今回は7月のガガガ文庫・集英社オレンジ文庫、新刊感想まとめです。内訳はガガガ文庫が続巻5点、新作2点、集英社オレンジ文庫が続巻2点、新作4点の計13点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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白き帝国: 約束の戦旗 2(ガガガ文庫)
黒薔薇騎士団による包囲を突破したガトランド王家の主従七人。小さな飛行艇に乗りサルペドン子爵の庇護を求めて蛮族が割拠する無法の地、タイタス原野を目指す第2弾。出自も目的も性格も異なる、仲がいいのか悪いのかよくわからない旅路を続ける七人と、包囲した騎兵隊を率いる姫騎士エアステラ、そして謎の弓使いヴァネッサとの邂逅。黒薔薇騎士団側が反乱を起こした背景や事情も明らかにされて、絡み合う複雑な因縁が今後の展開に影響を及ぼしそうでしたが、 逆境でも変わらないヒロインたちとのわちゃわちゃした掛け合いが楽しくて、運命に導かれるようにガガのもとに次々とキーマンたちが集まって、苦境や見せ場もしっかりありましたけど、物語の構図が大きく変わり始めた今後の展開が楽しみです。
小説 夜のクラゲは泳げない 3 (ガガガ文庫)
屋久 ユウキ/popman3580/谷口淳一郎/JELEE 小学館 2024年07月18日頃
ついに目標のフォロワー10万人を達成した「JELEE」。年末にMVを作ろうと盛り上がる中で、まひるに同時期に行われるサンフラワードールズのイベント用イラストの仕事が舞い込んでくる第3弾。今まで通りファンの期待に応えたいという花音にまひるが覚えた違和感。花音の母・雪音のオファーに迷いながらも話を聞きにいくまひるに複雑な想いを抱く花音という構図から、「JELEE」が空中分解の危機を迎えてしまう展開で、自分が描いた絵を自身が好きになれないまひるが抱えるコンプレックスや、花音や龍ケ崎ノクスの苦い過去も明かされてゆく中、それぞれが葛藤を抱えながらもそれを乗り越えて、再集結した彼女たちが最高のパフォーマンスを見せてくれる熱い展開はなかなか良かったです。
負けヒロインが多すぎる! 7 (ガガガ文庫)
進級した温水たち文芸部が部員不足で陥った廃部危機。そこにあざとく可愛い後輩女子白玉リコが小抜先生の紹介でやってくる第7弾。新歓の部活紹介で思い切りスベってしまったことで、新入部員獲得に暗雲が漂う文芸部。その廃部危機を救ってくれる救世主の後輩…と思いきや入学早々トラブルを起こして停学中だった超問題児の加入。その理由が明らかになる中で彼女の結婚式場への潜入ミッションこと「白玉リコ・リベンジ大作戦」に巻き込まれる文芸部たちという構図でしたけど、可愛くてあざとくて抜け目ない彼女に振り回され、それが面白くない他のヒロインたちへの対応で大変な温水には苦笑いでしたが、新たな後輩マケイン加入でますますカオスなことになりそうですね…。
負けヒロインが多すぎる! SSS (ガガガ文庫)
これまで生み出されてきた膨大なボリュームの特典SS、フェアSS、のんほいコラボSSなど40篇以上を収録した、負けヒロインたちの幕間ショートショート短編集。各巻ごとにまとめられた各種店舗特典などをまとめた構成になっていて、三洋堂書店や積文館書店独自や地元とのコラボがあるのが目を引きましたが、導入部分ではいろいろあっても結局食い物ネタのオチになってしまう八奈見は、気がつけばいつも何か食っていて大丈夫なのか感もありましたけど(苦笑)、書店エピも多い小鞠や快活な焼塩、甘酸っぱいエピや馬剃を絡めたネタも多い志喜屋、お兄ちゃん愛が炸裂している佳樹など、ヒロインたちそれぞれの特徴がよく出ているSSが多くて楽しかったですね。
変人のサラダボウル7 (ガガガ文庫)
