今回は4月MF文庫J・オーバーラップ文庫・ダッシュエックス文庫・ブレイブ文庫・新潮文庫nexの新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jが続巻3点、新作3点、オーバーラップ文庫が続巻2点、新作1点、ダッシュエックス文庫が続巻1点、ブレイブ文庫が新作1点、続巻1点、新潮文庫nexの新作1点の計13点になります。気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
義妹生活8 (MF文庫J)
三河 ごーすと/Hiten KADOKAWA 2023年04月25日
三年生に進級して同じクラスとなった悠太と沙季。自分たちを受け入れてくれたコミュニティとの関係から、二人にもそれぞれ新たな変化が生まれる第八弾。クラス替えにより同じ教室での配慮した生活が始まり、近づいてきた受験と未だ見えぬ将来設計に惑い、いろいろ近くなったはずなのにむしろ遠い距離感に愕然とする二人。あまり器用でもなく、反動で二人きりの時に甘えてしまう関係性はいかにもな感じでしたけど、そこで変な決断をするのではなく、かけがえのない今の関係を大切にする前提で、前向きに再度擦り合わせしようとするあたりに彼らの心境の変化を感じますね。これからもいろいろあるとは思いますけど、その関係性が眩して尊い二人には頑張って乗り越えて欲しいです。
ステラ・ステップ2 (MF文庫J)
林星悟/餡こたく KADOKAWA 2023年04月25日
ハナの真実に心がついていけず、まっすぐに向き合うことができないまま敗れたレイン。その心とは無関係に戦舞台で敗北した2人は『鉄の国』へ運ばれて、この国特有の過酷な生活が始まる第二弾。実績の差からハナと離ればなれとなってしまい、一人悩みながらも〈道具〉として歌い踊るレイン。一方、研修生としてレインと引き離され、マイペースに笑顔で周囲に影響を与えるものの、その裏に知らなかった感情が芽生えてゆくハナ。二人を意識して心乱されてゆくフレアの存在もポイントだった今回は、あまり救いもなくてなかなかエグい展開でしたけど、あの二人ならこの行き詰まった状況を変えてくれるんでしょうか…そう期待せずにはいられません。
死亡遊戯で飯を食う。3 (MF文庫J)
死亡遊戯で飯を食う。3
posted with ヨメレバ
鵜飼 有志/ねこめたる KADOKAWA 2023年04月25日
〈三十の壁〉を乗り越えた幽鬼。四十回目も乗り越え、順風満帆のプレイヤー生活を送っていた彼女が、強豪が集う四十四回目のゲーム〈クラウディビーチ〉に挑む第四弾。どんなルールかもわからないまま、ばらばらに刻まれた遺体を目の当たりにる幽鬼たち。疑心暗鬼になる思いもあって団結もできないまま増えていく犠牲者、複雑に絡み合う因縁の決着。回数を重ねた参加者ばかりになると用心深くなって、ああいう展開になるのかなるほどなと思いましたけど、とりあえずさりげなく幽鬼たちの対立を煽った挙げ句、自分はしれっと生き延びた彼女はちょっと性格悪いですよね、あれ(苦笑)
男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと1 百合の間に挟まる男として転生してしまいました (MF文庫J)
男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと1 百合の間に挟まる男として転生してしまいました
posted with ヨメレバ
端桜 了/hai KADOKAWA 2023年04月25日
男子禁制の百合ゲーム世界に、どんなルートでも破滅確定のお邪魔キャラとして転生してしまったヒイロが、なぜかヒロインたちに好かれてしまう学園バトル&ラブコメ。本人はただ大好きな百合展開を傍らで愛でていたいだけで、そのために迫りくる死亡フラグを回避するために頑張ったら、なぜかエルフの姫ラピスやポンコツ師匠、嫌われていたはずの妹レイや、しれっと偽婚約者の座に収まったメイドのスノウ、主人公キャラ桜たちに懐かれてしまうヒイロ。空回りする彼の真摯な願いとは裏腹に、彼女たちのために奔走する姿がさらなるカオスを引き起こしてゆく展開はヒロインたちもいきいきとよく動いて、なかなか楽しかったですね。
