読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2021年4月に読んだ本 #読書メーターより

4月は忙しいなりに意識して読む方にウエイトを割いたので、結果的にはそこそこの冊数を読めました…が3月4月の詠みたい本が多すぎて、これだけ読んでも積読は減ってないどころかGWを前に元に戻りました(苦笑)GWあたりで少し減らせるといいんですが、相変わらず読みたい本も多いので簡単ではなさそうです。

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:79
読んだページ数:24324
ナイス数:4972

ほたるいしマジカルランドほたるいしマジカルランド感想
名物社長で有名な大阪北部・蛍石市の老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら、お客様に笑顔になってもらうため、従業員が奮闘する姿を描いていく物語。社長が入院したという知らせが入り、動揺する従業員たち。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理人、そして社長の息子など、どんな人にでもそれぞれの立場なりに悩みがあって、ふとしたきっかけから周囲の人たちもまた悩みを抱えていることを知って、見る目や自分のものの見方が変わってゆくそんな優しい物語でしたね。
読了日:04月01日 著者:寺地 はるな
居酒屋ぼったくり おかわり! (2)居酒屋ぼったくり おかわり! (2)感想
東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」の番外編第2弾。美音たちの両親がぼったくりの前身「居酒屋久保田」を始めた時の話、両親が交通事故で亡くなって美音たちが後を継ぐといい出した時の話、要とその親友・里見が友人になった時の話、浴衣を通じて始まった馨と要の母・八重の親交、要がドイツに行った時のドリル担当者が来襲など、ほんと商店街の優しい人達に支えられて続いてきたお店なんだなと感じましたし、若い頃は荒れていた要もまたいい出会いがあって良かったと改めて思ったエピソードでした。こんな番外編また読みたいですね。
読了日:04月02日 著者:秋川滝美
特等添乗員αの難事件 VI (角川文庫)特等添乗員αの難事件 VI (角川文庫)感想
同僚の妃華莉、美波と共に韓流ツアーを率いて韓国のソウルを訪れた浅倉絢奈。日韓が抱える“ある問題”が影を落とす微妙な時期で、到着早々に思いもよらぬ事態に見舞われる7年ぶりの第六弾。表紙の添乗員トリオのド派手な雰囲気はそういうことだったのかと納得しつつ、K-POPを巡る複雑な事情や、参加した訳ありツアー客の思惑に巻き込まれてトラブル続きでしたけど、心配する婚約者の那沖や能登先生まで韓国にやってきて見事解決する展開には著者さんらしさが出ていて面白く読めました。いつか普通に安心して旅行できる日が来るといいですね。
読了日:04月02日 著者:松岡 圭祐
後宮の花は偽りに惑う (双葉文庫)後宮の花は偽りに惑う (双葉文庫)感想
相国東部で山岳部に住む部族が起こした武装蜂起。その部族に囚われた民の中に当地を視察していた本物の皇帝夫妻と思われる二人が含まれているとの一報が、皇帝夫婦の身替わり中の翔央と蓮珠の元に届く第五弾。皇帝夫妻の安否が気になる中で提示された人質に対する法外な身代金、なかなか対応が決まらない中で乗り込んできた追放されたはずの長兄・英芳。なかなか事態の全貌が見えにくい状況でしたけど、局面の打開に蓮珠の引きの強さが効いてましたね。それにしても思ってもみなかった展開に繋がりそうで、ここからどうなるのか気になるところです。
読了日:04月03日 著者:天城 智尋
統計外事態 (ハヤカワ文庫 JA シ 4-7)統計外事態 (ハヤカワ文庫 JA シ 4-7)感想
地方の過疎化が進んだ2041年。在宅の統計分析官・数宝数成が静岡の廃村の水道消費量が異常に増えているのを発見したことから、思わぬ事態に巻き込まれてゆく近未来SF。何気にリアルで絶望的な未来でしたけど、現地調査で謎の全裸少女集団に襲われ、国家を揺るがすサイバーテロの犯人にされて、さらには命まで狙われるまさに統計外事態な急展開。工作員・伊藤の協力を得て逃亡しながら、猫と統計狂いの数宝が解き明かしてゆく一連の事件は尻上がりに面白くなっていって、真相の先にあった結末はなかなかいい感じにまとまっていたと思いました。
読了日:04月04日 著者:芝村裕吏
錆喰いビスコ7 瞬火剣・猫の爪 (電撃文庫)錆喰いビスコ7 瞬火剣・猫の爪 (電撃文庫)感想
ビスコとミロが黒革へ放った超信弓により異世界との扉が開いてしまい、忌浜の街で人間が次々と猫化する事件が発生。「猫病」を止めるべく猫侍たちが治める猫摩國にたどり着く第七弾。パウーとのことを大切に思いながらも、自分らしさの宿命とも言える冒険への衝動に葛藤するビスコ。そんな彼が猫摩の将軍・八ツ橋羊羹とともに、猫摩國を苦しめ猫病を蔓延させる元凶の邪仙猫・甘草月餅に挑む展開でしたけど、複雑に絡み合った彼らの関係の結末を目の当たりにして、迷えるビスコもようやくふっきれたんですかね。まだまだ冒険は続きそうで続巻に期待。
読了日:04月05日 著者:瘤久保 慎司
セーラー衿に瑠璃紺の風 (大正浪漫 横濱魔女学校3) (創元推理文庫)セーラー衿に瑠璃紺の風 (大正浪漫 横濱魔女学校3) (創元推理文庫)感想
聴講生の千秋が持ってきたエル・ドラドオのものだという黄金の留め針。その由来を探ろうとした小春が水晶玉で透視しようとして倒れ、昏睡状態に陥った彼女が伝説の都市マノアで巫女見習いとして働く少女と同期する第三弾。彼女が目の当たりにする疫病の流行、感染症の治療と薬草探し、そして数々の陰謀。いろいろと繋がってこれまで積み重ねられてきたエピソード。どんどん登場人物も増える中でいろんな話が出てきて、少しややこしいと感じる部分はありましたけど、そのドタバタっぷりは南米にも舞台を広げて、スケールの大きな物語を楽しめました。
読了日:04月05日 著者:白鷺あおい
重版未定3 (単行本)重版未定3 (単行本)感想
弱小出版社「漂流社」にやってきてが渾身の企画を大ヒットさせた伝説のフリー編集者・権蔵。暴漢に襲われた権蔵から「とびっきりの原稿が入ったカバン」を主人公が託される第三弾。採用の面接官をやってみたり、新入社員が入ったり、プルーフや持ち込みなど、いろいろ出版社あるあるを読んでいく中で、まさかそんな展開が待っているとは思いませんでした…でも好きで本を作っている彼らがああなればその後の展開も必然で、これはこれでとても彼ららしいとも思えた結末でしたかね。編プロあるあるも面白くて、同人誌版の重版未定も興味深かったです。
読了日:04月05日 著者:川崎 昌平
今日は心のおそうじ日和2 心を見せない小説家と自分がわからない私 (メディアワークス文庫)今日は心のおそうじ日和2 心を見せない小説家と自分がわからない私 (メディアワークス文庫)感想
