読書する日々と備忘録

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このラノ2020掲載の注目シリーズ20作品

 このライトノベルがすごい2020の発表を受けて新作対象商品の読了済作品を紹介しました。 

それとは別にランキング100位までに掲載されている作品のうち、上記で掲載しなかった巻数が10巻未満の読了済シリーズ作品を選んでみたら、わりといい感じの構成になったので20作品を紹介することにしました。今回のランキングでは既存シリーズ作品が全体的に苦戦している印象でしたけど、このあたりの巻数を重ねている作品はどれも安定感があって面白いですね。上記の記事と合わせればそこそこの範囲をカバーできていると思います。セレクトする際の参考になれば幸いです。

 

1.弱キャラ友崎くん (ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)

 

日本屈指のゲーマーながらリアルでは弱キャラの友崎が、同じくらいゲームを極めリアルでもパーフェクトヒロインの日南葵に炊きつけられ、クソゲーと断じるリアルで自己変革を目指す物語。ゲームに対する同じ想いを抱く葵の言葉を信じ、失敗しながらもチャレンジを諦めない友崎。そんな彼のフォローに奔走する葵が、凄まじいまでの努力家であることを何度も垣間見たこともきっと大きかったんですよね。魅力的なヒロインたちを絡めてテンポよく進む展開に友崎が現時点の精一杯で向き合う姿には、続巻をまた読んでみたくなる期待感がありますね。現在8巻まで刊行。

2.月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

 

連合王国より先に人類を宇宙へ到達させるべく、共和国の最高指導者はロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。実験体として選ばれた吸血鬼の少女・イリナと監視係に任じられた候補生レフの物語。蔑まれる境遇から自由を得るため実験体として志願したイリナ。そんな彼女に最初は戸惑いながらも、共に過ごし訓練するうちに大切な存在として思うようになってゆくレフ。あくまで実験体としてか扱われない彼女の境遇には厳しいものがありましたが、乗り越えて見せた彼女たちの未来が明るいものであることを信じたくなる物語ですね。現在5巻まで刊行。

3.86―エイティシックス― (電撃文庫)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

 

帝国の無人兵器レギオンによる侵略を受け、有色人種を差別し戦わせてしのいでいた共和国。そんな若者たちを率いる少年・シンと、後方から彼らの指揮を執るハンドラーとなった少女・レーナが出会う物語。人権を認められない有人の無人機として戦い続ける「エイティシックス」の若者たち。現状に疑問を持つもののその過酷さを本当の意味では分かっていなかったレーナ。次々と仲間が死んでゆく厳しい状況で彼らに突きつけられる指令には絶望的な気持ちになりましたが、因縁にもきちんと決着を付け迎えた意外な結末はとても良かったですね。現在7巻まで刊行。

4.ぼくたちのリメイク(MF文庫J)

ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう! (MF文庫J)

ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう! (MF文庫J)

 

しがないゲームディレクターで会社は倒産、企画も頓挫して実家に帰ることになった橋場恭也。輝かしいクリエイターの活躍を横目にふて寝して目覚めると、なぜか十年前の大学入学時に巻き戻っていた青春リメイクストーリー。落ちたはずの大学に受かっていて憧れの芸大ライフ、さらにはシェアハウスで男女四人の共同生活。とはいえ同居人はそれぞれキラリと光るものを持っているのが垣間見えてしまう厳しい現実。これまでの経験を活かして存在感を出しつつまだまだ試される状況は続きそうで、気になる人間模様も含めて続巻が楽しみなシリーズですね。現在7巻まで刊行。

5.ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

 

5年片想いした上司の後藤さんにバッサリ振られたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道に路上で家出女子高生・沙優を発見し、なし崩し的に同居生活が始まる日常ラブコメディ。自分を大切にしないことを叱る吉田の優しさに戸惑う沙優と、彼女の存在が自分の中で少しずつ大きくなってゆくことを自覚する吉田。そんな何事にも真摯に向き合う彼の変化が気になる後藤さんと後輩の三島柚葉。周囲に振り回されてはいても根幹はブレない、相手を大切にしようとする吉田のありようが素敵で、何とも複雑な関係ですが今後の展開がとても気になるシリーズですね。現在3巻まで刊行。

