読書する日々と備忘録

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2019年下半期注目のオススメ新作ライト文芸20選

2019年下半期注目のオススメ新作企画、「ライトノベルファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」「一般文庫」に続く第四弾は「ライト文芸」レーベル編です。どうしても後追い気味になっているために仕方ないのですが、この時期までずれ込むともうどこまで入れるのか諦めるのかなかなか難しいところではあります(苦笑)

 

とりあえず今回も自分が下半期に読んだものの中からオススメしたい20作品を紹介しています。

上半期企画でもライト文芸のおススメを紹介していますので、こちらも合わせて参考にしていただければと思います。

 

1.太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

太陽のシズク ~大好きな君との最低で最高の12ヶ月~ (新潮文庫nex)

  • 作者:三田 千恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/10/27
  • メディア: 文庫
 

死に至る「宝石病」を患い海の見える高校に転校してきた理奈。親友や彼氏を作って最高の学園生活を送ろうと決意する理奈と、彼女のために受験を頑張る翔太が過ごした最高の12ヶ月の物語。運命の恋人と出会い、印象的な出会いを果たした美里と様々な出来事を経て大切な親友となってゆく理奈。彼女と自分の夢のために受験勉強する翔太が予備校で出会った仲間たち。違う時を過ごす中で不安やすれ違いもあって、それでも二人で育んできた確かな絆があって。そんな二人のかけがえのない日々を必ず読み返したくなる、とても鮮烈で印象に残る物語でした。

 

2.夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

 

片田舎の劣悪な家庭環境に育ち将来に希望を抱けずにいた少年・日向が、身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子と運命の出会いを果たす壮絶で切ない最後の夏の物語。死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛けた弥子と、相続の条件として提示された古い盤上ゲーム・チェッカーを通じて心を通わせてゆく日向。絶望を抱えた二人が惹かれていけばいくほど、彼女の死に三億円の価値があることの意味が重くのしかかってきて、明かされてゆくそれぞれの秘密と葛藤の末に二人が選択した「正解」がとても印象的な物語でした。

 

3.僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)

僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)

僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)

 

困窮し生きることに絶望した立井潤貴。そんな彼を救った高木健介の代わりに大学に通うようになった二年後、高木が突如失踪するミステリ。作家でもある高木との充実した共同生活、そして失踪から始まる突然の暗転。残された数少ない手掛かりと作品をもとに高木の過去を知る人に会い、その行方を追う立井が知ってゆく意外な繋がりと高木の壮絶な過去。彼らが置かれた環境の過酷さと、何度も絶望感を突き付けられる彼らの生々しい感情描写はインパクトがあって、繋がってゆく複雑な因縁とその結末に至るまでを描く著者の熱い想いで読ませる物語でした。

 

4.メイデーア転生物語 (富士見L文庫)

メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女 (富士見L文庫)

メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女 (富士見L文庫)

  • 作者:友麻碧
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/10/15
  • メディア: 文庫
 

幼馴染に片想いしていた前世を時々夢に見る辺境貴族の令嬢マキア。運命的な出会いを果たした少年トールと魔法を学ぶ楽しい日々を過ごしていた彼女が、引き離されたトールと再会するために奮闘する転生ファンタジー。トールが救世主の守護者に選ばれ引き離されてしまう二人。トールと再会するため王都で最高峰の魔法学校を目指すマキア。学校では個性的な仲間もできて、選ばれていた救世主がまた前世でいろいろと因縁のあった存在で、抗いがたい運命に翻弄されるマキアとトールが大切な絆を守っていけるのか、続巻がとても楽しみな新シリーズですね。

 

5.初恋ロスタイム -Advanced Time- (メディアワークス文庫)

初恋ロスタイム -First Time- (メディアワークス文庫)

初恋ロスタイム -First Time- (メディアワークス文庫)

 

