読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2019年11月に読んだ本 #読書メーターより

うーん、久しぶりに今月は読めなかったと思った11月でした。コミック込みとはいえ月90冊切ったのも、活字本の方で月60冊切ったのも久しぶりです。やはり月初の連休と中盤以降はまたもや予定外の異動した人の仕事引き継いだり、土日もいろいろ用事が入って忙しすぎました...orz 

 

とはいえ読んだ本自体はわりと楽しい本をたくさん読めたので充実してました。仲町六絵さんのPHP文芸文庫「京都西陣なごみ植物店」が完結。そしてどうなるのか心配していたガガガ文庫やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」も短編集出るようですが14巻で一区切りとなりました。「うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。」も大人の事情でもう一冊出てましたね(苦笑)「珈琲店タレーランの事件簿」も続刊出るとは思ってませんでしたが、とりあえず一区切りつきましたね。


GA文庫最弱無敗の神装機竜」も次巻で完結とのこと。若木未生さんの「ハイスクール・オーラバスター・リファインド」も終わりに向かっているのは感じますが、しっかりと終わらせることができるか。オーバーラップ文庫友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ?」は個人的に期待しているシリーズなので、青春小説苦手なレーベルですけどぜひ頑張って欲しいですね。応援してます。

 

11月の読書メーター
読んだ本の数:86
読んだページ数:21373
ナイス数:5682

ベーシックインカムベーシックインカム感想
AI、遺伝子操作、VR、人間強化、ベーシックインカム。未来で技術・制度が実現したとき何が起こるのか、そのひとつの可能性を描いた近未来SFミステリ短編集。日本語を学ぶために幼稚園で働くエレナが気になった言葉、豪雪地帯に残された家族と父親の奇妙な遺体、VR映画を観た妻が突然失踪した理由、視覚障害の娘が人工視覚手術で知る真実、ベーシックインカムを肯定する教授の預金通帳が盗まれた理由。確かにこれはそんな未来が実現したからこそ起きた事件で、けれどその鍵を握るのが人の複雑で繊細な心理だったりするのが面白かったですね。
読了日:11月01日 著者:井上 真偽
(P[あ]8-6)もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)(P[あ]8-6)もうヒグラシの声は聞こえない (ポプラ文庫ピュアフル)感想
高校最後の夏休み。元競泳部で市民プールで監視員のバイトをすることになった島津満。そんなある日競泳選手用の水着を付けながら無表情で淡々と水中でもがく少女「ひぐらし」と出会う青春小説。「ひぐらし」と名乗る彼女につい声を掛けてしまい泳ぎや自転車、逆上がりを教える日々と、なかなか打ち解けない彼女が抱えていた秘密。もしそうなったらどうするのか、「ひぐらし」の絶望も浅野の決意も、諦めたくない満の想いも理解できるから複雑な気持ちになりましたけど、それでもかすかに残った淡い繋がりとこれからの未来を信じてみたくなりました。
読了日:11月01日 著者:青谷 真未
きみの正義は 社労士のヒナコきみの正義は 社労士のヒナコ感想
社労士資格をとって小さな社労士事務所の一員として働く朝倉雛子。自分が誰の味方になるべきか、そんな悩ましい案件ばかりが舞い込む第二弾。無期雇用への転換を渋る経営者、年齢を偽っていた未成年従業員のけが、残業代を申請しない雇われ書店店長、出張中に女上司から受けたセクハラ、介護問題で時短を望む社員の問題。複雑な事情だったり人間関係もあったりする一方で、面倒なことは極力避けたい経営者の想いも働いて、杓子定規に法令を遵守すれば解決するようなものでもなくて、その中でどうすればいいのかきちんと考えていくことが必要ですね。
読了日:11月02日 著者:水生 大海
世界の本屋さんめぐり (私のとっておき)世界の本屋さんめぐり (私のとっておき)感想
荻窪のブックカフェ「6次元」店主によるアジア、ヨーロッパ、アメリカ、南米など世界35ヵ国の本屋を紹介した世界の本屋案内。各国の出版事情に触れつつ、イラスト付きで訪れた書店や図書館の話を綴った一冊で、書店バブルに沸く中国、いろいろ複雑そうな東南アジアの国々、アジアをリードする台湾、成熟した文化を感じさせるヨーロッパの国々、その中で反アマゾン法を作ったフランスや、国土が広すぎて物流的に電子書籍が主流になりつつあるロシアとか、また状況が変わりつつあるアメリカ、南米もまた独特な感じがあったりで興味深く読めました。
読了日:11月03日 著者:ナカムラ クニオ
(P[は]2-5)谷中の街の洋食屋 紅らんたん (ポプラ文庫ピュアフル)(P[は]2-5)谷中の街の洋食屋 紅らんたん (ポプラ文庫ピュアフル)感想
就職活動がうまくいかず気落ちしていた奈留美が、美容室で話を聞き谷中の小さな洋食屋「紅らんたん」でアルバイトとして働き始める物語。店の客は近くに住むお年寄りがほとんどで、厨房担当の真崎さん・かなり年上の千佳さんとともに働く中で見えてくる、常連客たちの様々な事情。その年齢ならではの難しい人間関係が絡む問題の数々を、ぴりりと辛口な千佳さんの推理とそれをフォローする奈留美という役回りで解決してゆく展開でしたが、終わってみれば読後感の悪くない結末で、関連しているらしい『ことづて屋』シリーズがちょっと気になりました。
読了日:11月04日 著者:濱野 京子
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。9 (HJ NOVELS)うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。9 (HJ NOVELS)感想
