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このキャラ文芸がすごい2019 文庫シリーズ作品編

 というわけで 「独断と偏見で選ぶキャラ文芸文庫2019」第二弾「シリーズ作品編」です。当初1つにまとめるつもりがなぜ分かれることになったのかというと、シリーズ展開されている作品群は安定して人気が出ているシリーズなわけで、つまるところ今回の「独断と偏見で選ぶキャラ文芸文庫2019」でこれらを入れてしまうと、それでセレクトが終わってしまい他の作品を入れられなくなるという、いわばオールスターなタイトル群だったりもするわけです。

 

最初は本来なら2つを併せてひとつのランキングとすべきであって、趣旨からすると邪道な方法だとも思ったのですが、実際に選ぼうと思ってリストを抽出して眺めてみたら、そこからこれらを20作品の中で削っていくのは無謀すぎて、単品作品をできるだけ拾いたい、同時にここ最近のシリーズ人気作品の動向も紹介したいという想いもあり、今回あえて2つに分けました。なおこちらも読んでいる範囲で著者さんの関連作品、注目作品・シリーズも合わせて紹介しています。

独断と偏見で選ぶキャラ文芸文庫2019 シリーズ作品編ラインナップ

 1位 小説の神様 (講談社タイガ)

小説の神様 (講談社タイガ)

小説の神様 (講談社タイガ)

 

 作家としてデビューするも酷評されて書く自信を失っていた高校生・一也が人気作家の転校生・小余綾詩凪と出会い、彼女との小説合作を提案される青春小説。重い病気の妹のためにと思いながら、厳しい評価にネガティブになりがちな一也と、小説の力を信じていて彼に辛辣な詩凪。書く楽しさを思い出してゆく一也に突きつけられた残酷な現実はとても苦しかったですが、そんな彼が完璧に見えていた詩凪の苦しみに気づき、再び向きあおうと決意する姿は応援したくなります。作品を書くことに対するとても繊細で、強い想いを感じられる素晴らしいシリーズ。現在3冊目まで刊行。

【関連作品】

小説の神様 あなたを読む物語(上)」(講談社タイガ

小説の神様 あなたを読む物語(下)」(講談社タイガ

 

2位 君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった (宝島社文庫)

  ※これはスピンアウト含めシリーズものとして扱うのか難しいところでしたが、まとめて扱うべきものと判断してこちらで選出
異様に運の悪い大学生・柏原玲二が元カノの部屋へ大切な物を取りに行き、そこに住む見知らぬ女子・磯貝久美子に不審者扱いされる最悪の出会いを果たすもう一つの物語。玲二の後輩・奈央矢と幼馴染で偶然の出会いを果たした久美子。期せずして久美子を取り巻く恋愛模様に巻き込まれてゆく玲二。誤解から始まって結果的に他人の恋の邪魔をしてしまう間の悪さが、巡り巡って容易には変わらないはずの気持ちを少しずつ動かしてゆく展開が面白いですね。久美子が自分らしさを出せる相手は誰なのか、前作とも繋がるもう一つの物語を十分に堪能できました。

【関連作品】

君に恋をするなんて、ありえないはずだった」(宝島社文庫

君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業」(宝島社文庫

【注目作品】

静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 上」(宝島社文庫

静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 下」(宝島社文庫

 

3位 これは経費で落ちません!(集英社オレンジ文庫)

 入社以来経理一筋、きっちりとした仕事ぶりで評価される森若沙名子27歳。過剰なものも足りないものもないことを理想とする生活を送る彼女が、社内外で次々と起こる経理絡みの問題に巻き込まれてゆく物語。特に噂好きでもなく、社内の複雑な人間関係からどこか一歩引いた位置にいる彼女。怖いと誤解されてしまうこともあるけれど、やや不器用なだけできちんと相手を気遣える優しさを持っていて、幸せになりたくないわけじゃないんですよね。実はみんなに慕われていて、そんな彼女がいいと言ってくれる人たちの存在に救われる物語。現在4巻目まで刊行。

【関連作品】 

風呂ソムリエ 天天コーポレーション入浴剤開発室」 (集英社オレンジ文庫)

 

4位 おいしいベランダ。  (富士見L文庫)

 ダメダメな一人暮らし生活を送る大学生の栗坂まもりが、ふとしたきっかけからベランダで植物を育てては食すお隣のイケメン園芸男子・亜潟葉二の真の姿を知り、一緒に育てるようになる物語。一人暮らしにありがちなトラブルに巻き込まれて葉ニに救われるまもり。育てたものを一緒に食べることで育まれてゆく二人の交流と、そんな葉二に変わるきっかけを与えた千鶴との再会。不安を抱えながらも自分の思いに正直になって、不器用なりに決意したまもりの奮闘ぶりや、変わってゆく葉ニのまもりを呼ぶ名前の変化だったり、そんな二人の距離感が魅力です。現在5巻目まで刊行。