思いもしない安らかな日々と居場所を与えてくれた大作家の住み込み家政婦の仕事。しかし小説家志望の結菜が先生の弟子志願としてやってきて、そんな穏やかな生活が突然終わりを告げる第二弾。楽しい家政婦の仕事、そして家事教室や本まで出版して充実しつつあった涼子・美空親子の前に現れた結菜。心配する親にお見合いまで世話されて、いろいろ言語化できないもやもやする涼子の気持ちについ共感してしまいましたが、先生はちゃんと分かっていたんですね…先生も心境の変化があったのかなと感じましたけど、美空の問題含めて続きが気になりますね。
読了日:04月05日 著者:成田 名璃子
スクールカースト復讐デイズ 正夢の転校生 (宝島社文庫)スクールカースト復讐デイズ 正夢の転校生 (宝島社文庫)感想
夢で見たことが現実で起こる。転校生・咲良がやってきてから、そんな不可思議な現象に悩まされるようになる中学生・颯太。目を離せない咲良を気にかけるあまり自分も巻き込まれてゆく青春小説。突き放すような態度で孤立し、すぐにいじめに遭いはじめる咲良。夢でいじめを予見して阻止しようとするものの空回りし、自分まで標的にされてしまう颯太。少し気にかけたことで巻き込まれてゆく展開はわりと壮絶でしたが、その中で描かれる二人の関係は思わぬところで繋がっていて、複雑な思いを乗り越えた二人ならきっと乗り越えられそうな気がしました。
読了日:04月06日 著者:柴田 一成
盲目の織姫は後宮で皇帝との恋を紡ぐ(3) (双葉文庫)盲目の織姫は後宮で皇帝との恋を紡ぐ(3) (双葉文庫)感想
毒殺されたはずの双子の皇帝・耀世が生きていることを知った盲目の機織り宮女・氾蓮香。後宮へ戻ってこない耀世に蓮香がやきもきする中、遊女の連続殺人事件や后妃候補の殺害事件が起こる第三弾。恋心を自覚して敵対貴族も粛清されたのに、なかなか戻ってこない耀世に蓮香がやきもきする中で、次々と起こる遊女の連続殺人事件や将軍の毒殺、后妃候補の殺害事件。身近で次々と当たり前のように起こる殺人事件が状況はわりとあれですが、双子は肝心なところを理解していないのでは?と思ってしまう結末に、蓮香の苦労はまだまだ続きそうですね(苦笑)
読了日:04月06日 著者:小早川 真寛
ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介感想
東京の高円寺で小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介。美術解剖学と服飾の深い知識で、服を見ればその人の受けた暴力や病気などまでわかる特殊な能力を身につけている彼が、10年前の少女殺害事件に疑問を抱いて調べ始める仕立屋探偵ミステリ。遺留品として映された奇妙な柄のワンピースのあまりにも時代遅れのデザイン。ヴィンテージショップの小春とともに、そのワンピースのわずかな手がかりから真相に迫ってゆく展開はなかなか読み応えがあって面白かったですけど、結末はなかなかやるせなかったですね…もし次があるようならまた読んでみたいです。
読了日:04月07日 著者:川瀬 七緒
累々累々感想
夕食の最中に告げられた30歳の彼からの味気ないプロポーズ。結婚すべきなのか分からない小夜の戸惑いから始まる連作短編集。二年付き合った彼からのプロポーズに対する小夜の戸惑い、獣医の石川と友達以上恋人未満の女性の関係、恋愛シミュレーションゲームのようにパパ活女子との逢瀬を繰り返す星野と出会った女子大生、そしてのめり込むように先輩に恋をした美大生の結末。積み重ねられてきたエピソードを思うと何とも深いな…と思えるクライマックス、そして改めて振り返ってみるとそれぞれの話やタイトルの持つ意味の重みがじわじわ来ました。
読了日:04月07日 著者:松井 玲奈
草原のサーカス草原のサーカス感想
製薬業界で研究者として働く姉と、アクセサリー作家として活動する妹。仕事で名声を得るも、いつしか道を踏み外していく二人の物語。頑張り屋で産学連携を繋ぐ存在として期待されていた姉・依千佳。広い世界を見せてくれる存在に出会えた仁胡瑠。期待に応えようと頑張って成果を得ていた二人が、いつしか空回りするようになって道を踏み外してゆく展開は、一歩間違えば誰にでも起こりうる話で、上手く行かなくなった時どうすれば良かったのかとても難しいですね。そんな大変な経験に直面した二人のささやかなリスタートを応援したくなる物語でした。
読了日:04月08日 著者:彩瀬 まる
桜の花守 桜春国の鬼官吏は主上を愛でたい (小学館文庫 C か 1-2 キャラブン!)桜の花守 桜春国の鬼官吏は主上を愛でたい (小学館文庫 C か 1-2 キャラブン!)感想
難民の生き残りで、全身ぼろぼろになって倒れていた鬼の少年・樒を拾った桜春国の女王を母をもつ白妙姫。そばに置くことを決めた白妙と、彼女を守る花守として生きることを選んだ樒の物語。代々女しか生まれない桜春国の王族に課せられた過酷な運命。幼い頃に自分を助けてくれた白妙のために花守になるべく頑張った樒。白妙に思い入れが強すぎる樒には苦笑いでしたけど、成長した二人の再構築されてゆく関係や距離感がなかなかいい感じで、様々な人と出会って絆を深めながら、一緒に力を合わせて危機に向き合い乗り越えてゆく展開は良かったですね。
読了日:04月08日 著者:片瀬 由良
櫓太鼓がきこえる櫓太鼓がきこえる感想
高校を中退し親との関係が悪化していた17歳の篤。先の見えない毎日を過ごしていた彼が、相撲ファンの叔父の勧めで相撲部屋に呼出見習いとして入門する物語。実力が全ての力士と違い、完全年功序列の相撲の呼び出しの世界。弟子も少ない弱小の朝霧部屋で力士たちと暮らし、稽古と本場所を繰り返す日々。しくじってばかりで自信を喪失気味で、一方で力士たちの焦りや葛藤を目の当たりにする機会も多くて、感化されて少しずつ前向きに頑張るようになると、きちんと見ていてくれる人もいるんですよね。そんな彼らの頑張りを応援したくなる物語でした。
読了日:04月08日 著者:鈴村 ふみ
続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(2) (電撃文庫)続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(2) (電撃文庫)感想
魔工院の設立準備を進めるメイジアン・カンパニーのメンバー。達也は十師族の一員・八代家の隆雷に学院長就任を打診し、そんな中、加工途中のレリックを狙った魔法師犯罪が勃発する第二弾。魔法資質保持者の人権自衛のために着実に手を打っていく達也に共鳴する魔法師も現れ始めて、だからこそ魔法至上主義過激派組織の暗躍は気になるところですね。真由美は今回いろいろ気苦労や災難があったり大変でしたけど、その結果としての表紙の表情なんでしょうか(苦笑)いろいろな思惑が絡み合ってどうなるか、次は何組かに分かれての旅行編なんですかね?
