12月は毎月刊行が多い月ですが、今年も新刊も続刊も注目タイトルが目白押しでどれを読むのか悩ましいですね。そのへん新作のまとめを作ろうと思いましたが、月末のスニーカー文庫まで待っていると先が長いので、今月刊行のライトノベル新作を中心にファンタジア文庫までで読んだ10作品を紹介したいと思います。
今回はファンタジーも個人的に注目の作品が多数刊行されています。ついでにおまけとしてこれから注目度が上がりそうな巻数が少なめのシリーズも最後に合わせて今回紹介しているので、参考にしていただければと思います。
1.古き掟の魔法騎士 (ファンタジア文庫)
伝説時代最強騎士と謳われ、野蛮人の異名を持つシド。キャルバニアの若き王子・アルヴィンによって復活を遂げた男が、魔法騎士学校の教官として生きるファンタジー。外部では北の魔国が蠢動し、国内は三公爵家の思惑から不安定な状況。そんな中で王位を継承して斜陽の祖国を救うために、復活したシドに師事することを決意するアルヴィンが抱える秘密。過酷な運命を背負う王子にはえてくれる仲間たちがいて、苦境にも負けずに自ら身体を張って立ち向かう姿は心に響くものがありましたね。主従となった彼らのこれからが楽しみな期待の新シリーズです。
2.竜歌の巫女と二度目の誓い (GA文庫)
かつて竜歌の巫女が幼き騎士ギルバートと誓った約束。それは裏切りから呪いへと変わり、世界を呪った少女と英雄となった騎士、かつて誓い合った二人が輪廻を超えて再び巡り合うファンタジー。人々が飢え苦しむ前領主の悪政を覆した革命。苦しい過去の記憶を持ったまま転生してルゼと名乗った少女とギルバートの邂逅。彼女と呪われたギルバートの関係は複雑で、けれど温かい人達との触れ合いが少しずつその想いを変えていって、過去の苦しみはそう簡単に忘れられなくとも、それでも未来に希望を見出そうとする結末にはぐっと来るものがありましたね。
3.お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について (角川スニーカー文庫)
お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について(1)
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桜木桜/clear KADOKAWA 2020年11月27日
お見合い話を持ってくる祖父に辟易した高校生・高瀬川由弦が「金髪碧眼色白巨乳美少女なら考える」と無理難題をつきつけたら、お見合いに同級生の雪城愛理沙がやってきてしまう偽装婚約ラブコメディ。十五歳から結婚できるようになった世界。雪城愛理沙もまた家の事情があって利害一致から始まった偽装婚約。家が資産家の由弦はいい感じに落ち着いて余裕もあって、彼をきっかけにいろいろ世界も広がっていって、最初はそんな気が全然なかった彼女も確実に変わりつつありますね…ここからお互いにどう変わってゆくのかとても楽しみな新シリーズです。
4.両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。 (ファンタジア文庫)
両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。(1)
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雨音 恵/kakao KADOKAWA 2020年12月19日
海外逃亡した両親の借金の返済を迫られた高校生・吉住勇也。そこで同級生の社長令嬢で全国女子高生ミスコンの1位な憧れの女の子・一葉楓に救われ、なぜか同居することになる青春ラブコメディ。最初の流れはやや強引かなとも感じましたけど、一緒に住むことになった楓はずっと勇也を見てきた健気な子で、外堀を埋めてぐぐいぐい来る彼女を天然の素直さで返り討ちにする甘い展開は、友人のバカップルがたじたじになるのも納得です(苦笑)結婚前提で同棲する二人の甘々な関係もますます盛り上がりそうで、ここからの展開が楽しみな新シリーズですね。
5.隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった (電撃文庫)
隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった(1)
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雪仁/かがちさく KADOKAWA 2020年12月10日
一人暮らし二年目の高校生・片桐夏臣の隣室に引っ越してきた黒髪碧眼の美少女・ユイ。学校ではクーデレラでそっけない彼女をふとしたきっかけで助けた夏臣が、彼女を手助けしていくことを決意する青春小説。家に複雑な事情を抱えるイギリスからの留学生で、日本語は堪能でも細かい部分はいろいろ疎いユイ。不器用で不安を抱える彼女をしっかりフォローする彼の優しさに感化されて、少しずつ笑顔を取り戻してゆくユイは可愛くて、いい感じに焦らずしっかり絆を深めてゆく二人の距離感がここからどう変わってゆくのか、とても楽しみな新シリーズです。
6.〆切前には百合が捗る (GA文庫)
とある事情から従姉妹で編集者の白川京のもとに身を寄せた家出少女の白川愛結。そんな彼女が、京の紹介で人気作家・海老ヒカリの世話係&監視役のバイトをする日常系ガールズラブコメディ。学校という狭い社会から排斥された少女と、容姿才能家柄全てに恵まれながら自堕落に生きる小説家。二人で始めた共同生活はヒカリがいろんな意味で斜め上で、刺激的な毎日が続けは監視も緩むよな…と苦笑いでしたけど、ワケアリな彼女たちが一緒に過ごす中でお互い少しずつかけがえのない存在になってゆく、そんな二人の行く末をまた読んでみたいと思いました。
7.元スパイ、家政夫に転職する (角川スニーカー文庫)
