読書する日々と備忘録

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2019年上半期注目のオススメ新作ライトノベルファンタジー16選

今年も毎年恒例の上下半期まとめ企画の上半期版をここからまとめていきたいと思います。今年度上半期も「ライトノベルファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」「一般文庫」「ライト文芸」「単行本」の5つを順次更新予定で、まずは第一弾として「ライトノベルファンタジー」です。

 

今回は19年上半期に刊行された新作で、自分が読んだものの中からライトノベルファンタジー(っぽい)16作品をセレクトしました。「クラスメイトが使い魔になりまして」をこちらに入れましたが、魔法のある学園ラブコメっぽいものとかあったりすると振り分けに迷いますね(苦笑)その辺のくくりは5つに分けた中で便宜上ざっくりと分けているものですので、そういうものだということで読んでいただければ幸いです。

 

1.Unnamed Memory (DENGEKI) 

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

 

幼い頃に受けた『子孫を残せない呪い』を解呪するため、強国ファルサスの王太子・オスカーが試練を乗り越えたものに望みのものを与える魔女・ティナーシャの塔に挑むファンタジー。解呪が容易でなく呪いに負けない女であればいい、という状況で目の前に好物件がいたことに気づき求婚するオスカー(苦笑)わりとシリアスな展開ですが繰り返される二人のやりとりが微笑ましくて、感化されつつも容易には頷きそうもない孤高の魔女・ティナーシャが、どんどん強くなってゆく諦めが悪そうなオスカー相手にどこまで頑張れるのか今後に期待のシリーズです。現在2巻まで刊行。

2.葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

 

様々な種族がひしめき合う小国ランタン。流浪の少年メルがランタン王に語学を買われ政略結婚を控える豹人族の姫シャルネの教育係に抜擢、なりゆきで次期王に任命され敗戦必至の戦いに挑むファンタジー。常に優しいメルに惹かれてゆく奔放な姫君・シャルネ。婚姻が最悪の形で破談となった巻き添えで亡国の危機に陥ったランタン。シャルネと並び立つ弱小国王として仲間の助力を得て異なる種族の力を糾合し、熱い想いと知略を尽くして大軍に立ち向かいつつ、巧みな心理戦で勝利を手繰り寄せる展開にはぐっと来るものがありました。続編も期待してます。

3.リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

 

塵禍で文明が一度滅び、砂塵を異能力に変換できる「砂塵能力者」が力を持つ近未来。因縁の復讐相手・スマイリーを追うチューミーが、利害の一致から一時的に粛清官に協力し、ワケありの粛清官・シルヴィとコンビを組む近未来SF復讐譚。特殊な事情を抱えていたシルヴィと出会い、最初は反発しながらも徐々に育まれていく相棒としての信頼感。テンポよく進む中でスマイリーと追う二人を巡る因縁も明らかになって、何度も葛藤と絶望に直面する異端のバディが待ち望んだ宿敵との対峙と決着、確かな絆が垣間見えた結末にはぐっと来るものがありました。

4.クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

 

異世界の魔人召喚に失敗したクラスメイトの美少女・藤原千影。不可抗力で彼女を使い魔にしてしまった落ちこぼれ魔術師・芦屋想太の主従関係を描く魔法学園ラブコメ。千影と融合した皇女で想太に執着する強力な異世界の魔人ソフィア。不本意な同居生活を始めた二人のツンデレ気味なテンポの良い掛け合いには確かな積み重ねがあって、自分を救ってくれた千影を取り戻すために想太が立ち上がり、千影が魔人相手に見事決着をつけてみせる展開にはぐっと来ました。過去の因縁を抱える主従関係がこれからどうなるのか、続巻にも期待大の新シリーズですね。

5.撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)

撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)

撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)

 

機甲車と弾丸魔法による凄絶な戦争が続く世界。戦いの中で亡霊を名乗る少女・エアと出会い、被弾者の存在・功績を消滅させる悪魔の弾丸を入手した学生兵・レインが、戦争を終わらせようと立ち上がるミリタリックファンタジー。授けられた弾丸を使って世界を再編していくレイン、謎めいたエアの過去と亡霊を巡る因縁。レインの学生らしい生活と背中合わせの容赦ない戦争の凄惨さがうまく描かれていて、因縁の決着をつけるために戦う二人の間で育まれてゆく絆が印象的でした。現在2巻まで刊行。