読了日:04月09日 著者:佐島 勤
男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 2. じゃあ、ほんとにアタシと付き合っちゃう? (電撃文庫)男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 2. じゃあ、ほんとにアタシと付き合っちゃう? (電撃文庫)感想
永遠の友情を誓い合いながらも、互いへの恋心に気づき始めた二人。あくまで親友な態度を装い続ける悠宇と日葵に危機や変化が訪れる第二弾。降って湧いた悠宇退学の危機、悠宇の初恋相手・凛音の「一番になるね」宣言、学校でのyou身バレから起こる騒動と、二人をそのままではいさせてくれない状況が続く中、形にこだわって拗らせてゆくめんどうくさい二人の関係は、周囲からしたらやきもきしますよね…。本音でぶつかった凛音もその存在を主張しつつありますけど、それ以上に暗躍する親友や、彼らの兄姉たちがみんなほんとヤバい感じです(苦笑)
読了日:04月09日 著者:七菜 なな
わたし以外とのラブコメは許さないんだからね(3) (電撃文庫)わたし以外とのラブコメは許さないんだからね(3) (電撃文庫)感想
デートの帰り道でお邪魔することになった有坂家での思っても見なかった邂逅。そして彼らを見守る紫鶴先生に危機が訪れる第二弾。有坂家で遭遇したヨルカの姉・アリアと希墨の意外な過去。アリアに引きずられるように紫鶴先生を救う手助けをする希墨。火種を抱える瀬名会に爆弾を放り込むぶっとんだアリア、彼女とヨルカの複雑で拗らせた姉妹関係。相変わらず誰かのために奔走して、無自覚に沼へと引きずり込んでゆく希墨には苦笑いでしたけど、彼と共にあるためなら何でも乗り越えてみせるヨルカの姿に、恋する乙女は強いなあとしみじみ思いました。
読了日:04月09日 著者:羽場 楽人
春夏秋冬代行者 春の舞 上 (電撃文庫)春夏秋冬代行者 春の舞 上 (電撃文庫)感想
春夏秋冬の季節の巡り変わりを担うことになった現人神「四季の代行者」。その代行者を担う四人の現人神たちと、それを支える護衛官たちの物語。十年前の誘拐事件に苦しみながらも、苦難を乗り越え現人神として復帰した春の雛菊。十年前の事件は苦しんだ春の主従にも、目の前で攫われた冬の主従にも暗い影を落としていて、複雑な想いを抱く双子が主従の夏の代行者、そして秋の主従は新たな危機に直面して、それぞれの主従のありかたがとても印象的でしたけど、この危機に様々な思いを抱きながら立ち上がる主従の物語にはぐっと来るものがありますね。
読了日:04月10日 著者:暁 佳奈
春夏秋冬代行者 春の舞 下 (電撃文庫)春夏秋冬代行者 春の舞 下 (電撃文庫)感想
代行者を狙う「賊」に攫われた「秋」の代行者・撫子。十年前の悲劇を繰り返さないため、彼女を救うために、春・夏・冬の代行者たちも集結して、撫子を取り戻すために動き出す下巻。変わってしまったもの、それでも変わらなかった想いがあって、もう悲劇は繰り返さないという強い決意があって、文字通り総力戦で奪還に動いた代行者主従たちの戦いは思わぬ裏切りもあって、狡猾な因縁の相手に苦闘の連続でしたけど、それでも過去と向き合って乗り越えてみせた彼らが迎えた結末には確かな希望があって、これまでを思うと本当に良かったなと思えました。
読了日:04月10日 著者:暁 佳奈
魔王学院の不適合者9 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ (電撃文庫)魔王学院の不適合者9 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ (電撃文庫)感想
最悪の敵・グラハムを倒し、亡き父の無念を晴らしたアノス。失われた記憶の大部分も取り戻した中、最後の創星を預かっていたサーシャに異変が起きる第九弾。創星の影響か自身が破壊神の転生した姿だと言い始めるサーシャ。事の真偽を確かめるべく、断片的に蘇った彼女の記憶に従い魔王城の探索を開始するアノスたち。今回はアノスとサーシャの過去のエピソード、そして彼女とミーシャの関係性の核心に迫ってゆく展開でしたけど、彼女たちの危機をそのままにするアノスではないですよね。どうやってひっくり返してくれるのか、続巻にも期待してます。
読了日:04月11日 著者:
麦本三歩の好きなもの 第二集麦本三歩の好きなもの 第二集感想
あいかわらずな日々を送る図書館勤務の20代女子・麦本三歩に、様々な出会いが訪れる第二弾。一番下っ端だった三歩にようやく出来た中国出身の後輩、気になっていた少し変わったお隣さん、美味しいお弁当につられて行った合コンでの出会い。実家への帰省や先輩の結婚もあって、周囲から見たらどうにも危なっかしくて愛すべき存在のままな三歩には苦笑いでしたけど、それでも変化に直面する中で彼女自身も少しずつでも変わりつつあるんですかね。似たもの姉弟という感じではなかったようですけど、双子の弟とも何だかんだで認め合う存在なんですね。
読了日:04月12日 著者:住野 よる
和国の楊貴妃 転生の狐姫、後宮の邪を祓う (富士見L文庫)和国の楊貴妃 転生の狐姫、後宮の邪を祓う (富士見L文庫)感想
和国で農村の娘・玉藻として生まれ変わった楊貴妃。その美しさは鳥羽法皇の耳にも届き、女官として入内。妖事件に巻き込まれてゆく中で陰陽師・安倍泰成と出会う和風ファンタジー。楊貴妃が和国で生まれ変わって心機一転、なぜか農園の主を目指すとかいういろいろキャラ崩壊気味な玉藻のこだわりには苦笑いでしたけど、前向きな姿勢でツッコミ役の妖狐・泊求とやり合いながら、同僚たちの嫌がらせにもめげず、狐面を被った得体のしれない泰成とも普通に仲良くして、事件にも首を突っ込み夢に向かって邁進する姿にはいっそ清々しいものを感じました。
読了日:04月12日 著者:鳥村 居子
祭りの夜空にテンバリ上げて (集英社オレンジ文庫)祭りの夜空にテンバリ上げて (集英社オレンジ文庫)感想
新型コロナで失業し、母のすすめでお見合いした渚のもとに入った父の訃報。テキヤの父が遺した借金を解消するため、二度と関わりたくないと思っていたはずのテキヤとして奮闘する物語。仲違いして遠ざかっていたはずの父とテキヤの仕事。コロナ禍で集客が見込めず八方塞がりの状況で、それでも旧態然とした組合の理不尽に憤り、それでも残された人たちを放り出せずに、あの手この手を考え出す渚が思い出してゆく大切なことがあって、だんだんとらしさを取り戻して、これからの時代も意識しながら挑戦する彼女たちの姿がなかなか印象的な物語でした。
読了日:04月13日 著者:一原 みう,オオタガキ フミ
後宮の木蘭 皇后暗殺 (角川文庫)後宮の木蘭 皇后暗殺 (角川文庫)感想
療養生活を送っている皇帝の世話係を皇后から拝命した黎木蘭。機転を利かせた行動に、徐々に皇帝の信頼を得ていったある日、和親のため劉覇の妃候補を連れ、隣国の匈奴から使者がやってくる第二弾。皇太子・劉覇の妃を望む王女・藍淋、木蘭と再会した匈奴出身の幼馴染・颯、そして何者かに暗殺されてしまう皇后。二人の結婚を後押しする強力な後ろ盾を失った木蘭に対して、藍淋が劉覇にぐいぐい迫る苦しい展開でしたけど、いきなりの強引な急展開にはやはりそれだけの理由があったということですね…危機的状況を何とか乗り越えた二人の今後に期待。
読了日:04月13日 著者:朝田小夏
空色DAYS (ポプラキミノベル も 1-1)空色DAYS (ポプラキミノベル も 1-1)感想
しゃべるのが苦手なせいで孤立してしまい、2年の途中で高校を転校したユイ。新しく入ったみんなが優しい奇跡のクラスで、人気者のミネくんにバンドに誘われる青春小説。環境が変わったことで周囲にも恵まれて、その歌唱力に注目されてボーカリストとしてバンドに誘われたユイ。そして優しく魅力的なバンド仲間たちと、奇跡のクラスになった理由。辛いこともあったけれど、前向きになって自ら変わろうとするユイを応援してくる友人たち、見守ってくれる大切な人がいて、乗り越えた先にあった希望ある未来を感じさせる結末がとても素敵な物語でした。
読了日:04月13日 著者:望月 麻衣
蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク) (GA文庫)蒼と壊羽の楽園少女(アンティーク) (GA文庫)感想
