読書する日々と備忘録

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【番外編】巻数少なめの印象的なライトノベル青春小説20選

これまで一冊で読めるシリーズをセレクトしていて、この前提で選ぼうとするとこれからいかにも続巻が出そうな作品とか、2巻以上出てる作品は選べないという至極当たり前のことに気付かされました(苦笑)このままなのも残念ですし、部活小説枠を除くとライト文芸と一般文庫はほとんどなかったので、ライトノベルで巻数少なめのこれから期待の作品14点+完結済作品6点を番外編として今回セレクトしました。

 

思うにだいたい6巻以上出ている作品は自分がわざわざ紹介しなくても認知度も高く、また今から読むのもハードルが高いですが、これからの作品は知ってほしいですし、巻数少なめで完結している印象的な作品はたくさんあります。特に新作は続きも読みたいですし、これからもっと伸びてほしい作品なのでどんどん推していきたいです。ちなみにラノベの部活小説枠は点数自体があまりなかったので今回の中に組み込みました。

 

1.三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

 

過去の苦い経験から「偽りの自分」を演じてしまう高校生・矢野四季が、印象的な出会いを果たした物静かな転校生・水瀬秋玻に惹かれ、彼女ともうひとりの人格・春珂を支えるようになってゆく不思議な恋物語。しっかりものの秋玻と対照的な危なっかしい印象の春珂。状況的に春珂をフォローすることが多い四季と二人を見つめる秋玻の繊細な距離感がまた絶妙で、大切な存在なのにすれ違ってしまうやるせなさだったり、ごまかさずにきちんと想いをぶつけてゆく彼らの青春がとても良かったですね。終盤の挿絵の使い方も効いていました。19年5月に3巻刊行予定。

2.友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

 

青春の一切を非効率とする俺・大星明照が目指す伯父の会社への就職。ウザい親友の妹・彩羽に絡まれつつ、就職の条件として提示された幼馴染従妹・真白の偽彼氏役に挑む青春ラブコメディ。学校では存在感皆無の生活を送る明照と、彼に絡み部屋に入り浸る親友の妹・彩羽、最悪の再会から険悪な雰囲気の真白。親友を含めた周囲の登場人物にはそれぞれ抱える事情があって、陰キャラに甘んじる明照が仲間のためなら頑張る姿を見ると、彼らに慕われているのも納得ですね。気になる関係に投げ込まれた波紋で物語がどう動くのか、今後に期待大の新シリーズ。

3.ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?(GA文庫)

電車で痴漢に遭っていた女子高生・織原姫を助け、そんな彼女に惹かれてゆく男子高校生・桃田薫。しかし好きになったJKの正体はアラサーのOLだったという年の差ラブコメディ。高校生と一回り近く年上のアラサーという組み合わせはいろいろ考えてしまいますが、懐かしいあるあるネタでたびたび世代間ギャップに凹みながらも、天然で素の反応が可愛くて破壊力抜群の姫と、その魅力にドキドキしながら真摯に向き合おうとする不器用なモモの距離感がとても良かったですね。いろいろ前途多難な二人がどうなってゆくのか期待のシリーズです。現在3巻まで刊行。

4.あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

 

一年に一度、願いが叶う宿星市に住む風祭叶羽が、十七歳の誕生日に出会った先輩・逢見燈華。願いを叶えるために星の幸魂の試練を課された燈華と、姉を喪い傷心を抱える叶羽の優しくて少し痛い奇跡の青春小説。病床にあった姉との悔いの残る別れから、写真を撮ることを止めてしまった叶羽が、人知れず試練を抱えていた燈華と出会い、振り回されながらも惹かれていく展開で、登場人物たちの不器用で甘酸っぱい想い、そして絶望を救おうと奔走する真摯で一途な想いがもたらした奇跡はとても素晴らしかったです。続巻も気になる期待の新シリーズですね。

5.虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん (オーバーラップ文庫)

虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.1 (オーバーラップ文庫)

虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.1 (オーバーラップ文庫)

 

たまたま虐殺スペックな女子高生・赤三月朝火の自殺を阻止した低スペックの九木野瀬伊吹。翌朝、朝火から脅迫されて『人生の攻略本作り』を手伝わされる青春小説。容姿端麗の人気者で多才な朝火の素の性格はわりとあれで、低スペックと言われる九木野瀬は屈折した現実主義の努力家。まずは周囲に妬まれて孤立する下級生・黒花(彼女もいい性格w)が直面する困難の克服に協力する展開でしたが、何だかんだでわりといいコンビっぷりを見せた二人はそれぞれ事情を抱えているようで、その関係が今後どう変わってゆくのか続巻に期待大の新シリーズです。19年4月に2巻刊行予定。

6.キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

 

 余命半年を宣告されて大学を中退し実家でニートと成り果てた松本修。昔からの悪友・トミさんの誘いで母校の中学校を訪れた修が、かつて突き放した因縁の幼馴染・桐山鞘音と再会する青春小説。人生に絶望して投げやりな日々を送る修の後悔と、シンガーソングライターとして不調に陥り戻ってきた鞘音の覚悟。トミさんを介して昔のような不器用な二人の交流が再開して、鞘音と最後の共演のために覚悟を決めて自らを追い込んでゆく修。その過程で取り戻してゆくお互いの大切な想いと、彼らの決意がもたらしたエピローグにはぐっと来るものがありました。現在2巻まで刊行。

7.ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

 

日本全国から集まった卓球エリートがひしめく私立卓越学園。そこにかつて天才卓球少年と呼ばれた飛鳥翔星が入学し、完敗した一年生最強の女子・白鳳院瑠璃と組んで、その姉で自らの因縁の相手でもある学園最強の女子・紅亜に挑む青春小説。膝の重症を乗り越えかつて対戦した少女を探していた翔星と、紅亜を負かすことに執念を燃やす瑠璃の共闘関係。衝突しつつも勝ちたい一心でのめり込んでいく、身を焦がすほどに卓球を愛する二人が挑む熱い勝負はこれまで積み重ねてきた想いもカタルシスに繋がっていて、そんな物語の結末もまた効いていました。

8.ゴスロリ卓球 (電撃文庫)

ゴスロリ卓球 (電撃文庫)

ゴスロリ卓球 (電撃文庫)

 

突然失踪した卓球部のエースで幼馴染の羽麗。父親の抱える8000万の借金返済のため彼女が裏賭場で戦うことを知った坂井修が、幼馴染を救うため共に命賭けの無謀なギャンブルに挑む物語。ゴスロリ卓球は一見微笑ましいのにレバレッジの変動で勝負と獲得金額が一致しないヤバイ闇卓球で、一歩間違えば奈落の底という緊張感のある状況でしたけど、卓球以外は残念美少女の羽麗とお世話係と化していた修の距離感や、お互いが傍らにいたらどんな境遇でも信じて頑張れると思えてしまう幸せそうな二人の関係にはぐっと来るものがありました。現在2巻まで刊行。

9.君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

 

ほぼ全ての人工衛星が落下した大流星群から三年。たった一人の犠牲者・天野河星乃を救うため、全てを諦めかけていた平野大地が希望を見出し運命に抗う物語。宇宙飛行士だった両親の夢を追いかけていた星乃。コスパ重視だった人生も彼女を失いやる気をなくしていた大地。希望を見出すものの思うようにうまく行かなくて、それでも大切なものを取り戻すという熱い決意を胸に、危機になりふり構わず奔走して、醒めていた大地自身もまた変わってゆく展開はテンポも良くて、変化したことがこれからどう影響していくのか、非常に楽しみな新シリーズですね。現在3巻まで刊行。

10.つるぎのかなた (電撃文庫)

つるぎのかなた (電撃文庫)

つるぎのかなた (電撃文庫)

