読書する日々と備忘録

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最近のオススメ青春小説 一般文庫/ライト文芸15選

最近ライトノベルの方でも面白い青春小説がたくさん刊行されていますが、ここ最近で一般文庫レーベルやライト文芸レーベルからもいろいろ面白い作品が刊行されたり、文庫化されています。そこで今回は自分の読んだ本の中から15作品を紹介したいと思います。

 

1.彼女の色に届くまで (角川文庫)

彼女の色に届くまで (角川文庫)

彼女の色に届くまで (角川文庫)

  • 作者:似鳥 鶏
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: 文庫
 

画廊の息子で幼い頃から才能を過信し画家を目指している緑川礼。しかしいつの間にか冴えない高校生活を送っていた礼が、無口で謎めいた同学年の美少女・千坂桜と出会うアートミステリ。礼が衝撃を受けた原石のような彼女の絵の才能。その推理で礼の窮地を救ってみせる桜の意外な一面と、共に過ごすようになってゆく日々。圧倒的な才能を前に平凡な自分を突きつけられる葛藤と少しの打算、生活力皆無な桜が気になって飼育係として世話を焼いてしまう礼の複雑な想いが悩ましいですが、それでも不器用な二人らしい結末はとても素敵なものに思えました。

 

2.処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな (新潮文庫nex)

留年して二回目の高校三年生となった佐藤晃に話しかけてきた同級生・白波瀬巳緒。それをきっかけに居場所がないと思っていた学校で周囲に輪ができて、かけがえのないものを取り戻してゆく喪失と再生の青春小説。留年の経緯で明らかになってゆく深い愛には驚かされましたが、あっけらかんとしたギャルの白波瀬巳緒、綺麗な声が耳に残る少女・御堂楓、そしてアニメ好きな和久井と出会い、大切な友人・藤田たちにも支えられながら、みんなで結成したバンドを通して熱い想いをぶつけ合い、未来に希望を見出してゆく結末にはぐっと来るものがありました。

 

3.他に好きな人がいるから (祥伝社文庫)

他に好きな人がいるから (祥伝社文庫)

他に好きな人がいるから (祥伝社文庫)

  • 作者:白河三兎
  • 発売日: 2020/05/15
  • メディア: 文庫
 

寂れてゆく造船の田舎町。目立たないように鬱屈を抱えながら生きている高校生・坂井が、夜のマンション屋上で危険な自撮りを投稿し続ける白兎のマスクを被った少女と出会う青春恋愛ミステリ。苦い過去に縛られる少年と兎人間の秘密の共犯関係。クラスで浮いている少女・峰に巻き込まれてゆく学校生活と、彼女が意識する優等生の少女・鈴木。どこか危うさを感じさせる日々が続いた末に起きた事件とその真相は衝撃的で、いつまでも忘れられない坂井がこれからどうするのか、読み終わるとタイトルの意味がじわじわと効いてくる印象的な物語でした。

 

4.さよなら世界の終わり (新潮文庫nex)

さよなら世界の終わり (新潮文庫 さ 92-1 nex)

さよなら世界の終わり (新潮文庫 さ 92-1 nex)

  • 作者:佐野 徹夜
  • 発売日: 2020/05/28
  • メディア: 文庫
 

ふとしたきっかけから死にかけるたびに未来が見えるようになった高校生・真中。屋上のドアノブで首を吊ってナンバーズの数字を見ようとした昼休み、親友の天ヶ瀬が世界を壊す未来を見てしまう青春小説。彼と同じように死にかけるたびに幽霊が見えるようになる少女・青木、周囲を洗脳できる天ヶ瀬とのゆるく繋がった関係。彼らが抱える辛い過去や、現状や未来に希望を持てない諦めに似た苦悩にはなかなか来るものがありましたが、大切な友を取り戻すため、絶望の未来を覆すために奔走し、勇気を持ってぶつかろうとする結末はなかなか良かったですね。

 

5.読書嫌いのための図書室案内 (ハヤカワ文庫JA)

読書嫌いのための図書室案内 (ハヤカワ文庫JA)

読書嫌いのための図書室案内 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:青谷 真未
  • 発売日: 2020/04/16
  • メディア: 文庫
 