ほとんどの陸地が水に沈んでしまった蒼の世界。海上にたたずむ巨大人工島《駅》で働いていた少女・イスカが、自らを「魔女」だと名乗る少女・アメリと運命の出会いを果たすファンタジー。世界を混乱に陥れる陰謀に巻き込まれていく渦中で巡り合った、消えたはずの魔女と魔女が遺した人形。魔女のささやかな願いを叶えようと決意するイスカと、明かされてゆくそれぞれの背景。逃亡中にイスカとアメリが育んでいった絆があって、そんな彼女たちが世界の危機に立ち向かい、一緒に乗り越えてみせた二人が紡いでゆく物語をまた読んでみたいと思いました。
読了日:04月13日 著者:天城ケイ
尽くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?2 (GA文庫)尽くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?2 (GA文庫)感想
りこの外出をスクープされ、混乱を収めるために交際を宣言した二人。これを機にりこの態度が急変して、結婚をごまかす偽装工作のはずが猛烈な恋人アピールを湊人に繰り出す第二弾。周囲に恋人として認知されるようになって、俄然張り切りだしたりこ。甘酸っぱい二人のお買い物や初デートのやり直し遠出、そしてふたりきりの温泉旅行。湊人を好きすぎるりこの危うさ、湊人は湊人で上手くやろうとしたり勘違いもあってやや空回り気味な展開もありましたけど、お互い相手への想いは揺るぎなくて、少しずつでも近づきつつある二人のこれからに期待です。
読了日:04月13日 著者:斧名田マニマニ
忘れえぬ魔女の物語2 (GA文庫)忘れえぬ魔女の物語2 (GA文庫)感想
理不尽な世界に幾度も抗った十月五日は過ぎて、ようやく訪れた綾香と未散が望んだ日々。心地よくももどかしい関係を変えようとしていた頃、友達の深安がトラブルを持ち込んでくる第二弾。あれだけの日々を乗り越えてみせた今の二人が傍目から見たらどう見えるのか。今回は周囲の友人たちからの視点も入ってきたことで、破格な二人の関係が改めて浮き彫りになりましたけど、世界に形を変えて伝染していた魔女の呪いを解き明かす過程で、さらにお互いを知って絆を深めてゆく二人がどんな魔女の呪いに出会うのか、また新たな楽しみ方も見えてきました。
読了日:04月14日 著者:宇佐楢春
厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由2 ~両片思いのやり直し高校生生活 (GA文庫)厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由2 ~両片思いのやり直し高校生生活 (GA文庫)感想
会社員から高校時代にタイムリープしてしまった下野七哉と女上司・上條透花。その距離を急接近させたいと思う二人が夏休みを迎える第二弾。夏休みを満喫する計画を立てる七哉と透花たちの前に姿を現す、学園のカリスマギャル・左近司琵琶子。相変わらず上司気質が抜けない透花のあれこれには苦笑いでしたけど、七哉と琵琶子の急接近にやきもきせずして迷走する彼女もまた可愛いですね。このベタで分かりやすいけれど、だがそれがいいと思えてしまう彼らの甘酸っぱいやりとりや展開がじわじわ効いていて、琵琶子も絡めたこれからの展開が楽しみです。
読了日:04月14日 著者:徳山銀次郎
やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく3 (GA文庫)やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく3 (GA文庫)感想
小雪の思いも寄らないキスに大いに動揺する直哉。しかし小雪は全く覚えておらず調子が狂う中、直哉と小雪、ふたつの家族で一緒に旅行に出かけることになる第三弾。小雪の様子に今までのように振る舞えなくなり、不甲斐なさを払拭するために旅行中の特別な計画を立てる直哉。そつがなさすぎる直哉に上位互換の直哉父まで登場して、いやこれ小雪も大変だなあと苦笑いでしたけど、今回は彼女も彼女なりにだいぶ頑張ってましたね。随分遠回りした二人の関係も、ようやく収まるべきところに収まったというか…もうすっかり家族公認で盤石ですけど(苦笑)
読了日:04月14日 著者:ふか田さめたろう
非日常の謎 ミステリアンソロジー (講談社タイガ)非日常の謎 ミステリアンソロジー (講談社タイガ)感想
日々の生活の狭間に突如訪れる、刹那の非日常で生まれる「謎」をテーマにして描かれる「非日常の謎」短編集。辻堂ゆめさんの初めて一人帰国する十四時間の空の旅、凪良ゆうさんの建物取壊しで発掘された御札に隠された過去、城平京さんの繰り返される偶然の出会い、木元哉多さんの浮気していた男に突きつけられた分岐点、阿津川辰海さんの成人式とタイムカプセルと再会、芦沢央さんのこの世界の7つの間違い。どれも積み重ねていった先の結末が印象的で、個人的には凪良さん、城平さん、木元さん、阿津川さんあたりが描く人間関係の機微が好みです。
読了日:04月15日 著者:芦沢 央,阿津川 辰海,木元 哉多,城平 京,辻堂 ゆめ,凪良 ゆう
広告の会社、作りました広告の会社、作りました感想
突然会社の倒産を告げられ、いきなり無職になってしまったデザイナーの遠山健一。安定した転職先を求めたはずが、コピーライター天津孔明の個人事務所でフリーランスとして働くことになってしまうお仕事小説。変わり者の天津とコンビを組む事になった健一。戸惑いながらも二人で汲んでの仕事に見出してゆく楽しみ、そして倒産のきっかけとなった企業での出来レースコンペと法人化。不安を乗り越えて厳しい状況にも可能性を信じて立ち向かった勇気、その中での自身の成長とこれまでの縁、力を尽くした先にあった結末がなかなか印象に残る物語でした。
読了日:04月15日 著者:中村 航
幻想列車 上野駅18番線 (講談社タイガ)幻想列車 上野駅18番線 (講談社タイガ)感想
野駅の幻の18番線には、乗客の記憶を一つだけ消してくれる列車が停まっている。秘密のホームへの扉の鍵を手にした4人の男女の連作短編集。彼らは謎めいた車掌と不思議な生き物・テオと共に旅に出た、大好きなはずのピアノと進路で悩む音大性、息子を事故死・妻を病で失った男、立て続けに悲劇に見舞われた人生で最悪のクリスマスイブ、そして幼い頃犯した罪に苦しみ続けた悔恨。もし忘れてしまったらという可能性を見せられた後に、自らの記憶を残すべきか消すべきか、それぞれが葛藤の末に決断した選択とその結末がとても印象的な物語でしたね。
読了日:04月15日 著者:桜井 美奈
Unnamed Memory VI 名も無き物語に終焉を (DENGEKI)Unnamed Memory VI 名も無き物語に終焉を (DENGEKI)感想
ティナーシャの退位とオスカーとの結婚の日が迫るなか、再び周囲で怪しげな事件が頻発し始める第六弾。ある娼館で歌われる『聴くと死ぬ歌』、原因不明に村が滅ぶ事件、昏睡状態となったマグダルシア王の代わりに立った魔女の正体、オスカーの昔の女事件。そして歴史を改竄する呪具エルテリアを奪取するため、ヴァルトにより巧妙に仕掛けられる罠。再構築される時間を巡るあれこれは、ティナーシャに様々な葛藤を突きつけましたけど、オスカーはこういう時ほんと迷いませんよね(苦笑)一歩間違えると笑えないその距離感も二人の絆あってこそですね。
読了日:04月15日 著者:古宮 九時
紙屋ふじさき記念館 カラーインクと万年筆 (角川文庫)紙屋ふじさき記念館 カラーインクと万年筆 (角川文庫)感想
百花が母の実家に帰省して再会した水引が得意なてるおばあちゃん。そしてふじさき記念館にインクメーカーとガラスペン作家によるコラボ企画が持ち込まれる第三弾。母の実家での水引の出会い、建て替で取り壊されることになった家。記念館も紙を通じたコラボが増えてきて、そんな中で水引のイベントだったり、カラーインクのネーミングなど、多くの人の助けを得ながら積極的にアイデアを出して関わってゆく百花にはこれがほんと天職なんだろうなと感じますね。相変わらずな藤崎従兄はまああれですけど、藤崎との関係も少しずつ変わりつつあるのかな?