異世界へと逃れたオフィム帝国最後の皇族であるサラを抹殺するため、岐阜の地へと送り込まれた三人目の異世界人アルバ。サラの友人・友奈ひょんなことから女子高生探偵として名を上げる第7弾。暗殺指令など守るわけもなく、晴れて自由の身となって過去を捨て、暗殺者の技術を生かしながら岐阜の地で自由に生きることを満喫するアルバ。一方、オリエンテーション合宿で事件を解決して、テンパってむしろ注目を集めてしまう友奈。相変わらずとんでもないカリスマっぷりが際立っていたサラや、生きたいように生きているだけで言動はドクズなのに、人との縁に恵まれて波乱万丈な人生を送る剣持命ことリヴィアなど、それぞれの濃い人生がが交錯してこれからどんな展開に繋がっていくのか・・・リヴィアはほんと自由人ですよね(苦笑)
砂の海のレイメイ: 七つの異世界、二つの太陽(ガガガ文庫)
空に七つの異世界が浮かび、文明は砂海に沈んだ世界。敵艦隊から旧文明の遺物を強奪した砂漠海賊レイメイが、その中で冷凍睡眠していた少年ゲットと運命的な出会いを果たす世紀末航海譚。親兄妹の仇でもある武装勢力ストランド・フリートにドリル潜航艇で抗い続けて、百年の眠りから覚めた旧文明の忠義の忍を見初めたレイメイ。強引なところもある彼女に最初は反発するものの、影として使えるに値する器を持った主、そして快活な相棒として徐々に認めるようになってゆくゲット。2人で敵勢力を切り崩して仲間を増やしながら、思わぬ形で再会したそれぞれの過去の因縁にもしっかりと向き合い、それを乗り越えて敵首領ダンテの野望を阻止するために立ち上がる熱い展開とその結末はなかなか痛快な物語になっていました。
夏を待つぼくらと、宇宙飛行士の白骨死体(ガガガ文庫)
緊急事態宣言から日常を取り戻しつつある中、受験勉強が本格化する前の思い出作りに深夜の旧校舎に忍び込んだ幸田理久と幼馴染たちが、宇宙服を着た白骨死体を発見する青春ミステリ。疎遠だった幼馴染たちが旧校舎で見つけた死体は本物なのか、なぜ宇宙服を着ていたのか。他校に進学していた乃子も巻き込んで、高校最後の夏をかけて奇妙な謎の真相に挑む幼馴染の4人。宇宙服や残された暗号を手がかりにした様々な出会いから、調査は思わぬ形で広がりを見せていきましたけど、同時に密かにかつての絆を取り戻すきっかけにしたい、幼馴染たちの切なる想いも浮き彫りになっていって、事件の真相は案外こんなもんだよな…と感じましたけど、一緒に最後までやり遂げたその結末には確かな希望があったと思いました。
京都伏見は水神さまのいたはるところ ずっと一緒 (集英社オレンジ文庫)
高校1年生の時、東京から京都伏見に来てから早や8年。長い時間かけて、ゆっくり気持ちを確かめ合った2人が遂に結婚する第10弾。自分たちが故郷に帰るのを待って、拓己が夏にひろにプロポーズするらしいと知った「清花蔵」の蔵人たちの行動。ひろの父が京都を避けていた理由、シロを気に掛ける花簿の想い、そしてずっと一緒だったシロとの関係。人ならざるものたちの間でも2人の結婚が噂になっていたことには苦笑いでしたけど、シロといい喧嘩仲間だった感もあった拓己もいろいろ考えていたんだな…としみじみ思う今回の展開があって、切ない別れからの最後のオチの流れまで含めて、ひろと拓己らしく焦らず想いを積み重ねてきて、みんなで祝福してもらえた結末には感無量でした。
それってパクリじゃないですか? 4 ~新米知的財産部員のお仕事~ (集英社オレンジ文庫)
奥乃 桜子/U35 集英社 2024年07月18日頃
