【Kindle最大50%OFF】KADOKAWA小説&教養本 春の4000冊フェア (3/2まで)
今回は電子書籍ストアで始まった最大50%OFFのKADOKAWA の小説&教養本 春の4000冊フェアを受けて、対象の小説作品から30作品セレクトしました。気になる本があったらぜひこの機会に読んでみてください。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
将棋のプロ棋士を目指す者たちにとって最後の難関、奨励会三段リーグ。観戦記者の佐竹亜弓がそこで全てを賭けて戦う二人の女性と出会う将棋小説。棋士を目指して奨励会に挑む永世飛王を祖父に持つ天才少女・諏訪飛鳥と、両親から応援されずに勘当され病弱ながら年齢制限間際で挑戦する千桜夕妃。岐路でたびたび激突する彼女たちの負けられない壮絶な激闘が熱かったですが、それぞれの将棋を形作ってきた濃密な背景があって、受け継がれてゆく熱い想いもあって、そんな二人に関わる天才少年・竹森や記者たちの存在がなかなか効いていたと思いました。
プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう高校1年の坂平陸。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決める青春小説。そう簡単には元に戻れるわけもなく、坂平陸としてそつなく生きるまなみと、うまく水村まなみになりきれず戸惑う陸。迷いや不安を抱えながら卒業し、その後も人生を歩む中でかつての家族に対する複雑な思いも自覚して、時には衝突したりもしながら、人生の転機を経験して様々なことが変わっていっても、かけがえのない絆を再確認する二人がなかなか印象的でした。
3.CAボーイ
パイロットの夢を諦め外資系ホテルで敏腕ホテルマンとして働いていた入社5年目の高橋治真。そんな彼がNALのCA配属前提の総合職募集を知り航空業界に飛び込むお仕事小説。治真が出会うプロ意識の高い先輩CA紫絵、グランドスタッフ茅乃、指導教官オブライエン。そして絆が深い大学時代の友人たちとパイロットだった父の秘密。航空業界ネタも面白かったですが、とびきり有能なのに苦い過去を抱えどこか危うい治真と周囲の関係がほんといい感じで、真相を知った治真がこれからどうするのか、二人の関係がどうなるのか続きが読んでみたいですね。
4.この本を盗む者は
巨大書庫「御倉館」を管理する家に生まれた本嫌いの高校生・深冬。ある日、入院した父の代わりに叔母を世話するために御倉館を訪れた時、蔵書が盗まれて祖母が仕掛けた本の呪いが発動してしまうファンタジー。本を盗んだ犯人を追って、不思議な少女・真白と一緒にいくつもの本の世界を冒険する深冬。明かされてゆく御倉家の過去や本の呪いの正体、そして真実に向き合い少しずつ変わってゆく深冬の成長があって、様々なものがあるべき姿を取り戻しつつある中、それでも変わらなかった本当に大切なものを取り戻す結末にはぐっと来るものがありました。
5.キキ・ホリック
森 晶麿 KADOKAWA 2019年07月31日頃
かつて校庭の一角を占める<プラントハウス>を管理していた蘇芳キキ。ミステリアスな彼女と運命的な出会いを果たした若宮波留花が事件に巻き込まれてゆくミステリ。学校ではいじめに遭い、家では両親に抑圧されていた波留花。キキと出会ったことで劇的に変わってゆく彼女の環境。キキに惹かれてゆく波留花が邂逅するキキの妹・カラの存在、謎めいたキキの周辺で次々と起こった殺人事件。姿を消した彼女の行方を追う波留花が直面する真相は何とも切なかったですが、巧みに回収されてゆく伏線によって紡がれていった結末が儚くも美しい物語でした。
6.声の在りか
小学四年生の息子・晴基とそっくりの筆跡で書かれた切実なメッセージ。本人に真意を問いただすことも夫に相談することもできない希和が、晴基が勝手に出入りする民間学童で働きはじめる物語。意思疎通がなくなっていた夫、噂話が大好きなママ友たち。いつの間にか言いたいことも言えなくなっていた彼女でしたけど、でも何も思ってないわけじゃないんですよね。マイペースな経営者・要や子供たちに振り回されながら働く中、少しずつ自分の思うこと、言いたいことを思い切って伝えるようになって、少しずつ変わってゆく周囲との関係が良かったですね。
7.虹を待つ彼女(角川文庫)
