読んだ新作から選出した20作品です。今年はWEB発の青春小説がわりと出てきて今後が楽しみな作品も多いです。今後に期待の作品、印象的な作品が多いので気になる本があったら是非読んでみて下さい。なおジャンルのくくりは5つに分けた中で便宜上ざっくりと分けているものですので、そういうものだということで読んでいただければ幸いです。

  

1.探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

  • 作者:二語十
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/25
  • メディア: 文庫
 

完全無欠に巻き込まれ体質で天使のように美しい探偵・シエスタの助手だった君塚君彦。その探偵と死に別れ高校生になり、日常というぬるま湯に浸っていた彼が一人の少女と出会う物語。ひとを探してほしいという依頼を持ってきた同級生・夏川渚、三十億のサファイアが盗まれるのを防いで欲しいというアイドル・斎川唯、そして探偵のかつての弟子・シャーロット。彼女たちと出会いが探偵の死によって止まっていた君彦の時間を動かし始めて、この一冊自体がまるごとプロローグという豪快な構成でしたけど、彼らがこれからどんな活躍を見せてくれるのか今後に期待したい作品ですね。20年1月に2巻目刊行予定。

 

2.天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

 

大好きなフリーゲーム制作者Aに会うため、桜山学園ゲーム制作部に入った水谷湊。しかしAと思しき部長の菖蒲は不登校で、彼女が学校に来るよう部員たちから託される青春小説。仲が良さげなゲーム部員が抱える苦い過去、そして湊のもとに送られてきたひとつのノベルゲームが示唆する過去。部員それぞれの事情が明らかになってゆくたびに彼らの印象も変化して、構図が二転三転した末の決着は新たな違和感に繋がって、確執が残る母とも向き合いつつバットエンドに隠されていた真相を見出して、大切な笑顔を取り戻してみせた結末がとても印象的でした。


3.塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

 

高嶺の花で誰に対しても塩対応な佐藤こはると、誰に対しても優しい押尾颯太。初々しくてもどかしい高校生二人の初恋物語。告白されても話しかけられても実はコミュ障で塩対応のこはる。そんな不器用な彼女が想い人に近づきたい一心で頑張って颯太だけに見せる様々な可愛い表情があって、彼女をフォローしようと頑張る颯太もいちいちカッコ良くて、そんなじれじれ初恋両片想いな二人の破壊力がスゴイですね。勘違いからすれ違いかけたり大きな壁が立ちはだかったりしても、勇気を出して前に一歩踏み出した二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

4.夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

  • 作者:八目 迷
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア: 文庫
 

海に面する田舎町・香崎。家族崩壊させた過去を悔やむ高校生・塔野カオルが、クラスで浮いた存在になっていた転校生・花城あんずと互いの欲しいものを手に入れるため協力関係を結ぶ青春小説。夏の日のある朝、塔野カオルが偶然耳にした、中に入れば年を取る代わりに欲しいものが何でも手に入る『ウラシマトンネル』の都市伝説。周囲との関係を拒絶していたあんずの言動はなかなかぶっ飛んでいましたが、彼女との協力関係から始まった二人の不器用なやりとりはとても甘酸っぱくて、大切なものに向き合った二人の結末にはぐっと来るものがありました。

 

5.友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:世界一
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: 文庫
 

目つきの悪さから不良のレッテルを貼られた友木優児。『主人公キャラ』池春馬以外に誰も近寄らない彼が、春馬の妹で美少女の池冬華に突然告白されるラブコメディ。腑に落ちない告白の真意を問いただす優児と、思うところあって彼とニセの恋人関係を結んだ新入生の冬華。外見がアレで不器用だから誤解されがちだけれど、困った人を助けることを厭わず、相手にきちんと真摯に向き合える優児の良さを知ってゆく人が増えていって、そんなエピソードを積み重ねて冬華の想いも変化してゆく展開がとても良かったです。これは続巻に期待の新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

 

6.わたしの知らない、先輩の100コのこと (MF文庫J)

わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)

わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)

 

最寄り駅が同じ以外接点がなく、毎朝顔を合わせるだけだった先輩と後輩。そんな二人がある日『1日1問だけ、どんな質問にも絶対正直に答える』という約束を交わす青春ラブコメディ。大部分の生徒と違う二人だけが通う通学電車で、話すことはなくても存在を意識していた二人。ふとしたきっかけから一つずつ質問を積み重ねていって、話すことや会うことが増えいくことで少しずつ二人の距離感も変わっていって、ミステリアスな小悪魔・後輩ちゃんの言動に先輩が振り回される二人の関係がこれからどうなってゆくのか続巻に期待したいシリーズですね。 

 

7.お隣さんと始める節約生活。 (ファンタジア文庫)

一人暮らしの高校生の間宮哲郎が、高校の先輩でもある同じ境遇の隣人山野さんが似たような境遇であることを知り、一緒に節約生活を始めてみる青春ラブコメディ。高校がバイト禁止という状況で、もう少し遊ぶお金を確保するには節約しか選択肢がない似たような境遇にいる二人。最初は自作の弁当を比べたり巨大なパンをシェアしたり、電気代を減らすために夏休みを一緒に過ごすようになったり、ベタながらも日常にあるドキドキの積み重ねから、お互いのことを少しずつ意識してゆく展開がいいですね。そんな二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

8.カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています (角川スニーカー文庫)

クリスマス直前に彼女に浮気されて別れた大学二年生の羽瀬川悠太。そんな傷心の彼がサンタのバイトをしていた後輩・志乃原真由と出会う青春小説。いつの間にか懐いて勝手に家にまで上がり込んでくるようになった後輩・志乃原と、付き合いが長い友人ヒロイン・彩華、そして悠太を気にかける元カノの存在。三者三様のヒロインたちはそれぞれに事情があるようで、その妙に狭い人間関係の繋がりも地味に効いていますが、単純な恋愛模様にはならなさそうな彼女たちとの繊細な距離感や関係がこれからどう変わってゆくのか、続巻に期待の新シリーズですね。

 

9.娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)

娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)

娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)

  • 作者:望 公太
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/12/10
  • メディア: 文庫
 

就職したばかりなのに両親を亡くした幼馴染を引き取って育ててくれた綾子さん。そこから十年...幼馴染同士の恋を応援していた彼女が、大学生になった男の子・左沢巧にまさかの告白をされる恋愛ラブコメ。思ってもみなかった告白に動揺する綾子さんが可愛くて、障害だったはずの諸々もあっさりクリアされて外堀が埋まってゆく展開には苦笑いでしたが、何より十年間頑張ってきた一途な巧の想いが眩しかったですね。あとは自分次第という急展開についていけず、迷走したり暴走してしまう微笑ましい彼女と二人の恋を生温かく見守りたいと思いました。

