読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

少女マンガ的展開にドキドキする一般文庫/ライト文芸15選

みかこさん(@amenaraneru)という強力なインフルエンサーの布教活動によって、一部ラノベ界隈でじわじわ少女小説がブームになっていますが、一般文庫/ライト文芸で選んでみたら少女小説的文脈ではなく少女マンガ的文脈のラインナップになっていました(謎の迷走感...)。でもこれはこれでどこかに刺さるヒトはいそうなラインナップだと思ったのでこのまま公開します。気になるタイトルがあったらぜひ読んでみて下さい。

 

1.ケーキ王子の名推理 (新潮文庫nex)

ケーキ王子の名推理 (新潮文庫nex)

ケーキ王子の名推理 (新潮文庫nex)

  • 作者:七月 隆文
  • 発売日: 2015/10/28
  • メディア: 文庫
 

美味しいケーキ大好きな女子高生・未羽が、失恋直後に迷い込んだケーキ屋でパティシエ修行をしている同級生の冷酷イケメン王子・颯人に遭遇する物語。少女漫画のような設定や展開でミステリとして見るとあっさりめですが、出会った当初はお互いあまり印象が良くない二人が、夢に向かって頑張る颯人を徐々に応援する気持ちになっていったり、ケーキであっさり釣られるもののイケメンだからといって特別視しない未羽は信用できると感じたり、飾らない二人の距離感が心地良かったです。そんな二人の恋の予感もだんだん盛り上がっていきます。現在4巻まで刊行。

 

2.異人館画廊 (集英社オレンジ文庫) ※1巻だけコバルト文庫で出てました。

英国で図像学を学び祖父の死を機に日本に戻ってきた千景。祖母が経営する画廊には一風変わった仲間たちが集い、そこに図像学の見識を見込まれ千景も巻き込まれてゆく物語。祖父が残した中途半端な遺言。再会した堅物な遠縁の京一と昔から気が合わないと感じている幼馴染の透磨、そして画廊に集まるちょっと胡散臭い仲間たち。依頼解決に巻き込まれてゆく千景が危機を救われたり失われた過去の記憶を少しだけ取り戻したりで、透磨を見る目や印象が変化してゆく描写がとてもいいですね。不器用な二人の今後がどうなってゆくのか続巻が楽しみです。現在6巻まで刊行。

 

3.思い出のとき修理します (集英社文庫)

思い出のとき修理します (集英社文庫)

思い出のとき修理します (集英社文庫)

  • 作者:谷 瑞恵
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: 文庫
 

仕事にも恋にも疲れ、都会を離れた元美容師の明里。引っ越し先の子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街で時計店を営む青年・秀司と出会う物語。みんな顔なじみ状態の寂れた商店街を舞台に秀司や太一と一緒に不思議な事件に巻き込まれる日々。自信を失っていて頭の中でいろいろなことを考えてしまいどうにも臆病な明里と、落ち着いているけれど何かありそうな秀司はお互い惹かれ合っているのに、過去が気になって縮まらない距離感がもどかしくなりましたが、いい感じに周囲の助けがあって変わってゆく二人の関係が楽しみなシリーズ。全4巻。

 

4.下鴨アンティーク (集英社オレンジ文庫)

京都下鴨を舞台に、両親を早くに亡くし古美術商を営む兄と下宿人の慧と三人で古びた洋館に住む高校生・鹿乃と、蔵にあるアンティーク着物をめぐる不思議な物語。亡くなったお祖母ちゃんの大事にしていた着物のコレクションにまつわるお話は、ミステリーというよりはどこかファンタジーな趣でしたが、旧華族である野々宮家を舞台としたどこかおっとりとした物語に垣間見える仄かな想いや、お祖母ちゃんとお祖父ちゃんの馴れ初め話がわりと素敵なお話でした。鹿乃と似た雰囲気を持つ春野の出現で波紋を呼びそうな、慧との今後も気になるシリーズですね。全8巻。

 

5.契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

椿屋敷で若くして隠居暮らしの柊一と契約結婚した香澄。町の相談役・柊一の元に近所から相談が持ち込まれるわけありな人々の物語。築六十年の椿屋敷という珍しい視点から綴られる穏やかで物事がよく見えるのになぜか人の機微には少し疎い柊一と、よく働き一緒に過ごすうちに柊一のことが気になってゆく可愛い香澄の関係。二人の穏やかな日常が周囲の関与により詮索しないはずの過去に触れ少しずつ変わってゆく展開は、二人が本当の夫婦に近づいてゆく過程をいろいろと楽しめそうですね。周りのキャラも魅力的なシリーズです。全5巻。

