今回は11月に刊行されたPASH!ブックス・アース・スター ルナ・KADOKAWA新文芸の新刊感想まとめです。内訳はPASH!ブックスが続刊1点、新作2点、アース・スター ルナの新作1点・KADOKAWA新文芸の新作1点の計5作品の紹介になります。気になる作品があったらこの機会に読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
スープの森 動物と会話するオリビアと元傭兵アーサーの物語 2 (PASH!ブックス)
スープの森〜動物と会話するオリビアと元傭兵アーサーの物語〜 2
posted with ヨメレバ
守雨/むに 主婦と生活社 2023年11月02日頃
人や動物の心の声が聞こえることで孤独を抱えていたオリビアと、傭兵として死を間近で見つめてきたアーサー。心通じる夫、動物たちや新たな出会いを得て、共に食卓を囲み、寄り添いながら季節を重ねる第二弾。アーサーの故郷に一緒に行ったり、金色の鹿や様々な動物たちとの交流したり、オウムや蔓延する風邪の流行に向き合う中で、縁が生まれてゆく白黒の猫ダルや白猫のスノウ、薬師を目指す少女ララたちとの出会い。いろいろと大変なことや難しいことに直面したり、出会うばかりでなく別れもありましたけど、理解のある大切な人の信頼と深い愛に支えられながら、周囲に関わる人も少しずつ増えて、上手く折り合いをつけながら彼女らしさを失わずに広がってゆくその世界がとても素敵でした。
あなたの未来を許さない 上・下 (PASH!ブックス)
運動も勉強も人間関係も底辺で、幼馴染の長野恵梨香を心の支えに生きる女子高生・御堂小夜子。ある晩、二十七世紀からやってきた未来人キョウカに、大学教材として殺し合いの対戦者に選ばれたことを知らされるデスゲーム。深夜に突然監督者のキョウカと出会い、ろくな情報や対戦者に与えられるはずの特殊能力もないまま、殺し合いに放り込まれる小夜子。緒戦を切り抜けてからは、何とか戦わずに生き延びる道がないかを模索していたものの、唯一無二の存在もまたバカげたデスゲームに巻き込まれていると知ってしまい、優しい彼女を救うために、自分が対戦者を殺す覚悟を決める小夜子。ゲームに少なからず影響を及ぼしているキョウカ側の厳しい事情も明らかにされてゆく中、果たしてどんな結末が待っているのか、続きが気になる上巻でした。
運動も勉強も人間関係も優秀な女子高生、長野恵梨香。いつも一緒にいてくれて、助けてもらっていた幼馴染の御堂小夜子のために、ある夜を境に彼女を助ける覚悟を決める下巻。大切な幼馴染を救うため、迷わず対戦者を倒すようになってゆく小夜子。一方、彼女が無事生き延びてほしいと願っていた、引き分け続けていた優しい幼馴染が対戦者に初勝利した意味。キョウカを嫌い、ゲームを都合のいいように改竄する監督者ヴァイオレットたちの対戦者たちを退けながら、日常で遠慮しなくなった恵梨香と積み重ねるかけがえのない日々。それぞれが生き延びてついに邂逅してしまった二人の結末は切なくて、壮絶な落とし前もしっかりつけましたけど、相棒と共に最期まで生き抜いてみせたその姿が印象的な物語でした。
虐げられた秀才令嬢と隣国の腹黒研究者様の甘やかな薬草実験室 (PASH!ブックス)
虐げられた秀才令嬢と隣国の腹黒研究者様の甘やかな薬草実験室
posted with ヨメレバ
琴乃葉/さんど 主婦と生活社 2023年11月02日頃
ジルギスタ国の研究所で婚約者や妹に罵られて、努力を誰からも認められない日々を過ごしていた薬草研究者ライラ。ついに婚約破棄を告げられて、研究所を去ることを決意するファンタジー。彼女の実力を即座に見抜いて自国の研究所へのスカウトを申し出たカニスタ国の研究者アシュレン。その誘いに希望を見出してそのまま隣国に渡り、新たな研究生活を送ることを決意するライラ。そこにはアシュレンの母でもある研究室長や、尊重しあえる仲間たちとの充実した日々があって、そんなライラがいなくなれば以前いた研究所がどうなるのかはむしろ必然の展開でしたけど、これまで頑張ってきた彼女の頑張りが評価されるようになって、ちゃんと幸せになれそうな結末が待っていて本当に良かったです。
ライブラリアン1 本が読めるだけのスキルは無能ですか!? (アース・スター ルナ)
ライブラリアン 本が読めるだけのスキルは無能ですか!?(1)
posted with ヨメレバ
南の月/HIROKAZU アース・スターエンターテイメント 2023年11月01日頃
ページをめくるたびより豊かに、より強くなっていく。〈ライブラリアン〉──それは本が読めるだけの不遇スキル。ライブラリアンの持ち主、貴族令嬢テルミスは前世の記憶を思い出し、二度目の人生は後悔のないよう生きることを決意する。しかし、父からライブラリアンでは結婚も仕事も難しいと告げられ、早々に窮地に立たされてしまう。それでもテルミスはたくさんの本を読みながら、料理、商売、そして魔法と次々に学んでいき、次第には失われた古代魔法まで習得を試みて──才能がなくても読書で身につける!転生少女の成り上がりビブリアファンタジー!!
U-15サッカー日本代表だけど部活は幼馴染と一緒の文芸部です(1)
posted with ヨメレバ
マイヨ/細居 美恵子 KADOKAWA 2023年11月04日頃
Jrユースチーム所属のU-15日本代表選手キャプテンで、親の仕事の都合で中学3年生の1年間だけ地元へ戻ってきた仙崎明日斗。そこでずっと文通を続けていた幼馴染の竹部未央と再会する青春小説。学校側のミスで彼の事情が伝わらないまま、一緒に学校に通うようになった未央を狙うサッカー部エースの王司に目をつけられる明日斗。何かと張り合おうとする王司がスポーツテストだったり、球技大会でサッカーのチーム振り分けで露骨に戦力を偏らせたり、高校生OBを助っ人にリベンジを挑みましたけど、流石に相手が悪かったかなと(苦笑)明日斗がやってきてからは氷の令嬢らしさがどんどんなくなってゆく一方で、彼に協力してもらって文芸部の活動を一生懸命頑張る未央との関係性や、微笑ましいその結末もなかなか良かったです。