読書する日々と備忘録

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2019年下半期注目のオススメ新作ライトノベル恋愛・青春小説20選

 というわけで19年下半期注目のオススメ新作企画第二弾「ライトノベル恋愛・青春小説」編です。12月刊行分ギリギリの新作までカバーした上でのセレクトで、19年下半期読んだ新作から選出した20作品です。今年はWEB発の青春小説がわりと出てきて今後が楽しみな作品も多いです。今後に期待の作品、印象的な作品が多いので気になる本があったら是非読んでみて下さい。なおジャンルのくくりは5つに分けた中で便宜上ざっくりと分けているものですので、そういうものだということで読んでいただければ幸いです。

  

1.探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)

  • 作者:二語十
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/25
  • メディア: 文庫
 

完全無欠に巻き込まれ体質で天使のように美しい探偵・シエスタの助手だった君塚君彦。その探偵と死に別れ高校生になり、日常というぬるま湯に浸っていた彼が一人の少女と出会う物語。ひとを探してほしいという依頼を持ってきた同級生・夏川渚、三十億のサファイアが盗まれるのを防いで欲しいというアイドル・斎川唯、そして探偵のかつての弟子・シャーロット。彼女たちと出会いが探偵の死によって止まっていた君彦の時間を動かし始めて、この一冊自体がまるごとプロローグという豪快な構成でしたけど、彼らがこれからどんな活躍を見せてくれるのか今後に期待したい作品ですね。20年1月に2巻目刊行予定。

 

2.天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

  • 作者:三田 千恵
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/12/30
  • メディア: 文庫
 

大好きなフリーゲーム制作者Aに会うため、桜山学園ゲーム制作部に入った水谷湊。しかしAと思しき部長の菖蒲は不登校で、彼女が学校に来るよう部員たちから託される青春小説。仲が良さげなゲーム部員が抱える苦い過去、そして湊のもとに送られてきたひとつのノベルゲームが示唆する過去。部員それぞれの事情が明らかになってゆくたびに彼らの印象も変化して、構図が二転三転した末の決着は新たな違和感に繋がって、確執が残る母とも向き合いつつバットエンドに隠されていた真相を見出して、大切な笑顔を取り戻してみせた結末がとても印象的でした。


3.塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

  • 作者:猿渡 かざみ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: 文庫
 

高嶺の花で誰に対しても塩対応な佐藤こはると、誰に対しても優しい押尾颯太。初々しくてもどかしい高校生二人の初恋物語。告白されても話しかけられても実はコミュ障で塩対応のこはる。そんな不器用な彼女が想い人に近づきたい一心で頑張って颯太だけに見せる様々な可愛い表情があって、彼女をフォローしようと頑張る颯太もいちいちカッコ良くて、そんなじれじれ初恋両片想いな二人の破壊力がスゴイですね。勘違いからすれ違いかけたり大きな壁が立ちはだかったりしても、勇気を出して前に一歩踏み出した二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

4.夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

  • 作者:八目 迷
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア: 文庫
 

海に面する田舎町・香崎。家族崩壊させた過去を悔やむ高校生・塔野カオルが、クラスで浮いた存在になっていた転校生・花城あんずと互いの欲しいものを手に入れるため協力関係を結ぶ青春小説。夏の日のある朝、塔野カオルが偶然耳にした、中に入れば年を取る代わりに欲しいものが何でも手に入る『ウラシマトンネル』の都市伝説。周囲との関係を拒絶していたあんずの言動はなかなかぶっ飛んでいましたが、彼女との協力関係から始まった二人の不器用なやりとりはとても甘酸っぱくて、大切なものに向き合った二人の結末にはぐっと来るものがありました。

 

5.友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:世界一
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: 文庫
 