読了日:04月16日 著者:ほしお さなえ
死の森の魔女は愛を知らない (富士見L文庫)死の森の魔女は愛を知らない (富士見L文庫)感想
偉大な魔女だった祖母の後を継ぎ、使い魔と森で暮らす「死の森の魔女」リコリス。毒薬を求めて彼女のもとにやってきた王兄ゼルクトラの依頼を断るものの、それを機に生活が一変してゆく物語。たびたび訪れてきて、使い魔とも仲良くなってしまったゼルクトラ。リコリスを呼び出した複雑な想いを抱く王と王太后の依頼。そして苦い初恋相手との再会。放っておけなくて首を突っ込む事件も印象深かったんですが、それ以上にゼルクトラや使い魔、そしてめちゃくちゃ歪んでますが初恋相手にもリコリスは愛されてますね…喜んでいいのかはあれですが(苦笑)
読了日:04月16日 著者:浅名 ゆうな
チルチルサクラ ~桜の雨が君に降る~ (角川文庫)チルチルサクラ ~桜の雨が君に降る~ (角川文庫)感想
入学式の日、先輩の悠真と桜の下で鮮烈な出会いを果たした空美姫花。ある日、事故に遭いかけた姫花は、来世の自分と名乗る女性から「事故で死ぬ運命だった」と告げられる青春小説。ぽっちゃり系で平凡に目立たず生きてきた姫花。悠真を遠くから眺めるだけで満足していた彼女が、延命の代わりに課されたミッション。リンネと名付けた女性の正体は何者なのか。親友も同じ人に恋していると知って自分はどうしたいのか、どうありたいのかすれ違い迷い続ける展開でしたけど、本音でぶつかり合ってようやく見出した大切なものがとても印象的な結末でした。
読了日:04月17日 著者:いぬじゅん
六人の嘘つきな大学生六人の嘘つきな大学生感想
成長著しいIT企業初の新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に課されたチームを作り上げてのディスカッションが、直前になって突如六人の中から一人の内定者を決めると通達される青春ミステリ。全員で内定を目指すはずの仲間が、ひとつの席を奪い合うライバルに。内定を賭けた議論の中で暴露された六通の封筒の中身。十年後のインタビューも交えながら当時の事件が語られる展開でしたけど、新たな嘘や事実が判明するたびに二転三転するそれぞれの印象、それを収束させていった結末への展開は鮮やかで、就職活動についても考えさせられましたね。
読了日:04月17日 著者:浅倉 秋成
書店員と二つの罪書店員と二つの罪感想
昔、犯人の共犯を疑われてしまい、無実が証明された後もいわれなき中傷を受けたことがあったある少年犯罪者の告白本の出版。衝撃を受けたカリスマ書店員の椎野正和が違和感の謎を追うミステリ。十七年経っても未だに忘れられない苦い過去。なぜ今になって出版されたのか。書店に並ぶヘイト本事情に対する複雑な思いも絡めながら、違和感の正体を追いかけるうちに辿り着いてしまった真実は、いろいろな意味でほろ苦かったですね…。ぶちまけて楽になるのではなくて、それを一生背負いながら生きていく、突きつけられた贖罪の覚悟が印象に残りました。
読了日:04月18日 著者:碧野 圭
インフルエンス・インシデント Case:01 男の娘配信者・神村まゆの場合 (電撃文庫)インフルエンス・インシデント Case:01 男の娘配信者・神村まゆの場合 (電撃文庫)感想
SNSを悪用したストーカー被害に遭ってしまった人気女装配信者「神村まゆ」として活動する男子高校生・中村真雪。そんな彼にSNSを研究する大学教授・白鷺玲華と助手の女子大生・姉崎ひまりが手を差し伸べる物語。ズボラだけど鋭い洞察を見せる玲華と、甘やかしお姉ちゃん気質で実は強いひまりが、不安を抱える真雪をサポートするストーリーで、ネット炎上で一度失敗したら取り返しがつかない本質に向き合ってゆく展開、複雑な想いを抱えていた彼らの繊細な想いもなかなか良かったですね。因縁も明らかになってきて続巻にも期待のシリーズです。
読了日:04月19日 著者:駿馬 京
おとなりの晴明さん 第八集 ~陰陽師は金の烏と遊ぶ~ (メディアワークス文庫)おとなりの晴明さん 第八集 ~陰陽師は金の烏と遊ぶ~ (メディアワークス文庫)感想
秋が近づく京都。お隣に住む陰陽師・晴明さんの元には、信長の短刀・薬研通の魂をはじめ様々な不思議が姿を現すあやかしファンタジー第八弾。菅原道真や西王母も登場する中で、双子たちのその後が伺えたり、相変わらずあやかし図書館の過保護な篁による時子様愛が炸裂している著者さんの世界観が垣間見えて嬉しい展開でしたけど、助けようと思い余って秘めていた思いを告げてしまう桃花が微笑ましくて、それに応える晴明さんもまた真摯でしたね。でもだからこそこの二人の関係がこれから先どういう形に落ち着くのか、とても気になってしまいました。
読了日:04月19日 著者:仲町 六絵
これは経費で落ちません! 8 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)これは経費で落ちません! 8 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)感想
トナカイ化粧品を吸収合併した天天コーポレーション。合併に伴う人事異動や業務整理でどこかぎくしゃくする中、経理部の業務にも悪影響を及ぼしてゆく第八弾。社長の代替わりで始まった合併や事業の見直し、そして上司たちの対立。どこか落ち着かない雰囲気の中でも、相変わらず鋭い洞察力を見せる沙名子でしたけど、こういう時だからこそ一目置かれてる感が随所に感じられますね。会社はまた何か一波乱ありそうで、基本的には遠距離でもあまり揺るがない二人の関係でしたけど、太陽の元カノに心がざわついた彼女の可愛い一面は微笑ましかったです。
読了日:04月19日 著者:青木 祐子,uki
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 14.5 (14.5)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 14.5 (14.5)感想
世界の妹・比企谷小町と、最強の後輩で世界一可愛いクソ女こと一色いろは。八幡、雪乃、結衣とはまったく違うタイプの二人が巻き起こす、今までとはひと味違った日常を描く短編集。未来のお義姉ちゃんに期待する小町、ライブで邂逅した奉仕部+αの面々たちのライブスタイル、いろはすコラボ、そして八幡の三年生の新クラスや新たなメンバー構成による奉仕部のことなど、小町といろはの何とも複雑な関係性だったり、パシられる戸部だったり、相変わらずさりげなく返答がいちいち重い雪乃には苦笑いでしたけど、この世界を久しぶりに堪能できました。
読了日:04月19日 著者:渡 航
千歳くんはラムネ瓶のなか (5) (ガガガ文庫 ひ 5-5)千歳くんはラムネ瓶のなか (5) (ガガガ文庫 ひ 5-5)感想
夏休み。藤志高では恒例の2・3年合同の勉強合宿。2年生の千歳たちは、受験を意識する前の仲間たちと夏のイベントを楽しむ機会を満喫してゆく第五弾。どこまでも青い空と海。色とりどりの女子の水着。夜のふたりきりのナイショ話など、これまで大切なものを一緒に積み重ねてきた、真っすぐで不器用で可憐なヒロインたちとの熱い夏休みはドキドキの連続。特別になりたいけれど失うのは怖い…恋い焦がれ苦悩する彼女たちの想いは切なくて、危ういバランスの先にあったのは思ってもみなかった結末で、物語はこれからどうなってしまうんでしょうか…。
読了日:04月19日 著者:裕夢
結婚が前提のラブコメ (4) (ガガガ文庫 く 2-7)結婚が前提のラブコメ (4) (ガガガ文庫 く 2-7)感想
婚活業界に新たなる動き。心揺れる中でホストと別れ、自暴自棄になるまひるを見かねた結衣たちが、彼女のためにダメだけどダメじゃない殿方たちを紹介する第四弾。まひるのために集められたバリピ坊主・玉置、子連れギャンプル好きの阿笠、言動が残念な天才エロマンガ家。様々な思惑が入り乱れた彼らとの海水浴合コンは、この物語の中で終盤に向けた大きなターニングポイントになりそうですけど、とりあえず迷えるまひろさんもきちんと向き合って幸せを掴めそうで安心しました。他のヒロインたちも頑張ってそれぞれの幸せを掴み取ってほしいですね。
読了日:04月20日 著者:栗ノ原 草介
剣と魔法の税金対策 (2)剣と魔法の税金対策 (2)感想
「税天使」に課された世界の半分という莫大な資産にかかる超高額の贈与税を『ゼイリシ』の少女の力を借りて何とか乗り切った魔王と勇者。しかし今度は運転資金が枯渇して、埋蔵金を掘り当てて一発逆転を狙う第二弾。すっかり銭ゲバ脳筋な感じになりつつある勇者メイの活躍で得た埋蔵金。ここから再び税金が課されたり、思ってもみなかった呪いの負債で思わぬ窮地にも陥りましたけど、今回もメイの奮闘に負けず劣らない『ゼイリシ』の少女・クゥの活躍と、そんな彼女が抱いた友情がとても印象に残る結末でした。次はどんな窮地に陥るのか続巻も期待。