 

10.朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

  • 作者:間 孝史
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 文庫
 

クラスメイトの悪ノリから罰ゲームとして、学校一の嫌われ者・入間晴斗へのウソの告白を強要された内気な女子高生・朝比奈若葉。最初は嫌々始まったはずの晴斗との交際が、彼女を少しずつ変えてゆく青春小説。最初はやらされている感が満載だった下校やデートで、自分を気遣ってくれる晴斗の優しさや人間性に触れ、少しずつ彼を見る目を改めてゆく若葉。二人を取り巻くキャラも立っていて、彼女自身も明るさを取り戻していって、無自覚のうちにかけがえのない存在になってゆくのが分かるからこそ、最後の展開から続巻がどうなるのか気になりますね。現在2巻まで刊行。

 

11.由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

 

リアルなヒューマノイド「TOWA」を助けたい想いが空回りして挫折した若宮氷雨。世間から逃げるように鎌倉に機械修理相談所を開いた彼の元に、TOWAの結を伴った戸川が訪れる物語。十五億で結を売ってほしいという戸川の依頼から買ってくれる人を探すことになった氷雨。束の間の彼女と共に過ごす日々で少しずつ変わってゆく心境。けれどそれに素直に向き合えない苦い過去があって、不器用過ぎる氷雨の葛藤もありましたけど、様々なことが繋がって明らかになってゆく過去や、今の大切な想いにきちんと向き合えた結末がとても素敵な物語でした。

 

12.俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

  • 作者:紫ユウ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: 文庫
 

ド底辺を自覚してバイト漬けの自堕落な一人暮らしを送る高校生・常盤木翔和。ある日同じ学年の癒し系美少女・若宮凛を空腹から救ったことがきっかけで懐かれてしまう青春ラブコメ。最初はポテトで?とも感じましたけど、ドーナツ好きもあったのかバイト先に通うようになった凛に懐かれながら、二人の距離感に配慮する翔和がいつもと違って珍しかったんですかね(苦笑)意外にぐいぐい来る凛に友人カップルの後押しもあって、頑張りつつも勘違いしないようにと必死な翔和と宣戦布告した凛の微笑ましい関係をこれからも見守っていきたいと思いました。

 

13.疎遠な幼馴染と異世界で結婚した夢を見たが、それから幼馴染の様子がおかしいんだが? (角川スニーカー文庫)

かつては仲良かった幼馴染・神崎天音とすっかり疎遠になってしまっていた天地夢次が、『夢を操る方法』という怪しげな本を拾い、異世界で幼馴染と結婚する夢を見る学園ラブコメ。今ではすっかり人気者の幼馴染と埋没している主人公が、夢の中で起きたことをきっかけにその大切な関係を取り戻してゆく展開で、そんな二人の不器用でも変わっていなかったそれぞれの思いも明らかになっていって、そして大切な彼女の危機的状況を打開すべく、リアルでも夢の中でも奮闘する展開は本当に良かったです。もし続巻があるようならまた是非読んでみたいですね。

 

14.1LDK、そして2JK。 (ファンタジア文庫)

父の頼みで疎遠だったギャルJKの従妹・奏音を預かることになった独身サラリーマン・駒村。そんな帰りに痴漢から助けた家出JK・ひまりも転がり込んでくる同居物語。母親が失踪して行き場をなくした奏音と、夢を諦めたくない一心で家出したひまり。タイプの違う二人にもそれぞれ抱く複雑な想いがあって、それを戸惑いながらも同居を始めた駒村が真摯に支えたいと思う姿がいいですよね。そんな状況で現れた駒村の幼馴染という強力な伏兵出現は物語の重要なポイントになりそうですけど、ここからどう展開していくのか今後が楽しみなシリーズです。

 

15.黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

 

奨励会三段リーグを全勝しながら突如理由も告げずに将棋界を去った天才棋士長門成海。そんな彼のもとに強くなりたい一心でゴスロリ猫耳姿で女流棋士三河美弦が弟子入りを志願する将棋小説。服装にインパクトはありますが、ストーリーとしては将棋から距離を置いていた成海が、将棋で強くなるために真っ直ぐにぶつかってくる美弦の熱い想いに心揺さぶられてゆく展開で、美弦の姉で女流棋士の美夏や初心者の大家の娘・茜も絡めつつ、真摯な想いを胸に秘めた美弦が因縁のプロ棋士加賀薫七段に挑む戦いとその結末には強く心に響くものがありました。

 

16.異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

 

2006年、春。トラックにはねられて死んだ息子・タカシの遺したプロットを元にファンタジー小説を書きだした母・フミエ。そんな状況にうんざりするタカシの妹・チカが、タカシをはねた運転手・片山に相談する物語。片山が提案し、タカシの死から止まったままの時間を少しずつ動かし始めたウェブ小説の連載。ウェブ小説の扱いや公開したことで直面した悪意の数々や当時の時代感を懐かしいなと感じましたけど、一方でそれをきっかけに様々な思惑を持った人たちとの関わりが生まれて、それが停滞していた状況を変えてゆく展開が印象的な物語でした。現在2巻まで刊行。

 

17.私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)

私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)

私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:有丈 ほえる
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

近隣高校の映画部から依頼を受け、映像に効果音をつける「音屋」を営んでいた高校1年の豊響。音響効果への情熱を失いくすぶった毎日を送っていた彼の元に宇津々きさらが現れ、自主映画制作にスカウトする青春小説。きさらとカンナが中心となって立ち上げた自主映画制作集団『余命三年』。魅力的な彼女たちが撮った映像に衝撃を受け、彼女たちと関わるうちに心揺さぶられ、熱い想いを取り戻してゆく彼の音響アイデアはなかなか興味深くて、困難を抱える仲間のために奔走する彼らの青春はとても良かったです。これは続巻も楽しみな新シリーズですね。

 

18.夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)

夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)

夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:園生 凪
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/30
  • メディア: 文庫
 

友人・カッツンの家に居候させてもらいだらけた日々を送る23歳、職歴半年のニートの天木颯。そんな彼が夢をコントロールする方法を記載したブログを見つける物語。颯が抱える10年前に交通事故で死んだ初恋の女の子・霧崎紗耶香に対する3つの後悔。リアルでは相変わらずな日々を送りながら、夢の世界で紗耶香と会うことにのめり込んでいく颯。著者さんらしどこか気怠そうな世界観で、夢の世界で背中を押してくれた紗耶香や、ダメンズな彼を見守るマキたちに出会い、積み重ねた思いを胸に新たな一歩を踏み出す展開はなかなか良かったですね。

