今回は5月MF文庫J・MFブックス・オーバーラップ文庫・ダッシュエックス文庫・メディアワークス文庫新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jが続刊4点、新刊1点、MFブックスが続刊1点、オーバーラップ文庫が続刊4点、新作3点、ダッシュエックス文庫が新作1点、メディアワークス文庫が続刊1点の計15点になります。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
義理の妹と結婚します2 (MF文庫J)
鈴木 大輔/遺伝子ひな KADOKAWA 2023年05月25日
新学期の転校初日を迎えて諸星ヒフミや花見沢ツバサと出会い、松原タクローを兄と認めた義妹・近衛トーコ。いろいろとキャラが立っているその存在が一躍注目を集めてしまう第二弾。疲弊してほとぼりが冷めるまで生徒会室に逃げ込む日々を送るトーコ。おすすめマンガ対決に巻き込まれたり、ギャル三人組とお昼ごはんやカラオケしたり、家では兄と料理に挑戦したり意外な弱点を発見したりと、やや真面目すぎる感はあるものの、その愛されキャラっぷりを遺憾なく発揮してましたね。妹の前ではポンコツっぷりを見せて学習しないタクローだったり、周囲が濃いキャラたちも相変わらずだったりで、ツバサやヒフミの存在が気になるのも仕方ないなと思いました（苦笑）
いのちの食べ方3 (MF文庫J)
Eve/十文字 青 KADOKAWA 2023年05月25日
行方不明だった兄・潟との突然の再会。その誘いに答えを出せなかった飛に対して、萌日花が所属する組織の男・ハイエナが重大な提案を持ちかけてくる第三弾。いくつもの人外が絡む事件に巻きこまれ、混乱が去っても、もう元には戻れないことに気付かされる飛と龍子の日常。運命が大きく動き出す二人に提示された選択肢に対するそれぞれの決断。外からでは分からない魁英学園の選抜クラスの謎、これまでの様々な因縁や事情も繋がってゆく中で、そこからの展開は早かったですけど、窮地に立たされた飛たちは果たして生き延びることができるのか、続きが気になる結末でしたね…。
恋は暗黒。3 (MF文庫J)
十文字 青/BUNBUN KADOKAWA 2023年05月25日
同級生の羊本くちなに窮地を救われた高良縊想星。その礼を言わなければならない、と始めた手紙は、なぜか友人三人を巻き込んだ交換日記に発展する第三弾。なぜか仕留めきれない犯罪者集団の長と謎の全裸鋼鉄男を相手の困難な仕事を間に挟みながら、交換日記に自らの思いを不器用に綴ってゆく想星。一方、初めての交換日記をうっかり楽しんでしまい、友人との交流か心の平穏か天秤にかけた選択を迫られるくちな。二人にとって友人たちとのやりとりやともに過ごす時間がかけがえのない大切なものであることは間違いなくて、彼らには幸せになって欲しいと思いますけどなかなか前途多難ですね…。
Lie:verse Liars 俺たちが幸せになるバッドエンドの始め方2 (MF文庫J)
鳳乃 一真/あるてら KADOKAWA 2023年05月25日
《偽世界》に挑み続ける覚醒者クラン『B.E.』。所属する瑠宇たちが、クランマスター真鏡焔から難航する『特殊偽世界事件』を引き継いで解決するよう求められる第二弾。本当の正しい自分はどちらなのか。日常と非日常の狭間で彷徨い、運命と幻想の自分に問いかける妃泉真白の事情。意外な一面も見せた彼女の抱える秘密やその過去を掘り下げながら、被害者が存在しない《偽世界》の謎に挑んでゆく展開で、焔やwalhallaの遊佐といった実力者を上手く巻き込みながら、彼女たちを出し抜いて自分たちで解決を目指すしたたかさだったり、現実でも真白が陥っていた窮地を救う瑠宇のフォローがなかなか効いていました。まああの問題児たちをお守りするのはなかなか大変そうだなあ…とも思いましたけど（苦笑）
ド屑 (MF文庫J)
なきそ/五月 什一 KADOKAWA 2023年05月25日
恵まれた容姿と能力を持つ人気者で、恋愛をゲームと考えて青春を謳歌する大学生の葛城霞。そんな彼がキャンパスで高校時代のクラスメイト百目鬼雲母と再会するボカロ楽曲から生まれた青春小説。軽い気持ちで普段の遊び友達の女子と同様の手口で雲母を口説き、彼女からの一方的な想いを受けるようになった霞。しかし執着する重い愛の雲母をクズの霞は疎ましく感じるようになり、別れを切り出した彼が直面する衝撃的な事実。霞と雲母、霞の友人・智也と三人の視点から語られるストーリーは、それまでは見えていなかったそれぞれのヤバさを垣間見せていきますが、戦慄の展開が続くその結末は思いの外いい感じにまとまっていて、いい意味でちょっと意外な読後感でした。
