3月は結構いいペースで読めたはずなんですが、それ以上に刊行点数多すぎて結果的にこれだけ読んでも積読がさらに増えました…このまま行くともともと破綻しかかっている読書計画がほんとに崩壊しそうなので、読みたい本を優先順位決めて少し削るしかなさそうです(苦笑)こればかりは仕方ないですね。
3月の読書メーター
読んだ本の数:77
読んだページ数:24280
ナイス数:4313
飛石を渡ればの感想
不動産会社に勤める星那は、従姉の可夜子に頼まれて三年前に亡くなった祖母の茶道具を整理することになり、茶道を通じて自分を見つめ直したり、祖母の過去に思いを巡らせてゆく連作短編集。営業中に見つけた茶道の稽古場に可夜子と一緒に通い始めた星那。幼い頃の記憶にある中川家の女性に伝わってきた金継の茶碗。祖母の家にある茶室の処遇や道具屋の存在や、そして稽古場での新しい出会い、そして祖母の修子さんの過去エピを通じて明らかになってゆく様々な人々との繋がりや、明らかにされてゆくひとつひとつの想いがとても印象的な物語でしたね。
読了日:03月01日 著者:一色さゆり
今夜、もし僕が死ななければ (新潮文庫)の感想
十歳で交通事故に遭い両親と妹を失ったことで、死の近づいている人がわかってしまう新山遥。見て見ぬふりのできない彼が、死の近い人々に声をかけ寄り添ってゆく物語。かつて愛した妻への悔恨を抱えながら死期を待つ男、入院中のお母さんの死期を教えてほしいという女子高生、バイト先の先輩の連れ合い、そして生まれてくる我が子。切ないエピソードも多いですが、迷いを抱えながらも死に向き合ってきた遥だからこそ、彼を大切に思ってくれる人、かけがえのない存在が周囲に増えていって、その力の意味を知る結末にはぐっと来るものがありましたね。
読了日:03月01日 著者:浅原 ナオト
毒をもって毒を制す 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)の感想
薬絡みの不思議な出来事を解決する薬剤師の毒島さんのもとにも新型コロナウイルスの影が忍び寄り、彼女に憧れるホテルマン・爽太が、仕事中高熱を出した同僚と濃厚接触したとしてホテルに隔離される第三弾。アルコール依存症の父親が急に「酒がまずくなった」と言い出した理由、頻繁に薬局に取りに来る若い母親の目的、そして相次いで高熱を出すホテル従業員たち。今回新型コロナネタもあって、お客さんに真摯に対応する毒島さんの姿が印象的でしたけど、爽太のために奔走してくれた彼女との関係は、この状況下だとなかなか進展しないですね(苦笑)
読了日:03月02日 著者:塔山 郁
ウォルテニア戦記 XVII (HJ NOVELS)の感想
ついに貴族院の審問がはじまり、有力貴族の激しい追及を受ける御子柴亮真。ロベルトとシグニスが証人に立ったおかげで亮真優位に進む審問会にルピス女王が現れる第十七弾。陥れること前提で進んでいたはずの審問会の流れを停滞させる意外な証言や現れた女王の存在。王国と決別すること自体は既定路線だったとはいえ、暗躍する須藤の打つ手が地味に効いていたりするのが嫌らしいですね。王国とは決戦に向けて待ったなしといったところですが、唐突に訪れた祖父との再会が今後どう影響してくるか…それにしても展開が遅いのは相変わらずですね(苦笑)
読了日:03月02日 著者:保利亮太
コンジュジの感想
二度も手首を切った父、我が子の誕生日に家を出て行った母。あまりに過酷な現実を生きている小学生のせれなが伝説のロックスター・リアンを知り、生きる希望となってゆく物語。母が出ていって父子家庭となってしまい、頼るべき父親がクズすぎるという絶望。そんなせれなを支えていたのが現実逃避した虚構のリアンで、次第に明らかになってゆくリアルのリアンもまたどうしようもない存在だったわけですけど、それでも壮絶な過去に囚われ続ける彼女が救われていたのは間違いなくて、それを何とか乗り越えようとする彼女の決意が印象に残る物語でした。
読了日:03月02日 著者:木崎 みつ子
灰と幻想のグリムガル level.17 いつか戦いの日にさらばと告げよう (オーバーラップ文庫)の感想
ジン・モーギスが総帥となり新生辺境軍として独立したアラバキア王国遠征軍。次なる一手としてオークを中心とした敵部隊が居座るお嘆き山攻略を目指す第十七弾。別働隊として重要な任務を課されたハルヒロたちが、オリオンやチーム・レンジ、トッキーズと一緒に地下墓所突破に挑む展開で、個性豊かな面々の面白いやりとりを眺めていたらそこから一気に苦しくなって、どうにか乗り切ったようですけど、意外な再会含めていろいろ気になる点も出てきましたね。でもランタもだいぶ成長した感じで、仲間といい感じにまた馴染んできていてホッとしました。
読了日:03月03日 著者:十文字 青
附子の弁舌 (富士見L文庫)の感想
美容師の貝谷が同窓会で弁護士になった因縁ある異常に口の悪い馬場添泉と再会し、貝谷の周囲で起こるトラブルを彼女が毒舌と法律知識を武器に理不尽をぶったぎる痛快劇。再会してから、なぜか不倫された同級生、結婚相手に実は子供がいた友人、離婚したいオーナー、既婚者に騙された後輩、キャバクラを辞めたい後輩の妹など、貝谷の周囲に次々と問題が発生して、そのたびに馬場添に頼らざるをえない状況に陥るのには苦笑いでしたけど、口は悪くても垣間見える依頼者のために奔走する馬場添たちの奮闘ぶりや、腐れ縁な二人の応酬も面白かったですね。
読了日:03月03日 著者:沼矛 トモ
レイの世界 ―Re:I― 1 Another World Tourの感想
有栖川芸能事務所に所属する15歳の女の子ユキノ・レイ。歌手と女優を目指し日々努力しているはずの彼女のもとに、マネージャーの因幡が次々と変わった仕事を取ってくる物語。とある小さな町の広場にある特設ステージで歌う初仕事、思ってもみなかった歌合戦、領主との結婚を阻止する偽婚約者役、初映画出演で求められた役割、十万人相手のコンサート、たったひとりのための舞台など、並行世界や異世界が舞台だったり、依頼主が少し変わっていても、一生懸命に向き合ってお仕事に励むレイの頑張りとそれぞれの結末がなかなか印象的な短編集でした。
読了日:03月03日 著者:時雨沢 恵一
蟲愛づる姫君の永遠 (小学館文庫 C み 1-7 キャラブン!)の感想
花嫁を探しに魁国を訪れた飛国の第二王子・榮覇。しかし蠱師である玲琳をひどく気に入り、夫の鍠牙と離婚させてでも自分の国に連れ帰ると言い出す第五弾。榮覇のことを面白がり飛国へと旅立ってしまう玲琳と、旅の途中で突然苦しみ意識を失い毒の塊に成り果ててしまう榮覇。別人のようになった玲琳の姿にはびっくりしましたが、彼女が好き過ぎる鍠牙もいい感じに壊れてきてますね(苦笑)彼女に執着するちょっとおかしい人たちに愛されていて、自分の欲しいものは何も諦めない欲張りで、そんないきいきとしている彼女がとても幸せそうに思えました。