 

19.世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)

世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)

世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)

 

幼馴染で文芸部に所属し、ささやかな特殊な力を持つ壇上貫地と石野美香、阿久津吾郎。その力を使って世界征服を目指す彼らが、目的を叶えるために求めていた能力を持つ後輩・開田環子と出会う青春小説。それぞれが抱える人に言えない密かな想いを叶えるため世界征服を目指していた三人と、その危うくも均衡していた彼らの関係に波紋を投げかけた環子の能力。世界征服のお題目はやや消化不良でしたけど、葛藤しながらも決着をつけてゆく三者三様の決断はどこまでも自らの想いに真摯で、彼らのその後が描かれたエピローグがとても印象的な物語でした。

 

20.あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:氷高 悠
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: 文庫
 

感情が昂ぶると最悪死に至る病『感情性自己免疫疾患』。そう診断されて以来、感情を無価値なものだと思い生きてきた四東愛都が、笑顔を絶やさない元気なクラスメイト奈々川恵実と出会う青春小説。事情を知らないまま一緒に過ごす時間を増やしていく積極的な恵実、愛都を見守ってきたいとこの春乃と主治医の橙香。命を落とすかもしれないと知りつつも育まれてゆく感情と、大切な存在だからこそ分からなくなってゆく複雑な想いがあって、手放したくない共にありたいと葛藤し続けた二人の選択がとても印象的な物語でした。

 

 以上です。残る下半期企画もキリのいいところで上げていきたいですが、ここまで年末も押し迫ると諦めも肝心かもしれないですね…(苦笑)

 

 

2019年下半期注目のオススメ新作ライトノベルファンタジ-15選

 今年も毎年恒例の上下半期まとめ企画の下半期版をここからまとめていきたいと思います。今年度下半期も上半期と同様に「ライトノベルファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」「一般文庫」「ライト文芸」「単行本」の5つを順次更新予定で、まずは第一弾として「ライトノベルファンタジー」です。

今回は19年下半期に刊行された新作で、自分が読んだものの中からライトノベルファンタジー(っぽい)15作品をセレクトしました。その辺のくくりは5つに分けた中で便宜上ざっくりと分けているものですので、そういうものだということで読んでいただければ幸いです。上半期と合わせて2019年のおすすめということでご参照ください。

 

1.プロペラオペラ (ガガガ文庫)

プロペラオペラ (ガガガ文庫)

プロペラオペラ (ガガガ文庫)

 

追い詰められた極東の島国・日之雄。悲壮な決意で駆逐艦「井吹」の艦長として戦いに挑む皇家第一王女イザヤのもとに、かつて最低の事件を起こして皇籍剥奪された幼馴染・クロトが部下として乗り込む空戦ファンタジー。敵国ガメリア合衆国で投資家として成功していたクロトが日之雄に戻ってきた理由。苦戦必至の状況の中、超傲慢で頭が切れてバカがつく努力家クロトが、アホな部下たちと共にイザヤを支えて大逆転に導く熱い展開で、異国で台頭しつつある因縁のライバルの魔の手から彼女を守りきれるのか、これは今後がとても楽しみなシリーズですね。

2.処刑少女の生きる道 (GA文庫)

過去に起きた人災で異世界からの召喚者は見つけ次第処刑される世界。躊躇なく冷徹に任務を遂行する処刑人の少女・メノウが、迷い人の少女アカリと運命の出会いを果たすファンタジー。不可避に思えた運命をあっさり乗り越えるアカリと、そんな彼女に調子が狂わせながらも決着をつけるべく二人で旅するメノウの距離感がなかなかいい感じで、それに処刑人補佐のモモや王の娘アーシュナといった魅力的なキャラを絡めて展開する物語の安定感には驚かされました。ワケありな二人の旅がこれからどのようなものになるのか、続巻が楽しみな新シリーズですね。20年2月3巻目刊行予定。

3.吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

  • 作者:周藤 蓮
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/10
  • メディア: 文庫
 

大戦と禁酒法で旧来の道徳が崩れ去った時代。非合法の運び屋シーモアのもとに、運んで欲しい荷物として正真正銘の吸血鬼の少女・ルーミーが持ち込まれる歴史ファンタジー。仕事上のトラブルから始まったルーミーとの同居生活。吸血鬼らしさを見せないルーミーと共に過ごすうちにシーモアの心境が変化してゆく中で、ふと気づいてしまったひとつの事実。確かに変わってしまった何かがあって、それでも二人の間には確かに育まれていたものがあって、ぶつかりあった本音の先にあった結末がとても自分好みでした。これは続巻に期待大の新シリーズですね。現在2巻目まで刊行。

4.ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

  • 作者:水野 良
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: 文庫
 

呪われた島ロードスに平和が訪れて百年、フレイムの王位継承者に禁忌を犯すディアスが現れ、不戦の誓いに仇なす帝国に対抗すべくマーモ公国の王子・ライルたちが立ち上がる新たなロードスの騎士を巡る物語。前作から百年後の世界で圧倒的な力を誇るフレイム王国を軸とした争乱に、マーモ公国の王子・王女たちがそれぞれ動き出す群像劇的な展開でしたけど、特にここからどう状況を覆すのか期待したい主人公・ライルと、あえてフレイムに身を投じたその兄・ザイードという対照的な二人が物語を盛り上げてくれそうです。いやこれは続巻が楽しみですね。

5.帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)

帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)

帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)

  • 作者:川口 士
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: 文庫
 

己の力で名声を得るため、仲間たちとともに遊歴の騎士として旅をする皇帝の妾腹の子・アルヴェールが、帝国を滅ぼそうと企む陰謀に巻き込まれてゆくファンタジー。神敵には大鎌を振るい隙あらば夜這いをかけてくるシルファ、大食いで名言好きなセイランと旅を続けていたアルが抱く皇帝への複雑な想い。けれど巨大な魔物「地底樹」出現を放っておけない彼が、シルファも絡んだ因縁のエルフとその魔物に挑む展開は熱かったですし、その過程で挟まれるアルの過去エピソードが、仲間に慕われる彼のこれまでの成長を物語っていてなかなか効いていました。

関連作品:双月のエクス・リブリス」 (ダッシュエックス文庫)