TAMAYA (MF文庫J)
三月みどり/アルセチカ KADOKAWA 2023年04月25日
何をやっても上手く行かず、優しい同級生・丸谷花火に励まされてもすっかり自信を失いかけていた高校生の小川優希。そんな彼が自分にそっくりな少年・小川昴希に出会い、入れ替わりを提案される青春小説。車に轢かれそうになっていたキツネを救う優しさを持っている優希が、肯定される環境で癒されることを思い出した入れ替わりの日々。そんな彼が昴希が代わりに花火と約束した夏祭りデートへ行く展開で、翔とレナとの出会いから変わってゆく心境、思い出してゆく好きだったものがあって、そして密かに支えてくれる存在にも助けられて自分の大切なものに気づき、向き合うようになってゆく優しい結末はなかなか良かったですね。
造られた彼女たちのヒミツを俺だけが知っている (MF文庫J)
造られた彼女たちのヒミツを俺だけが知っている
posted with ヨメレバ
番棚 葵/イトハナ KADOKAWA 2023年04月25日
人造人間フェシットが人と一緒に暮らす世界。その研究機関が運営する高校に入学させられた志賀見流人が、自らがフェシットとあっけらかんと告白する義理の妹りおと一緒に高校生活を始める近未来小説。両親がフェシットの研究者で、10年一緒にいた義妹が実は人造人間だったことを知らず、実験のため飛び級してきたことに驚く流人。そんな彼が高校で様々なフェシットのあり方に出会い、家族との関係が上手くいかないと悩む彼女たちのために考えた疑似家族計画を提案して試行錯誤する展開で、求められる姿とのズレはあっても、器用にあり方を変えられなくても、それでもフェシットたちの確かな思いはあって、それぞれの家族を大切に思う姿がとても印象的な物語でしたね。
創成魔法の再現者 5 新星の玉座 ‐小さな星の魔女‐ (オーバーラップ文庫)
創成魔法の再現者 5 新星の玉座 -小さな星の魔女ー
posted with ヨメレバ
みわもひ/花ヶ田 オーバーラップ 2023年04月24日
王位継承争いの本格化を受け、ユルゲンが擁立する第三王女リリアーナの家庭教師を命じられたエルメス。師匠ローズの血族でもある王女は、条件として“鬼ごっこ”を持ちかける第五弾。王位継承の有力候補だったアースターを追い落としたことで、複雑な状況に陥っていた王位継承が混迷を極める中、王国北部で発生した反乱に国王の名代として鎮圧へ赴くエルメスたち。自らの境遇にも諦めず、彼を師匠と認めて慕ってくれる頑張り屋な王女リリアーナは、今後が楽しみな新キャラでしたね。とはいえ彼女を盟主とする第三勢力となったエルメスたちが置かれる現状は、相手の悪辣さもあって厳しい状況に陥っていましたけど、王女や頼れる仲間たちとここからの盛り返しに期待したいですね。
10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 2 (オーバーラップ文庫)
10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 2
posted with ヨメレバ
館西夕木/ひげ猫 オーバーラップ 2023年04月24日
謎の清純美少女JKが、その不在を気にかけていた未夜であることに気づいた有月勇。そんな日々のなか、勇は地元にはいないもう一人の元クソガキである朝華にも思いを馳せる第二弾。出会いを重ねるうちにようやく気づいてもらえて嬉しいものの、昔のような距離感で関わろうとする勇相手に少し挙動不審気味の未夜。一方、神奈川県の全寮制女子高で、複雑な過去の事情も絡んで一人過去に思いを馳せる日々を送ってきた朝華。頑なだった未夜の変化は微笑ましかったですけど、一方で再会した朝華の急変っぷりは、違う意味での危うさも感じさせますね…。ここは勇の頑張りに期待したいところですし、ベクトルが一極集中する構図で四人の関係がこれからどうなるのかも気になるところではあります。
バズれアリス 1 【追放聖女】応援(いいね)や祈り(スパチャ)が力になるので動画配信やってみます!【異世界⇒日本】 (オーバーラップ文庫)
富士伸太/はる雪 オーバーラップ 2023年04月24日
