読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2010年代一般文庫ベスト20作品

というわけで「ライトノベル青春小説」「ライトノベルファンタジー」「ライト文芸」「ライト文芸 単巻作品編」に続く第五弾は一般文庫編です。

一般文庫とはいっても「一般文庫レーベルで出している本」という意味で、もともとの嗜好的にキャラ文芸寄りではあるのでその点は予めご了承ください(苦笑)ライト文芸編でシリーズものも好きで入れようと思ったら、ものの見事に単巻が入らず別立ててつくることになりましたが、今回は一般文庫はその反省を踏まえて誰でも知っているような長いシリーズものなどはあえて対象外として、巻数少ないものと単巻中心にこれだと思う作品をセレクトしました。

 

1.君に恋をするなんて、ありえないはずだった (宝島社文庫 2017) 全2巻

君に恋をするなんて、ありえないはずだった (宝島社文庫)

君に恋をするなんて、ありえないはずだった (宝島社文庫)

  • 作者:筏田 かつら
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/03/25
  • メディア: 文庫
 

勉強合宿の夜に困っていた同級生の北岡恵麻を助けた地味で冴えない飯島靖貴。それをきっかけに密かな交流が生まれてゆく地味系眼鏡男子と人気者ギャルのすれ違いラブストーリー。入学直後の出来事で恵麻に苦手意識を持っていた靖貴と、助けてくれた靖貴が気になってゆく恵麻。学校では知らんぷりだけれど予備校帰りのわずかな時間で育まれてゆく二人の交流。少しずつ想いが積み重なってゆくのに、繊細で不器用な二人が距離を詰め切れないうちに起きる様々なすれ違いがとても切なかったです。そんな焦れったくなる展開と、だからこそギリギリでの巡り合わせの妙がなかなか効いています。
関連シリーズ:「君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった」 (宝島社文庫)

 

2.活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫 2016-2019) 全4巻+別巻1巻

([ほ]4-1)活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫)

([ほ]4-1)活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫)

  • 作者:ほしお さなえ
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2016/06/03
  • メディア: 文庫
 

長らく空き家だった川越の片隅に佇む印刷所・三日月堂。そこにかつて亡くなった店主の孫娘・弓子が住むことになり、昔ながらの活版印刷で人との繋がりを解きほぐしてゆく物語。近しい人との関係に迷いを抱える登場人物たちが、身近な人の繋がりから知る営業を再開した三日月堂の存在。物静かで真摯な弓子さんと一緒に印刷するものを考えてゆくうちに、悩みにもきちんと向き合えるようになってゆく展開は、失われた活版印刷の良さを思い出させてくれるだけでなく、作られた印刷物も悩める人の想いに寄り添っていて、とても素敵な物語だと思いました。

 

3.君を愛したひとりの僕へ/僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 2016)

君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)

君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)

  • 作者:乙野四方字
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: 文庫
 

並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て父親と暮らす少年・日高暦が、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞という少女に出会う物語。親同士が離婚した研究者という共通点から、共に過ごすうちにほのかな恋心を育んできた暦と栞。全てを一変させるきっかけとなった親同士の再婚話と二人を襲った悲劇。諦めきれずに彼女を取り戻すために生きることを決意した暦の執念は凄まじいと感じましたが、そんな彼に寄り添うように支え続けた同僚の研究者・和音の献身ぶりにも思うところが多かったです。同時刊行のどちらを先に読むのかは悩ましいですね。

僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)

僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)

  • 作者:乙野四方字
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: 文庫
 

並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦が、地元の進学校で85番目の世界から移動してきたというクラスメイト・瀧川和音と出会う物語。入学時の因縁をきっかけに運命的な出会いを果たした、暦と和音の一見腐れ縁のようにも思える関係。同時刊行作品の出来事との関連性を織り交ぜつつ、並行世界が実在する世界ならではの問題に悩まされながらも、それを力を合わせて乗り越えてゆく二人はとても幸せだったんだろうなと思わせるものがありました。二つ読んで比べてみるといろいろ思うところが出てきてとても面白かったです。

 

4.霊感検定 (講談社文庫 2016- ) 本編3巻

霊感検定 (講談社文庫)

霊感検定 (講談社文庫)

  • 作者:織守 きょうや
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/11
  • メディア: 文庫
 

バイト帰りに同級生の羽鳥空と印象的な出会いを果たした転校生の修司。彼女と再会した図書室で風変わりな司書・馬渡の心霊現象研究会の活動に巻き込まれてゆく青春ホラー。霊の想いに寄り添うちょっと変わった女の子・空と彼女を見守る幼馴染・晴臣。彼ににらまれながらも空とのやりとりを貴重に思う修司。仲間と解決する霊絡みのトラブルは切なかったり重かったりもしましたが、登場人物も魅力的でページの割にはとても読みやすく、彼らの優しい想いがつまった甘酸っぱい青春している雰囲気をたっぷりと味わえます。