優秀で予想できてしまう限界に虚しさを覚えていた研究者・工藤が、死者を人工知能化するプロジェクトに参加して、衝撃的な自殺でカルト的な人気のゲームクリエイター・水科晴を知る物語。過去の事件や水科晴のことを調べてゆくうちに、彼女に共鳴し惹かれてゆく工藤。重要なキーパーソン「雨」の存在と調査中止を警告する謎の脅迫。我が身が危険に晒されながらも諦めず、晴を人工知能で再現することに妄執する工藤の姿には鬼気迫るものがありましたが、真相を知った彼のほろ苦くも粋な決断は心に響くものがありました。
8.記憶屋 (角川ホラー文庫)
織守きょうや KADOKAWA 2015年10月24日頃
ただの都市伝説だと思っていた忘れたい記憶を消してくれるという「記憶屋」。しかし身近な先輩がトラウマと共に自分のことも忘れ去ってしまう状況を目の当たりにした大学生の遼一が、記憶屋の行方を追い始める物語。夜道恐怖症の先輩や不治の病で死を覚悟する男、大好きだった幼馴染に拒絶された少女。記憶屋を追う過程で身近な人が記憶を失ってゆくのを見て、記憶を消すことの是非に葛藤する遼一でしたけど、ようやくたどり着いた記憶屋が望む本当にささやかな願いがまた切なかったです。
9.後宮の検屍女官 (角川文庫)
大光帝国の後宮が大騒ぎになった「死王」騒動。皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明が、幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花と事件解決に乗り出す中華後宮検屍ミステリ。謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で見つかった赤子の遺体、宦官殺害の冤罪、自害したとされる侍女の死因、一連の事件の真相。ものぐさで野心もないぐうたら侍女なのに検屍となると覚醒する桃花、どこか嘘くさく腹黒い延明のコンビが事件を解決する展開でしたけど、ああみえて意外と仲間思いだったりする桃花の意外な一面が効いていました。
10.紙屋ふじさき記念館(角川文庫)
紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード
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ほしお さなえ KADOKAWA 2020年02月21日
編集者の母と二人暮らしの大学生・百花。ある日、叔母に誘われた「紙こもの市」で紙雑貨の世界に魅了され、老舗企業「紙屋ふじさき」の親族で記念館の館長・一成と出会う物語。ふとしたきっかけから百花が作った紙細工を通して関わり合うようになり、イケメンだけれど無愛想な一成の紙への真摯な想いを知ってゆく百花。友人や一成の祖母に背中を押されて、お互い刺激を受けながらこもの市の商品を考えたり、記念館をもっと魅力あるものに変えていこうする展開はなかなか良かったですね。少しずつ変わってゆく彼らのこれからをまた読んでみたいです。
11.聖女ヴィクトリアの考察 アウレスタ神殿物語 (角川文庫)
聖女ヴィクトリアの考察 アウレスタ神殿物語
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春間 タツキ KADOKAWA 2021年08月24日
平和を司るアウレスタ神殿の聖女のひとりで霊が視える少女ヴィクトリア。その能力を疑われ追放を言い渡された彼女が、辺境の騎士アドラスに依頼され、出生の謎を解き明かす謎解きファンタジー。アドラスと共に彼の故郷へ向かい、出生の秘密を調べ始めるヴィクトリア。彼女が巻き込まれてゆく思惑が絡み合う帝位継承争い。真実はどこにあるのか、陥れられた窮地をいかに乗り越えるのか。腹を括った彼女の優れた観察力・洞察力で事態を打開して、思ってもみなかった真実へと導いてゆく展開はなかなか面白くて、また続きを読んでみたいシリーズです。
12.王妃さまのご衣裳係(角川文庫)
王妃さまのご衣裳係 路傍の花は後宮に咲く(1)
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結城 かおる KADOKAWA 2021年08月24日
涼国の没落貴族の娘で、女官として後宮に入り家門再興に燃える鄭鈴玉。しかし反抗的・落ちこぼれの烙印を押されてしまった彼女が、地味で権勢もない王妃の女官となる中華風ファンタジー。ある一冊の小説と友人たちとの出会いにより次第に服飾の才能を開花させたことで、鈴玉もまた陰謀渦巻く後宮の争いに巻き込まれてゆく展開でしたけど、最初は危なっかしい生意気な女官という印象だった彼女が、大切な人たちのために気概を見せるようになってゆく成長があって、自分にとって本当に大切なものを見出してゆくその姿にはぐっと来るものがありました。
