読書する日々と備忘録

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4~5月刊行のオススメラノベ青春小説15選

4~5月あたりは臨時休業の書店が多かっただけでなく、オンライン書店なども大混乱だったりで、ここまで長期間に渡って書籍の供給が不安定な状態が続いたことはありませんでした。そこで今回、期間中に刊行されたライトノベルの青春小説の中からオススメ作品を15点紹介したいと思います。なお、今回青春小説と題していますが、カテゴライズの曖昧な周辺作品もセレクトしています。ざっくりとそのあたりの作品ということで認識いただければ幸いです。

 

1.探偵くんと鋭い山田さん (MF文庫J)

親の仕事が探偵だと自己紹介したせいで、クラスメイトから相談が持ち込まれるようになった戸村。彼が両隣の席にいる双子の山田姉妹とともに依頼解決に挑む学園ミステリラブコメ。彼氏の浮気相手の正体、絶版小説の犯人当て、美術部で振るわれたナイフの謎といった身近な事件に、対照的な気まぐれで天才肌な雨恵、ミステリ好きな優等生・雪音の二人と一緒に事件解決に挑むストーリーで、意外なアプローチからの事件解決や、お互いに刺激しあうことで少しずつ変わっていった三人の関係がなかなか面白かったですね。彼らの物語をまた読んでみたいです。

 

2.楽園ノイズ (電撃文庫)

楽園ノイズ (電撃文庫)

楽園ノイズ (電撃文庫)

  • 作者:杉井 光
  • 発売日: 2020/05/09
  • メディア: 文庫
 

女装して演奏動画をネットにアップし(男だけど)謎の女子高生ネットミュージシャンとして一躍有名になってしまった村瀬真琴。音楽教師・華園先生に正体を知られ、その弱みからこき使われる羽目に陥った彼が、三人の少女と巡り合うボーイ・ミーツ・ガールズ。不真面目な教師・華園を通じて巡り逢うひねた天才ピアニストの凛子、華道お姫様ドラマーの詩月、不登校座敷童ヴォーカリストの朱音。いかにも著者さんらしい主人公にヒロインたちがいて、そのテンポの良いやり取りは癖になって、熱く盛り上がってゆくストーリーは控えめに言って最高でした。

 

3.オーバーライト ――ブリストルのゴースト (電撃文庫)

ブリストルに留学中の大学生ヨシがバイト先の店頭で発見したグラフィティ。何故か絵には詳しい先輩ブーディシアとともに落書きの犯人探しに乗り出す物語。犯人探しをする過程で出会ったグラフィティを競い合う少女ララや仲間たち。グラフィティの聖地を脅かす巨大な陰謀と、かつて「ブリストルのゴースト」と呼ばれたブーディシアが描くのを止めてしまった理由。登場人物たちのグラフィティへの熱く複雑な想いが交錯する展開でしたけど、真相にたどり着く中で明かされる過去と、葛藤を乗り越えて立ち向かうその姿にはぐっと来るものがありました。

 

4.吸血鬼は僕のために姉になる (ダッシュエックス文庫)

唯一の肉親だった祖父を喪った波野日向が、丘の上の屋敷に住んでいる盲目の吸血鬼霧雨セナに引き取られ、未知の世界で新しい家族や人外の存在たちと絆を深めてゆくファンタジー。彼を大切に思うあまり甘やかしお姉ちゃんと化すセナには苦笑いでしたけど、共に過ごすうちに出会った一つ目の怪物や、犬の郵便屋といった人外の存在、疎遠だった幼馴染・心音、気の置けない親友・佐伯たちとのエピソードがあって、明らかになってゆく一族が果たしていた役割にきちんと向き合うようになった日向と、周囲の関係がこれからどうなるのか楽しみな作品ですね。

 

5.カノジョの妹とキスをした。 (GA文庫)

カノジョの妹とキスをした。 (GA文庫)

カノジョの妹とキスをした。 (GA文庫)

  • 作者:海空りく
  • 発売日: 2020/04/14
  • メディア: 文庫
 

人生で初めての恋人晴香と交際一ヵ月。幸せ絶頂の佐藤博道は突然父親が再婚し、家庭の事情で晴香と離ればなれになった双子の妹・時雨と突然同居することになってしまう青春ラブコメ。小学校からの幼馴染で天真爛漫な晴香と、対照的に学校では猫を被っている優等生でことあるごとにからかってくる義妹の時雨。博道の晴香への想いは真っすぐで、けれど同じ顔の義妹との同居は彼女には秘密で、双子姉妹の両親が離婚した経緯や、時雨の複雑な想いも絡めて描かれる三人の関係は波乱必至ですね。突き付けられた衝撃の結末に続巻が気になって仕方ないです。