読了日:03月04日 著者:宮野美嘉
【第8回「ネット小説大賞」受賞作品】死にたがりな少女の自殺を邪魔して、遊びにつれていく話。 (宝島社文庫)の感想
死神と取り引きをし、寿命が3年になる代わりに時間を24時間巻き戻せる時計を手に入れた相葉純。そんな彼が時計の力で自殺願望の強い少女一之瀬月美の自殺を邪魔し続けるうちにその関係が変わってゆく小さな恋の物語。月美の自殺を知るたびに、時間を巻き戻してその自殺を阻止することで始まった二人の奇妙な交流。お互い閉塞した日常と生きづらい日々を共に過ごしていくうちに積み重ねられてゆく想い。自覚してしまえばそう簡単に忘れられるわけもなくて、どこまでも諦めの悪い二人に死神も呆れた苦笑いの結末にはぐっと来るものがありましたね。
読了日:03月04日 著者:星火 燎原
恋に焦がれたブルーの感想
靴職人を目指す高校生の歩橙が恋心を寄せる同級生の青緒。いつもボロボロのローファーを履いている彼女に、手作りの靴をプレゼントしようと思い立つ青春小説。友達も作らず、ひとりぼっちで笑顔を見せたことすらなかった青緒が抱える複雑な事情と、不器用に真っ直ぐに恋する気持ちを靴に込めようとする歩橙。いくつもの苦難を乗り越えて再会した二人に待ち受ける運命はあまりにも過酷だと感じましたけど、それでも不器用に夢を追いかけ続けて、一途に思い続ける大切なものは変わらない二人が迎えた結末は、とても彼ららしい素敵なものに思えました。
読了日:03月04日 著者:宇山 佳佑
大阪マダム、後宮妃になる! 二回戦は熱闘猛虎黎明編 (小学館文庫 C た- 2-2 キャラブン!)の感想
ある日、後宮に新しくやってきた王淑妃の奇妙な言動に違和感を覚える蓮華。皇帝のための大宴で野球の試合を披露することになった蓮華は、意外なものを目にすることになる第二弾。あの…これ中華風ファンタジーでしたよね…?と誰かに聞いてみたくなるくらい斜め上の方向に後宮が盛り上がって、思ってもみなかったライバル登場とかいうベタな展開には笑ってしまいましたが、天明たちの目指すものの前途多難を痛感するほろ苦い結末でもありましたかね。それにしても彼女のために一生懸命頑張ってたんですけどね…残念、惜しいけどそれ違うのよ(苦笑)
読了日:03月05日 著者:田井 ノエル
京都伏見は水神さまのいたはるところ 綺羅星の恋心と旅立ちの春 (集英社オレンジ文庫)の感想
大学卒業後、実家の酒蔵を継がずに就職するため東京に行くことを決めた拓己。そしてひろは祖母の神社を継ぐために京都の大学に進学することを決める第六弾。京都にやってきた母と進路の相談で衝突するひろ。そしてずっと一緒だった水の神様の化身シロとの関係性にも変化の時が訪れ、大好きな拓己との別れが迫る春。母やシロとはきちんと向き合った一方で、傍から見たらどう見ても両片想い状態なのがバレバレなひろと拓己の関係は、相変わらずお互い煮えきらない感じで苦笑いでしたけど、あれはあれでまた二人らしい結末だったのかもしれないですね。
読了日:03月05日 著者:相川 真,白谷 ゆう
イン・ザ・ダスト (ハヤカワ文庫JA) (ハヤカワ文庫 JA ナ 6-2)の感想
男性の轢死事件を追う警視庁分析捜査係の渡瀬敦子。一方、東都放送報道局の土方玲衣は過去の地下鉄駅爆破テロ映像の不自然な改竄跡を発見。それらふたつが奇妙な繋がりを見せていく報道×警察小説第二弾。連続して起きる復讐劇で、加害者はどうやって被害者の情報を入手したのか。局を辞めた記者は何をしていたのか。登場人物がやたら多くて視点が頻繁に切り替わるため、最初は状況を把握しづらかったですが、分析の敦子と報道の玲衣それぞれのアプローチが繋がって、複雑に絡み合った謎を解き明かしていった先に見えてくる真相は流石の一言でした。
読了日:03月06日 著者:長沢 樹
王女の遺言 1 ガーランド王国秘話 (集英社オレンジ文庫)の感想
政略結婚で異国に嫁ぐことが定められた王女アレクシアと、驚くほどそっくりな顔をした少女ディアナとの一度きりの邂逅。身分も境遇も正反対の二人が、運命のいたずらに翻弄されてゆく物語。隣国の王太子との政略結婚に向かう道中の船上で襲われ、苦難続きでも決して諦めないアレクシア。いざという時の王女の身代わりとして乗船していたディアナの決意。次期王位を巡る複雑な思惑も絡めながら物語が動き出して、二人がどうなってしまうのか気になる結末でしたけど、アレクシアの方は献身的な護衛官ガイウスの頑張りがポイントになってきそうですね。
読了日:03月06日 著者:久賀 理世,ねぎし きょうこ
蟲愛づる姫君の宝匣 (小学館文庫 C み 1-8 キャラブン!)の感想
蟲の次くらいには夫を気に入るようになった相変わらずの蟲愛づる姫・玲琳の極悪マイペースぶりが、被害者である周囲の人々側からも描かれる短編集。春になると魁国の夫婦が一般的にとりおこなう花祭りで起きた事件、夏に起きた怪異の真相、秋の玲琳に起きた一大事からの鍠牙の思ってもみなかった変化、冬に起きた玲琳の持ち物紛失事件。いや玲琳と鍠牙のお互いちゃんと分かってる感もおかしいですが、葉歌ちょっと浮かれて暴走しすぎじゃないですか?(苦笑)新キャラ風雷コンビもなかなかいい感じで、最後出てきた二人も面白い存在になりそうです。
読了日:03月07日 著者:宮野美嘉
魔弾の王と凍漣の雪姫 7 (ダッシュエックス文庫)の感想
ひそかな野望を抱いてロランを罠にはめ、レグナス王子の抹殺を狙うバシュラル王子。彼と戦うも敗北してしまったリュディエーヌたち遊撃隊が立て直しを図る第七弾。リュディエーヌを、そしてブリューヌ王国の危機を救うため、父の親友であるマスハスに助けを求めるティグル。王都ニースで動き出した黒幕ガヌロン公爵。今回は意外な人物との再会もあったものの、次の展開に向けた舞台を整えつつ遊撃隊の立て直し回といったところでしたか。続々と主要キャラが王都に集結し始める流れで、ここからエレン参戦が何をもたらすかちょっと期待ということで。
読了日:03月07日 著者:川口 士,美弥月 いつか
魔弾の王と聖泉の双紋剣 4 (ダッシュエックス文庫)の感想
サーシャの助力もありからくも魔物ストリゴイを撃退したティグルとリム。逃げ延びたストリゴイが新たな影法師の大軍をそろえてアスヴァールを襲う第四弾。ストリゴイが繰り出す影法師たちを相手に試行錯誤で対処するティグルたち。ストリゴイと魔物の脅威を目の当たりにし、アルトリウス軍との休戦と一時的な同盟の締結を模索するギネヴィア。王女なのに大変だな…とか思いながら読んでましたけど、現場レベルではいい感じの共闘してみせた一方、最後に待っていた思ってもみなかった衝撃の急展開にはビックリしました。これどうなっちゃうんですか?