 

5.筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 (宝島社文庫 2015- ) 本編4巻-

筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 (宝島社文庫)

筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 (宝島社文庫)

  • 作者:谷 春慶
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/10/06
  • メディア: 文庫
 

祖父が残した謎を解き明かすため、大学生の美咲が著名な書道家で端正な顔立ちながら毒舌家の同級生・東雲清一郎を訪ねる連作短編ミステリ。清一郎が書に対する知識を披露しつつ筆跡を分析して様々な事件を解決していくストーリーで、始めは美咲を邪険に扱っていた清一郎も、真っ直ぐな彼女と接するうち意外な優しさを見せたり、美咲のために事件解決に奔走したりと徐々に感化されてゆく過程がなかなか良かったですね。徐々に明らかになってゆく清一郎の過去の因縁に二人の関係を絡めて描かれるシリーズです。

 

6.トオチカ (角川文庫 2016)

トオチカ (角川文庫)

トオチカ (角川文庫)

  • 作者:崎谷 はるひ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/01/23
  • メディア: 文庫
 

親友と2人で鎌倉の小さなアクセサリー店「トオチカ」を営む里葎子。手痛い恋愛を乗り越えていたと思っていた彼女がバイヤーの千正と出会い、心揺さぶられてゆく不器用な大人の恋の物語。会えば行動の一つ一つが気になって苛立つ里葎子と、なぜかそんな彼女の地雷を踏みまくる千正。優しくされたり雑貨の趣味が似ていても素直になれず、距離感が分からなくなったり言葉の選択を間違えてしまう不器用な関係が、とあるきっかけから戸惑いながらもいい感じにまとまっていって安心しました。巻末の短編もいい感じに幸せ感を補足していて良かったですね。

 

7.妻を殺してもバレない確率 (宝島社文庫 2017)

妻を殺してもバレない確率 (宝島社文庫)

妻を殺してもバレない確率 (宝島社文庫)

  • 作者:桜川 ヒロ
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/10/05
  • メディア: 文庫
 

未来に起こる確率を調べる技術が確立した世界。自らが抱える苦しい思いをどうにかしたくて、確率をつい確認し続けてしまう人たちの物語を描く連作短編集。政略結婚や大怪我、路面電車での出会い、届かぬ思いや父と娘の関係、忘れられない運命の出会いなど、停滞する状況を抱える登場人物たち。それでも人との関わりの積み重ねから事態や心境も少しずつ変化して、それに向き合ったり素直になったり次に向けた一歩を踏み出してゆく7つのエピソードは、表題作でもあるタイトルイメージをいい意味で裏切る思いのほか爽やかな読後感の素敵な物語でした。

 

8.女流棋士は三度殺される (宝島社文庫 2017)

女流棋士は三度殺される (宝島社文庫)

女流棋士は三度殺される (宝島社文庫)

  • 作者:はまだ 語録
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/03/25
  • メディア: 文庫
 

自分の目の前で幼馴染・歩巳が暴漢に襲われ姿を消した事件をきっかけに、棋士を諦めたかつての天才少年棋士・香丞。高校で美貌の女流棋士として再会した彼女が再び何者かに襲われ、その事件の真相を追う将棋ミステリ。コンピューター将棋が棋士に勝つのが当たり前になった近未来が舞台。謎解きのアプローチにいくつか後出し設定もあったのは少し気になりましたが、棋士を目指すもう一人の幼馴染・桂花も交えた三角関係の機微や、コンピューター将棋の考察も絡めながらたどり着いた結末の意味にはなるほどと納得してしまいました。面白かったです。

 

9.外資系オタク秘書 ハセガワノブコの華麗なる日常 (祥伝社文庫 2015- ) 本編3巻

外資系オタク秘書 ハセガワノブコの華麗なる日常 (祥伝社文庫)

外資系オタク秘書 ハセガワノブコの華麗なる日常 (祥伝社文庫)

  • 作者:泉 ハナ
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2015/06/12
  • メディア: 文庫
 

筋金入りのオタクなのに、学生時代をアメリカで過ごさざるをえなかった外資系銀行秘書・ハセガワノブコ(32歳・独身)が、オタクライフを満喫するため日々奮闘する物語。オタクライフさえ充実していればいいのに、アメリカ帰りなことや上司の友人がいい男とか、セレブと知り合いだったり、自分にとってどうでもいいことで周囲から妬まれるのは、なかなか辛いものがありますね。突撃厨は怖すぎ(笑えない)。でも万難を排してオタクライフに邁進するノブコたちはとても楽しそうで、そのありように少し共感してしまいました(苦笑)