幸せに包まれた結婚式の後、新婚旅行に出かけたデイルとラティナ。15歳のデイルがケニスと冒険者パーティーを組んでいた時の話など、過去・現在・そして未来へと紡がれていく短編集第九弾。本来なら前巻で完結だったはずが、アニメ化もあったりで大人の事情で刊行された短編集のようですが、ラティナにベタ甘なデイルや、デイルとケニスの出会いだったり、リタへのプロポーズエピソードや、牧場見学で見せたラティナの意外な表情などの一方、二人で長く生き続けることの切なさも綴られていて、これはこれでなかなか興味深く楽しめた短編集でした。
読了日:11月04日 著者:CHIROLU
陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)陰陽師と無慈悲なあやかし (小学館文庫キャラブン!)感想
いつか一人前の陰陽師になることが夢の陰陽寮の童顔な新米役人・大江春実。うっかり召喚した美形のあやかし・雪羽に取り憑かれながら左大臣家で起きた怪事件に挑む物語。先輩の頼尚ととともに左大臣の邸・万華院へと向かい、雪羽に振り回されながらも幼い七姫に出会った春実が、頓死した使用人の男の事件の謎を追う展開で、万華院に住む人々が抱える複雑な想いが垣間見えましたけど、事件の真相はちょっと意外な結末でした。今回親交を深めた七姫との今後や謎も多い雪羽との関係が気になるところですけど…もし続巻あるならまた読んでみたいですね。
読了日:11月05日 著者:中村 ふみ
派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫)派遣社員あすみの家計簿 (小学館文庫)感想
自称飲食店社長の恋人に騙され、正社員として勤めていた会社を寿退社してしまった藤本あすみ、28歳。彼が姿を消し高額なカードの支払いだけが残ったあすみが、親友に説教され、ルーズな生活を立て直すべく奮闘する物語。正社員の当たり前はかけがえのないものだった…買いたいものも買えず、派遣社員としてすらなかなか次が決まらず、日雇いで稼ぐ日々はしんどいものがありますよね。すっかり生き方が変わったように見えた彼女の相変わらずな一面も垣間見えましたけど、そんな憎めないあすみがいつか幸せになれればいいなと応援したくなりました。
読了日:11月05日 著者:青木 祐子
プリンセス刑事 生前退位と姫の恋 (文春文庫)プリンセス刑事 生前退位と姫の恋 (文春文庫)感想
日本各地で起こる連続爆弾テロ事件。それを憂う日奈子と、彼女を見守りつつその気高さに日々心打たれる先輩刑事の芦原が事件解決に挑む第二弾。連続爆弾テロ事件と、そこに見え隠れする隣国エニシの王子の存在。それに女王の生前退位や王位継承権の見直しといった問題も出てきてなかなか興味深い展開でしたが、そんな中での思い切った決断から見えてきた解決の道が、これからの展開にいろいろ影響を及ぼしてくるんですかね。相変わらず尊い日奈子と彼女のために奮闘する芦原のお互いリスペクトするような関係も今後が気になるところではあります。
読了日:11月06日 著者:喜多 喜久
スーパーカブ5 (角川スニーカー文庫)スーパーカブ5 (角川スニーカー文庫)感想
高校卒業も間近の1月。3か月後に迫った大学生活の目途も立ちった小熊。新生活に向けた準備に余念がない彼女が、まさかのバイク事故に遭遇してしまう第五弾。入院期間は5週間。初めての入院、初めての手術。同じ病室になった3人の個性的な女性たち。すっかりハードボイルドなバイク少女になった感があった小熊でしたけど、そんないいことばかりが続くわけでもなくて、まさかの入院によって生活が一変する様子はなかなか興味深ったです。それでも自分が事故ってもカブのあるのが当たり前の生活に微塵もブレがない小熊は流石だと思いました(苦笑)
読了日:11月06日 著者:トネ・コーケン
珈琲店タレーランの事件簿 6 コーヒーカップいっぱいの愛 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 6 コーヒーカップいっぱいの愛 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
ある日突然倒れて狭心症を発症し、手術を受けなければならなくなったタレーランのオーナー・藻川。すっかり弱気になった70歳の彼が、美星に四年前に亡くなった妻の生前の謎の行動の理由調査を依頼する第六弾。藻川がカップを割ったことをきっかけに妻が一週間家出した真相。アオヤマたちと向かい日本三景のひとつ天橋立や浜松での出来事。それによって明らかになったいくつかの過去があって、いつもながらの意外な結末もありましたけど、今回の結末でいったんとりあえず一区切りということなんですかね。でもまた続巻あるなら読んでみたいです。
読了日:11月07日 著者:岡崎 琢磨
定価のない本定価のない本感想
終戦から一年。復興を遂げつつあった神田神保町で、古書の山に圧し潰されて死んだ古書店主・芳松。事後処理を引き受けた琴岡庄治が芳松の不自然な死に気づき、そこから始まる古書店主たちの終わらない戦いを描いた物語。行方を眩ませる被害者の妻、注文帳に残された謎の名前、名もなき古書店主の死を巡る探偵行の先にあった暗躍するGHQの壮大な計画。登場した意外な人物もいい感じに効いていて、追い詰められながらも大切なもののために反撃の道を探り続けて、仲間の古書店主たちとともに戦ってみせた庄治たちの意地とその結末は圧巻でした。
読了日:11月08日 著者:門井 慶喜
それってパクリじゃないですか? ~新米知的財産部員のお仕事~ (集英社オレンジ文庫)それってパクリじゃないですか? ~新米知的財産部員のお仕事~ (集英社オレンジ文庫)感想
群馬の中堅飲料メーカー「月夜野ドリンク」の知的財産部に異動になった亜季が、親会社から出向してきた弁理士資格持ちの上司の北脇とともに、商標乗っ取り、パロディ商品、特許侵害といった知的財産のトラブルを解決するお仕事小説。悪徳企業に訴訟を起こされそうになった服飾ブランドを営む親友、自社製品のロゴを改変したパロディ商品の発覚、イラストレーターとのトラブルや、社運をかけて開発してきたお茶の発売中止の危機と、みんなが努力して開発した汗と涙の結晶の技術を守るために奔走する知的財産の様々な仕事をとても興味深く読めました。