読了日:03月08日 著者:瀬尾 つかさ,川口 士,八坂 ミナト
庶務省総務局KISS室 政策白書 (ハヤカワ文庫JA)の感想
2020年、世界を襲ったSARSインパクトで激変した国際社会。庶務省総務局、経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室、通称KISS室の島崎室長と部下の中村君がエレガントな政策提言を手掛けていくショートショート15篇。地球温暖化問題や働き方改革など、他省庁からたらい回しにされてくる近年の重要課題に対して、ぐうたらなダメ上司に丸投げされ地味にハイスペックな中村君が次々と繰り出す政策提言が斜め上だけど鋭くて、二人のぐだぐだな会話のじわじわ来る感じが効いていて、いつもと違う感じでしたけど面白かったです。
読了日:03月08日 著者:はやせ こう
俺たちはそれを奇跡と呼ぶのかもしれない (光文社文庫 み 37-2)の感想
「俺」はいったい誰なんだ?目覚めるたびに別人に成り代わる。そんな状況で目にした「カップル連続惨殺犯」の文字に強い衝撃を受けるミステリ。年齢も性別もバラバラで、脈絡があるのかどうかもわからないまま、別人の視点から体験してゆく様々な出来事。そして不可解な現象が続く中で見えてくる連続惨殺事件との関わり。自分は一体何者なのか、そしてこの状況で何をすべきなのか。試行錯誤を繰り返す中で問い続けた主人公が、見逃してはいけなかった大切なことを見出し、きちんと向き合おうとする姿がとても印象的な物語でしたね。面白かったです。
読了日:03月09日 著者:水沢秋生
ひまりの一打 (集英社文庫)の感想
クビ寸前の暴走女性プロゴルファー中原ひまりが、酒浸りの元賞金王・三浦真人と運命の再会を果たし、窮地を脱すべく二人三脚で奮闘するゴルフ小説。プロにはなったものの二年目にしてその無謀なプレーで成績不調に陥り、スポンサー契約継続の危機に陥っていたひまり。事故で一線から退いていた真人との思ってもみなかった再会から、真人のアドバイスで気づいたこと、宿命のライバルとの邂逅、そして焦燥からの衝突と、繰り広げられるストーリーはド王道で、だからこそ最後まで諦めない分かりやすくて熱く燃える展開にはぐっと来るものがありました。
読了日:03月09日 著者:半田 畔
ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい3 (電撃文庫)の感想
花梨から中学生の妹に勉強を教えて欲しいとお願いされた龍之介。先輩の家で花梨と真逆でグイグイ迫ってくるからかい好きな美少女JC花恋と出会う第三弾。普通に会えなくなる夏休みを前に危機感を募らせた相変わらずな二人の一大決心。新キャラ花梨の妹・花恋は姉とはまた違ったタイプでしたけど、姉妹に加えて真衣や星菜、委員長といったハイスペックな美少女たちと海水浴行っても全然ブレない龍之介がある意味凄い(苦笑)花火大会での二人もなかなかいい雰囲気で、これもう何か傍から見たら付き合ってると思われてもおかしくない感じですよね…。
読了日:03月10日 著者:五十嵐 雄策
ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います (電撃文庫)の感想
超安全・安定の「ギルドの受付嬢」だったはずなのに理想とは程遠い残業三昧の日々の日々を過ごすアリナ。残業回避・定時死守のために奮闘する最強受付嬢の異世界コメディ。遅々として進まないダンジョン攻略で残業漬けの日々に耐えられなくなり、隠し持つ一級冒険者ライセンスと大槌を手に自らボス討伐に向かうアリナ。早速バレるうかつな彼女にはつい笑ってしまいましたが、明らかになってゆく彼女の背景と、何だかんだで危機を放っておけない優しさがいい感じに効いていて、なかなか思い通りにいかない彼女のドタバタぶりが愛しくなる物語でした。
読了日:03月10日 著者:香坂 マト
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)の感想
日常に不可欠な情報端末へ進化したユア・フォルマを用いて、重大事件を解決する探電索官エチカ。彼女と新たな相棒になったハロルドが、世界を襲う電子犯罪に挑む近未来SFミステリ。情報処理能力を持て余気味で同僚を次々と病院送りにしてきたエチカと、新しくコンビを組んだヒト型ロボット〈アミクス〉のハロルド。スマートでそつがない彼の言動に戸惑い、時には衝突しながら捜査する事件は、それぞれが抱える過去のトラウマを刺激せずにはいられなくて、それでも逃げずに向き合って乗り越えてみせた二人のこれからをまた読んでみたくなりました。
読了日:03月10日 著者:菊石 まれほ
忘却の楽園I アルセノン覚醒 (電撃文庫)の感想
度重なる争いの後、人類を制御するため武器、科学、信仰が管理秘匿された忘却の楽園リーン。そんな世界で記憶を封じた少年と猛毒を抱いた少女が運命の出会いを果たすファンタジー。身体に猛毒の汚染物質〈アルセノン〉を宿す少女・フローライトの管理を命じられたアルム、苦悩するドラルの王女オリヴィア、そして総統補佐官となったクリストバル。矛盾する世界の謀略に否が応でも巻き込まれてゆく同期三人が、葛藤し翻弄されながらも懸命に抗って、そう簡単には世界を変えられなくても、希望を感じさせてくれる結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:03月10日 著者:土屋 瀧
京都寺町三条のホームズ(16)-見習いキュレーターの健闘と迷いの森/前編 (双葉文庫)の感想
大学二年生の冬。家頭邸で円生作品の展覧会をすることになった葵。なかなか良いアイデアが浮かばず苦悩する中、北区役所から『船岡山エリア』活性化の申し出が来る第十六弾。香織と春彦の関係も気になるところでしたけど、どうすべきか迷いながらも様々な人と出会い、多くのものに触れていく中で自らが進むべき道を見出していく葵の成長を、時には見守り時にはフォローして支える清貴の姿が印象的でしたね。気になる引きで後編がここからどうなるかも気になるところでしたが、そこで清貴の思い入れが炸裂した番外編がいいオチになってました(苦笑)
読了日:03月11日 著者:望月 麻衣
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件4 (GA文庫)の感想
真昼が落とした爆弾発言に騒然とする教室で、彼女の想いを計りかねる周は、真昼の隣に立つに相応しい人間になることを決意する第四弾。隠さなくなってきた真昼の想いを何となく感じつつも、まずは信頼を寄せてくれる彼女に追いつくべく身体を鍛え勉学に励む周。周囲も流石に二人の距離感に気づいて、少しずつ外堀を埋められて、いつの間にかあとは周の覚悟だけみたいな感じになってましたけど、あそこまで真っ直ぐな想いを突きつけられたら、もう応えるしかないですよね(苦笑)ようやくという感じでしたが、これからどうなるかもこれはこれで期待。
読了日:03月11日 著者:佐伯さん
天才王子の赤字国家再生術9 ~そうだ、売国しよう (GA文庫)の感想
