今回は7月角川スニーカー文庫・講談社ラノベ文庫・HJ文庫・KADOKAWA新文芸の新刊感想まとめです。内訳は角川スニーカー文庫新作1点、続巻5点・講談社ラノベ文庫新作2点・HJ文庫新作2点、続巻2点・KADOKAWA新文芸新作1点の計13点になります。
気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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幼馴染は、にゃあと鳴いてスカートのなか (角川スニーカー文庫)
猫が集まる宮毛町に住む猫大好きな女子高生・奈爪一歌。眼の前で交通事故に遭ったはずの幼馴染・祭原牧が突然消えて、猫耳を生やして相談しに来る幼馴染ガールズ小説。大切な幼馴染だけれど、仲違いしてもう一年以上口を聞けずにいて、同じクラスになったものの相変わらず疎遠だった日々。そんな距離感の牧が突然一歌の家に相談にやってくる展開で、白猫と同化してしまったらしく時々ネコに意識を乗っ取られる牧に、モフモフ心を刺激される一歌には苦笑いでしたけど、どんどん同化が進んでいく牧を救うためにために、マイペースで掴みどころのないツッコミどころ満載の神主・生水に参考になるのかならないのかよくわからないアドバイスをされながら奔走した結末の落とし所はなかなか良かったですね。
玄関前で顔の良すぎるダウナー系美少女を拾ったら2 (角川スニーカー文庫)
ななよ 廻る/40原 KADOKAWA 2024年06月28日
引っ越しより鎖錠ヒトリの傍にいることを選んだものの、気恥ずかしさから距離が空いてしまった日向リヒト。何とか気持ちの整理をつけヒトリの家を訪問した彼が妹のマイと再会する第2弾。ヒトリがリヒトの妹の部屋に引っ越し、理由も分からぬまま始まった三人での同棲生活。ヒトリとの関係も改善に向かう一方で、妹のマイもベタベタ甘えてくるなどらしくもない行動をとってくる理由。ヒトリの母との邂逅もあって、なぜか先生を交えた三者面談に同席する事態もありましたけど、背景が明かされていったヒトリの思いは想像以上に重めな様子で、それを感じたゆえの妹の行動だったようですけど、母親との関係も彼女なりに決着をつけて、アルバイトを始めたりと覚悟を定めて変わろうとするヒトリの姿がなかなか印象的でしたね。
日陰魔女は気づかない2 ~魔法学園に入学した天才妹が、姉はもっとすごいと言いふらしていたなんて~ (角川スニーカー文庫)
相野 仁/タムラ ヨウ KADOKAWA 2024年06月28日
オベロンたち大妖精に留まらず、伝説の魔龍クロウにも懐かれた魔女アイリ。思いのほか強大な魔法生物たちを従えてしまったアイリが、王都で再出発する第2弾。その偉業を称えて王から褒美を賜るものの全く実感が湧かないまま、若き魔女ジュディスの診療所で働くことになったアイリ。その真摯な仕事ぶりが町の人に慕われるジュディス主従のあり方に憧れて頑張ろうとする一方で、なぜ悪魔憑きが急増するなど王都に漂いつつあるよからぬ気配があって、大妖精たちの力を借りて原因を特定し学園に潜入する展開で、姉が大好きすぎる妹は相変わず元気いっぱいで、召喚された悪魔はなかなか凶悪でしたけど、危機的状況に陥っても見守っているメンツが凄すぎてもはや安心感すらありますね（苦笑）
妹の迷宮配信を手伝っていた俺が、うっかりSランクモンスター相手に無双した結果がこちらです2 (角川スニーカー文庫)
木嶋 隆太/motto KADOKAWA 2024年06月28日
規格外な配信でチャンネル登録者数を順調に伸ばしていくお兄ちゃんこと鈴田迅。Sランク冒険者で自称内縁の妻が現れる第2弾。未踏破迷宮配信、迷宮爆発の単独制圧など世界的にバズっても変わらず妹の麻耶以外はほとんど興味ゼロのお兄ちゃんに、ストーカー気味に猛アタックするSランク冒険者の真紅レイナ。さらには国内最強ギルド雷豪のリーダーとの模擬戦案件だったり、最凶迷惑配信者に狙われる強制コラボなど、これだけ有名になってくるとどうしてもいろいろと巻き込まれますね（苦笑）それでもブレないお兄ちゃんのシスコンっぷりや、そこかしこにファンがいるのも面白いですが、どんどん増えていくヒロインたちとの関係も気になるところではあります。