 

6.きのうの春で、君を待つ (ガガガ文庫)

きのうの春で、君を待つ (ガガガ文庫 は 7-2)

きのうの春で、君を待つ (ガガガ文庫 は 7-2)

  • 作者:八目 迷
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: 文庫
 

引っ越した先の東京でうまく行かず、かつて住んでいた離島・袖島に家出してきた船見カナエが、幼馴染だった保科あかりと再会。時間を遡る現象「ロールバック」に巻き込まれる青春小説。カナエが巻き込まれた飛ばされた四日後から夕方6時になると一日ずつ遡るロールバック現象。遡る中で明らかになってゆくあかりの兄・彰二の死とあかりの恋心と兄への複雑な思い。ひたむきに頑張ってきたからこそ、失われたものの喪失感も大きくて、けれど何とかしようと懸命だったカナエの奔走が、未来への希望を引き寄せる展開にはぐっと来るものがありました。

 

7.日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)

日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)

日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)

  • 作者:岬 鷺宮
  • 発売日: 2020/05/09
  • メディア: 文庫
 

どんな「お願い」でも叶えられる葉群日和。始まるはずじゃなかった彼女との恋が、頃橋深春の人生や世界全てを決定的に変えていく、終われないセカイの、もしかして最後の恋物語。告白を断るはずだったのに、うっかり知ってしまった日和の秘密。そんな彼女との過ごしてゆく初々しい日々は楽しくて、けれど垣間見える複雑な想いをたくさん抱えた彼女の日常は想像以上に過酷で、幸せを諦めてしまった少女との思い出を忘れても、改めて想いを育んでゆく彼らが取り戻してみせた未来にはぐっと来るものがありました。幼馴染の存在もまた効いていましたね。

 

8.家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね? (GA文庫)

家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね? (GA文庫)
 

祖父を亡くし天涯孤独となった高校生・黒川真が、遠縁の四姉妹の元に引き取られ、そこで中学の卒業式に告白をお断りした後輩が三女・姫芽と再会し、誘惑も多い同居生活が始まるラブコメディ。小説家の長女・宙子、クールな高校生の次女・波月、しっかりものの三女・姫芽、元気いっぱいの四女・美星との暖かくドタバタな共同生活で彼女たちに振り回されながら、少しずつ不器用なりに向き合おうとするようになってゆく孤独だった真の変化は微笑ましくて、そんな彼と四姉妹の関係がこれからどうなってゆくのか、今後がとても楽しみな新シリーズですね。

 

9.きみって私のこと好きなんでしょ? とりあえずお試しで付き合ってみる? (GA文庫)

憧れの文芸同好会の先輩で超絶美少女の白森霞。そんな彼女に自らの想いをあっさり見抜かれた後輩陰キャ高校生・黒矢が、先輩からお試しお付き合いを提案される青春ラブコメ。余裕があってからかってくる白森先輩相手にいっぱいいっぱいで、振り回されっぱなしの黒矢。でもそんな彼女もまた実はわりと不器用で、からかいながら見えないところで赤面する一面もあって可愛かったですね(苦笑)一年間一緒に活動してきて、自分の大切なものをきちんと理解してくれて、そんな日々を積み重ねてきた二人の不器用で甘い関係にはぐっと来るものがありました。

 

10.シンデレラは探さない。 (講談社ラノベ文庫)

シンデレラは探さない。 (講談社ラノベ文庫)

シンデレラは探さない。 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:天道 源
  • 発売日: 2020/04/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

お城のような五十階建てのタワーマンションにはお姫様が住んでいる。自分には関係のない存在と思っていた高校生の荒木陣が、その最上階に住む同級生・真堂礼と出会う青春小説。妹・舞の看病で学校を休んだ陣にプリントを届けに来たことで始まった礼との関係。無自覚系の陣相手にポンコツでチョロインになってしまう礼でしたけど、そんな彼女を応援する友人コンビもなかなか面白くて、陣を見続けてきた彼女だからこそ気づいた彼の想いがあって、不器用な彼女が陣の家族にも温かく迎えられ幸せになってゆく二人の関係をまた読んでみたいと思いました。

 