貿易する権利を得るため、選聖侯アガタの招待を受けウルベス連合を訪問したウェインたち。複数の都市が勢力争いに明け暮れる連合内の状況に目をつける第九弾。貿易の見返りとしてアガタから国内統一への助力を依頼されるも、その裏に策謀の気配を感じて連合内の状況に独自に介入を開始するウェイン。今回は彼の辣腕を見せつける独壇場というか、ブチ切れての思わぬ惨劇が起こらなくて良かったというか、様々な思惑が入り乱れる舞台を一人で仕切ってみせてお見事という感じでしたけど、今回の件が次の展開にどう繋がってゆくのか続きが楽しみですね。
読了日:03月11日 著者:鳥羽 徹
友達の妹が俺にだけウザい7 (GA文庫)の感想
秘密の宣戦布告を経てついに水面下で彩羽VS真白開戦。と思われた矢先に……彩羽母・乙羽と真白母・海月が大星家にやってくる第七弾。彩羽&真白との関係を容赦なく詰められて右往左往する明照、ラブコメ面でも仕事面でも5階同盟を振り回しはじめる人生経験豊富な乙羽と海月。修学旅行が迫る状況で迎えた5階同盟の危機をどう乗り切るべきか、悩みに悩んだ末の明照の決断はこれはこれで彼らしいと思いましたけど、ヤバイ母親二人は存在感も影響力も絶大で、これは今後の展開にも大きく影響を与えそうですね…とりあえず次の修学旅行回楽しみです。
読了日:03月11日 著者:三河ごーすと
僕の軍師は、スカートが短すぎる2~サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下 (GA文庫)の感想
女子高生軍師穂春の助言によって会社で実績をあげた史樹。次は&SIXとのさらなるコラボのために所属事務所との共同事業を命じられ、メンバーの汐音ら少女たちと出会う第二弾。今回はいつの間にか&SIXのマネージャー的立ち位置でメンバーを支える構図になっていて、穂春を失った汐音たちの覚悟を喰い物にしようとする大人の策謀相手に、軍師の助言も得ながらうまくいなしていく姿を見せたら、それは惚れちゃいますよね(苦笑)そこまで見据えていたのかと驚かされたJK軍師の深謀遠慮っぷりでしたけど、妹襲来で面白いことになりそうですね。
読了日:03月12日 著者:七条 剛
竜歌の巫女と二度目の誓い2 薬を探す子供 (GA文庫)の感想
再び交わされた誓いから1か月。ルゼとギルバートのもとを専属医者ドミニクと手伝いのラティナが訪れ、その報せをきっかけに静かな時間が急変してゆく第二弾。竜の遺骸が移送中に盗まれた事件と調査依頼。十二年前の少年と竜の悲しい誓いと、竜騎士失格の烙印を押されたドミニクの兄・ガーヴィン。相変わらず不器用でお互い思いが伝わらない二人にはもどかしい気持ちになりましたが、同時に少年と竜の悲しいすれ違いや、竜歌の巫女を巡る過去を突きつけられる展開でもあって、それを乗り越えたこれからを期待させてくれる結末はとても良かったです。
読了日:03月12日 著者:アマサカナタ
ゴブリンスレイヤー 14 (GA文庫)の感想
少しいつもと様子の違うゴブリンスレイヤーから一党に提案された北の山の向こうにある暗い夜の国への旅。かくして一党は北方辺境に向かう第十四弾。雪山の向こうにあった蛮人の英雄譚の舞台。いつもと異なる異文化、言語、そしてこの地を治める頭領と美しい奥方の存在。仲睦まじい頭領夫妻や北の描写は興味深くて、ゴブリン相手に仲間や北の英雄たちとの共闘は華々しくて、それがいつの間にか大物相手に戦うことになるお約束の展開でしたけど、女神官が感じたようにゴブスレさんも少しずつ変わりつつあるんだな...と改めて実感する結末でしたね。
読了日:03月13日 著者:蝸牛くも
コーチ! はげまし屋・立花ことりのクライアントファイル (講談社文庫)の感想
流されるままに25年生きてきたことりの転職先「はげまし屋」。おんぼろマンションの一室にあるオンライン専門の人生相談所での奮闘記。身近には打ち明けられないひそかな悩みを抱える、いいね探しの派遣社員、白雪姫に恋したカサノバさん、小説家志望の実家住まいのアラサー女子、行動力あるちょっと変わったネットビジネス志望など、顧客との距離感が難しそうだなあと思いながら読んでましたけど、偶然見つけたこの仕事にいつの間にかのめり込んで、ひとつひとつに真摯に向き合っていくことりの姿に、読んでる自分も応援されている気がしました。
読了日:03月13日 著者:青木 祐子
9月9日9時9分の感想
バンコクからの帰国子女で、日本の生活に馴染むことができないでいた高校1年生の漣。そんな彼女が高校の渡り廊下で見つけた先輩に一瞬で心囚われてしまう青春小説。目をそらせないと気づいてしまった、自分を助けてくれた先輩。どうしようもなく惹かれてゆく中で、好きになってはいけない相手であることに気づく漣。かけがえのない自分の居場所も家族への配慮も大切で、多くの人の話を聞きながらどうにかならないのかと必死に抗う漣の想いがとても切なくて、頭では分かっていてもどうにもならないことってあるよな…としみじみとしてしまいました。
読了日:03月14日 著者:一木 けい
Exit イグジットの感想
月刊誌で経済分野を担当することになった元営業マン・池内貴弘。地方銀行に勤める元・恋人の自殺の原因を調べるうちに地方銀行の苦境やこの国の未曾有の危機にあることを知る経済小説。元・恋人が亡くなる前に訪れていた、金融業界の裏と表を知りつくす金融コンサルタント古賀。事件に迫るため助言を乞う過程で古賀の過去を知る池内。池内と古賀の視点から地方銀行の窮状や日本経済のリスクを浮き彫りにしていて、そんな危機的状況にどうあるべきか、それぞれの立場から迫る濃い展開はいろいろと考えさせられるものがあって、読み応えがありました。
読了日:03月15日 著者:相場英雄
【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】元彼の遺言状 (『このミス』大賞シリーズ)の感想
奇妙な遺言状を残して亡くなった、元カレで大手製薬会社の御曹司・森川栄治。学生時代に彼と3か月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、栄治の友人の代理人として、森川家の主催する「犯人選考会」に参加するミステリ。数百億円とも言われる財産の分け前を獲得するべく、自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する麗子。お金にがめつい麗子のキャラがなかなか存在感ありましたけど、この事件を通じて様々な人と出会い、彼女もまたいろいろ考えたりする部分もあったんですかね。明らかになってゆく事件の真相もその結末もなかなか良かったです。
読了日:03月16日 著者:新川 帆立
君の心を読ませての感想
IQ250のギフテッド・春風零が開発した心を読める美少女AI・エマ。エマがより人間を理解するために作られたシェアハウスで殺人事件が発生するパニックミステリ。エマを信奉する若い男女6人が暮らすシェアハウスで起きた事件ではライバルAI・フェルマーも登場して、思ってもみなかった急展開には緊迫感もありましたけど、終わってみればなかなかいい感じにまとめ上げられた結末でしたかね。でも便利過ぎる生活を否定せざるを得ない事態に陥った時に、人類は果たしてどうすべきなのか、なかなか考えさせられるテーマだったかもしれないです。
読了日:03月16日 著者:浜口 倫太郎
つるぎのかなた(4) (電撃文庫)の感想
