Twitterで女性主人公のライトノベルの話題があって、ふと自分も女性主人公のライトノベルをまとめてみたくなりました。実際にセレクトしてみると案外読んでないなというか、自分の読む方向性が偏っているのをちょっと自覚しますね(苦笑)でも紹介した作品はどれも面白い作品なので、気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。
1.Babel (電撃の新文芸)
現代日本から突如異世界に迷い込んだ女子大生の水瀬雫。異世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女が、魔法文字を研究する風変わりな魔法士・エリクと出会うファンタジー。雫が日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。二人の言語を巡るやりとりや考察はとても興味深くて、傭兵ターキスとの出会いという転機から、ネビス湖での出会いやノイ家の塔の呪い、カンデラの街で次々と事件に巻き込まれ、困った人を放っておけない雫の奔走が周囲の人々や事態を動かし、状況を打開してゆく結末がなかなか印象的でした。全4巻。
2.死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから (※ただし好感度はゼロ)1 (アース・スターノベル)
死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから (※ただし好感度はゼロ)(1)
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六つ花えいこ/秋鹿ユギリ アース・スターエンターテイメント 2021年06月16日頃
オリアナにとって最愛の恋人だった公爵家嫡男のヴィンセント。幸せな学校生活を送る十七歳の春に二人とも謎の死を迎え、理由も分からないままオリアナの七歳から二度目の人生が始まる死に戻りファンタジー。入学式に念願の再会を果たすものの、前の人生の記憶がないヴィンセント。彼が心配で何とか傍に居続けようと頑張るオリアナと、そんな彼女が気になりながらも素直になれないヴィンセントの不器用な関係があって、それでも少しずつ好転していく展開があるからこそ、この結末には言葉もないですね…ここからどんな展開が待つのか続巻に期待です。
3.サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと (カドカワBOOKS)
サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと(1)
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依空 まつり/藤実 なんな KADOKAWA 2021年06月10日頃
伝説の黒竜を一人で退けた若き英雄〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレット。才能に無自覚なまま七賢人に選ばれてしまったモニカが、第二王子を護衛する極秘任務を押しつけられるファンタジー。冒頭カッコよく登場したのに、実は気弱で臆病でコミュ障なために無詠唱魔術を使えるようになっただけの数字オタク・モニカ。彼女があまりに可愛い小動物系主人公な感じでギャップ萌えしますが、仕事を押し付けたドSで愛妻家の同僚ルイス、彼女に興味津々の王子たちの生徒会に入ったりで、彼女自身これからどう変わってゆくのかとても楽しみなシリーズですね。
4.どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。(Mノベルス)
どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。1
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六つ花えいこ/Vient 双葉社 2019年10月18日頃
人間と離れてひっそりと暮らす湖の善き魔女・ロゼ。彼女が4年間秘かに片思いをしていた王宮騎士のハリージュから惚れ薬作成を依頼される物語。絶望的な依頼をきっかけに、これまで無自覚だった彼女の孤独な世界を広げ、かけがえのない存在となってゆくハリージュとの日々。彼の方も最初は放っておけない危なっかしいだけの存在だったはずが、いつの間にか自分だけが知っていると思っていた優越感を刺激され、臆病で優しい彼女を意識するようになってゆく姿がとても印象的で、そんな二人が紆余曲折の末に迎えた幸せな結末がとても素敵な物語でした。全2巻。
5.傷心公爵令嬢レイラの逃避行 (電撃の新文芸)