13.地獄くらやみ花もなき(角川文庫)
地獄くらやみ花もなき(1)
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路生 よる KADOKAWA 2018年05月25日頃
わけあって借金を抱えネットカフェを泊まり歩く放浪生活を送る青年・遠野青児。罪人が化け物に見える彼が迷い込んだ洋館で、白牡丹の着物をまとった謎の美少年・西條皓に住みこみの助手として屋敷で働くよう誘われる物語。鬼の代わりに罪人を地獄に届ける「地獄代行業」を営む皓を訪れる顧客たちが抱える事情とおぞましい真実、そして彼らにふさわしい結末。騙されて何度も怖い目に遭わされるのに、皓に確実に手なづけられてゆく青児の小市民っぷりが物語のいいアクセントになっていて、ライバル探偵・凜堂棘も登場したりな今後の展開が楽しみです。
14.昨日の僕が僕を殺す (角川文庫)
両親を失い支えてくれた叔母も亡くして小樽で孤独な一人暮らしをする高校生・淡井ルカ。そんな彼の窮地をベーカリーで働く訳ありイケメン店長汐見と人懐っこい青年・榊に救われるホラーミステリ。助けてくれた汐見と榊たちの意外な正体を知り、それと周囲で起こる事件の関連に疑心暗鬼を募らせてゆく展開で、生い立ち故にいろいろ考え過ぎてしまう性格が事態を拗らせていくわけですが、それでも真実を知ろうと目をそらさず向き合うことで、自分を支えてくれている人たちの温かさを知る結末はなかなか良かったです。
15.ただいま、ふたりの宝石箱(角川文庫)
ただいま、ふたりの宝石箱
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あさば みゆき/ゆき林檎 KADOKAWA 2019年01月24日頃
仮面を被った仕事ぶりに限界が来て退職し、譲り受けた古民家で趣味のアクセサリーづくりをして暮らす涼子。そんな家に店子として宝飾職人「希美」さん住むことになるあたたかな再生の物語。趣味も合い配慮が行き届いていて、欲しい時に欲しい言葉をくれる希美に惹かれていく涼子。一方で未だに引きずる複雑な過去の想いや、容易に解けない呪いから素直に心を開けない状況にもどかしくもなりましたが、そんな彼女を尊重しつつ粘り強く向き合って、様々な過去のわだかまりを解きほぐすのを手伝ってくれた彼に出会えてほんとに良かったなと思えました。
16.祭火小夜の後悔(角川ホラー文庫)
祭火小夜の後悔(1)
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秋竹 サラダ KADOKAWA 2020年03月24日
怪異現象に詳しい女子高校生・祭火小夜と、彼女に出会ったひとたちのある夏の連作短編集。床板をひっくり返す謎の存在を目撃する教師・坂口、巨大なムカデのようなものに憑かれて悩む少年、幼い頃に「しげとら」と取引をした少女たちと謎めいた小夜が出会い、彼女のアドバイスで彼らが救われてゆく展開で、消えない後悔を抱える小夜の事情が徐々に明らかになってゆく中、それらの出会いが彼女に心境の変化をもたらしていて、それを読みやすい文章で坂口の悔恨も踏まえて結末へと導いてゆく展開はなかなか良かったです。
17.ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)
19世紀末、ロンドンの画廊で展示されたルーベンス未発表の真作。その絵に目を奪われたエディスが「贋作」と断言する美貌の青年・サミュエルと運命の出会いを果たすファンタジー。訳ありな貴族の娘・エディスと、絵より現れた異形の怪物から彼女を救ったサミュエル。ジョン・ラスキンやヴィクトリア女王など実在の人物も絡めつつ、サミュエルと宿敵・ブラウンの贋作に宿る怪物を巡る戦いを描く展開でしたけど、虚構も織り交ぜながら展開されるストーリーはなかなか面白かったですね。未だ謎多きサミュエルとエディスの物語をまた読んでみたいです。
18.向日葵のある台所 (角川文庫)
シングルマザーで中学二年の娘・葵を育ててきた美術館に勤める学芸員・麻有子。極力関わらないようにしていた根深い遺恨がある母が倒れ、その母と突然同居することになってしまう物語。これまで散々母に甘えながらも、いざとなると妹の麻有子に押し付けようとする姉・鈴子。すれ違いばかりだった過去のわだかまりはあまりも重くて、そう簡単には解消できないよなあと感じましたが、それでも母に様々なことを思い起こさせる自分と娘の関係の積み重ねがあって、不器用なりにお互い少しずつ向き合えるようになってゆく結末には救われる思いがしました。