6.のけもの王子とバケモノ姫 (ファンタジア文庫)

のけもの王子とバケモノ姫 (ファンタジア文庫)

のけもの王子とバケモノ姫 (ファンタジア文庫)

 

長大な壁で外界を拒絶した人間の国イエール。不治の病で壁外に追放された第三王子シュウが、壁外で生きる異形の民モール族の王女ミサキと出会うファンタジー。急速に工業化が進むイエールの陰で犠牲になっているフロンティアの存在。シュウがミサキに連れられてたどり着いた新天地と病の真実。運命に翻弄されながらも人間とモール族の共生を目指して、ふたつの種族の間に横たわる大きな壁を破壊すべく、仲間とともに毅然と立ち向かう二人の姿にはぐっと来るものがありました。物語としてはまだまだこれからですが、今後に期待大の新シリーズですね。

7.1/2―デュアル― 死にすら値しない紅 (角川スニーカー文庫)

1/2―デュアル― 死にすら値しない紅 (角川スニーカー文庫)

1/2―デュアル― 死にすら値しない紅 (角川スニーカー文庫)

 

殺されヒトとしての一部分を失い、引き替えに特殊能力を得て生き返る偽生者。偽生者を殺し直すために生きる限夏が、不老不死な偽生者の少女・伴を相棒とする近未来SF。ぎこちない距離感から始まった二人が挑む、偽生者による国家統一を掲げたテロ事件発生と、首謀者と伴を巡る凄惨な因縁。そんな彼女に限夏がいかにして並び立つ存在になりうるのかが問われる展開でしたけど、絶妙のタイミングで複雑な過去や葛藤も絡めつつ、絶望する彼女が直面する最悪の状況にも最後まで諦めずに挑み、見事に伴の相棒たることを証明してみせた結末は見事でした。

8.聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)

聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)

聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)

 

来たるべき決戦に備え自らを封印した魔王レオニス。しかし1000年の時を超えて目覚めた時には10歳の少年の姿で、聖剣学院に所属する少女・リーセリアに保護される学園ソードファンタジー。魔族も魔術もなく、聖剣を武器に未知なる敵・ヴォイドと戦う1000年後の世界。聖剣を発現できなかったりと訳ありなお姉さんたちの部隊に所属し、彼女たちのありように少しずつ感化されて、ヴォイドとの戦いに身を投じてゆく展開には安定感があって面白かったです。ヒロインたちとの関係に1000年前の因縁もあって、今後に期待の新シリーズですね。 

9.やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

 

女性の【うたうたい】が歌の加護を男性にしか与えないため、女性の魔物狩りが見下される世界。街を守ってくれている女魔物狩りオルカたち三姉妹と、魂の歌を歌う少年レンのシンフォニックファンタジー。その歌と性格から周囲に慕われるレンと、彼が憧れるクール(に見えて実は不器用なだけ)なお姉さんのオルカ、そんな二人を見守るオルカの妹たち。不器用な二人の距離感も好みでしたが、災魔流を何とかしようとするレンの勇気、絶望的な戦いを繰り広げる三姉妹を救うために成し遂げた奇跡があって、そんな彼らの旅をまた読んでみたいと思いました。

10.鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)

 

空間が意思と魔力を持ち、様々な魔物が息づく世界・パライナ。その北端に誰も訪れない「最果て図書館」の記憶のない館長ウォレスが、鏡越しに《はじまりの町》の少女・ルチアと出会うファンタジー。勇者様の魔王討伐を手伝いたいというルチアと、魔王討伐はどこか他人事のウォレス。けれどそんなウォルスも積み重ねてゆくルチアとのかげがえのないやりとりやメイド・リィリの変化、勇者一行らとの出会いを通じて少しずつ心境の変化があって、封じられていた過去の因縁にも向き合いつつ、しっかりと決着をつけてみせた結末はなかなか良かったですね。2巻目が7月に刊行予定。 

11.リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

 

吸血鬼と戦う中で戦闘用絡繰騎士《白檀式》が暴走し、結果的に人間と吸血鬼が平等に暮らす共和国へと変貌を遂げたヘルヴァイツ公国。そこに十年ぶりに白檀式の失敗作・水無月が目覚めるバトルファンタジー。亡き博士の娘でマスターのカノンとの不本意な関係と、偏見を持たない吸血鬼王女・リタとの出会い。世間知らずな自覚がない水無月とヒロインたちのズレた会話のやりとりは微笑ましくて、一方で巻き込まれてゆく争いの中で過去の真実と向き合うことにもなって、葛藤しながらも自分のありようを見出していく王道展開はなかなか良かったです。現在2巻まで刊行。 