瀬名の策略で会社の内部情報を漏洩の疑いを掛けられ、追い詰められていた亜季を救った北脇。そんな2人が瀬名を呼び出して反撃に出ようと試みる第4弾。亜季を操りやすい相手と侮っている瀬名を相手に、その心無い言葉にも冷静さを失わず、今回の特許侵害にパテント・トロールが関与している言質を見事もぎ取ってみせた亜希。敵もボスが自ら出張ってきた月夜野ドリンクの看板商品を巡る攻防には緊迫感があって、現在進行形で進む判例の影響や、差止請求や特許無効請求といった、状況を見ながら臨機応変に対応していく難しさもありましたけど、困難な状況にも最後まで諦めず今の自分にできることを全てぶつけて、見事やり遂げてみせた2人が迎える不器用で何とも微笑ましい結末はなかなか良かったです。
香さんは勝ちたくない 京都鴨川東高校将棋部の噂 (集英社オレンジ文庫)
京都鴨川東高校に入学した鈴木直。料理が好きで調理部に入部した彼が、先輩から将棋部の「王様」こと東香の交際対局の噂を聞き、彼女に勝負を挑む青春小説。実は直の初恋で将棋を教えてくれた人で、将棋を辞めたきっかけでもあった香。すっかり疎遠になっていた彼女の「弱い人とは付きあわない」という言葉が変換されて不名誉な噂が流れているのを知り、彼女の置かれている状況を打開するために勝負を挑む直。とはいえ彼女とは歴然とした実力差があって、その差を埋めるために彼女の棋譜や戦い方などをいろいろ調べていく中で、過去の発言には誤解があり、実は意外と分かりやすい香が抱える複雑な想いも明らかになっていきましたけど、なのになかなか気付いてもらえない直との何とももどかしい関係が微笑ましかったです。
おひれさま ~人魚の島の瑠璃の婚礼~ (集英社オレンジ文庫)
同級生さつきの葬儀に出席するため、故郷の離島へ帰省した京都の美大生・柚希。人魚の別称『おひれさま』を強く信仰する島で、さつきの死を巡る謎が浮かび上がるミステリ。一組の男女が婚礼を行い島守になる島の因習に選ばれた柚希が惹かれているのは、花婿役の翔馬ではなくかつて自分を助けてくれた明人で、祟りに怯える島民に婚礼を急かされながら、因縁に抗うように惹かれ合う二人。因習にこだわる年長者たちと、それに反発する対峙する若者たちという構図から、明らかにされていく島の秘密があって、そこからさつきの死や島守を巡る何とも皮肉な真相もありましたけど、一連の騒動を乗り越えて結ばれた彼女たちが迎える結末がなかなか印象的な物語になっていました。
君と、あの星空をもう一度 (集英社オレンジ文庫)
親の転勤で生まれ育った街に戻ってきた高2の紘乃。転入した天文台のある高校で、幼馴染の年前に一緒にスピカ食を見る約束をしていた彗に再会する青春小説。約束の日も近づく中でせっかく運命的な再会を果たしたのに、なぜかもう星は観ないとそっけない彗の態度。しばらくして紘乃が知らされる衝撃的な事実と、彗が旧校舎の天文台に出入りしていた理由。新たな友人たちとの出会いも絡めながら、彗にまた昔みたいに笑って欲しいと願う紘乃の頑張る姿が状況を動かすきっかけとなり、悔やみ続けた彗を変える大切なメッセージを見つけ出して、いろいろありましたけど過去を乗り越えて、ようやく大切な想いに向き合えた2人の結末がとても素敵な物語になっていました。
訳あってあやかし風水師の助手になりました (集英社オレンジ文庫)
一人暮らしを始めることとなった女子高生・夏凜の住むマンションにある日突然、猫股らしきものが現れ、親友の香那子が紹介する下北沢の妖怪退治のできる風水師・安倍清長に解決を依頼する物語。イケメンだが怪しすぎるとどこか半信半疑だった夏凜。しかし清長の事務所に鎮座していた高価な巨大アメジストを破壊してしまったせいで、なんやかんやと丸め込まれて時給300円で助手のバイトするハメになる展開で、夏凜のマンションに棲んでいた猫股問題解決後も視える体質が判明してしまったことで、清長の助手のような仕事まで請け負うことになり、次々に舞い込む依頼の数々に翻弄される日々が続く中、2人とあやかしの遠い過去の因縁も絡めながら、怪奇現象やあやかし相手に風水も絡めた手法で対峙していく展開はなかなか面白かったです。