目つきの悪さから不良のレッテルを貼られた友木優児。『主人公キャラ』池春馬以外に誰も近寄らない彼が、春馬の妹で美少女の池冬華に突然告白されるラブコメディ。腑に落ちない告白の真意を問いただす優児と、思うところあって彼とニセの恋人関係を結んだ新入生の冬華。外見がアレで不器用だから誤解されがちだけれど、困った人を助けることを厭わず、相手にきちんと真摯に向き合える優児の良さを知ってゆく人が増えていって、そんなエピソードを積み重ねて冬華の想いも変化してゆく展開がとても良かったです。これは続巻に期待の新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

 

6.わたしの知らない、先輩の100コのこと (MF文庫J)

わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)

わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)

  • 作者:兎谷 あおい
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/24
  • メディア: 文庫
 

最寄り駅が同じ以外接点がなく、毎朝顔を合わせるだけだった先輩と後輩。そんな二人がある日『1日1問だけ、どんな質問にも絶対正直に答える』という約束を交わす青春ラブコメディ。大部分の生徒と違う二人だけが通う通学電車で、話すことはなくても存在を意識していた二人。ふとしたきっかけから一つずつ質問を積み重ねていって、話すことや会うことが増えいくことで少しずつ二人の距離感も変わっていって、ミステリアスな小悪魔・後輩ちゃんの言動に先輩が振り回される二人の関係がこれからどうなってゆくのか続巻に期待したいシリーズですね。 

 

7.お隣さんと始める節約生活。 (ファンタジア文庫)

一人暮らしの高校生の間宮哲郎が、高校の先輩でもある同じ境遇の隣人山野さんが似たような境遇であることを知り、一緒に節約生活を始めてみる青春ラブコメディ。高校がバイト禁止という状況で、もう少し遊ぶお金を確保するには節約しか選択肢がない似たような境遇にいる二人。最初は自作の弁当を比べたり巨大なパンをシェアしたり、電気代を減らすために夏休みを一緒に過ごすようになったり、ベタながらも日常にあるドキドキの積み重ねから、お互いのことを少しずつ意識してゆく展開がいいですね。そんな二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

8.カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています (角川スニーカー文庫)

カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています (角川スニーカー文庫)
 

クリスマス直前に彼女に浮気されて別れた大学二年生の羽瀬川悠太。そんな傷心の彼がサンタのバイトをしていた後輩・志乃原真由と出会う青春小説。いつの間にか懐いて勝手に家にまで上がり込んでくるようになった後輩・志乃原と、付き合いが長い友人ヒロイン・彩華、そして悠太を気にかける元カノの存在。三者三様のヒロインたちはそれぞれに事情があるようで、その妙に狭い人間関係の繋がりも地味に効いていますが、単純な恋愛模様にはならなさそうな彼女たちとの繊細な距離感や関係がこれからどう変わってゆくのか、続巻に期待の新シリーズですね。

 

9.娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)

娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)

娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)

  • 作者:望 公太
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/12/10
  • メディア: 文庫
 

就職したばかりなのに両親を亡くした幼馴染を引き取って育ててくれた綾子さん。そこから十年...幼馴染同士の恋を応援していた彼女が、大学生になった男の子・左沢巧にまさかの告白をされる恋愛ラブコメ。思ってもみなかった告白に動揺する綾子さんが可愛くて、障害だったはずの諸々もあっさりクリアされて外堀が埋まってゆく展開には苦笑いでしたが、何より十年間頑張ってきた一途な巧の想いが眩しかったですね。あとは自分次第という急展開についていけず、迷走したり暴走してしまう微笑ましい彼女と二人の恋を生温かく見守りたいと思いました。

 

10.朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J)

  • 作者:間 孝史
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 文庫
 

クラスメイトの悪ノリから罰ゲームとして、学校一の嫌われ者・入間晴斗へのウソの告白を強要された内気な女子高生・朝比奈若葉。最初は嫌々始まったはずの晴斗との交際が、彼女を少しずつ変えてゆく青春小説。最初はやらされている感が満載だった下校やデートで、自分を気遣ってくれる晴斗の優しさや人間性に触れ、少しずつ彼を見る目を改めてゆく若葉。二人を取り巻くキャラも立っていて、彼女自身も明るさを取り戻していって、無自覚のうちにかけがえのない存在になってゆくのが分かるからこそ、最後の展開から続巻がどうなるのか気になりますね。現在2巻まで刊行。