隣の席のヤンキー清水さんが髪を黒く染めてきた3 (角川スニーカー文庫)
「天文部夏休み合宿をやりたい!」と突然、天文部の部長・清水愛から合宿計画を提案された大輝と妹の圭たち。合宿費を稼ぐため、彼らは愛に紹介されたお店でそれぞれアルバイトをする第3弾。カフェで一緒に働き始めて、元会長の歌穂にからかわれたり、アドバイスされる清水さんと大輝。大輝の妹・輝乃と愛の策略で、大輝と一緒に水着や浴衣を選ぶことになった圭が口では何だかんだ言いながら、それでもしっかりと意識しているあたりが相変わらずチョロくて微笑ましかったですけど、花火に海と夏休みといえばお約束でベタなイベントの2人の距離感も良かったですし、ちゃんと分かってくれている陽介と愛の関係、初々しい感じが良かった瀬戸と松岡といったそれぞれの恋模様も描かれていてなかなかいい感じでしたね。
なぜかS級美女達の話題に俺があがる件3 (角川スニーカー文庫)
赤崎晴也への恋心を自覚してからますます魅力的になっていく沙羅と結奈。今度は文化祭の実行委員に指名されて小日向凜と忙しい日々を送ることになる第3弾。クラスの文化祭実行委員に立候補した凜に指名されて、逃れられず一緒に強制参加にさせられることになった晴也。クラスの出し物を決めたり定例会に出席したりと、忙しい日々を送る中で意外な一面と違和感を垣間見せる凜と、そんな彼女に悪意を抱く中学時代の同級生に遭遇してしまう二人。輝きを増す沙羅と結奈に焦燥を募らせる凜の過去も徐々に明らかになる中、彼女を支えて悪意から守り背中を押す晴也のフォローがいい感じに効いていて、窮地を救った晴也を巡ってこれらからヒロインたちの関係がどう変わっていくのか楽しみです。
空冥の竜騎 (講談社ラノベ文庫)
感覚を同期させた《竜》に乗り、空の戦場を駆ける竜騎のエースパイロット・ロナード。最後の出撃で戦友を失い、彼が就任するはずだった士官学校に左遷されてしまうファンタジー。学校の先生という新たな立場に戸惑いながらも、同僚のサポートだったり女子生徒・シエルらを教えていくうちに少しずつ変わっていく心境。一方で竜を戦いの道具として使うことに反対する宗教団体のテロリストや、裏で糸を引く者の暗躍の結果引き起こされる事件に否が応でも巻き込まれていく展開で、明らかにされてゆくロナードのかけがえのない過去、何とも複雑な因縁があって、読めば読むほどこいつが全ての元凶なのでは…と思える黒幕の妄執じみた陰謀を阻止するために、過去を乗り越えて立ち向かう熱い展開はなかなか良かったです。
うちの清楚系委員長がかつて中二病アイドルだったことを俺だけが知っている。 (講談社ラノベ文庫)
三上 こた/ゆがー 講談社 2024年07月02日頃
かつて中二病の少女メアをサポートしてアイドルとしてデビューさせた来栖玲緒。高校に進学した彼がかつてメアだったクラス委員長の十七夜凪と再会する青春ラブコメ。ふとしたきっかけから芸能界を引退したメアの正体を知ってしまい、芸能界引退の条件である生徒会長当選を目指す凪をプロデュースすることになった玲緒。中二病卒業ですっかりコミュ障陰キャになっていた凪の激変っぷりには前途多難なものを感じましたけど、難敵陸奥先輩を相手に玲緒を据えて駆け引きを繰り広げる一方で、今の自分を肯定してくれるのか、信じていいのかと心揺れる凪の不安がなかなかリアルでしたが、そんな彼女にしっかりと向き合って一緒に葛藤を乗り越えてみせた2人のコンビっぷりが光っていました。
無防備かわいいパジャマ姿の美少女と部屋で二人きり 2 (HJ文庫)
叶田キズ/ただのゆきこ ホビージャパン 2024年07月01日
