今回は12月角川スニーカー文庫・HJ文庫・講談社ラノベ文庫・PASH!文庫、11月ファミ通文庫の新刊感想まとめです。内訳は角川スニーカー文庫が続刊3点、新作4点、HJ文庫が続刊4点、新作1点、講談社ラノベ文庫の新作1点、ファミ通文庫の新作1点、PASH!文庫の新作1点の計15点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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継母の連れ子が元カノだった11 どうせあなたはわからない (角川スニーカー文庫)
紙城 境介/たかやKi KADOKAWA 2023年12月01日
二年生になってすぐ、なぜか水斗に告白してきた明日葉院蘭。そんな違和感だらけの告白が冷めやらぬまま、沖縄へ修学旅行に向かう第十一弾。生徒会役員で一番の男嫌いと言われる明日葉院が水斗に告白してきたのは何故か？旅先でもイチャつきたい結女と水斗の夜のプールサイド密会を覗いたのは誰か。二人の関係が安定してきせいか結女もいろいろ脇が甘くて、今回は関係バレを防ぐために密かに水斗がそれらの謎解きに挑む構図でしたが、隙あらばむしろ女子たちに狙われているいさなも印象的でしたけど、どう見ても水斗が好きに思えない明日葉院の明かされてゆく本音には、むしろそっちですよね…と納得感しかなかったです（苦笑）
マッチングアプリで元恋人と再会した。4 (角川スニーカー文庫)
時間が欲しいという光に会えないまましばらく経った頃。縁司がマッチングアプリアプリ運営会社のインターンに受かり、マッチ後のカップルに密着インタビューという宿題を持ち帰ってくる第四弾。縁司からの光か心のいずれかとペアの形でデート取材をさせてほしいという依頼。光には話を持ちかけられる状況ではなく、天からの提案もあって、心とその密着取材を受けることにした翔。今回は高校での翔と光の出会いから、付き合うに至るまでの印象的なエピソードも丁寧に描かれていて、さらに翔と光、心がそれぞれどんなことを思ってきたのか、改めて深く掘り下げる描写があったからこそ、とても彼ららしいと感じられる素敵な結末に繋がっていました。
転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件7 (角川スニーカー文庫)
雲雀湯/シソ KADOKAWA 2023年12月01日
隼人と春希たちが通う高校で到来した文化祭シーズン。クラスでの準備が忙しくなり始める一方で、それぞれが抱く複雑な思いや、家庭の事情が描かれてゆく第七弾。春希の思い付きでコンセプトカフェを開くことになった隼人のクラス。これまでの積み重ねに加えて、一輝に美容院や服のアドバイスをしてもらって、クラス女子の株が急上昇する隼人。今回は姫子が抱える葛藤、春希・みなもたちの複雑な事情も明かされてゆく一方で、いろいろ変わってゆく周囲の状況や自身の想いに対して、どこか向き合いきれていないと感じる部分もあって、そんな状況でいろいろ事態が動きそうな文化祭に突入してどうなるのか、今後の展開が気になるところではあります…。
血の繋がらない私たちが家族になるたった一つの方法 (角川スニーカー文庫)
雲雀湯/天谷 たくみ KADOKAWA 2023年12月01日
離婚していた両親の復縁で7年ぶりに再会した義妹の英梨花と、気の置けない男友達みたいな幼馴染の美桜。葛城翔太がそんな2人と一緒に、一つ屋根の下で暮らし始める同居ラブコメディ。転勤による復縁した両親不在に加えて、突然同居することになった美桜と、思わぬ形でスタートした高校生活。高校デビューでモテすぎを回避するための美桜との偽装カップル化、人見知りし過ぎて孤高の美少女化する英梨花に、彼女たちを意識はしていてもどこか恋愛感情への自覚に乏しい翔太という構図で、偽装カップルを続ける中で自覚してゆく美桜の翔太に対する想いや、それを意識していて心穏やかでいられない英梨花との距離感に、翔太が振り回されそうな今後の展開がどうなるのか楽しみですね。
好きな子の親友に密かに迫られている (角川スニーカー文庫)
自分を変えるきっかけをくれた初恋の相手・夜咲美彩に幾度となく告白をしては、毎度玉砕している高校生・瀬古蓮兎。彼の前に立ちはだかってきた美彩の親友・日向晴と関係を持ってしまう青春小説。毎回蓮兎の告白をにこやかに受け流す美彩と、彼女の親友で蓮兎を目の敵にする晴という、一見微笑ましく見える三人の構図の裏で積み重ねられてゆく蓮兎と晴の関係。しかし人知れず抱えてきた想いと、少しずつ変わる美彩と蓮兎の関係に焦燥を募らせてゆく晴視点からは、また違った一面が見えてきて、状況的にこうすることしかできなかったのか…とも感じる難しさ、もどかしさがありましたけど、変わりつつある関係に少なからず影響を与えているこの隠し事が、三人に何をもたらすのか今後が気になる物語ですね。