6.魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)

魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)

魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)

 

ジスタートの戦姫・エレンの下で働く弓使いの青年・ティグルと副官リム。故あって突如攻め入ってきた敵国・アスヴァールの真っ只中で孤立した二人が、アスヴァール王女ギネヴィアと出会うもうひとつの物語。三百年も前の建国者・アルトリウスが蘇り、瞬く間に国を掌握してしまったアスヴァールを舞台に、二人がギネヴィアを助けて奮闘する展開で、並行して描かれるもうひとつの物語と舞台や一部登場人物が被る別展開という点はやや気になりましたが、お互い意識し複雑な想いも抱えながらも、力を合わせて戦う二人の物語はこれはこれで良かったです。20年2月2巻目刊行予定。

7.最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ (ダッシュエックス文庫)

孤高のゲーマー・古霧坂里央。学校一の完璧美少女、真理峰桜。現実世界では何の関わりもない2人が、VRゲーム「MEO」で最強コンビとして名を馳せる物語。妹の同級生以外は何の接点もない、学校では違う意味で有名人の2人。そんな2人がVRMMOのゲームの中では同棲して、お化け屋敷気分の廃墟探索や混浴イベント、他プレイヤーと協力して超大型ボスと阿吽の呼吸で戦いながら周囲も呆れるいちゃいちゃっぷりで、だけどこの二人付き合ってないんですよ…?(苦笑)こういう関係は邪魔者が出現してこそさらに燃え上がりそうなので次巻に期待。

8.勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)

勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)

勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)

  • 作者:みかみてれん
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2019/09/05
  • メディア: 文庫
 

己と引き換えに狂神を討ち倒し世界を救った勇者セラフィルナ。一方、片腕を失って戦線離脱し失意の日々を送っていた剣聖・ジャンが、世界と彼女を救うために再び立ち上がるファンタジー。狂神を打倒した代償として呪いを浴びたセラを救うため、魔神器『ヴルムの真腕』を与えられて彼女のそばにいることを誓うジャン。ストーリーとしては登場人物も少なくシンプルな王道展開でしたけど、ずっと心残りで一度は諦めかけていた大切な人と再会し、これからも共にあるために2人で一緒に戦うことを決意したこれからの展開に期待したくなる物語でした。

9.魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)

魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)

魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)

  • 作者:空伏空人
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 文庫
 

不治の病に罹った少年・桑折冬至が、迷い込んだはずれの森に住む変わり者の魔女・ミーズに出会い、願いを叶える代わりにその弟子となる物語。ハルと名付けられた死にたくないと願うシニカルな少年と、陽気で構いたがりでどこか子供っぽい一面も見せる魔女のミーズ。そんな二人の微笑ましいやりとりは良かったですけど時折ハルが知らないミーズの過去があって。巻き込まれた事件を通して明かされるミーズの真意がまた衝撃的でしたけど、二人で過ごした日々もまた偽りではなかったんですよね。彼らがどうなってゆくのかその後の話を読んでみたいです。

10.地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)

地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)

地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)

  • 作者:九岡 望
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: 文庫
 

世界規模の幽界現象と呼ばれる大災厄によって、死者が現世に戻ってきてしまうようになった末世・東凶。聖職者が大嫌いな亡者の死神ミソギと、死者が嫌いな聖職者アッシュが縁あって手を組み立ち向かうダークヒーローアクション。相性最悪な二人の邂逅と、そんな彼らに振り回されるシスターのフィリス。魅力的なキャラたちそれぞれの複雑な事情を絡めながら、東凶中を巻き込んだ麻薬騒動から始まる世界崩壊の危機を吹っ切れたシスコン二人が大暴れして解決に導く展開は痛快でした。いい感じにオチもついた結末でしたけど続巻に期待できそうですね。

11.全肯定奴隷少女:1回10分1000リン (MF文庫J)

全肯定奴隷少女:1回10分1000リン (MF文庫J)

全肯定奴隷少女:1回10分1000リン (MF文庫J)

 

英雄に憧れて冒険者になった少年・レンが、公園で見かけた貫頭衣を身に纏う銀髪で奴隷姿の全肯定少女。彼女に1回10分1000リンで全肯定してもらううちに、肯定された人々の心境も変わってゆくファンタジー。怪しい看板を掲げて全肯定・全否定を使い分けつつ悩める人々を導いてゆく奴隷少女のお悩み相談。シンプルなストーリーから垣間見えてくる彼女の事情があって、彼女に励まされながら成長してゆくレンの物語があって、そんなエピソードの積み重ねが効いてくる展開が印象的でした。彼らの微笑ましい恋模様の行方も気になるところですね。 

12.やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)

やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)

やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)

 

人類が圧倒的な銃の力でファンタジー種族を滅ぼしてゆく時代。エルフの村で育った人間の少年・ガーディが村の掟を破ったことで追放され、金貨姫フローリンが治めるイントラシア領に身を寄せるファンタジー戦記。剣も槍もロクに扱えず秘められし権能も「究極のお人好し」な主人公カーディが、エルフの村でバカにされながら培った知恵と経験、時代遅れになりつつある弓や妖精たちを駆使して戦い、未来の大軍師に向けた第一歩を踏み出す姿はなかなか印象的でした。そんな一風変わった作品をどう評価するのか他の人も読んでみたいと思いました。

13.シャドウ・サーガ (電撃文庫)

シャドウ・サーガII -聖剣エクスカリバー- (電撃文庫)

シャドウ・サーガII -聖剣エクスカリバー- (電撃文庫)

  • 作者:西村 西
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: 文庫
 

アーサー王物語が大好きな日本の高校生・来人が大魔導士マーリンの弟子・リィナによって異世界グレートブリテンに召喚され、アーサーが死ぬ予言を覆すために奮闘するファンタジー。この世界では女の子のアーサーを召喚したリィナとともに支えてゆく展開で、状況に戸惑いつつも戦えるし、開き直った演技で流れを引き寄せてみせた来人の存在感はありましたけど、一方で女子は王位継承権がないなかで代わりに来人を影武者とした構図が今後どのように影響してくるか、優しくも相対的にやや影の薄かったアーサーの活躍に期待したいところではあります。現在2巻まで刊行。

14.本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない! (ダッシュエックス文庫)

