読書する日々と備忘録

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いい夫婦の日に読みたいライト文芸・ライトノベル17選

そういえば今日がいい夫婦の日だったということで、急遽ライト文芸ライトノベルレーベルから夫婦もの作品を17作品選びました。正直どこまでを夫婦ものとするのか悩みましたが、夫婦みたいに仲が良いとか嫁同然とか最終的に夫婦になったとかを入れだすと収拾つかなくなるので、何らかの形で夫婦になった作品から選んでいます。気になった本があったら是非読んでみてください。

 

1.かくりよの宿飯 (富士見L文庫)

 奔放だった亡き祖父の借金のかたとしてあやかしの棲まう「隠世」に攫われて、老舗宿「天神屋」の大旦那に嫁入りしなくてはならないと告げられた女子大生葵の奮闘を描く物語。隠世で良くも悪くも有名人だった祖父の影響もあって、周囲の第一印象は最悪。そんな状況で嫁入り回避のために働いて借金を返そうとする葵が、あやかし好みの飯で胃袋を掴んで関係を築いていく描写がとても美味しそうで(苦笑)、人情味溢れていてとてもいいなと思いました。あやかしたちとの交流から心境を変化させていった葵と大旦那との今後も気になります。現在9巻まで刊行。

2.浅草鬼嫁日記 (富士見L文庫)

浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。 (富士見L文庫)

浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。 (富士見L文庫)

 

 浅草に住み地元グルメをこよなく愛する訳あり女子高生・茨木真紀。人間なのに日々あやかし関連の厄介ごとに首を突っ込み、前世で夫だった天酒馨たちを振り回すほのぼのあやかしラブコメディ。前世が茨木童子だった真紀と前世で夫の酒天童子だった馨。生まれ変わって幸運にもまた巡り会えた二人が繰り出す以心伝心の夫婦漫才と、巻き込まれるあやかし絡みの騒動で構成されるストーリーで、姐さん気質の心優しい真紀と何だかんだ言いながら彼女のために奔走する馨が安心安定の夫婦っぷりでした(まだ夫婦じゃないけどw)現在5巻まで刊行。

3.紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

 

女性ながら不世出の軍人と評される将軍・関小玉33歳が、かつての相棒にして今は皇帝である文林の懇願を受けある日突然皇后となり、嫉妬と欲望が渦巻く後宮「紅霞宮」に入る物語。軍人らしいきっぱりさっぱりな性格の小玉と、皇帝として公人としての意識も持たざるをえなくなった文林。絆こそ感じられるもののお互い立場も変わり、変わってしまったところと変わらないところに戸惑い葛藤する展開でしたが、ついに覚悟を決めた小玉とそんな彼女に複雑な想いを抱いたままに見える抱く文林がどんな夫婦になっていくのか注目のシリーズですね。現在8巻+零章3巻まで刊行。

4.ぼんくら陰陽師の鬼嫁 (富士見L文庫)

バイトをクビになった挙句、住んでいた激安アパートから火事で焼け出され途方に暮れる天涯孤独の大学生・野崎芹。そんな時に近くの公園で陰陽師・北御門皇臥と出会い、破格の条件で仮嫁契約を交わす物語。童女や白虎の式神に囲まれ、知れば知るほど怪しくなってゆく北御門家の事情。知らされていなかった同居する義母の存在。それでもできることをやろうと前向きで、諸事情でぼんくら陰陽師だった皇臥をいろいろ焚きつける鬼嫁ぶりはこれからいいコンビになりそうな予感。事情が明らかになる結末もいい感じで、嫁姑バトルの行方も注目です。現在4巻まで刊行。

5.木崎夫婦ものがたり (富士見L文庫)

木崎夫婦ものがたり 旦那さんのつくる毎日ご飯とお祝いのご馳走 (富士見L文庫)
 

著名な作家を父に持つ文筆家の島田ゆすらと、偶然出会った木崎修吾の電撃結婚。父の残した家で共同生活を始めた新米夫婦の日々が綴られてゆく物語。不安定だったゆすらと優しい木崎の美味しいものを食べたり、のんびりと寄り添うような夫婦生活。一方で作家としての自分のありように苦悩するゆすらのこと、作家だった父やふらりと家を出た弟の存在だったり、複雑な想いを抱く幼馴染・崇の存在もあったり、もしかしたらの可能性に切なくなりつつも、夫婦として作家として生きてゆくことにきちんと前向きになれた結末にはぐっとくるものがありました。

6.契約結婚ってありですか(富士見L文庫)