クズレス・オブリージュ 18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい (角川スニーカー文庫)
アバタロー/kodamazon KADOKAWA 2023年12月01日
気が付いたら18禁ゲームの世界で史上最悪のクズ悪役と名高い嫌われキャラ・ウルトスに転生してしまった主人公。その悲惨な破滅エンドを避けるため、目立たず生きるモブルートを目指す錯綜成り上がり譚。クズトスとも称されるそのゲスっぷりにドン引きしつつ、遅ればせながらポテンシャルを活かして、破天荒な元Sランク冒険者エンリケやポンコツ魔法師匠オーランドに学び始めるウルトス。最初のターニングポイントとなる始まりの街リヨンで、状況を変えようと動いたその試みがことごとく裏目に出て、どんどんモブから遠ざかる展開には苦笑いでしたけど、隙あらば甘やかそうとするメイドのリブラや師匠オーランド、辺境貴族の娘イーリスといったヒロインや、秘密を抱える本来の主人公ジークもキャラが立っていて、今後の展開が楽しみですね。
性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話 (角川スニーカー文庫)
犬甘 あんず/ねいび KADOKAWA 2023年12月01日
品行方正で才色兼備な優等生の幼馴染・梅園小牧。彼女に執着される負けず嫌いな平凡女子の吉沢わかばが、勝ちたいあまりに自分の大事なものまでを掛けて勝負してしまう青春小説。負けた代償に自分の意志でファーストキスをさせられ、尊厳を取り戻すために勝負を挑み続けるものの、逆に小牧に条件をつけられ、デートに添い寝、初恋の人に言いたかった"好き"という言葉まで奪われてしまうわかば。一時は憎しみすら覚えるほど、小牧にいろいろと忘れられない想いを刻みつけられて、けれど嫌いにもなれなくてすれ違う二人が切なかったですけど、不器用な小牧がずっと抱えていた想いも明らかにされて、ずいぶんと遠回りしましたけど、少しずつでも素直になっていければいいなと願わずにはいられない二人の結末が良かったです。
灰原くんの強くて青春ニューゲーム 6 (HJ文庫)
詩や竜也とのわだかまりも少しずつ解けて、ようやく日常が戻ってきたことを実感する夏希。バンド活動も再始動し全てが順調に進む中、今度は校内で美織に関する不穏な噂を耳にする第六弾。美織が怜太と付き合っていながら、夏希にも手を出しているという噂、そして学校を休んでいる当事者の美織。想いを自覚してしまったがゆえに噂を否定できず、自罰的になってゆく彼女が前を向くために何が必要だったのか。それにしっかり向き合う覚悟を決めた夏希の判断を自分は正しかったと感じました。それでも一難去ってまた一難、夏希たちの前途多難な状況はまだまだ続きそうですけど、またみんなで笑い合えるようにこれからも頑張って欲しいですね。妄想オタク女っぷりを垣間見せてくれた陽花里は可愛かったです。
才女のお世話 7 (HJ文庫)
坂石遊作/みわべさくら ホビージャパン 2023年12月01日
マネジメント・ゲームをこなしていく中で新たな才能が開花した伊月。後半戦でこれまでの事業を手放してコンサルティング会社の経営を開始。成香を筆頭に旭や大正の依頼を受け始める第七弾。琢磨に師事しながら、どうすれば評価されるのかを考え抜いた末に導き出した決断。成香や旭・大正たちの相談に着実に成果を出して注目を集める中で、終盤に雛子が直面した難題に彼女のお世話係としてではなく、コンサルタントとして対等な立場から現実味のある提案を導き出して向き合う展開は、ゲーム内とはいえ彼の可能性を十分に感じさせてくれるターニングポイントだった気がしますね。ヒロインたちとの印象的なエピソードを絡めながら、その存在が周囲のいい刺激にもなりつつある伊月のこれからが改めて楽しみになってきました。
凶乱令嬢ニア・リストン 4 (HJ文庫)
南野海風/刀彼方 ホビージャパン 2023年12月01日
紙芝居という商機を逃して国を挙げての武闘大会を開催するため、10億クラムという大金を稼ぐ必要が出てきたニア。冒険者リーノの弟子と偽装して、隣国ヴァンドルージュで魔獣狩りをする第四弾。ニアの兄ニールが提案するヒルデトーラ向けの企画、稼いでもらうために弟子たちを強くするための修行、そして表立って王国で動くには顔を知られ過ぎているニアが、金を稼ぐためにヒルデトーラの兄に会う名目で向かった隣国ヴァンドルージュでの魔獣狩り。表向きは冒険者リーノが討伐するという形で危険な魔獣をあっさりと屠り、軍隊ですら討伐できない魔獣を倒してしまうニアの強さは突き抜けていて、思わぬ襲撃もありましたけど今回は彼女が大暴れでしたね（苦笑）