読了日:11月08日 著者:奥乃 桜子
俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 (角川スニーカー文庫)感想
ド底辺を自覚してバイト漬けの自堕落な一人暮らしを送る高校生・常盤木翔和。ある日同じ学年の癒し系美少女・若宮凛を空腹から救ったことがきっかけで懐かれてしまう青春ラブコメ。最初はポテトで?とも感じましたけど、ドーナツ好きもあったのかバイト先に通うようになった凛に懐かれながら、二人の距離感に配慮する翔和がいつもと違って珍しかったんですかね(苦笑)意外にぐいぐい来る凛に友人カップルの後押しもあって、頑張りつつも勘違いしないようにと必死な翔和と宣戦布告した凛の微笑ましい関係をこれからも見守っていきたいと思いました。
読了日:11月08日 著者:紫ユウ
三角の距離は限りないゼロ4 (電撃文庫)三角の距離は限りないゼロ4 (電撃文庫)感想
秋玻と別れてからすっかりらしさを失ってしまった矢野。そんな中迎えた修学旅行で彼を取り戻すため、秋玻と春珂が決意を固める第四弾。これまで知り合ってきたキャラたちも交えた修学旅行は、最初秋玻や春珂の思うようにはいかず若干空回り気味でしたけど「読者と主人公と二人のこれから」の二人がいい感じに効いてましたね。仲間に背中を押されて向かった思い出の場所。そこで明かされた矢野の複雑な想いに覚悟を見せたことで停滞していた関係を変えられるのか。これからもまだいろいろありそうですが、今後の展開が改めて楽しみになってきました。
読了日:11月09日 著者:岬 鷺宮
エロマンガ先生(12) 山田エルフちゃん逆転勝利の巻 (電撃文庫)エロマンガ先生(12) 山田エルフちゃん逆転勝利の巻 (電撃文庫)感想
恋人同士になったマサムネと紗霧。そんな二人の前に、エルフが現れ、ここからの逆襲を宣言する第十二弾。エルフが次々と繰り出してくる様々な秘策によって変わり始める紗霧、同人誌制作で熱い想いをぶつけ合う中、突然訪ねてきたエルフの母。最初はエルフのやっていることは迂遠に思えてましたけど、似た者同士な母親との対峙も交えてその真意が見えてくると、なるほどこれは確かに効果的だなと納得してしまいました...よく見ていて、全てを手に入れようとするエルフは恐ろしい子(苦笑)いやほんとどうなるのか、続巻が楽しみになってきました。
読了日:11月09日 著者:伏見 つかさ
しねるくすりしねるくすり感想
10年の浪人期間を経て薬科大に入学した数納薫と、12年もの浪人生活をまるで青春を謳歌するかのように過ごした芹澤ノエル。心許せる関係だった芹澤の突然の自殺の真実を探る物語。二人の関係が変わるきっかけとなった芹澤の恋人・由乃に対する複雑な想い、調べるうちに明かされてゆく芹澤の意外な過去。並行して描かれてゆくたった一錠で確実に死ぬことができる薬で死に導いているのは誰なのか。事実が明らかになるたびに見える構図が変わっていって、人を救うということはどういうことなのか、いろいろ考えさせられる印象的な結末の物語でした。
読了日:11月10日 著者:平沼 正樹
虎を追う虎を追う感想
30年前に起きた連続幼女殺人事件。刑事を引退した後もこの事件には真犯人がいるのではとずっと感じていた星野誠司が、孫である大学生の旭とその友人・哲に協力を仰いで事件を再び追う物語。孫たちの協力も得てSNSや動画投稿サイトも駆使し冤罪事件の真相解明を目指す星野班。そしてそんな彼らの活動に反応する真犯人「虎」。遺族など関係者への配慮や世論を巻き込んで事態を動かしていく手法の是非は難しいものがありますが、それでも緊張感のある展開はなかなか読ませるものがあって、物語を締めくくるエピローグにまたゾッとさせられました。
読了日:11月11日 著者:櫛木 理宇
京都西陣なごみ植物店 4 「豊臣秀吉に背いた桜」の謎 (PHP文芸文庫)京都西陣なごみ植物店 4 「豊臣秀吉に背いた桜」の謎 (PHP文芸文庫)感想
両親の状況も変わる中「和の植物の博物館」を作りたいという夢を抱く実菜。彼女の祖父ダイゴ種苗社長が資金援助の条件として謎を提示する第四弾。葡萄とリスが描かれた掛け軸に妻が涙した理由、ミノルの友達・久美の母の実家から出てきた籠の真相、雪伸が幼い頃祖父と共に見た山、豊臣秀吉北野大茶湯を一日で中止にした理由。今回は最終巻ということでやる気を見せた花弥の縁や神苗と実菜のこと、雪伸の何とも複雑な心情がとても印象的でしたが、それぞれの想いや今後を各エピソードに絡めながら描いた素敵な結末でした。次回作も期待しています。
読了日:11月12日 著者:仲町 六絵
太秦荘ダイアリー(3)-夏の日のアオハル (双葉文庫)太秦荘ダイアリー(3)-夏の日のアオハル (双葉文庫)感想
長年の夢に挑戦するために、京都舞台のアニメの声優オーディションを受けることを決意したミサ。同じ頃、太秦映画村で学校も年齢も関係なく参加できる文化祭『灼熱! 文化甲子園!!』が開催される第三弾。オーディション当日、思わぬトラブルに見舞われたミサ、参加を決めた文化祭の開催日も近づいてきたある日『太秦探偵ミモザ』に舞い込んできた二つの依頼。文化祭に向けて友人たちとわいわい盛り上がったり、親友の成長に焦りを感じたり、そこから前向きな気持ちになったり、彼女たちが経験を積んで成長していく姿が青春っぽくて印象的でした。
読了日:11月12日 著者:望月麻衣
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 10.嵐の後、嵐の前 (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 10.嵐の後、嵐の前 (HJ文庫)感想