あの無念の涙から一年。雪辱を果たすべく最後の夏へ向けて凄まじい勢いで成長していく悠たち藤宮。その一方で快晴率いる『常勝』秋水は、絶体絶命の危機に直面する第四弾。今や主将の立場にあった二人の天才。その対照的な境遇を浮き彫りにしながら、最後の夏の決着に向けて盛り上がってゆく展開でしたけど、二人だけでなく他の面々にも譲れない因縁が積み重なって、悠とヒロインたちの関係もあって、それぞれの熱い戦いの連続とその結末にはぐっと来るものがありましたね。でも乾兄妹の最後まで諦めが悪い感じがとてもらしくて良かったです(苦笑)
読了日:03月17日 著者:渋谷 瑞也
吾輩は歌って踊れる猫である (講談社タイガ)の感想
バイトから帰るとなぜかベッドに鎮座していたしゃべる猫。化け猫の禁忌に触れてしまい、猫と化したミュージシャンとして活躍していた幼馴染のモニカと奇妙な同居生活を始める青春小説。使い古しのモップのような猫の姿になってしまった幼馴染をもとに戻すため、モノノ怪たちの祭典用の曲を作ることになった二人。邪魔は入るしモニカと喧嘩はするし前途は多難で、拗らせてゆくモニカとの関係には時折垣間見える不器用な思いがありましたけど、それでも諦めずに乗り越えた先にあった、何とも微笑ましくなる二人の結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:03月17日 著者:芹沢 政信
元カノが転校してきて気まずい小暮理知の、罠と恋。の感想
中学時代、秘密の恋人同士だった理知と孤高の美少女渋谷ないる。理知に一方的に別れを告げて転校した彼女が、再び転校生として彼の前に現れる青春小説。再会していっそう美人になったないるを意識せずにいられない理知。一方、理知に冷たい横顔を向けつつ、意味深な発言を繰り返すないる。変わり者の上級生佐伯冴音子の策略に振り回されたり、思わぬ急展開に動揺する理知には忘れていた過去があって、不器用過ぎて拗らせてしまう彼らの距離感がもどかしかったですけど、失いかけていた大切なものを取り戻した二人が迎える結末は微笑ましかったです。
読了日:03月18日 著者:野村 美月
月とライカと吸血姫: 月面着陸編・上 (6) (ガガガ文庫 ま)の感想
月着陸への共和国と連合王国による共同計画を、世界向けて非合法に暴露したレフたち。目論見通りその計画に乗ってきたゲルギエフが、連合王国との月着陸共同計画を宣言する第六弾。潰えかけていた夢を共同計画という形で実現へと近づけた二人。ANSAでの飛行訓練のために連合王国へ渡ったレフとイリナたち、共同研究のため共和国に渡ったバートとカイエも、プライドと文化の違いに苦闘する展開でしたけど、熱い思いを胸に粘り強く真摯に向き合って、少しずつ認め合えるようになってゆく展開にはぐっと来るものがありましたね。下巻にも期待です。
読了日:03月18日 著者:牧野 圭祐
王杖よ、星すら見えない廃墟で踊れ (集英社オレンジ文庫)の感想
末王子サミュエルが治める貧しい西部地域。貧乏伯爵令嬢のエスメは食糧難を解決すべく、頼りない双子の兄に代わり男装し領地の窮状を王子に訴えようと決意する第三弾。共同統治が敷かれる中、年上の兄姉に出遅れ気味で焦燥を募らせるサミュエルとエスメの邂逅。真っすぐで自ら率先して事に当たる彼女の姿に、少しずつ感化されてゆくサミュエル。彼を溺愛するあまり暴走する王太后の干渉はあれでしたけど、サミュエルもようやくかけがえのない人と巡り会えた結末にはぐっと来るものがありましたね。相変わらず鈍感過ぎるエスメには苦笑いでしたけど。
読了日:03月19日 著者:仲村 つばき,藤ヶ咲
ロクでなし魔術講師と追想日誌8 (ファンタジア文庫)の感想
みんなが不在のなかでグレンの家に住み込みすることになったルミア、黄金のきのこ狩りをすることになったグレンたち、システィーナが執筆する物語のファンとなった貴族令嬢、魔導探偵ロザリーの事件簿ふたたび、そしてルミアとグレンの初めての出会いを描く番外編第八弾。貴族令嬢のエピソードとか魔導探偵ロザリーも良かったですけど、女王陛下直々にお膳立てするルミアの住み込みエピソードやグレンとの初めての出会いが良かったですね。こういう短編になるとみんなお茶目になるなあと楽しくなります(リィエルだけはどこでも平常運転だけどw)。
読了日:03月19日 著者:羊太郎
公女殿下の家庭教師8 再臨の流星と東都決着 (ファンタジア文庫)の感想
敵の策略で激昂してアレンの情報を求め、暴走して東都に向かうリディヤ。そんな彼女を他の教え子たちが追う中、孤島を脱出したアレンも叛乱に決着をつけるために東都へ向かう第八弾。後顧の憂いを断って逆襲が始まってみれば、相手が悪すぎて叛乱自体はわりとあっさりと終息に向かうのも当然という感じで、黒幕的な存在だった聖霊教の存在は気になるところですけど、アレンが知った様々な過去、闇堕ちしかけたリディヤとの再会も含めて、王国動乱編としてはとりあえず決着ですか。それにしても大活躍だったアレンの今後の処遇が楽しみですね(苦笑)
読了日:03月19日 著者:七野りく
幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら3 再会した幼馴染の家庭教師もすることに (ファンタジア文庫)の感想
恋人同士になって甘々な日々を過ごす愛沙と康貴の前に、転入生としてやってきたもうひとりの幼馴染・入野有紀。男だと勘違いしていた康貴が戸惑う中、美少女になった有紀にとある悩みから家庭教師を依頼してくる第三弾。ようやく康貴と両想いになれて、それだけで幸せいっぱいの愛沙と呆れる妹のまなみ。そんなところにすっかり様変わりした有紀が現れる展開でしたけど、相変わらず初々しい二人の関係が描かれる一方、康貴の助力でらしさを取り戻してゆく有紀の思いもなかなか健気で、大切でかけがえのないそんな優しい関係を見守りたくなりました。
読了日:03月19日 著者:すかいふぁーむ
アサシンズプライド13 暗殺教師と廻天導地 (ファンタジア文庫)の感想
時間旅行によって古の時代へと辿り着いたクーファ一行。封じられた歴史の闇を探るメリダたちが、想像を超える世界の全貌と残酷な真実に直面する第十三弾。時間旅行の導き手を失い、歴史を変えてはいけないというマナーを胸に世界の真相に挑む乙女たち。目の当たりにする人類滅亡へのカウントダウンと戦い続ける古代の人々。今回は五千年後のあの世界がなぜ生まれたのか、その歴史的瞬間の真相に迫る展開でしたけど、それによって今の世界の構図やこれからの指針もだいぶ明確になってきましたね。終盤に向けてここからどう動くのか続巻が楽しみです。
読了日:03月20日 著者:天城ケイ
経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その2 (ファンタジア文庫)の感想
ギャップだらけの陰キャの龍斗と陽キャラ月愛が付き合い始めて迎える夏休み。そして二人に複雑な思いを抱く海愛の焦燥を描く第二弾。一緒に勉強したり休みに海に行ったり順調に交際を重ねる龍斗と月愛。一方で龍斗に叱られたことで真摯な彼を意識するようになってゆく海愛。龍斗が月愛を大切に思ってきたからこそ、誤解から深刻なすれ違いになりかけましたけど、ちゃんと向き合ったことでそれもまたより仲を深めるきっかけに繋がったのかなと。二人には幸せになってほしいし、海愛も悪い子じゃないのできちんと仲直りできる機会があるといいですね。
読了日:03月20日 著者:長岡 マキ子
フラれてから始まるラブコメ (ファンタジア文庫)の感想