みつばものがたり 2 呪いの少女と死の輪舞 (MFブックス)
七沢 またり/EURA KADOKAWA 2023年05月25日
士官学校へ途中入学してから半年が経過し、無事に進級したミツバ。しかし祖国が大国プルメ二アと開戦したことで、級友のクローネたちとともに戦地前線へと駆り出されてしまう第二弾。ギロチンを考案して表彰されるミツバとかいうその後の展開を予感させるスタートから、騙し合う貴族たちの政治的な思惑に振り回された開戦、苦戦を強いられる現場の兵士たち。一方、王都に残り王政廃止へ向けて着々と準備するサンドラ。弱腰な停戦交渉による賠償金を増税で賄おうとしたことをきっかけに爆発する市民たちの不穏な空気があって、様々な思惑が絡んで急速に革命へと向かうカオスな展開の中、立ち位置も不明瞭で何を考えているのかよく分からないミツバでしたけど、紆余曲折の末にこんな結末が待っているとは流石に思いませんでした（苦笑）
一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 4 (オーバーラップ文庫)
岸本和葉/みわべさくら オーバーラップ 2023年05月24日
文化祭も終わり、突如父親から会社に呼び出された志藤凛太郎。そんな彼の前にかつての幼馴染・天宮司柚香が現れる第四弾。一度は提案を断ったものの対策の必要に迫られ、ミルスタ三人たちと今後のことを相談する凛太郎。思ってもみなかった偽りの恋人関係には苦笑いでしたけど、結果的に凛太郎が心の中の素直な感情を自覚したり、父親との関係にも向き合ったり、ミルスタメンバーの意外な一面が垣間見えたり、それがいろいろと物語としても大きなターニングポイントに繋がった感がありますね。そんな中で彼女のこともしっかり救う辺りが彼らしいと思いましたけど、彼女たちの夢の武道館ライブに向けて盛り上がりそうな今後の展開が今から楽しみです。
俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです 3 (オーバーラップ文庫)
御堂ユラギ/緜 オーバーラップ 2023年05月24日
冴えわたる女難からの停学騒動も解決し、ようやく周りの人たちからの好意に気付くことができた九重雪兎。傷つきすぎた彼と傷つけた彼女たちの勘違いラブコメ第三弾。最近姉・悠璃の様子がいつもと違う方向でおかしいことに気づく雪兎。今回もバスケに汗を流したり、ヒロインたちにナイトプールや海水浴に行ったり、彼が何かをするたびに彼女たちと何かしらアクシデントが起きて、そこからさらに好かれてゆく雪兎というこのお約束の構図には苦笑いでしたけど、一方で誤解が解けたことで重い愛に歯止めが効かなくなって、一緒に脱衣麻雀をしてしまう姉・母・叔母もなかなかヤバいですね…。でもそこからまたさらにすごいものをぶち込んでくる結末を見る限り、続刊でもカオスな展開はまだまだ続きそうです。
【第8回オーバーラップWEB小説大賞 前期＜金賞＞】
灰の世界は神の眼で彩づく 1 ～俺だけ見えるステータスで、最弱から最強へ駆け上がる～ (オーバーラップ文庫)
KAZU/まるまい オーバーラップ 2023年05月24日
ダンジョンが出現し、超常的な魔力を持つ覚醒者が現れた世界。魔力量が乏しく虐げられていた天地灰が『神の眼』を手に入れて力を付けてゆくファンタジー。かつてS級冒険者に救われた過去から冒険者に憧れ、病に伏せる妹の治療費のため未知のダンジョン調査に参加する灰。いきなり高難度の「神の試練」に直面しながらも、優れた洞察力を活かした機転と自己犠牲でクリアに貢献した彼が、あらゆる【ステータス】を閲覧できる『神の眼』を手に入れて、それを上手く活かしながら急速に力を付けてゆく展開で、ギルドの有力者・田中の助力も得ながら、ギルドマスターのお嬢様護衛の思わぬ危機にも奮闘して守り切ってみせた彼の今後に期待の新シリーズですね。
【第8回オーバーラップWEB小説大賞 前期＜銀賞＞】
現役JKアイドルさんは暇人の俺に興味があるらしい。 1 (オーバーラップ文庫)
星野星野/千種みのり オーバーラップ 2023年05月24日
暇人な高校生・閑原航のクラスにいる大人気現役JKアイドル・桜咲菜子。特に接点のない菜子から声をかけられ、放課後一緒に過ごすようになってゆく青春ラブコメ。アイドル活動に忙しくて友人もおらず、航に一般的な放課後の楽しみ方を教えてほしいと頼む菜子。ゲーセンや散歩からの食べ歩き、遊園地デートなど、様々なところに連れて行ってくれる航と、隠せているのかちょっと怪しい変装で満喫する菜子はなかなか微笑ましい感じでなかなかいいコンビでしたね。少しずつ意識するようになって、思い出を積み重ねてゆく二人の関係は、周囲も応援してくれていて順調に思えるだけに、最後の番外編にあった独白から何か動きがあるのか気になるところではあります。