ねぇ、もういっそつき合っちゃう？ 5 幼馴染の美少女に頼まれて、カモフラ彼氏はじめました (HJ文庫)
ホビージャパン 2023年12月01日
後夜祭でお互いの『好き』を感じ取った正市と十色の二人。幼馴染で偽装カップルだった二人がクリスマスを一緒に過ごす約束をする第五弾。れのまま流れでつき合うのではなく、正面から告白して十色と本物の恋人になろうと決意する正市。十色もそんな彼の思いを密かに感じて、偽装か本物か関係は未だ曖昧なままながらも、けれど誰かに見せるカモフラージュではない、微笑ましい恋人あるあるをひとつひとつ積み重ねて距離を縮めてゆく二人。正市が密かに準備していた思わぬプレゼントには驚かされましたけど、これまでの積み重ねを振り返りながら、しっかりとハッピーエンドに繋がる素敵な物語になっていました。
俺が告白されてから、お嬢の様子がおかしい。 1 (HJ文庫)
完璧お嬢様・天堂家星音に使える夜霧影人。そんな彼が同級生の女子に告白されたことを星音に報告したことから、幼い頃から影人への想いを秘める彼女がこれまで以上にアプローチを開始する主従ラブコメ。油断するといつの間にか告白されているモテっぷりで、ついには話題の歌姫・乙葉にまで好かれる影人。そんな状況にヤキモキする星音がアプローチを仕掛けるものの、なぜか恋愛に関してはポンコツっぷりを炸裂させて空回りしたり、他の泥棒猫を排除するために乙葉と意気投合する姿には苦笑いでしたけど、恩義を感じて分をわきまえている影人を落とすのは簡単ではなさそうで、彼がひとつの決断をした夏休みが、二人の関係を変える転機となるのか続刊が楽しみです。影人とお嬢の出会いのエピソードもなかなか良かったですね。
先生も小説を書くんですよね? (講談社ラノベ文庫)
ある日、憧れの小説家・琴羽ミツルのサイン会に赴いたしがない塾講師・佐野正道。実はその正体が塾の居眠り常習犯・三ツ春琴音であることに気付き、その運命ともいえる再会から人生を変えられてゆく不道徳小説講義。実は過去に一度会っていて小説家の夢を共有していたはずの二人。なのに夢を諦めてしまった正道を許せずに、弱みを握って脅迫してまで彼を創作へと誘う琴音。彼の書いた文章を添削し、文学賞に応募する執筆に専念させるために、ノイズでしかない彼の恋人の影響を排除することも辞さない彼女によって、余計なものを削ぎ落とされることでだんだんと研ぎ澄まされてゆく正道の感覚。改めてタイトルの意味するところを考えてしまう展開の中で、まるで物語の結末を暗示するかのような応募作が鮮烈な印象を残す物語になっていました。
煽り煽られしてたネトゲ仲間が品行方正な美人先輩だった話 (ファミ通文庫)
tama/たん旦 KADOKAWA 2023年11月30日頃
高校生の神木玄人と、格ゲーもFPSも強い女性ゲーマーのゴリさん。基本は礼儀正しくて優しく、ただ玄人と対戦する時だけは言いたい放題の彼女と、ネットとゲームで繋がるトーキングラブコメディ。年齢も一つ上で高校三年生のゴリさん。玄人も彼女の腕前に感心しつつ楽しく煽りを返す仲の、ネット上での付き合いも長い一番親しい女友達。これまであまり意識してこなかった彼女に、同じ高校の生徒会に所属する先輩・七種千紗子への恋心を相談していたら、思わぬ展開が待っていましたね（苦笑）お互い本音で話し合える気の置けない二人の距離感ややりとりも良かったですけど、何ともいたたまれない玄人とどこか天然っぽい部分もある彼女が、二人で積み重ねてきた関係をこれからどう変えてゆくのか、楽しみしかない期待のシリーズですね。
今宵も俺は女子高生と雑草(晩餐)を探す1 (PASH!文庫)
日之影 ソラ/みわべ さくら 主婦と生活社 2023年12月01日頃
社会人2年目に大きなミスを犯し、会社をクビ同然で退職した櫻野秀一郎。貯金も底をつきかけて自暴自棄になった失意の社会人と、孤独に悩む女子高生が出会う歳の差純愛ラブコメ。道端の雑草を食べようとしていた秀一郎と、雑草食のアドバイスをする女子高生・高葉向日葵の運命の出会い。交流を積み重ねる彼女の存在もあって徐々に立ち直り、まだまだ不慣れなところもある彼女の配信を一緒に手伝うようになってゆく秀一郎。そんな二人の関係が避けて通れない問題にも直面して、孤独だった向日葵の事情にも踏み込んでゆく展開でしたが、相手のためにどうするのが最善なのか葛藤しながら、それでも育んだ絆や大切なものを失いたくない二人の選択には、なるほどなと感じつつも正直少しばかり驚かされました。