6.薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

 

花街の薬師だったのをさらわれて後宮で下働き中の娘・猫猫が、薬師としての能力を美形の宦官・壬氏に見込まれ、後宮の事件や噂を解決する物語。中華風の後宮にいるものの特に出世を目指すわけでもない猫猫はわりとさっぱりとした性格で、周囲が色めき立つ美貌の壬氏にも醒めた視線を向けるわけですが、そんな猫猫を壬氏が何となく気にかけている構図が面白いですね。狭い世界で繰り広げられる事件に、薬と毒には並々ならぬ執着とこだわりを見せて謎解きに挑む猫猫、彼女を取り巻く登場人物たちも魅力的で、テンポの良いやりとりが楽しいです。現在8巻まで刊行。

7.賭博師は祈らない (電撃文庫)

賭博師は祈らない (電撃文庫)

賭博師は祈らない (電撃文庫)

 

十八世紀末ロンドン。うっかり大金を得た賭博師ラザルスが仕方なく購入させられたのは、喉を焼かれて声を失った奴隷の少女・リーラ。不器用な二人が戸惑いながらも心通わせてゆく物語。師の教え通り勝たない賭博師としてこれまで生きてきたラザルスの失敗。放り出すわけにもいかず感情に乏しいリーラを教育しながら一緒に生活するようになる日々。徐々に打ち解けてゆく二人の拙い関係の変化が繊細な積み重ねで描写されていて、強奪されたリーラを奪還するため冷静に計算して最後まで完遂してみせたラザルスのありようがとても見事で心に響きました。全5巻。

8.三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

 

過去の苦い経験から「偽りの自分」を演じてしまう高校生・矢野四季が、印象的な出会いを果たした物静かな転校生・水瀬秋玻に惹かれ、彼女ともうひとりの人格・春珂を支えるようになってゆく不思議な恋物語。しっかりものの秋玻と対照的な危なっかしい印象の春珂。状況的に春珂をフォローすることが多い四季と二人を見つめる秋玻の繊細な距離感がまた絶妙で、大切な存在なのにすれ違ってしまうやるせなさだったり、ごまかさずにきちんと想いをぶつけてゆく彼らの青春がとても良かったですね。終盤は挿絵の使い方も効いていますね。現在4巻まで刊行。

9.君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

 

ほぼ全ての人工衛星が落下した大流星群から三年。たった一人の犠牲者・天野河星乃を救うため、全てを諦めかけていた平野大地が希望を見出し運命に抗う物語。宇宙飛行士だった両親の夢を追いかけていた星乃。コスパ重視だった人生も彼女を失いやる気をなくしていた大地。希望を見出すものの思うようにうまく行かなくて、それでも大切なものを取り戻すという熱い決意を胸に、危機になりふり構わず奔走して、醒めていた大地自身もまた変わってゆく展開はテンポも良くて、変化したことがこれからどう影響していくのか、非常に楽しみな新シリーズですね。19年12月に5巻刊行予定。

10.錆喰いビスコ (電撃文庫)

錆喰いビスコ (電撃文庫)

錆喰いビスコ (電撃文庫)

 

全てを錆つかせる「錆び風」人類を死の脅威に陥れる世界。師匠を救うため霊薬キノコ「錆喰い」を求め旅をする「キノコ守り」赤星ビスコが少年医師・ミロを相棒に、波乱の冒険へ飛び出す冒険ファンタジー。最初世界観に馴染むのに少し時間が必要でしたが、ミロを相棒に旅に出る少年マンガっぽい展開にはワクワクさせるものがあって、黒革という分かりやすい悪役の存在だったり、師匠のジャビや、パウー、チロルといったキャラたちもよく効いていて、王道の最後まで諦めない痛快な物語は読んでいて楽しかったです。19年12月に5巻刊行予定。