 

6.鍵屋甘味処改(集英社オレンジ文庫)

冬休みに自分の出生の秘密を知って衝動的に家出した女子高生こずえが、鍵師・淀川と知り合い、年齢を偽り助手として彼の家へ居候することになる物語。居付いてしまったこずえをまるで野良猫のようなものと思っている無愛想で職人気質の淀川と、掃除やカメラ撮影といった淀川の苦手な部分を巧みにフォローして居場所を確保していくこずえの、確かに甘いとは言えない非日常がなかなか興味深かったです。女子高生の家出娘が居候する二人の関係がどう変わってゆくのか楽しみなシリーズです。全5巻。

 

7.鍵屋の隣の和菓子屋さん (集英社オレンジ文庫)

高校を卒業し「つつじ和菓子本舗」へ住み込み、専門学校へ通いつつ和菓子職人の修業をスタートさせた淀川多喜次。恋する男子の和菓子な日々が描かれる『鍵屋甘味処改』スピンオフ小説。看板娘・祐雨子にプロポーズするも保留され、修行でも和菓子作りに携われない多喜次のもどかしい日々。お隣のその後の様子も垣間見えたり、一歩先ゆく同年代・柴倉の出現に危機感を募らせながら、周囲で起きる和菓子絡みの事件に体当たりで挑む多喜次の頑張りを祐雨子さんも見てくれていますね。柴倉もいろんな意味でのいいライバルとしてなかなか効いています。全4巻。

 

8.鎌倉香房メモリーズ (集英社オレンジ文庫)

鎌倉香房メモリーズ (集英社オレンジ文庫)

鎌倉香房メモリーズ (集英社オレンジ文庫)

  • 作者:阿部 暁子
  • 発売日: 2015/02/20
  • メディア: 文庫
 

人の心の動きを香りで感じる高校生・香乃が、大学生・雪弥とともにゆるりと手伝う鎌倉にある祖母が営む香り専門店『花月香房』を舞台に、やってくるお客さんや身の回りの人たちの事件を解決する物語。ミステリーとしてはあっさりめですが、うっかりな香乃をしっかり者雪弥がフォローする二人の関係は、小さい頃からお互いを大切に思う気持ちをゆっくり着実に育んでいて好感。途中出てきた十和子との関係にはモヤモヤしましたが、家族への複雑な思いを抱えながら、家族や親友を大切に思う人たちを救う二人の成長が楽しめるシリーズです。全5巻。

 

9.魔女は月曜日に嘘をつく (朝日エアロ文庫)

魔女は月曜日に嘘をつく (朝日エアロ文庫)

魔女は月曜日に嘘をつく (朝日エアロ文庫)

  • 作者:太田 紫織
  • 発売日: 2014/11/20
  • メディア: 文庫
 

病気をきっかけに仕事も恋人も失い札幌に逃げてきた犬居が、縁で魔女を自称する感受性の強い少女卯月杠葉の経営するハーブ農園「フクロウの丘」で働くことになる物語。上手くやろうと妥協してしまう犬居と、人付き合いが苦手で嘘が大嫌いな杠葉は、最初お互いをよく分からなくてたくさん衝突しましたが、将来的にはお互いが足りない部分を刺激して、いい方向に導けるコンビになれそうな可能性を感じました。杠葉は謎多き存在で、二人の今後も気になるところですが、まずは二人で農園経営を軌道に乗せるところからですよね(苦笑)全3巻。

 

10.京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

東京のめまぐるしい生活に馴染めず祖母の暮らす京都・伏見の蓮見神社に引っ越してきた女子高生のひろ。幼馴染で造り酒屋の息子・拓己にも再会した彼女に不思議な声が届くあやかし物語。拓己や以前彼女と約束を交わした白蛇「シロ」に見守られながら、少しずつ新しい生活に馴染んでゆくひろ。「水神の加護」「小野小町の恋」「桃亭の恋模様」「雷神の子」と様々なあやかし絡みの事件に関わってゆく展開に、それにひろと拓己の繊細な距離感だったり、ひろを気にかけるシロの存在もいい感じに絡んでいて、二人の成長と関係の変化が楽しみなシリーズです。現在4巻まで刊行。

