今回は5月電撃文庫・GA文庫・富士見L文庫の新刊感想まとめです。内訳は電撃文庫が続巻3点、新作3点、GA文庫が続巻4点、新作1点、富士見L文庫が続巻1点、新作2点の計14点になります。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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楽園ノイズ6 (電撃文庫)
杉井 光/春夏冬 ゆう KADOKAWA 2023年05月10日
新学年を迎えてのクラス替えでまさかの四人全員同じクラスになったバンドメンバー。伽耶も入学してきて、真琴はプロからの作曲依頼に軽音部のプロデュースまで買って出る第六弾。相変わらずな四人に振り回されながら、ままならない作曲依頼に頭を悩ませていても、人の苦境を見ていられずつい手を差し伸べる音楽バカの真琴。一方、新生活を始めた華園先生が優勝を目指すピアノコンクールに参戦し、真っ向から勝負を挑む凛子。みんな彼が大好きなんだよな…としみじみ思いながら、何よりも今回は華園先生と凛子のピアノ対決が熱かったですね。散々悩みながらももう一歩先に進めた彼らの物語は、今回も控えめにいって最高でした。著者さんによる楽曲解説↓
妹はカノジョにできないのに 4 (電撃文庫)
妹はカノジョにできないのに 4
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鏡 遊/三九呂 KADOKAWA 2023年05月10日
母親の死をきっかけに、一時的に桜羽家の居候になった傷心の晶穂。一方、高校受験を控える雪季は遂に追い込みシーズンに突入する第四弾。不安を抱える晶穂の音楽活動や食事など、甲斐甲斐しく世話を焼いてフォローする春太。そして無事に合格すれば「妹」を卒業することになる雪季が、受験勉強を頑張りながらも密かに抱えていた不安。シスコンが炸裂している春太が気にかけずにはいられない二人の「妹」を軸に透子や冷泉ちゃん、氷川姉妹までカバーする春太という構図でしたけど、狭間で揺れる雪季と晶穂の複雑すぎる心情がなかなか難しいですね。次巻完結ということで、どんな結末になるのか楽しみにしています。
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー 6 (電撃文庫)
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(6)
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佐島 勤/石田 可奈 KADOKAWA 2023年05月10日
IPUのチューダクール湖で新たな遺物を見つけた達也たち。開かれたシャンバラへの扉。達也は封印されし遺物へとたどり着く新章第六弾。遺物を伝説の古代文明シャンバラへの『鍵』であると考え、この白い石板と新たに見つけた青、黄色の石板の3つの『鍵』をヒントに、次なる目的地をIPU連邦魔法大学ウズベキスタン校舎に設定する達也。リーナや光宣も絡めながらの遺跡巡りで中央アジアをダイナミックに駆け回る展開と様々な邂逅から、遺産が何たるかも明らかにされて構図としてはシンプルになってきましたね。次は再びアメリカが舞台になりそうですが、表紙の二人がこうなった原因は微笑ましかったです。
魔導人形に二度目の眠りを (電撃文庫)
魔導人形に二度目の眠りを(1)
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ケンノジ/kakao KADOKAWA 2023年05月10日
かつて人に寄生して戦火を引き起こした操蟲を駆逐した魔導人形。永久封印から覚醒した魔導人形の一人・エルガが、再び操蟲を倒すため行動を開始するファンタジー。かつて王国があった街で暮らす少女リーニアに拾われ、状況把握に努めたエルガが知るこの地を治める伯爵へ宿主として寄生する操蟲の存在。そして伯爵に仕えていた生存を優先する宿主のメイド・マヤとの出会い。様々な考えた方をする操蟲を知り、その変化を感じるようになってゆく一方で、かつて兄と慕っていたもう一人の魔導人形との皮肉な再会もありましたけど、これから操蟲にどう対峙してゆくのか、また他の魔導人形たちとの邂逅もあるのか。リーニアとの関係も含めて今後の展開が楽しみなシリーズですね。
命短し恋せよ男女 (電撃文庫)
命短し恋せよ男女(1)
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比嘉智康/間明田 KADOKAWA 2023年05月10日