攻撃力ゼロから始める剣聖譚 1 幼馴染の皇女に捨てられ魔法学園に入学したら、魔王と契約することになった (オーバーラップ文庫)
大崎アイル/kodamazon オーバーラップ 2023年05月24日
攻撃力がなく欠陥魔法剣士の烙印を押されて魔法学園へ入学したユージンが、異世界転生した少女スミレと出会うファンタジー。将来を嘱望されながら魔法剣士となれず、幼馴染に婚約破棄されて帝国を去ったユージン。その防御力でかつて大陸を支配していた伝説の魔王・エリーニュスのお世話係もする彼が、迷宮で出会う炎の神人族として転生したスミレ。彼女が持つ炎の神人の魔力を借りて戦い、魔王とも契約したユージンが、スミレを元いた世界に帰すため2人で迷宮500層攻略を目指す展開で、そのコンビの可能性を感じさせてくれた一方、それを見たユージンの元婚約者で帝国皇女アイリの動向も気になるところではあります。
現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで！2 (オーバーラップ文庫)
しば犬部隊/ひろせ オーバーラップ 2023年05月24日
蒐集竜アリスの旦那殿ではなく友達となった探索者の遠山鳴人。探していたラザールとスラム街で再会を果たしたのも束の間、遠山はカラスなる組織と対立する第二弾。瀕死の浮浪児たちを救い、彼らと契約を交わした天使教会の聖女。冒険者になるべく向かったギルドで勃発したアリスとエルフの対立。そして遠山たちの前に立ちはだかる第一騎士ストルとの対峙。遠山の周囲にヤバいキャラがどんどん増えていく現状はなかなか楽しいことになっていますが、自らのルールを重視する遠山だけでなく、天使協会の騎士たちもなかなかイカれた存在で、歩くトラブルメーカーともいうべき遠山のケツ持ちをアリスから押し付けられて、必死に計算して調整する守銭奴主教の奔走にはつい笑ってしまいました（苦笑）
落ちこぼれから始める白銀の英雄譚 2 (オーバーラップ文庫)
鴨山兄助/刀 彼方 オーバーラップ 2023年05月24日
セイラムシティに巣くう巨悪を退け、操獣者として一歩を踏み出したレイ。不在にしていたレッドフレアのメンバー、マリーとの顔合わせを終えた彼がギルド長に呼び出される第二弾。前回の戦いであったギルド絶対法度違反により、グリモリーダーの没収処分を告げられてしまうレイ。事情と実績を考慮した救済策として操獣者認定試験を改めて受けることになり、アリスやマリーと幽霊船騒動を解決するため向かったレイが現地で聞く、この土地を治める水鱗王の噂とそこで出会った少女。実は悪魔の陰謀により高難度なものへと変貌を遂げていた事件に対し、操獣者として大きな転機も迎えながら、魂の救済のために奔走したその結末はなかなか印象的なものになっていましたね。事態が大きく動きそうな今後の展開も楽しみです。
オタク知識ゼロの俺が、なぜか男嫌いなギャルとオタ活を楽しむことになったんだが（ダッシュエックス文庫）
猫又 ぬこ/千種 みのり 集英社 2023年05月25日
席替えで片思い相手・高瀬の隣を射止めた高校生・藤咲陽斗。彼の双子のオタ妹・琴美から、ネトゲ嫁とのオフ会の代理参加を依頼される青春オタクライフ。陽斗自身は非オタなのに、コミュ障な妹のために死ぬ気で履修して向かったオフ会。そこで出会った有名な男嫌いで隠れオタな高瀬の親友・桃井。オフ会話になるとテンパる妹の無茶盛りな設定に食らいつきつつ、一方で桃井から依頼された友人相手の偽彼氏役にもしっかりと応えてみせる頑張りっぷりで、ストーリーとしてのラブコメ要素はやや薄めの印象でしたけど、積み重ねた信頼関係で臆病な妹の背中を押して桃井との仲を取り持つ面倒見の良さは、やはりお兄ちゃんだな…としみじみ思いました。
黒狼王と白銀の贄姫III 辺境の地で最愛を得る (メディアワークス文庫)
高岡 未来 KADOKAWA 2023年05月25日
オルティウスに溺愛されながら、王妃としての立場を自覚し始めたエデル。そこに南東の隣国ヴェシュエから息子フォルティスに13歳の押しかけ花嫁候補がやってくる第三弾。現実的ではないわずか1歳の我が子の政略結婚話自体は否定しながらも、やってきた王女ベルベアラを歓待することしたオルティウスとエデル。そこからその訪問の裏に二国間の関係を揺るがす複雑な事情があり、ヴェシュエの後継者争いにも巻き込まれてゆく展開で、隣国のその後は気になるところですが、オルティウスと協力して対処に当たったエデルには確かな成長があって、かすかに感じていた懸念も払拭してみせたそれぞれの甘い距離感もなかなか良かったですね。