 

11.由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)

  • 作者:斉藤 すず
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/17
  • メディア: 単行本
 

リアルなヒューマノイド「TOWA」を助けたい想いが空回りして挫折した若宮氷雨。世間から逃げるように鎌倉に機械修理相談所を開いた彼の元に、TOWAの結を伴った戸川が訪れる物語。十五億で結を売ってほしいという戸川の依頼から買ってくれる人を探すことになった氷雨。束の間の彼女と共に過ごす日々で少しずつ変わってゆく心境。けれどそれに素直に向き合えない苦い過去があって、不器用過ぎる氷雨の葛藤もありましたけど、様々なことが繋がって明らかになってゆく過去や、今の大切な想いにきちんと向き合えた結末がとても素敵な物語でした。

 

12.俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)

  • 作者:紫ユウ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: 文庫
 

ド底辺を自覚してバイト漬けの自堕落な一人暮らしを送る高校生・常盤木翔和。ある日同じ学年の癒し系美少女・若宮凛を空腹から救ったことがきっかけで懐かれてしまう青春ラブコメ。最初はポテトで?とも感じましたけど、ドーナツ好きもあったのかバイト先に通うようになった凛に懐かれながら、二人の距離感に配慮する翔和がいつもと違って珍しかったんですかね(苦笑)意外にぐいぐい来る凛に友人カップルの後押しもあって、頑張りつつも勘違いしないようにと必死な翔和と宣戦布告した凛の微笑ましい関係をこれからも見守っていきたいと思いました。

 

13.疎遠な幼馴染と異世界で結婚した夢を見たが、それから幼馴染の様子がおかしいんだが? (角川スニーカー文庫)

かつては仲良かった幼馴染・神崎天音とすっかり疎遠になってしまっていた天地夢次が、『夢を操る方法』という怪しげな本を拾い、異世界で幼馴染と結婚する夢を見る学園ラブコメ。今ではすっかり人気者の幼馴染と埋没している主人公が、夢の中で起きたことをきっかけにその大切な関係を取り戻してゆく展開で、そんな二人の不器用でも変わっていなかったそれぞれの思いも明らかになっていって、そして大切な彼女の危機的状況を打開すべく、リアルでも夢の中でも奮闘する展開は本当に良かったです。もし続巻があるようならまた是非読んでみたいですね。

 

14.1LDK、そして2JK。 (ファンタジア文庫)

1LDK、そして2JK。 ~26歳サラリーマン、女子高生二人と同居始めました~ (ファンタジア文庫)
 

父の頼みで疎遠だったギャルJKの従妹・奏音を預かることになった独身サラリーマン・駒村。そんな帰りに痴漢から助けた家出JK・ひまりも転がり込んでくる同居物語。母親が失踪して行き場をなくした奏音と、夢を諦めたくない一心で家出したひまり。タイプの違う二人にもそれぞれ抱く複雑な想いがあって、それを戸惑いながらも同居を始めた駒村が真摯に支えたいと思う姿がいいですよね。そんな状況で現れた駒村の幼馴染という強力な伏兵出現は物語の重要なポイントになりそうですけど、ここからどう展開していくのか今後が楽しみなシリーズです。

 

15.黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

  • 作者:八奈川 景晶
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/20
  • メディア: 文庫
 

奨励会三段リーグを全勝しながら突如理由も告げずに将棋界を去った天才棋士・長門成海。そんな彼のもとに強くなりたい一心でゴスロリ猫耳姿で女流棋士・三河美弦が弟子入りを志願する将棋小説。服装にインパクトはありますが、ストーリーとしては将棋から距離を置いていた成海が、将棋で強くなるために真っ直ぐにぶつかってくる美弦の熱い想いに心揺さぶられてゆく展開で、美弦の姉で女流棋士の美夏や初心者の大家の娘・茜も絡めつつ、真摯な想いを胸に秘めた美弦が因縁のプロ棋士加賀薫七段に挑む戦いとその結末には強く心に響くものがありました。

