読書する日々と備忘録

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2019年下半期注目のオススメ新作ライトノベルファンタジ-15選

 今年も毎年恒例の上下半期まとめ企画の下半期版をここからまとめていきたいと思います。今年度下半期も上半期と同様に「ライトノベルファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」「一般文庫」「ライト文芸」「単行本」の5つを順次更新予定で、まずは第一弾として「ライトノベルファンタジー」です。

今回は19年下半期に刊行された新作で、自分が読んだものの中からライトノベルファンタジー(っぽい)15作品をセレクトしました。その辺のくくりは5つに分けた中で便宜上ざっくりと分けているものですので、そういうものだということで読んでいただければ幸いです。上半期と合わせて2019年のおすすめということでご参照ください。

 

1.プロペラオペラ (ガガガ文庫)

プロペラオペラ (ガガガ文庫)

プロペラオペラ (ガガガ文庫)

  • 作者:犬村 小六
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 文庫
 

追い詰められた極東の島国・日之雄。悲壮な決意で駆逐艦「井吹」の艦長として戦いに挑む皇家第一王女イザヤのもとに、かつて最低の事件を起こして皇籍剥奪された幼馴染・クロトが部下として乗り込む空戦ファンタジー。敵国ガメリア合衆国で投資家として成功していたクロトが日之雄に戻ってきた理由。苦戦必至の状況の中、超傲慢で頭が切れてバカがつく努力家クロトが、アホな部下たちと共にイザヤを支えて大逆転に導く熱い展開で、異国で台頭しつつある因縁のライバルの魔の手から彼女を守りきれるのか、これは今後がとても楽しみなシリーズですね。

2.処刑少女の生きる道 (GA文庫)

処刑少女の生きる道(バージンロード) ―そして、彼女は甦る― (GA文庫)

処刑少女の生きる道(バージンロード) ―そして、彼女は甦る― (GA文庫)

  • 作者:佐藤 真登
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: 文庫
 

過去に起きた人災で異世界からの召喚者は見つけ次第処刑される世界。躊躇なく冷徹に任務を遂行する処刑人の少女・メノウが、迷い人の少女アカリと運命の出会いを果たすファンタジー。不可避に思えた運命をあっさり乗り越えるアカリと、そんな彼女に調子が狂わせながらも決着をつけるべく二人で旅するメノウの距離感がなかなかいい感じで、それに処刑人補佐のモモや王の娘アーシュナといった魅力的なキャラを絡めて展開する物語の安定感には驚かされました。ワケありな二人の旅がこれからどのようなものになるのか、続巻が楽しみな新シリーズですね。20年2月3巻目刊行予定。

3.吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

  • 作者:周藤 蓮
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/10
  • メディア: 文庫
 

大戦と禁酒法で旧来の道徳が崩れ去った時代。非合法の運び屋シーモアのもとに、運んで欲しい荷物として正真正銘の吸血鬼の少女・ルーミーが持ち込まれる歴史ファンタジー。仕事上のトラブルから始まったルーミーとの同居生活。吸血鬼らしさを見せないルーミーと共に過ごすうちにシーモアの心境が変化してゆく中で、ふと気づいてしまったひとつの事実。確かに変わってしまった何かがあって、それでも二人の間には確かに育まれていたものがあって、ぶつかりあった本音の先にあった結末がとても自分好みでした。これは続巻に期待大の新シリーズですね。現在2巻目まで刊行。

4.ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

  • 作者:水野 良
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: 文庫
 

呪われた島ロードスに平和が訪れて百年、フレイムの王位継承者に禁忌を犯すディアスが現れ、不戦の誓いに仇なす帝国に対抗すべくマーモ公国の王子・ライルたちが立ち上がる新たなロードスの騎士を巡る物語。前作から百年後の世界で圧倒的な力を誇るフレイム王国を軸とした争乱に、マーモ公国の王子・王女たちがそれぞれ動き出す群像劇的な展開でしたけど、特にここからどう状況を覆すのか期待したい主人公・ライルと、あえてフレイムに身を投じたその兄・ザイードという対照的な二人が物語を盛り上げてくれそうです。いやこれは続巻が楽しみですね。

5.帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)

帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)

帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)

