今回は5月5月富士見ファンタジア文庫・GCN文庫の新刊感想まとめです。内訳は富士見ファンタジア文庫の新作4点、続巻3点、GCN文庫の新作1点、続刊1点の計9点の紹介になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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あそびのかんけい (富士見ファンタジア文庫)
高校を中退し、ボードゲームカフェ『クルマザ』で店長代理として働く生粋のボドゲオタクの常盤孤太郎。彼とヒロインたちを巡る誰もが秘密や秘めた想いを抱えながらあそびのかんけいを続けるラブコメ。ボドゲ愛の欠片もない同僚の女子高生ギャルバイト小鳥遊みふるに密かに恋をする孤太郎。しかし彼女にはイケメン彼氏の宇佐がいて、さらに孤太郎が想いを隠すために伝えた嘘の好きな人で女流棋士の歌方月乃が、実は正体を隠して『クルマザ』に入り浸る常連客だったりするなかなかカオスな展開で、今巻でそれぞれが今どんな立ち位置にあるのか、何でこんな面倒なことになっているのか、その構図が明らかにされていきましたけど、様々な背景や複雑な想いが絡み合うストーリーをどう動かしていくのか、今後に向けて期待が高まりますね。
追放された侯爵令嬢と行く冒険者生活 (富士見ファンタジア文庫)
疎まれて「恋人との駆け落ち」という体で国外追放処分となった侯爵令嬢エリカ。貧乏貴族の次男で冒険者でもあるシンがそんな彼女の相手役に立候補するファンタジー。エリカが光の聖女の親友ゆえに理不尽に排除されたことを知り、初恋相手の彼女のために共にある覚悟を決めたシン。最初はシンと同級生だったのにその他大勢の1人という認識しかなかったエリカも、仮初の夫婦役ながら彼女のため剣を振るうシンのことをだんだんと信頼していくようになっていく展開で、最初の彼女が追放されることになった経緯には正直ドン引きでしたが、エリカに配慮しながら信頼できるパートナーであろうとするシンとの関係がなかなかいい感じになりそうな予感があって、これからどう変わっていくのか今から楽しみです。
クラスのクォーター美少女が義妹になった。知らないうちに口説いてた。 (富士見ファンタジア文庫)
浮葉 まゆ/ゆがー KADOKAWA 2025年05月20日
平穏な高校生活を望む高校生・四元雅紀。彼が父親の再婚相手の連れ子だった同じクラスの高嶺の花のクォーター美少女・七瀬クロエと同居を始める無自覚攻略ラブコメ。突然できた同級生の義妹との同居生活に戸惑いながらも、穏便な家庭にするためにクロエと友好的に接しようと意識する雅紀。しかし料理をする彼女のことを褒めたり、彼女を気遣おうとする雅紀の言葉選びがわりと誤解に繋がってもおかしくないレベルで、これまであまり意識してこなかった彼のことを気にかけるようになっていくクロエ。雅紀と仲の良い幼馴染の香澄が2人の関係を知る存在としてどう関わるのか、心境に変化も気になるところですが、クロエが想いを自覚して、学校でも変わり始めた2人の今後が楽しみですね。
封印されし呪われ勇者、美少女配信者に偶然解放されたついでに無双して大バズり (富士見ファンタジア文庫)
恒例行事/fame KADOKAWA 2025年05月20日
下層で危機に陥ったダンジョン配信者の雨宮霞。瀕死の彼女がダンジョンに50年封印されていた、かつての勇者・勇人に救われるファンタジー。かつて人類で最も多くの同胞を救い、地底奥深くで人知れず呪われて閉じ込められていた勇人。事情を知らない霞が彼を配信に映した結果、実は救国の勇者だと判明し、リッチ化して若い姿で現代に帰還した勇者として俄然注目を集め、様々なことを根底から覆す存在として驚きをもって迎えられる展開で、不老化で見た目イケメンなのに自覚がなく、天然ゆえの言動で霞を振り回す一方、現代の最強冒険者と対峙しても実戦の中で現代の戦いを学び、適応していくセンスがあって、彼の登場で世界がこれからどう変わっていくのか今後の展開が楽しみです。
やり直し悪徳領主は反省しない!3 (富士見ファンタジア文庫)