不慮の事故で2年間眠りについていた公爵令嬢レイラ。目覚めると婚約者であったはずの王太子ルイスが懐妊した妹ローゼと婚約を結び直していて、限界を迎え家を飛び出した彼女が伝説の魔術師リーンハルトに求婚されるファンタジー。いきなりこれまでの人生全否定な展開に絶望する不憫なレイラでしたけど、リーンハルトやその妹たちに支えられ癒されてゆく幻の王都での生活は微笑ましかっただけに、何とも複雑な運命を知ってしまい、彼女に執着するルイスとの再会もあって、周囲に病んだ人しかいない悲惨な状況ですけど、幸せを見出して欲しいですね。
元婚約者である王太子・ルイスによって塔に監禁されたレイラ。レイラが憔悴し心が壊れる寸前まで追い詰められてゆく中、ルイスから提案された取引の回答期限が迫る第二弾。喧嘩別れになってしまっていたリーンハルトがせっかく救出してくれたのに、妹のことや公爵家、そして元婚約者ときちんとけじめをつけることにこだわるあたりが、なんかとても彼女らしいなと感じる展開で、その決着にはやっぱり…と正直感じましたけど、こうしないと前に進めない不器用な彼女と、ベタ惚れのリーンハルトの甘い結末にはこれまでの苦難が報われる思いがしました。
6.竜歌の巫女と二度目の誓い (GA文庫)
かつて竜歌の巫女が幼き騎士ギルバートと誓った約束。それは裏切りから呪いへと変わり、世界を呪った少女と英雄となった騎士、かつて誓い合った二人が輪廻を超えて再び巡り合うファンタジー。人々が飢え苦しむ前領主の悪政を覆した革命。苦しい過去の記憶を持ったまま転生してルゼと名乗った少女とギルバートの邂逅。彼女と呪われたギルバートの関係は複雑で、けれど温かい人達との触れ合いが少しずつその想いを変えていって、過去の苦しみはそう簡単に忘れられなくとも、それでも未来に希望を見出そうとする結末にはぐっと来るものがありましたね。現在2巻まで刊行。
7.処刑少女の生きる道 (GA文庫)
処刑少女の生きる道(バージンロード)
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佐藤 真登/ニリツ SBクリエイティブ 2019年07月13日頃
過去に起きた人災で異世界からの召喚者は見つけ次第処刑される世界。躊躇なく冷徹に任務を遂行する処刑人の少女・メノウが、迷い人の少女アカリと運命の出会いを果たすファンタジー。不可避に思えた運命をあっさり乗り越えるアカリと、そんな彼女に調子が狂わせながらも決着をつけるべく二人で旅するメノウの距離感がなかなかいい感じで、それに処刑人補佐のモモや王の娘アーシュナといった魅力的なキャラを絡めて展開する物語の安定感には驚かされました。ワケありな二人の旅がこれからどのようなものになるのか楽しみなシリーズですね。21年8月6巻目刊行。
8.忘れえぬ魔女の物語 (GA文庫)
壊れたレコードみたいに何度も繰り返す日々を生きる女子高生・綾香。そんな彼女が次の日も友達でいてくれた未散と出会う、恋も友情も知らなかった二人の少しフシギな物語。事情を知る従姉の優花以外は誰にも理解されない綾香。繰り返される同じ日から無作為に選ばれる一日と、彼女だけが覚えているたくさんの思い出。けれど未散の存在は波紋を投げかけるように彼女に変化をもたらして、かけがえのない存在だからこそ簡単には諦めきれなくて、不器用でひたむきな想いで挑み続けた末に見事乗り越えてみせた彼女たちの結末がとても印象的な物語でした。現在2巻まで刊行。
9.声優ラジオのウラオモテ (電撃文庫)
声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?(1)
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二月 公/さばみぞれ KADOKAWA 2020年02月07日
高校のクラス内では相性最悪なギャルと根暗地味子。そんな二人が実は声優で、同じ高校に通う仲良し声優コンビとしてほんわかラジオ番組をスタートさせる青春小説。声以外の仕事は苦手でも意識は高い千佳と、なかなか芽が出ない境遇に自信喪失気味の由美子。お互い正体を知らないままコンビを組んだ、ないものねだりの複雑な二人の関係や距離感が絶妙で、けれど真摯に仕事に向き合う姿を知るからこそ、相手の逆境に奔走できるんですよね...熱い想いで危機的な炎上を乗り切ったからこそ、そんな彼女たちのこれからをまた読んでみたいと思いました。現在5巻まで刊行。
10.蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク) (GA文庫)