高校入学と共に幼馴染・比良坂未緒に告白をし、見事玉砕した桐原綾人。気まずさで互いに言葉を交わす事もなくなったある日、突然「自分以外の時が止まる」という不思議な現象を彼女と共有するもうひとつの物語。日常では相変わらずな二人の関係と、昔のように接することが出来る時が止まった世界。「ロスタイム」で未緒と綾人が時間を共有することになった理由。思ってもみなかった急展開を打破してみせたのは二人がこれまで地道に積み重ねてきた成果で、最後の最後で明かされる破壊力抜群な結末には自分もものの見事にやられたと思いました(苦笑)
関連作品:「初恋ロスタイム -First Time-」 (メディアワークス文庫)

 

6.終わった恋、はじめました (講談社タイガ)

終わった恋、はじめました (講談社タイガ)

終わった恋、はじめました (講談社タイガ)

 

意地を通して退職した拓斗にかかってきた妹・莉音からの一年ぶりの電話。妹と一緒に心残りだった高校時代の恋人・小夜の足跡を辿る旅に出る物語。妹に指摘されて未練が残る過去の恋に決着をつけることを決意した拓斗。遭遇する謎を気が利く賢い妹にフォローされつつ解きながら、小夜に繋がる手がかりを追ってゆく展開でしたけど、それは一方で妹もまた思い悩む自身の過去に向き合う過程に繋がっていて、これまで積み重ねてきた状況からつい小夜のその後を想像してしまいましたが、そんな結末をいい意味で見事裏切ってくれたとても素敵な物語でした。

 

6.本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)

本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)

本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)

  • 作者:上野 遊
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 文庫
 

生まれた時から意識があった文庫本『ホテル・カロン』。なかなか売れなかった文庫本と、ある一人の少女が出会い、ともに過ごしたかけがえのない日々の物語。病弱な女の子・銀河に勇気をもたらした『ホテル・カロン』との出会い。そんな密かに彼が見守る銀河の成長と、親友・睦月との邂逅、運命の相手・輝星とのと出会い。見守ることしかできない本の視点というのがもどかしくて、けれどそんな想いはかけがえのない彼女にもしっかり伝わってたんでしょうね...最後まで寄り添い続けた姿がとても印象的で、受け継がれてゆく想いを感じた物語でした。

 

8.昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)

昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)

昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)

 

平凡なサラリーマン・藤堂光弘。夫を愛する専業主婦・藤堂咲奈。誰もが羨む幸せな夫婦の二人が、妻の不貞と夫の裏の顔にそれぞれ気づき、互いの殺害計画を練りはじめる物語。夫パートを藤石波矢さんが、妻パートを辻堂ゆめさんが担当し競作する愛と笑いとトリックに満ちた「殺し愛」のストーリーで、勘違いがものの見事にハマってお互い疑心暗鬼になってゆく中、仲良かった相手を殺そうと巧妙な殺人計画を練るようになってゆく二人。そこに至る前に前に気づけなかったのか…とも思いましたけど、そのコメディめいた展開はなかなか楽しかったですね。

 

9.三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)

三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)

三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)

 

父が亡くなったことで、大名庭園を敷地内に持つ三日月邸を相続し、探偵事務所を開業した八重樫光一。そんな事務所を訪れた不思議な少女・咲に出会い三日月邸を巡る謎に迫る和風ファンタジー。「庭には誰にも立ち入らないこと」という亡父の謎の遺言。咲と踏み入った庭で出会った人々の悔恨と、彼らのためにそれを解消してゆくお人好し探偵・光一。八重樫家とは険悪の仲と聞いていた牧家の兄妹たちとの出会いがあって、明かされる過去や庭園の真相には切ない気持ちになりましたが、光一と不器用な牧兄妹たちのやりとりが妙にツボにハマる物語でした。

 

10.透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)

透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)

透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)

 

子供の頃から人助けが趣味だという柔らかな雰囲気の大学生・開登。そんな彼が出会った人々の手助けをして後悔を解消してゆく恋愛ミステリ。不登校の生徒を気にかける教師、ダンス仲間と仲違いしてしまった女の子、自らの後悔がわからない女子大生と、仕事に明け暮れるうちに大切なものを見失ってしまったネイリスト。出会った人々に寄り添いその後悔に一緒に向き合ってゆく開登という構図から、これまでのエピソードが次々と繋がってゆく中で見えてくるもう一つの真実があって、人のために奔走する優しい開登にもたらされた結末が素敵な物語でした。

