今回は11月富士見ファンタジア文庫の新刊感想まとめです。内訳は富士見ファンタジア文庫の続刊が5点、新作が3点の計8点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
ロクでなし魔術講師と禁忌教典24 (富士見ファンタジア文庫)
メルガリウス天空城の決戦により救われたアルザーノ帝国。しかし帰ってこなかったグレンのために、再び彼と会うために残された人たちは立ち上がる第二十四弾。システィーナが夢に見てしまう、このまま何もしなければそうなってしまいそうな未来。そんな納得がいかない状況を打破するため、グレンのために準備を整えて最終決戦に挑む者たち。一方、無限に続く《無垢なる闇》との過酷な戦いの中で出会ったグレンと意外な人物。そこから明らかにされてゆく物語の真実があって、ここにきて終わりのない絶望を突きつけられるキツイ展開でしたけど、そんな状況を打破して見せたとてもロクアカらしい最後の戦いと、諦めなかったからこそもたらされたそれぞれの結末を最後まで読めて良かったです。
これが魔法使いの切り札 1.黎明の剣士 (富士見ファンタジア文庫)
血なまぐさい戦場に嫌気がさして、戦死を装い傭兵家業から引退した凄腕剣士のリクス。人生を変えようと変な妖精から特別入学招待状をもらった魔法学園に入学する学園ファンタジー。行きの海上でも海魔相手に力を見せつけるものの、魔術を使うのに必要なスフィアが開かずにまさかの魔術適正0。同様の特待生シノとともに特訓しながら、剣士としての力で学院の常識を次々と打ち破っていくリクス。シノ・セレフィナ・アニーとタイプの違う魅力的なヒロインに悪友ランディも絡めながら、シノを狙う貴族との決闘や、思わぬ騒動に巻き込まれる中でリクスやシノの背景も明らかにされてゆくワクワクするような王道展開に、今後に向けての期待感が改めて高まってきました。
彼女でもない女の子が深夜二時に炒飯作りにくる話 (富士見ファンタジア文庫)
付き合ってもいないのに深夜二時にチャーハンを作りに来訪する桐原銭子。そんな謎の行動の数々に困惑しながら、好きな女の子からの好意を拒絶し続ける青春モラトリアムラブコメ。神戸市の国内有数の進学校に通う高級マンション住まい、高身長、高学歴なハイスペック高校二年生・藤堂破蜂と、いろいろミニマムではあるものの優秀な美少女・桐原銭子の何とも不思議な関係。貧乏な母子家庭に育ち、価値観の違いを彼にたびたび突きつける銭子は彼にとって目を離せない存在で、決して嫌いではないのに告白を断って付き合わない藤堂の理由があって、さらには銭子視点の物語や彼女の親友も絡めて構図が二転三転していきますが、そこからさらにカオスな展開に叩き込んでくる今後の展開が楽しみになってきました。
双子まとめて『カノジョ』にしない? (富士見ファンタジア文庫)
品行方正、成績トップの美少女女子高生・宇佐見。そんな彼女が放課後にゲーセンで遊ぶ意外な姿を知った高屋敷咲人が、彼女たちを気になってゆく優等生&奔放双子美少女同時アプローチラブコメ。校内で咲人をライバル視して本気を出していないと突っかかる優等生な千影と、放課後ゲーセンで無邪気な笑顔を見せていた光莉。事情もあって彼女たちが双子と気づかないまま、それぞれの場所で少しずつ仲を深めていった末に起きてしまった決定的な勘違い。これが普通なら修羅場不可避の状況でしたけど、そこからまさかの展開が待っていて笑ってしまいました。咲人のほろ苦い過去も明かしながら、互いの存在がいい刺激となって相乗効果を生む、組み合わせ的に上手くハマった三人の関係がこれからどうなるのか、今後が楽しみな新シリーズです。
じつは義妹でした。6 ~最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ~ (富士見ファンタジア文庫)
じつは義妹でした。6 ~最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ~
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白井 ムク/千種 みのり KADOKAWA 2023年11月17日
置き手紙を一つ残して光惺が突然家を出て、一人暮らしを始めたことに動揺を隠せない妹のひなた。そんな2人を仲裁して仲直りさせるために周囲がいろいろと画策する第六弾。役者に戻る覚悟を決めた上での一人暮らしで取り付く島もない光惺。彼の思いに薄々気づきながらも、それでも納得がいかず元気のないひなた。そんな彼女を心配して晶や演劇部の面々を中心に仲直りさせる作戦を練る涼太。自信満々だったのに空回りする西山のポンコツ大作戦には苦笑いでしたけど、光惺がこれまで抱いていた過去から今に至るまでの思いの変化に加えて、月森の涼太に対する距離感、推しの光惺を応援する星野といった同級生たちの変化も描きながら、何だかんだでいい感じに落ち着いた兄妹関係にほっとする思いでした。
あなたの事が好きなわたしを推してくれますか?2 (富士見ファンタジア文庫)
啓太郎にガチ恋する超人気VTuberの同期ラミア。彼女を諦めさせるため、彼の推しVtuverで堕天院マリエルの中の人で幼馴染の西園寺芹香が彼女の座を賭けてゲーム大会で勝負する第二弾。啓太郎の彼女だと嘘をついたマリエルの爆弾発言にもめげないラミアとの勝負。マリエルに負けていられれないとばかりに、推しアイドルの同級生ゆきの懇願で演劇の参考に彼氏役でデートしたり、推しコスプレイヤーの義妹紗菜に合わせ撮影で甘えられたり、四人で一緒に行く水着回にゲーム合宿。マリエルの負けられない戦いに挑む決死の思いもなかなか熱かったですけど、主人公とヒロインたちがお互いに推している特殊な関係性の中で、あえて彼女を作ることよりも推しが大事と言い切った啓太郎の嘘偽らざる本音がなかなか印象的でした。
放課後はケンカ最強のギャルに連れこまれる生活2 彼女たちに好かれて、僕も最強に!? (富士見ファンタジア文庫)
放課後はケンカ最強のギャルに連れこまれる生活2 彼女たちに好かれて、僕も最強に!?
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亜逸/kakao KADOKAWA 2023年11月17日
新人の渚とついに一線越えちゃった?ホテルでお泊り以降、悶々とした日々を送る教育係のマサトが、相変わらず振り回される日々を送る第三弾。渚と過ごした一夜の記憶がないまま、同期の深広にデザインしてみろと無茶ぶりされたり、クライアントの桜子や来海に飲みに連れていけとせがまれたり、諸事情で一度限りの伝説のカリスマモデルに戻った先輩の鏡花の魅力に圧倒されるマサト。周囲の魅力的なヒロインたちにからかわれたり、振り回される様子は微笑ましかったですけど、それぞれのなかなか興味深い過去エピも掘り下げられてゆく中で、これまでいろいろ頑張ってきた新卒ちゃんの想いがしっかり報われる結末で良かったです。
かまって新卒ちゃんが毎回誘ってくる その3 ねえ先輩、これからもずっと一緒にいちゃダメですか? (富士見ファンタジア文庫)
かまって新卒ちゃんが毎回誘ってくる その3 ねえ先輩、これからもずっと一緒にいちゃダメですか?
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凪木 エコ/Re岳 KADOKAWA 2023年11月17日
底辺不良高校の学園最強の美少女・夏凛たちに好かれてしまった史季。不良派閥の頭・荒井を倒したことで注目を集めてしまい、さらに不良たちから狙われる第二弾。小日向派の女の子たちに遊ばれながら、たびたび狙われる状況を踏まえて、それに対応できるように初見殺しの技をいろいろと試行錯誤する史季。良くも悪くも注目を集める彼が鬼頭派の頭・朱久里に目をつけられてしまい、取引をしたことで彼女が主催する「1年最強決定戦」に特別枠で出場する展開で、今回もなかなか熱い戦いが繰り広げられましたけど、戦いを積み重ねる中で確実に強くなってゆく史季と、少しずつ意識するようになってきた夏凛の両片想いな状況になりつつある初々しい関係の行方も気になるところではあります。