【関連作品】「恋するアクアリウム。」(富士見L文庫)


5位 かくりよの宿飯 (富士見L文庫)

 奔放だった亡き祖父の借金のかたとしてあやかしの棲まう「隠世」に攫われて、老舗宿「天神屋」の大旦那に嫁入りしなくてはならないと告げられた女子大生葵の奮闘を描く物語。隠世で良くも悪くも有名人だった祖父の影響もあって、周囲の第一印象は最悪。そんな状況で嫁入り回避のために働いて借金を返そうとする葵が、あやかし好みの飯で胃袋を掴んで関係を築いていく描写がとても美味しそうで(苦笑)、人情味溢れていてとてもいいなと思いました。あやかしたちとの交流から心境を変化させていった葵と大旦那との今後も気になるシリーズ。現在9巻目まで刊行。


6位 浅草鬼嫁日記 (富士見L文庫)

浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。 (富士見L文庫)

浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。 (富士見L文庫)

 

 浅草に住み地元グルメをこよなく愛する訳あり女子高生・茨木真紀。人間なのに日々あやかし関連の厄介ごとに首を突っ込み、前世で夫だった天酒馨たちを振り回すほのぼのあやかしラブコメディ。前世が茨木童子だった真紀と前世で夫の酒天童子だった馨。生まれ変わって幸運にもまた巡り会えた二人が繰り出す以心伝心の夫婦漫才と、巻き込まれるあやかし絡みの騒動で構成されるストーリーで、切なさを時折交えながら姐さん気質の心優しい真紀と、何だかんだ言いながら彼女のために奔走する馨の安心安定の夫婦っぷりは必見(まだ夫婦じゃないけどw)現在5巻目まで刊行。


7位 京都寺町三条のホームズ(双葉文庫)

京都寺町三条のホームズ (双葉文庫)

京都寺町三条のホームズ (双葉文庫)

 

ひょんなことから京都の寺町三条の骨董品店『蔵』でバイトすることになった女子高生・真城葵が、店主の息子である京大学院生・家頭清貴(通称ホームズ)とともに客から持ち込まれる奇妙な依頼を解決していくライトミステリー。イケメン設定のいけずな京男子ホームズがちょっぴり洞察力高過ぎ?とも感じましたが、ホームズたちと過ごすうちに癒やされていく傷心だった葵の心境の変化とか、いたたまれない葵の窮地に颯爽と現れて救ってみせるホームズとの距離感が変化していく様子とかいろいろ楽しみ方があるシリーズです。現在10巻目まで刊行。

【関連作品】

「わが家は祇園の拝み屋さん」シリーズ(角川文庫)

「京都烏丸御池のお祓い本舗」シリーズ (双葉文庫)

【注目作品】
「京洛の森のアリス」シリーズ (文春文庫)

太秦荘ダイアリー」 (双葉文庫)

 

8位 閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

 

 現世に未練を残した人間の前に現われる閻魔大王の娘・沙羅。彼女がそんな彼らに願いに応じてある持ちかける生と死を賭けた霊界推理ゲーム。登場人物たちが直面する突然の暗転と、沙羅によって提示される究極の選択。読みやすいテンポよく進む展開の中にヒントを織り交ぜつつ提示されてゆく謎解き。被害者たちに容赦のない現実を突きつけながら解決する可能性も提示して、彼らにしっかり考えさせてそれぞれのエピソードを良かったなと思える結末に導いてゆく沙羅の不思議な魅力が効いています。現在3巻まで刊行。

 

9位 R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)

 

東京五輪後、災厄により中京に暫定首都が移転した世界。急速に治安が悪化する中、テロ計画を未然に鎮圧すべく総理直轄・女性 6 名の特殊捜査班R.E.D.が警察庁に設立される警察小説。いかにも著者さんが好きそうな世界観で、敵も多い傑物な女総理の下、ケチな神代を指揮官に個性豊かな異能を持つ少女たちを従え、副総理と警視総監が絡む難しい政官業巨大疑獄を追う展開。一風変わった彼女たちと上司たちの使い使われる関係も気になるところですが、破格な彼女たちの活躍は圧倒的でした。繋がった世界観の広がりも魅力のシリーズ。現在3巻まで刊行。

【関連作品】

身元不明 特殊殺人対策官 箱崎ひかり」(講談社文庫)

ヒクイドリ 警察庁図書館」(幻冬舎文庫

【注目作品】

「臨床真実士ユイカの論理」シリーズ (講談社タイガ)

「おんみょう紅茶屋らぷさん」シリーズ(メディアワークス文庫)

 

10位 契約結婚はじめました。 (集英社オレンジ文庫)

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

 

