【Kindle50%ポイント還元】講談社 ポイント還元キャンペーン
【BW30%OFF】読書の秋到来! 講談社の傑作小説ベスト300 (10/12まで)
今回はBWの方で講談社の小説300点が30%OFFとなっていて、対象商品の中からおすすめ作品30作品をセレクトしてみました(見たところKindleの方でも選んだ商品はほぼ50%ポイント還元のようです)。気になる作品があったらこの機会に是非読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
1.爆弾
些細な傷害事件で野方署に連行されたとぼけた見た目の中年男スズキタゴサク。たかが酔っ払いと見くびる警察に、男は「十時に秋葉原で爆発がある」と予言するノンストップ・ミステリ。男の予言直後に秋葉原の廃ビルが爆発。今後の展開を示唆するこの胡散臭い中年男が果たして爆弾魔なのか。対話を試みて情報を引き出そうとする警察と男の駆け引き、鍵を握る過去の事件との繋がり。状況が二転三転して構図もガラリと変わる中で浮かび上がってゆく意外な真相があって、恐怖に支配されて不安を突きつけられた登場人物たちの生々しい感情がなかなか印象的な物語でした。
2.方舟
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れ、偶然出会った三人家族と地下建築の中で夜を越すことになった柊一。その地下建築が水没の危機に陥った矢先に殺人事件が起きるミステリ。地震が発生して扉が塞がれ、水没までのタイムリミットまでおよそ一週間。9人のうち死んでもいいのは、死ぬべきなのは誰か?殺人犯を一人犠牲にすれば脱出できる。そんな思いで犯人探しが始まる中で発生する連続殺人事件。わりとオーソドックスなクローズドサークルなのかなと思いながら読む中で、ディテールにこだわった推理はなかなか鮮やかでしたけど、それだけでは終わらない何とも衝撃的な結末には度肝を抜かれました。
3.競争の番人
新川 帆立 講談社 2022年05月11日頃
曲がったことは嫌いだけど、いまいち壁を破れない公正取引委員会職員・白熊楓が、留学帰りの超エリート・小勝負勉と出会うリーガルミステリ。考えるより先に動いてしまうお人好しな白熊と、だいぶ嫌みだけと言うことは正しくて頭脳明晰の小勝負のコンビが挑むウェディング業界にはびこる価格カルテル内部調査。状況が変わるたびに二転三転する関係者の印象、優しさゆえに裏切られてしまう白熊にもどかしさも感じましたが、そんな彼女を認めてゆく小勝負のサポートも得て、向き合って見事乗り越えてみせた彼女の強さにはぐっと来るものがありました。
国家試験に合格して視能訓練士の資格を手にしたものの、なかなか就職先は決まらない野宮恭一が、街の小さな北見眼科医院の人の良い院長に拾われ、視機能を守るために働きはじめる連作短編集。最初は不器用だった野宮が凄腕の広瀬先輩にフォローされながら向き合う、女の子の視力が落ちた原因、カラコンをする女性の目の痛み、緑内障の治療に通う患者たち、薬局の隠居老夫婦、原因不明の視力低下に悩む少年。出会った患者や周囲の人と真摯に向き合い続けた野宮が多くの気づきを得て成長し、信頼されるようになってゆく姿がとても印象的な物語でした。
5.推理大戦
日本で見つかった、ある「聖遺物」。世界的にも貴重なその「聖遺物」をかけ、「推理ゲーム」が北海道で行われることになり、驚異の能力を持つ「名探偵」たちが、決戦の地に集うミステリ。アメリカ、ブラジル、ウクライナ、日本などの「名探偵」たちが、描かれたそれぞれのエピソードで見せつける特異な能力の数々。そんな彼らの聖遺物をかけた推理ゲームを前に起きた殺人事件。事件解決のために名探偵たちが持てる力を使って導き出してゆく推理の数々にはワクワクさせられて、その先にあった思ってもみなかった結末にはつい唸らされてしまいました。
6.朱色の化身
塩田 武士 講談社 2022年03月16日頃
ガンを患う元新聞記者の父から辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受けたライター大路亨。しかし一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒が、突如姿を消していたことを知るミステリ。大路が元夫や学生時代の友人たち、銀行時代の同僚等を通じて取材を重ねていくことで明らかにされてゆく珠緒の人生。そして彼女の人生に大きな影響を及ぼした昭和31年の福井・芦原大火。なかなか業の深い真相にたどり着きましたけど、それでも何とか前向きに生きようと足掻き続けて、ままならない苦悩を積み重ねながら生き抜いてきたその壮絶な人生が圧巻の物語でした。
7.アンデッドガール・マーダーファルス(講談社タイガ)
アンデッドガール・マーダーファルス 1
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青崎 有吾 講談社 2015年12月17日頃