迷宮へと追放された聖女アリスが、異世界と繋がる鏡を発見して現代日本の青年・誠と出会う異世界文化動画配信コメディ。魔王を打ち倒しながら、無実の罪で追放されたアリス。そんな彼女に生き物以外は行き来可能な鏡を通して、美味しいご飯を与えたり、現代の娯楽を教えて彼女と交流を深めてゆく誠。助けてもらったお礼のため、動画配信で収益化を目指す展開で、ドラゴンを退治したり、武器を作ってもらったり、仲間を増やして文字通りバズってゆく異世界配信では、可愛くて強いアリスの魅力が光っていましたね。ほんわかとした誠との関係もいい感じで、今後の進展を期待したいところです。
迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について 4 (ダッシュエックス文庫)
迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について 4
posted with ヨメレバ
ネコクロ/緑川 葉 集英社 2023年04月25日頃
ようやく晴れて恋人同士になった明人とシャーロット。しかし人気者のシャーロットが付き合い始めたと学校では大騒ぎになる第四弾。じれったい距離感からお互いに手を取り合い、大切なエマの誕生日をお祝いしたり、甘えてくるシャーロットと甘々な時間を過ごす二人と、様々な思いが渦巻く学校内での評価。彼の中学時代を知る後輩・香坂楓まで現れる中、さりげなく独占欲を垣間見せるシャーロットが可愛かったですけど、球技大会のサッカーを通じて大切な人の隣に立つために頑張って周囲に認めさせ、過去とも向き合い乗り越えてみせた明人はカッコ良かったです。
旋風のルスト〜逆境少女の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方国境戦記〜 (ブレイブ文庫)
旋風のルスト(1巻)
posted with ヨメレバ
美風慶伍/ペペロン 一二三書房 2023年04月25日頃
職業傭兵としてはまだ駆け出しな十七歳の少女ルスト。病床に伏す母の治療費を稼ぐためこの道を選んだ彼女が、特殊技術“精術”を手に新たな人生を掴み取るファンタジー。世間を騒がせたモーデンハイム家令嬢失踪事件。職業傭兵として史上最年少の十七歳で2級傭兵となり、帝国との前線で巡り合わせから哨戒任務の隊長に抜擢されたルスト。一癖も二癖もある力自慢の職業傭兵たちを率いて、時折経験不足こそ垣間見えるものの、大切な決断を間違わない判断力があって、女であることを侮られたり心配されてもその矜持と実力をしっかりと見せつけた彼女と仲間たちのこれからが楽しみですね。
子犬を助けたらクラスで人気の美少女が俺だけ名前で呼び始めた。「もぅ、こーへいのえっち……」2 (ブレイブ文庫)
マナシロカナタ/うなさか 一二三書房 2023年04月25日頃
好意を伝えてくれた春香の想いに返事を保留した航平。そうしているうちに何故か幼馴染の千夏が急接近してくる第二弾。幼馴染・千夏に振られたからといって、その代わりという形で春香を選びたくない、真摯に向き合いたいと考える航平の真摯な態度に、むしろぐいぐい攻めて好感度を積み重ねてゆく積極的な春香との順調な関係。そこに突然、以前のような関係に戻そうとする幼馴染の千夏と春香の修羅場が勃発する展開で、どこか一枚上手の千夏に航平が振り回されて、春香がぐぬぬ…となる様子は微笑ましかったですけど、彼女の存在が二人の関係にどう影響を及ぼしていくのかですね。
世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫nex)
癌の闘病を経て死去した大御所ミステリ作家の宮内彰吾。その隠し子だった藤阪燈真が、父の長男である異母兄から遺作の原稿探しを依頼される青春ミステリ。唯一の家族である母を亡くし、書店に週三回バイトに通う生活を送っていた燈真が、奇妙な成り行きから探し始める一度も会ったことがない父の遺稿探し。妨害もある中、母の友人で文芸編集者・霧子の力も借りながら、業界関係者や父の愛人たちに話を聞く中で明らかにされてゆく父の複雑な人物像。父は果たして最後に何を書こうとしていたのか。様々な角度から考えていたことを知ろうと試みて、燈真だからこそたどり着くことができたその真相と、そしてその先に彼が見出した新たな道がなかなか印象的な物語でした。