契約結婚ってありですか 利害一致から始まる恋? (富士見L文庫)

契約結婚ってありですか 利害一致から始まる恋? (富士見L文庫)

 

美容師を辞めて福岡に戻ってこいという両親を振り切るため、結婚相談所に駆け込んだ西依咲。切実な状況を訴えた目の前の相談員・成嶋玲司から利害一致の契約結婚を提案される新婚生活物語。良くも悪くもざっくばらんで素直な性格の咲と、人の機微に疎く神経質だという自覚はある玲司がルールを決めながら、職場の人招待だったり、義妹や幼馴染・両親の突然の襲来だったり、二人で生活していく中で一緒にいろんなことをこなしていくうちに、それぞれ心境だったり距離感も変わってゆく展開は良かったです。現在2巻まで刊行。

7.契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

 

椿屋敷で若くして隠居暮らしの柊一と契約結婚した香澄。町の相談役・柊一の元に近所から相談が持ち込まれるわけありな人々の物語。築六十年の椿屋敷という珍しい視点から綴られる穏やかで物事がよく見えるのになぜか人の機微には少し疎い柊一と、よく働き一緒に過ごすうちに柊一のことが気になってゆく可愛い香澄の関係。二人の穏やかな日常が周囲の関与により詮索しないはずの過去に触れ少しずつ変わってゆく展開は、二人が本当の夫婦に近づいてゆく過程をいろいろと楽しめそうですね。周りのキャラも魅力的でこれは続巻に期待のシリーズです。現在3巻まで刊行。

8.ななつぼし洋食店の秘密 (集英社オレンジ文庫) 

ななつぼし洋食店の秘密 (集英社オレンジ文庫)

ななつぼし洋食店の秘密 (集英社オレンジ文庫)

 

没落華族の令嬢・十和子に新興会社の若社長・桐谷との利害が一致した結婚話が持ち上がり、お見合いの席で十和子は「自分に一切干渉しないこと」を条件に契約を持ちかける物語。関東大震災で行方不明となった縁のある店主・一哉が戻るまで店を守るため下町で洋食店を営む十和子。理由あってそんな条件を飲んだ桐谷も徐々に真っ直ぐな十和子のことを気にかけるようになって、十和子もまた桐谷に素直になれない不器用な二人の関係がもどかしいような微笑ましいような感じで良かったです。

9.南都あやかし帖 ~君よ知るや、ファールスの地~ (メディアワークス文庫)

室町時代、大和の興福寺にあった『天竺屋敷』に住む異国の地を引く青年妖術師・天竺ムスルと、彼のもとに奉公に出された葉月が、あやかしが絡んだ事件を解決する物語。物語の中で描かれる当時の情勢もなかなか興味深かったですが、金貸し業だったり謀反の噂だったり、あやかしへの対処だったり、いわくありげながら飄々としているムスルと、彼に接していくうちに心境が変化していく葉月の組み合わせがわりといい感じで、それにオウムのタラサがいいアクセントになって、味わい深い雰囲気になっていました。

10.魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?  (HJ文庫)

不器用で口が悪く魔術師として人々に恐れられるザガン。そんなサガンが亡き魔王の闇オークションで白い奴隷エルフの少女ネフィに一目惚れして全財産をつぎ込み購入。不器用な二人の共同生活が始まる物語。コミュ障でどう接していいか分からずたびたび言葉選びを間違えるサガンと、最初は怯えながらも彼の不器用な優しさを知り徐々に心を開いて行くネフィ。これまで孤独な境遇を過ごしてきた二人が、戸惑いながらも危機的状況を乗り越えて絆を育んでいく物語は、わりとシンプルな構図でベタな展開ではありましたがなかなか良かったです。12月に7巻が刊行予定。

11.真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました (角川スニーカー文庫)

最前線での戦いについていけなくなり、仲間の賢者により勇者のパーティーから追い出されたレッド。心機一転、辺境の地で薬草屋を開業しようとした彼のもとに、突如かつての仲間だった王女・リットが転がり込む辺境スローライフ。元ツンデレで不器用だったリットとはお互いがいい感じに補い合える存在で、そんな二人が初々しくも甘い関係を築いていく展開はなかなか良かったです。しかし調整役を放逐した勇者パーティーは案の定破綻していて、兄成分必須な妹勇者の状況も考えると、再び彼が必要とされそうな今後の展開も気になるところではあります。現在2巻まで刊行。

12.ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? (電撃文庫)