読書嫌いな高校二年生の荒坂浩二は、図書委員会で廃刊久しい図書新聞の再刊を任され、本好き女子の藤生蛍とともに本も絡めた数々の謎に挑む学園ミステリ。本が絡むと人が変わる藤生と一緒に挑む「舞姫」を絡めた留学生との関係、美術部の先輩から託されたタイトル不明の感想文の意味、生物の樋崎先生が広めた生物室の怪談の真相。感想文回収のために不器用な二人が真相に挑む展開でしたが、クールでやる気がないように見えるのにいざという時にはビシッと決める主人公の不思議な秘密への伏線は鮮やかで、彼らの物語をまた読んでみたいと思いました。

 

6.青ノ果テ :花巻農芸高校地学部の夏 (新潮文庫nex)

東京からの転校生・深澤がやってきてから、壮多も幼馴染の七夏もおかしくなった。彼女が姿を消す前に託された約束を胸に、壮多は深澤と先輩の三人で宮沢賢治ゆかりの地を巡る巡検の旅に出る青春小説。将来の展望もないまま鹿踊りにのめり込んでいた壮多が、転校生・深澤と七夏の急接近で突き付けられた焦燥と動揺。彼女不在で複雑な想いを抱えたまま臨んだ男三人の旅で、それぞれの抱く想いに触れて、宮沢賢治ゆかりの地やそのゆたかな情景に魅せられて、過去に向き合い乗り越えようとする彼らの成長とその結末にはぐっと来るものがありましたね。

 

7.それでも僕らは、屋上で誰かを想っていた (宝島社文庫)

穏やかで笑みを崩さない蒼汰、蒼汰の幼馴染・小毬、教師から不良扱いされる漣、優等生の生徒会長・智朗、クールで大人びた由宇。タイプの異なる五人が過ごす屋上の大切な関係が、ひとつの告白をきっかけに変わり始める青春小説。いつまでも大切にしたいと思っていた関係が、自身は些細なことだと思っていたひとつの決断から崩壊し始める皮肉。それぞれの視点から語られるエピソードは何とも痛々しくて、何とかしようとすればするほどズレてしまう展開はもどかしかったですけど、そんな不器用な彼らが迎えるほろ苦さ交じりの結末がまた印象的でした。

 

8.さようなら、君の贖罪 (集英社オレンジ文庫)

佐久の部屋に突如現れたパジャマ姿の少女とアザラシ。意味が分からないまま目を覚ました少女たちが消えてしまい、そんな彼女・卯月が同じ高校の生徒だと知る青春小説。精神が不安定になるとテレポート能力で勝手に飛んでしまい、いろいろなものを持ってきてしまう卯月と、一度見たら忘れない記憶力を持つ佐久。佐久の友人蓮野との関係も絡めつつ、特別と過ちを抱えた不器用な二人が、一緒に持ってきたものを返してゆく過程で育まれてゆく想いとすれ違い、ぶつかり合って過去を乗り越えた先で再構築されてゆく新たな関係がなかなか素敵な物語でした。

 

9.今夜、世界からこの恋が消えても (メディアワークス文庫)

無色透明な人生を送っていた高校生の透が、何となく流されるまま日野真織に嘘の告白をしたことで始まった偽りの恋と愛の物語。真織が提示した彼女になるための三つの条件。彼女の友人・綿矢も交えつつ共に過ごす中で変わってゆく真織への想い、そして真織が告げる彼女が隠していた秘密。一日一日大切に積み重ねてゆく日々は彼らにとってかけがえのないもので、真織への透の提案は変化のきっかけとなって、思いもよらない急展開でしたけど、彼女を精いっぱい愛し続けた透と、そんな想いに真摯に向き合おうとする真織の姿がとても印象的な物語でした。

 

10.君がオーロラを見る夜に (角川文庫)

君がオーロラを見る夜に (角川文庫)

君がオーロラを見る夜に (角川文庫)

 

過去に背負った心の傷を抱えたまま、大学卒業までの日々をやり過ごす大学4年生の市橋悠希。そんな彼が大学の講義でオーロラを見たいという少女・空野碧と出会う青春小説。オーロラをきっかけに親しくなってゆく悠希と碧。そして二人で観に行くことになった日本でオーロラが見れるという北海道への旅。並行して大切なヒトを失った悠希によるオーロラを見るためのノルウェーへの旅も描かれるために、途中まではどこか不穏な気配もありましたけど、終わってみればしっかりと過去を乗り越えて未来への希望を見いだせる、良かったなと思えた物語でした。

