今回は9月電撃庫・マッグガーデン・ノベルズ・DREノベルス・SQEXノベルの新刊感想まとめです。内訳は9月電撃庫の新作2点、続巻5点、マッグガーデン・ノベルズの新作1点、DREノベルスの新作1点、SQEXノベルの続巻1点の計10点の紹介になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
凡人呪術師のたのしい異世界悪役プレイ (電撃文庫)
しば犬部隊/kodamazon KADOKAWA 2025年09月10日
クラスメイトの身代わりで女神に呪われ、異世界に奴隷として転生したモブな高校生・粕谷焚人。最強のアホが周りに勘違いされたままノリと勢いで無双するファンタジー。唯一の力は最弱・最下位のG級ギフト【呪術】のみでも、女神に呪われた奴隷という彼基準では悪役っぽい配役に満足するカスタニ。そこから謎の寂しがりやな黒幕《ナビ》にサポートされたり、可愛いペットたちもゲットしながら、自らの目標とする最強の悪役を目指してノリノリで異世界を突き進む展開で、身の回りで起きる事件を解決したり、微妙に噛み合ってない会話を繰り広げながら、あることないこと吹き込んで思い込みの激しいヒロインたちを勘違いさせ、彼女たちの窮地を颯爽と救ってみせるストーリーはなかなか痛快で面白かったです。
殺し屋JKとハンバーガー (電撃文庫)
父親の借金のせいで7歳の頃から殺し屋として生きてきたハンバーガーを愛するJKチドリが、師匠のマチルダからJKツバメを相棒として紹介されるバディアクション小説。正反対なツバメに最初は反発しながら、自称チドリのライバル・メジロとの戦いの中で、足りない部分を補い合える相棒として認めていくチドリ。JKでもある彼女たちが殺人をためらわずどんどん依頼をこなしていくわりと殺伐としたストーリーですが、だからこそクイバを満喫する彼女たちの姿が印象的で、ツバメと衝突してすれ違いながら、借金全額返済のために依頼を受け、1人では乗り越えられなかった危機的状況を救われ、彼女たちと力を合わせて打開したり、元凶のクソ親父との因縁にもしっかり決着をつけたその結末はなかなか良かったです。
好きだった子をメイドにしたら、俺の部屋でこっそりナニかしている2 (電撃文庫)
鏡 遊/ひげ猫 KADOKAWA 2025年09月10日
生まれた直後に取り替えられたことが判明した清耶香と継司。清耶香の人生を背負うため、継司がクズからの脱却を宣言する第2弾。思わぬ真実にお互いなかなか平常心ではいられない状況で、手始めに中間テストでトップ10入りを目指すことにした継司。そこに幼馴染にして清宮と並ぶ名家のお嬢様、万里辻杏璃が勉強を教えると申し出る展開で、彼女の家で勉強会をすることになり、そこでで会った継司たちの親と同級生でもある杏璃母のいろいろ思うところあるような態度も効いていましたが、何より思ったよりもぐいぐい来る京美人らしい気品と魅力のある杏璃との清耶香との火花散るやり取りは、思わぬ新展開もあってこれから面白くなりそうですね。
サンバカ2!!! (電撃文庫)
前回の騒動後、聖女の契約書を探してあてもなく旅を続ける3バカ。妙な夢の後、3人まとめてウェディングドレス姿で何処かへ向かう汽車の中で目覚める第2弾。が所有する島で一夫多妻のハーレムを作り上げようとするショタ淫魔ブライアン。契約書の力でイグニスが浚われてしまう中で現れた、ガガカの元相棒でナースのメイヘム。ガガカがマジギレして心を失ったエルフ・タチアナを奪い脱走し。そこから3人がハイウェイでカーチェイスを繰り広げたり似非探偵になったりする中で、連れ去られたイグニスとガガカを救うためにネモが真実を解き明かすバカ騒ぎっぷりは、文字通りシリアス・ファンタジー・ラブコメが入り混じったハチャメチャでカオスな展開は今回も面白かったです。
転生程度で胸の穴は埋まらない3 (電撃文庫)
テルネリカやメルミナと仲を深めたコノエが再会した超越者の同期で竜人の姫巫女フォニア。何事にもクールで無感動な彼女がコノエを国にスカウトする第3弾。急成長で注目を集めるコノエのスカウト話に、教官や神も心穏やかではいられない中、竜人の国から毎回新人の超越者に依頼される、かつて国を滅ぼしかけて封印された無限再生の権能を持つ魔王の討伐。教官すら滅ぼせない魔王に関する調査を進めるうちに、明らかになっていく封印を巡る知られざる事情。過酷な運命に殉じることを受け入れるフォニアをコノエが放っておけるわけもなくて、彼を支えてくれる可憐なヒロインたちの真摯な想いに心揺さぶられながら、運命を変えるために愚直に挑むコノエの頑張りが今回も光っていました。
人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話3 (電撃文庫)
入間 人間/猫屋敷 ぷしお KADOKAWA 2025年09月10日