 椿屋敷で若くして隠居暮らしの柊一と契約結婚した香澄。町の相談役・柊一の元に近所から相談が持ち込まれるわけありな人々の物語。築六十年の椿屋敷という珍しい視点から綴られる穏やかで物事がよく見えるのになぜか人の機微には少し疎い柊一と、よく働き一緒に過ごすうちに柊一のことが気になってゆく可愛い香澄の関係。二人の穏やかな日常が周囲の関与により詮索しないはずの過去に触れ少しずつ変わってゆく展開は、二人が本当の夫婦に近づいてゆく過程や、周りのキャラも魅力的で様々なエピソードも楽しめるシリーズです。現在3巻目まで刊行。

【注目作品】

「下鴨アンティーク」シリーズ(集英社オレンジ文庫)
後宮の烏」(集英社オレンジ文庫)

 

11位 紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

 

 女性ながら不世出の軍人と評される将軍・関小玉33歳が、かつての相棒にして今は皇帝である文林の懇願を受けある日突然皇后となり、嫉妬と欲望が渦巻く後宮「紅霞宮」に入る物語。軍人らしいきっぱりさっぱりな性格の小玉と、皇帝として公人としての意識も持たざるをえなくなった文林。絆こそ感じられるもののお互い立場も変わり、変わってしまったところと変わらないところに戸惑い葛藤する展開でしたが、ついに覚悟を決めた小玉とそんな彼女に複雑な想いを抱いたままに見える抱く文林の距離感の変化にも注目のシリーズ。本編8巻刊行+第零幕3巻目が10/15に刊行予定。

 

12位 おとなりの晴明さん(メディアワークス文庫)

 一家で京都に引っ越してきた女子高生・桃花。隣に住んでいたのは琥珀の髪と瞳をもつ青年・晴明さん。子どもの頃出会っていて不思議な術で桃花の猫を助けてくれた晴明さんと女子高生のあやかしファンタジー。二人の前に現れる優しい鬼や京都の街を守る平安京サル会議、美の御利益をもたらす女神様たち。勉強を教えてもらうはずがいつの間にか弟子みたいな扱いで関わっていた桃花でしたけど、浮世離れした晴明さんはこれまでの作品にも登場していたあのお人で、からくさ図書館の二人や茜さんなども登場したり世界観の広がりを感じる素敵な物語です。現在3巻まで刊行。

【関連作品】

「からくさ図書館来客簿」シリーズ(メディアワークス文庫)

「あやかしとおばんざい」シリーズ(メディアワークス文庫)

奈良町ひとり陰陽師」(メディアワークス文庫)

南都あやかし帖 ~君よ知るや、ファールスの地~」(メディアワークス文庫)

【注目作品】

「京都西陣なごみ植物店」シリーズ (PHP文芸文庫)

 

13位 鍵屋の隣の和菓子屋さん (集英社オレンジ文庫)

 高校を卒業し「つつじ和菓子本舗」へ住み込み、専門学校へ通いつつ和菓子職人の修業をスタートさせた淀川多喜次。恋する男子の和菓子な日々が描かれる『鍵屋甘味処改』スピンオフ小説。看板娘・祐雨子にプロポーズするも保留され、修行でも和菓子作りに携われない多喜次のもどかしい日々。お隣のその後の様子も垣間見えたり、一歩先ゆく同年代・柴倉の出現に危機感を募らせながら、周囲で起きる和菓子絡みの事件に体当たりで挑む多喜次の頑張りを祐雨子さんも見てくれていますね。柴倉もいいライバル関係になりそうで、今後が楽しみなシリーズです。現在2巻目まで刊行。

【関連作品】

「鍵屋甘味処改」シリーズ (集英社オレンジ文庫)

【注目作品】

プランナーズ! あなたのお悩み解決します」 (角川文庫)

 

14位 ケーキ王子の名推理(新潮文庫nex)

ケーキ王子の名推理 (新潮文庫nex)

ケーキ王子の名推理 (新潮文庫nex)

 

 美味しいケーキ大好きな女子高生・未羽が、失恋直後に迷い込んだケーキ屋でパティシエ修行をしている同級生の冷酷イケメン王子・颯人に遭遇する物語。少女漫画のような設定や展開でミステリとして見るとあっさりめですが、出会った当初はお互いあまり印象が良くない二人が、夢に向かって頑張る颯人を徐々に応援する気持ちになっていったり、ケーキであっさり釣られるもののイケメンだからといって特別視しない未羽は信用できると感じたり、飾らない二人の距離感が心地良かったです。そんな二人の恋の予感も楽しみなシリーズ。現在3巻目まで刊行。

 

15位 ゆきうさぎのお品書き (集英社オレンジ文庫)

ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが (集英社オレンジ文庫)

ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが (集英社オレンジ文庫)

 