ネトゲネカマに告白してフラれたトラウマを持つ主人公が、ネトゲのギルドで可愛い系の女の子に告白され、リアルでも関わっていくお話。ネトゲの嫁はリアルでも可愛いけど残念系で、関わりあいになると大変なことになりそうなタイプですが、もう巻き込まれてますね(苦笑)カミングアウトしてる主人公やそつがない会長よりも、趣味を隠している瀬川がああいう部活入っちゃうと立ち位置的にいろいろ大変なわけですけど、そんなドタバタ劇も楽しみなシリーズです。現在18巻まで刊行。

13.青雲を駆ける(ヒーロー文庫)

青雲を駆ける (ヒーロー文庫)

青雲を駆ける (ヒーロー文庫)

 

父に師事して野鍛冶の修行を続けていたエイジが、記憶喪失となって青銅器が使われている時代の異世界に迷い込むファンタジー。若くて美しい未亡人タニアに拾われて、村の鍛冶師として生きていために便利な道具を作ったり、耕作を改善したりが物語のベースで、知識や技術の優位こそあるものの、地道に試行錯誤を重ねながら成果を積み上げていく構成は、派手さこそないものの好印象でした。細かいところでこれどうなんだろうはいくつかありましたが、全体としては専門的になり過ぎない内容がほどよい感じですね。タニアさんとの距離の変化にも注目です。現在4巻まで刊行。

14.幻葬神話のドレッドノート (GA文庫)

幻葬神話のドレッドノート (GA文庫)

幻葬神話のドレッドノート (GA文庫)

 

一族を神話級幻獣に滅ぼされ、全ての神話級幻獣を滅ぼす方法を探るために養成校に入学した御霊志雄とその嫁・日輪の物語。入学式早々新婚宣言したり惚気けたりとバカップル全開の二人でしたが、一方で二人は血の滲むような特訓で突出した存在でもあり、志雄は一族の仇を討つため、傍らに立つことを選んだ日輪も一族のしがらみを乗り越えてきていたりで、イチャイチャだけで終わらずに適度な緊張感もあるバランス感覚がよかったです。因縁の再会を果たしたバトル面も強敵相手に二人で力を合わせて討滅する夫婦ならではの展開に大満足でした。現在2巻まで刊行。

 

15.北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし

北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし

北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし

 

北欧の雪国貧乏伯爵リツハルドが、退役することになった男前の女性軍人ジークリンデに夜会で一目惚れし告白、一年のお試し婚を条件に一緒に暮らし始める物語。読んでみて表紙を見比べてあれ?と思ったのは私だけじゃなかったみたいで(苦笑)率直で飾らないジークとの一緒の生活を楽しいと思うリツと、きちんと女の子扱いしてくれて対等に見てくれるリツの優しさを好ましく思うようになっていくジーク。不器用な二人がお互いの様子を伺いながら少しずつ距離を縮めていく奥ゆかしさがとてもいいですね。大変そうな生活ですがそんな中で育まれてゆく夫婦の絆に注目。全4巻。

16.遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)

遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)

遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)

 

 借金代わりに叔父に売られそうになっていた羊飼いの少女・アユを救った調停者一族ユルドゥスの青年・リュザール。ワケありな彼女を見かねて一族の遊牧地に連れ帰って始まる二人の新婚物語。故郷で虐げられ何もかも失い希望を見出せなかったアユと、周囲の勘違いをきっかけに彼女を意識するようになってゆくリュザール。風習の違う環境で気遣ってくれる彼や家族に彼女も美味しい料理を振る舞って、お互い少しずつ絆を育んで想いを積み重ね大切な存在へと変わってゆく展開がとてもいいですね。二人がこれからどんな夫婦になってゆくのか続巻にも期待。

17.遙か凍土のカナン (星海社FICTIONS)

遙か凍土のカナン1 公女将軍のお付き (星海社FICTIONS)

遙か凍土のカナン1 公女将軍のお付き (星海社FICTIONS)

 

日露戦争を生き延びながら、国や騎兵の将来に漠然とした不安を抱く騎兵大尉良造。そんな良造に突然ロシアから叙勲がもたらされ、家出同然にやってきたコサックの少女オレーナと出会い、二人でロシアに向かうことになって人生が変わっていく物語。拙いやり取りをしながら、良造の紳士な振る舞いやその優しさに触れ、どんどん惹かれていくオレーナさんの攻勢と、秘密任務がとか、その想いを利用してはいけないとか、いちいち自分を戒めながらも、徐々に攻略されていきそうな感のある良造の今後に期待せずにはいられませんね。全7巻。