今年も毎年恒例の上下半期注目新作まとめ企画の下半期版をここからまとめていきたいと思います。今年度下半期は「ライトノベル」を一本にまとめて30作品、「一般文庫」「ライト文芸」「単行本」の4本を順次更新予定です。まずは第一弾として「ライトノベル」を更新します。
【参考】2020年上半期30選
1.現実でラブコメできないとだれが決めた? (ガガガ文庫)
電子書籍限定電撃文庫。人の心が読める無口系少女の不器用な初恋、恋愛成就の「告白の木」が三本もある町で、その一本をお気に入りスポットにしている少女と黒のジャージ少年、開かずの踏切とその周辺の喫茶店に集まる作家と編集者たち、学校で漂う幽霊と彼が見える後輩、画家を目指していた少女の初めての挫折と美術部の彼。独特なちょっとクセのあるノリで登場人物たちもちょっと変わっているけれど、積み重ねていったものが溜めに溜めた先にガチっとハマった時の破壊力がどうにも凄まじい、パワフルでインパクトのあるラブコメ連作短編集でした。
電子書籍限定電撃文庫第二弾。弁当を美味そうに食う少女とまずそうに食う少年の弁当交換会、想い人に恋愛相談をされてしまった家業が神社の少女の顛末、心に鍵を掛ける少年が入部した文芸部で出会った風変わりな先輩、元秀才女子と才覚男子の勉強攻略、ゴリラ女子とオスの人類のちょっと恥ずかしい昔話。二巻目は前巻とはまたちょっと違ったテイストで、自分はお弁当の話とか文芸部の先輩後輩の話とか、こういうお話が好きなんですよ。なかなか気づかないけれど、そんな溜めに溜めた展開の先にある結末がまたじわじわくるラブコメ連作短編集でした。
辛い失恋で体調を崩し、学校を休んでしまった高校生・沢渡悠。そんな彼のもとに理由もわからないまま険悪になっていた隣の部屋の幼馴染・白雪心愛が現れ、看病をきっかけに関係を再構築してゆく物語。再び悠を構うようになった心愛に首を傾げながらも、再び距離が近づいてゆく二人。彼女との触れ合いの中で傷付いた心を癒やされていく悠と、不器用な心愛の秘めていた想い。大きすぎる喪失感を簡単には切り替えられなくても、けれど彼女や周囲に支えられて積み重なってゆく想いがこれからどんな変化をもたらすのか、今後が楽しみなシリーズですね。
16.このぬくもりを君と呼ぶんだ (ガガガ文庫)