異形が蠢く十九世紀末ヨーロッパ。怪異絡みの凄惨な事件解決のために呼ばれた怪物事件専門の探偵輪堂鴉夜と鳥籠を持つ男・真打津軽が、残された手がかりや怪物故の特性から推理を導き出すミステリ。シリアスな状況下でも変わらない、どこか道化めいた津軽と誰もが驚く見た目の鴉夜の軽妙なトークのギャップと、事件に繋がってゆく二人の因縁や怪異同士の迫力のあるバトル。ダークというだけでは言い表せないこの作品独特の世界観はとても面白かったですね。
8.海賊とよばれた男(講談社文庫)
一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。
9.虚構推理(講談社タイガ)
妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。その悩みは、自身が棲まう沼に他殺死体を捨てた犯人の動機だった。――「ヌシの大蛇は聞いていた」山奥で化け狸が作るうどんを食したため、意図せずアリバイが成立してしまった殺人犯に、嘘の真実を創れ。――「幻の自販機」真実よりも美しい、虚ろな推理を弄ぶ、虚構の推理ここに帰還!
10.水無月家の許嫁 十六歳の誕生日、本家の当主が迎えに来ました。 (講談社タイガ)
水無月家の許嫁 十六歳の誕生日、本家の当主が迎えに来ました。
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友麻 碧 講談社 2022年03月15日
最愛の父が死の間際に残したひと言によって、生きる理由を見失った高校一年生の水無月六花。彼女の十六歳の誕生日、本家当主と名乗る青年・文也が現れ、許嫁の六花を迎えに来たと告げる物語。文也が語る父の実家で天女の末裔・水無月家を巡る事情。分家との複雑な関係はなかなか不穏ではありますけど、本家には文也の個性的で優しい弟妹もいて、ようやく自分の居場所を得られたと感じられた六花と、クールに見えてわりと抜けているところもあっても、彼女をしっかり守る文也の血の因縁を超えた恋の始まりに期待せずにはいられないシリーズですね。
11.線は、僕を描く (講談社文庫)
両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生・青山霜介。アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会い、初めての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく青春小説。湖山に気に入られてその場で内弟子にされた霜介と、反発して翌年の「湖山賞」での勝負を宣言する湖山の孫・千瑛。初心者ながらも水墨画にのめり込んでいく霜介に、彼と関わるうちに千瑛もお互いに刺激を受けて変わっていって、才能だけでも技術だけでもない水墨画の世界で、その本質に向き合い続けた二人が迎える結末には新たな未来が垣間見えました。面白かったです。
12.すみれ荘ファミリア(講談社タイガ)
病弱で気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送る、下宿すみれ荘の管理人・一悟。そこに、芥と名乗る小説家が引っ越してきてから、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく家族の物語。月の半分は苦しい日々を送る美寿々、テレビ番組制作会社で働く隼人の複雑な心情、とそんな感じですみれ荘の住人たちのエピソードが続くのかと思っていたら、思ってもみなかった衝撃の展開が待っていて、ぱっと見た目ではわからないような執着を突きつけられましたけど、だからこそ淡々と関係を再構築していく兄弟のありようがとても印象に残りました。
13.神さまのビオトープ(講談社タイガ)
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは? 機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。
14.タイタン (講談社タイガ)
野崎 まど 講談社 2023年01月17日
至高のAI『タイタン』のサポートで、人類は仕事から解放され自由を謳歌する未来。心理学を趣味とする内匠成果を世界でほんの一握りの就労者ナレインが訪れ、彼女に仕事を依頼する近未来SF。突如として機能不全に陥ったタイタンAIのカウンセリングを託されることになった成果。仕事という概念がない世界で様々なことを考察することや、働くことの意味、仕事しかしたことがないコイオスと共に旅する中で目にする様々な出来事、そんな中でコイオスの成長や彼女自身の心境の変化もあって、未来に生きるとはどういうことか、現段階ではあまりこういう世の中を想像できないですけど、いろいろと可能性を垣間見せてくれる物語でなかなか面白かったです。
15.法廷遊戯 (講談社文庫)
五十嵐 律人 講談社 2023年04月14日