  • 作者:川口 士
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: 文庫
 

己の力で名声を得るため、仲間たちとともに遊歴の騎士として旅をする皇帝の妾腹の子・アルヴェールが、帝国を滅ぼそうと企む陰謀に巻き込まれてゆくファンタジー。神敵には大鎌を振るい隙あらば夜這いをかけてくるシルファ、大食いで名言好きなセイランと旅を続けていたアルが抱く皇帝への複雑な想い。けれど巨大な魔物「地底樹」出現を放っておけない彼が、シルファも絡んだ因縁のエルフとその魔物に挑む展開は熱かったですし、その過程で挟まれるアルの過去エピソードが、仲間に慕われる彼のこれまでの成長を物語っていてなかなか効いていました。

関連作品:双月のエクス・リブリス」 (ダッシュエックス文庫)

6.魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)

魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)

魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)

  • 作者:瀬尾 つかさ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 文庫
 

ジスタートの戦姫・エレンの下で働く弓使いの青年・ティグルと副官リム。故あって突如攻め入ってきた敵国・アスヴァールの真っ只中で孤立した二人が、アスヴァール王女ギネヴィアと出会うもうひとつの物語。三百年も前の建国者・アルトリウスが蘇り、瞬く間に国を掌握してしまったアスヴァールを舞台に、二人がギネヴィアを助けて奮闘する展開で、並行して描かれるもうひとつの物語と舞台や一部登場人物が被る別展開という点はやや気になりましたが、お互い意識し複雑な想いも抱えながらも、力を合わせて戦う二人の物語はこれはこれで良かったです。20年2月2巻目刊行予定。

7.最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ (ダッシュエックス文庫)

孤高のゲーマー・古霧坂里央。学校一の完璧美少女、真理峰桜。現実世界では何の関わりもない2人が、VRゲーム「MEO」で最強コンビとして名を馳せる物語。妹の同級生以外は何の接点もない、学校では違う意味で有名人の2人。そんな2人がVRMMOのゲームの中では同棲して、お化け屋敷気分の廃墟探索や混浴イベント、他プレイヤーと協力して超大型ボスと阿吽の呼吸で戦いながら周囲も呆れるいちゃいちゃっぷりで、だけどこの二人付き合ってないんですよ…?(苦笑)こういう関係は邪魔者が出現してこそさらに燃え上がりそうなので次巻に期待。

8.勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)

勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)

勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)

  • 作者:みかみてれん
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2019/09/05
  • メディア: 文庫
 

己と引き換えに狂神を討ち倒し世界を救った勇者セラフィルナ。一方、片腕を失って戦線離脱し失意の日々を送っていた剣聖・ジャンが、世界と彼女を救うために再び立ち上がるファンタジー。狂神を打倒した代償として呪いを浴びたセラを救うため、魔神器『ヴルムの真腕』を与えられて彼女のそばにいることを誓うジャン。ストーリーとしては登場人物も少なくシンプルな王道展開でしたけど、ずっと心残りで一度は諦めかけていた大切な人と再会し、これからも共にあるために2人で一緒に戦うことを決意したこれからの展開に期待したくなる物語でした。

9.魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)

魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)

魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)

  • 作者:空伏空人
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 文庫
 

不治の病に罹った少年・桑折冬至が、迷い込んだはずれの森に住む変わり者の魔女・ミーズに出会い、願いを叶える代わりにその弟子となる物語。ハルと名付けられた死にたくないと願うシニカルな少年と、陽気で構いたがりでどこか子供っぽい一面も見せる魔女のミーズ。そんな二人の微笑ましいやりとりは良かったですけど時折ハルが知らないミーズの過去があって。巻き込まれた事件を通して明かされるミーズの真意がまた衝撃的でしたけど、二人で過ごした日々もまた偽りではなかったんですよね。彼らがどうなってゆくのかその後の話を読んでみたいです。

10.地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)

地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)

地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)

  • 作者:九岡 望
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: 文庫
 

世界規模の幽界現象と呼ばれる大災厄によって、死者が現世に戻ってきてしまうようになった末世・東凶。聖職者が大嫌いな亡者の死神ミソギと、死者が嫌いな聖職者アッシュが縁あって手を組み立ち向かうダークヒーローアクション。相性最悪な二人の邂逅と、そんな彼らに振り回されるシスターのフィリス。魅力的なキャラたちそれぞれの複雑な事情を絡めながら、東凶中を巻き込んだ麻薬騒動から始まる世界崩壊の危機を吹っ切れたシスコン二人が大暴れして解決に導く展開は痛快でした。いい感じにオチもついた結末でしたけど続巻に期待できそうですね。