11.朝日奈さんクエスト (ファミ通文庫)

ネトゲ世界に入り浸り、ぼっちはリア充を凌駕すると信じる大学生・月岡草一。ネトゲでパートナーを組んでいたJK朝日奈舞に人生の攻略方法を教わり、計画的ぼっちリアルライフとどちらがいいか勝負する青春ラブコメ。オフ会で会ったら実はリア充JKだった舞のアドバイスを受けて、放送研に入会して憧れの高嶺先輩にアプローチする展開で、草一の良さに気づいてゆく舞の複雑な想いも絡めつつ、先輩のためにいろいろ努力して頑張る草一はカッコよかったですけど、どこか締まらないその結末もまた彼ららしいのかなと微笑ましく思えて良かったですね。

 

12.夢見る男子は現実主義者 (HJ文庫)

夢見る男子は現実主義者 1 (HJ文庫)

夢見る男子は現実主義者 1 (HJ文庫)

  • 作者:おけまる
  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: 文庫
 

同じクラスの美少女・夏川愛華との両想いを夢見て、めげずにアプローチを続けていた佐城渉。しかしある日突然、現実を見て適切な距離を取ろうとする彼の急変に、愛華も逆に気になり始める青春ラブコメディ。周囲もカップルなのではと誤解するくらいの距離感だったのに、一転渉が邪魔をしないよう遠くから見守るようにしたことで、ウザかったはずが逆にその不在が落ち着かなくなってゆく愛華。とはいえ現時点では彼女も違和感にモヤモヤしているくらいで、想いを自覚するのはこれからなんですかね。そんな二人のこれからに期待したい新シリーズです。

 

13.『ラブコメ文芸部』と美少女問題児たちとボッチな俺 (講談社ラノベ文庫) 

『ラブコメ文芸部』と美少女問題児たちとボッチな俺 (講談社ラノベ文庫)

『ラブコメ文芸部』と美少女問題児たちとボッチな俺 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:秋月 一歩
  • 発売日: 2020/06/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

密かに投稿サイトに自作の小説をアップする読書好きでボッチな少年・青枝春人。彼が投稿する作品の熱烈なファンである学園一の美少女・夏陽向美夏と出会い、彼女と一緒に『ラブコメ文芸部』を立ち上げる青春ラブコメディ。二人で立ち上げた部に加入してくる春人のストーカーな後輩・秋待月咲月、生徒会長を務めるお嬢様・冬橋空悠香先輩など、登場人物たちや設定はわりとベタでしたけど、彼女たちとの甘いデートごっこや、陥った窮地に彼らが協力して乗り越えて育まれる絆、そしてお互いに刺激し合える関係になってゆく結末はなかなか良かったです。

 

14.中古(?)の水守さんと付き合ってみたら、やけに俺に構ってくる (講談社ラノベ文庫) 

中古(?)の水守さんと付き合ってみたら、やけに俺に構ってくる (講談社ラノベ文庫)
 

女性不信で恋愛に消極的な高校生十神里久が、放課後に探し物をしていた水守結衣を助けたことをきっかけに、学校で有名なビッチとして噂されて孤立する彼女と付き合い始める青春ラブコメディ。水守の告白に恋愛感情はないけれど、彼女にもっと自分を大切にしてほしいからと付き合い始めた十神。二人の交際は十神の評判を気遣って学校では秘密で、そんな二人を応援する風紀委員長のような人もいて、そんな彼女の素顔を知っていった十神が、水守の窮地を救うために立ち上がる王道展開にはぐっと来るものがありました。続巻にも期待の新シリーズですね。

 

 

15.仲が悪すぎる幼馴染が、俺が5年以上ハマっているFPSゲームのフレンドだった件について。 (ブレイブ文庫)

FPSゲーム世界一位の雨川真太郎。そんな彼と相性抜群なフレンド「2N」の正体が、喧嘩別れした幼馴染・奈月だったことに気づく青春小説。辛い時に拒絶したのに、意外な形で真太郎を支え続けてくれた奈月。鈍い彼と素直になれない奈月の最強ケンカップルに、ゲームの全国大会優勝を目指すために真太郎に惚れた美青年・ジルと美少女配信者・ベル子を加え結成されたチームは、ちょっとベクトルが一極集中しすぎて苦笑いですが、それぞれのエピソードにえげつない合宿中のゲームプレイもあったりで、絆も深めた彼らの全国大会での活躍が楽しみです。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。