法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不穏な出来事が続き、意外な形で事件に巻き込まれてゆくリーガル・サスペンス。ある日を境に、二人の「過去」を知る何者かによる嫌がらせが相次ぐ状況で、清義が相談を持ち掛けたのは異端の天才ロースクール生・結城馨。思いもしなかった形で起訴された美鈴と、それを弁護することになった清義という構図になる中、人生を諦めたくなかった久我清義と織本美鈴の苦い過去、明らかになってゆく意外な事件の真相があって、突きつけられる司法界の問題と、それぞれの良心が問われる中で導かれてゆく結末の持つ意味がなかなか深い物語でした。
16.歪んだ波紋 (講談社文庫)
新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディアの「誤報」をテーマに、それが生み出される過程、直面したり振り回される人たちの複雑な想い、それらがもたらした結末が描かれる連作短編集。意図せずとも誤報に繋がってしまう構図や、誤報によって人生が歪められたり不安に怯えるようになったり、誤報を弾劾する側の人間もまた一歩間違えばフェイクニュースを掴まされ、容易に糾弾される側に回ってしまう構図に今のマスメディアの難しさと怖さがあって、報じる側の姿勢が問われると同時に、受け取る側にもまた判断が難しい時代になりつつあると痛感しました。
17.ハサミ男(講談社文庫)
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!
18.ロスト(講談社文庫)
「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」村瀬梓が勤めるコールセンターに掛かってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく会社。なぜ、1億円。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていく。「罪」に期限はあるのか。
19.白い衝動(講談社文庫)
小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。「悪はある。悪としか呼びようのないものが」殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。
20.QJKJQ(講談社文庫)
女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。
21.紅蓮館の殺人(講談社タイガ)
山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿を抜け出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。葛城は真相を推理しようとするが、住人や他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。
22.叙述トリック短編集(講談社タイガ)
「この短編集はすべての話に叙述トリックが入っています」と冒頭で断りつつ、別紙さんと助手が解き明かす謎で読者に挑戦する連作短編集。トイレを舞台にした意外な結末を描く『ちゃんと流す神様』や大学写真同好会を舞台にお互いが気になる二人を描く『背中合わせの恋人』は楽しみながら読みましたが、『閉じられた三人と二人』『なんとなく買った本の結末』『貧乏荘の怪事件』『ニッポンを背負うこけし』とひたすら叙述トリックが続くとつい最初から探して読んでしまいますね。最後の最後でまたああそうだったのかとまんまとやられました(苦笑)
23.絞首商會 (講談社文庫)
秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる血液学研究の大家・村山博士が殺され、頭脳明晰にして見目麗しく厭世家の元泥棒・蓮野が遺族に事件解決を依頼される大正ミステリ。なぜ遺体が移動させられていたのか、鞄の内側がべっとり血に濡れていたのか。そもそも遺族が以前村山邸に盗みに入った元泥棒に事件解決を依頼するのも不可解で、蓮野の友人・井口やうら若き乙女の峯子も絡めながら、なぜか事件解決に熱心過ぎる四人の容疑者相手に緻密な推理を積み上げていって、それが一気に組み上がってひとつの形となってゆく終盤の展開はなかなか良かったです。今回の蓮野と井口のコンビで別の物語をまた読んでみたいと思いました。
24.罪の声(講談社文庫)
「これは、自分の声だ」――京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品からカセットテープとノートを見つける。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。圧倒的な取材と着想で、昭和最大の未解決事件を描いた傑作長編小説。
25.恋と禁忌の述語論理(講談社文庫)
雪山の洋館での殺人。犯人は双子のどちらか。なのにいずれが犯人でも矛盾。この不可解な事件を奇蹟の実在を信じる探偵・上苙丞(うえおろじょう)が見事解決ーーと思いきや、癒やし系天才美人学者の硯(すずり)さんは、その推理を「数理論理学」による検証でひっくり返す!! 他にも個性豊かな名探偵たちが続々登場。名探偵を脅かす推理の検証者、誕生!