19.めぐり逢いサンドイッチ (角川文庫)
めぐり逢いサンドイッチ(1)
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谷 瑞恵 KADOKAWA 2022年01月21日
大阪の靱公園そばにあるサンドイッチの専門店『ピクニック・バスケット』で働くおっとりした姉笹子としっかり者の蕗子の姉妹。店を訪れる人達の迷える人々の心を、絶品サンドイッチが癒やす優しくも愛おしい物語。対照的な姉妹に、子供のころの記憶に苦しむOLや父の再婚に悩む少女、そして常連客の小野寺さんやパン職人の川端さんのエピソードも交えつつ、笹ちゃんが訪れた人たちの想いに寄り添うようなサンドイッチを作り上げてゆく展開で、関わる人たちの様々な想いに触れ、過去エピソードも絡めて絆を深めてゆく姉妹の関係がとても素敵でした。
20.天涯の楽土 (角川文庫)
篠原 悠希 KADOKAWA 2020年02月21日
弥生時代後期。久慈島と呼ばれる九州北部の里で平和に暮らしていた少年隼人。津櫛邦の急襲により里を燃やされて家族と引き離され奴隷にされた彼が、敵方の剣奴の少年・鷹士に命を救われる和風古代ファンタジー。過酷な奴隷生活にたびたび反発し、周囲から痛めつけられる隼人を救ってくれる鷹士。次第に距離を縮めてゆく彼らが久慈の十二神宝を巡る諸邦の争いに巻き込まる中、隼人は生い立ちの秘密を知り仲間たちと島の平和を取り戻すため、失われた神宝の探索に向かう展開はなかなか壮大で良かったです。
21.トラペジウム (角川文庫)
高山 一実 KADOKAWA 2020年04月24日
「絶対にアイドルになる」ため己に4箇条を課して高校生活を送る高校1年生の東ゆうが、東西南北の仲間を集めて高校生活をかけて追いかけた夢を描く青春小説。「SNSはやらない」「彼氏は作らない」「学校では目立たない」「東西南北の美少女を仲間にする」を信条に掲げて、他校の個性的な女の子を仲間にしながら地道に積み上げていったアイドルへの道。したたかにひたすら自らの夢を叶えるため邁進するがゆえに、仲間に助けられることもあればすれ違うこともあって、挫折しながらも夢を諦めなかったゆうが迎えた結末はなかなか悪くなかったです。
22.後宮の木蘭(角川文庫)
父と兄を謎の獣に殺され、後宮で姿を消した姉を探すために宮女になった名門武家の娘・黎木蘭。様々な恐ろしい噂が飛び交う中、黒い官服をまとう許婚・劉覇と11年ぶりに再会する中華風ファンタジー。西からきたとある怪物に支配されつつある後宮を舞台に、姉の行方を探し求める無鉄砲気味な木蘭と、冷たい態度を取りながら彼女を気にかける劉覇。わりとさくさく進んでいく展開の中で、うじゃうじゃ敵がいるのに突っ込もうとする木蘭はよく最後までたどり着けたなとも思いましたけど、そんな二人の結末からどうなるのか続きが気になるシリーズですね。
23.知らない記憶を聴かせてあげる。 (角川文庫)
勤務先で先輩の失敗を押しつけられて辞め、叔父が住んでた家に籠もっていた陽向。彼の元に届けられた叔父のテープを原稿起こししてもらうため、音谷反訳事務所の久呼と出会うお仕事小説。訳ありで個人宛てテープは起こさない信条の久呼に反訳のやり方を教えてもらううちに、テープの真意や反訳の奥深さを知って彼女に師事しその仕事を手伝うようになってゆく陽向。意気込みが空回りすることもありましたけど、自身も抱えているものがある久呼とは足りないところをお互い補い合えるいいコンビになってゆく展開がなかなか良かったです。
24.きみのために青く光る (角川文庫)
心の不安に根ざして発症し、力が発動すると身体が青く光って様々な異能力が発現する病「青藍病」。それに振り回される4人の男女が織りなす切なく愛おしい連作短編集。青藍病によって動物から攻撃されたり、念じるだけで生き物を殺せたり、人の年収や死期を知ってしまったり。青藍病によって引き起こされる異能に戸惑うことも多くて、それによって様々な事件に巻き込まれたりもしますが、困難に直面した恋する相手のために何とかしようと奔走したり、終わってみれば何となくいい感じにまとまってゆく展開は著者さんらしくてとても素敵な物語でした。
25.星降プラネタリウム (角川文庫)
美奈川 護 KADOKAWA 2018年04月25日頃