 

10.know (ハヤカワ文庫JA 2013年)

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:野崎 まど
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 文庫
 

電子葉の接続が義務付けられてるような高度情報化社会を舞台に、全ての情報を手に入れることができる少女知ルを恩師に託された連レルが、約束を果たすまでの四日間を共に過ごすお話。小説ではありますが「知っている」ということの定義が変わった世界で、では「知る」ということがどういうことか、文中で語られる考察はとても興味深く読めました。知ることを突き詰めていくと、最終的に死とは何かに行き着くというのはなるほどと思いましたが、最後の言葉から示唆されるように、この世界ではそれすらも乗り越えてしまったということなんでしょうね。

 

11.リライト (ハヤカワ文庫JA 2013- 2015) 全4巻

リライト (ハヤカワ文庫JA)

リライト (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:法条 遥
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 文庫
 

300年後の未来で見つけた本を探すために、タイムリープで現代にやってきた保彦を救うため、10年後の未来に跳ぶ女子高生美雪のボーイ・ミーツ・ガール...というような単純なお話ではありませんでした(苦笑)2002年の美雪視点と、1992年の過去視点が交互にあって、過去視点は登場人物が変わるのに、なぜか話が繋がって進行していて、どういうことなのか読んでいて頭がグルグルしました。膨大な時間と手間を掛けた壮大な辻褄合わせも、一人の復讐から破綻する。理解しながら読むのにちょっと時間かかりましたけど、面白かったです。

 

12.魔女は月曜日に嘘をつく (朝日エアロ文庫/朝日文庫 2014-2018) 全3巻

魔女は月曜日に嘘をつく (朝日エアロ文庫)

魔女は月曜日に嘘をつく (朝日エアロ文庫)

  • 作者:太田 紫織
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2014/11/20
  • メディア: 文庫
 

病気をきっかけに仕事も恋人も失い札幌に逃げてきた犬居が、縁で魔女を自称する感受性の強い少女卯月杠葉の経営するハーブ農園「フクロウの丘」で働くことになる物語。上手くやろうと妥協してしまう犬居と、人付き合いが苦手で嘘が大嫌いな杠葉は、最初お互いをよく分からなくてたくさん衝突しましたが、将来的にはお互いが足りない部分を刺激して、いい方向に導けるコンビになれそうな可能性を感じました。杠葉はまだ謎も多いですし、二人の今後も気になるところですが、まずは農園経営を軌道に乗せるところからですよね(苦笑)

 

13.私を知らないで (集英社文庫 2012)

私を知らないで (集英社文庫)

私を知らないで (集英社文庫)

  • 作者:白河 三兎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/10/19
  • メディア: 文庫
 

転校を繰り返して無難に生きることを覚えてしまった慎平と、クラスで孤立していたキヨコ、そんな彼女を救おうとしながらも、引きこもりになってしまった高野の物語。頭では冷静に計算しつつもキヨコが気になって仕方ない慎平は、彼女を知るたびに惹かれていって、でもおじさんがキヨコを訪ねてきたことでどこか予感できた結末。苦境に陥ったキヨコを救うには中学生はあまりにも無力で、ただ「普通になりたい」という彼女の思いを叶えるために、もっと上手く立ちまわることもできたのに、そうしなかった慎平の決断には、泣きたくなってしまいました。

 

14.プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA 2018)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:早瀬 耕
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 文庫
 

有機素子コンピュータによる会話プログラムの共同研究者を失い何も手につかなくなった南雲助教と、列車に轢かれて亡くなった元恋人の会話を再現しようとする学部生の佐伯衣理奈。そんな前に進めない二人が巡り合う連作短編集。会話プログラムとのやりとりを交えつつ繰り広げられる、共同研究者、契約社員、元恋人、そして南雲と衣理奈のエピソード。概念自体はやや難解でしたが、理系らしい合理思考と割り切れない情念のせめぎ合いの中で変化してゆく不器用な人間模様はとても優しくて、そんな彼らが迎えた結末はなかなか心に響くものがありました。

関連シリーズ:「グリフォンズ・ガーデン」(ハヤカワ文庫JA)

 

15.僕は小説が書けない (角川文庫 2017)

僕は小説が書けない (角川文庫)

僕は小説が書けない (角川文庫)

 

不幸体質や家族関係に悩む高校1年生の光太郎。先輩・七瀬の強引な勧誘で廃部寸前の文芸部に入部した彼が、部の存続をかけて部誌に小説を書くことになる青春小説。物語を書けなくなっていた光太郎が出会った七瀬先輩の容赦ない批評。プレッシャーが掛かる部誌作成という状況で、振り回すOBふたりの存在と自覚してゆく七瀬先輩への想い。知りたくもない現実を突きつけられてきた光太郎が、それでも苦悩を乗り越えてきちんと向き合ったからこそ見えた光明があって、相変わらず不器用な彼のこれからを予感させるエピローグがとても素敵な物語でした。