付き合っていた彼女にフラれた高校生初の春休み。それを機に二年生からは地味に生きると決めた田崎春に、新たな交友関係が生まれていく青春小説。彼女と別れて所属していたグループとも距離を置くようになった春人の複雑な心境。そして才色兼備な桐ケ谷、図書室で出会った林、ちょっと変わった高坂といったヒロインたちとの交流。春人の苦い過去エピも交えつつ、まだ彼女たちとの出会いがすぐラブコメに繋がるような心境ではなかったようですけど、その交流が少しずつ再び前を向くきっかけに繋がりそうかなと期待を感じさせてくれる物語でしたかね。
読了日:03月21日 著者:金木犀
武装メイドに魔法は要らない (ファンタジア文庫)の感想
荒廃した近未来のニッポンで命を落としたゲリラ兵の仲村マリナ。貧乏辺境公女のエルザに異世界召喚され転生を果たした彼女が、武装メイドとして戦う異世界ファンタジー。帝国相手の戦争で奮闘しながら、政治に翻弄され領土の大半を失った辺境伯爵領。戦争再開を望む国内勢力に脅かされるエルザを救うため、前世の経験と現代重火器を駆使して戦うマリナはカッコ良かったですが、異世界の騎士がヤバイくらい化け物でした(苦笑)ギリギリの状況でぶつかり合いながら育まれる主従関係にはぐっと来たものの、最初からこんな感じだと前途多難ですねえ…。
読了日:03月21日 著者:忍野 佐輔
水葬 (文芸書)の感想
母と父代わりの伯父に会わせるため、婚約者の千住光一を待っていた初井希美。だが光一は時間になっても現れずそのまま姿を消し、彼の妹・美彩と一緒にその足取りを追う社会派サスペンス。失踪した光一の手がかりを探すためにいろいろ調べてみると、改めて自分が彼をあまり知らなかったことを突きつけられる希美。光一の元交際相手・優子も失踪していて様々な疑惑が渦巻く中、キーマンの戦後時代の過去エピも含めていろいろ掘り下げた割には、ちょっと残念な真相だったかなと感じましたが、振り返ってみるとタイトルの意味はなかなか効いてましたね。
読了日:03月22日 著者:鏑木蓮
蒸気と錬金 Stealchemy Fairytale (ハヤカワ文庫JA)の感想
蒸気錬金術で急速な発展を遂げつつある大英帝国。そんな中、ロンドンの売れない小説家の「私」が、編集者から提案されて毒舌幻燈種と共に理法と恩寵の島アヴァロンへの取材旅行に赴く蒸気錬金妖精譚。毒舌なポーシャをパートナーに三文作家の主人公が旅行記を書くためにアヴァロンに向かう展開で、いまいち状況を把握しきれていない主人公の視点で物事が進むため、現段階ではやや全体の構図がぼんやりしていた感もありましたが、軽妙なポーシャとのやりとりやトラブルに次々と巻き込まれがちな展開はわりと面白かったです。続編にも期待しています。
読了日:03月22日 著者:花田一三六
読まれる・稼げる ブログ術大全の感想
ブログからの収益で生活しているプロブロガーの著者が、読まれる稼げるブログとは何かを書いた一冊。全体としてみると稼ぐノウハウ自体はさらっと書いてあるレベルで、ブログは日記ではなく情報発信ツールであること、ブログで何を書くべきか、書くべきでないのか、わかりやすい文章とはなにか、1画面に見える文章は少なく見せる、ファンを増やすために大切なこと、過去記事の活用方法、初心者失敗あるある、継続するために知っておきたい6つの鉄則など、ブログを書いていく上で続けていく上で大切なことが書いてあって、いい再確認になりました。
読了日:03月22日 著者:ヨス
イノセント・ツーリングの感想
緊急事態宣言が明けて2020年も夏を越え、若くして命を落とした親友との約束を果たすため、大学時代の親友の夫とその息子と一緒に紀伊半島のツーリングに出かける数日間の旅の物語。予備校のチューターとして再会した親友の息子。様々なものが変わってしまった中で、日常にかまけて放っておいた大切なものを確かめに自転車で思い出の旅に出る展開で、強烈過ぎてかえって忘れてしまうことってあるんですよね…。昔とは違う部分も懐かしく思いながらの旅は年齢を重ねていくと簡単にはできないですけど、いつか自分もしてみたいと思える物語でした。
読了日:03月23日 著者:湊 ナオ
美少女と距離を置く方法 2.ぼっちとクールと恋敵、キスとヤキモチと修学旅行 (オーバーラップ文庫)の感想
グアムへの修学旅行を間近に控え、修学旅行委員となっていた廉は、同じ委員になったリア充の紗矢野美緒と何となく一緒に過ごす時間が増えていく第二弾。不器用なりに試行錯誤しながら、付き合いを始めた理華との距離を少しずつ縮める日々を送る廉に起きた変化。何となく周囲には明かさない状況になっていたことが、今回の修学旅行での展開に繋がっていったのだと思うわけですが、すっかり甘々になりつつある二人のまだまだ繊細な関係に投じられた一石に、思っていた以上に冷静でいられなかった理華の思いを吐露する姿がとても可愛くて印象的でした。
読了日:03月23日 著者:丸深まろやか
陰キャラ教師、高宮先生は静かに過ごしたいだけなのにJKたちが許してくれない。 1 (オーバーラップ文庫)の感想
2年目にして初めてクラス担任となったやる気なし元気なし覇気なし高校教師・高宮統道。教師あるまじき態度の彼が青春のただ中にいるヒロインたちのさまざまな問題に直面していく物語。初っ端からやる気がなさ過ぎオーラ全開な教師・高宮には苦笑いでしたけど、クラス内での真面目で正義感が強い委員長・最上と、教室内で存在感抜群のボス的存在・神原の対立という難しい状況に対して、結果的に見れば見事なアプローチだったのかなと…。ヒロイン候補は多いものの、ラブコメするためにはまず教師としてのリスペクトを積み重ねる必要がありそうです。
読了日:03月24日 著者:明乃鐘
会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった (ダッシュエックス文庫)の感想
両親が再婚し、同じ高校に通う同い年の義妹・平折と4人で暮らすゲーム大好きな高校2年生の倉井昴。ネトゲで仲が良くなった親友と会うことになり、待ち合わせに義妹が現れる青春ラブコメディ。人見知り気味でなかなか打ち解けられずにいた平折と、思ってもみなかった形での邂逅。何とか変わろうと頑張る平折を支えながら、その友人の南條凛とも秘密を共有して絆を育む昴が、義妹を守れるよう自らも変わろうとする姿を応援したくなりますね。何となくお互いの関係を義兄(妹)とは呼びたくない、そんな彼らのこれからがとても楽しみなシリーズです。
読了日:03月24日 著者:雲雀湯,jimmy
義妹生活2 (MF文庫J)の感想
定期テストをきっかけに思わぬ一面を見せた沙季。頑張る彼女の支えになろうと考えた悠太は、さまざまな工夫を凝らしていく第二弾。どこか似たもの同士で、お互いに程良く保たれていた二人の距離感。悠太視点で描かれる日記では、彼女のために勉強の環境を整えたり、集中できる音楽を探したり、いい関係を積み重ねてるなあと思いながら読んでましたけど、だからこそ一見些細なことに思えても、そこから意外な形で波紋が広がってゆく展開がなかなか面白かったです。しかしそれにしても巻末についている沙季の日記が相変わらず破壊力抜群ですね(苦笑)
読了日:03月24日 著者:三河 ごーすと
殺したガールと他殺志願者2 (MF文庫J)の感想