カルチェラタンでの騒動もひと段落し、王国とマスターの関係も改善の方向へと進む中、それぞれのその後が描かれる第十弾。なんだかやたらと周囲に(ヤバイ)デンドロ仲間ばかりが集まってゆく玲二の楽しい大学生活は果たして大丈夫なのか?とか、どこまでも進化してゆくレイの暗黒武装化には笑いましたけど、新たに超級を師にレベルアップを図る相変わらず中二言動なユーゴーなど、犯罪王関連エピソードあれこれは次巻以降に向けた布石でしょうし、今回は今後に向けた繋ぎの展開がメインでしたかね。ここからまた展開が大きく動きそうな続刊に期待。
読了日:11月12日 著者:海道左近
金継ぎの家 あたたかなしずくたち (幻冬舎文庫)金継ぎの家 あたたかなしずくたち (幻冬舎文庫)感想
割れた器を修復する「金継ぎ」を仕事とする千絵。進路に悩みながらその手伝いを始めた孫の真緒が漆のかんざしを見つけ、それをきっかけに二人で千絵の故郷・飛驒高山へと千絵の記憶をたどる旅に出る物語。二人が思い切って出かけた旅の中で千絵が思い出してゆく、複雑な想いも絡む過去の記憶。真緒に助けられながら向かった過去の気がかりに向き合う旅では、様々な出会いがあったり漆に関わる現状もあって、それに単身赴任中だった真緒の母・結子との関係も絡めながら、母から娘そして孫へと確かに受け継がれてゆく温かな想いが印象的な物語でした。
読了日:11月13日 著者:ほしお さなえ
友達の妹が俺にだけウザい3 (GA文庫)友達の妹が俺にだけウザい3 (GA文庫)感想
夏休みに突入し、部屋に入り浸る気満々の彩羽と彼女ヅラで押しまくる真白の猛攻がますます加速する中、とある事情から明照が紫式部先生との結婚を決めたことでさらにカオスな状況になってゆく第三弾。二人のバカップ狂言がものの見事に空回りして苦笑いでしたけど、それに心穏やかでいられないヤンデレ気味の真白と、真白との関係にもいろいろモノ申したい感じな彩羽の反応が微笑ましかったですね。一方で見えてきた5階同盟の在り方に対する課題や、今回でいろいろ出来てた伏線が今後の展開でどのように活きてくるか気になるところではあります。
読了日:11月13日 著者:三河ごーすと
紅霞後宮物語 第零幕 四、星降る夜に見た未来 (富士見L文庫)紅霞後宮物語 第零幕 四、星降る夜に見た未来 (富士見L文庫)感想
母の喪に服するために実家に帰ってきた小玉。兄嫁とその息子に再会した彼女が、現れた元許婚から復縁を迫られたり、意外な展開を迎えてゆく前日譚第四弾。いろいろな行き違いがあった丙の残念なエピソードや、復縁を迫る元許婚、小玉の実家なのに馴染み過ぎな清喜や文林の誤解には苦笑いでしたけど、一方で幼馴染でもあった兄嫁の存在とか、そんな彼女が老婆から告げられた小玉の未来だったり、そういえばそんな設定があったなと読んで思い出した清喜のエピソードの切ない結末とかもあったりで、終わってみれば少ししんみりとした気分になりました。
読了日:11月14日 著者:雪村花菜
最弱無敗の神装機竜《バハムート》19 (GA文庫)最弱無敗の神装機竜《バハムート》19 (GA文庫)感想
『聖蝕』による、世界崩壊の危機を食い止めたルクスたち。死闘の傷を癒すためささやかな休息の宴を開く中、ルクスは世界改変の黒幕である強大な敵を討つか否か、重大な選択を迫られる第十九弾。大聖域に残された、フギルも知らない千年前の記録の真相と、救世に懸けた皇女アーシャリアの想い。全てを知ったルクスたちが挑む『始まりの英雄』フギルとの決戦。少女たちと戦った総力戦でしたけど、その勝敗を分けたのは最後まで諦めないルクスと彼を信じて戦った彼女たちとの絆でしたかね…。次巻が最終巻で丸々一冊使ったエピローグに期待しています。
読了日:11月14日 著者:明月千里
京都祇園もも吉庵のあまから帖 (PHP文芸文庫)京都祇園もも吉庵のあまから帖 (PHP文芸文庫)感想
京都花街を舞台に、わけあって今は祗園で甘味処「もも吉庵」を営む元芸妓のもも吉と、その娘で個人タクシーを営んでいる元芸妓の美都子が出会った人々との交流を描く連作短編集。舞妓になるため十五歳で祗園へやってきた少女、仕事にすっかり自信をなくしてしまった社長秘書、妻を亡くして一人京都を旅する夫、電車で出会った高校生二人の恋など、冒頭のエピソードもあって美都子がややキツイ印象に思えましたけど、そんな母娘が出会った人々のわだかまりに真摯に向き合い、時には厳しく時には優しく解きほぐしてゆく温かさが心に響く物語でした。
読了日:11月15日 著者:志賀内 泰弘
閻魔堂沙羅の推理奇譚 金曜日の神隠し (講談社タイガ)閻魔堂沙羅の推理奇譚 金曜日の神隠し (講談社タイガ)感想
母が殺人犯という過去を消しデザイナー業と子育てを両立する律子。そんな彼女の前に母に金を貸したという男と縁を切ったはずの母が現れ、築いた地位と娘との日常を脅かされるようになってゆく第六弾。今回は連作短編形式ではなくひとつのエピソードを掘り下げてゆく展開で、母親に人生を振り回され仕事でも悩みは尽きなくて、娘に頭を悩ませる律子さんのままならなさは、追い詰められ余裕がなくなっていくと余計に厳しいですね。さすがに何もなかったことにはできなかったようですけど、そんな彼女がやりなおせる未来があったらいいなと思えました。
読了日:11月15日 著者:木元 哉多
スガリさんの感想文はいつだって斜め上 2 (5分シリーズ+)スガリさんの感想文はいつだって斜め上 2 (5分シリーズ+)感想
不思議な女子高生スガリさんと、気弱な家庭科教諭の直山先生が立ち上げた読書感想部。部に期待の大型新人とライバル司書も加わって、斜め上なスガリさんの感想文をヒントに巻き起こる事件を解決する第二弾。今回のお題は学園に渦巻くイジメと、バイト先で発生した失踪事件の真相。周囲には強引な人たちばかりの気弱な直山先生は、相変わらずいろいろ振り回されて大変でしたけど、ようやく苦境を乗り越えた新入部員も加わって、けれどスガリさんの不穏な諸事情も時折垣間見えたりで、それが今後の展開にどう関わってくるのか続巻に期待ということで。
読了日:11月16日 著者:平田駒
茉莉花官吏伝 七 恋と嫉妬は虎よりも猛し (ビーズログ文庫)茉莉花官吏伝 七 恋と嫉妬は虎よりも猛し (ビーズログ文庫)感想