 

11.花を追え (ハヤカワ文庫JA)

仙台の夏の夕暮れ。篠笛教室に通う着物が苦手な女子高生・八重はふとしたことから着流し姿の仕立屋・宝紀琥珀と出会い、着物にやたらと詳しい琥珀とともに着物にまつわる様々な謎に挑む着物ミステリ。着物を愛する有能な仕立屋・琥珀と女子高生・八重を結んだ5円の縁。モテモテな美青年なのに10歳も違う女子高生相手にその琥珀のプレゼントやアプローチはどうなの?と苦笑いもしましたが、事件を共に解決してゆく中で浮かんでくる琥珀と八重の過去は複雑に絡まっていて、二転三転するドキドキな展開を粋な感じにまとめてくれた素敵な物語でした。現在3巻まで刊行。

 

12.ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)

ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)
 

両親を亡くし角田村で叔父夫婦に育てられた綾乃。小さい頃からの秘密の親友・大蛇のアロウにプロポーズされた彼女が、別の大蛇に襲われる事件を経て母校ディアーヌ学園で学ぶことになるファンタジー。妖魅子女も通うディアーヌ学園で楽しい友人たちと出会い魔女の修行をする日々。そこから繋がる雪之丞との縁と過去の因縁もまた明らかになってゆく展開で、アロウとの約束に心揺れる綾乃と共に過ごすうちに絆を深めてゆく雪之丞が過去に飛んで、そこで果たした役割が現在に繋がってゆくその結末にはなるほどと唸らされた、とても素敵な物語でした。全3巻。

 

13.きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

  • 作者:一穂 ミチ
  • 発売日: 2016/01/20
  • メディア: 文庫
 

2025年の夏休み。双子の高校生・明日子と日々人は突然いとことの同居を父から告げられ、やって来た今日子が実は長い眠りから目覚めた三十年前の女子高生だったという物語。時代のギャップに戸惑いながら徐々に双子と打ち解けてゆく今日子の存在は、バラバラになっていた家族を繋ぐきっかけにもなって、過去との繋がりを感じるがゆえにもう取り戻せないことを痛感する彼女と、どうにもならない現実に直面した双子の対照的な選択、昔の想い人の回想がとても印象に残りました。懐かしい気持ちと切ない気持ちが入り混じる素敵なひと夏の物語ですね。

 

14.藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

藤倉君のニセ彼女 (一二三文庫)

  • 作者:村田天
  • 発売日: 2019/10/05
  • メディア: 文庫
 

学校一モテる藤倉君に自称・六八番目に恋をした尚。遠くから眺めるだけだった彼女が、ふとしたきっかけからモテすぎて女嫌いを発症した藤倉君の女除け役として「ニセ彼女」に立候補する青春小説。少女マンガのようにモテまくる藤倉を好きにならないという宣言から始まったニセ彼女生活。普通の男子生徒として扱ってくれる尚への安心感があって、一緒にいても苦にならない関係だからこそ少しずつ確実に変化してゆく二人の心境があって、ここまで拗らせるとどうなることか心配でしたけど、いつの間にか育まれていた大切なものに気づけて良かったです。

 

15.一生夢で食わせていきますが、なにか。 (富士見L文庫)

一生夢で食わせていきますが、なにか。 (富士見L文庫)
 

高校時代の先輩でプロのマンガ家を目指す啓汰先輩と再会したあすみ。マネージャーとして交渉役や雑務を引き受けた彼女が次々と直面するトラブルとその奮闘を描くお仕事小説。マンガ家の夢を反対したあすみをマネージャーに据えて、周囲の反対を押し切りマンガ家業を軌道に乗せてみせた啓汰先輩。職場で起きるトラブルに対処していくあすみに対する啓汰先輩の信頼は厚くて、外堀も着実に埋まって周囲もすっかり公認状態なのに、それに全然気づかないあすみを見てると啓汰先輩がちょっと可哀想になりますね(苦笑)二人の今後がまた読んでみたいです。

 

ちなみに当初構想していたはずの少女小説のオススメは、みかこさんが魂のエントリーを書き上げてくれたので、こちらを是非ご参照下さい(苦笑)ほんとすごいですよ、これは…(震