「どちら様ですか?」愛する人に問われ、返答に詰まった淀川水面。彼が愛する少女・浦見みぎりが、水面に関する記憶を全て失ってしまう第二弾。自身の脳内に『理想の恋人』を作り出して、水面を恋人だと認識することが出来なくなったみぎり。水面にしてみれば積み上げてきたものが消えてなくなるキツイ展開でしたけど、もうひとつの事例と対比させながら、それでもそんなみぎりに付き合う水面がとても彼らしいですね(苦笑)乗り越えた先もまた前途多難だなあと感じつつ、それでも二人なら何とかしてしまうのかなと思えた結末がとても印象的でした。
読了日:03月24日 著者:森林 梢
同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています2 (MF文庫J)の感想
憶病な自分を変えて憧れだった同い年の先輩・千春に告白した高村颯太。けれども告白自体はうやむやになってしまい、それとは別に同じクラスの後輩、藤本青海には避けられてしまう第二弾。青海に近づくも避けられ寂しさを感じる一方で、対称的になぜか告白以降は積極的に話しかけてくる千春。同じ悩みを持つ桜井美宇からの相談にも協力する一方で、向き合ったヒロイン二人との関係性にも深く踏み込んでゆく展開はなかなか良かったですけど、どちらも大切な存在なのは間違いないだけに、ここから複雑な三角関係がどういう形に落ち着くのか続巻に期待。
読了日:03月25日 著者:凪乃 彼方
神様の御用人10 (メディアワークス文庫)の感想
『大建て替え』の危機を前に、荒脛巾神と田村麻呂の悲しい過去や、黄金の深い後悔を知った良彦が、傷だらけの体で再び立ち上がる第十弾。明らかにされてゆく蝦夷討伐を命じられた田村麻呂が抱える想い複雑な想い、阿弖流為との交流や悲しい結末などがあって、神々に助けられながら、人間だからこそできることがあると奮闘する良彦はどこまでも良彦で、最後の最後でようやく自らの進むべき道を見出したんですね…。今回で完結ということでしたけど、できればもう少し甘い展開も読みたいですし、垣間見えた未来に繋がるお話も番外編で期待しています。
読了日:03月25日 著者:浅葉 なつ
赤くない糸で結ばれている (角川文庫)の感想
本屋さんのお姉さんが気になって1冊読み終わるたびに本を買う高校生、ふと父親の不可解な言動が気になりだした友人、ラジオ番組の投稿者が気になる秀才、高校時代の同級生に翻弄される女子大生、同性を崇める女子中学生を描いた連作短編集。最後に舞台裏として明かされてゆく心境がまた何とも複雑で、それぞれの物語は思わぬところにゆるく繋がっていたりもして、なかなかうまく行かない中でのわりとほろ苦い話が多かったりもしますが、けれどその中にもはっとさせられるような救いを見い出してゆく切なく優しい結末がなかなか印象的な物語でした。
読了日:03月25日 著者:筏田 かつら
僕といた夏を、君が忘れないように。 (メディアワークス文庫)の感想
美大受験を控え沖縄の志嘉良島へと旅に出た高木海斗。どこか感情が抜け落ちた絵しか描けない、そんな自分の殻を破るための創作旅行で、一人の少女と運命の出会いを果たすひと夏のボーイミーツガール。自らの絵が人の目に触れることを忌避する海斗が出会った天真爛漫な少女・風乃。彼女に振り回されるかけがえのない日々と、島全体から感じられる不穏な雰囲気。海斗が変わるきっかけをくれた、全てを諦めかけていた彼女のことを放っておけるわけもなくて、最後まで諦めずにぶつけ合った想い、そんな二人が迎える結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:03月26日 著者:国仲 シンジ
神招きの庭 3 花を鎮める夢のさき (集英社オレンジ文庫)の感想
かつて兜坂国に潜入していた娘が八杷島の祭官・羅覇として再び斎庭に現れ、警戒を強める綾芽と二藍。八杷島の真意が知れぬ中、地方で疫病が発生する第三弾。疫神を鎮める祭礼に失敗し、疫神ごと自らを結界に封じてしまう祭主の鮎名。救出に向かおうとする綾芽たちに羅覇が提案した策。思惑が読めぬままその提案に乗らざるをえない展開で、二藍が突きつけられたものは今後に向けての重要なポイントになりそうでしたけど、一方で育んできた綾芽との絆も大切なものになってきてますね。最後に垣間見えた羅覇や十櫛の思惑も気になるところではあります。
読了日:03月26日 著者:奥乃 桜子,宵マチ
正欲の感想
多様性。それぞれの生き方が尊重されるべき、と言われるようになった世の中。そこで讚美される「誰もが自分らしく生きやすい新しい時代」の虚像を引きはがし、白日の下に晒す物語。息子が不登校になった検事・啓喜、初めての恋に気づいた女子大生・八重子、そして秘密を抱える契約社員・夏月。それぞれの視点から描かれてゆく展開の中で、多様性と言われていても、社会的には許容されない欲求を、それでも変えられないものを抱えてどう生きていくのか。突きつけられた問いはあまりにも重くて、その問いに答える適切な答えを見つけられませんでした。
読了日:03月27日 著者:朝井 リョウ
飛び立つ君の背を見上げる (響け! ユーフォニアムシリーズ)の感想
部活を引退し、卒業を待つ身となった中川夏紀。そんな彼女の残された高校生活と、彼女視点による傘木希美、鎧塚みぞれ、そして吉川優子のありようが描かれる『響け! ユーフォニアム』シリーズ番外編。希美に抱いていた罪悪感、改めて明らかになるみぞれと周囲の関係性、そして相棒とも呼ぶべき優子との関係など、同じ南中卒組で唯一中学時代に吹奏楽部でなかったこと、そして密度の濃かった二年間と副部長としての仕事など、彼女たちに対する複雑な想い、そして共に過ごして育まれていた確かな絆を見事に描いてくれていてなかなか良かったです。
読了日:03月28日 著者:武田 綾乃
Ghost ぼくの初恋が消えるまで (星海社FICTIONS)の感想
生方理人の下へ現れたのは、連続殺人の犠牲になった6歳年上の幼馴染・四条いのりの幽霊。犯人の顔を目撃していた彼女が、連続殺人犯の逮捕への協力をただひとり彼女が視える理人に求めるミステリ。10歳の時の犯人は分かっている連続殺人へのアプローチ、13歳の時のいじめの顛末、16歳の時のソロ辞退の真相、そして19歳になった理人が迎えるひとつの結末。理人が成長し変わってゆく一方で、傍らで見守り続ける変わらないいのりさんの祈りはどこまでも真摯で、聡い理人だからこそ気づいてしまった結末が切なくて、とても印象的な作品でした。
読了日:03月28日 著者:天祢 涼
朝日堂オーダーメイド製本工房 (メディアワークス文庫)の感想
製本会社朝日堂の屋上にひっそりと建つ小さな工房。そこで本を一冊だけ作ってほしいという個人の依頼を受けている野島志乃と、依頼人の想いが込もった本を丁寧に手作りしていく物語。志乃の亡くなった師匠の孫・哉太と日記帳、引っ越しする少女の『青い鳥』を巡る物語、そして志乃とかつて大切な時間を共有した蘇芳との再会。見習いになった田中哉太とともに、出会った人たちの思いに寄り添って取り組む志乃さんは不器用だけれど仕事にはとても真摯で、彼女が手作りする本が一度は壊れてしまった人の想いを再び紡いでゆく、そんな素敵な物語でした。
読了日:03月29日 著者:相原 罫
残業のあと、朝焼けに佇む彼女と (新潮文庫)の感想
解散危機は免れたものの、その中で自分は何もできなかったと悔やむ新卒のハト。しかし依然として続くチームの危機的な状況に、今度こそ何とかしようと立ち向かう第二弾。様々な思いが絡む中で出てきたチームへの最後通牒。決断した鹿宮に紹介された人との出会い、そしてその中でひとつの決意を固めてゆくハト。相変わらず腰が定まらない感じだったハトが、出会った人たちに触発され、ブレない青塚にも叱咤激励されて、自分がどうしたいのかを見出してゆく展開には確かな成長が感じましたね。熱い想いで状況を変えてみせたハトのこれからに期待です。