ほとんどの陸地が水に沈んでしまった蒼の世界。海上にたたずむ巨大人工島《駅》で働いていた少女・イスカが、自らを「魔女」だと名乗る少女・アメリと運命の出会いを果たすファンタジー。世界を混乱に陥れる陰謀に巻き込まれていく渦中で巡り合った、消えたはずの魔女と魔女が遺した人形。魔女のささやかな願いを叶えようと決意するイスカと、明かされてゆくそれぞれの背景。逃亡中にイスカとアメリが育んでいった絆があって、そんな彼女たちが世界の危機に立ち向かい、一緒に乗り越えてみせた二人が紡いでゆく物語をまた読んでみたいと思いました。
11.このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)
オゾン層が破壊され人々が地下に住むようになった世界。地下都市に住む十六歳の少女・レニーが、サボリ魔の不良少女・トーカと出会う近未来青春小説。周りに溢れるフェイクを嫌ってリアルを探しているレニーと、他の友人とは違うトーカと過ごすようになる日々、空から降ってきた謎の球体「太陽の欠片」。閉鎖的な空間に生きる人々の意識と、不器用ゆえにすれ違ってゆく二人、そして不安を抱えるレニーと太陽の欠片の行方がどこに行き着くのかドキドキしながら読みましたが、しっかりと向き合い希望ある未来に繋がってゆく優しくて素敵な物語でした。
12.夢にみるのは、きみの夢 (ガガガ文庫)
乙女ゲームが趣味のオタクOL・二橋美琴。25歳の誕生日の深夜に一人公園でお花見をしていた恋愛経験ゼロの美琴が、研究所から逃げてきたAIロボット・ナオを拾う青春小説。転んで怪我した美琴の手当をしてくれた、金色の髪を持つ美しい青年ナオ。しばらく匿ってほしいというナオとの同居生活は徐々に美琴に潤いを与えて、憧れの先輩との縁ができたからこそ気づいた自らの思いがあって。そこから明かされてゆく思ってもみなかった事実に、構図はガラリと様相を変えていきましたけど、そんな彼らが迎える一つの結末がなかなか印象的な物語でした。
13.スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 (電撃文庫)
スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居
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世津路 章/堀泉 インコ KADOKAWA 2019年06月08日頃
母子家庭で働く母の代わりに双子の弟妹の面倒や家事に日々奮闘する女子高生・池野彗花。彼女が隣の席の不良として恐れられる庭上蓮のマンガ家になる夢を知り、一緒に住んで応援する青春小説。意外な一面を知って自分の家を密かに作業場として提供する彗花と、戸惑いつつも彗花の協力を受け入れるようになっていく蓮。双子を交えたやりとりは微笑ましくて、不器用で頑固な二人だからこそぶつかったりすれ違いもありましたけど、絶望に直面しても夢を諦めたくない蓮、彼女を信じて夢を応援したい彗花の真っ直ぐな想いがとても眩しい素敵な物語でした。現在2巻まで刊行。
14.〆切前には百合が捗る (GA文庫)
とある事情から従姉妹で編集者の白川京のもとに身を寄せた家出少女の白川愛結。そんな彼女が、京の紹介で人気作家・海老ヒカリの世話係&監視役のバイトをする日常系ガールズラブコメディ。学校という狭い社会から排斥された少女と、容姿才能家柄全てに恵まれながら自堕落に生きる小説家。二人で始めた共同生活はヒカリがいろんな意味で斜め上で、刺激的な毎日が続けは監視も緩むよな…と苦笑いでしたけど、ワケアリな彼女たちが一緒に過ごす中でお互い少しずつかけがえのない存在になってゆく、そんな二人の行く末をまた読んでみたいと思いました。21年10月に2巻目刊行予定。
15.超高度かわいい諜報戦 ~とっても奥手な黒姫さん~ (MF文庫J)
超高度かわいい諜報戦 ~とっても奥手な黒姫さん~(1)
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方波見咲/ろるあ KADOKAWA 2020年03月25日頃
高校生で秘密諜報機関を指揮する天才少女・橘黒姫。初恋のために組織の力を濫用し、超高度な諜報技術で接触を図ろうとする彼女と、とある秘密を抱え平凡な男子生徒を装う初恋相手・凡田純一、暗殺少女・芹沢明希星のトライアングルスパイ・ラブコメ。初恋を拗らせて空回りする乙女な黒姫に、事情を知らないゆえに疑心暗鬼に陥ってゆく凡田、情報を得るため密かにアプローチを命じられた明希星。客観的状況を認識できない三者三様のすれ違いには笑ってしまいましたが、遭遇した事件から二転三転した結末の先を読んでみたくなりました。
以上です。気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。