珀陽に想いを告げられた茉莉花の返事。珀陽にとあるお願いをされた結果二人で夜市に出かけ、そこで探しものをしているわけありの異国人と出会う第七弾。とっさの茉莉花の返事とか、薄々察する周囲の反応には苦笑いでしたけど、なのにお出かけでは精いっぱいのおしゃれをする茉莉花の乙女っぷりとか、あれはちょっと複雑過ぎて珀陽でも難しいですよw ラナーシュは思惑もあって冷静な感じでしたけど、とりあえず遠回りこそしたもののお互い真意も確認したし、成就するために頑張っちゃいそうな気がするのでとりあえず叉羅国編に期待ということで。
読了日:11月17日 著者:石田 リンネ
魔法使いと契約結婚(2)-あぶない後輩とやきもちな旦那様 (双葉文庫)魔法使いと契約結婚(2)-あぶない後輩とやきもちな旦那様 (双葉文庫)感想
キリヤが提供する掃除の行き届いた家とおいしいごはんに幸せな毎日を送っていた深月。しかし部署にやってきた新人の問題児・ヒロミの教育係に任命されて状況が一変する第二弾。突然の深月妹襲来からのドタバタ劇、チャラい後輩のヒロミに振り回され、さらにはキリヤの初恋の人も現れてと、なかなかいい感じになってきた二人でも、不器用であやふやなままだと少しかき回された時、こんな簡単にすれ違っちゃうんですね。でもだからこそ気づけた自らの中の想いがあって、お互いに思っていることをきちんと伝えられてよかったです。続巻に期待してます。
読了日:11月17日 著者:三萩 せんや
ハイスクール・オーラバスター・リファインド 千夜一夜の魔術師 the magician (トクマノベルズ)ハイスクール・オーラバスター・リファインド 千夜一夜の魔術師 the magician (トクマノベルズ)感想
幻将・皓の策を何とか打ち砕き、瀕死の状態で何とか救い出したものの、未だ眠り続ける里見十九郎。両者の戦いに終止符が打たれる時が近づくシリーズ復活第三弾。眠り続ける里見十九郎を巡って交差するそれぞれの想い、路地裏のレストラン「シェヘラザード」を舞台とする不可思議な契約。西城の赤い糸エピソードや変わりつつある希沙良だったり、里見の複雑な心境や、忍と諒の関係とか、昔の話を思い出したり様々な変化に思いを巡らせながら読んでいますが、この物語も確実に終わりに向かっているのを感じますね。最後まできちんと見届けたいです。
読了日:11月18日 著者:若木未生
昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)感想
平凡なサラリーマン・藤堂光弘。夫を愛する専業主婦・藤堂咲奈。誰もが羨む幸せな夫婦の二人が、妻の不貞と夫の裏の顔にそれぞれ気づき、互いの殺害計画を練りはじめる物語。夫パートを藤石波矢さんが、妻パートを辻堂ゆめさんが担当し競作する愛と笑いとトリックに満ちた「殺し愛」のストーリーで、勘違いがものの見事にハマってお互い疑心暗鬼になってゆく中、仲良かった相手を殺そうと巧妙な殺人計画を練るようになってゆく二人。そこに至る前に前に気づけなかったのか…とも思いましたけど、そのコメディめいた展開はなかなか楽しかったですね。
読了日:11月18日 著者:藤石 波矢,辻堂 ゆめ
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (14) (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (14) (ガガガ文庫)感想
奉仕部の勝負も決着。三年生が卒業式を迎え、ブロム開催も決まる中、取り返しがつかないほど歪んでしまった関係、故意にまちがう自らの青春を終わらせるために八幡が動き出す第十四弾。懐かしさを覚える二人の以心伝心なやりとりもあって、けれどこれまで通りでいることの難しさを痛感する二人だからこそ、ここであえて一歩を踏み出す必要があったんですよね。不器用な二人の面倒くさい関係には苦笑いでしたが、新たな出会いも紡がれつつ変わらない想いもあって、ようやくの完結でしたけど、いつかまたこの続きをどこかで読んでみたいと思いました。
読了日:11月19日 著者:渡 航
ネット絵史 インターネットはイラストの何を変えた?ネット絵史 インターネットはイラストの何を変えた?感想
アナログからデジタルへ、個人サイトからSNSへ、そして平成から令和へと時代が進むなかで、イラストを取り巻く環境はどのように変化したのかを振り返った一冊。Yahoo!BBADSLの爆発的普及やYahoo!ジオシティーズはてなアンテナRSSリーダーお絵かき掲示板、そしてpixivやソーシャルゲームの誕生に伴うイラストの需要爆発など、ネットの発展や変遷とともにネットで扱われるイラストの変遷が語られていて、描き手やそれを支える企業のインタビューも10本あって、インターネット史としても興味深く読みました。
読了日:11月19日 著者:虎硬
雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)感想
花の郷の王・異花王の妹の身代わりとして黒金の大王のもとへ輿入れ命じられた少女・日奈。輿入れのため身を清めていた川で川彦と名乗る男と運命的な出会いを果たす和風ファンタジー。異花王のために生きてきた日奈と、自分の意思のない結婚に納得いかない川彦が彼女を攫って始めた彼女の見聞を広めるための旅。多くのものを見聞きした日奈は何が正しいのか分からなくなって、川彦にも向き合うべき役割があって、異花王にも彼なりの正義があって。運命に翻弄されつつもそれに向き合う彼女が今後どのように成長してゆくのか期待の新シリーズですね。
読了日:11月20日 著者:我鳥 彩子
冴えない彼女の育てかた Memorial2 (ファンタジア文庫)冴えない彼女の育てかた Memorial2 (ファンタジア文庫)感想