イケメンすぎて無自覚に敵味方関係なく女性を誑かし、組織崩壊の危機からスパイとして解雇されてしまった野宮クロウが、次の仕事して野宮三姉妹の家政夫になるラブコメディ。これまで散々厳しい面接から、あっさり顔か?と突っ込みたくなる採用でしたけど、偽彼氏周知作戦、友達五人できるかな作戦、一緒に温泉に行くことになったり、三姉妹のために奮闘するクロウはやっぱりどこかズレていて、それでもイケメンで危機に颯爽と駆けつけるから、好感度も上がっちゃうんですよね(苦笑)そんなドタバタっぷりを楽しめる人なら面白い作品で続巻も期待。
8.雪の名前はカレンシリーズ (講談社ラノベ文庫)
冬時間から転生生物が襲来するオリガ戦没記念都市。過去に失敗し底辺を彷徨う四季オリガミが、心を代償にして迎撃する人工天使の赤朽葉カレンと運命的な出会う終末ファンタジー。心を取り戻したいカレンと付き合うことになったオリガミと、カレンと同じく人工天使としていずれ死ぬ定めにある幼馴染や義妹たちとの関係。彼女たちの想いと覚悟が垣間見えるからこそ、ネガティブなオリガミには共感するのが難しかったですが、絶望な状況でも希望を見出そうとした彼女たちの奮闘がもたらしたもうひとつの結末には、どこか救われた気持ちになりましたね。
9.同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています (MF文庫J)
同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています(1)
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凪乃 彼方/葛坊 煽 KADOKAWA 2020年11月25日頃
交通事故のせいで高校浪人を余儀なくされた高村颯太。かつての同級生・倉咲千春に告白すべく一年遅れで入学した高校で、陸上部の後輩だった藤本青海に再会する青春ラブコメディ。高校浪人であることを隠しながら、先輩となった倉咲さんに告白しようとして空回りする颯太と、そんな彼にグイグイ懐いてくる同級生・青海。そんなもどかしい状況に過去に事情を抱える周囲のヒロインたちも絡めながら、だんだんと物語の構図が見えてくる展開でしたけど、いろいろ捻れたり隠されている真相をこれからどう使ってくるのか、今後が楽しみな新シリーズですね。
10.時間泥棒ちゃんはドキドキさせたい 俺の夏休みをかけた恋愛心理戦 (電撃文庫)
時間泥棒ちゃんはドキドキさせたい 俺の夏休みをかけた恋愛心理戦(1)
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一学期最終日。日常に飽きてただ毎日を消化する高校生・加嶋颯。しかしクラスのアイドル・藤ノ宮白雪からまさかの告白をされ、なぜか次の瞬間9月1日へとタイムリープし、夏休みが始まる前に終わってしまうSFラブコメディ。謎の砂時計で相手の時間を奪う時間泥棒・白雪から時間争奪ゲームを持ちかけられる颯。ドキドキした方が時間を奪われるため、ベタな展開からの駆け引きが繰り広げられて、白雪の思わぬ事情が明らかになっていく中でその真意も垣間見えて、彼女に何度も騙されてしまう颯の心境の変化と、二人の今後に期待の新シリーズですね。
以上です。また12月は人気作品以外にも、これから続巻がますます盛り上がりそうな今後注目のタイトルが続々刊行されています。追いかけている方、興味ある作品は要チェックです。
現実でラブコメできないとだれが決めた? (2)
トンデモ理論で共犯者・彩乃を『幼馴染』にでっち上げ何とか危機を乗り切った耕平。作り上げた友達グループとの親交も順調と思える彼と勝沼あゆみの衝突が顕在化する第二弾。グループ化するクラス内をイベントを駆使して絆を作り上げてゆく耕平、それに何かと突っかかりついには衝突してしまうあゆみ。ツンデレ彩乃も要所でいい感じに効いていて、あゆみに真正面からぶつかって何とかしようとする耕平の奮闘はカッコ良かったのに、それがトンデモ理論で台無しになってしまう展開には苦笑いでしたが、暗躍する清里さんとはこれ対決不可避ですかね…。
プロペラオペラ (3)
艦隊再編で第一飛行艦隊旗艦「村雨」艦長への就任することになったリオ。一方、錬金術で空を埋め尽くす艦隊作り上げたカイルが、次期大統領の座を射程に捉える第三弾。リオとの別れを惜しむ船員たちの馬鹿騒ぎだったり、ノセられてでコスプレしてしまうイザヤさんや閣下が見せる内心の葛藤は微笑ましかったですけど、イザヤを手に入れるためにあそこまでやるカイルの思考もヤバいし、真っ向からでは勝てない相手にどう戦争を終わらせるのか…いやこれは辛い戦いですね(先生信じてますよ!)。そしてユーリはどうなってしまうのか…続巻楽しみです。
Babel III 鳥籠より出ずる妖姫
この大陸の在り方にまつわる秘匿された真実をファルサス王から知らされた雫とエリク。しかし雫は突如現れた使者に選択を突きつけられ、一人で大国キスクを訪れることを決断する第三弾。成り行きから残忍で知られる王妹オルティア相手に、言語障害の対処法確立という大役を負う雫。誰が相手でも言うべきことは言う雫らしさが今回も全開でしたけど、孤独なオルティアに向き合い、キスクを巡る複雑な構図や相変わらずなファルサス王たちに振り回されながら、苦境を乗り越え解決してみせた雫の頑張りには称賛を送りたいですね。本当に濃厚な一冊でした。
痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった3 (GA文庫)
痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった3
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ケンノジ/フライ SBクリエイティブ 2020年12月11日頃
七月の修学旅行まで残り一か月。相変わらず高森諒が幼馴染・伏見姫奈から積極的にアプローチされる状況で、彼らの高校にもう一人の幼馴染・姫嶋藍が転校してくる第三弾。予期せぬ強力なライバルの出現に焦りを隠せない姫奈と、そんな気持ちを知ってか知らずか鈍感な態度をとり続ける高森。修学旅行の班決めは自分なら絶対そこに入りたくないと思う波乱必至の構成でしたけど、それぞれヒロインたちに見せ場も作りつつ、まあ友人もできて良かったねというか、なかなかいい感じに青春してましたね。過去の約束の真相もまた気になるところではあります。