「一生本を読んで暮らしたい!」本を愛してやまない青年・アシタが、その想いとは裏腹に彼の知識を欲する顔馴染みの女冒険者エルシィにダンジョンへ連れて行かれるドタバタファンタジーコメディ。貴重本欲しさにダンジョンに潜ってみればゴブリン相手も厳しい貧弱っぷりで、エルシィやその仲間に頼りっぱなしのアシタでしたけど、強力なゴーレムを相手にするという絶低絶命の窮地に、彼の知識と仲間の力をあわせて打開してゆく展開はなかなか面白かったです。エルシィとの関係も気になりますが、一緒に潜った仲間たちもワケありのようで続巻に期待。

15.異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)

異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)

異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)

  • 作者:珪素
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/17
  • メディア: 単行本
 

魔王が死んだ後の世界。魔王さえも殺しうるありとあらゆる種族、能力の頂点を極めた修羅達がさらなる強敵を、本物の勇者という栄光を求め、新たな闘争の火種を生み出すファンタジー異世界の剣豪、神速の槍兵、鳥竜の冒険者、一言で全てを実現する全能の詞術士、不可知でありながら即死を司る天使の暗殺者など、修羅たちの背景が綴られて、黄都と新公国を巡る争いの中で彼らが激突して、本物の勇者を決めるという意味でも熱い戦いを繰り広げてゆく先に何が待っているのか、一巻自体が壮大なプロローグといった感じで続巻の展開に期待したいですね。

 

以上です。気になる作品があったら是非手にとって読んでみてください。

ほかも該当作品読み終わったら随時更新していきます。

 

1月の購入検討&気になる本ほかピックアップ

というわけで1月の購入検討&気になる本ほかピックアップです。年末年始のスケジュールは例によって変則的なものの、1月以降の発売についてはわりとすんなり行きそうです。気になるのはGA文庫/富士見L文庫あたりの動向ですか。ちなみに年末の主な文庫発売スケジュールは以下の通りになります。

 

オーバーラップ文庫 12/23(東京出荷協定品)

MF文庫J/MFブックス 12/24(東京出荷協定品)

新潮文庫 12/24(東京出荷協定品)

角川文庫 12/24(積込協定商品)

メディアワークス文庫 12/25(積込協定商品)

HJ文庫 12/26(東京出荷協定品)

講談社ラノベ文庫 12/26(搬入発売)

モンスター文庫 12/27(東京出荷協定品)

スニーカー文庫/ビーンズ文庫/ルビー文庫 12/27(積込協定商品)

ファミ通文庫 12/28(12/26搬入発売)

 

個人的にはMF文庫Jファミ通文庫の三田千恵「天才少女Aと告白するノベルゲーム」あたりまでで、年内の新刊は打ち止めになりそうです。そろそろ積読がヤバイので、残りは年明けて余裕あれば消化していこうかなという感じです(さすがに今月はギブアップします 苦笑)

 

来月はシリーズものだと年末の新潮文庫nex、1月頭のほしおさなえさんの三日月堂短編、中旬に双葉文庫の「京都寺町三条のホームズ」電撃の新文芸でこのラノ2020単行本1位に輝いた「Unnamed Memory 」の4巻目のほか、オレンジ文庫が12月に引き続き人気シリーズ目白押しでどうするか頭が痛い感じです。角川文庫の金椛国春秋シリーズも気になりますし、MF文庫文庫Jは「探偵はもう、死んでいる」「聖剣学院の魔剣使い」の続巻が出ます。

 

注目の新作としてはLINE文庫の辻堂ゆめさんの「ヒマワリ高校初恋部!」、PHP文芸文庫 藤まるさんの「午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中」、GA文庫からいかにも雰囲気がありそうな第11回GA文庫大賞<奨励賞>「竜と祭礼」、ガガガ文庫から「結婚が前提のラブコメ」、ファンタジア文庫から第32回ファンタジア大賞<大賞>「スパイ教室01 《花園》のリリィ」、講談社タイガの斜線堂有紀さん「詐欺師は天使の顔をして」、MF文庫Jから涼暮皐さんの「今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。」。そして何より創元推理文庫から 米澤穂信さんの小市民シリーズ待望の新刊「巴里マカロンの謎」が出ます。現時点の視界に入っている限りのおすすめなので、もっとじっくり見たら他にも注目の作品はありそうです。 

ヒマワリ高校初恋部! (LINE文庫)

ヒマワリ高校初恋部! (LINE文庫)

  • 作者:辻堂ゆめ
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: 文庫
 
午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中 (PHP文芸文庫)

午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中 (PHP文芸文庫)

 
竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

 
結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

 
スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)

スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)

  • 作者:竹町
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/18
  • メディア: 文庫
 
詐欺師は天使の顔をして (講談社タイガ)

詐欺師は天使の顔をして (講談社タイガ)

 
巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

 

 

新潮文庫nex(12/25発売)
さよならの言い方なんて知らない。3 河野裕/越島はぐ
カカノムモノ3 ―呪いを欲しがった者たち― 浅葉なつ/灰原薬
オニキス ―公爵令嬢刑事 西有栖宮綾子― 古野まほろ/清原紘

スニーカー文庫(12/27発売)
・【新】陰に隠れてた俺が魔王軍に入って本当の幸せを掴むまで 松尾からすけ/riritto
この素晴らしい世界に祝福を! よりみち! 暁なつめ/三嶋くろね
・【新】魔法至上学院の騎士 魔法適性ゼロの魔剣使い 西都徹也/伊吹のつ

 

ポプラ文庫(1/4発売)

活版印刷日月堂 小さな折り紙 ほしおさなえ


LINE文庫(1/8発売)
・君の涙はとても恋しい 内田裕基/爽々
ヒマワリ高校初恋部! 辻堂ゆめ/吉田ばな

LINE文庫エッジ(1/8発売)
・【新】小鳥遊さんはラブコメ勉強中! 高橋徹/ぐれーともす

電撃文庫(1/10発売)
魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画 (3) 佐島勤/石田可奈
ストライク・ザ・ブラッド21 十二眷獣と血の従者たち 三雲岳斗/マニャ子
・つるぎのかなた3 渋谷瑞也/伊藤宗一
・【新】君を失いたくない僕と、僕の幸せを願う君 神田夏生/Aちき

PHP文芸文庫(1/10発売)
午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中 藤まる

富士見L文庫(1/14発売)
・呪われ陰陽師 賀茂斎の千年越しの憂鬱 藤崎都/藤未都也
・シンデレラの宝石店 河合ゆうみ/伏見おもち

二見サラ文庫(1/14発売)
・皇妃エリザベートのしくじり人生やりなおし 江本マシメサ/宵マチ

GA文庫(1/15発売)
・【新】ひきこまり吸血姫の悶々 小林湖底/りいちゅ
[第11回GA文庫大賞<優秀賞>]
・【新】城なし城主の英雄譚 彼女のファイアボールが当たらない! 阿樹翔/八葉
[第11回GA文庫大賞<奨励賞>]
・【新】竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― 筑紫一明/Enji
[第11回GA文庫大賞<奨励賞>]
・29とJK 8 ~そして社畜は今日も働く~ 裕時悠示/Yan-Yam