読了日:04月20日 著者:SOW
魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原 (ファンタジア文庫)魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原 (ファンタジア文庫)感想
究極の未来世界で再び覇道を歩み始めた伝説の魔王・ベルトール。残りの六魔侯の消息を求めて、革新的な電気街と古き伝統を重んじる魔法街が対立構造を呈する未来都市・秋葉原に留学生として降臨する第二弾。留学生としてやってきた学園の新入りとして手荒い洗礼を受けるベルトールたち。そして二つの顔を持った街を巡る御三家と新旧派閥対立の構図。学園ネタっぽいお約束のベタな展開の連続には苦笑いでしたけど、今回もまた現代世界に関する構図がいろいろと見えてきて、複雑に絡み合ってきた因縁がここからどう話が広がっていくのか楽しみですね。
読了日:04月20日 著者:紫 大悟
両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。2 (ファンタジア文庫)両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。2 (ファンタジア文庫)感想
晴れてお付き合いを始めた勇也と楓。家では積極的、学校でもやや積極的に甘えてくる楓に、釣り合う男になろうと努力する勇也が理性総動員で耐える第二弾。勉強会で頑張ったりいろいろすれ違いもあったり、タカさんの娘を預かったりする中、相変わらずぐいぐい来る楓さん相手に勇也も押され気味で、最初は周囲に配慮していても、気がついたら呆れてげんなりされるレベルの甘い雰囲気を作り上げてしまう二人の距離感が微笑ましかったですね。思わせぶりに登場したわりに思ったほど動きのなかった二階堂にも、今後の盛り上げ役を期待したいところです。
読了日:04月20日 著者:雨音 恵
少女と血と勇者先生と (ファンタジア文庫)少女と血と勇者先生と (ファンタジア文庫)感想
世界を救い死んだ筈だった勇者・クロム。だが生ける屍として現世に呼び戻された彼が、勇者になりたいと願うかつての仲間シオンの妹のライラを鍛え、一緒に勇者を目指すファンタジー。再会したクロムに師事して、悲壮感すら漂わせながら勇者を目指すライラ。勇者になれるのは一人だけで、同じ勇者候補のゼシアやリーリアと試練で競う中で、明らかにされてゆく候補者たちが目指した背景。クロムもまた失われた記憶を取り戻していきましたけど、それぞれが抱える過去の悔恨にしっかりと向き合い、残り超えてみせた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:04月20日 著者:蒼木 いつろ
時をかけてきた娘、増えました。時をかけてきた娘、増えました。感想
クラスの安達藍が気になっても、話しかけられない日々を送る高校生の清水大地。そんなある日自室に発生したワームホールから、未来から来た藍と自分の娘・安達七彩が現れるラブコメディ。未来のお父さん・大地と藍をくっつけるために奔走する七彩。そこからさらに突如現れたワームホールから同様にもうひとりの娘が現れた展開には苦笑いでしたけど、今回はとりあえず藍がメインだったようで、変わりうる未来を踏まえてどうあるべきか、彼女のために奔走する大地の姿がなかなか印象的でした。これからもどんどん娘は増えていくんでしょうか?(苦笑)
読了日:04月21日 著者:今慈 ムジナ
夢にみるのは、きみの夢夢にみるのは、きみの夢感想
乙女ゲームが趣味のオタクOL・二橋美琴。25歳の誕生日の深夜に一人公園でお花見をしていた恋愛経験ゼロの美琴が、研究所から逃げてきたAIロボット・ナオを拾う青春小説。転んで怪我した美琴の手当をしてくれた、金色の髪を持つ美しい青年ナオ。しばらく匿ってほしいというナオとの同居生活は徐々に美琴に潤いを与えて、憧れの先輩との縁ができたからこそ気づいた自らの思いがあって。そこから明かされてゆく思ってもみなかった事実に、構図はガラリと様相を変えていきましたけど、そんな彼らが迎える一つの結末がなかなか印象的な物語でした。
読了日:04月21日 著者:三田 麻央
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 17 (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 17 (GA文庫)感想
想いを告げたシルとの決着から動き出すフレイヤ。仲間を蹂躙してベルを連れ去った美の女神が、オラトリア中を巻き込んだ壮大な箱庭を作り上げる第十七弾。自分以外の誰もがかつての自分を否定する状況に直面し絶望するベル。考える間もなく叩き込まれる洗礼、自分の眷属だというフレイヤに対する複雑な想い。周到に矛盾を潰してくるえげつない相手に、何度も心折れかけながらも諦めない人たちがいて、その一途で愚直な想いが積み重なって、この状況を覆してゆく展開は盛り上がりました。ここからどう決着をつけるのか早く続巻が読みたくなりますね。
読了日:04月21日 著者:大森藤ノ
あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど? (ファンタジア文庫)あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど? (ファンタジア文庫)感想
高校生の白杉巴が出会った三人の自称・未来の彼女。全員が未来の恋人だと主張して、巴の死を回避するため、運命を変えるためにアピール合戦を始める彼女たちとの青春ラブコメディ。挨拶を交わす程度の仲だったはずの隣の席の美少女・笹篠、バイト仲間にして学校の後輩・迅堂、そして又従姉で本家の現当主・海空。それぞれのやり方でぐいぐい来る彼女たちは、一方で巴の死を回避するために一生懸命で、彼女たちとその死を回避する方法を探り、その原因を突き止めるべく真相に迫る展開はなかなか面白かったです。ヒロインたちとの今後にも期待ですね。
読了日:04月22日 著者:氷純
通勤電車で会う女子高生に、なぜかなつかれて困っている (ファンタジア文庫)通勤電車で会う女子高生に、なぜかなつかれて困っている (ファンタジア文庫)感想
通勤電車で女子高生・結衣花と話をするようになった、無愛想で人付き合いが苦手な27歳の会社員・笹宮和人。彼女の出会いから仕事や人間関係が好転し始める青春ラブコメディ。結衣花からアドバイスを受けて、後輩との関係から少しずつ変わってゆく笹宮。どうも人間関係では残念な笹宮の電車での相談相手として、やや一歩引いた立ち位置から彼との関わりが増えてゆく結衣花との距離感が絶妙で、慕ってくる後輩や掴みどころのない女子大生Vtuberとの関係を交えながら、これからどんな展開が繰り広げられるのか、今後が楽しみなシリーズですね。
読了日:04月22日 著者:甘粕 冬夏
代理母、はじめました (単行本)代理母、はじめました (単行本)感想
義父の策略で違法な代理母出産をさせられた17才のユキ。不遇な家庭に育った彼女が、子供を持ちたい人々と貧困女性を救う代理母ビジネスの賭けに出る物語。相変わらずな救いがない近未来の日本を舞台に、命がけで出産の報酬はすべて義父に奪われる状況から逃げ出したユキが、幼馴染のミチオと組んで始めた代理母ビジネス。代理母出産をめぐる様々な人たちの思惑にも翻弄されながらも、どうすれば一番いいのか真摯に向き合って、みんなが幸せになれる方向を考えてゆく、そんな彼女たちが迎えた結末はこれもまた幸せのひとつの形なんでしょうかね…。
読了日:04月22日 著者:垣谷 美雨
ホーンテッド・キャンパス 待ちにし主は来ませり (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス 待ちにし主は来ませり (角川ホラー文庫)感想
森司とこよみのデートがついに実現するクリスマスイヴ。人生最高の夜を噛みしめていた森司だが、ツリーの根もとで異様な人形を発見する第十八弾。オカ研へ動画を持ち込んだ動画配信者の奇妙な憑依事件、1年前にオカ研へ相談が持ち込まれたいわくつきの人形、そしてクリスマスイブに起きた異変。ようやくお互い念願のデートにこぎつけても、そこから肝心なところでヤバいトラブルに巻き込まれる展開はお約束ですけど、それこそほんともう一歩踏み出すだけなのになあ…からが遠い(苦笑)事件は今回で決着かと思ったらこれはもう一波乱ありますかね?