 

高二の春に藤宮高校に転校してきた水上悠。そんな彼が負けず嫌いな新入生・深瀬史織と出会い、一緒に剣道部に入部する青春小説。昔、剣道で最強と呼ばれながら一度はその座を降りた悠を少しずつ変えていった剣道部の仲間たちとの出会い、剣姫と呼ばれる吹雪との運命的な邂逅と、かつての約束に妄執する吹雪の兄で高校剣道界最強の男・快晴。複雑に絡み合う因縁と剣道に賭ける想いをぶつけ合う熱い戦いがあって、不器用なヒロインたちも自分の想いにまっすぐで、荒削りなところも散見されましたが、それでも十分に魅力的な物語に仕上がっていました。

11.継母の連れ子が元カノだった (角川スニーカー文庫)

中学生の時に恋人となり些細なことですれ違い、卒業を機に別れた伊理戸水斗と綾井結女。そんな二人が高校入学を機に再婚した親の再婚相手の連れ子として同居する青春ラブコメディ。思ってもみなかった形での最悪の再会と些細なことで衝突する二人。終わったはずなのにふとした拍子に思い出す黒歴史に赤面し、素直になれないけれど何だかんだ言いながらお互いの存在を気にかけていたり再評価したり。恋愛ROM専やぐいぐい介入してくる友人たちに振り回されつつ、再び少しずつ育まれてゆく二人の関係がどう変わってゆくのか続編がとても楽しみです。19年5月に2巻刊行予定。

12.子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

 

両親が共働きで5歳の妹・蕾のために日々を過ごす子守リ男子・新垣日向。そんな彼が偶然クラスメイトの芹沢悠里とスーパーで出会ったことをきっかけに、その高校生活が変わってゆく青春小説。蕾の可愛らしさに魅せられ、日向を意識するようになってゆく悠里。そんな二人を面白がる悠里の親友・唯やヒロインたちに振り回される日向の親友・雅も関わるようになって、疎遠になっていた後輩・日和との再会もあって。物語としてはまだまだこれからな感もありますが、変わり始めた日向の高校生活がどうなってゆくのか、今後に期待大の新シリーズですね。

13.青春敗者ぼっち野郎、金髪尻軽ギャルのお気に入りになる (角川スニーカー文庫)

ぼっちで昼休みに勉強ばかりしているガリ勉の一条純が、いかにもギャル風で噂も多い橘かれんに勉強を教えてほしいと請われ、そこからいろいろ変わってゆく青春ラブコメディ。ぐいぐい来るかれんに何で自分がと思ううちに教室でも話しかけられるようになって、クラスでの立ち位置も変わってゆく一条。最初は戸惑いながらもちゃんと向き合うようになってゆく彼は面倒見のいいやつで、見た目があれなかれんもまた真っすぐで応援したくなる二人ですね。かれんを意識するようになってツンデレ気味だった一条が陥落する日も近い?現在2巻まで刊行。

14.ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

 

 

高校入学を機に「主役理論」を掲げ夢の一人暮らしを勝ち取った我喜屋未那。彼が隣に住むクラスメイトで、バイト先も趣味嗜好も同じなのに真逆の「脇役哲学」を掲げる少女・友利叶と遭遇する青春小説。運命的出会いなのに相容れない天敵な二人が部屋の壁を壊してしまったことで始まる疑似同棲生活。脇役哲学がややしっくり来なかった感はありますけど、暑苦しくてやる気が空回る未那とやる気がないデキる女なのに振り回される叶が繰り広げる、いがみ合いながらも息の合ったやり取りが楽しかったです。接続章がどう今後に繋がるのか気になりますね。現在2巻まで刊行。

15.ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

 