 

16.ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫 2019)

ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

  • 作者:あさば みゆき
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫
 

仮面を被った仕事ぶりに限界が来て退職し、譲り受けた古民家で趣味のアクセサリーづくりをして暮らす涼子。そんな家に店子として宝飾職人「希美」さん住むことになるあたたかな再生の物語。趣味も合い配慮が行き届いていて、欲しい時に欲しい言葉をくれる希美に惹かれていく涼子。一方で未だに引きずる複雑な過去の想いや、容易に解けない呪いから素直に心を開けない状況にもどかしくもなりましたが、そんな彼女を尊重しつつ粘り強く向き合って、様々な過去のわだかまりを解きほぐすのを手伝ってくれた彼に出会えてほんとに良かったなと思えました。

 

17.サブマリンによろしく (宝島社文庫 2017)

サブマリンによろしく (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

サブマリンによろしく (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者:大津 光央
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/05/09
  • メディア: 文庫
 

28年前に八百長疑惑で自殺した伝説のサブマリン投手K・M。行方不明だった1500奪三振の記念ボールが発見されたのをきっかけに再評価する動きが起き、野球嫌いの駆け出しの作家が謎に迫っていくミステリ。誤審、乱闘、転向、落球、そして八百長疑惑…彼にまつわるエピソードの謎を追うために取材した関係者を通じて浮き彫りになってゆくK・Mの人柄と明らかになってゆく真実。文章が若干冗長で誰が誰なのかがイマイチ分かりづらい点もあってやや読むのに難儀しましたが、悪くない真相が積み重ねられてゆくその結末は印象に残りました。

 

18.次回作にご期待下さい (角川文庫 2018- ) 本編2巻-

次回作にご期待下さい (角川文庫)

次回作にご期待下さい (角川文庫)

  • 作者:問乃 みさき
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: 文庫
 

仕事に追われる月刊漫画誌の若き編集長で苦労人の眞坂崇とトンデモ天才漫画編集者・蒔田が、漫画バカの編集者たちや漫画に命をかける漫画家たちとともに日常のお仕事に潜む謎を解き明かしてゆくお仕事小説。落とし物をきっかけに出会ったビルの夜間警備員・夏目の謎、打ち切りに悩む漫画家とのやりとりやヘッドハンティング、そして盗作疑惑の真相など、漫画雑誌はほんと大変な仕事なんだなと実感させる一方で、それでも登場人物たちが面白い漫画を作りたいという想いからぶつかり合うなかなか熱い作品でした。これは次回作も期待できますね(苦笑)

 

19.谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 2015-2016) 全2巻

谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者:柊 サナカ
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/09/04
  • メディア: 文庫
 

思い入れのあった故人のカメラ売却をきっかけに下町谷中のレトロカメラ店でバイトすることになった山之内来夏が、三代目店主の今宮とともに客が持ち込む謎を解決する連作ミステリ。中古クラシックカメラを専門に扱う落ち着いた雰囲気のお店を舞台に、優れたカメラ修理技術や知識、そして卓越した観察眼を持つ今宮と写真に関連する謎を解いたり、様々なやりとりを重ねていく中、徐々に変わってゆく来夏さんの気持ち。繊細な描写を積み重ねた末に明らかにされた事実はやや意外なものでしたが、それを乗り越えようとする二人に注目のシリーズ。
関連シリーズ:「機械式時計王子の休日 千駄木お忍びライフ」(ハルキ文庫)

 

20.ずっとあなたが好きでした (文春文庫 2017)

ずっとあなたが好きでした (文春文庫)

ずっとあなたが好きでした (文春文庫)

  • 作者:歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/12/05
  • メディア: 文庫
 

バイト先の女子高生との淡い恋、転校してきた美少女へのときめき、年上劇団員との溺れるような日々、集団自殺の一歩手前で抱いた恋心、そして人生の夕暮れ時の穏やかな想いが綴られてゆく恋愛小説集。年齢や状況もバラバラな恋の行方と意外な結末。最初は普通の恋愛小説ではあまりない展開で新鮮だなあと思いつつ読んでましたが、途中から読んでいてうん?となって、だんだんその違和感に気づいて、最後でやられた!となりました。一気読みするには分厚いですが、その分手応えを感じた一冊で巻末の解説も必見。それにしても懲りてないな~(苦笑)

 

以上です。人気作品をバッサリ削ると意外とすんなり決まりました。2010年代ベスト20の企画の予定もあとは一般文芸編のみなので何とかなりそうです。ではまた。