 貧血で倒れた大学生の碧が、小料理屋「ゆきうさぎ」を営む青年大樹に助けられ、バイトとしてとして働くことになる物語。母を亡くして食が細くなっていた碧や大樹が女将から跡を継ぐ前は常連だった父、お向かいの洋菓子店の兄妹やお店の常連客など、周囲の身近な人たちとの相手を思いやるような交流だったり、美味しそうな料理とらしさを取り戻した大食漢・碧の食べっぷりとか、猫の武蔵も存在感があって、心温まるような雰囲気がいいですね。大樹と碧の関係の変化も楽しみなシリーズ。現在6巻目まで刊行。

 

16位 弁当屋さんのおもてなし (角川文庫)

弁当屋さんのおもてなし ほかほかごはんと北海鮭かま (角川文庫)
 

 恋人に二股をかけられ傷心状態のまま北海道・札幌市へ転勤したOL千春。仕事帰りの彼女が路地裏にひっそり佇む『くま弁』を発見し、「魔法のお弁当」の作り手・ユウと出会う物語。悩みを抱えた一人のお客様のためだけに作るユウの裏メニュー。それによって救われてゆく常連客たち。北海道ならではの食材やお客さんの思い出のメニューに寄り添うユウが作り出すひとつだけのお弁当がとても美味しそうで、ユウ自身もまた自らのありようを見定めてゆく暖かな気持ちになれる物語でした。千春とユウの距離感も変化してゆく期待のシリーズ。4巻目が10/25発売予定。

 

17位 Bの戦場 (集英社オレンジ文庫)

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)

 

 物心ついた頃からブスで、結婚式に憧れ自分は無理でもそれを演出する人になろうと、ウェディングプランナーになった北條香澄。そんな彼女が絶世のブスと絶賛されやり手で絶世の美男子・久世課長に求婚される物語。これでもかと香澄のブスっぷりを真正面から突きつけられる展開は少なからずグサグサ突き刺さりましたが、さらに突き抜けている久世課長の存在感(苦笑)お仕事小説としても面白いですし、仕事に真摯に向き合う香澄の姿勢やその人柄が愛されているのが伺えて、何とも言えない魅力があるシリーズ。現在5巻目まで刊行。

 

18位 ぼんくら陰陽師の鬼嫁(富士見L文庫)

 バイトをクビになった挙句、住んでいた激安アパートから火事で焼け出され途方に暮れる天涯孤独の大学生・野崎芹。そんな時に近くの公園で陰陽師・北御門皇臥と出会い、破格の条件で仮嫁契約を交わす物語。童女や白虎の式神に囲まれ、知れば知るほど怪しくなってゆく北御門家の事情。知らされていなかった同居する義母の存在。それでもできることをやろうと前向きで、諸事情でぼんくら陰陽師だった皇臥をいろいろ焚きつける鬼嫁ぶりはこれからいいコンビになりそうな予感。事情が明らかになる結末もいい感じで義母との関係の変化には注目です。現在4巻まで刊行。


19位 丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。(角川文庫)

丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。 (角川文庫)

丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。 (角川文庫)

 

 本命の一流不動産会社の最終面接で大学生の澪が質問されたのは何と面接官の人数。質問した長崎次郎に霊が視えるその素質を買われ事故物件を扱う「第六物件管理部」で働くことになるオカルト仕事小説。これまで長崎一人だった「第六物件管理部」で働く澪が遭遇する数々の憑いている物件。ホラー展開が怖いわりに解決はわりとあっさりめでしたが、小心なのに暴走気味な澪に無愛想なイケメン・上司次郎、友人で霊障に敏感な爽やかイケメンの高木に霊犬・マメも相棒に加えてテンポよく読めるシリーズ。3巻目が10/25に刊行予定。

 


20位 京都伏見のあやかし甘味帖  (宝島社文庫)

京都伏見のあやかし甘味帖 おねだり狐との町屋暮らし (宝島社文庫)

京都伏見のあやかし甘味帖 おねだり狐との町屋暮らし (宝島社文庫)

 

 働いていた商社を自主退職せざるをえなくなり、帰宅したら結婚予定の彼氏と見知らぬ女に遭遇したれんげ29歳。憤怒しつつも傷心のれんげが未踏の地・京都へ旅立ち、そこでおっとり系大学生とおしゃべりな黒狐と出会う物語。少し気が強くて不器用だけれど根は優しいれんげ、密かに和菓子大好きな虎太郎、ちゃっかりれんげと契約する伏見稲荷の神使・クロの軽妙な掛け合いと、時折衝突しながら少しずつ打ち解けて絆めいたものを育んでいく展開や、章の合間に挿入されている虎太郎の京都甘味レポもなかなか良かったですね。3巻目が10/4刊行予定。

 
今回初めてで試行錯誤の末にこうなりましたが、次回があるようならその辺どうするのかまた考えたいと思います。