余命1年を宣告された中学生・石田好位置。同じく余命宣告済で恋に憧れる少女・穂坂ほのかと出会い、その恋愛対象に選ばれてしまう全員余命宣告済な男女4人の多角関係ラブコメ。ほのかの願いに応えて、彼氏のふりでカップルYouTuberを始める好位置とほのか。そこに現れる好位置の毒舌な元カノ・美澄の存在。実家が太くてほのかが好きな龍ノ介も絡めて、4人でかけがえのない日々を送る一方で、諦めずに密かに可能性を探り続ける好位置と龍ノ介。難病ものによくありがちな重苦しさに包まれてゆく展開からまさかの急展開が待っていましたけど、終盤のこの流れから始まる高校生編で四人の関係がどう変わってゆくのか、続巻に期待したい新シリーズですね。
終末世界のプレアデス 星屑少女と星斬少年 (電撃文庫)
終末世界のプレアデス 星屑少女と星斬少年(1)
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谷山 走太/刀 彼方 KADOKAWA 2023年05月10日
空から落ちてきた異形の生物「星屑獣」によって人類は地上を奪われ、空に浮かぶ星浮島へと移った世界。姉のような英雄を志す少年リュートが、空から降ってきた少女カリナと出会うボーイミーツガール。肝心の武器となる星輝剣と同調できず、意気込みが空回り気味だったリュートと、転機となったカリナとの出会い。彼女の導きによって因縁の部隊に何とか加入した彼が直面する試練。力こそ得たもののまだまだ力量不足で、話を聞かずに暴走した挙げ句に厳しい現実を突きつけられ、凹んで自信喪失する困ったちゃんぶりには頭を抱えたくなりましたが、そんな彼が好きな子の危機を救うために再び立ち上がって戦い、誰もが諦めかけていた困難を乗り越える王道展開はなかなか熱かったです。
陽キャになった俺の青春至上主義2 (GA文庫)
陽キャになった俺の青春至上主義2
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持崎湯葉/にゅむ SBクリエイティブ 2023年05月15日頃
夏休みが到来して、カエラの提案で大洗にある旅館で二泊三日のバイトをすることにった橋汰たちグループ。仕事をこなしつつ海で青春イベントを満喫する第二弾。橋汰に「自分を変えたい」と相談を持ちかけた遊々、宇民、龍虎たちが、それぞれ旅行の中で掲げることになった目標。相変わらずな徒然には苦笑いでしたけど、一方で掘り下げられてゆく橋汰が想いを寄せるカエラの過去。改めてこのグループの要になっているのは何だかんだで橋汰なんだな…ととしみじみと思った今回の旅行でしたけど、何か構ってちゃんがまた一人増えたような(苦笑)脳内に作り上げたイマジナリー小森先生の存在もいい感じに効いてましたね(後で本人に掌返しされてたけどw)。
痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった 8 (GA文庫)
痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった8
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ケンノジ/フライ SBクリエイティブ 2023年05月15日頃
学園祭を終えお互いのすれ違いも解消し、晴れて恋人として付き合うことになった姫奈と諒。しかし、徐々に姫奈の芸能活動が忙しくなってゆく第八弾。これまでの思いを溢れさせるかのように触れあい、恋人としての関係を深めてゆく姫奈と諒。そしてそれを前提としたヒメジや鳥越、妹・茉奈たちとの関係の再構築。スカウトされた姫奈がうっかりブレイクして多忙になってゆく中で、中途半端にはできないと思うあたりが彼女らしいなと思いましたけど、恋人として相手の想いを尊重しつつも、後悔しないためにそれぞれが一生懸命考えたリスタートはとても素敵な結末だったと思いました。
新婚貴族、純愛で最強です 2 (GA文庫)
新婚貴族、純愛で最強です2
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あずみ朔也/へいろー SBクリエイティブ 2023年05月15日頃
新婚旅行でリゾート地にやって来たアルフォンスとフレーチカ。しかしアルフォンスの双子の姉シルファとベルファもついてきてしまい、再び騒動に巻き込まれてゆく第二弾。貧乏ゆえにいきなりハネムーン資金を稼ぐためにカジノに挑戦する展開には苦笑いでしたけど、ベルファのギフトを狙って各国の結婚相手候補が殺到した挙げ句、最恐の暗殺者一族に一家揃って襲われる混沌極まるハネムーン。国王の肝いりで作られた特別結婚相談室長でカップリングを熱く語るアルフォンスの元婚約者チェキララも強烈なインパクトがありましたけど、暗殺者夫婦のすれ違いからの思わぬ大騒動に巻き込まれて愛か世界の二択を問われる中、熱い愛で状況を打開してみせた結末はなかなか良かったですね。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 掌編集2 (GA文庫)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 掌編集2