 

11.蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)

蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)

蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)

 

蠱毒をこよなく愛し周囲から「毒の姫」とあだ名される斎帝国の第十七皇女・李玲琳。そんな彼女が最愛の姉である斎国の女帝・彩蘭の指示で魁国の王・楊鍠牙のもとへ嫁ぐ物語。華やかな衣裳や宝石より蟲が大好きな著者さんらしい強烈なキャラクターですけど、嫁ぎ先もまた鍠牙が命を狙われたりいろいろ物騒なところで、彼女の特技を活かしてその存在を認められてゆく展開はいいですね。姉に劣らず鍠牙も少しばかり執着気味なのはアレですが、結果から見れば水が合ったと言うかいい居場所を見つけられたのかな。そんな二人の今後が気になるシリーズです。現在2巻まで刊行。

 

12.執筆中につき後宮ではお静かに (ポプラ文庫ピュアフル)

自室に引きこもれるという理由で後宮入りし、日々執筆にいそしむ娘・青楓。謎の襲撃者たちに襲われたところを皇帝に救われ、愛憎渦巻く後宮の陰謀に巻き込まれてゆく中華風ファンタジー。皇帝から後宮の不審死事件の真相を掴むべく協力を命じられた青楓は意外と才色兼備なのに価値観がズレていて、自分を雑に扱う彼女を新鮮に感じる皇帝との距離感はこれからな感じでしたけど、個性的な上級妃嬪たちにも振り回され、複雑な想いを抱えながら事件を解決に導く青楓のありようがなかなか印象的で面白かったです。これは続巻を読んでみたいと思いました。

 

13.かくしごと承ります。  (メディアワークス文庫)

卒業証書や招待状の宛名などを毛筆で書く筆耕士・相原文緒。憧れの都築先生から請け負った数々の仕事を丁寧にこなしていく中で、文字にまつわる不思議な謎にしばしば遭遇する物語。お品書きに込められた故人の思い、命名書を依頼された家にあったノートに書かれた名前、秘密の暗号に込められた意味、五度目の招待状の理由、誰かのための嘆願書、そしてラブレター。文字に込められた思いを読み解いていく展開も良かったですけど、慎重でなかなか関係が変わらないけれど意識しているのは感じられる、もどかしい二人のその後をまた読んでみたいですね。

 

14.それってパクリじゃないですか? (集英社オレンジ文庫)

群馬の中堅飲料メーカー「月夜野ドリンク」の知的財産部に異動になった亜季が、親会社から出向してきた弁理士資格持ちの上司の北脇とともに、商標乗っ取り、パロディ商品、特許侵害といった知的財産のトラブルを解決するお仕事小説。悪徳企業に訴訟を起こされそうになった服飾ブランドを営む親友、自社製品のロゴを改変したパロディ商品の発覚、イラストレーターとのトラブルや、社運をかけて開発してきたお茶の発売中止の危機と、みんなが努力して開発した汗と涙の結晶の技術を守るために奔走する知的財産の様々な仕事をとても興味深く読めました。

関連作品:「上毛化学工業メロン課」 (集英社オレンジ文庫)

 

15.派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫キャラブン!)

派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫)

派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫)

 

自称飲食店社長の恋人に騙され、正社員として勤めていた会社を寿退社してしまった藤本あすみ、28歳。彼が姿を消し高額なカードの支払いだけが残ったあすみが、親友に説教され、ルーズな生活を立て直すべく奮闘する物語。正社員の当たり前はかけがえのないものだった…買いたいものも買えず、派遣社員としてすらなかなか次が決まらず、日雇いで稼ぐ日々はしんどいものがありますよね。すっかり生き方が変わったように見えた彼女の相変わらずな一面も垣間見えましたけど、そんな憎めないあすみがいつか幸せになれればいいなと応援したくなりました。