 訳あって親友以外の他人との接触を断ち、部員が自分だけのジャーナリズム研究会に属する高校2年生の啓介。しかしうっかり美人な先輩の白鳥真冬の抱える謎を解いたことをきっかけに様々な事件やトラブルに巻き込まれてゆく日常系ミステリ。真冬のジャナ研入部により少しずつ変化し広がってゆく啓介の世界。彼が親友の大地や良太郎の協力も得ながら解いてゆく謎の真相。当事者にとってはほろ苦い結末であることが多かった一方で、それが停滞から前に進むための転機にも繋がっていて、巻数を重ねるたびに良くなっていった物語でした。全5巻。

16.佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! (ファミ通文庫)

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

 

高校二年生の春、ひとり暮らしを始めるはずだった弓月恭嗣が、不動産屋の手違いでひとつ年下の帰国子女・佐伯貴理華と同居するはめになってしまう物語。無防備な距離感で接してきて家の中と外とでは印象が違う佐伯さんと、苦い過去を持つがゆえに家の外では一定の距離を置こうとささやかな抵抗を続ける弓月くん。表情豊かでキャラとしてもよく動いている佐伯さんとの同居生活が弓月くんを少しずつ変えていって、その変化がクールな弓月くんの元カノ宝龍さんや周囲の友人たちにもまた影響を及ぼしてゆく展開はとても良かったです。全5巻。

17.東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)

東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)

東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)

 

ひょんなことから兄の持っていた雑誌で、普段一緒に図書委員を務める東雲侑子が作家であることを知った英太は、長編を書くためにという理由で侑子から仮の男女交際を依頼される。英太はつかみ所のない侑子に戸惑うことも多かったようですが、その存在が英太の心境の変化をもたらし、恋愛感情のよく分からなかった侑子もまた、英太に徐々に惹かれていって、その不器用な距離感が何ともまた見ていてもどかしくて、そういった繊細な機微の描写がとても良いですね。全3巻。

18.近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 (ファミ通文庫)

母と二人で暮らす家で、同い年の遠い親戚の女の子和泉里奈と同居することになった高校生の坂本健一。彼女の出現によって様々な変化がもたらされてゆく物語。兄にコンプレックスを抱き他人との距離に悩む健一と、控えめながら女子校育ちで無防備な里奈。近過ぎるのにどこか遠い彼女を意識し友人たちに知られたくないと感じる健一に気づき、心穏やかではいられない幼馴染・由梨子。最近希少のオーソドックスな構成で、著者らしい繊細な心理描写は今回も健在。終盤にもたらされた波紋から揺れ動く心情描写が印象的な作品です。全2巻。

19.友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

 

妙なこだわりで高校で友達ができない新藤大輔に、存在感のないクラスメイト澄田が持ちかけてきた困ったときに助け合う「友達いらない同盟」そんな同盟から始まる二人の物語。それぞれが複雑な家庭事情を抱えてはいるけれど、一見同じようでいてまるで対照的な新藤と澄田。グループから浮いた城ヶ崎も加わって三人で楽しそうに見えたのに、なぜか澄田が距離を置くようになってゆく危機的状況でしたが、本音で引き留めようとする新藤の提案はかなり無茶苦茶でしたね(苦笑)このレーベルでたまに出てくる不思議な魅力のある物語です。全2巻。

20.きれいな黒髪の高階さん(無職)と付き合うことになった (GA文庫)

サークルも幽霊部員と化して暇を持て余し気味だった京都の大学二年生・日之出。再起を期して潜り込んだ新歓コンパでミステリアスな年上ニートの高階さんと出会う青春小説。高階さんが言った「付き合って欲しい」の真意を確かめられないまま、ゆるゆるとした日々を共に過ごすうちに少しずつ心境が変わってゆく日之出。サークル仲間の祭利や彼が家庭教師を務めるJK彩乃も絡めた人間模様にはこれまで育まれてきた確かな関係があって、彼女たちとのドキドキ展開が恋愛に直結しなくても、これはこれで悪くない大学生活なのかなとか思ったりしました。全2巻。

 

以上です。気になる本があったら是非手にとって読んでみて下さい。