 

16.異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:伊藤 ヒロ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/30
  • メディア: 文庫
 

2006年、春。トラックにはねられて死んだ息子・タカシの遺したプロットを元にファンタジー小説を書きだした母・フミエ。そんな状況にうんざりするタカシの妹・チカが、タカシをはねた運転手・片山に相談する物語。片山が提案し、タカシの死から止まったままの時間を少しずつ動かし始めたウェブ小説の連載。ウェブ小説の扱いや公開したことで直面した悪意の数々や当時の時代感を懐かしいなと感じましたけど、一方でそれをきっかけに様々な思惑を持った人たちとの関わりが生まれて、それが停滞していた状況を変えてゆく展開が印象的な物語でした。現在2巻まで刊行。

 

17.私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)

私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)

私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:有丈 ほえる
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

近隣高校の映画部から依頼を受け、映像に効果音をつける「音屋」を営んでいた高校1年の豊響。音響効果への情熱を失いくすぶった毎日を送っていた彼の元に宇津々きさらが現れ、自主映画制作にスカウトする青春小説。きさらとカンナが中心となって立ち上げた自主映画制作集団『余命三年』。魅力的な彼女たちが撮った映像に衝撃を受け、彼女たちと関わるうちに心揺さぶられ、熱い想いを取り戻してゆく彼の音響アイデアはなかなか興味深くて、困難を抱える仲間のために奔走する彼らの青春はとても良かったです。これは続巻も楽しみな新シリーズですね。

 

18.夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)

夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)

夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:園生 凪
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/30
  • メディア: 文庫
 

友人・カッツンの家に居候させてもらいだらけた日々を送る23歳、職歴半年のニートの天木颯。そんな彼が夢をコントロールする方法を記載したブログを見つける物語。颯が抱える10年前に交通事故で死んだ初恋の女の子・霧崎紗耶香に対する3つの後悔。リアルでは相変わらずな日々を送りながら、夢の世界で紗耶香と会うことにのめり込んでいく颯。著者さんらしどこか気怠そうな世界観で、夢の世界で背中を押してくれた紗耶香や、ダメンズな彼を見守るマキたちに出会い、積み重ねた思いを胸に新たな一歩を踏み出す展開はなかなか良かったですね。

 

19.世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)

世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)

世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:海老名 龍人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/30
  • メディア: 文庫
 

幼馴染で文芸部に所属し、ささやかな特殊な力を持つ壇上貫地と石野美香、阿久津吾郎。その力を使って世界征服を目指す彼らが、目的を叶えるために求めていた能力を持つ後輩・開田環子と出会う青春小説。それぞれが抱える人に言えない密かな想いを叶えるため世界征服を目指していた三人と、その危うくも均衡していた彼らの関係に波紋を投げかけた環子の能力。世界征服のお題目はやや消化不良でしたけど、葛藤しながらも決着をつけてゆく三者三様の決断はどこまでも自らの想いに真摯で、彼らのその後が描かれたエピローグがとても印象的な物語でした。

 

20.あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:氷高 悠
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: 文庫
 

感情が昂ぶると最悪死に至る病『感情性自己免疫疾患』。そう診断されて以来、感情を無価値なものだと思い生きてきた四東愛都が、笑顔を絶やさない元気なクラスメイト奈々川恵実と出会う青春小説。事情を知らないまま一緒に過ごす時間を増やしていく積極的な恵実、愛都を見守ってきたいとこの春乃と主治医の橙香。命を落とすかもしれないと知りつつも育まれてゆく感情と、大切な存在だからこそ分からなくなってゆく複雑な想いがあって、手放したくない共にありたいと葛藤し続けた二人の選択がとても印象的な物語でした。

 

 以上です。残る下半期企画もキリのいいところで上げていきたいですが、ここまで年末も押し迫ると諦めも肝心かもしれないですね…(苦笑)