12.滅びゆく世界と、間違えた彼女の救いかた (Novel 0)

滅びゆく世界と、間違えた彼女の救いかた (Novel 0)

滅びゆく世界と、間違えた彼女の救いかた (Novel 0)

 

歴代の神子にのみ完遂することが出来ると言われる救星のための試練「十の天命」。幼馴染みの騎士ラミと神子エイネが滅びゆく世界を救うための旅に出る物語。神子として選ばれたエイネと彼女に並び立つために十三騎士まで登りつめたラミ。数百年かけて未だ六つしか達成されていない十の天命を残り全て二人で成し遂げるため、二人はお互いさえいれば何もいらなくて、一緒にいれば運命に抗えると信じていて。けれどそれは神子の命を犠牲にすることでしかなくて、突きつけられる残酷な事実に精一杯立ち向かった二人の結末には切ない気持ちになりました。

13.死にゆく騎士と、ただしい世界の壊しかた (Novel 0)

死にゆく騎士と、ただしい世界の壊しかた (Novel 0)

死にゆく騎士と、ただしい世界の壊しかた (Novel 0)

 

最愛の女性を目の前で喪い、彼女の命と引き替えに生き延びて「しまった」救世の騎士ラミ。エイネと同じ「神子」の資格を持つキトリーと出会った彼が、師匠として再び彼女と旅に出るもうひとつの物語。常に明るく世界を救うことを信じて疑わない天真爛漫なキトリーと、時には優しく厳しく先輩として導くラミ。短い間にも育まれてゆく彼らの絆があって、救星の真実を知ってしまったがゆえにどうするべきか葛藤し続けるラミがいて。だからこそ希望を信じ続けるキトリーや彼らに向き合ってくれる存在と、彼らが迎えた結末には救いがあったと思いました。

14.ワールドエンドクロニクル 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)

ワールドエンドクロニクル 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)

ワールドエンドクロニクル 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)

 

王国の姫君・リィンの裏切りによって魔族の手に堕ちた世界。王国騎士にして不世出の魔術師・クロウが時を超え十年前に遡り、最悪の未来を避けるため、彼女を暗殺する使命を本人から託されるヒロイック・ファンタジー。遡った世界で再会するクロウの裏切りを阻止するためもうひとつの十年後からやってきたリィン。裏切り者としてお互い疑いつつも、かつて恋人だった相手を信じたい複雑な想いもあって、何者かの企みによって心揺れる二人の絆が試される展開にはぐっと来るものがありました。全2巻。

15.千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)

千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)

千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)

 

 

帝国の侵略で滅亡寸前の小国クーファ。密かに王国が滅亡する度に時間が巻き戻る不思議な体験を繰り返し、救国の道筋を探っていた孤独な若き黒騎士ラシードと、彼を救うべく剣を振るう女騎士パルミラのファンタジー戦記。あらゆる方策を試して何度も失敗し、幾多の戦乱を経験して最強の力と最善の方策を見出したラシード。孤独な戦いを乗り越えてきた彼の苦悩と、突き放されても共に向き合おうとするパルミラが一緒に打開して乗り越えてゆく展開が良かったですね。物語としてひとつの転機を迎えたここからが様々な意味で本当の勝負な新シリーズです。

16.針子の乙女

針子の乙女

針子の乙女

 

前世の記憶を残したまま、技術貴族ヌイール家の子として転生したユイ。勘違いから針子との能力なしと判断されて邪魔者扱いされていた彼女が、ロダンと出会い人生に転機が訪れる異世界裁縫ファンタジー。地獄の日々から救ったロダンが気づいた精霊に愛される彼女の能力。ユイが前王に求婚される一方で、どうしようもないヌイール家の父や妹という分かりやすい構図でしたけど、テンポよく読ませる読みやすい文章と、人や環境に恵まれユイが幸せになってゆく展開はなかなか良かったです。とはいえちょっと頑張らないといけない状況のようで続巻に期待。

 

以上です。気になる作品があったら是非手にとって読んでみてください。