今では入手困難な短編を完全収録。そして劇場版設定画や劇場版のための原作者インタビューに加え、総監督・キャストインタビュー、「blessing software」初の商業仕事を収録した書き下ろし小説などのファンブック第二弾。相変わらずヒロインたちの魅力あふれる特典小説は特段集めていない自分には助かりますし、映画公開を意識したSSやネタバレ上等のインタビューやらには何というか苦笑いしかないですけど、二年後を描いた初仕事の顛末はいかにもそうなってそうな感じが微笑ましい、冴えカノらしさ満載のファンブックでした。
読了日:11月20日 著者:丸戸 史明
お隣さんと始める節約生活。 電気代のために一緒の部屋で過ごしませんか? (ファンタジア文庫)お隣さんと始める節約生活。 電気代のために一緒の部屋で過ごしませんか? (ファンタジア文庫)感想
一人暮らしの高校生の間宮哲郎が、高校の先輩でもある同じ境遇の隣人山野さんが似たような境遇であることを知り、一緒に節約生活を始めてみる青春ラブコメディ。高校がバイト禁止という状況で、もう少し遊ぶお金を確保するには節約しか選択肢がない似たような境遇にいる二人。最初は自作の弁当を比べたり巨大なパンをシェアしたり、電気代を減らすために夏休みを一緒に過ごすようになったり、ベタながらも日常にあるドキドキの積み重ねから、お互いのことを少しずつ意識してゆく展開がいいですね。そんな二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。
読了日:11月20日 著者:くろい
友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 2 (オーバーラップ文庫)友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 2 (オーバーラップ文庫)感想
優児と『ニセモノ』の恋人を演じ、人目をはばからずイチャイチャしてくる冬華。そんななか優児を認めてくれない一人である冬華と春馬の幼馴染・葉咲夏奈から呼び出される第二弾。待っていた夏奈が放った台詞の真意。なかなか素直になれないまま、彼女と距離を置いていた冬華が抱く複雑な想い。周囲から怖がられている存在ゆえのまさかそんなはずがないと思い込み、勘違いがものの見事にハマる展開でしたけど、失われていた絆もようやく復活の兆しを見せて、宣戦布告によってどうなるのか、先生もちょっとあれな気もしますし今後の展開が楽しみです。
読了日:11月21日 著者:世界一
異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)異修羅I 新魔王戦争 (DENGEKI)感想
魔王が死んだ後の世界。魔王さえも殺しうるありとあらゆる種族、能力の頂点を極めた修羅達がさらなる強敵を、本物の勇者という栄光を求め、新たな闘争の火種を生み出すファンタジー異世界の剣豪、神速の槍兵、鳥竜の冒険者、一言で全てを実現する全能の詞術士、不可知でありながら即死を司る天使の暗殺者など、修羅たちの背景が綴られて、黄都と新公国を巡る争いの中で彼らが激突して、本物の勇者を決めるという意味でも熱い戦いを繰り広げてゆく先に何が待っているのか、一巻自体が壮大なプロローグといった感じで続巻の展開に期待したいですね。
読了日:11月21日 著者:珪素
真壁家の相続 (双葉文庫)真壁家の相続 (双葉文庫)感想
大学生の真壁りんに届いた祖父の死の知らせ。急いで葬儀会場へ向かうと一人の青年が現れ、彼が祖父の「隠し子」と名乗ったことを皮切りに、相続の話し合いは揉めに揉めてゆく物語。祖父が遺した小さな家と預金のみの相続を巡る、寄り付かなった長男夫婦、独り身でデザイナーの長女、事実婚の次女たちの醜い争い。こういう時末っ子だった夫が失踪した後も同居して介護していた妻とか立場弱いんですね…話としては妥当なところに落ち着いた感もありましたけど、終わってみれば弱い立場だったりんの母が一番したたかだった…とても勉強になりました。
読了日:11月22日 著者:朱野 帰子
このライトノベルがすごい! 2020このライトノベルがすごい! 2020感想
今年はランキング掲載のうち総合で31/40冊、新作で18/24冊は読んでました。自分は好みでないものはもう無理して手を出していないので、カバー率的にはこんなものですね(苦笑)アンケート参加者4831名の77.2%が年間50冊以下という状況でしたが、今回ランキングに新作がだいぶ入っていて変化の兆しが感じられました。10代の投票もかなり増えていたようで、もう少し時間が経過していくと傾向がまた変わってくるかもしれないですね。今年は10年代最後の刊行ということもあり、2010年代ベストがなかなか興味深かったです。
読了日:11月22日 著者: 
探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)感想
完全無欠に巻き込まれ体質で天使のように美しい探偵・シエスタの助手だった君塚君彦。その探偵と死に別れ高校生になり、日常というぬるま湯に浸っていた彼が一人の少女と出会う物語。ひとを探してほしいという依頼を持ってきた同級生・夏川渚、三十億のサファイアが盗まれるのを防いで欲しいというアイドル・斎川唯、そして探偵のかつての弟子・シャーロット。彼女たちと出会いが探偵の死によって止まっていた君彦の時間を動かし始めて、この一冊自体がまるごとプロローグでしたけど、彼らがこれからどんな活躍を見せてくれるのか今後に期待ですね。
読了日:11月22日 著者:二語十
消えてください (メディアワークス文庫)消えてください (メディアワークス文庫)感想
ある雨の日、橋の上でサキと名乗る美しい幽霊に出会った泉春人が、自分を消してほしいと願う彼女と消すために日々を共に過ごしていく物語。全てが息苦しかった高一の夏。そんな中で彼女と過ごす時間は確かな変化で、けれど彼女に対する戸惑いも確かにあって。サキの過去が明かされてゆくエピソードの先にあった二人の関係にはまた違った印象もあっただけに、最後は唐突であっけないようにも思えましたけど、サキの心情がどのように変わったのか、そして最初に決めたルールも意外とポイントだったのか、その分岐点をいろいろ考えたくなる結末でした。