 

11.その終末に君はいない。 (スターツ出版文庫)

その終末に君はいない。 (スターツ出版文庫)

その終末に君はいない。 (スターツ出版文庫)

  • 作者:天沢夏月
  • 発売日: 2020/01/28
  • メディア: 文庫
 

高2の夏。親友の和佳と共に交通事故に遭った伊織。病院で目覚めるも事故直前で入れ替わってしまい、本来の伊織は死んだ状態で混乱する伊織が始める和佳としての生活とその変化が描かれる青春小説。入れ替わって初めて知る密かに憧れを抱いていた和佳の状況、密かに片想いしていた和佳の恋人・秀の存在、そして入れ替わりを見抜いた佐島の存在。いったんは新生活に希望を見出して葛藤しながらも、きちんと向き合い決断した伊織は立派でしたけど、そんな結末の先にあった最後のプロローグで明かされるもうひとつの真実が持つ意味には戦慄しました…。

 

12.今夜F時、二人の君がいる駅へ。 (メディアワークス文庫)

クリスマス間近、ベテルギウス超新星爆発を観測した日の夜。昴の乗った京浜東北線終電車の第二車両が突如消失。5年後の開通していないはずの高輪ゲートウェイ駅に飛ばされてしまうSF青春小説。いきなり直面する五年後の世界に呆然自失とする昴、瞳、勇作、晟生、真太郎の乗客たち五人のそれぞれの事情。彼らに突き付けられた五年の経過によってもたらされた変化は残酷で、それでいて変わらない想いもあって、そんな彼らが出会った運命の悪戯と、諦めきれない想いを取り戻すべく奮闘したその結末には確かな救いがあってなかなか良かったですね。

 

13.一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。 (スターツ出版文庫)

うっかり写真を撮ろうとしてしまったことで、クラスの人気者・香織の専属カメラマンにされてしまった輝彦。自由奔放な香織に振り回されっぱなしの彼が彼女に感化され、少しずつ変わってゆく青春小説。印象的な姿を撮りたいと思ったことから始まった二人の関係。ともに過ごし想いが変化してゆくことを自覚した輝彦が知ってしまう彼女が抱える秘密。彼女がそれを受け入れることも、寄り添うこともまた容易なことではなかったとは思いますが、二人でやりたいことをやり切った二ヶ月間、そして彼女との出会いが輝彦を変えてゆくその結末は印象的でした。

 

14.紅い糸のその先で、 (角川文庫)

紅い糸のその先で、 (角川文庫)

紅い糸のその先で、 (角川文庫)

  • 作者:優衣羽
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: 文庫
 

子供の頃から「運命の紅い糸」が見えてしまうゆえに辛い思いをしてきた高校生つむぎ。入学式でぶつかった架間先輩と風紀委員会で印象的な再会を果たす青春小説。先輩の小指に紅い糸が無いことに気づくつむぎ。最初はケンカばかりしていたのが共に過ごすうちに少しずつ変わり、お互いの友人の恋を応援する作戦を立てるようになる二人。そこからの苦い過去を繰り返すかのような急展開は、彼女にとってなかなか厳しい状況でしたけど、紅い糸を巡るひとつのエピソード、先輩からの告白も絡めて意外なところから覆ってゆく結末はなかなか良かったですね。

 

15.#チャンネル登録してください (新潮文庫nex)

#チャンネル登録してください (新潮文庫 ふ 55-3 nex)
 

いつも失敗を恐れて自信が持てない七沢希紘をユーチューバーの仲間に誘ってくれた大学の同級生・環花。等身大の悩める大学生たちの恋と成長を描いた青春小説。ふとしたきっかけから交流が始まった環花との関係。彼女のグループに加わって始めた活動と、明らかになってゆく希紘の秘密と苦い過去、そして環花の意外なコンプレックス。知り合ったことでいい感じに化学反応を起こし、変わっていった二人には何とも皮肉な構図が待っていましたけど、それでもきちんと向き合うことから逃げなかった二人ならきっと乗り越えてくれると信じられる結末でした。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。