新学期になってもパジャマ姿で堕落生活を出来る限り継続する学道とこいろ。そこにこいろのアイドル時代の後輩・来羽が訪ねてくる第2弾。保健室登校するようになったこいろと目立たないように一緒に遠回りで下校したり、パジャマパーティーしたり添い寝をしたりと、夏休みにも負けずに楽しい日常が続く2人。こいろは何か悩みがありそうな来羽をそのままさりげなく堕落生活に巻き込もうとする展開で、来羽の過去エピも掘り下げながら、彼女の密かな願いに2人なりのやり方で応えてみせたり、そんな中で彼女もまた2人の関係性を理解するようになってゆくその結末はなかなか良かったですね。
天才女優の幼馴染と、キスシーンを演じることになった 2 (HJ文庫)
雨宮むぎ/Kuro太 ホビージャパン 2024年07月01日
天才女優な幼馴染の玲奈との恋愛ドラマ共演を通して、演技力の高さで一躍注目を浴びる高校生俳優の海斗。周囲の評価も変わりつつある中でドラマの後半六話の撮影が始まる第2弾。実は泳げない玲奈を助けるべく、二人きりで水泳の練習をすることになった海斗。玲奈の大ファンで同じ事務所の後輩・音羽を彼女に引き合わせたり、監督から出された演技の課題に答えるために、玲奈の家で泊まり込みの演技合宿をする2人。悩みながらも監督の期待に応えて成長した海斗が、大切な幼馴染に並び立つべく奮闘する姿が印象的でしたね。プレッシャーをチャンスに変えてその想いにもしっかりと向き合ってみせたその結末もなかなか良かったです。
クラスで一番かわいいギャルを餌付けしている話 (HJ文庫)
今日も教室で同志達とオタク話にいそしむ高校生・風見鳳理。彼と同居中で恋人同士で義妹のモデルもこなすクラスの人気者香月桜の秘密の関係を描く青春ラブコメ。学校ではトップカースト組として鳳理とは適度な距離を保ちながら、家ではアニメを見たりコスプレしたり、鳳理の手料理を食べて彼に甘える桜。両親の海外転勤で二人暮らしという状況で、秘密の関係と言いながらついつい絡みにいったり、うっかりをやらかしたりする桜が微笑ましかったですし、隣家でのドタバタエピソードも楽しかったですね。出会いから兄妹になるまでの過去が描かれる中で、思ってもみなかった展開もありましたけど、改めて実感する想いや絆を深めていく2人の関係がなかなか良かったです。
バグスキル【開錠】で最強最速ダンジョン攻略 （HJ文庫）
ハズレスキル【開錠】しか持たない冒険者ロッド。夢を叶えるために迷宮に潜る彼が騙されて転移罠により最下層へと飛ばされ、そこで迷宮神に出会うファンタジー。英雄だったライゼンの死で解散寸前だった憧れのギルド【勇なる御手】復活のため、馬鹿にされながらも迷宮へ潜るロッドが直面する悪意。しかし最下層で迷宮神ラヴィに出会い、受け継いだ能力を工夫して上手く活用する術を見出したことで飛躍的に強くなり、ライゼンの娘レイナと迷宮攻略に挑む展開で、着実に攻略を進めていく彼らの急成長っぷりや、明らかになっていく様々な因縁との決着も彼ららしいと思いましたし、過去を乗り越えて未来に新たな希望を感じさせる結末がなかなか印象的な物語になっていました。
輪転式ステレオプティコン - jailed in 2002 -
枯野 瑛/パルプピロシ KADOKAWA 2024年06月28日頃
地球人と異星人の間に発生したトラブルを解決する調停者・畦倉拓夢が、銀髪の来訪者メリノエと共に事件を解決する近未来バディアクション。2002年6月5日、東京と呼ばれていた都市の一部分が消滅した、因縁の地を調査することになった拓夢たち。あの時から止まったままの世界でループを繰り返す船室、そこで期せずして再会する拓夢がずっと忘れることがなかった夜空先輩、そして現地で協力してくれた同業者・柊豪十郎の存在。2002年6月5日、東京と呼ばれていた都市の一部分が消滅した、因縁の地を調査することになった拓夢たち。あの時から止まったままの世界でループを繰り返す船室、そこで期せずして再会する拓夢がずっと忘れることがなかった夜空先輩、そして現地で拓夢に協力してくれる同業者・柊豪十郎の存在。この現象を調べていくうちに、この状況を解決することの意味に気づいてしまう拓夢と、それを見守るメリノエの関係もなかなか印象的でしたけど、覚悟を決めたこの決着の先に何が待っているのか、この物語の続きが早く読みたいですね。