11.スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

 

父親を亡くし母親が失踪、友達も趣味も何もない日々を送っていた山梨の高校に通う女子高生・小熊。そんな彼女が中古のスーパーカブに出会い、それをきっかけに世界が広がってゆく物語。奨学金で高校に通う慎ましい生活を送る子熊視点で淡々と綴られる、同じカブに乗る同級生の礼子と知り合ったり、カブを巡る様々な出来事に遭遇したり、これまで目を向けてこなかったものに気づいてゆく展開。著者さんの深いカブ愛を感じつつ、子熊らしい慎重なペースで、けれど確実に世界が広がっていてゆく様子がとてもいいと思いました。19年12月に6巻刊行予定。

12.筺底のエルピス (ガガガ文庫)

筺底のエルピス (ガガガ文庫)

筺底のエルピス (ガガガ文庫)

 

人類を脅かす殺戮因果連鎖憑依体と戦う百刈圭が、所属する「門部」の新人乾叶とコンビを組んで鬼狩りに挑むうちに、叶の友人に取り憑いた強力な白鬼を巡る争いに巻き込まれていく物語。バトル面では万能でない条件付きの能力の特性をうまく活かして、鬼や他国の類似組織と戦う駆け引きがなかなか面白かったです。悲劇的な背景がある割には主要人物がどんどん死ぬ展開でもなく、ガガガっぽいシリアスな構成なのかと思ったら最後はなぜかラブコメっぽい流れになっていたり、ここからどうなるのか楽しみなシリーズですね。現在6巻まで刊行。

13.天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)

天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)

天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)

 

病床の国王に代わり摂政として弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。文武に秀で臣下からの信頼も厚い彼が、絶望的な状況から密かに売国を志す弱小国家運営譚。状況を正しく認識して先を見通せるからこそ絶望を感じるウェイン。上手く終わらせるための手を打つのに、それがなぜか効果的な一手に繋がる皮肉な状況の変化や展開の連続でしたけど、ウェインが彼なりに最善へ真摯に取り組んだ結果だからこそ納得感がありました。補佐官のニニムに対する想いも気になる彼にいつか心境の変化はあるのか、どこまでやれるのか続巻が楽しみですね。現在5巻まで刊行。

14.真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました (角川スニーカー文庫)

最前線での戦いについていけなくなり、仲間の賢者により勇者のパーティーから追い出されたレッド。心機一転、辺境の地で薬草屋を開業しようとした彼のもとに、突如かつての仲間だった王女・リットが転がり込む辺境スローライフ。元ツンデレで不器用だったリットとはお互いがいい感じに補い合える存在で、そんな二人が初々しくも甘い関係を築いていく展開はなかなか良かったです。しかし調整役を放逐した勇者パーティーは案の定破綻していて、兄成分必須な妹勇者の状況も考えると、再び彼が必要とされそうな今後の展開も気になるところではあります。現在5巻まで刊行。

15.14歳とイラストレーター (MF文庫J)

14歳とイラストレーター (MF文庫J)

14歳とイラストレーター (MF文庫J)

 

イベントでコスプレイヤー乃木乃ノ香(14歳)と知り合い、ファンだった彼女に家に手伝いに来てもらうようになったプロ絵師・京橋悠斗と、曲者揃いの仲間たちとのドタバタな日常。作中では絵師さんの描くことは楽しくても大変なことも多いその生活や、なるほどなと思うリアルな事情などもいろいろ語られていて、懇意にする個性的な濃い仲間との繋がりや彼らのために奔走する姿にはいいやつだなあと思いましたけど、そんなつもりはなくても14歳との日常は傍から見たら通報待ったなしですね(苦笑)話としてもなかなか面白くなりそうで続巻に期待。現在7巻まで刊行。

16.あまのじゃくな氷室さん (MF文庫J)

あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)

あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)

 

美人で優等生だけど高圧的で毒舌の生徒会長・氷室涼葉。そんな彼女に想いを寄せる副会長・田島愛斗が、ある日彼女の本当の気持ちが聞こえるようになってしまう捻れ系青春ラブコメ。愛斗にダダ漏れになってしまう涼葉の毒舌に隠された可愛らしい本音。これは楽勝と思ったら両想いなのに涼葉のあまのじゃくっぷりは斜め上過ぎて、何でそうなるのかツッコミを入れたくなる悪循環の連続で、それでもブレなかった二人の想いと遠回りしながらも踏み出したその一歩に、深い安堵というか生温かく見守りたくなりました。全5巻。

17.キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 (ファンタジア文庫)

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 (ファンタジア文庫)

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 (ファンタジア文庫)

 

永く続く帝国と魔女の国ネビュリス皇庁の戦場で帝国の最高戦力となった剣士イスカ、と皇庁最強とうたわれる氷の魔女姫アリスリーゼが出会う物語。戦場で戦うべき強敵として出会う二人の運命の出会いというわりとよくあるテーマで、待ち合わせもしてないのに中立都市で遭遇し過ぎな感はありましたけど、ベタな甘いラブロマンスを重ねつつ、宿敵の二人が一時的に共闘する展開はとても自分好みでした。両陣営とも首脳陣がアレなので二人の関係が今後どういう方向に向かうのか気になりますね。続巻が楽しみですけど最後は上手くまとまると信じてますよ?現在7巻まで刊行。

18.ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (5) (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (5) (ガガガ文庫)

 

訳あって親友以外の他人との接触を断ち、部員が自分だけのジャーナリズム研究会に属する高校2年生の啓介。しかしうっかり美人な先輩の白鳥真冬の抱える謎を解いたことをきっかけに様々な事件やトラブルに巻き込まれてゆく日常系ミステリ。真冬のジャナ研入部により少しずつ変化し広がってゆく啓介の世界。彼が親友の大地や良太郎の協力も得ながら解いてゆく謎の真相。当事者にとってはほろ苦い結末であることが多かった一方で、それが停滞から前に進むための転機にも繋がっていて、続巻が出るようならまた読んでみたいと思わせるものがありました。全5巻

19.ラストラウンド・アーサーズ (ファンタジア文庫)

ラストラウンド・アーサーズ クズアーサーと外道マーリン (ファンタジア文庫)

ラストラウンド・アーサーズ クズアーサーと外道マーリン (ファンタジア文庫)

 

来るべき世界危機を救うため真なるアーサー王を決める「アーサー王継承戦」完璧チート高校生・真神凜太朗が、暇つぶしのためあえて最弱と呼ばれる残念少女・瑠奈に協力する現代異能ファンタジー。金のために聖剣を売り払ってしまったり、召喚した「騎士」ケイ卿にコスプレさせて利用する瑠奈。あざとい生徒会長選の票稼ぎやデートさせられたり彼女のわがままに振り回されつつも、垣間見えるその真っ直ぐな想いに王の資質を見出して、曲者ぞろいの強敵を相手に共に戦い絆を育んでいく王道展開を描く手腕は見事です。現在4巻まで刊行。

20.あの日、神様に願ったことは (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

 

一年に一度、願いが叶う宿星市に住む風祭叶羽が、十七歳の誕生日に出会った先輩・逢見燈華。願いを叶えるために星の幸魂の試練を課された燈華と、姉を喪い傷心を抱える叶羽の優しくて少し痛い奇跡の青春小説。病床にあった姉との悔いの残る別れから、写真を撮ることを止めてしまった叶羽が、人知れず試練を抱えていた燈華と出会い、振り回されながらも惹かれていく展開で、登場人物たちの不器用で甘酸っぱい想い、そして絶望を救おうと奔走する真摯で一途な想いがもたらした奇跡はとても素晴らしかったです。続巻も気になる期待の新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

 

以上です。