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大森藤ノ/ニリツ SBクリエイティブ 2023年05月15日頃
外伝ソード・オラトリア12巻までとファミリアクロニクルシリーズの店舗特典SS等をまとめ、限定版収録の短編のほか、書き下ろしを加えた掌編集第2弾。今回はソード・オラトリアベースということで、ロキ・ファミリアのアイズやレフィーヤ、ティオナ&ティオネ、ベートといった若手の面々が中心のSSがわりと多かった印象。こちらの特徴としては本編では感情に乏しくなかなか表現されることが少ないアイズの様々な表情や不器用な思いが描かれていたり、いろいろな意味でベルに対抗心を燃やすレフィーヤだったり、外伝スト-リーの周辺で起きたエピソードを描くSSが多かったですね。シルは意外と元気そうでしたけど、ファミリアの面々が果たしてどうなったのか気になるところではあります…。
ハズレ属性【音属性】で追放されたけど、実は唯一無詠唱で発動できる最強魔法でした (GA文庫)
ハズレ属性【音属性】で追放されたけど、実は唯一無詠唱で発動できる最強魔法でした
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路紬/つなかわ SBクリエイティブ 2023年05月15日頃
父から将来を期待されていた魔法名家の長男アルバス。しかし発現させたのが《ハズレ属性》【音属性】だったことで、実家を追放されてしまう逆転無双ファンタジー。誰も聞いたことがない【音属性】を知るために王都の図書館に向かい、本来は無詠唱で発動でき、攻撃や索敵など汎用性に優れた最強の属性であることを知るアルバス。魔法を磨くために冒険者になった彼が、魔物のトレインに対処したり声を失ってしまった王女を救って実績を積み重ねてゆく展開で、積み重ねてきた努力で身につけた力を使って歪んでしまっていた異母弟アイザックとの関係にもしっかり向き合い、強敵にも立ち向かってゆく熱い展開はなかなか良かったですね。
メイデーア転生物語 6 片想いから始まる物語 (富士見L文庫)
メイデーア転生物語 6 片想いから始まる物語
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友麻碧/雨壱 絵穹 KADOKAWA 2023年05月15日頃
大きな試練を乗り越え、〈救世主の守護者〉としてトールたちとフレジール皇国へ向かうたマキア。その途中、前世の記憶を呼び覚ますため、世界樹を擁するヴァベル教国に立ち寄る第六弾。ヴァベル教国で出会った緑の巫女ベルセリス。マキアが前世を知ってしまうことを懸念するトール。世界の始まりからあるという大樹の根元で眠るもの、そしてそれに触れて前世の追憶の旅を始めるマキア。ようやくにして前々世における紅の魔女マキリエと黒の魔王トルクの関係性だったり、二人とカノンを巡る何とも複雑な因縁も明らかになりましたけど、いや何というかこれは…衝撃すぎる事実でした。マキア、これからどうする?
私と陛下の後宮生存戦略 不幸な妃は巻き戻れない (富士見L文庫)
私と陛下の後宮生存戦略 -不幸な妃は巻き戻れないー
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かざなみ/ゆき哉 KADOKAWA 2023年05月15日頃
祝福と呪いを持って生まれる国の若き賢帝エルクウェッド。唯一の妃『最愛』を決めるため、後宮に集められた妃達の中で最も格下の五十番目の妃ソーニャと、不憫な最強陛下による後宮攻略ストーリー。死ぬと時間が戻る祝福を持ち、玉の輿を狙う妃達により魔境と化した後宮で、やり直すために毎日安直に死に戻り続けていたソーニャ。そんな彼女をエルクウェッドが『最愛』に指名した理由。いや憤るのも仕方ないと思えてしまう彼の事情を知ったら納得でしたけど、彼女が安易に死ぬことを許さず、当たり前のように不幸に遭遇する彼女を死なせないために、とんでもない難局の連続を切り抜けてみせるエルクウェッドがいろんな意味でヤバいですね(笑)彼女も何かズレてるけど、何かお似合いの二人でとても楽しかったです。
鬼狩り神社の守り姫 (富士見L文庫)
唯一の味方だった祖母を亡くして伯母に虐げられ、絶望する高校生の芦屋透子の前に現れる失踪した母の親族。初めて自分を認められた透子が「鬼狩り」を生業とする神坂の神社で暮らすことを決める物語。神社で待っていた同い年の少年・千尋や有能な術者・千瑛たちと始める新たな共同生活。神坂の家に生まれながら能力がない千尋の努力と苦悩に触れ、時にはその存在に救われながら少しずつ心を通わせていく透子。そんな二人で協力しながら調査を始めた行方不明事件の調査は意外な結末を迎えましたけど、仲良くなった何とも曰くありげに見えてしまう白石兄妹のキャラがなかなか楽しくて、透子と千尋が二人で作った猫又の姿をした式神だいふくも可愛かったですね。