読了日:03月29日 著者:紙木 織々
氷の令嬢の溶かし方(2) (モンスター文庫)の感想
ぶっきらぼうながらも世話焼きな火神朝陽と、心を閉ざし他者を寄せ付けないことから氷の令嬢と呼ばれる氷室冬華。近づいた二人の距離が、冬華の態度を軟化させていく第二弾。大晦日やお正月、初詣や誕生日、バレンタイン、遊園地デートなど、周囲に関わる人が増えていきながら二人で積み重ねてゆく日々。冬華が抱えていた家の事情も明らかになりましたけど、学内でも取り巻く環境に大きな変化が起き始めた冬華の傍らには朝陽がいて、お互いのことにしっかりと向き合うようになって、ようやく自覚した二人の想いの行く末を最後まで見届けたいですね。
読了日:03月29日 著者:高峰 翔
さよならの言い方なんて知らない。5 (新潮文庫)の感想
現実世界で死んだはずだったトーマとのありえない再会はなぜ叶ったのか。架見崎という街の常識は崩れ、たった一つの真実が明かされる第五弾。各チーム入り乱れての戦いに時折垣間見える愛憎劇。架見崎から消えたトーマと、香屋に明らかにされてゆくこの世界の真実。トーマの思惑が読めない中で、パンが急速に存在感を増してきていると感じていましたが、ここに来て思っていた以上にエグい構図が一気に明らかになりましたね。最後に起きた出来事は新たな布石として大きな鍵を握りそうで、ここから新展開がどうなるのか現時点では予測が難しいですね。
読了日:03月30日 著者:河野 裕
精霊幻想記 19.風の太刀 (HJ文庫)の感想
リーゼロッテ奪還のため、ガルアーク王国を離れたリオ。その不在を最大の好機とみたレイスが天上の獅子団の傭兵たちと共にガルアーク城を強襲する第十九弾。聖女と戦った結果リオが深く傷ついていた頃、彼に復讐心をつのらせてその不在を狙い、留守を預かる少女たちを襲わんとガルアーク城を強襲する天上の獅子団たち。今回はリオ不在の中で、強敵相手でも諦めないヒロインたちそれぞれの奮闘ぶりも光りましたが、窮地を救ったゴウキ夫妻もまたいい感じに存在感見せていましたね。周囲が何かと騒がしい状況でこれからどうなるのか続巻も楽しみです。
読了日:03月30日 著者:北山結莉
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 12 (HJ文庫)の感想
アルシエラからザガンの誕生日を聞き、来週と差し迫っていることに気づくネフィ。一方、ザガンもオリアスからネフィの誕生日の情報を得て、互いに祝う方法を考え始める第十二弾。姉妹であるネフテロスの誕生日も同じ日に設定して祝う準備を進め、彼女が抱える問題の解決方法も模索するザガン。最初のほのぼのとした感じでしたが、アルシエラの過去語りや、シアカーンとビフロンスの暗躍組も絡めて意外な展開に向かいましたね。いろいろ動き出した今回は分厚いのに上下巻構成のようで、下巻でしっかり解決した上での誕生会に期待というところですか。
読了日:03月30日 著者:手島史詞
「私と一緒に住むってどうかな?」 1 見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる (HJ文庫)の感想
手先が器用な男子高校生・高村劉生と、料理だけ上手な不器用美少女・伏見扇奈。幼馴染で親友、家に帰りたくない事情を抱える二人が、古民家をリフォームして放課後の居場所にしようと動き出す青春ラブコメディ。周囲からはすっかり付き合ってると思われている距離感の二人が目をつけた、取り壊す予定だった亡くなった扇奈の祖父の家。自分でベンチやかまどを作ったりしながら、一緒に食卓を囲んだり膝枕したりな展開はなかなか甘酸っぱかったですが、どこか一線を引いている劉生相手にぐいぐい攻める扇奈が攻略できるのか、二人の今後に期待ですね。
読了日:03月31日 著者:水口敬文
飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか? (角川スニーカー文庫)の感想
特待生の学費免除を維持するため勉強とアルバイトに明け暮れる高校生・結城祐介。ある日、廃ビルの屋上から身投げしようとする少女・初白と出会う青春小説。勉強とバイトだけの日々に疲れ果て突然彼女が欲しくなってしまった祐介と、思ってもみなかった告白から同居生活を始めることになった訳アリの少女・初白。彼女がいる幸せを噛み締めながらきちんと配慮できる祐介の優しさがあって、彼らを助けてくれるいい友人がいて、ともに過ごすうちに少しずつ癒やされてゆく初白の危機に立ち向かい、一緒に乗り越えてみせる展開はなかなか良かったですね。
読了日:03月31日 著者:岸馬 きらく
幼なじみからの恋愛相談。 相手は俺っぽいけど違うらしい (角川スニーカー文庫)の感想
最近はロクに話すらしていなかった幼馴染・雛形栞から突然呼び出されることになった殿村隆之介。そんな彼女から好きな人ができたと恋愛相談される青春ラブコメディ。タイトルがまんま内容の説明になっていましたが、疎遠になっていた幼馴染から恋愛相談と称して再び交流する機会ができて、久しぶりに彼女の家を訪問して大歓迎されたりなぜか二人でデートすることになったり。いやここまで分かりやすい感じだと、もしかして...どころじゃなくてバレバレですやんとつい突っ込んでしまうような、何とももどかしい二人の距離感が微笑ましかったです。
読了日:03月31日 著者:ケンノジ
他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた (角川スニーカー文庫)の感想
ある日クラスメイトの不真面目女子・江南梨沙に対して、ついその態度を説教してしまったクラス委員長の大楠直哉。なぜかその翌日から江南に懐かれてしまう青春小説。彼女に説教をしたことで気まずくなったと思っていたのに、なぜか翌日から彼を待ち伏せして一緒に帰ろうとするようになった江南。その理由も分からないまま、彼女の突然の変化に主人公や周囲も困惑する展開でしたけど、多くを語らない少女が時折見せる表情がとても印象的で、その繋がりから少しずつ変わっていったこともあって、そんな二人のこれからをまた読んでみたいと思いました。
読了日:03月31日 著者:向原 三吉
あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?3 (角川スニーカー文庫)の感想
七渡と別れる原因となった誤解が解けた元カノ・須々木育美。そんな彼女の急接近に翼と麗奈は一時休戦して、彼にとって最高の夏休みを演出する作戦を立てる第三弾。みんなで旅行にでかけて楽しそうなビーチで遊んだり、温泉ではしゃいだり、七渡の姿に手応えを感じる二人。一方、裏で育美は七渡とバイトで一緒だったり誘い出したりしていて、休戦協定の二人は憑き物が落ちたようにいい感じの関係になりましたけど、迷走し始めたしばゆーや元カノ含めた周辺のカオスっぷりに投じられた一石が今後どう影響するか、そして七渡にも頑張ってほしいですね。
読了日:03月31日 著者:桜目 禅斗
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