双葉文庫(1/16発売)
京都寺町三条のホームズ13 麗しの上海楼 望月麻衣
後宮の花は偽りを隠す 天城智尋

電撃の新文芸(1/17発売)
Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度 古宮九時/chibi

ガガガ文庫(1/17発売)
・【新】結婚が前提のラブコメ 栗ノ原草介/吉田ばな

 

オレンジ文庫(1/17発売)
ゆきうさぎのお品書き 風花舞う日にみぞれ鍋 小湊悠貴/イシヤマアズサ
威風堂々惡女3 白洲梓/蔀シャロン
平安あや解き草紙 ~その恋、人騒がせなことこの上なし~ 小田菜摘/シライシユウコ
京都伏見は水神さまのいたはるところ ゆれる想いに桃源郷の月は満ちて 相川真/白谷ゆう
・ひきこもりを家から出す方法 猫田佐文/寄藤文平
・流転の貴妃 或いは塞外の女王 喜咲冬子/巖本英利
・愛を綴る 森りん/夢咲ミル
・きみは友だちなんかじゃない 神戸遥真/千秋りえ

富士見ファンタジア文庫(1/18発売)
・【新】スパイ教室01 《花園》のリリィ 竹町/トマリ
[第32回ファンタジア大賞<大賞>]
・【新】転生王女と天才令嬢の魔法革命 鴉ぴえろ/きさらぎゆり
・ラストラウンド・アーサーズ5 過去の王と未来の王 羊太郎/はいむらきよたか
ロクでなし魔術講師と禁忌教典16 羊太郎/三嶋くろね

TO文庫(1/20発売)
ドールハウスの人々 二宮敦人/大前壽生

講談社タイガ(1/22発売)
詐欺師は天使の顔をして 斜線堂有紀
・絶対小説 芹沢政信

ハヤカワ文庫JA(1/23発売)
・【文】ダークナンバー 長沢樹

角川文庫(1/23発売)
鳳は北天に舞う 金椛国春秋 篠原悠希
・地獄くらやみ花もなき 肆 百鬼疾る夜行列車 路生よる

メディアワークス文庫(1/24発売)
・怪盗の後継者 久住四季
・冬に咲く花のように生きたあなた こがらし輪音
・名探偵はハウスメーカーにいる 家づくりは今日も謎だらけ 宮嶋貴以
・今夜F時、二人の君がいる駅へ。 吉月生

MF文庫J(1/24発売)
・【新】―異能― 落葉沙夢/白井鋭利
・【新】今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。  涼暮皐/あやみ
・【新】失格世界の没落英雄 北山結莉/nana
・【新】隣のキミであたまがいっぱい。 城崎/みわべさくら
ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編1 衣笠彰梧/トモセシュンサク
・探偵はもう、死んでいる。2 二語十/うみぼうず
・聖剣学院の魔剣使い3 志瑞祐/遠坂あさぎ

オーバーラップ文庫(1/25発売)
異世界迷宮の最深部を目指そう13 割内タリサ/鵜飼沙樹

スターツ出版文庫(1/28発売)
・君の目に映りたい。 (仮) 天沢夏月

創元推理文庫(1/30発売)
巴里マカロンの謎 米澤穂信/片山若子

今が熱い!WEB発ライトノベル青春小説20選

少し前から流れとしてはありましたが、最近WEB発のライトノベル青春小説に勢いが出てきて、毎月定期的に刊行されるようになってきています。わりといいタイミングかなと感じたので、今回自分が読んだ中から比較的新作を中心に既刊も含めたオススメ作品を20作品紹介したいと思います。

 

ちなみに最後の一二三文庫の2作品は他のライトノベルレーベルの作品とはやや毛並みが異なる作品のため最後に置きましたが、これはこれで自信をオススメできる作品です。「このライトノベルがすごい2020」でランクインした作品については順位も参考までに付記しています。

 

1.継母の連れ子が元カノだった (角川スニーカー文庫)

このライトノベルがすごい2020文庫部門第7位/新作部門3位

中学生の時に恋人となり些細なことですれ違い、卒業を機に別れた伊理戸水斗と綾井結女。そんな二人が高校入学を機に再婚した親の再婚相手の連れ子として同居する青春ラブコメディ。思ってもみなかった形での最悪の再会と些細なことで衝突する二人。終わったはずなのにふとした拍子に思い出す黒歴史に赤面し、素直になれないけれど何だかんだ言いながらお互いの存在を気にかけていたり再評価したり。恋愛ROM専やぐいぐい介入してくる幼馴染コンビや、水斗を慕うオタクヒロインに振り回されつつ、再び少しずつ育まれてゆく二人の関係がどう変わってゆくのか続編がとても楽しみなシリーズ。現在3巻まで刊行。

 

2.お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)
 

このライトノベルがすごい2020文庫部門第10位/新作部門6位

藤宮周が一人暮らしするマンションの隣室に住む学校で一番の美少女・椎名真昼。特に関わり合いのなかった彼女とふとしたきっかけから交流が始まる青春小説。雨の中ずぶ濡れの彼女に貸した傘をきかっけに、自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて食事を作り部屋を掃除し、何かと世話を焼く真昼。自分だけが知るクールで毒舌な彼女と過ごす日々に少しずつ心境が変化してく周と、家の事情を抱えていそうな彼女との関係がどうなるのか。現時点ではまだまだこれからですけど、もどかしい甘酸っぱい展開を期待できそうで今後が楽しみな新シリーズですね。

 

3.子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

 

このライトノベルがすごい2020文庫部門第23位/新作部門11位

両親が共働きで5歳の妹・蕾のために日々を過ごす子守リ男子・新垣日向。そんな彼が偶然クラスメイトの芹沢悠里とスーパーで出会ったことをきっかけに、その高校生活が変わってゆく青春小説。蕾の可愛らしさに魅せられ、日向を意識するようになってゆく悠里。そんな二人を面白がる悠里の親友・唯やヒロインたちに振り回される日向の親友・雅も関わるようになって、疎遠になっていた後輩・日和との再会もあって。物語としてはまだまだこれからな感もありますが、変わり始めた日向の高校生活がどうなってゆくのか、今後に期待大の新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