観光地化された星空が素敵な島を捨てた渡久地昴が就職先で配属されたのはプラネタリウム事業課。複雑な思いを抱える彼が魔法使いのようにプラネタリウムの解説をする望月と出会う物語。観客を魅了する望月の手腕や、変わり者の同僚たちにも触発されて仕事に前向きになってゆく昴と、幼き日に約束を交わした天音の再会。いくつもの人間関係と星空への思いのバランスをうまく取りつつ描かれてゆくエピソードでしたが、様々な出会いから心境も少しずつ変わってゆく中、昴が担当することになった故郷の島での星空解説にはぐっと来るものがありました。
26.君がオーロラを見る夜に (角川文庫)
君がオーロラを見る夜に(1)
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いぬじゅん KADOKAWA 2020年03月24日
過去に背負った心の傷を抱えたまま、大学卒業までの日々をやり過ごす大学4年生の市橋悠希。そんな彼が大学の講義でオーロラを見たいという少女・空野碧と出会う青春小説。オーロラをきっかけに親しくなってゆく悠希と碧。そして二人で観に行くことになった日本でオーロラが見れるという北海道への旅。並行して大切なヒトを失った悠希によるオーロラを見るためのノルウェーへの旅も描かれるために、途中まではどこか不穏な気配もありましたけど、終わってみればしっかりと過去を乗り越えて未来への希望を見いだせる、良かったなと思えた物語でした。
27.赤くない糸で結ばれている(角川文庫)
赤くない糸で結ばれている
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筏田 かつら KADOKAWA 2021年03月24日
本屋さんのお姉さんが気になって1冊読み終わるたびに本を買う高校生、ふと父親の不可解な言動が気になりだした友人、ラジオ番組の投稿者が気になる秀才、高校時代の同級生に翻弄される女子大生、同性を崇める女子中学生を描いた連作短編集。最後に舞台裏として明かされてゆく心境がまた何とも複雑で、それぞれの物語は思わぬところにゆるく繋がっていたりもして、なかなかうまく行かない中でのわりとほろ苦い話が多かったりもしますが、けれどその中にもはっとさせられるような救いを見い出してゆく切なく優しい結末がなかなか印象的な物語でした。
28.チルチルサクラ ~桜の雨が君に降る~(角川文庫)
チルチルサクラ 〜桜の雨が君に降る〜(1)
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いぬじゅん KADOKAWA 2021年03月24日
入学式の日、先輩の悠真と桜の下で鮮烈な出会いを果たした空美姫花。ある日、事故に遭いかけた姫花は、来世の自分と名乗る女性から「事故で死ぬ運命だった」と告げられる青春小説。ぽっちゃり系で平凡に目立たず生きてきた姫花。悠真を遠くから眺めるだけで満足していた彼女が、延命の代わりに課されたミッション。リンネと名付けた女性の正体は何者なのか。親友も同じ人に恋していると知って自分はどうしたいのか、どうありたいのかすれ違い迷い続ける展開でしたけど、本音でぶつかり合ってようやく見出した大切なものがとても印象的な結末でした。
29.あの夏、僕らに降った雪(角川文庫)
高校2年の夏休み。年齢を偽って治験のバイトに潜り込んだ湊が深夜の病棟で出会った、無関心病を患う少女・莉子。そんな彼女とともに過ごしたひと夏の物語。母の影響で「お金は物に使う」スタンスで生きてきた湊と、興味があるものを全力で楽しもうとする余命一ヶ月の莉子が満喫する北海道の夏。彼女の闘病ドキュメンタリーに出演することになったり、突然興味を失う彼女の喪失感に直面したりもしましたけど、その真意に気づいて莉子の複雑な想いにしっかりと向き合い、寄り添って最後まで精一杯過ごした二人の日々がとても印象に残る作品でしたね。
30.夏、君と運命の恋をするはずだった (角川文庫)
夏、君と運命の恋をするはずだった
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大城 密 KADOKAWA 2020年07月16日
出産間近の妻・千花と病院に向かう道中で不慮の事故に遭ってしまう明良。悲劇を拒絶したことで彼女と出会う10日前にタイムリープしてしまった明良が、彼女と再会すべく奔走するやり直し青春ミステリ。彼女を抱きしめた瞬間繰り返されるタイムリープ。その度に薄れる彼女の記憶や周囲で起きる事件の差異、事情を知って支えてくれる友人たち。なかなかうまく行かないのはなぜなのか、事件を防ぎ追い求めた過程で見えたもう一つの可能性や真相はほろ苦かったですが、それでも諦めなかった彼らが取り戻した大切な関係にはぐっと来るものがありました。