 

16.陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)

陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)

陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)

 

いつか一人前の陰陽師になることが夢の陰陽寮の童顔な新米役人・大江春実。うっかり召喚した美形のあやかし・雪羽に取り憑かれながら左大臣家で起きた怪事件に挑む物語。先輩の頼尚ととともに左大臣の邸・万華院へと向かい、雪羽に振り回されながらも幼い七姫に出会った春実が、頓死した使用人の男の事件の謎を追う展開で、万華院に住む人々が抱える複雑な想いが垣間見えましたけど、事件の真相はちょっと意外な結末でした。今回親交を深めた七姫との今後や謎も多い雪羽との関係が気になるところですけど…もし続巻あるならまた読んでみたいですね。

 

17.雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

 

花の郷の王・異花王の妹の身代わりとして黒金の大王のもとへ輿入れ命じられた少女・日奈。輿入れのため身を清めていた川で川彦と名乗る男と運命的な出会いを果たす和風ファンタジー。異花王のために生きてきた日奈と、自分の意思のない結婚に納得いかない川彦が彼女を攫って始めた彼女の見聞を広めるための旅。多くのものを見聞きした日奈は何が正しいのか分からなくなって、川彦にも向き合うべき役割があって、異花王にも彼なりの正義があって。運命に翻弄されつつもそれに向き合う彼女が今後どのように成長してゆくのか期待の新シリーズですね。

 

18.もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[あ]8-6)もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[あ]8-6)もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)

 

高校最後の夏休み。元競泳部で市民プールで監視員のバイトをすることになった島津満。そんなある日競泳選手用の水着を付けながら無表情で淡々と水中でもがく少女「ひぐらし」と出会う青春小説。「ひぐらし」と名乗る彼女につい声を掛けてしまい泳ぎや自転車、逆上がりを教える日々と、なかなか打ち解けない彼女が抱えていた秘密。もしそうなったらどうするのか、「ひぐらし」の絶望も浅野の決意も、諦めたくない満の想いも理解できるから複雑な気持ちになりましたけど、それでもかすかに残った淡い繋がりとこれからの未来を信じてみたくなりました。

 

19.藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

  • 作者:村田天
  • 出版社/メーカー: 一二三書房
  • 発売日: 2019/10/05
  • メディア: 文庫
 

学校一モテる藤倉君に自称・六八番目に恋をした尚。遠くから眺めるだけだった彼女が、ふとしたきっかけからモテすぎて女嫌いを発症した藤倉君の女除け役として「ニセ彼女」に立候補する青春小説。少女マンガのようにモテまくる藤倉を好きにならないという宣言から始まったニセ彼女生活。普通の男子生徒として扱ってくれる尚への安心感があって、一緒にいても苦にならない関係だからこそ少しずつ確実に変化してゆく二人の心境があって、ここまで拗らせるとどうなることか心配でしたけど、いつの間にか育まれていた大切なものに気づけて良かったです。

 

20.すべては装丁内 (LINE文庫)

すべては装丁内 (LINE文庫)

すべては装丁内 (LINE文庫)

  • 作者:木緒なち
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 文庫
 

著者から念願の詩集刊行ゴーサインをもらった新人編集者・甲府可能子。刊行条件でイラストの制約を受け、装丁デザイナー選びに苦戦する可能子が、編集長の紹介で腕利きだけれど偏屈な烏口曲に仕事を依頼するお仕事小説。情熱が空回りしがちな可能子と、理路整然と上から目線で仕事を選ぶ曲。一見、掴みどころのない曲にも、妥協をせずに最高のものを作り上げようとする熱い想いやこだわりがあって、彼に感化され多くの人に支えられながら、最高の一冊を作るために邁進する姿にはぐっと来るものがありました。続きが出るならまた読んでみたいですね。

 

以上です。下半期企画としてはあと「単行本」編が残っていますが、こちらもまだ読んでいない本が数冊あるので終わるかどうか若干不安もありますが、それを読んだら更新の予定です。よろしくお願いします。