読了日:11月22日 著者:葦舟 ナツ
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集1本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集1感想
WEB掲載の閑話やSS、「第一部 兵士の娘」から「第四部 貴族院の自称図書委員IV」までの特典SSなど、今まで単行本に未収録の短編計21編をまとめた一冊。幼いころから貴族院にいる最近にいたるまでのローゼマインの周囲にいた人々の視点から語られるマイン像や、個々人の心情が描かれているエピソードがたくさん載っていて興味深かったです。個人的にはハルトムートやユクストスの狂信っぷりや、シャルロッテの何とも複雑な心情、あと地味にフィリーネ視点のダームエルがカッコ良くて、これだと惚れるのも仕方ないなと思いました(苦笑)
読了日:11月23日 著者:香月美夜
印刷ボーイズは二度死ぬ印刷ボーイズは二度死ぬ感想
GetNavi webで人気の漫画連載をもとに書籍化した「いとしの印刷ボーイズ」の続編第二弾。できる新入社員も入社して、Illustratorのバージョンアップへの対応だったり、フォントのアウトライン化、お客のイメージする色が出ない、校正の赤字がそのまま印刷、製本を巡る様々なトラブル、印刷前のダミー掲載から、書店で不良本を他人事と思えずつい買ってしまう習性だったり、大手と下請けのヒエラルキーを起因とする絶体絶命な危機の到来などをマンガで分かりやすく解説していて、今回もなかなか興味深い内容を楽しめました。
読了日:11月24日 著者:奈良 裕己
ネットは社会を分断しない (角川新書)ネットは社会を分断しない (角川新書)感想
多くの罵詈雑言が飛び交い生産的な議論は不可能に思えるインターネット。過激な書き込みを行っているのは一体誰なのか?何がネット上の議論を息苦しくしているのか?計量分析で迫るインターネットと現代社会の実態。社会を良くすると期待されていたインターネットは分極化の原因なのか。選択的接触などによる影響の可能性は認めつつも、豊富な統計から必ずしも直接的な要因にはなっていないことに着目し、過激なのは中高年を中心とするごく一部で、若者やサイレントマジョリティは意外とバランスを取っていることを指摘した内容は興味深かったです。
読了日:11月24日 著者:田中 辰雄,浜屋 敏
宮廷神官物語 八 (角川文庫)宮廷神官物語 八 (角川文庫)感想
麗虎国の2人の王子・藍晶と曹鉄の対立はもはや不可避。そんな中、隣国・淘の大使が視察に来ることがわかり、曹鉄が大使を迎えることになる第八弾。それにしても賢母の強引さ、そんな彼女に恩義があるらしい苑遊の思惑がかなり気になる展開でしたけど、振り回されっぱなしだった曹鉄もようやく自覚して、ギリギリの局面はいろいろありましたけど、天青や鶏冠の尽力もあったりでどうにかこうにかあるべきところに収まりそうな感じですかね…でも未だ諦めてなさそうな二人の悪あがきや、どこか覚悟を決めたような雰囲気もあった鶏冠の今後が心配です。
読了日:11月25日 著者:榎田 ユウリ
神楽坂・悉皆屋ものがたり 着物のお直し、引き受けます。 (メディアワークス文庫)神楽坂・悉皆屋ものがたり 着物のお直し、引き受けます。 (メディアワークス文庫)感想
どうしても着物に興味をもてず、店の経営に腐心する日々を送る鎌倉にある呉服屋の長女・紬。そんな様子を見かねた両親の強引な指示によって、彼女は神楽坂の路地裏に建つ悉皆屋で修業する物語。経営センス皆無の両親を危惧し、祖母に経営に関するあれこれを叩き込まれた紬が、着物のメンテナンスを一手に引き受ける悉皆屋で、風変わりな店主や軟派な綾人らと共に働くうちに、これまで気づかなかった着物の魅力や着物に対する想いに触れて少しずつ変わってゆく展開はなかなか良かったですけど、紬はこれからどうするのかちょっとだけ気になりました。
読了日:11月25日 著者:行田 尚希
Iの悲劇Iの悲劇感想
六年前に滅びた簑石に人を呼び戻すIターン支援プロジェクトが実施され、南はかま市甦り課の三人が奔走する現実と真実の物語。最初に入居した二組の夫婦のいがみ合い、水田養鯉を志した入居者の誤算、行方不明になった子ども、秋祭りで起きた食中毒、なくなった仏像といった問題に、やる気の見えない課長・西野の下で、実務を担う万願寺や新人の観山が奔走する展開でしたけど、やけに西野が要所をしっかり押さえていると思ったら真相はそういうことでしたか。言われてみれば納得ですけど、苦心してきた立場からすればそれはないよって話ですよね。
読了日:11月26日 著者:米澤 穂信
月と星の還るところ 紫微国妖夜話 (小学館文庫キャラブン!)月と星の還るところ 紫微国妖夜話 (小学館文庫キャラブン!)感想
紫微国の都から侶州へ戻る道すがら、許郷にて生まれて初めて賭場に足を踏み入れた脩徳が、大負けした借金のカタに真夜中に開かれる「鬼市」へと潜入する第二弾。ちょっと勝って調子に乗って大負け、怖い目に遭ったのに人助けをし、夫婦喧嘩に巻き込まれた挙句に八つ当たりされ、さらには金蚕まで押し付けられそうになるお人好し極まれりな脩徳には苦笑いでしたけど、何というかほんとに欲しいものは手に入らない感はありますが、その身の丈にあった現実を見ればそこそこ幸せになれそうな気もするんですけどね…。でもそれがなかなか難しいジレンマ。
読了日:11月26日 著者:宮池 貴巳
教育格差 (ちくま新書)教育格差 (ちくま新書)感想
戦後から現在までの動向、就学前~高校までの各教育段階、国際比較と教育格差の実態を圧倒的なデータ量で検証した一冊。生まれた環境によって小学校入学時にすでに学力格差が存在し、地域によって公立中学校同士でも大きな環境格差があり、親が大卒/非大卒で就学前~高校まで格差が存在する。それを統計によって多角的かつ客観的に分析した一冊で、事実を認識したうえで現実的な対策を提案している点は評価したいところですが、様々な要因が積み重なっての意欲格差を埋めていくのは容易なことではないんだろうな…ということを改めて痛感しました。