幼女教皇を救ったフラッドの前に現れた、これまで暗躍してきた教団の主イザーク。フラッドとの邂逅を千年間待っていたと語る彼が、世界への侵攻を開始する第3弾。帝国首都に突然現れて100万人を瞬殺し、屍兵に変えてみせたイザーク。その脅威に対抗するために、退避してきた帝国皇女カリギュラ、幼女教皇たちの助力も得て、大連合が形成される展開で、フォーカス領への屍兵襲撃の報を聞いて戻ったフラッドの前にイザークが現れ、『やり直し』の存在すら知り尽くす彼に一度は絶望を突きつけられたものの、寄り添ってくれたかけがえのない存在に救われて、多くの人に支えられながら盟主として再び立ち上がり、総力戦でイザークに立ち向かっていく熱い展開とその結末はなかなか良かったですね。
これが魔法使いの切り札 4.蒼穹の剣士 (富士見ファンタジア文庫)
相変わらず進級資格を満たす成果がなく、またしても退学の危機に陥ってしまうリクス。そんな彼が『ダードリック魔法大会』開催を知り参加を試みる第4弾。退学回避に向けて一発逆転を賭け、数年ぶりに開催された伝統ある魔法大会参加を目指して、学院の代表選手になるべく持ち前の剣で突き進むリクス。そこに現れた秘めた実力を感じさせる魔術師リアも絡めながら、黎明の騎士としての力を見せつつあるリスクを排除しようとする陰謀が加速していく展開で、そこからリスクの思わぬ正体が判明したり、彼を放っておけないシノの覚悟に応えようとするリクスの奮闘がなかなか良かったですけど、今回でわりとスッキリ収まってしまった感もあって、これから続くのかも気になるところではあります…。
双子まとめて『カノジョ』にしない?5 (富士見ファンタジア文庫)
体育祭で大活躍した結果、俄然注目を集めるようになった咲人。そんな彼に生粋の勝負女子・坂本茜がアプローチしてくる第5弾。双子が彼の身近にいるのは認識していても、どちらと付き合っているかを明言しない咲人のことを諦めず、デートに誘ってくる茜。対抗するために千影と光莉もどちらかを明言しないままそこに参戦して、入れ替わりながら咲人との仲の良さをアピールする展開で、文化祭ではツンデレ喫茶も開催したり、両親の不在で咲人を家に呼んでのハプニングだったり、茜と双子がテニスで勝負したりと彼女たちもいろいろ頑張っている姿がなかなか良かったですね。物語の様相も少しずつ変わりつつある中、思わぬところから新たな動きもありそうで続刊に期待。
黒猫を拾ったら俺んちが二大美少女の溜まり場になった。 (GCN文庫)
マナシロカナタ/うなさか マイクロマガジン社 2025年05月20日頃
中野拓海の通う高校で圧倒的人気を誇る二大美少女と、捨て猫を拾ったことをきっかけに彼女たちと関わるようになっていくトライアングル青春ラブコメ。一人暮らしの拓海が捨て猫を引き取ったことをきっかけに、猫を気にかけていた清楚系美少女・木陰美月と、彼女と仲良しのギャル系美少女・天音陽菜が、猫の面倒を見るために彼の家に通うようになり、拓海自身も好感を得て彼女たちとのハプニングを交えながら、だんだんと仲良くなっていく3人の関係。男子が苦手な美月をからかう陽菜という構図も、思わぬ過去が明らかになる中でガラリと変わっていきましたけど、それぞれの想いに向き合い葛藤を乗り越えて絆を確かめあった2人に、拓海がこれからどう向き合うのかこれからの展開が楽しみです。
『人斬り』少女、公爵令嬢の護衛になる 3 (GCN文庫)
自身の左腕を犠牲に王女暗殺計画を阻止したシュリネ。護衛の仕事を十全にこなせず焦りを覚える彼女がルーテシアとともに要塞都市へと派遣される第3弾。左腕を失った代償の大きさを痛感し、護衛としてのありように心揺れるシュリネ。そんな彼女を心配して世界有数の技術力を持つ要塞都市ならば、戦闘に耐えうる義手を入手できるかもしれないと聞き、彼女を伴い同盟締結に向かうルーテシア。彼女の同盟に向けた交渉が難航する背景に魔究同盟の存在が浮き彫りになっていって、それぞれの因縁に決着をつける戦いもなかなか熱かったですけど、何より戦闘に耐えうる義手を得て、だんだん彼女らしさを取り戻していったシュリネが自覚していく想いとその結末がなかなか良かったですね。