 

4.友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:世界一
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: 文庫
 

目つきの悪さから不良のレッテルを貼られた友木優児。『主人公キャラ』池春馬以外に誰も近寄らない彼が、春馬の妹で美少女の池冬華に突然告白されるラブコメディ。腑に落ちない告白の真意を問いただす優児と、思うところあって彼とニセの恋人関係を結んだ新入生の冬華。外見がアレで不器用だから誤解されがちだけれど、困った人を助けることを厭わず、相手にきちんと真摯に向き合える優児の良さを知ってゆく人が増えていって、そんなエピソードを積み重ねて冬華の想いも変化してゆく展開がとても良かったです。これは続巻に期待の新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

 

5.塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

 

高嶺の花で誰に対しても塩対応な佐藤こはると、誰に対しても優しい押尾颯太。初々しくてもどかしい高校生二人の初恋物語。告白されても話しかけられても実はコミュ障で塩対応のこはる。そんな不器用な彼女が想い人に近づきたい一心で頑張って颯太だけに見せる様々な可愛い表情があって、彼女をフォローしようと頑張る颯太もいちいちカッコ良くて、そんなじれじれ初恋両片想いな二人の破壊力がスゴイですね。勘違いからすれ違いかけたり大きな壁が立ちはだかったりしても、勇気を出して前に一歩踏み出した二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

6.わたしの知らない、先輩の100コのこと (MF文庫J)

わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)

わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)

 

このライトノベルがすごい2020新作部門22位

最寄り駅が同じ以外接点がなく、毎朝顔を合わせるだけだった先輩と後輩。そんな二人がある日『1日1問だけ、どんな質問にも絶対正直に答える』という約束を交わす青春ラブコメディ。大部分の生徒と違う二人だけが通う通学電車で、話すことはなくても存在を意識していた二人。ふとしたきっかけから一つずつ質問を積み重ねていって、話すことや会うことが増えいくことで少しずつ二人の距離感も変わっていって、ミステリアスな小悪魔・後輩ちゃんの言動に先輩が振り回される二人の関係がこれからどうなってゆくのか続巻に期待したいシリーズですね。

 

7.カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています (角川スニーカー文庫)

クリスマス直前に彼女に浮気されて別れた大学二年生の羽瀬川悠太。そんな傷心の彼がサンタのバイトをしていた後輩・志乃原真由と出会う青春小説。いつの間にか懐いて勝手に家にまで上がり込んでくるようになった後輩・志乃原と、付き合いが長い友人ヒロイン・彩華、そして悠太を気にかける元カノの存在。三者三様のヒロインたちはそれぞれに事情があるようで、その妙に狭い人間関係の繋がりも地味に効いていますが、単純な恋愛模様にはならなさそうな彼女たちとの繊細な距離感や関係がこれからどう変わってゆくのか、続巻に期待の新シリーズですね。

 

8.俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

  • 作者:紫ユウ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: 文庫
 

ド底辺を自覚してバイト漬けの自堕落な一人暮らしを送る高校生・常盤木翔和。ある日同じ学年の癒し系美少女・若宮凛を空腹から救ったことがきっかけで懐かれてしまう青春ラブコメ。最初はポテトで?とも感じましたけど、ドーナツ好きもあったのかバイト先に通うようになった凛に懐かれながら、二人の距離感に配慮する翔和がいつもと違って珍しかったんですかね(苦笑)意外にぐいぐい来る凛に友人カップルの後押しもあって、頑張りつつも勘違いしないようにと必死な翔和と宣戦布告した凛の微笑ましい関係をこれからも見守っていきたいと思いました。

 

9.お隣さんと始める節約生活。(ファンタジア文庫)

一人暮らしの高校生の間宮哲郎が、高校の先輩でもある同じ境遇の隣人山野さんが似たような境遇であることを知り、一緒に節約生活を始めてみる青春ラブコメディ。高校がバイト禁止という状況で、もう少し遊ぶお金を確保するには節約しか選択肢がない似たような境遇にいる二人。最初は自作の弁当を比べたり巨大なパンをシェアしたり、電気代を減らすために夏休みを一緒に過ごすようになったり、ベタながらも日常にあるドキドキの積み重ねから、お互いのことを少しずつ意識してゆく展開がいいですね。そんな二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

10.1LDK、そして2JK。 (ファンタジア文庫)

父の頼みで疎遠だったギャルJKの従妹・奏音を預かることになった独身サラリーマン・駒村。そんな帰りに痴漢から助けた家出JK・ひまりも転がり込んでくる同居物語。母親が失踪して行き場をなくした奏音と、夢を諦めたくない一心で家出したひまり。タイプの違う二人にもそれぞれ抱く複雑な想いがあって、それを戸惑いながらも同居を始めた駒村が真摯に支えたいと思う姿がいいですよね。そんな状況で現れた駒村の幼馴染という強力な伏兵出現は物語の重要なポイントになりそうですけど、ここからどう展開していくのか今後が楽しみなシリーズです。

 

11.朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

  • 作者:間 孝史
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 文庫
 

クラスメイトの悪ノリから罰ゲームとして、学校一の嫌われ者・入間晴斗へのウソの告白を強要された内気な女子高生・朝比奈若葉。最初は嫌々始まったはずの晴斗との交際が、彼女を少しずつ変えてゆく青春小説。最初はやらされている感が満載だった下校やデートで、自分を気遣ってくれる晴斗の優しさや人間性に触れ、少しずつ彼を見る目を改めてゆく若葉。二人を取り巻くキャラも立っていて、彼女自身も明るさを取り戻していって、無自覚のうちにかけがえのない存在になってゆくのが分かるからこそ、最後の展開から続巻がどうなるのか気になりますね。19年12月に2巻刊行予定。

 

12.ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

 

このライトノベルがすごい2020文庫部門第22位

5年片想いした上司の後藤さんにバッサリ振られたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道に路上で家出女子高生・沙優を発見し、なし崩し的に同居生活が始まる日常ラブコメディ。自分を大切にしないことを叱る吉田の優しさに戸惑う沙優と、彼女の存在が自分の中で少しずつ大きくなってゆくことを自覚する吉田。そんな何事にも真摯に向き合う彼の変化が気になる後藤さんと後輩の三島柚葉。周囲に振り回されてはいても根幹はブレない、相手を大切にしようとする吉田のありようが素敵で、何とも複雑な関係ですが今後の展開が楽しみなシリーズですね。現在3巻まで刊行。