読了日:04月23日 著者:櫛木 理宇
後宮の検屍女官 (角川文庫)後宮の検屍女官 (角川文庫)感想
大光帝国の後宮が大騒ぎになった「死王」騒動。皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明が、幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花と事件解決に乗り出す中華後宮検屍ミステリ。謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で見つかった赤子の遺体、宦官殺害の冤罪、自害したとされる侍女の死因、一連の事件の真相。ものぐさで野心もないぐうたら侍女なのに検屍となると覚醒する桃花、どこか嘘くさく腹黒い延明のコンビが事件を解決する展開でしたけど、ああみえて意外と仲間思いだったりする桃花の意外な一面が効いていました。
読了日:04月23日 著者:小野はるか
ぼくたちのリメイク Ver.β 3 (MF文庫J)ぼくたちのリメイク Ver.β 3 (MF文庫J)感想
茉平常務の策略を掻い潜るため、新たなゲームメーカーにて二つの企画を再始動させた恭也たち元第13開発部。一癖ある社長・伊知川の下で企画の立て直しから始める第三弾。プラチナ世代も集結して少しずつ着実に企画を進めていく恭也たちの懸念。それを良しとするはずもない茉平、そしても動き出すサクシードソフト陣営。これでいいのか、どうすべきなのか苦悩しながら進めた先にあったものはほろ苦かったですけど、それでも諦めない恭也に皆が触発されてゆく結末と思い切ったそのリスタートにはぐっと来るものがありましたね。本編も期待してます。
読了日:04月23日 著者:木緒 なち
クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。2 (MF文庫J)クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。2 (MF文庫J)感想
新婚生活をスタートさせて、時にはぶつかりながら、お互いのことを理解して距離を縮めていく才人と朱音。しかしある日朱音は陽鞠から予想外の告白をされる第二弾。親友である陽鞠の願いに応えるために協力を決めた朱音。朱音の協力のおかげで接近してゆく才人と陽鞠。才人にべったりの糸青になかなか存在感がありますが、才人への好意を隠さないヒロインたちに、自覚しないままもやもやを抱える朱音がもどかしくて、そんな彼女に才人も困惑してる現状ですかね…。まあ簡単に素直になれるくらいならこんなことにはなってないんでしょうけどね(苦笑)
読了日:04月24日 著者:天乃 聖樹
七人の魔剣姫とゼロの騎士団2 (MF文庫J)七人の魔剣姫とゼロの騎士団2 (MF文庫J)感想
「魔剣」の奪取と共に転校早々に騒動を巻き起こし、シャーロットと共にゼロの騎士団を立ち上げたナハト。そんな彼に対する反感も強く、いよいよ学園を挙げてのゼロの騎士団潰しが本格化する第二弾。部室や新たなる団員の獲得にも苦労する有様の状況で、めげずにあの手この手で魔剣姫たちと接触し、様々な変化を引き出すナハト。何だかんだで魔剣姫たちも意識せずにはいられなくて、様々な思惑に振り回されながらも、ようやくスタートラインに立てたというところですか。けれどヒロインたちの動きも意外に早くて、そちらも新展開期待できそうですね。
読了日:04月25日 著者:川田 両悟
君と、眠らないまま夢をみる (メディアワークス文庫)君と、眠らないまま夢をみる (メディアワークス文庫)感想
失われた過去に向き合えず、吹奏楽をやめて新聞配達の早朝バイトを始めた高校生の智成。そんな彼と親友の妹・優子との突然の再会から全てが変わりはじめる青春小説。死者が見える智成と夜明け前の彼らとの静かな時間。文化祭で兄の遺作を演奏する手伝いを依頼してきた優子に渡された36時間もの壮大な合奏曲。吹奏楽部や顧問を巻き込んで始めた挑戦は、過去に悔いを残す登場人物たちの止まっていた時間が再び動き出すことにも繋がっていて、向き合って作り上げた彼らの演奏と、その先にもたらされたそれぞれの決着がなかなか印象的な物語でしたね。
読了日:04月25日 著者:遠野 海人
現実主義勇者の王国再建記ⅩⅣ (オーバーラップ文庫)現実主義勇者の王国再建記ⅩⅣ (オーバーラップ文庫)感想
九頭龍諸島を脅かす巨大不明生物を討伐したソーマ。しかし東方諸国連合の小国・マルムキタン王フウガが魔王領一部奪という大戦果を挙げ、東方諸国連合が大きく変わってゆく第十四弾。東方諸国連合内で急速に勢力を拡大していくフウガ。これに危機感を抱いた反フウガ派による暗殺未遂事件を機に始まった大規模な内戦。フウガが求心力を高めていけば不可避の状況ではありましたけど、これで新しい局面が生まれて、それに伴った再編や今後に向けた布石もいろいろ加速していきましたね。難しい舵取りを迫られそうな今後の展開がまた面白くなりそうです。
読了日:04月25日 著者:どぜう丸
ライトノベル・クロニクル2010-2021 (ele-king books)ライトノベル・クロニクル2010-2021 (ele-king books)感想
2010年から2021年にかけてその年のアニメ化された作品の中から累計発行部数の多い順(+出版産業史的重要作品)で1年5冊の計60冊を紹介した1冊。まえがきにあるように、まず本書は熱心なライトノベル読者よりは、あまり詳しくない人(特に文化批評の読者)が読むことを意図したもののようで、網羅的な紹介を意識したものでないため、読んだ実感としてはところどころでこれが入るのかとか、ここに入るのかと思う部分も散見されましたが、その考察や論点の整理、そして中韓ラノベ事情なども扱ったコラムは興味深く読むことができました。
読了日:04月25日 著者:飯田 一史
スモールワールズスモールワールズ感想
夫婦円満を装う主婦と家庭に恵まれない少年、出戻ってきた姉と再び暮らす高校生の弟、初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族、人知れず手紙を交わし続ける訳あり男女の関係、向き合うことができなかった父と子、大切なことを言えないまま別れた先輩と後輩。ゆるく繋がった世界の中で繰り広げられてゆく、周囲には理解されづらい何とも複雑な思いを抱えている不器用な主人公たちが、目の前の現実に向き合って受け入れ、そっと寄り添うようになってゆくそれぞれのエピソードはとても印象的で、改めてこの著者さんの描く物語は好きなだなとしみじみ感じました。
読了日:04月26日 著者:一穂 ミチ
柊先生の小さなキッチン (集英社オレンジ文庫)柊先生の小さなキッチン (集英社オレンジ文庫)感想
彼氏に二股をかけられ振られた痛手から、ひどい食欲不振に陥った一葉。そんな彼女が住む万福荘のお隣さんとして引っ越してきた柊先生と出会い、心もお腹も癒す先生のごはんに少しずつ自分を取り戻していく物語。傷ついた一葉の心を癒やしてくれた柊先生のポトフ、引っ越してきた小説家のための角煮、柊先生の過去とプリン。キャラ文芸の王道ど真ん中のストーリー展開でしたけど、自分のことよりも人のことを放っておけない一葉の優しさと、鈍感な彼女になかなか想いを気づいてもらえなくてやきもきする先生のその後をまた読んでみたいと思いました。
読了日:04月26日 著者:高森 美由紀,pon-marsh
櫻子さんの足下には死体が埋まっている 櫻花の葬送 (角川文庫)櫻子さんの足下には死体が埋まっている 櫻花の葬送 (角川文庫)感想
櫻子の弟を殺した犯人と対峙するため、同じく妹を殺された男と神居古潭へと向かった櫻子と正太郎。けれどある女の裏切りで事態は思わぬ方向へ向かう第十七弾。殺人事件の重要参考人として警察署に連れて行かれる櫻子。そんな彼女を救うため奔走する正太郎たち、そして櫻子の弟・惣太郎の死の真相と決着。悪意に振り回され追い詰められた人たちと対峙して、しっかりと向き合い言葉を尽くす櫻子さんの姿が印象的でしたが、描かれた結末には希望を感じる一方で、果たしてこれまでの因縁に決着をつけることができたのか...とふと考えてしまいました。
読了日:04月26日 著者:太田 紫織
宮廷神官物語 十二 (角川文庫)宮廷神官物語 十二 (角川文庫)感想