11.全肯定奴隷少女:1回10分1000リン (MF文庫J)

全肯定奴隷少女:1回10分1000リン (MF文庫J)

全肯定奴隷少女:1回10分1000リン (MF文庫J)

  • 作者:佐藤 真登
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/25
  • メディア: 文庫
 

英雄に憧れて冒険者になった少年・レンが、公園で見かけた貫頭衣を身に纏う銀髪で奴隷姿の全肯定少女。彼女に1回10分1000リンで全肯定してもらううちに、肯定された人々の心境も変わってゆくファンタジー。怪しい看板を掲げて全肯定・全否定を使い分けつつ悩める人々を導いてゆく奴隷少女のお悩み相談。シンプルなストーリーから垣間見えてくる彼女の事情があって、彼女に励まされながら成長してゆくレンの物語があって、そんなエピソードの積み重ねが効いてくる展開が印象的でした。彼らの微笑ましい恋模様の行方も気になるところですね。 

12.やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)

やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)

やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)

  • 作者:芝村 裕吏
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 文庫
 

人類が圧倒的な銃の力でファンタジー種族を滅ぼしてゆく時代。エルフの村で育った人間の少年・ガーディが村の掟を破ったことで追放され、金貨姫フローリンが治めるイントラシア領に身を寄せるファンタジー戦記。剣も槍もロクに扱えず秘められし権能も「究極のお人好し」な主人公カーディが、エルフの村でバカにされながら培った知恵と経験、時代遅れになりつつある弓や妖精たちを駆使して戦い、未来の大軍師に向けた第一歩を踏み出す姿はなかなか印象的でした。そんな一風変わった作品をどう評価するのか他の人も読んでみたいと思いました。

13.シャドウ・サーガ (電撃文庫)

シャドウ・サーガII -聖剣エクスカリバー- (電撃文庫)

シャドウ・サーガII -聖剣エクスカリバー- (電撃文庫)

  • 作者:西村 西
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: 文庫
 

アーサー王物語が大好きな日本の高校生・来人が大魔導士マーリンの弟子・リィナによって異世界・グレートブリテンに召喚され、アーサーが死ぬ予言を覆すために奮闘するファンタジー。この世界では女の子のアーサーを召喚したリィナとともに支えてゆく展開で、状況に戸惑いつつも戦えるし、開き直った演技で流れを引き寄せてみせた来人の存在感はありましたけど、一方で女子は王位継承権がないなかで代わりに来人を影武者とした構図が今後どのように影響してくるか、優しくも相対的にやや影の薄かったアーサーの活躍に期待したいところではあります。現在2巻まで刊行。

14.本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない! (ダッシュエックス文庫)

本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない! (ダッシュエックス文庫)

本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない! (ダッシュエックス文庫)

  • 作者:しめさば
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 文庫
 

「一生本を読んで暮らしたい!」本を愛してやまない青年・アシタが、その想いとは裏腹に彼の知識を欲する顔馴染みの女冒険者エルシィにダンジョンへ連れて行かれるドタバタファンタジーコメディ。貴重本欲しさにダンジョンに潜ってみればゴブリン相手も厳しい貧弱っぷりで、エルシィやその仲間に頼りっぱなしのアシタでしたけど、強力なゴーレムを相手にするという絶低絶命の窮地に、彼の知識と仲間の力をあわせて打開してゆく展開はなかなか面白かったです。エルシィとの関係も気になりますが、一緒に潜った仲間たちもワケありのようで続巻に期待。

15.異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)

異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)

異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)

  • 作者:珪素
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/17
  • メディア: 単行本
 

魔王が死んだ後の世界。魔王さえも殺しうるありとあらゆる種族、能力の頂点を極めた修羅達がさらなる強敵を、本物の勇者という栄光を求め、新たな闘争の火種を生み出すファンタジー。異世界の剣豪、神速の槍兵、鳥竜の冒険者、一言で全てを実現する全能の詞術士、不可知でありながら即死を司る天使の暗殺者など、修羅たちの背景が綴られて、黄都と新公国を巡る争いの中で彼らが激突して、本物の勇者を決めるという意味でも熱い戦いを繰り広げてゆく先に何が待っているのか、一巻自体が壮大なプロローグといった感じで続巻の展開に期待したいですね。

 

以上です。気になる作品があったら是非手にとって読んでみてください。

ほかも該当作品読み終わったら随時更新していきます。