母親との諍いによって家出した戸川凛を、夫もいる我が家で急遽保護することにした女教師・苺原樹。そこからあまりにも甘い夏休みの毎日が始まる第3弾。当然家には夫がいてもそんなことは関係ない。あんな親の元に凛を返したくない、手放したくない。そんな狂おしいまでの想いを抱く一方、先生への想いを隠そうともしない凛。緊急避難がずるずると滞在が当たり前になっていって、出される食事の味付けや見たこともない妻の表情に全てを悟ってしまう夫。ここからド修羅場に陥ってもおかしくない状況を、呆然としながらも飲み込んだ夫の潔さに助けられた感はありましたけど、一見クソ真面目そうなのに、初めて恋を知って欲望のままに突き進んでしまう樹の劇的な変化が鮮烈でした…。
86―エイティシックス―Ep.14 ―ペイント・イット・ブラック― (電撃文庫)
安里 アサト/しらび/I-IV KADOKAWA 2025年09月10日
全戦線の同時崩壊から間もなく、前線の全兵に告げられた後退禁止の命令と後背に敷設された地雷原。悪意で塗りつぶされていく戦場に直面する第14弾。征路を〈レギオン〉に、退路を人の悪意に遮断される状況をいち早く察知して、首都に軟禁されたレーナたちの支援のもと、リュストカマー基地に防衛線を構築するシンたち機動打撃群。苛烈な猛攻の末、ついに〈レギオン〉の魔の手がシンに及ぶ厳しい展開で、第86区の記憶を呼び起こさせる絶望的な状況に、それでも諦めなかった86の面々やそんな彼らを信じる人々、懸命なフレデリカの姿には心揺さぶられるものがありましたね…。最後の急展開いは驚かされましたが、最終章がどういう結末を迎えるのか続巻が今から楽しみです。
グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~ (マッグガーデン・ノベルズ)
愛山雄町/kuren マッグガーデン 2025年09月10日頃
生まれつき身体が弱く武術も魔導の才もない子爵家の息子マティウスに転生した主人公が、巧みな情報戦と策略を駆使して王国を勝利に導くファンタジー。前世で培った経験から類い稀なる知力とその先見性を大賢者に見出され、叡智の守護者の塔で養育されることになったマティウス。まだ就学すらしていないため自身は無名ながらも、大賢者の弟子となり配下の凄腕間者集団の力を借りながら、集めた様々な情報をもとに分析し、その先に起こりうることを予見してみせた見識の高さは卓越していましたね…。つい年齢のことを忘れてしまいそうな大活躍ですが、学校に入学してかけがえのない友人を得て、先を見据えた軍改革や、時間稼ぎのための謀略にも着手し始めたこれからの活躍が楽しみです。
万年シルバーランクのおっさん、史上最高の冒険者となる (DREノベルス)
万年シルバーランクのおっさん、史上最高の冒険者となる 〜パーティ追放されてヤケ酒してたらお隣の神官さんと意気投合して一夜を過ごした件、ってお前最高ランクの冒険者かよ〜
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あわき尊継/紅緒 ドリコム 2025年09月10日頃
所属パーティーを追放され、その日稼ぎを続ける万年シルバー中年冒険者ロンド。彼がアダマンタイト級神官リディアとの出会いを機に変わり始める英雄譚。愚痴を聞いて飲んだくれて意気投合して、勢い余って最高位の神官リディアとついやらかしてしまったロンド。一夜の過ちから生まれた繋がりから少しずつ意識を変わっていった彼が、かつてのパーティーリーダーの死、暫定的に組んだパーティーで起きる苦難やかつての知人の危機に向き合っていく展開で、シリアス展開と苦笑いなヒロインたちとの修羅場展開の塩梅が絶妙なストーリーでしたが、ロンドの実力は多少経験豊富な凡人で、けれど辛い時に寄り添ってくれる彼の優しさを見ていると、救われたヒロインたちから慕われるのも分かるような気がしました。
悪役令嬢の矜持6 ~色は匂へど散りぬるを、浅き夢見し酔ひもせず。~ (SQEXノベル)
メアリー=ドゥ/久賀フーナ スクウェア・エニックス 2025年09月05日頃
長女スフィーアが生まれ新生活で大忙しのウェルミィ。その屋敷へ遊びに来た友人ダリステアが、兄マレフィデントに託された古い一冊の日記帳を受け取る第6弾。エイデスの亡き義姉マルムの日記と、最近王都で騒がれている連続昏睡事件。そして全ての鍵を握る女性。ダリステアとツルギス、カーラとセイファルトのカップルや、エイデスの義姉マルムへの想い、聖教領国の公爵令嬢ウルミリアとイリマの姉妹とアセアム殿下のままならない婚約騒動の顛末、マレフィデントとナニャオ第二王女の関係が丁寧に描かれていて、積み重ねてきたそれぞれの関係もとても素敵でしたし、謎も合わせて解き明かされてゆく中で、それを見守るゴルドレイやシモンといった渋いイケオジたちの存在も効いていました。