藍晶王の御代を迎えた麗虎国。本来なら、鶏冠が新しい大神官として就任している時期だが、王妃の父である申氏が強硬に反対し王を悩ませ、再び宮廷に不穏な気配が漂い始める第十二弾。前巻から十三年が経過した舞台で、変わらず市井の子供たちの教育に心血を注ぐ師範神官の長・瑛鶏冠。そんな師を支える逞しく成長した天青。元気な第二世代も登場して、それぞれの成長した姿を見せてくれて感慨深いものがありましたけど、一騒動あったもののそれを乗り越えてみんなでいい国を作っていくんだろうなと思える、その最後がまたとても印象的な結末でした。
読了日:04月27日 著者:榎田 ユウリ
心が折れた夜のプレイリスト (新潮文庫nex)心が折れた夜のプレイリスト (新潮文庫nex)感想
人生初の彼女に振られ、部屋の窓が閉まらなくなった大学生の萬代。怖くて家にいられず友人の定岡の学科飲みに潜り込んだ彼が変態のイケメン先輩・濃見と巡り合う青春小説。彼女に振られたショックと、閉まらなくなった窓の真相。定岡の紹介で巡り合ったラーメン大好きアナ雪との日々からの思ってもみなかった急変。いやこれが何の話だったのかと言われると正直よくわからなかったんですが(苦笑)、テンポのいいストーリーと振り回される萬代、自分ではどうにもならない状況に陥って濃見先輩が一緒に解決してくれる展開はなかなか面白かったですね。
読了日:04月27日 著者:竹宮 ゆゆこ
後宮妃の管理人 四 ~寵臣夫婦は立ち向かう~ (富士見L文庫)後宮妃の管理人 四 ~寵臣夫婦は立ち向かう~ (富士見L文庫)感想
四夫人の悩みに皇帝の無茶振りと、共に難題を乗り越えてきた優蘭と皓月。年納めの会議に向けて大忙しのさなかに、賢妃・明貴に仕える女官が毒殺未遂にあってしまう第四弾。連続した毒殺未遂事件の調査に乗り出す健美省一同。『蕭麗月は、先代皇帝が残した公主である』という噂、そして珀家に謀反の疑いが囁かれる窮地。皓月はいろいろ思い悩んだりしてましたけど、お義母さんにも認められてお互い思っていることをぶつけ合って、夫婦としてもだんだんいい感じになってきたのかなと思った矢先の急展開。どうしてこうなったのか続巻が気になりますね。
読了日:04月27日 著者:しきみ 彰
俺がピエロでなにが悪い! (講談社ラノベ文庫)俺がピエロでなにが悪い! (講談社ラノベ文庫)感想
ストリートパフォーマーという将来の夢のため、密かに病院でホスピタル・クラウンとして芸を披露する高校生・宮守樹。なかなか笑わない入院中の少女・茉莉を笑わせようと奮闘する彼が、病院でクラスメイトのギャル・市川愛莉と出会う青春小説。高校ではボッチでも成績優秀な樹、そして読者モデルで遅刻常習犯でもある愛莉が抱える事情。アンタッチャブルだった愛莉に意見する樹と出会った転機、彼のことを知って変わろうとする彼女の思いがあって、樹が披露する真摯な芸が試練を抱える茉莉にも勇気をもたらす展開にはぐっと来るものがありましたね。
読了日:04月28日 著者:白井 ムク
放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ2 (ファミ通文庫)放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ2 (ファミ通文庫)感想
奏多先輩からアドバイスを受け、少しずつ泪華先輩に気持ちを伝えはじめる真壁静流。そんな中、蓮見紫苑と一緒に帰っているところを同級生の直井に見つかってしまう第二弾。異母姉を気遣い嘘をついた静流と、裏表のない紫苑が話してしまったことで生じた齟齬。複雑な想いを抱える直井とのすれ違い、「真壁静流が瀧浪泪華につきまとっている」という噂。静流を振り回す三人の先輩とのやりとりがいい感じですが、危機に陥っても心揺れる静流のことを支えてくれる人がいて、本当に大切なものを失わないために向き合ってゆくその姿がとても印象的でした。
読了日:04月28日 著者:九曜
薬屋のひとりごと 11 (ヒーロー文庫)薬屋のひとりごと 11 (ヒーロー文庫)感想
戌西州を襲った大蝗害。過去の蝗害を知る者は少なく混乱するする人々。物資が不足する中で猫猫にもさまざまな問題が火の粉となって降りかかる第十一弾。皇弟という立場を最大限に利用しつつ戌西州への支援要請を行う壬氏。うまく立ち回って西都の民たちを誘導しようとする領主代行・玉鶯の思惑。西都を巡る過去が次々と明らかになっていく一方で、このままではどうなるのかと思われた先にあった幕切れはややあっけない感もありましたけど、今後の展開が気になりつつも、絡まっていた過去の因縁に見事決着をつけてみせたその結末には唸らされました。
読了日:04月28日 著者:日向夏
社畜男はB人お姉さんに助けられて――(3) (モンスター文庫)社畜男はB人お姉さんに助けられて――(3) (モンスター文庫)感想
後輩たちの転職の面倒をみてから転職することを決意した大樹。彼らの転職先第一希望が玲華の会社だと知った大樹の状況が激変してゆく第三弾。後輩たちのことを相談しようと思った大樹に玲華からの提案。そして時折ポンコツっぷりを爆発させながら抜かりなく着々と手を打っていく玲華。もうお互い合意待ちみたいな二人の甘々な関係にニヤニヤしましたが、麻里さんと邂逅してしまった大樹は同志として意気投合しそう…。普段はキリッとしてても大樹が絡むと途端にポンコツになる玲華と後輩二人みたいな構図もありましたが、まあこれは仕方ないですね。
読了日:04月29日 著者:櫻井 春輝
スイッチ 悪意の実験スイッチ 悪意の実験感想
夏休み。お金がなく暇を持て余す大学生たちに持ちかけられた風変わりなアルバイト。自分達とはなんの関わりもない家族を破滅させるスイッチを渡されるミステリ。スイッチを押さなくても1ヵ月後に100万円が手に入るのに、スマホを盗まれ押されたスイッチ。一体誰が何のために押したのか。そして思ってもみなかった惨劇。とある新興宗教を巡る過去の因縁も絡めながら、残された証拠から真相に迫ってゆく過程で、関係者たちの様々な事情も浮かび上がってきて、純粋な悪意とは何か、それを突き詰めた先にあった結末にはいろいろ考えさせられました。
読了日:04月29日 著者:潮谷 験
才女のお世話 1 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました (HJ文庫)才女のお世話 1 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました (HJ文庫)感想
両親に見捨てられた高校生・友成伊月が、日本随一の財閥のお嬢様・此花雛子誘拐に巻き込まれたことを切っ掛けに、彼女のお世話係をすることになる青春ラブコメディ。表向きは才色兼備を装いつつも、実は生活能力皆無のぐうたら娘だった雛子。そしてメイド長にハードな修行を課されつつ、甲斐甲斐しく雛子の世話を焼く伊月。編入した学園で友人ができたり、ヒロインたちと印象的な出会いを果たしながらめきめきと成長してゆく伊月に、すっかり懐いて彼の前では甘えたり、他のヒロインとの様子に独占欲を見せたりする雛子がなかなか可愛かったですね。
読了日:04月30日 著者:坂石遊作
夢見る男子は現実主義者 4 (HJ文庫)夢見る男子は現実主義者 4 (HJ文庫)感想
バイト先の後輩となったクラスメイト一ノ瀬さんに正論をぶつけてしまい、土下座での懇願までさせてしまった渉。今後の接し方に悩む彼に2回目の夏川家訪問の機会が訪れる第四弾。愛華たちからヒントと激励をもらい、一ノ瀬さんと向き合うことを決意する渉。頑張ってだんだんとバイトに慣れてゆく一ノ瀬さんがバイトを始めた理由。無自覚にイチャイチャして圭を呆れさせる二人の距離感も微笑ましかったですが、笹木さんに加えて一ノ瀬さんも存在感を増してきていて、大きく変わるキッカケを与えてくれた渉に対する想いも気になるところではあります。
読了日:04月30日 著者:おけまる
百錬の覇王と聖約の戦乙女 22 (HJ文庫)百錬の覇王と聖約の戦乙女 22 (HJ文庫)感想
グラズヘイム崩壊とともに一旦の幕を閉じたユグドラシル最大の決戦。混乱に紛れて主戦場から抜け出した勇斗たち《鋼》に信長自らが停戦の旗を掲げ、疑いつつも勇斗は信長とのふたたびの会談へと向かう第二十二弾。お互い多くのものが失われてしまった激闘の末に、信長が勇斗に託した大切なもの。悲しみとの直面や意外なこともあったりしながら、新しい時代への転換期だったり、物語も終わりに向かっていくのを感じましていましたけど、これで物語が完結というわけでもなく、もうしばらく新大陸編もまだ続くようなのでその辺りも楽しみにしています。
読了日:04月30日 著者:鷹山誠一

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