読了日:11月27日 著者:松岡 亮二
憂国のモリアーティ 禁じられた遊び (JUMP j BOOKS)憂国のモリアーティ 禁じられた遊び (JUMP j BOOKS)感想
貴族の息子探しの依頼を受けたシャーロックは、貴族が通うクラブに潜入するためウィリアムに協力を仰ぎ捜査を始める小説版第二弾。人質を取ったゲーム愛好家の犯人とのロシアン・ルーレット対決、ボンドがホワイトチャペルの劇団に演技指導、三兄弟が弟子入りの際にジャックに課された試練、マイクロフトの紹介で訪れた休暇先でシャーロックが挑む奇妙な事件など、登場人物たちが魅力的に描かれている連作短編はそれぞれの良さがありました。特に表題作のウィリアムとシャーロックの以心伝心っぷりや、子供のために奔走するボンドがよかったです。
読了日:11月28日 著者:竹内 良輔,三好 輝,埼田 要介
かくしごと承ります。 ~筆耕士・相原文緒と六つの秘密~ (メディアワークス文庫)かくしごと承ります。 ~筆耕士・相原文緒と六つの秘密~ (メディアワークス文庫)感想
卒業証書や招待状の宛名などを毛筆で書く筆耕士・相原文緒。憧れの都築先生から請け負った数々の仕事を丁寧にこなしていく中で、文字にまつわる不思議な謎にしばしば遭遇する物語。お品書きに込められた故人の思い、命名書を依頼された家にあったノートに書かれた名前、秘密の暗号に込められた意味、五度目の招待状の理由、誰かのための嘆願書、そしてラブレター。文字に込められた思いを読み解いていく展開も良かったですけど、慎重でなかなか関係が変わらないけれど意識しているのは感じられる、もどかしい二人のその後をまた読んでみたいですね。
読了日:11月28日 著者:十三 湊
精霊幻想記 15.勇者の狂想曲 (HJ文庫)精霊幻想記 15.勇者の狂想曲 (HJ文庫)感想
果たされたリオの積年の復讐。一方、婚約者であるフローラが消息を絶った勇者坂田はリーゼロッテを自らの第三夫人にと望み、結果として国を巻き込んだ見合いの席が設けられる第十五弾。誘拐されていた王女姉妹の保護を決めたリオに持ちかけられた意外な勧誘。リーゼロッテの思わぬ窮地と、王女姉妹失踪から始まった急展開でしたけど、リーゼロッテの毅然とした態度が効いてましたね(苦笑)シルヴィや蓮司の今後も気になるところですが、苦い思いを抱く坂田の決断もあって、予告を見るとリオを巡る状況もまたここから大きく動きそうで楽しみです。
読了日:11月28日 著者:北山結莉
生徒会探偵キリカS1 (講談社ラノベ文庫)生徒会探偵キリカS1 (講談社ラノベ文庫)感想
壮絶な生徒会長選の結果、なぜか副会長の座に収まった牧村ひかげ。助手を務める生徒会探偵ではキリカが料金体系を一新してリニューアルオープンする新章第一弾。議員選挙が行われた中央議会で議長朱鷺子が相次ぐ否決に悩まされた真相、四クラブ合同の『第九』コンサートに妨害工作や内紛の理由。ひかげを軸にその鈍感ぶりにやきもきするキリカや朱鷺子、暴走する美園、状況をさらにカオスにさせてゆく薫や狐徹らヒロインたちに振り回されるやりとりはますます冴え渡って、久しぶりで待ちくたびれましたけどとても楽しかったです。早めの続巻に期待。
読了日:11月28日 著者:杉井 光
私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)私に効果音をつけてよ、響くん! (講談社ラノベ文庫)感想
近隣高校の映画部から依頼を受け、映像に効果音をつける「音屋」を営んでいた高校1年の豊響。音響効果への情熱を失いくすぶった毎日を送っていた彼の元に宇津々きさらが現れ、自主映画制作にスカウトする青春小説。きさらとカンナが中心となって立ち上げた自主映画制作集団『余命三年』。魅力的な彼女たちが撮った映像に衝撃を受け、彼女たちと関わるうちに心揺さぶられ、熱い想いを取り戻してゆく彼の音響アイデアはなかなか興味深くて、困難を抱える仲間のために奔走する彼らの青春はとても良かったです。これは続巻も楽しみな新シリーズですね。
読了日:11月29日 著者:有丈 ほえる
継母の連れ子が元カノだった3 幼馴染みはやめておけ (角川スニーカー文庫)継母の連れ子が元カノだった3 幼馴染みはやめておけ (角川スニーカー文庫)感想
いさなの告白叶わずも、すんなりと親友同士に戻った水斗といさな。勉強合宿で幼馴染なのに顔を見る度にいがみ合う暁月と川波が黒歴史「思い出」に向き合うことになる第三弾。いや振られたのにその距離感どうなのよ?と結女ならずともツッコミを入れたくなる相変わらずないさなと水斗でしたけど、今回の主役はワケありげな幼馴染・暁月と川波。二人の壮絶な過去やお互いが抱く複雑な想いも明らかになって、罰ゲームをきっかけに始まるこっ恥ずかしいシチュエーションの連続には盛り上がりました。でもまあ簡単ではないですよね…元幼馴染も元恋人も。
読了日:11月30日 著者:紙城 境介
カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています (角川スニーカー文庫)カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています (角川スニーカー文庫)感想
クリスマス直前に彼女に浮気されて別れた大学二年生の羽瀬川悠太。そんな傷心の彼がサンタのバイトをしていた後輩・志乃原真由と出会う青春小説。いつの間にか懐いて勝手に家にまで上がり込んでくるようになった後輩・志乃原と、付き合いが長い友人ヒロイン・彩華、そして悠太を気にかける元カノの存在。三者三様のヒロインたちはそれぞれに事情があるようで、その妙に狭い人間関係の繋がりも地味に効いていますが、単純な恋愛模様にはならなさそうな彼女たちとの繊細な距離感や関係がこれからどう変わってゆくのか、続巻に期待の新シリーズですね。
読了日:11月30日 著者:御宮 ゆう

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