 

13.スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

 

父親を亡くし母親が失踪、友達も趣味も何もない日々を送っていた山梨の高校に通う女子高生・小熊。そんな彼女が中古のスーパーカブに出会い、それをきっかけに世界が広がってゆく物語。奨学金で高校に通う慎ましい生活を送る子熊視点で淡々と綴られる、同じカブに乗る同級生の礼子と知り合ったり、カブを巡る様々な出来事に遭遇したり、これまで目を向けてこなかったものに気づいてゆく展開。著者さんの深いカブ愛を感じつつ、子熊らしい慎重なペースで、けれど確実に世界が広がっていてゆく様子がとてもいいと思いました。現在6巻まで刊行。

 

14.青春敗者ぼっち野郎、金髪尻軽ギャルのお気に入りになる (角川スニーカー文庫)

ぼっちで昼休みに勉強ばかりしているガリ勉の一条純が、いかにもギャル風で噂も多い橘かれんに勉強を教えてほしいと請われ、そこからいろいろ変わってゆく青春ラブコメディ。ぐいぐい来るかれんに何で自分がと思ううちに教室でも話しかけられるようになって、クラスでの立ち位置も変わってゆく一条。最初は戸惑いながらもちゃんと向き合うようになってゆく彼は面倒見のいいやつで、見た目があれなかれんもまた真っすぐで応援したくなる二人ですね。かれんを意識するようになってツンデレ気味だった一条が陥落する日も近い?現在2巻まで刊行。

 

15.噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか? (角川スニーカー文庫)

自らモブとして目立つことを避けていた高校生・鷹野祐と孤高を貫く学園一の美少女・衣川マトの邂逅。二人が遭遇するサーバーセキュリティ絡みの問題を解決してゆく青春小説。祐の幼馴染が絡む試験問題漏洩事件、学校で起きたサイバー攻撃事件、マトが学校を中退して渡米しようとする理由。タイトルの印象より大分サイバーセキュリティが存在感のある内容でしたが、ミステリアスな彼女に最初は戸惑っていた祐が、マトのことを知っていくうちにその心境も変わっていって、彼女もまた祐たちとの出会いから新たな一歩を踏み出してゆく素敵な物語でした。

 

16.佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet!  (ファミ通文庫)

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

  • 作者:九曜
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/28
  • メディア: 文庫
 

高校二年生の春、ひとり暮らしを始めるはずだった弓月恭嗣が、不動産屋の手違いでひとつ年下の帰国子女・佐伯貴理華と同居するはめになってしまう物語。無防備な距離感で接してきて家の中と外とでは印象が違う佐伯さんと、苦い過去を持つがゆえに家の外では一定の距離を置こうとささやかな抵抗を続ける弓月くん。表情豊かでキャラとしてもよく動いている佐伯さんとの同居生活が弓月くんを少しずつ変えていって、その変化がクールな弓月くんの元カノ宝龍さんや周囲の友人たちにもまた影響を及ぼしてゆく展開はとても良かったです。全5巻。

 

17.廻る学園と、先輩と僕 Simple Life (ファミ通文庫)

廻る学園と、先輩と僕 Simple Life (ファミ通文庫)

廻る学園と、先輩と僕 Simple Life (ファミ通文庫)

  • 作者:九曜
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/02/28
  • メディア: 文庫
 

学園一の美少女と噂される片瀬先輩。そんな彼女をとある事件から救った歳下の千秋那智が急接近してゆく学園ラブコメディ。真っ直ぐで可愛くて女の子たちから人気があるのに自覚がない年下の那智と、そんな彼の言動が気になって何とも複雑な気持ちになってゆく人気者・片瀬先輩の繊細でもどかしい距離感。彼らを取り巻くキャラたちもよく動いて二人にちょっかいを出したり応援しながら、少しずつ二人が自分の気持ちを自覚して向き合うようになってゆく展開で、先輩はちょっと気が早いかなとも感じましたけど(苦笑)とても素敵な結末に思えました。全3巻。

 

18.何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが? (MF文庫J) 

このライトノベルがすごい2020文庫部門第31位/新作部門14位

ラノベ好きをこじらせたぼっちの安藤くんと、隠れラノベ好きな学校一の美少女・朝倉さんが交流する学園ラブコメディ。密かにラノベを読んでいる安藤くんが気になっていた朝倉さんと、そんな彼女を遠い存在と思っていた安藤くん。ラノベ好き同士交流したいのに空回りしまくりな朝倉さんが可愛くて、自分の勘違いだと距離を置こうとする安藤くんがなかなかの難敵でしたが、委員長の協力もあって朝倉さんだいぶ頑張ったのに結果があれですか(苦笑)さすがに気づいたクラスの人たちとともに、もどかしい二人の今後を生温かく見守ることになりそうです。現在4巻まで刊行。

 

19.隣の席の佐藤さん (一二三文庫)

隣の席の佐藤さん (一二三文庫)

隣の席の佐藤さん (一二三文庫)

  • 作者:森崎緩
  • 出版社/メーカー: 一二三書房
  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: 文庫
 

地味でパッとしない佐藤さんと隣の席になった山口くん。隣の席で交流を積み重ねながら、二人の心境が少しずつ変化してゆく青春小説。始めは鈍くさいけど素直な佐藤さんに調子が狂いイライラしていたのに、いつの間にか彼女が気になってゆく山口くん。だからといってすんなり上手くいくわけでもなくて、ままならない状況でどう接するのがいいのか懸命に考える山口くんが微笑ましいですね。いろいろ遅れがちな彼女を気にかけて寄り添う山口くんの姿勢はカッコよくて、周囲にもバレバレで生温かく見守る二人のその後がまた読んでみたいと思いました。

 

20.藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

  • 作者:村田天
  • 出版社/メーカー: 一二三書房
  • 発売日: 2019/10/05
  • メディア: 文庫
 

学校一モテる藤倉君に自称・六八番目に恋をした尚。遠くから眺めるだけだった彼女が、ふとしたきっかけからモテすぎて女嫌いを発症した藤倉君の女除け役として「ニセ彼女」に立候補する青春小説。少女マンガのようにモテまくる藤倉を好きにならないという宣言から始まったニセ彼女生活。普通の男子生徒として扱ってくれる尚への安心感があって、一緒にいても苦にならない関係だからこそ少しずつ確実に変化してゆく二人の心境があって、ここまで拗らせるとどうなることか心配でしたけど、いつの間にか育まれていた大切なものに気づけて良かったです。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみてください。