今回は5月ガガガ文庫・富士見ファンタジア文庫・GCN文庫・TOブックス新文芸の新刊感想まとめです。内訳はガガガ文庫が続刊3点、富士見ファンタジア文庫の新作3点、続刊2点、GCN文庫の新作が2点の計10点です。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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たかが従姉妹との恋。2 (ガガガ文庫)
たかが従姉妹との恋。(2)
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中西 鼎/にゅむ 小学館 2023年05月18日頃
テスト勉強でファミレスに通ううちに、次第に仲良くなっていったミステリアスな女子中学生と意外な形で再会した幹隆。人数が増えた従姉妹たちとのお泊り会の夜に思わぬ事件が起きる第二弾。暗闇の中で幹隆に泣きながらキスしてきた従姉妹は一体誰だったのか。新たにやってきた従妹・流南や日和との再会、あやねえや眞耶と出かけた小旅行、相変わらずな立ち位置の伊緒、そして再び動き出した凪夏との関係。改めて従姉妹たちと幹隆の積み重ねてきた関係の特異性がひとつのポイントでしたけど、前巻彼女たちのインパクトに押され気味だった凪夏が、ぐいぐい攻めた挙句に後戻りできない劇薬をぶちこんできましたね(苦笑)波乱不可避の続巻が楽しみなような怖いような…とりあえず早く続きが読みたいです。
最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室 3 (ガガガ文庫)
最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室(3)
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吉野 憂/さばみぞれ 小学館 2023年05月18日
とある日の深夜。学園内男子寮で何者かの手によって引き起こされた殺人未遂事件。不安にどよめく渦中に二回目の優劣比較決闘戦が行われる第三弾。なぜか突発的に発生した、本格中華辛いものガマン大会でマウント合戦には思わず笑ってしまいましたが、今回の優劣比較決闘戦の内容は事件の犯人を見つけることで、容疑者として疑惑を集めてしまった東雲翼が抱える秘密。まるで学園ミステリのような雰囲気の中で犯人探しをする展開で、翼の意外な一面も掘り下げられてゆきましたけど、濃いキャラたちをうまく絡めながらのマウント合戦は相変わらず面白かったです。
魔女と猟犬 4 (ガガガ文庫)
カミツキレイニー/LAM 小学館 2023年05月18日
首飾りの森近くの村エイドルホルンで発生した魔女災害。四年前に村で捕らえられ処刑された「お菓子の魔女」が復活したという真偽を確かめるため、王国アメリアより異端尋問官たちが派遣される第四弾。異端尋問官のカルル、アビゲイル、ザミオ、そして見習い尋問官のエイミー、その冒険譚を記録すべく村へと派遣される宮廷詩人リオ・ロンド。そこに魔女集めをしているロロたちがいれば激突は不可避の展開でしたけど、お菓子の魔女を巡る秘密やその優しく切ないエピソードはなかなか印象的でしたね。激闘の末にまた新たな因縁も生まれてしまいましたけど、まだまだ続くダイナミックな魔女探しの旅で、いろいろ起きそうな予感しかしない次回の魔女争奪戦も楽しみです。
霧桜に眠る教室で、もう一度だけ彼女に会いたい (富士見ファンタジア文庫)
霧桜に眠る教室で、もう一度だけ彼女に会いたい(1)
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来生 直紀/黒なまこ KADOKAWA 2023年05月19日
高校で起きる怪奇現象に立ち向かい、その意志を遺して死んだ少女・霧宮澄御架。二年に進級しても空虚感を拭えぬ日々を過ごしていた元相棒の神波社が、不思議な噂を耳にする青春ミステリ。級友が引き起こす非現実的な《青春虚構具現症》が再び発生するようになり、澄御架を知る転校生の九十九里閑莉とともに、消える女子生徒・北沢古海が抱える秘密と葛藤、去年もクラスメイトだった早乙女翼の片想い、そして英雄がいない教室で起きた異変の真相に挑む社。澄御架との過去も掘り下げながら、起きている現象の中に隠されている少女たちの葛藤を辿り着いて真摯に向き合い、それぞれの想いを受け止めていった末に迎える彼らの結末がなかなか印象的な物語でした。
どんなことでも褒めてくれて、過保護で溺愛してくる大魔法使い様 (富士見ファンタジア文庫)
どんなことでも褒めてくれて、過保護で溺愛してくる大魔法使い様(1)
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初美 陽一/狐印 KADOKAWA 2023年05月19日
総ての魔法を識る世界一の大魔法使いレイミア。生まれ育った故郷の孤児院を滅ぼされ魔法が大嫌いな少年エイトが、彼女の初めての弟子となり溺愛されるファンタジー。レイミアのもとに辿り着いた三人の少年たちを見極めて、初めて弟子としたエイトを待ち受けていたのは、過酷な修行の日々…ではなく甘やかされる日々。それでも努力を怠らず才能の片鱗を見せる彼が魔法学院に通うと、禁断症状で師匠も姉として同伴してしまう甘やかしっぷりが突き抜けていましたが、真摯に修行に取り組んで窮地に陥っても諦めないエイトの奮闘が上手く関係性のバランスを取っていましたね。それぞれが弟子を取ってレイミアたちを狙う七賢人が、これから物語にどう絡んでくるのか、続刊に期待したい新シリーズです。
放課後はケンカ最強のギャルに連れこまれる生活 彼女たちに好かれて、僕も最強に!? (富士見ファンタジア文庫)
放課後はケンカ最強のギャルに連れこまれる生活 彼女たちに好かれて、僕も最強に!?(1)
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亜逸/kakao KADOKAWA 2023年05月19日
優等生なのに優しすぎて底辺ヤンキー高校に通うことになってしまった高校生・折節史季。案の定いじめに遭っていた彼が、学園の女帝と呼ばれる小日向夏凛と出会う学園バトルラブコメ。夏凛の後輩・春乃を勇気を出して不良から救ったことで、個性豊かで魅力的な彼女とその仲間たちに目をかけられ、強いけれど優しくて楽しい彼女たちと仲良くなってゆく史季。成績が悪い夏凛たちに史季が勉強を教える代わりに、ケンカを教えてもらうことで彼もまた少しずつ変わってゆく展開で、本調子でない夏凛が悪辣な手段を使った不良たち相手に窮地に陥った状況を見過ごせず、自らの因縁にも決着をつけて強敵に立ち向かってゆく熱い展開はなかなか良かったですね。
貴族令嬢。俺にだけなつく2 (富士見ファンタジア文庫)
貴族令嬢。俺にだけなつく2
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夏乃実/GreeN KADOKAWA 2023年05月19日
貴族令嬢ルーナとのデートを経て、彼女から深く懐かれるようになったベレト。そんな彼が同級生の貴族令嬢エレナの弟アランにアドバイスしたことで、父の伯爵から家へ招待される第二弾。成績優秀者が推薦される王宮のメイドよりも、ベレトに仕え続けたいと意思表明する専属侍女シア。彼女への対応をアドバイスし、エレナの父の招待状の中身を見てしまってモヤモヤを積み重ねるルーナ。エレナの父・伯爵との会談は、今後へ向けて着々と外堀を埋められそうな気がしましたけど(苦笑)、様々な配慮はできるのに、エレナも含めたヒロインたちの好意にはなぜか鈍感なベレトという構図に、ヒロインたちも覚悟を決めた続刊が物語としても大きなターニングポイントになりそうですね。
妹が女騎士学園に入学したらなぜか救国の英雄になりました。ぼくが。3 (富士見ファンタジア文庫)
妹が女騎士学園に入学したらなぜか救国の英雄になりました。ぼくが。3
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ラマンおいどん/なたーしゃ KADOKAWA 2023年05月19日
辺境伯領での戦いで百万人相手に一人で勝利したスズハ兄。オリハルコンや銀髪幼女と化した宿敵の吸血鬼の謎を探るため、仲間と情報収集の旅に出る第三弾。発掘されたオリハルコンやうにゅ子の謎を探る手段としてメイドのカエデが提案した故郷・冥土の谷訪問と、情報収集に協力するメイドたちがもたらした思わぬ波紋。ユズリハの地元・公爵領の温泉と伝説の邪蛇討伐、トーコの姉でもある聖教国の聖女との出会いで起きた奇跡、エルフの里で吸血鬼と最終決戦。スズハ兄が行くところ次々と伝説が生まれる展開にはもはや笑うしかないですが、何かじわじわ来るものがあってつい読んじゃうんですよね。どこまで突き抜けるのか続刊に期待。
魔女と傭兵 (GCN文庫)
超法規的かえる/叶世べんち マイクロマガジン社 2023年05月19日頃
魔術や魔獣が失われた大陸で、人々から恐怖の象徴として恐れられている魔女シアーシャ。魔女討伐隊に参戦した傭兵のジグが、彼女と運命的な出会いを果たすファンタジー。魔女を追い詰めながら、依頼主の死もあってシアーシャに護衛として雇われ、追われない場所を求める彼女と一緒に異大陸を目指すジグ。世間知らずでこれまでと常識も何もかもが違う新天地に戸惑いながらも、冒険者登録をして彼にフォローされながら今後の生きる道を模索し始めるシアーシャ。雇用関係を前提としてはいても、彼女のためにどうすべきか常に配慮を忘れないジグと、彼に信頼を寄せるシアーシャが積み重ねてきた絆は揺るぎなくて、魅力的なキャラを絡めたこれからの展開を期待せずにはいられない楽しみな新シリーズですね。
毎日家に来るギャルが距離感ゼロでも優しくない (GCN文庫)
毎日家に来るギャルが距離感ゼロでも優しくない
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らいと/柚月ひむか マイクロマガジン社 2023年05月19日頃
最近ちょっと太り気味のカースト最上位ギャル不破満天。そんな彼女が対立するギャルにこき下ろされる場面に居合わせてしまった宇津木太一が、強制的に彼女のダイエットに付き合わされる青春小説。最初は強引で理不尽だった満天と太一のダイエット協力関係。それが家でダイエットゲームしたりお姉ちゃんも一緒に健康的なご飯を食べたり、彼女の友人霧崎との関わりが増えて少しずつ変わってゆく一方、見た目が変わってもなかなか自信が持てず、簡単には変われない太一の根深い拗らせっぷりでは、そう簡単に恋愛を意識するような関係にはならないよな…とも感じつつ、それでも満天が認めるくらいには、これまで積み重ねてきた確かな友情の絆はあって、すれ違いから頑張って仲直りした二人のこれからをまた読んでみたくなりました。