26.その可能性はすでに考えた(講談社文庫)
山村で起きたカルト宗教団体の斬首集団自殺。唯一生き残った少女には、首を斬られた少年が自分を抱えて運ぶ不可解な記憶があった。首無し聖人伝説の如き事件の真相とは? 探偵・上苙丞(うえおろじょう)はその謎が奇蹟であることを証明しようとする。論理(ロジック)の面白さと奇蹟の存在を信じる斬新な探偵にミステリ界激賞の話題作。
27.探偵が早すぎる(講談社タイガ)
犯行計画を立てただけなのに……どこからともなく名探偵がやってきた?完全犯罪をもくろむ殺人者は、誰にも見破られぬように犯罪計画を立てた……はずだった。「キミ、殺そうとしてるよね?」彼の犯罪計画の穴とは!?ミステリ界が今、最も注目する才能が放つ、究極の倒叙ミステリ!
28.雨の日も神様と相撲を(講談社タイガ)
子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた文季が、両親の交通事故死で引き取られた先は相撲好きのカエルの神様が崇められている村で、知恵と知識を見込まれ外来種との相撲勝負を手助けすることになる物語。村を治める一族の娘・真夏と出会い、思いとは裏腹に相撲や村の事情にがっつり関わってゆく文季の洞察力や覚悟には年相応に思えないものもありましたけど、一方でそんな彼の自分に向けられる評価や想いには鈍感だったりするギャップや、相撲勝負にも意外な背景があったことに納得したりで、爽やかな読後感を堪能できる素晴らしい青春小説でした。
29.小麦の法廷 (講談社文庫)
ケータイ弁護士として日々奔走する新人女性弁護士・杉浦小麦、25歳。国選弁護士として1日で公判が終わるはずだった仲間内の傷害事件が、やがて世間を震撼させる大事件へと変貌してしまう法曹ミステリ。殺人犯のアリバイ作りに協力しているのかとマスコミに囲まれ、一転して注目を集めることになってしまった被告人の事情。敵は法律を知り尽くした悪党と司法の穴。傷害事件はアリバイ作りなのか、警察と検察のメンツや思惑も絡む複雑な状況に振り回される新人弁護士という構図でしたけど、真正面から向き合って奔走する小麦を支えてくれる人たちもいて、新人なりに不器用ながらも信じるもののために戦った彼女の物語をまた読んでみたいと思いました。
30.スイッチ 悪意の実験 (講談社文庫)
夏休み。お金がなく暇を持て余す大学生たちに持ちかけられた風変わりなアルバイト。自分達とはなんの関わりもない家族を破滅させるスイッチを渡されるミステリ。スイッチを押さなくても1ヵ月後に100万円が手に入るはずなのに、スマホを盗まれて押されてしまったスイッチ。一体誰が何のために押したのか。そして直面する思ってもみなかった惨劇。とある新興宗教を巡る過去の因縁も絡めながら、残された証拠から真相に迫ってゆく過程で、関係者たちの様々な事情も浮かび上がってきて、純粋な悪意とは何か、それを突き詰めた先にあった結末にはいろいろ考えさせられてしまいました。